以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る営業業務支援システムの機能構成の一例を示す図である。
本実施形態では、顧客に保守サービスを提供する事業者等が、営業業務支援システム1を利用する。事業者は、1つ以上の営業所を有する。それぞれの営業所は、1人以上の営業人員を有する。それぞれの顧客は、1つ以上の機器を保有している。それぞれの機器は、1つ以上の保守対象(例えば、修理、交換などの保守作業が必要な部品、燃料など)を含んでいる。事業者は、営業業務支援システム1により出力される、顧客に対する営業を行った場合に保守業務を受注できる確率(以下、「受注確率」)や、受注確率に基づく営業活動の優先度(以下、「営業優先度」)などを見ることができる。これにより、事業者は、保守業務の受注、売上等をより効率的に増加させることができる。
営業業務支援システム1は、データ記憶部10と、インターフェイス部30と、情報取得部31と、受注確率算出モデル構築部32と、受注確率算出部33と、作業工数算出部34と、営業リソース算出部35と、人員配置計画部36とを備える。
データ記憶部10は、営業業務支援システム1が実行する処理に使用される各種データベースを記憶する。データ記憶部10は、営業所マスタ11、営業人員マスタ12、顧客マスタ13、機器マスタ14、部品マスタ15、機器納入実績16、稼働実績17、受注実績18、販促実績19、受注確率算出モデル20、機器所在地21、地図22、販促計画23、受注確率24等のデータベースを記憶する。
営業所マスタ11は、事業者が有する営業所に関する情報を格納する。営業所マスタ11は、例えば図2(営業所マスタテーブルのデータ構造の一例を示す図)に示すような営業所マスタテーブル110を格納する。営業所マスタテーブル110は、営業所ごとに、営業所名111、住所112、電話番号113等を関連付けて格納する。
営業人員マスタ12は、営業所に所属する営業人員に関する情報を格納する、営業人員マスタ12は、例えば図3(営業人員マスタテーブルのデータ構造の一例を示す図)に示すような営業人員マスタテーブル120を格納する。営業人員マスタテーブル120は、営業人員ごとに、当該営業人員が所属する営業所名121、氏名122、当該営業人員の職制123等を関連付けて格納する。
顧客マスタ13は、事業者の顧客に関する情報(例えば、氏名、住所など)を格納する。機器マスタ14は、事業者が販売する機器に関する情報(例えば仕様、性能、価格、機器を構成する部品に関する情報など)を格納する。部品マスタ15は、機器を構成する部品に関する情報(例えば仕様、性能、価格など)を格納する。機器納入実績16は、事業者が顧客に対して納入した機器に関する情報(例えば、納入日付、機器の識別子、納入先の顧客の識別子など)を格納する。
稼働実績17は、顧客の有する機器に含まれる保守対象の稼働状態に関する情報を格納する。稼働実績17は、例えば図4(稼働実績テーブルのデータ構造の一例を示す図)に示すような稼働実績テーブル170を格納する。稼働実績テーブル170は、機器を有する顧客の顧客識別子171、当該機器の機器識別子172、当該機器に含まれる保守対象の保守対象識別子173、当該レコードの取得日付を示すデータ取得日174、当該保守対象の累積稼働時間175、当該保守対象の累積動作数176等を関連付けて格納する。本実施形態では、稼働実績テーブル170は、顧客、機器、保守対象、及びデータ取得日を区別して、レコードを格納する。累積動作数176は、保守対象の種類によって異なるものであり、例えば、保守対象がモータである場合には当該モータの回転数などである。もちろん、稼働状態は、稼働時間や回転数などに限らず、機器から取得できる様々なデータを含んでいてもよい。
受注実績18は、保守対象に対する保守業務の受注実績に関する情報を格納する。受注実績18は、例えば図5(受注実績テーブルのデータ構造の一例を示す図)に示すような受注実績テーブル180を格納する。受注実績テーブル180は、機器を有する顧客の顧客識別子181、当該機器の機器識別子182、当該機器に含まれる保守対象の保守対象識別子183、当該保守対象についての保守業務の受注日184等を関連付けて格納する。
販促実績19は、保守対象に対する保守業務を販売促進する営業活動の実績に関する情報を格納する。販促実績19は、例えば図6(販促実績テーブルのデータ構造の一例を示す図)に示すような販促実績テーブル190を格納する。販促実績テーブル190は、機器を有する顧客の顧客識別子191、当該機器の機器識別子192、当該機器に含まれる保守対象の保守対象識別子193、当該保守対象に対する保守業務を販売促進する営業活動の日付を示す販促実施日194、当該保守業務の定価の割引を提案したか否か(0:割引なし、1:割引あり)を示す割引フラグ195、当該営業活動に際して実際に顧客を訪問したか否か(0:訪問なし、1:訪問あり)を示す訪問フラグ196等を関連付けて格納する。
受注確率算出モデル20は、後述する受注確率算出モデル構築部32により構築される受注確率算出モデルを格納する。機器所在地21は、事業者が顧客に対して納入した機器の所在地に関する情報(例えば、機器の識別子、住所、地図上の座標情報など)を格納する。地図22は、地図情報を格納する。
販促計画23は、保守対象に対する保守業務を販売促進する営業活動の計画に関する情報を格納する。販促計画23は、例えば図7(販促計画テーブルのデータ構造の一例を示す図)に示すような販促計画テーブル230を格納する。販促計画テーブル230は、保守業務を販売促進する営業活動の開始日を示す販促開始日231、当該営業活動の終了日を示す販促終了日232、当該営業活動の対象の識別子(顧客の顧客識別子、当該顧客の有する機器の機器識別子、及び当該機器に含まれる保守対象の保守対象識別子)を示す販促対象233、当該営業活動に際して保守業務の定価の割引を提案するか否か(0:割引なし、1:割引あり)を示す割引フラグ234、当該営業活動に際して実際に顧客を訪問するか否か(0:訪問なし、1:訪問あり)を示す訪問フラグ235等を関連付けて格納する。
受注確率24は、後述する受注確率算出部33により算出される受注確率を格納する。
インターフェイス部30は、上述した各種データベースへの情報や、ユーザの操作の入力などを、入力装置96(図8)を介して又は通信装置94(図8)を介して受け付ける。また、インターフェイス部30は、情報や操作の入力を受け付ける操作画面や、営業優先度、受注確率、営業リソースなどの情報などを、表示装置95(図8)を介して又は通信装置94を介して出力する。
情報取得部31は、上述した各種データベースから、又は上述した各種データベースの一部若しくは全部が外部ストレージに格納されている場合には通信装置94(図8)を介して当該外部ストレージから、受注確率算出モデル構築部32、受注確率算出部33、作業工数算出部34、営業リソース算出部35、又は人員配置計画部36が使用するデータを取得し、出力する。
受注確率算出モデル構築部32は、情報取得部31から出力される情報に基づいて、各顧客の有する機器に含まれる保守対象ごとに、受注確率算出モデルを構築する。
受注確率算出部33は、受注確率算出モデル構築部32により構築された受注確率算出モデルと、情報取得部31から出力される情報とに基づいて、各顧客の有する機器に含まれる保守対象ごとに、受注確率を算出する。
作業工数算出部34は、算出された受注確率と、情報取得部31から出力される情報とに基づいて、営業所ごとに、保守業務を受注するための営業活動に掛かる作業工数を算出する。
営業リソース算出部35は、算出された作業工数と、情報取得部31から出力される情報とに基づいて、営業所ごとに、営業所の営業リソースや、作業工数に対する営業リソースの過不足や、他営業所へ割当可能な営業リソースなどを算出する。
人員配置計画部36は、算出された作業工数と、算出された営業リソースに関する情報と、情報取得部31から出力される情報に基づいて、営業所ごとに、保守業務に関する営業の売上を最大化する人員配置計画を生成する。
図8は、営業業務支援システムを実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ9は、例えば、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)91、RAM(Random Access Memory)92、補助記憶装置93、通信装置94、表示装置95、入力装置96、メディア読取装置97等を備える。
CPU90は、各種演算処理を実行するユニットである。CPU90は、例えば、補助記憶装置93に格納された所定のプログラムをRAM92に読み出して実行することにより各種処理を実行する。上記の所定のプログラムは、例えば、通信ネットワーク上のコンピュータにダウンロード可能な状態で格納したり、DVD(Digital Versatile Disk)などの持ち運び可能な記憶媒体に格納したりすることで流通させることができる。また、上記の所定のプログラムは、例えば、通信装置94又はメディア読取装置97を介して、コンピュータ9にインストールすることができる。
ROM91は、コンピュータ9の起動プログラム等を格納する記憶装置である。RAM92は、CPU90により実行されるプログラムや、プログラムの実行に使われるデータ等を格納する記憶装置である。補助記憶装置93は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュROM等を用いたSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。通信装置94は、外部のコンピュータやデバイスと通信を行う装置である。表示装置95は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等の装置である。入力装置96は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクロフォンなどの装置である。メディア読取装置97は、例えば、DVD等の可搬性を有する記録媒体に対して情報を読み書きする装置である。
コンピュータ9が営業業務支援システム1として機能する場合、データ記憶部10は、例えば、RAM92又は補助記憶装置93により実現できる。データ記憶部10の一部又は全部は、例えば、通信装置94を介して接続される通信ネットワーク上のストレージ等により実現してもよい。各機能部(インターフェイス部30、情報取得部31、受注確率算出モデル構築部32、受注確率算出部33、作業工数算出部34、営業リソース算出部35、人員配置計画部36)は、例えば、CPU90と、RAM92及び補助記憶装置93の少なくとも一方とにより実現される。すなわち、各機能部の処理は、例えば、CPU90が、補助記憶装置93に記憶されている所定のプログラムをRAM92にロードして実行することで実現できる。なお、営業業務支援システム1は、複数のコンピュータが連携することで実現されてもよい。
図9は、受注確率算出モデルの構築処理の一例を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートの処理は、例えば、ユーザが指示したタイミングで実行されてもよいし、所定のタイミング(例えば周期的に、又はスケジュールに従って)実行されてもよい。
なお、図9に示すフローチャートの開始前に、少なくとも、営業所マスタ11、営業人員マスタ12、顧客マスタ13、機器マスタ14、部品マスタ15、機器納入実績16、稼働実績17、受注実績18、販促実績19、機器所在地21、地図22、販促計画23には、データが予め格納されている。
まず、インターフェイス部30は、受注確率算出モデルの構築に使用するデータの入力を受け付ける(ステップS10)。
具体的には、インターフェイス部30は、例えば図10(受注確率算出モデルの構築に関する操作画面の一例を示す図)に示すような操作画面500を、表示装置95に出力する。操作画面500は、受注確率算出モデルを構築する対象の顧客の顧客識別子を入力する欄510、当該顧客が有する機器の機器識別子を入力する欄520、当該機器に含まれる保守対象の保守対象識別子を入力する欄530、当該保守対象についての受注確率算出モデルの構築に用いる過去のデータ期間を入力する欄540、受注確率算出モデルの構築(モデリング)を実行するための実行ボタン550等を含んでいる。もちろん、操作画面500は、顧客識別子、機器識別子、保守対象識別子、及びデータ期間のテーブルを含むファイルの入力を受け付けるようにしてもよい。
インターフェイス部30は、例えば入力装置96により、操作画面500を介して、受注確率算出モデルを構築する対象である保守対象を特定する情報(顧客識別子、機器識別子、及び保守対象識別子の組み合わせ)と、その構築に用いる過去のデータ期間とを受け付ける。
図9の説明に戻る。次に、情報取得部31は、稼働実績、受注実績、及び販促実績に対して前処理を実施する(ステップS20)。具体的に、図11(前処理の一例を示すフローチャート)を参照して説明する。
情報取得部31は、ステップS10で入力された条件(顧客識別子、機器識別子、保守対象識別子、データ期間)を満たす稼働実績レコードを、稼働実績テーブル170から取得する(ステップS21)。例えば、顧客識別子「C001」、機器識別子「M001」、保守対象識別子「P001」、及びデータ期間「2011/01/01〜2014/03/31」が入力された場合、これらの条件に合うレコードが取得される。なお、情報取得部31は、データ取得日174が入力データ期間内であるレコードを取得する。
また、情報取得部31は、ステップS10で入力された条件(顧客識別子、機器識別子、保守対象識別子、データ期間)を満たす受注実績レコードを、受注実績テーブル180から取得する(ステップS22)。例えば、顧客識別子「C001」、機器識別子「M001」、保守対象識別子「P001」、及びデータ期間「2011/01/01〜2014/03/31」が入力された場合、これらの条件に合うレコードが取得される。なお、情報取得部31は、受注日184が入力データ期間内であるレコードを取得する。
また、情報取得部31は、ステップS10で入力された条件(顧客識別子、機器識別子、保守対象識別子、データ期間)を満たす販促実績レコードを、販促実績テーブル190から取得する(ステップS23)。例えば、顧客識別子「C001」、機器識別子「M001」、保守対象識別子「P001」、及びデータ期間「2011/01/01〜2014/03/31」が入力された場合、これらの条件に合うレコードが取得される。なお、情報取得部31は、販促実施日194が入力データ期間内であるレコードを取得する。
それから、情報取得部31は、ステップS21〜S23で取得した稼働実績レコード、受注実績レコード、及び販促実績レコードを、顧客識別子、機器識別子、保守対象識別子、及び日付をキーにして結合(外部結合)する(ステップS24)。具体的には、情報取得部31は、図12(結合テーブルのデータ構造の一例を示す図)に示すような結合テーブル400を生成する。なお、データ取得日174、受注日184、及び販促実施日194を日付として扱う。
結合テーブル400は、顧客識別子401、機器識別子402、保守対象識別子403、日付404、累積稼働時間405、累積動作数406、受注フラグ407、割引フラグ408、訪問フラグ409を関連付けて格納している。日付404は、データ取得日174に相当する。累積稼働時間405及び累積動作数406は、累積稼働時間175及び累積動作数176に相当する。受注フラグ407は、日付404における受注実績の有無(0:受注なし、1:受注あり)が設定される。割引フラグ408は、日付404における販促実績における割引提案の有無(0:割引なし、1:割引あり)が設定される。訪問フラグ409は、日付404における販促実績における顧客訪問の有無(0:訪問なし、1:訪問あり)が設定される。
図11の説明に戻る。それから、情報取得部31は、ステップS24で生成した結合テーブル400の各レコードに他社フラグを付加する(ステップS25)。情報取得部31は、図13(結合テーブルのデータ構造の一例を示す図)に示すように、各レコードに他社フラグ410を付加する。他社フラグ410は、保守業務が他社に受注されたと推定されるか否かを示す(0:他社未受注、1:他社受注)。他社フラグにより、自社への受注実績か、他社への受注実績かを区別することができる。他社受注の推定方法は特に限定されないが、例えば、情報取得部31は、同一保守対象について、結合テーブル400に格納されているレコードを参照し、受注フラグ407が「1」となってから所定期間を超えて受注フラグ407が「0」である場合に、当該所定期間直後のレコードの他社フラグ410を「1」に設定する。なお、当該所定期間経過後に受注フラグ407が「1」のレコードが表れるまで、他社フラグ410を「1」に設定すればよい。情報取得部31は、このように生成した結合テーブル400を受注確率算出モデル構築部32に出力する。
図9の説明に戻る。次に、受注確率算出モデル構築部32は、受注確率算出モデルを構築する(ステップS30)。具体的には、受注確率算出モデル構築部32は、ステップS20で出力された結合テーブル400(稼働実績と、自社及び他社の受注実績と、販促実績とが含まれる)に基づいて、保守対象ごとの受注確率算出モデルを構築する。下記に、受注確率算出モデルの構築方法の一例について説明する。
図14は、保守業務の受注までのプロセスを表すネステッドロジットモデルの一例を示す図である。本実施形態では、受注確率算出モデルを、保守業務の受注までのプロセスを表したネステッドモデルに基づいて定義する。図14では、第一階層を、顧客による保守依頼の意思決定(有り又は無し)とし、第二階層を、顧客による保守業務の購買先(依頼先)の意思決定(自社又は他社)としている。
ここで、p1,t,iは、時刻tにおいて保守対象iについて保守依頼が行われる確率である。また、p2,t,iは、時刻tにおいて保守対象iについて保守依頼が自社に対して行われる確率である。最終的に自社に対して保守依頼が行われる確率は、p1,t,iとp2,t,iの積により求めることができる。
p1,t,iとp2,t,iは、結合テーブル400(図13)のデータを用いて算出される。下記の数式(1)は、p1,t,iとp2,t,iを効用関数の確定項V1,t,iとV2,t,iで算出する例を表わしている。
ここで、V1,t,iは、時刻tにおいて保守対象iについて保守依頼が行われることで得られる効用である。また、V2,t,iは、時刻tにおいて保守対象iについて保守依頼が自社に対して行われることで得られる効用である。y1,t,iは、時刻tにおいて保守対象iについて、保守依頼が行われる場合に「1」が設定され、保守依頼が行われない場合に「0」が設定される。
下記の数式(2)は、V1,t,iを、稼働実績データZ1 t,i及びZ2 t,iとその係数パラメータβ1 t,i及びβ2 t,i、V2,t,iとの関数とその係数パラメータβ3 t,iの線形結合で表し、V2,t,iを、販促実績データZ3 t,i及びZ4 t,iとその係数パラメータγ1 t,i及びγ2 t,iの線形結合で表わした例である。Z1 t,i及びZ2 t,iはそれぞれ、累積稼働時間及び累積動作数に対応し、Z3 t,i及びZ4 t,iはそれぞれ、割引フラグ及び訪問フラグに対応する。
上記の受注確率算出モデルの構築は、自社及び他社の受注実績と、稼働実績と、販促実績とを入力として上記のネステッドロジットモデルを状態空間モデルで表現し、粒子フィルタとNelder-Mead法といった手法を用いて係数パラメータの値を推定することにより行われる。この他にも一般的な機械学習手法を用いて、結合テーブル400(図13)から受注確率算出モデルを構築することもできる。
最後に、受注確率算出モデル構築部32は、ステップS30で構築した受注確率算出モデルを、データ記憶部10(受注確率算出モデル20)に格納する(ステップS40)。
以上のようにして、顧客の保有する機器に含まれる保守対象ごとに、受注確率算出モデルが構築される。この受注確率算出モデルは、予測対象期間における推定稼働実績及び販促計画を入力することで、予測対象期間における当該保守対象に対する保守業務の受注確率を算出することができる。
なお、図9では、ステップS10で指定された1つの保守対象について受注確率算出モデルを構築しているが、例えば、ステップS10で複数の保守対象の指定を受け付けてそれぞれの保守対象について受注確率算出モデルを構築してもよい。もちろん、図9のフローチャートを、異なる保守対象についてそれぞれ実行して受注確率算出モデルを構築してもよい。
また、受注確率算出モデル構築部32は、構築した受注確率算出モデルに対して、未来の予測対象期間における推定稼働実績及び販促計画の替わりに、実績値が存在する評価期間における稼働実績及び販促実績を入力し、当該評価期間における保守業務の受注確率を算出し、当該算出した受注確率と、実際の受注実績とに基づいて、受注確率算出モデルの評価(受注確率の精度の評価)を行ってもよい。評価が所定条件を満たさない場合には、受注確率算出モデル構築部32は、係数パラメータの調整を行う。
図15は、受注確率の算出処理の一例を示すフローチャートである。図15に示すフローチャートの処理は、例えば、ユーザが指示したタイミングで実行されてもよいし、所定のタイミング(例えば周期的に、又はスケジュールに従って)実行されてもよい。なお、上述の図9の処理により、データ記憶部10には、各顧客の保有する各機器に含まれる各保守対象の受注確率算出モデルが格納されている。
まず、情報取得部31は、受注確率の算出に使用するデータを取得する(ステップS110)。具体的には、情報取得部31は、稼働実績テーブル170から稼働実績を取得する。また、情報取得部31は、販促計画テーブル230から販促計画を取得する。また、情報取得部31は、各保守対象についての受注確率の予測対象期間を取得する。予測対象期間は、予め定められていてもよいし、インターフェイス部30が操作画面を介してユーザから受け付けるようにしてもよい。また、情報取得部31は、受注確率算出モデル20から、各保守対象についての受注確率算出モデルを取得する。そして、情報取得部31は、取得した情報を、受注確率算出部33に出力する。
次に、受注確率算出部33は、予測対象期間のパラメータを推定する(ステップS120)。具体的には、受注確率算出部33は、ステップS110で情報取得部31から出力された各保守対象の受注確率算出モデルについて、予測対象期間内の各予測日における各係数パラメータの推定パラメータ値を算出する。各推定パラメータ値の算出方法は、特に限定されないが、例えば、任意の値を設定してもよいし、また例えば、過去のパラメータ値の実績に基づいて指数平滑法により各予測日の推定パラメータ値を算出してもよい。受注確率算出部33は、図16(推定パラメータテーブルのデータ構造の一例を示す図)に示すような推定パラメータテーブル420を生成する。
推定パラメータテーブル420は、顧客識別子421、機器識別子422、保守対象識別子423、予測日424、各係数パラメータ(β1 t,i、β2 t,i、β3 t,i、γ1 t,i、γ2 t,i)の推定パラメータ値425〜429を関連付けて格納している。本実施形態では、推定パラメータテーブル420は、顧客、機器、保守対象、及び予測日を区別して、レコードを格納する。
図15の説明に戻る。次に、受注確率算出部33は、予測対象期間の稼働実績を推定する(ステップS130)。具体的には、受注確率算出部33は、ステップS110で情報取得部31から出力された各保守対象の稼働実績に基づいて、各保守対象について予測対象期間内の各予測日における推定稼働実績を算出する。本実施形態では、累積稼働時間175及び累積動作数176(図4)に基づいて、推定累積稼働時間及び推定累積動作数を算出する。推定累積稼働時間及び推定累積動作数の算出方法は、特に限定されないが、例えば、過去の累積稼働時間及び累積動作数に基づいて、指数平滑法により、各予測日の推定累積稼働時間及び推定累積動作数を算出すればよい。
次に、受注確率算出部33は、予測対象期間の販促計画を取得し、推定稼働実績と結合する(ステップS140)。具体的には、受注確率算出部33は、ステップS110で情報取得部31から出力された販促計画から、予測対象期間内の各予測日における販促計画のレコードを取得する。また、受注確率算出部33は、ステップS130で算出した予測対象期間内の各予測日における各保守対象の推定稼働実績のレコードと、各予測日における各保守対象の販促計画のレコードとを、顧客識別子、機器識別子、保守対象識別子、及び日付をキーにして結合する。なお、販促計画では、顧客識別子、機器識別子、及び保守対象識別子は、販促対象233に含まれている。受注確率算出部33は、図17(結合テーブルのデータ構造の一例を示す図)に示すような結合テーブル430を生成する。なお、推定稼働実績の予測日、及び販促計画の販促開始日231から販促終了日232に属する各日付を、日付として扱う。
結合テーブル430は、顧客識別子431、機器識別子432、保守対象識別子433、日付434、推定累積稼働時間435、推定累積動作数436、割引フラグ437、訪問フラグ438を関連付けて格納している。日付434は、予測日に相当する。割引フラグ437は、日付434における販促計画における割引提案の有無(0:割引なし、1:割引あり)が設定される。訪問フラグ438は、日付434における販促計画における顧客訪問の有無(0:訪問なし、1:訪問あり)が設定される。
図15の説明に戻る。次に、受注確率算出部33は、受注確率を算出する(ステップS150)。具体的には、受注確率算出部33は、顧客の保有する機器に含まれる保守対象それぞれについて、ステップS110で情報取得部31から出力された当該保守対象の受注確率算出モデルに、ステップS120で推定した当該保守対象のパラメータ値と、ステップS140で生成した結合テーブルのうち当該保守対象に関するデータ(推定累積稼働時間、推定累積動作数、割引フラグ、訪問フラグ)とを入力し、予測対象期間の各予測日における受注確率を算出する。本実施形態では、受注確率算出部33は、各保守対象の受注確率として、上述のp1とp2に加え、p1とp2の積を算出する。
次に、受注確率算出部33は、ステップS150で算出した各保守対象の各予測日における受注確率を、データ記憶部10(受注確率24)に格納する(ステップS160)。
最後に、インターフェイス部30は、営業優先度を表示する(ステップS170)。
具体的には、インターフェイス部30は、例えば図18(指定日の営業優先度及び受注確率を表示する操作画面の一例を示す図)に示すような操作画面600を、表示装置95に出力する。操作画面600は、欄610、欄620、及び欄630を含んでいる。
欄610は、予測対象期間のうち特定の予測日(指定日)を指定する欄である。図18の例では、予測対象期間を示すスライドバー上に、指定日を指定するスライダーが移動可能に表示されている。インターフェイス部30は、入力装置96により、欄610を介して、指定日を受け付ける。
欄620は、各顧客の位置及び各顧客の営業優先度を、地図上に表示する欄である。インターフェイス部30は、地図22に基づいて地図画像を、欄620に表示する。また、インターフェイス部30は、顧客マスタ13に基づいて各顧客の位置画像を、地図画像に重ねて、欄620に表示する。また、インターフェイス部30は、後述するように顧客ごとに算出した指定日における営業優先度を示す情報を、顧客の位置画像に関連付けて、地図画像に重ねて、欄620に表示する。ここで、インターフェイス部30は、欄610で指定された指定日における各顧客の営業優先度を、欄620に表示する。なお、インターフェイス部30は、ユーザの操作等に応じて、地図をスクロールしたり、拡大又は縮小したりしてもよい。
欄630は、指定日における、各顧客の営業優先度、各顧客の有する機器に含まれる保守対象ごとの受注確率等を表示する欄である。図18の例では、インターフェイス部30は、欄630に、顧客ごとに、当該顧客の顧客識別子、当該顧客の指定日における営業優先度、当該顧客への最終訪問日、当該顧客が有する機器の機器識別子、当該機器に含まれる保守対象の保守対象識別子、当該保守対象に対する保守作業の費用、当該保守対象の指定日における受注確率((1)p1、(2)p2、(3)p1とp2の積)、等を関連付けて表示している。もちろん、欄630は、上述した全項目を含んでいる必要はない。また、各顧客のデータを、指定された項目について昇順又は項順に並べて表示するようにしてもよい。
インターフェイス部30は、ステップS160でデータ記憶部10に格納された受注確率から、各顧客の有する機器に含まれる保守対象それぞれの指定日における受注確率を取得する。
また、インターフェイス部30は、各顧客の有する機器に含まれる保守対象それぞれの、指定日における受注確率(例えば、p1とp2の積)に基づいて、顧客ごとに受注確率の最大値を特定し、特定した受注確率が大きい順に営業優先度が高くなるように、営業優先度を決定する。もちろん、顧客単位の営業優先度の決定方法は、特に限定されず、例えば、顧客ごとの受注確率の最大値の替わりに、平均値、中央値等を特定するようにしてもよい。また、保守対象の受注確率だけでなく、当該保守対象に対する保守作業の費用をも考慮して、顧客単位の営業優先度を決定するようにしてもよい(例えば、顧客ごとに、受注確率の最大値と、当該最大の受注確率に対応する保守対象の保守費用とを特定し、当該最大値と当該保守費用に基づいて所定の規則に従って指標を算出し、各顧客について算出した指標が大きい順に営業優先度が高くなるように、営業優先度を決定する)。
また、インターフェイス部30は、例えば、各顧客について販促実績テーブル190を参照し、販促実施日194及び訪問フラグ196に基づいて、最終訪問日を求める。また、インターフェイス部30は、例えば、予め定められた各保守対象についての保守費用の計算式やテーブルに基づいて、保守費用を求める。
インターフェイス部30は、図18に示した操作画面600に限らず、例えば図19(時系列に受注確率を表示する操作画面の一例を示す図)に示すような操作画面700を、表示装置95に出力してもよい。操作画面700は、欄710、欄720、欄730、及び欄740を含んでいる。欄710は、欄610(図18)と同様である。
欄720は、各顧客の有する機器の位置及び各機器の営業優先度を、地図上に表示する欄である。インターフェイス部30は、地図22に基づいて地図画像を、欄720に表示する。また、インターフェイス部30は、機器所在地21に基づいて各顧客の有する各機器の位置画像を、地図画像に重ねて、欄720に表示する。また、インターフェイス部30は、後述するように機器ごとに算出した指定日における営業優先度を示す情報を、機器の位置画像に関連付けて、地図画像に重ねて、欄720に表示する。ここで、インターフェイス部30は、欄710で指定された指定日における各機器の営業優先度を、欄720に表示する。また、インターフェイス部30は、入力装置96により、欄720を介して、機器の指定を受け付ける。なお、インターフェイス部30は、ユーザの操作等に応じて、地図をスクロールしたり、拡大又は縮小したりしてもよい。
インターフェイス部30は、各顧客の有する機器に含まれる保守対象それぞれの、指定日における受注確率(例えば、p1とp2の積)に基づいて、機器ごとに受注確率の最大値を特定し、特定した受注確率が大きい順に営業優先度が高くなるように、営業優先度を決定する。もちろん、機器単位の営業優先度の決定方法は、特に限定されず、例えば、機器ごとの受注確率の最大値の替わりに、平均値、中央値等を特定するようにしてもよい。また、保守対象の受注確率だけでなく、当該保守対象に対する保守作業の費用をも考慮して、機器単位の営業優先度を決定するようにしてもよい(例えば、機器ごとに、受注確率の最大値と、当該最大の受注確率に対応する保守対象の保守費用とを特定し、当該最大値と当該保守費用に基づいて所定の規則に従って指標を算出し、各機器について算出した指標が大きい順に営業優先度が高くなるように、営業優先度を決定する)。
欄730は、欄720で指定された機器に含まれる保守対象の受注確率の遷移を時系列で表す欄である。インターフェイス部30は、欄720で指定された機器に含まれる保守対象を特定し、保守対象ごとに、予測対象期間内の受注確率((1)p1、(2)p2、(3)p1とp2の積)を取得する。図19の例では、インターフェイス部30は、各保守対象に関する情報を、スクロールにより切り替え可能に、欄730に表示する。また、インターフェイス部30は、欄730に、保守対象の保守対象識別子、当該保守対象に対する保守作業の費用、当該保守対象の予測対象期間内の受注確率((1)p1、(3)p1とp2の積)を時系列で表したグラフ等を表示している。もちろん、欄730は、上述した全項目を含んでいる必要はない。また、受注確率は、(1)p1、(2)p2、(3)p1とp2の積の少なくとも一以上を表示するようにしてもよい。
欄740は、予測対象期間内の受注確率の算出に用いた販促計画を更新することにより受注確率を再計算する処理(「販促シミュレーション」ともいう)の指示を受け付ける欄である。欄740は、販促対象(顧客識別子、機器識別子、及び保守対象識別子)を入力する欄、販促内容(割引の有無、訪問の有無)を入力する欄、販促期間(販促開始日、販促終了日)を入力する欄、販促シミュレーションを実行するための実行ボタン等を含んでいる。欄740は、販促対象、販促内容、及び販促期間を含むテーブルを含むファイルの入力を受け付けるようにしてもよい。実行ボタンに対する選択操作が行われると、インターフェイス部30は、欄740に入力された販促対象、販促内容、及び販促期間を取得して、受注確率算出部33に出力する。
受注確率算出部33は、インターフェイス部30から出力された販促対象、販促内容、及び販促期間に基づいて、ステップS140で結合された予測対象期間内の販促計画を更新した更新販促計画を生成する。例えば、受注確率算出部33は、予測対象期間内の販促計画に含まれるレコードのうち、入力された販促対象に該当する販促対象233と、入力された販促期間に含まれる期間(販促開始日231から販促終了日232まで)とを含むレコードを特定し、当該特定したレコードの割引フラグ437及び訪問フラグ438を入力された販促内容で更新する。もちろん、入力された販促計画の内容に応じて、レコードを追加したり削除したりしてもよい。そして、受注確率算出部33は、更新した販促計画を用いて、ステップS140〜S160の処理を実行する。インターフェイス部30は、更新された受注確率に基づいて、図18、図19に示すような操作画面を表示する。
図20は、営業リソースの算出処理の一例を示すフローチャートである。図20に示すフローチャートの処理は、例えば、ユーザが指示したタイミングで実行されてもよいし、所定のタイミング(例えば周期的に、又はスケジュールに従って)実行されてもよい。なお、上述の図15の処理により、データ記憶部10には、各保守対象の受注確率が格納されている。
ここでは、営業所ごとに、担当する地理的エリアが予め定められており、担当する顧客に関する情報を特定可能であるものとする。
まず、情報取得部31は、営業リソースの算出に使用するデータを取得する(ステップS210)。具体的には、情報取得部31は、データ記憶部10から、営業所マスタ11、及び営業人員マスタ12を取得する。また、情報取得部31は、営業リソースの予測対象期間を取得する。予測対象期間は、予め定められていてもよいし、インターフェイス部30が操作画面を介してユーザから受け付けるようにしてもよい。また、情報取得部31は、受注確率24から、各保守対象についての受注確率を取得する。
次に、作業工数算出部34は、予測対象期間の各営業所における作業工数を算出する(ステップS220)。具体的には、作業工数算出部34は、ステップS210で取得された各保守対象の受注確率のうち、予測対象期間内の受注確率から、営業所ごとに、当該営業所が担当する顧客の有する機器に含まれる保守対象の受注確率を抽出する。また、作業工数算出部34は、各営業所について、予測対象期間内の日別に、受注確率が所定の閾値(例えば、70%)を超える保守対象の件数(推定受注件数ともいう)を算出し、この推定受注件数に所定の1件当たりの工数を掛けることで、日別の作業工数(推定作業工数ともいう)を算出する。もちろん、作業工数を算出する単位は、日別に限らず、予測対象期間内で、週、月など、任意の単位とすることができる。また、受注確率に基づいて作業工数を算出する方法は、上述した方法に限定されない。例えば、1件当たりの工数は、保守対象の種類に応じて異なっていてもよい。
次に、営業リソース算出部35は、予測対象期間の各営業所における営業リソースを算出する(ステップS230)。具体的には、営業リソース算出部35は、ステップS210で取得された営業所マスタ11、及び営業人員マスタ12に基づいて、営業所ごとに、当該営業所に所属する営業人員の人数を算出し、所定の係数を掛けることで、営業所別の営業リソースを算出する。ここでは、単純に、営業人員の人数に基づいて予測対象期間内の営業リソースを算出しているが、この方法に限定されない。例えば、時系列で営業人員の人数を取得できる場合は、日別に営業リソースを算出してもよい。また、例えば、営業人員の営業スキル等の評価値を取得できる場合は、評価値に応じた係数を掛けることで、営業リソースを算出してもよい。
また、営業リソース算出部35は、営業所ごとに、他営業所へ割当可能な営業リソースを算出する。例えば、営業リソース算出部35は、各営業所について、予測対象期間内の日別に、受注確率が所定の閾値(例えば、50%)以下である保守対象があるか否かを判定し、受注確率が所定の閾値以下の保守対象の件数に所定の係数を掛けることで、他営業所へ割当可能な営業リソースを算出する。もちろん、他営業所へ割当可能な営業リソースの算出方法は、限定されない。例えば、単純には、営業所ごとに、作業工数と営業リソースの差分を、他営業所へ割当可能な営業リソースとして算出してもよい。また、例えば、営業人員ごとに担当の保守対象が予め決められている場合には、指定された営業人員が担当する保守対象の受注確率が所定の閾値以下である場合に、その件数に所定の係数を掛けることで、他営業所へ割当可能な営業リソースを算出してもよい。
また、営業リソース算出部35は、各営業所について、予測対象期間内の日別に、ステップS220で算出された作業工数と、算出された営業リソースとの差分(営業リソースの過不足)を求める。
次に、インターフェイス部30は、作業工数と営業リソースを表示する(ステップS240)。具体的には、インターフェイス部30は、例えば図21(営業リソースの過不足を表示する操作画面の一例を示す図)に示すような操作画面800を、表示装置95に出力する。操作画面800は、各営業所に関する情報を、スクロール可能に表示する。図21の例では、営業所Aに関する営業リソース情報810と、営業所Bに関する営業リソース情報820が表示されている。
インターフェイス部30は、ステップS220で算出された予測対象期間内の作業工数に基づいて、作業工数を示す画像830を時系列に表示する。また、インターフェイス部30は、ステップS230で算出された予測対象期間内の営業リソースに基づいて、営業リソースを示す画像840を時系列に表示する。また、インターフェイス部30は、ステップS230で算出された予測対象期間内の他営業所へ割当可能な営業リソースを示す画像850を時系列に表示する。
図20の説明に戻る。最後に、人員配置計画部36は、営業人員の最適配置計画を算出する(ステップS250)。具体的には、人員配置計画部36は、予測対象期間内で、ステップS230で営業所毎に算出された営業リソースの過不足と、ステップS230で営業所毎に算出された他営業所へ割当可能な営業リソースとに基づいて、営業所全体の売上を最大化する営業人員の配置計画を算出する。ここでは、「売上を最大化する人員配置計画を行う」ことは、予測された作業工数(受注確率が高い保守作業に基づいて算出されている)に対して、営業リソースを不足させずに受注をより確実に取れるような人員配置を行うことである。なお、売上を最大化する人員の配置計画の算出には、一般的な最適化手法や人員配置計画手法を用いることができるため、詳細な説明を省略する。
以上、本発明の実施形態について説明した。本実施形態によれば、保守業務の受注、売上等をより効率的に増加させるための支援を行うことができる。
例えば、本実施形態は、保守対象の稼働実績、保守業務の受注実績、及び保守業務の販促実績に基づいて、受注確率を推定するモデルを生成する。このモデルは、保守対象の推定稼働実績及び販促計画を入力として、受注確率を推定する。これにより、顧客に対して販売促進などの営業活動を行った場合に保守業務を受注できる確率を提示することができる。事業者は、この受注確率を考慮することで、保守業務の受注、売上等をより効率的に増加させる営業活動を検討することができる。すなわち、営業業務支援システムは、事業者の営業業務を支援することができる。
また、例えば、本実施形態は、受注確率に基づいて営業優先度を算出する。また、例えば、本実施形態は、営業優先度を顧客別に又は機器別に出力する。また、例えば、本実施形態は、指定された時期についての営業優先度を出力する。また、例えば、本実施形態は、指定された機器に含まれる保守対象についての受注確率の時系列変化を出力する。これにより、事業者は、保守業務の受注、売上等をより効率的に増加させる営業活動を、より具体的に検討することができる。
また、例えば、本実施形態は、受注確率や営業優先度を表示した後、販促計画の更新を受け付け、受注確率や営業優先度を再度算出して、表示を更新する。これにより、事業者は、販促計画を見直しながら、より効率的な営業活動を、より具体的に検討することができる。
また、例えば、本実施形態は、受注確率に基づいて、営業所ごとに、作業工数、営業リソース、他営業所へ割当可能な営業リソース等を表示する。これにより、営業リソースの割当を見直しながら、より効率的な営業活動を、より具体的に検討することができる。また、例えば、本実施形態は、営業リソースの過不足と、他営業所へ割当可能な営業リソースとに基づいて、営業所全体の売上を最大化する営業人員の配置計画を算出する。これにより、受注確率に基づいて最適な営業人員の配置計画を提示することができる。
なお、上記の図1に示す営業業務支援システム1の構成は、それらの構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。営業業務支援システム1の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
また、データ記憶部10に格納される各種データベースの構成は、図2等で示したものに限られない。また、各種操作画面の構成は、図10等で示したものに限られない。ある操作画面の構成要素は、他の操作画面に含まれるようにしてもよい。
また、上記の図8等に示すフローチャートの各処理単位は、営業業務支援システム1の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。営業業務支援システム1の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、本発明の目的を達成することができれば、各処理単位の順序も図示したものに限られない。
また、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した各実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明が、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に、他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現されてもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
本発明は、保守業務に限らず、営業活動を必要とする様々な業務分野に適用することができる。