JP2016001449A - 金券識別装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】紙幣の真贋・種類の識別を完了した識別完了位置となる場合でも、制御部が金券の有無などを把握できる構造を有して、諸問題への対応を可能とする金券識別装置を提供する。【解決手段】本発明の金券識別装置1は、金券が挿入される挿入口と、挿入口からの金券の挿入方向の第1位置に設けられる金券の挿入を検出する挿入検出部と、第1段の後方である第2位置に設けられる金券の真贋および種類の少なくとも一つを識別する第1識別部と、第2段の後方である第3位置に設けられる金券の存在の検出、真贋および種類の少なくとも一つを識別する第2識別部と、を備え、第1識別部は、金券の挿入において、金券の先端から終端までの通過によって、金券の真贋および種類の少なくとも一つの識別を完了し、第1識別部による金券の真贋および種類の少なくとも一つの一定条件に基づく識別が完了した位置(以下、「識別完了位置」という)において、第2識別部は、金券と重複可能である。【選択図】図4

Description

本発明は、汎用あるいは遊戯用機械に用いられる自動販売機、自動貸出機など、お金の投入に合わせて商品等を提供する機器に使用される紙幣の識別や一時的な保管を行う金券識別装置に関する。
自動販売機や自動貸出機などが、街中、商店内部、集合建造物内部などの様々な場所に設置されている。外国においても自動販売機や自動貸出機が設置されているが、治安や貨幣価値の安定性といった我が国特有の事情に基づき、我が国においては、非常に多数の自動販売機や自動貸出機が設けられている。
また、パチンコ機やスロットマシン機といった遊戯用機械が設置された遊技場も広く普及している。これらのパチンコ機やスロットマシン機が設置された遊技場では、遊戯者が遊戯に必要となるパチンコ玉やコインの貸し出しを受けるために自動貸出機が設置されている。このような自動貸出機には、遊戯者が硬貨、紙幣、プリペイドカード、ICカード、IDカードなどを投入して、投入された金額(あるいは遊戯者が指定した金額)に対応するパチンコ玉やコインを提供する。このため、自動貸出機には、投入された紙幣やプリペイドカードなど(以下、「金券」という)の真贋、種類(金額)を識別しつつ、必要に応じて一時的に紙幣を保管する金券識別装置が設置される。
このような遊戯用機械に使用されるパチンコ玉やコインなどの貸し出しを行う自動貸出機は、遊戯用機械(パチンコ台やスロットマシン台)の間に設置される。遊戯用機械を使用して遊戯を楽しむ遊戯者は、遊戯店に設置されている多数の遊戯用機械のそれぞれの前に着座して、遊戯を楽しむ。パチンコやスロットマシンを始めとしたこれらの遊戯用機械は、遊戯者が連続して操作することを前提としているからである。
遊技者は、このような遊戯用機械の間に設置された自動貸し出し機を使用する。具体的には、自動貸出機に金券を挿入してパチンコ玉やコインなどの遊戯に必要なものを入手する。特に、多くの遊戯者は、遊戯開始だけでなく遊戯の途中でもランダムに自動貸出機を用いてパチンコ玉やコインを入手したいと考える。このため、頻繁に自動貸出機を使用する。
もちろん、遊戯用機械ではなくて飲料や食品などの自動販売機であっても、使用者は金券を受け付ける要素に金券を挿入して、物品の購入を行う。このときも、金券を識別する装置への金券の挿入行為が行われる。
上述のように、自動貸出機や自動販売機においては、必要なものの貸出や購入のために、金券を挿入して金券を識別する金券識別装置が実装されている。自動貸出機などは、実装している金券識別装置において、遊戯者や使用者からの金券の挿入を受けて、金券の真贋や種類を識別させる。識別によって、金額を確認して、対応する物品の貸し出しや販売を行える。
このため、金券識別装置は、挿入される金券の真贋および種類を確実に識別できる必要がある。金券は、たとえば日本で流通している紙幣だけでも、1000円札、2000円札、5000円札、10000円札と4種類ある。海外ではさらに多い。また、商品券や特殊な金券などに対応する必要がある場合には、さらなる種類の金券を、金券識別装置は、真贋と種類の識別を行うことが必要となる。
このような金券識別装置での金券の真贋や種類の識別を確実に行うことのできる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第5176518号公報
特許文献1は、第1の識別センサと、第2の識別センサと、これら第1及び第2の識別センサを紙幣が通過するよう紙幣を搬送する搬送手段と、第1及び第2の識別センサの出力信号に基づいて紙幣の真偽を識別する識別手段を備えた紙幣識別装置において、第2の識別センサの配置位置は、第1の識別センサよりも紙幣の搬送方向の下流側であり、第2の識別センサの出力信号に基づいて紙幣の終端を検知する終端紙幣検知手段を備え、識別手段は、紙幣が第1の識別センサを通過した後であって、かつ紙幣の終端が第2の識別センサを通過する前に紙幣の真偽を識別することを特徴とする紙幣識別装置を、開示する。
特許文献1に開示される紙幣識別装置は、紙幣が挿入された直後の位置に紙幣の挿入の有無を把握する挿入センサを備える。さらに、挿入センサの後段に紙幣の識別を行う第1センサを備え、加えて、第1センサの後段に第2センサを備える。この3段階のセンサによって、特許文献1に開示される紙幣識別装置は、紙幣の挿入および挿入された紙幣の種類の識別を実行する。
ここで、特許文献1に開示される紙幣識別装置は、紙幣の挿入の最初の位置にある挿入センサによって、紙幣の挿入の有無を把握できる。把握された結果は、紙幣識別装置に直接的もしくは間接的に接続する制御部(サーバーなど)に通知されて、制御部によって、紙幣識別動作やその他の必要な処理の実行が行われる。
制御部は、挿入を検知した後で、たとえば搬送機能を動作させて挿入された紙幣を内部に搬送させる。搬送が開始された紙幣は、まず第1センサに到達する。第1センサは、第1の機能・条件に基づいて、紙幣の真贋および種類を識別する。次いで、紙幣は、搬送機能によってさらに内部に搬送されて第2センサの位置に到達する。
第2センサは、第1センサと異なる機能・条件もしくは重複する機能・条件によって、第2センサに到達した紙幣の真贋や種類を識別する。このとき、第2センサは、挿入された紙幣の長さ(通過時間などから換算されてもよい)を計測して、紙幣の真贋や種類を識別する。このため、第2センサは、紙幣の先端から後端までのすべてが第2センサ上を通過して初めて紙幣の種類を識別できる。
このため、特許文献1に開示される紙幣識別装置は、第1センサおよび第2センサを、紙幣のすべてが通過した後で、初めて紙幣の真贋と種類を識別できることになる。言い換えれば、特許文献1に開示される紙幣識別装置は、真贋および種類の識別が終わった段階では、第1センサおよび第2センサのいずれとも重複していない状態である。
紙幣識別装置において、紙幣の真贋および種類の識別が完了している装置内部での紙幣の位置を、「エスクロ位置」と呼ぶ。このため、特許文献1の紙幣識別装置では、エスクロ位置においては、紙幣にはセンサが全く重複していない状態である。エスクロ位置となった状態で、第1センサと第2センサとで紙幣の真贋と種類の識別が終わっていることを前提として、特許文献1の紙幣識別装置は、識別の完了した紙幣をそのまま内部の保管部に搬送して収容する。
保管部に収容されれば、紙幣識別装置に接続されている自動貸出機や自動販売機は、紙幣金額に応じた物品を使用者等に提供する。
しかしながら、特許文献1に開示される紙幣識別装置では、エスクロ位置となるときに、紙幣とセンサが重複していない。このため、センサが紙幣を把握することが物理的に不可能である。
第1センサーなどで紙幣を識別したつもりとなっていても、その後にお金がいたずらで取り出されたり、挿入口に紙幣以外の異物を混入させたりするなどの不法行為が行われた場合でも、第2センサーを通過した紙幣や異物はそのまま保管部まで搬送されてしまう。
場合によっては問題のある紙幣でありながら、エスクロ位置まで到達したことのみによって紙幣が挿入されてしまえば、不法行為によって物品を提供してしまうことにもなりかねない。
あるいは、紙幣と共に異物を挿入されたとしても、この異物もそのまま保管部まで到達してしまうこともあり得る。エスクロ位置でセンサが異物と重複しないので、紙幣として識別されつつも異物である場合に、この異物の挿入によって紙幣識別装置が故障してしまうこともあり得る。
また、搬送機能の問題によって、エスクロ位置で識別が完了した紙幣の保管部への回収が不可能となることがある。この場合に、たとえば使用者によるいたずらが原因であるのか、搬送機能の故障が原因であるのかの区別をする方法がない。センサが紙幣と重複していないので、制御部は、紙幣の存在の有無すら確認できないからである。
加えて、保管部や搬送機能の問題によって、紙幣が回収できないこともあり得る。この紙幣が回収できない場合において、特許文献1の紙幣識別装置では、センサと紙幣が重複していないので、制御部は紙幣の有無を把握できない。このため、紙幣の吐出を行うこともできなくなる。
このように、紙幣の識別が完了するエスクロ位置において、紙幣とセンサとが重複することのない特許文献1の紙幣識別装置では、識別エラーや識別上の他の問題点に対する対応、いたずらへの対応、収容や搬送問題への対応、回収と吐出との切り替えの対応、などに対応することができない問題がある。
このように、特許文献1に代表される従来技術は、識別センサの位置と紙幣との位置関係が、識別のみに力点を置いているのみであり、識別そのものおよび識別以外を原因とする様々な問題に対応できない問題を有していた。これらの問題は、使用者のいたずらにも対応できない問題にもつながり、紙幣識別装置の故障などにつながる問題も有していた。
本発明は、これらの問題に鑑み、紙幣の真贋・種類の識別を完了した識別完了位置となる場合でも、制御部が金券の有無などを把握できる構造を有して、諸問題への対応を可能とする金券識別装置を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明の金券識別装置は、金券が挿入される挿入口と、
挿入口からの金券の挿入方向の第1位置に設けられる金券の挿入を検出する挿入検出部と、
第1段の後方である第2位置に設けられる金券の真贋および種類の少なくとも一つを識別する第1識別部と、
第2段の後方である第3位置に設けられる金券の存在の検出、真贋および種類の少なくとも一つを識別する第2識別部と、を備え、
第1識別部は、金券の挿入において、金券の先端から終端までの通過によって、金券の真贋および種類の少なくとも一つの識別を完了し、
第1識別部による金券の真贋および種類の少なくとも一つの一定条件に基づく識別が完了した位置(以下、「識別完了位置」という)において、第2識別部は、金券と重複可能である。
本発明の金券識別装置は、挿入口から挿入された金券の真贋および種類の識別が完了した状態であっても、金券とセンサとが重複した状態を維持できる。このため、制御部は、金券やそれ以外に異常があることを、識別完了後であっても判断できる。
また、識別完了後でも、制御部は識別部と金券との重複によって、金券の存在を把握でき、金券の回収、吐出、停止などの種々の処理を行うことができる。
これらが相まって、使用者によるいたずらや機械の故障などとの区別が可能となり、金券識別装置に関するトラブルやエラーを防止できる。
本発明の実施の形態1における金券識別装置の斜視図である。 本発明の実施の形態1における金券識別装置の正面図である。 本発明の実施の形態1における金券識別装置の設置態様を示す模式図である。 本発明の実施の形態1における金券識別装置の識別部分30の模式図である。 本発明の実施の形態1における金券識別装置の識別部分の模式図である。 本発明の実施の形態1における金券識別装置の識別部分の模式図であり、第3段階を示す模式図である。 本発明の実施の形態1における金券識別装置の識別部分での、第4段階の識別状態を示す説明図である。 本発明の実施の形態1における金券識別装置の識別部分の説明図であり、識別完了位置となった場合の説明図である。
本発明の第1の発明に係る金券識別装置は、金券が挿入される挿入口と、挿入口からの金券の挿入方向の第1位置に設けられる金券の挿入を検出する挿入検出部と、第1段の後方である第2位置に設けられる金券の真贋および種類の少なくとも一つを識別する第1識別部と、第2段の後方である第3位置に設けられる金券の存在の検出、真贋および種類の少なくとも一つを識別する第2識別部と、を備え、第1識別部は、金券の挿入において、金券の先端から終端までの通過によって、金券の真贋および種類の少なくとも一つの識別を完了し、第1識別部による金券の真贋および種類の少なくとも一つの一定条件に基づく識別が完了した位置(以下、「識別完了位置」という)において、第2識別部は、金券と重複可能である。
この構成により、第1識別部による金券の真贋および種類の識別が終わったところで、金券は、まだ第2識別部と重複できる。
本発明の第2の発明に係る金券識別装置では、第1の発明に加えて、金券識別装置は、遊戯用機械同士の間に設置される。
この構成により、金券識別装置は、遊戯用機器の隙間に設置されて、遊戯者の便宜を図ることができる。
本発明の第3の発明に係る金券識別装置では、第1の発明に加えて、金券識別装置は、自動販売機の紙幣挿入部に接続して設置される。
この構成により、金券識別装置は、さまざまな自動販売機に適用できる。
本発明の第4の発明に係る金券識別装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、第1識別部は、透過光検出部および反射光検出部の少なくとも一方を有し、透過光検出部および反射光検出部の少なくとも一方は、透過光もしくは反射光に基づいて、金券の反射率および透過率の少なくとも一つである識別情報を検出し、金券の先端から後端までの通過において、透過光検出部および反射光検出部の少なくとも一方の識別情報に基づいて、金券の真贋および種類の少なくとも一方を識別する。
この構成により、第1識別部は、高い精度で、金券の真贋や種類を識別できる。
本発明の第5の発明に係る金券識別装置では、第4の発明に加えて、第2識別部は、透過光検出部および反射光検出部の少なくとも一方を有し、透過光検出部および反射光検出部の少なくとも一方は、透過光もしくは反射光に基づいて、金券の反射率および透過率の少なくとも一つである識別情報を検出し、金券の一部において、透過光検出部および反射光検出部の少なくとも一方の識別情報に基づいて、金券の真贋および種類の少なくとも一方を識別する。
この構成により、第2識別部は、高い精度で金券の有無、真贋、種類を識別できる。
本発明の第6の発明に係る金券識別装置では、第4または第5のいずれかの発明に加えて、金券の真贋および種類の少なくとも一方の一定条件に基づく識別の完了(以下、「識別完了状態」という)は、第1識別部において、金券の先端から後端までの通過によって、実行される。
この構成により、第1識別部は、金券全体を用いて高い精度で識別できる。また、金券の長さをもパラメータとして、金券の真贋および種類を識別できる。
本発明の第7の発明に係る金券識別装置では、第4または第5のいずれかの発明に加えて、識別完了状態は、第1識別部における金券の先端から後端までの通過および、第2識別部における金券の一部の通過によって、実行される。
この構成により、第1識別部と第2識別部とは、相互に補い合いながら、金券の真贋や種類を識別できる。
本発明の第8の発明に係る金券識別装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、第2識別部は、第1識別部の補助である。
この構成により、第2識別部が第1識別部を補助して金券を識別できる。相互の役割分担が実現できる。
本発明の第9の発明に係る金券識別装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、識別完了位置において、第2識別部は、金券を認識可能である。
この構成により、識別完了位置(エスクロ位置)においても、第2識別部が金券を検出、識別することが可能であり、金券に関する問題を、検出可能である。
本発明の第10の発明に係る金券識別装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、第2識別部は、金券の挿入方向と交差する方向に沿って、複数の識別素子を有する。
この構成により、第2識別部は、金券の幅や挿入状態にかかわらず、確実に金券を認識できる。
本発明の第11の発明に係る金券識別装置では、第10の発明に加えて、複数の識別素子は、交差する方向に沿って、略平行である。
この構成により、第2識別部は、金券認識を容易化できる。
本発明の第12の発明に係る金券識別装置では、第10または第11の発明に加えて、金券の挿入方向の略直交方向において、第1識別部は、複数の識別素子の間であって、挿入口側に位置する。
この構成により、金券の挿入状態の様々な問題に対応して、第1識別部と第2識別部の役割を分担しながら、確実に金券の識別を行える。
本発明の第13の発明に係る金券識別装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、第1識別部と第2識別部とをその範囲に含む、金券を搬送する搬送機構を更に有する。
この構成により、搬送機構は、挿入路に対応して金券を搬送できる。
本発明の第14の発明に係る金券識別装置では、第1から第13のいずれかの発明に加えて、挿入口から挿入された金券を収容する保管部を、挿入方向側に更に有する。
この構成により、識別が確定できた金券は、保管される。
本発明の第15の発明に係る金券識別装置では、第1から第14のいずれかの発明に加えて、挿入検出部、第1識別部、第2識別部および搬送機構の少なくとも一つを制御する制御部を更に備え、制御部は、識別完了位置で、金券の搬送を一時停止させる。
この構成により、識別完了位置で停止させることで、金券が第2識別部による識別や検出を確実に行われる。
本発明の第16の発明に係る金券識別装置では、第15のいずれかの発明に加えて、制御部は、識別完了位置で停止している金券を、第2識別部を用いて、金券の有無、正常状態および異常状態の少なくとも一つを判断する。
この構成により、制御部は第1識別部で識別が完了した状態でも、更に問題のある状態を検出して対応できる。
本発明の第17の発明に係る金券識別装置では、第16の発明に加えて、制御部は、識別完了位置で停止している金券が異常状態であると判断する場合には、金券を挿入口から吐出する、保管部への収容を停止する、金券の停止状態を維持する、および警告を発する、ことの少なくとも一つを行う。
この構成により、異常状態による問題の発生を未然防止できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
(金券識別装置全体の概要)
まず、実施の形態1における金券識別装置の全体概要を、図1〜図3を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の斜視図である。図1は、金券識別装置1の外観を示している。下記に説明する金券識別装置1の要素の一部は、金券識別装置1の内部の要素であるが、全体を把握する便宜上、全体概要においては、内部の要素も含めて外観を示す図1で説明する。
図2は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の正面図である。図2は、左側と右側に、保管部6が排出されていない状態と保管部6が排出されている状態とを示している。図3は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の設置態様を示す模式図である。
金券識別装置1は、自動貸出機などに含まれて設置されることが多い。特に、図3に示されるように遊戯用機械100同士の間の自動貸出機に含まれて設置されることが多い。
図3では、遊戯用機械100として、パチンコ機やスロットマシン機が示されている。このようなパチンコ機やスロットマシン機は、パチンコ玉やゲーム用コインを必要とする。遊戯者200は、遊戯用機械100の前に着座して遊戯を行う。もちろん、多数の遊戯用機械100が遊戯店において設置されており、遊戯者200は、多数の遊戯用機械100のいずれかの前に着座して遊戯を行う。
遊戯者200は、遊戯の実施に当たってパチンコ玉やゲーム用コインを必要とする。このとき、遊戯中に簡単にパチンコ玉やゲーム用コインを追加して入手したいと考える。このため、パチンコ機やスロットマシン機などの遊戯用機械100同士の間に、パチンコ玉やゲーム用コインなどの自動貸出機50が設置される。この自動貸出機50は、台間機とも呼ばれる。
自動貸出機50は、パチンコ玉やゲーム用コインを貸し出すに当たって、遊戯者200からの金券を受けとる。金券は、紙幣であったり、専用のプリペイドカードであったり、商品券などであったりする。このため、自動貸出機50は、金券識別装置1を含んで設置されることが多くなる。
以上のように、金券識別装置1は、一例として、遊戯用機械100同士の間に設置される。また、金券識別装置1は、自動販売機の紙幣挿入部に接続して設置されてもよい。いずれの場合も、金券と引き換えに商品や物品の販売や貸し出しを行う機器に合わせて装着される。
遊戯者200は、紙幣のような金券を、自動貸出機50に備えられている金券識別機1の挿入口3に挿入する。この挿入によって、必要金額のパチンコ玉やゲーム用コインを入手する。例えば、遊戯者200は、1000円札を、挿入口3を通じて金券識別機1に挿入する遊技者200が、この1000円分のパチンコ玉やゲーム用コインを入手したいと考える場合には、1000円札の挿入の後で、必要な操作を行って、1000円分のパチンコ玉やゲーム用コインを入手できる。
また、1000円札を挿入したが、500円分のパチンコ玉やゲーム用コインを入手したいだけの場合には、1000円札を挿入した後で、500円分のみの入手用の操作を行って、500円分のパチンコ玉やゲーム用コインを入手する。このとき、パチンコ玉などに引き換えなかった残りの500円は、金券識別機1からおつりとして返却されたり、500円分の再使用可能なプリペイドカードとして返却されたりする。
このように、金券識別装置1は、いわゆる紙幣(硬貨も含めた現金)やプリペイドカードなどの金券を取り扱う非常にシビアな装置である。上述のように、挿入された1000円札によって、パチンコ玉などが供給されたり、お釣りとしての現金やプリペイドカードが遊戯者200に提供されたりすることになる。
このため、金券識別装置1が、挿入された金券の識別を間違えてしまうと、窃盗と同様の状態が生じてしまう。あるいは、遊戯者200が悪意を持って、偽の金券を挿入して窃盗を働くこともあり得る。窃盗においては、偽の金券を挿入して、パチンコ玉やゲーム用コインを不正に入手することがある。あるいは正しい金券を挿入して金券識別装置1で識別させてパチンコ玉などを入手した後で、挿入した金券を引き出すこともある。あるいは、窃盗ではないが、金券を挿入した後で、異物を挿入して金券識別装置1を故障させるなどのいたずらをすることもある。もちろん、遊戯者200に悪意がない状態で、しわや折れ曲がった金券が挿入されてしまって、金券識別装置1の故障の原因となることもある。
このように、金券識別装置1は、挿入された金券の真贋と種類を正確に識別することはもちろん、遊戯者200のいたずらあるいは挿入された金券の不備によって、窃盗、故障、不正行為などの問題を未然防止する必要を有している。
金券識別装置1は、図1に示されるように、挿入口3、挿入路31、識別部4、搬送駆動手段9、保管部6、排出駆動手段8、排出口7を備える。また、この金券識別装置1は、これらの要素を筐体2に格納する。金券識別装置1は、筐体2によってその外形を形成できる。ここで、筐体2は、一定の奥行きと高さを有しつつ、幅の小さい薄型かつ縦型である。このため、金券識別装置1も、幅の小さな薄型の外形を有するようになる。薄型の外形であることで、狭い隙間において縦方向に、金券識別装置1が、設置されることが多い。
挿入口3は、筐体2の前方に設けられ金券の挿入を受け付ける。挿入路31は、挿入口3から挿入された金券を通す。識別部4は、挿入路31において設けられ、金券を識別する。搬送駆動手段9は、挿入路31に挿入された金券を搬送する。保管部6は、搬送駆動手段9で搬送された金券を一時的に保管する。排出駆動手段8は、保管部6を筐体2の前方であって外部に排出する。排出口7は、この排出駆動手段8によって排出される保管部6を排出する出口となる。
また、挿入路31と保管部6とは、挿入口3を基点とした挿入方向において、略平行な同一平面上に配置される。また、保管部6は、筐体2の縦方向に沿って金券を保管する形態で設けられる。加えて、搬送駆動手段9および排出駆動手段8を構成する機械部品や電子部品は、縦型(縦長であって薄い)の筐体2の縦方向に沿って実装されている。このような形態と実装により、金券識別装置1は、遊戯用機械100同士の狭い隙間に縦型にして設置することが可能となる。
図3に示されるこのような金券識別装置1は、着座している遊戯者200が、遊戯を続行しながら金券を挿入して必要なパチンコ玉やゲーム用コインを入手する。以上のように、金券識別装置1は、金券の挿入、金券の識別、識別結果の通知(例えば、サーバーや制御部あるいは、自動貸出機に通知する)、金券の収容の機能とこれに合わせた構成を有する。更に、識別結果の通知を受けた自動貸出機は、パチンコ玉やゲーム用コインを供給する。
(金券識別装置の識別部分の全体概要)
金券識別装置1は、図1〜3を用いて上述のように説明した全体構造を有している。ここで、金券識別装置1は、金券の識別をその大きな機能として有している。この識別においては、遊戯者200による偽の金券挿入、いたずら、金券の挿入障害などにも対応する必要がある。実施の形態1の金券識別装置1は、この識別機能において、これらの諸問題に対応する。
図4は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の識別部分30の模式図である。図4は、挿入口3に金券40が挿入される前の状態を示している。加えて、図4は、図1で示される金券識別装置1の内部である挿入口3の内部と挿入路31を示している。
金券識別装置1は、金券40が挿入される挿入口3を有している。挿入口3から挿入された金券40が移動する(搬送される)挿入路31も、備わっている。この挿入路31の一部が、識別部分30の領域となる。
挿入口3からの金券40は、矢印Aの方向に挿入される(矢印Aは、挿入方向である)。挿入口3から挿入方向に従って、前段から第1位置61、第2位置71、第3位置81の順序で、それぞれの領域を示す位置が設定される。第1位置61が、挿入口3にもっとも近い位置である。第2位置71は、第1位置の挿入方向に沿った後段の位置である。第3位置81は、第2位置の挿入方向に沿った後段の位置である。
第1位置61には、挿入検出部60A、60Bが設けられる。挿入検出部60(60A,60B)は、金券40が挿入口3から挿入されたことを検出する。
第1位置61の後方であって、第3位置81の前方である第2位置71には、金券40の真贋および種類の少なくとも一つを識別する第1識別部70が設けられる。更に、第2位置の後方である第3位置81には、金券40の存在、真贋および種類の少なくとも一つを識別する第2識別部80(80A,80B)を備える。
金券40は、遊戯者200によって、手で挿入口3に挿入される。挿入検出部60は、挿入口3のすぐ後ろの第1位置61に設けられているので、手で挿入された金券40は、そのまま挿入検出部60に到達できる。このため、手で挿入された金券40は、挿入された段階で金券40の挿入を検出できる。
第1識別部70は、金券40が挿入されて、挿入路31を搬送される際の、金券40の先端から終端までの通過によって、金券40の真贋および種類の少なくとも一つを識別する。言い換えれば、第1識別部70は、金券40の先端から後端までの全体の通過を待って、金券40の真贋および種類の少なくとも一つを識別できる。
第1識別部70の識別により、金券40の真贋および種類の少なくとも一つが識別されるので、金券識別装置1の識別部分30としての識別機能の最小限は、実行される。すなわち、第1識別部70は、金券40の真贋および種類の少なくとも一つの一定条件に基づく識別を完了させる。この第1識別部70による一定条件での識別の完了した位置を、識別完了位置という。
第2識別部80(80A,80B)は、金券40の存在、真贋および種類の少なくとも一つを識別できる。第2識別部80は、第1識別部70と同一条件や同一手法によって金券40を識別してもよいし、第1識別部70と別条件や別手法によって、金券40を識別してもよい。
第2識別部80は、識別完了位置となった金券40と重複可能である。第1識別部70と第2識別部80との位置関係(第2位置71と第3位置81)および、第1識別部70による金券40の識別の完了である識別完了位置との、それぞれの相互の位置関係によって、金券40は、識別完了位置でも、第2識別部80と重複できる。
第1識別部70は、金券40の真贋および種類の少なくとも一つを一定条件で識別を完了できる。この識別の完了によって、金券識別装置1は、挿入された金券40の真贋等を確認できる。この真贋や種類の確認ができれば、基本的には、金券識別装置1は、挿入された金券40によって、パチンコ玉やゲーム用コインの供給を行うことが可能であることを、制御部やサーバーに通知できる。
しかしながら、この識別完了位置での識別完了状態でも、従来技術で説明したような種々の問題があり得る。金券40の引き抜きであったり、偽の金券40の追加投入であったりなどの盗難行為や、異物混入などのいたずらや、金券40の搬送や収容の困難性の発生などの問題である。
このような問題があり得る場合でも、識別完了位置において、金券40は、まだ第2識別部80と重複している。この結果、第2識別部80が、金券40の存在、真贋および種類の少なくとも一つを更に識別できる状態である。このため、上述のような問題が発生しうる場合でも、第2識別部80による識別が、これに対応できる。
金券識別装置1の分野では、この識別完了状態となった識別完了位置のことをエスクロ位置と呼ぶこともある。従来技術の金券識別装置では、このエスクロ位置となったときに、金券が識別部や識別センサと重複していない問題があった。実施の形態1における金券識別装置1は、このエスクロ位置となった場合でも、第2識別部80が、金券40と重複した状態を構成できる。この結果、さまざまな問題が生じうる場合でも、第2識別部80が金券40を識別でき、識別結果や識別結果に基づく種々の情報を、上位の要素(制御部やサーバーなど)に通知できる。
この通知によって、上位要素は、問題の生じうる金券40の対処を決定して、問題の発生を防止したり、発生した問題を解消したりすることができる。
次に、各部の詳細と共に、動作説明を行う。
(第1段階:金券の挿入)
図4に示されるように、第1段階では、遊戯者などの使用者が金券40を金券識別装置1に挿入する。このとき、使用者は、挿入口3から金券40を手作業で挿入する。
挿入口3は、金券40の大きさに合わせた大きさと形状を有している。金券識別装置1の構成や仕様によるが、挿入口3は、金券40を1枚ずつ挿入するか、複数枚の金券40を挿入するかを、その大きさで切り替えることができる。
(第2段階:金券挿入の識別)
図5は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の識別部分の模式図である。
第1段階で金券40が挿入口3から挿入されると、その挿入の作業によって、金券40の先端から一部分が挿入路31の前方に入り込む。この入り込みよって、金券40の先端は、挿入検出部60A、60Bに到達する。図5は、この状態を示している。
挿入口3が、挿入側が広く、内部ほどやや狭くなるような受け口形状を有していることで、使用者が金券40を挿入するだけで、図5のように、金券40の先端が、挿入検出部60A,60Bに到達できるようになる。すなわち、挿入だけで、金券40は、挿入検出部60A、60Bと重複した状態を生じさせることができる。
挿入検出部60A,60Bは、所定の波長の光を発する発光部を備える。加えて、この発光部からの反射光を受ける反射光検出部および透過光を受ける透過光検出部の少なくとも一方を備える。この構成に基づいて、挿入検出部60A,60Bは、金券40が挿入口3から挿入路31に挿入されたことを検出できる。
金券識別装置1は、全体の要素の少なくとも一つを制御する制御部500を更に有する。この制御部500は、金券識別装置1内部に設けられてもよいし、金券識別装置1の外部に設けられてもよい。さらには、金券識別装置1(あるいはこれを装着する自動貸出機や自動販売機など)を管理するサーバーと、電気通信可能に接続されている。
挿入検出部60A,60Bは、金券40の挿入を検出すると、検出した結果を、この制御部500に通知する。制御部500が、サーバーを兼用する場合には、制御部500は、金券40が挿入されたことに基づいて、必要な動作を、金券識別装置1の各要素に指示を行う。あるいは、制御部500は、検出結果を、一旦サーバーに通知する場合には、サーバーが検出結果を確認したうえで、制御部500に、必要な動作指示を出力する。
サーバーが用いられるのは、たとえば、遊戯場のように多数の金券識別装置1が設置される場合である。多数の金券識別装置1が設置される場合には、サーバーが、これら金券識別装置1を集中管理することがベターだからである。
図5に示されるように、挿入検出部60A,60Bが、金券40の挿入を検出すると、制御部500は、搬送機構90を動作させて、金券40を挿入方向に搬送する。搬送機構90は、たとえば、搬送ベルトを有している。制御部500は、この搬送ベルトを回転させることで、金券40を挿入方向に搬送させる。
挿入方向に沿って、第1位置61の挿入検出部60、第2位置71の第1識別部70、第3位置81の第2識別部80の順序で並んでいる。このため、搬送機構90による搬送によって、金券40は、挿入検出部60から第1識別部70、第2識別部80の順序で、対向していく。
なお、挿入検出部60は、図4、図5などに示されるように、2つの挿入検出部60A、挿入検出部60Bとを有してもよい。2つの挿入検出部60A、60Bの2つが設けられることで、金券40の幅が挿入口3の幅よりも小さくて、挿入口3のいずれかに偏った状態で挿入される場合でも、挿入検出部60は、確実に金券40の挿入を検出できる。
もちろん、3つの挿入検出部60A,B,Cが設けられてもよい。これらは、コストや仕様に応じて定められればよい。
(第3段階:第1識別部での識別)
図6は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の識別部分の模式図であり、第3段階を示す模式図である。
搬送機構90によって金券40が搬送されると、金券40の先頭は第1識別部70に到達する。すなわち、金券40は、第1識別部70と重複した状態となる。
第1識別部70は、光を発行する発光部を有する。更に、第1識別部70は、この発光部からの光が、金券40で反射されて生じる反射光を受ける反射光検出部および、金券40を投下して生じる透過光を受ける透過光検出部の少なくとも一方を有する。
透過光検出部および反射光検出部の少なくとも一方は、透過光もしくは反射光に基づいて、金券40の反射率および透過率の少なくとも一つである識別情報を検出する。このとき、第1識別部70は、反射光および透過光の両方を検出しても当然に良いし、一方だけを検出しても当然に良い。
搬送機構90は、金券40を、その先端から後端までを、第1識別部70を通過するように搬送する。この金券40全体の搬送によって、金券40の先端から後端までが、第1識別部70を通過する。この先端から後端までの通過における識別情報に基づいて、第1識別部70は、金券40の真贋および種類の少なくとも一方を識別する。
第1識別部70は、反射光および透過光の少なくとも一方を検出することで、金券40の色味などに基づく波長や周波数を検出できる。金券40は、その種類に応じた色味の分布を模様として有しているので、検出された波長や周波数を、モデルとする波長や周波数と対比させることで、金券40の種類を、第1識別部70は識別できる。もちろん、第1識別部70は、金券40の真贋も識別できる。
また、第1識別部70は、金券40の先端から後端までの搬送時間あるいは搬送時間から算出される金券40の長さを検出することで、金券40の真贋や種類を識別できる。例えば、紙幣などの金券は、その種類によって長さが異なるからである。
第1識別部70は、金券40の先端から後端までの通過によって、一定条件に基づく金券40の識別を完了する。この一定条件とは、金券40の真贋および種類のすべての識別を含むこともあるし、その一部のみを含むこともある。このような一定条件に基づく金券40の識別の完了を、識別完了状態という。
このように、金券40の先端から後端までの通過の中で、第1識別部70の反射率および透過率の少なくとも一方に基づいて、識別完了状態が成立する。なお、識別完了状態が生じる金券40の先端から後端までの、第1識別部70の通過の間には、金券40の一部は、第2識別部80も通過できる。
このため、識別完了状態は、第1識別部70での金券40の先端から後端までの通過および、第2識別部80における金券40の一部の通過によって、実行されると考えてもよい。この場合には、第1識別部70と第2識別部80とが補い合うようにして、金券40の真贋および種類の少なくとも一つを識別する。この識別が完了した状態が、識別完了状態である。
(第4段階:第1識別部および第2識別部での識別)
図7は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の識別部分での、第4段階の識別状態を示す説明図である。
上述の通り、搬送機構90が金券40を搬送すると、金券40は、第1識別部70と重なる部分を移動させる。加えて、金券40は、第2識別部80A,80Bとも重なりながら移動する。
この移動によって、金券40は、第1識別部70での識別を受けるのに合わせて、第2識別部80A、80Bでの識別も受けるようになる。第1識別部70では、金券40は、先端から後端まですべての通過が行われるが、第2識別部80A、80Bでは、後述のように識別完了位置まででは、金券40の一部の通過が行われる。
第2識別部80は、第1識別部70と同様に、光を発行する発光部を有する。この発光部からの光が、金券40を透過する透過光を検出する透過光検出部および、発光部からの光が金券40を反射する反射光を検出する反射光検出部の少なくとも一方を有する。
透過光検出部および反射光検出部のそれぞれは、金券40からの透過率および反射率を検出する。金券40の一部におけるこの反射率および検出率に基づいて、第2識別部80は、金券40の真贋および種類の少なくとも一つを識別できる。
識別においては、透過率や反射率に基づく、金券40の色味や輝度の波長や周波数を用いる。このとき、第2識別部80は、第1識別部70と同じ条件で、真贋や種類の少なくとも一つを識別してもよいし、異なる条件で、真贋や種類の少なくとも一つを識別してもよい。
図7では、金券40が移動しているので、第1識別部70と第2識別部80とのそれぞれが、金券40の透過率や反射率を検出しながら、金券40の真贋や種類を識別している。
すなわち、図7では、第1識別部70と第2識別部80A,80Bとが、一緒になって、挿入路31を搬送されている金券40の真贋および種類の少なくとも一つを識別している。このとき、上述のように、第1識別部70と第2識別部80A,80Bとでは、異なる条件や方法で識別を行ってもよいし、同じ条件や方法で識別を行ってもよい。
異なる条件や方法で識別を行う場合には、第2識別部80A,80Bは、第1識別部70の補助としての識別を行うと考えられてもよい。
たとえば、第1識別部70では、真贋と種類の両方を識別するのに対して、第2識別部80A、80Bでは、真贋のみもしくは種類のみを識別する。あるいは、真贋や種類を識別する際に、第1識別部70での識別精度が、第2識別部80A.80Bでの識別精度よりも高いことでもよい。あるいは、第2識別部80A、80Bは、第1識別部70の識別結果の一部を加えて、自身の識別作業を行ってもよい。
たとえば、第1識別部70は、金券40の先端から後端までの通過による金券の長さを基準の一つとして金券40の真贋や種類を識別する。この長さを基準とした識別結果を、第2識別部80A,80Bが受けて、第2識別部80A,80Bは、透過率や反射率のみで、金券40の識別を行ってもよい。
なお、透過光や反射光の透過率や反射率に基づいて、第1識別部70や第2識別部80A,80Bは、金券40の波長、周波数などを検出し、これをモデルと対応させることで、金券40の真贋や種類を識別できる。
(第5段階:第1識別部での識別完了)
図8は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の識別部分の説明図であり、識別完了位置となった場合の説明図である。
金券40は、搬送機構90によって、挿入路31を徐々に内部方向(保管部側)に搬送される。搬送されながら、第1識別部70と第2識別部80A、80Bを通過していく。
この通過によって、金券40の先端から後端までが第1識別部70を通過する。先端から後端までの通過時間と通過速度を基にして、第1識別部70は、第1識別部70は、金券40の長さを識別できる。金券40は、紙幣などの場合には、種類のよってその長さが異なることがある。第1識別部70は、この長さを検出することで、金券の種類を識別できる。また、他の要素と長さとを合わせることで、金券の真贋を区別することもできる。例えば、ある紙幣の長さを有しているが、透過光や反射光に基づく波長が異なる場合には、カラー印刷された偽紙幣であると、第1識別部70は、識別できる。
第1識別部70によって、金券40の識別が完了するのは、図8のように、金券40の後端が第1識別部70を通過したところである。この通過したところで、第1識別部70は、金券40の長さはもちろん、全長での範囲にわたって、反射光や透過光による波長や周波数に基づく識別を終えることができる。
この図8の状態は、第1識別部70による、金券40の識別完了状態であり、この金券40の位置を識別完了位置35と定義する。上述したように、エスクロ位置と定義されることもある位置である。
この識別完了位置35に金券40が到達することで、第1識別部70による、金券40の識別の基本作業は完了する。この第1識別部70での識別により、基本的には、金券識別装置1は、金券40の真贋および種類の識別を完了できる。
識別が完了しているので、金券識別装置1は、そのまま金券40を収容して、必要な物品や商品を提供してもよい。
しかしながら、参考技術で説明したように、この識別完了位置において、遊戯者200がいたずらで異物を押し込んでしまうこともある。あるいは、金券40が保管部に収容される際に、商品を余分に取ろうとする操作を行う不正を働く可能性がある。
あるいは、識別完了位置35での金券40を即座に取り出して、商品をただで入手しようとすることもありえる(例えば、金券40に糸をつけておき、糸を引っ張ることで金券40を取り出す)。
さらには、金券40がしわを持っていたり、保管部が満杯であったりして、金券40の保管部への収容が困難となることもある。この場合には、金券40の収容ができないことから、金券40を、挿入口3から吐き出す必要がある。
しかし、参考技術では、識別完了位置35では、識別部を金券が通過した後であるので、制御部500やサーバーは、金券40を検出することも識別することもできない。この状態では、上記のようないたずら、不正行為、不測の事情を検出できない。この場合には、制御部500やサーバーは、金券40を収容できないままに、商品を遊戯者200に提供してしまわなくてはならない。
実施の形態1の金券識別装置1では、この識別完了位置35においても、金券40は、第2識別部80A,80Bと重複した状態である。すなわち、第2識別部80A,80Bは、金券40の存在、種類、真贋などを識別できる状態にある。少なくとも、金券40の存在を識別できる状態にある。
このような構成を有することで、金券識別装置1は、エスクロ位置と呼ばれる識別完了位置35でも、第2識別部80A,80Bによって、金券40を識別できる状況を残している。
このため、制御部500は、識別完了位置35において、搬送機構90を停止させて、金券40を一時停止させる。第2識別部80での必要な識別作業を行えるようにするためである。
この状況が残っていることで、上述のような不正行為や不測の事態がある場合でも、制御部500やサーバーは、第2識別部80A,80Bを用いて、金券40の識別を行ったり、金券40への不正行為などを検出したりすることができる。
第2識別部80A,80Bを通じて、不正行為、いたずら、不測の事態を検出できれば、制御部500は、金券40を挿入口3から吐出したり、警告を発したりすることができる。こうすれば、不正等によって、商品を提供することを防止できる。
あるいは、保管部の故障や搬送機構の故障を防止できる。
制御部500は、第2識別部80A,80Bでの問題もないと判断すれば、再び搬送機構90を動作させて、金券40を搬送して保管部に移動させて金券40を収容する。
もちろん、必要に応じて、第2識別部80A、80Bで更に真贋や種類を識別して、ダブルチェックの結果によって、金券40を識別して、商品の提供を行うことでもよい。
以上のように、実施の形態1における金券識別装置1は、エスクロ位置と呼ばれる識別完了位置35となった状態でも、金券40に第2識別部80A、80Bを重複させることができる。この結果、いたずら、不正行為、不測の事態に対応することができ、より信頼性の高い金券識別装置1を実現できる。
(実施の形態2)
次に実施の形態2について説明する。
実施の形態2では、各要素の種々の工夫や組み合わせの工夫について説明する。
(第2識別部)
図7などに示されるように、第2識別部80は、金券40の挿入方向と交差する方向に沿って、複数の識別素子を有することも適当である。すなわち、2つの識別素子である、第2識別部80Aと第2識別部80Bとが、備わっている。このとき、第2識別部80Aと第2識別部80Bとが、交差する方向に沿って、略平行であることも好適である。
第2識別部80が複数であることで、識別完了位置35となった場合に、金券40の幅や金券40の折れ曲がり状態などの発生に関係なく、第2識別部80A、80Bのいずれかが確実に、金券40に重複できるからである。重複できれば、制御部500は、確実に金券40での問題の検出を行える。
また、第2識別部80Aと第2識別部80Bとが、略平行であることで、金券40の挿入方向に対して、確実に、識別を行いやすくなるメリットがある。もちろん、非平行とすることで、識別を行いやすくすることも好適である。
なお、第2識別部80A,80Bのそれぞれは、反射光や透過光を受ける複数の光学素子から構成されていてもよい。
(第1識別素子)
第1識別素子70は、金券40の挿入方向の略直交方向において、第2識別部80A、第2識別部80Bとの間であって、挿入口3側に位置することも好適である。
このような位置に設置されることで、第1識別部70は、金券40の先端から後端までのすべてを確実かつ連続的に識別することができる。加えて、第2識別部80A,80Bとの役割分担を確実に行うことができる。
図7などでは、第1識別部70は単体であるが、複数の第1識別部70が備えられてもよい。あるいは、第1識別部70が、複数の光学素子から構成されてもよい。
(搬送機構)
搬送機構90は、第1識別部70と第2識別部80とをその範囲に含む。これらの範囲を含むことで、搬送機構90は、金券40を、挿入口3から入ったところから、識別完了位置35まで確実に搬送できる。もちろん、搬送機構90は、挿入検地部60から、保管部6にかけて設けられてもよい。このように設けられることで、挿入された金券40が保管部6まで搬送される。保管部6は、図1で説明したように、挿入路31の奥に設けられ、識別の終わった金券40が所定枚数保管される。
保管部6に保管された金券40は、保管部6の取り出しなどによって、必要に応じて回収される。例えば、毎日の売り上げ計算時に、回収される。
搬送機構90は、搬送ベルトなどを備えており、制御部500の指示によって、搬送駆動機構の動作も受けて、回転する。この回転によって、搬送機構90は、金券40を挿入方向に移動させる。この移動の中で、第1識別部70や第2識別部80での識別が実現される。
また、搬送機構90は、制御部500の指示により、逆方向に回転して、金券40を挿入口3から排出することも可能である。例えば、第1識別部70での識別の段階で、識別エラーが生じたり、偽物であるとの識別結果が出たりする場合には、搬送機構90は、逆方向に回転して、金券40を排出する。
あるいは、識別完了位置35において、第2識別部80によって、不正行為、いたずら、問題点の発生などが検出される場合にも、搬送機構90は逆回転して、金券40を、挿入口3から排出できる。排出できることで、不正行為を未然防止したり、金券識別装置1の故障を未然防止したりできる。
(制御部)
制御部500は、挿入検出部60、第1識別部70、第2識別部80および搬送機構90の少なくとも一つを制御する。制御部500は、金券識別装置1のそれぞれに実装されてもよいし、複数の金券識別装置1をまとめて制御するように実装されてもよい。例えば、複数の金券識別装置1を管理するサーバーが備わっており、このサーバーが、制御部500の役割を担ってもよい。
あるいは、サーバーと制御部500が両方設けられ、それぞれが役割を分担してもよい。例えば、挿入検出部などを動作させる実際の制御を、制御部500が行い、上位概念での命令指示を、サーバーが管理してもよい。
制御部500は、挿入口3に金券40が挿入されて、挿入検出部60が金券40の挿入を検出したところで、起動して、搬送機構90を動作させる。このように、金券40の挿入によって起動することで、消費電力を削減できる。
制御部500は、搬送機構90を動作させて、挿入された金券40を、挿入方向に搬送する。ここで、識別完了位置35に金券が到達すると、制御部500は、金券40を一時停止させる。この一時停止によって、金券40に何らかの問題があることを、第2識別部80が識別、検出できる状態を構成できる。
ここで、第2識別部80は、識別完了位置35で一時停止している金券40を、金券40の有無、正常状態および異常状態の少なくとも一つを判断する。これは、制御部500の指示によって行われればよい。
制御部500は、識別完了位置35で停止している金券40が、異常状態であると判断する場合には、金券40を挿入口3から吐出する(排出する)、保管部6への保管を停止する、金券40の停止状態を維持する、および警告を発することの少なくとも一つを行う。
制御部500のこれらの動作のいずれかによって、異常状態の金券40を、保管部6に保管することを防止できる。もちろん、いたずらによる金券識別装置1の故障や、不正行為による商品の盗難などを未然防止できる。
ここで、異常状態とは上述したような、偽金券、金券40の引き抜き、異物の挿入、金券40の保管部6への搬送困難などの様々な問題を生じさせる事象である。
なお、保管部6は、搬送機構90によって搬送された金券40を保管する。保管部6は、図1より明らかなように、筐体2内部に設けられる空間である。また保管部6は、金券40の縦横にあわせたサイズを有している(もちろん、金券40が紙幣であればこれに合わせたサイズを有していればよいし、プリペイドカードであればこれにあわせたサイズを有していればよい)。
以上のように、実施の形態2における金券識別装置1は、さまざまな異常状態への対応をスムーズかつ確実に行うことができる。
なお、実施の形態1、2で説明した金券識別装置1は、一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲を排除するものではない。
1 金券識別装置
2 筐体
3 挿入口
31 搬送路
6 保管部
7 排出口
8 排出駆動手段
9 搬送駆動手段
100 遊戯用機械
200 遊戯者
90 搬送機構
30 識別部分
35 識別完了位置
40 金券
60 挿入検出部
70 第1識別部
80 第2識別部

Claims (17)

  1. 金券が挿入される挿入口と、
    前記挿入口からの前記金券の挿入方向の第1位置に設けられる前記金券の挿入を検出する挿入検出部と、
    前記第1段の後方である第2位置に設けられる前記金券の真贋および種類の少なくとも一つを識別する第1識別部と、
    前記第2段の後方である第3位置に設けられる前記金券の存在の検出、真贋および種類の少なくとも一つを識別する第2識別部と、を備え、
    前記第1識別部は、前記金券の挿入において、前記金券の先端から終端までの通過によって、前記金券の真贋および種類の少なくとも一つの識別を完了し、
    前記第1識別部による前記金券の真贋および種類の少なくとも一つの一定条件に基づく識別が完了した位置(以下、「識別完了位置」という)において、前記第2識別部は、前記金券と重複可能である、金券識別装置。
  2. 前記金券識別装置は、遊戯用機械同士の間に設置される、請求項1記載の金券識別装置。
  3. 前記金券識別装置は、自動販売機の紙幣挿入部に接続して設置される、請求項1記載の金券識別装置。
  4. 前記第1識別部は、透過光検出部および反射光検出部の少なくとも一方を有し、
    前記透過光検出部および前記反射光検出部の少なくとも一方は、前記透過光もしくは前記反射光に基づいて、前記金券の反射率および透過率の少なくとも一つである識別情報を検出し、
    前記金券の先端から後端までの通過において、前記透過光検出部および前記反射光検出部の少なくとも一方の識別情報に基づいて、前記金券の真贋および種類の少なくとも一方を識別する、請求項1から3のいずれか記載の金券識別装置。
  5. 前記第2識別部は、透過光検出部および反射光検出部の少なくとも一方を有し、
    前記透過光検出部および前記反射光検出部の少なくとも一方は、前記透過光もしくは前記反射光に基づいて、前記金券の反射率および透過率の少なくとも一つである識別情報を検出し、
    前記金券の一部において、前記透過光検出部および前記反射光検出部の少なくとも一方の識別情報に基づいて、前記金券の真贋および種類の少なくとも一方を識別する、請求項4記載の金券識別装置。
  6. 前記金券の真贋および種類の少なくとも一方の一定条件に基づく識別の完了(以下、「識別完了状態」という)は、前記第1識別部において、前記金券の先端から後端までの通過によって、実行される、請求項4または5記載の金券識別装置。
  7. 前記識別完了状態は、前記第1識別部における前記金券の先端から後端までの通過および、前記第2識別部における前記金券の一部の通過によって、実行される、請求項4または5記載の金券識別装置。
  8. 前記第2識別部は、前記第1識別部の補助である、請求項1から7のいずれか記載の金券識別装置。
  9. 前記識別完了位置において、前記第2識別部は、前記金券を認識可能である、請求項1から8のいずれか記載の金券識別装置。
  10. 前記第2識別部は、前記金券の挿入方向と交差する方向に沿って、複数の識別素子を有する、請求項1から9のいずれか記載の金券識別装置。
  11. 前記複数の識別素子は、前記交差する方向に沿って、略平行である、請求項10記載の金券識別装置。
  12. 前記金券の挿入方向の略直交方向において、前記第1識別部は、前記複数の識別素子の間であって、挿入口側に位置する、請求項10または11記載の金券識別装置。
  13. 前記第1識別部と前記第2識別部とをその範囲に含む、前記金券を搬送する搬送機構を更に有する、請求項1から12のいずれか記載の金券識別装置。
  14. 前記挿入口から挿入された金券を収容する保管部を、前記挿入方向側に更に有する、請求項1から13のいずれか記載の金券識別装置。
  15. 前記挿入検出部、前記第1識別部、前記第2識別部および前記搬送機構の少なくとも一つを制御する制御部を更に備え、
    前記制御部は、前記識別完了位置で、前記金券の搬送を一時停止させる、請求項1から14のいずれか記載の金券識別装置。
  16. 前記制御部は、前記識別完了位置で停止している前記金券を、前記第2識別部を用いて、前記金券の有無、正常状態および異常状態の少なくとも一つを判断する、請求項15記載の金券識別装置。
  17. 前記制御部は、前記識別完了位置で停止している前記金券が異常状態であると判断する場合には、前記金券を前記挿入口から吐出する、前記保管部への収容を停止する、前記金券の停止状態を維持する、および警告を発する、ことの少なくとも一つを行う、請求項16記載の金券識別装置。
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