JP6265333B2 - 鋳型の製造方法、および、鋳型 - Google Patents

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この発明は、鋳型の製造方法、および、鋳型に関する。
金属、合金等の鋳造を行う鋳型にあっては、鋳物を取り出すときに鋳型の強度が高すぎて鋳型を割ることが困難になる場合がある。このような鋳型から鋳物を取り出す際には、ハンマーによる打撃、サンドブラスト、又は、スチールショット等により鋳型を破壊すこととなる。そのため、鋳物に対して鋳型破壊による衝撃のダメージが加わり欠陥が生じる可能性がある。そこで、鋳物を鋳型から容易に取り出せるように、水により容易に崩壊除去可能な水崩壊性鋳型が提案されている。
特許文献1には、高強度で作業性に優れた水崩壊性鋳型を成形するために、水崩壊性成分であるMgO、CaOを熱処理により生成するマグネシウム又はカルシウムの水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩等の物質を耐火性粉末に対して配合してなる原料を、金型成形、冷間等方圧成形、又は、鋳込み成形する技術が提案されている。
特開平3−023030号公報
しかしながら、上述した水崩壊性鋳型は、耐火性粉末に水崩壊性成分であるMgO、CaOが配合されているため、水崩壊性成分であるMgO、CaOに対して均一に水分が供給されず、部分的に水和が進み、鋳型の崩壊が円滑に進まない可能性がある。また、鋳型全体に水分を供給したとしても、耐火材に水崩壊性成分を混合しているため、水崩壊性成分が水和膨張したとしても十分な膨張が得られず、鋳型から鋳物を取り出すことが困難になる可能性がある。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、鋳型を円滑に自己崩壊させて、欠陥を生じさせることなく鋳物を容易に取り出すことが可能な鋳型の製造方法、および、鋳型を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために以下の構成を採用する。
この発明の第一態様によれば、鋳型の製造方法は、水に分散されることでスラリー化する水酸化物を前記水に30重量%以上分散させて水性スラリーを生成するスラリー生成工程と、ワックス型の表面に前記水性スラリーを付着させてスラリー層を形成するスラリー層形成工程と、前記スラリー層の表面に前記水酸化物よりも粒子径の大きい耐火材であるムライト又はアルミナの粒子を付着させてスタッコ層を形成するスタッコ層形成工程と、前記スラリー層、および、前記スタッコ層を乾燥させる乾燥工程と、を含み、前記スラリー層形成工程と、前記スタッコ層形成工程と、前記乾燥工程との一連の工程を複数回繰り返して鋳型を形成する。
このように構成することで、耐火物よりも粒子径の小さい酸化物からなる緻密な酸化物層を形成することができる。そのため、鋳型の強度を高めることができる。さらに、緻密な酸化物層を形成できるため、鋳型から鋳物を取り出す際には、酸化物に対して均一に水分を供給することができる。そのため、水和反応により、酸化物を相対的に強度の低い水酸化物に均一に戻すことができる。酸化物層が部分的に水和されることを抑制できるため、酸化物層を局所的ではなく全体的に水和膨張させることができる。また、酸化物層が緻密に形成されていることで、水和膨張の際に逃げ場がなくなり、鋳型を円滑且つ確実に自己崩壊させることができる。
さらに、緻密な酸化物層と、酸化物層よりも粗いスタッコ層とを交互に積層させた鋳型を製造することができる。これにより、緻密な酸化物層の間にスタッコ層により粗い層が形成されるとともに、スタッコ層が吸水性を有するため、鋳型の厚さ方向でより均一に水分を供給することができる。その結果、厚さ方向でも鋳型を均一に水和膨張させて、鋳型をより確実に自己崩壊させることができる。
この発明の第態様によれば、鋳型の製造方法は、第一態様の鋳型の製造方法における前記水酸化物が、少なくとも水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および、水酸化ランタンの何れか一つであってもよい。
このように構成することで、水性スラリーを乾燥させると、酸化物である少なくとも酸化カルシウム、酸化マグネシウム、および、酸化ランタンの何れか一つからなる緻密な層を形成することができる。
この発明の第態様によれば、鋳型は、水に分散されることでスラリー化する水酸化物を30重量%以上含む水性スラリーを乾燥させてなる酸化物層と、前記水酸化物の粒子径よりも大きい耐火材であるムライト又はアルミナの粒子を前記水性スラリーに積層して形成されるスタッコ層と、備える。
このように構成することで、酸化物層に対して均一に水を供給することができる。また、酸化物層に対して均一に水を供給することで、酸化物層を均一に水和膨張させることができる。さらに、水酸化物を水に分散させた水性スラリーを乾燥させて酸化物層が形成されているので、酸化物層を緻密に形成することができる。そのため、酸化物層に水分を供給することで、十分に水和膨張させることができる。その結果、鋳型を円滑に自己崩壊させて、欠陥を生じさせることなく鋳物を容易に取り出すことができる。
この発明の第態様によれば、鋳型は、第態様の鋳型における前記水酸化物が、少なくとも水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および、水酸化ランタンの何れか一つであってもよい。
このように構成することで、酸化物層に水を供給することで、水和反応により、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および、水酸化ランタンに戻して、酸化物よりも強度を低下させるとともに十分に水和膨張させることができる。
上述した鋳型の製造方法、および、鋳型によれば、鋳型を円滑に自己崩壊させて、欠陥を生じさせることなく鋳物を容易に取り出すことが可能となる。
この発明の実施形態におけるスラリーおよびスタッコを示す断面図である。 この発明の実施形態における鋳型の製造方法のフローチャートである。
以下、この発明の一実施形態に係る鋳型の製造方法、鋳型形成用スラリー、および、鋳型について説明する。
この実施形態の鋳型形成用スラリー(以下、単にスラリーと称する)は、分散媒としての水と、水に分散される水酸化物と、を備えている。水酸化物は、分散媒である水に分散されることでスラリー化して水性スラリーとなる水酸化物である。水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および、水酸化ランタンを例示できる。
スラリーには、分散剤、濡れ改善剤、および、消泡剤等を添加しても良い。
分散剤は、分散媒としての水に対して、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ランタンを均一に分散させるために添加する。例えば、分散剤として、ポリカルボン酸を用いることができる。ここで、スラリーには、水酸化物の粒子径(例えば、10μmから50μm)よりも大きい粒子径を有する耐火材の粒子は混合されていない。また、スラリー中に含まれる水酸化物の割合は、30重量%以上が好ましく、50重量%以上が更に好ましい。
濡れ改善剤は、ワックス型に対するスラリーの濡れ性を改善するために添加する。例えば、濡れ改善剤としては、ビクターウェット12(登録商標、日本フリーマン(株)製)等を用いることができる。ビクターウェット12は、精密鋳造などの鋳型造型の際に添加される界面活性剤である。
消泡剤は、スラリーに泡が発生することを防ぐために添加する。例えば、消泡剤としては、ANTIFOAM1410(ダウ・コーニング社製)等を用いることができる。
図1は、この発明の実施形態におけるスラリーおよびスタッコを示す断面図である。
図1に示すように、この実施形態における鋳型1は、ワックス型2の表面2aに酸化物層3、および、スタッコ層4が交互に積層されて形成されている。
酸化物層3は、上述したスラリーを乾燥させたものからなる。
スタッコ層4は、酸化物層3の表面3aに付着した耐火材の粒子5により形成される。耐火材の粒子5としては、ムライト、アルミナ等のスタッコと称される粗粒(粒子径が0.2から1.0mm)を例示できる。耐火材の粒子径は、上述したスラリーの水酸化物の粒子径よりも遥かに大きい。
(鋳型の製造方法)
次に、この実施形態における鋳型の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図2は、この発明の実施形態における鋳型の製造方法のフローチャートである。
この実施形態の鋳型製造方法は、予めワックス型2を射出成型等により形成する。具体的には、まず、中子材が埋め込まれた金型にろうを流し込む。次いで、金型を外し、中子材の外側がろうで覆われたろう成形部品を金型から取り出す。その後、ろう成形部品にろう成形の湯口とセキを取り付けて、ワックス型2とする。
図2に示すように、まず、スラリー生成工程として、水酸化物の粒子を水に分散させてスラリーを生成する(ステップS01)。
次いで、スラリー層形成工程として、ワックス型2をスラリーに浸漬させた後、引きあげてワックス型2の表面2aにスラリー層を形成する(ステップS02)。
さらに、スタッコ層形成工程として、耐火材の粒子5をスラリー層の表面に振り掛けてスタッコ層4を形成する(ステップS03)。耐火材は吸水性に優れるため、スラリー層の水分が吸収され、スラリー層が生乾きの状態となる。
その後、乾燥工程として、スラリー層とスタッコ層4とが積層されたワックス型2を乾燥室に入れて、例えば2時間程度乾燥させる。上記スラリー層形成工程、スタッコ層形成工程、および、乾燥工程からなる一連の工程を一回行うことで、0.5〜2mm程度の層がワックス型2の表面2aに形成される。
これらスラリー層形成工程、スタッコ層形成工程、および、乾燥工程からなる一連の工程は、所定回数(例えば、数回から十数回)繰り返される(ステップS05)。
その後、ワックス型2を除去して(ステップS06)、焼成を行う(ステップS07)。ワックス型の除去は、オートクレーブ等を用いて、10気圧、150℃程度の加熱蒸気により、ろうを溶融させて除去する。また、焼成は、900〜1200℃の温度で、1〜10時間行う。これにより、スラリー層の水酸化物が水を失い、水酸化物よりも強度の高い酸化物となる。より具体的には、水酸化カルシウムは、酸化カルシウムとなり、水酸化マグネシウムは、酸化マグネシウムとなり、水酸化ランタンは、酸化ランタンとなる。
ここで、例えば、タービン翼などの鋳物を製造する際には、鋳型内に溶湯を流し込む鋳込み工程を行う。また、鋳物を鋳型から取り出した後、鋳物内の中子材を高温アルカリ溶液中にて溶出させる中子除去工程を行う。
鋳込み工程は、鋳型を予熱して、炉内に素早くセットする。その後、真空中にて、約1500℃の溶融合金(溶湯)を、鋳型内に流し込む。
中子除去工程は、湯口とセキを切断して、仕上げ作業を行った後、得られた合金を高温アルカリ溶液の中に入れる。高温アルカリ溶液は、例えば、約180℃の温度に熱した約40〜50wt%の水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)の溶液を用いることができる。この溶液に上記合金を約12〜24時間に亘って浸し、加圧・減圧を繰り返す。これにより、合金内の中子材と、中子材の表面上のコーティングとが溶出されて、合金からなる中空構造のタービン翼を得ることができる。タービン翼は、サンドブラストやグラインダーにより仕上げを行い、寸法検査、ザイグロ検査、X線検査等を行う。
ところで、上述した鋳込み工程が完了した後、中子除去工程に移行する前に、鋳型を崩壊させて冷却凝固した鋳物を取り出す。具体的には、鋳型に水分を供給して、酸化物を水和膨張させて鋳型を自己崩壊させる。この水分の供給は、鋳型に対して積極的に水を吹き付けてもよいが、相対湿度の高い部屋に入れて放置するようにしてもよい。この相対湿度は、酸化カルシウム、および、酸化マグネシウムを水和させる場合には、60%以上、酸化ランタンを水和させる場合には70%以上とするのが好ましい。これにより鋳型を十分に水和膨張させて自己崩壊させることができる。ここで、自己崩壊が十分でなかった場合であっても、鋳型の強度が十分に低下しているため、最小限の衝撃により鋳型を破壊することができる。
次に、上述した鋳型の実施例、および、比較例について説明する。
[実施例1]
まず、水酸化物として水酸化カルシウム(Ca(OH))、分散剤としてポリカルボン酸、分散媒として水を用いてスラリー化した。さらに、濡れ改善剤としてビクターウェット12、消泡剤としてANTIFOAM1410をそれぞれ添加して鋳型形成用の水性スラリーとした。
さらに、ワックス型を水酸化カルシウムの水性スラリーに浸した後、引き上げて、余分の水性スラリーを落下させた。次に、水酸化カルシウム粒子径(10−50μm)よりも粒子径が大きいムライト、又は、アルミナからなる耐火材(以下、単にスタッコと称する)の粗粒(粒子径0.2−1mm)をワックス型上のスラリーに振り掛けた。これによりスタッコは、濡れたスラリーに付着すると同時に、水性スラリーから余分な水を吸い取り、水性スラリーは、生乾きの状態になった。
次いで、これを2時間以上乾燥室に入れて乾燥した。これによりスラリー層とスタッコ層との厚さ合計は0.5−2mmとなった。これを数回から十数回繰り返して十分な強度が得られる厚さまでスラリー層とスタッコ層とを積層した。
その後、150℃のオートクレーブによりワックス型を除去し、980℃で焼成して鋳型を得た。この時点で、スラリー層を形成していた水酸化カルシウムは水を失い、酸化カルシウム(CaO)の酸化物層となった。
さらに、この鋳型に溶湯を流しこみ、冷却し鋳物を形成した。
冷却後、鋳型に水を吹きつけると、酸化カルシウムが水酸化カルシウムに戻り、鋳型が水和膨張により自己崩壊した。
また、別の方法として、冷却後、鋳型に水を吹き付けずに、相対湿度60%以上の部屋に放置した。すると、時間はかかるものの、水を吹き付けた場合と同様に鋳型が自己崩壊した。
これにより、鋳型にハンマー打撃などの衝撃を加えることなく鋳物を容易に取り出すことができた。
[実施例2]
水酸化物として水酸化マグネシウム(Mg(OH))、分散剤としてポリカルボン酸、分散媒として水を用いてスラリー化した。さらに、濡れ改善剤としてビクターウェット12、消泡剤としてANTIFOAM1410を添加して鋳型形成用の水性スラリーとした。
さらに、ワックス型を水酸化マグネシウムの水性スラリーに浸した後、引き上げて、余分の水性スラリーを落下させた。次に、水酸化マグネシウムの粒子径(10−50μm)よりも粒子径が大きいムライト、又は、アルミナからなるスタッコの粗粒(粒子径0.2−1mm)をワックス型上のスラリーに振り掛けた。これによりスタッコは、濡れたスラリーに付着すると同時に、水性スラリーから余分な水を吸い取り、水性スラリーは、生乾きの状態になった。
次いで、これを2時間以上乾燥室に入れて乾燥した。これによりスラリー層とスタッコ層との厚さ合計は0.5−2mmとなった。これを数回から十数回繰り返して十分な強度が得られる厚さまでスラリー層とスタッコ層とを積層した。
その後、150℃のオートクレーブによりワックス型を除去し、980℃で焼成して鋳型を得た。この時点で、スラリー層を形成していた水酸化マグネシウムは水を失い、酸化マグネシウム(MgO)の酸化物層となった。
さらに、この鋳型に溶湯を流しこみ、冷却し鋳物を形成した。
冷却後、鋳型に水を吹きつけると、酸化マグネシウムが水酸化マグネシウムに戻り、鋳型が水和膨張により自己崩壊した。
また、別の方法として、冷却後、鋳型に水を吹き付けずに、相対湿度60%以上の部屋に放置した。すると、時間はかかるものの、水を吹き付けた場合と同様に鋳型が自己崩壊した。
これにより、鋳型にハンマー打撃などの衝撃を加えることなく鋳物を容易に取り出すことができた。
[実施例3]
水酸化物として水酸化ランタン(La(OH))、分散剤としてポリカルボン酸、分散媒として水を用いてスラリー化した。さらに、濡れ改善剤としてビクターウェット12、消泡剤としてANTIFOAM1410を添加して鋳型形成用の水性スラリーとした。
さらに、ワックス型を水酸化ランタンの水性スラリーに浸した後、引き上げて、余分の水性スラリーを落下させた。次に、水酸化ランタンの粒子径(10−50μm)よりも粒子径が大きいムライト、又は、アルミナからなるスタッコの粗粒(粒子径0.2−1mm)をワックス型上のスラリーに振り掛けた。これによりスタッコは、濡れたスラリーに付着すると同時に、水性スラリーから余分な水を吸い取り、水性スラリーは、生乾きの状態になった。
次いで、これを2時間以上乾燥室に入れて乾燥した。これによりスラリー層とスタッコ層との厚さ合計は0.5−2mmとなった。これを数回から十数回繰り返して十分な強度が得られる厚さまでスラリー層とスタッコ層とを積層した。
その後、150℃のオートクレーブによりワックス型を除去し、980℃で焼成して鋳型を得た。この時点で、スラリー層を形成していた水酸化ランタンは水を失い、酸化ランタン(LaO)の酸化物層となった。
さらに、この鋳型に溶湯を流しこみ、冷却し鋳物を形成した。
冷却後、鋳型に水を吹きつけると、酸化ランタンが水酸化ランタンに戻り、鋳型が水和膨張により自己崩壊した。
また、別の方法として、冷却後、鋳型に水を吹き付けずに、相対湿度70%以上の部屋に放置した。すると、時間はかかるものの、水を吹き付けた場合と同様に鋳型が自己崩壊した。
これにより、鋳型にハンマー打撃などの衝撃を加えることなく鋳物を容易に取り出すことができた。
[比較例1]
シリカゾルにジルコンフラワーを分散させてスラリー化した。さらに、濡れ改善剤としてビクターウェット12、消泡剤としてANTIFOAM1410を添加して鋳型形成用の水性スラリーとした。
さらに、ワックス型を水性スラリーに浸した後、引き上げて、余分の水性スラリーを落下させた。次に、ムライト、又は、アルミナからなるスタッコの粗粒(粒子径0.2−1mm)をワックス型上のスラリーに振り掛けた。これによりスタッコは、濡れたスラリーに付着すると同時に、水性スラリーから余分な水を吸い取り、水性スラリーは、生乾きの状態になった。
次いで、これを2時間以上乾燥室に入れて乾燥した。これによりスラリー層とスタッコ層との厚さ合計は0.5−2mmとなった。これを数回から十数回繰り返して十分な強度が得られる厚さまでスラリー層とスタッコ層とを積層した。
その後、150℃のオートクレーブによりワックス型を除去し、900〜1200℃で焼成して鋳型を得た。
さらに、この鋳型に溶湯を流しこみ、冷却し鋳物を形成した。
冷却後、鋳型にハンマー打撃などの衝撃を繰り返し加えて鋳型を破壊して鋳物を取り出した。鋳型から取り出した鋳物を検査したところ欠陥が見つかった。
[比較例2]
水酸化カルシウム(Ca(OH))とスタッコとを、分散剤としてポリカルボン酸、分散媒として水を用いて分散させてスラリー化した。さらに、濡れ改善剤としてビクターウェット12、消泡剤としてANTIFOAM1410を添加して鋳型形成用の水性スラリーとした。
さらに、ワックス型を水酸化カルシウムの水性スラリーに浸した後、引き上げて、余分の水性スラリーを落下させた。
次いで、これを2時間以上乾燥室に入れて乾燥した。これを数回から十数回繰り返して十分な強度が得られる厚さまで水性スラリーを積層した。
その後、150℃のオートクレーブによりワックス型を除去し、980℃で焼成して鋳型を得た。この時点で、水酸化カルシウムは水を失い、酸化カルシウム(CaO)の酸化物層となった。
さらに、この鋳型に溶湯を流しこみ、冷却し鋳物を形成した。
冷却後、鋳型に水を吹きつけると、酸化カルシウムが水酸化カルシウムに戻り、鋳型が水和膨張した。しかし、その膨張が十分ではなく、自己崩壊にまでは至らなかった。そのため、鋳型にハンマー打撃、カッターで切断するなど物理的な破壊力を用いて、鋳物を取り出した。
したがって、上述した実施形態によれば、緻密な酸化物層を形成することができる。さらに、緻密な酸化物層を形成することで、鋳型から鋳物を取り出す際には、酸化物に対して均一に水分を供給することができる。そのため、水和反応により、酸化物を相対的に強度の低い水酸化物に均一に戻すことができる。また、酸化物層が部分的に水和されることを抑制できるため、酸化物層を局所的ではなく全体的に水和膨張させることができる。また、酸化物層が緻密に形成されていることで、水和膨張の際に逃げ場がなくなり、鋳型を円滑且つ確実に自己崩壊させることができる。
さらに、緻密な酸化物層と、酸化物層よりも粗いスタッコ層とを交互に積層させた鋳型を製造することができる。これにより、緻密な酸化物層の間に吸水性を有するスタッコ層により粗い層が形成される。そのため、鋳型の厚さ方向で、より均一に水分を供給することができる。その結果、厚さ方向でも鋳型を均一に水和膨張させ、鋳型をより確実に自己崩壊させて、鋳物に欠陥が生じることを抑制できる。
さらに、水性スラリーを乾燥させるだけで、酸化物である少なくとも酸化カルシウム、酸化マグネシウム、および、酸化ランタンの何れか一つからなる緻密な層を容易に形成することができる。
また、酸化物層に水を供給することで、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および、水酸化ランタンに戻すことができる。そのため、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および、水酸化ランタンを水性スラリーの原料として再利用できる。
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上述した実施形態においては、酸化物として水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および、水酸化ランタンを一例に説明した。しかし、水に分散されることでスラリー化する水酸化物であればよく、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および、水酸化ランタンに限られない。
また、上述した実施形態においては、鋳物がタービン翼の場合について例示したが、タービン翼以外の鋳物にも適用可能である。
1 鋳型
2 ワックス型
2a 表面
3 酸化物層
3a 表面
4 スタッコ層
5 耐火物の粒子

Claims (4)

  1. 水に分散されることでスラリー化する水酸化物を前記水に30重量%以上分散させて水性スラリーを生成するスラリー生成工程と、
    ワックス型の表面に前記水性スラリーを付着させてスラリー層を形成するスラリー層形成工程と、
    前記スラリー層の表面に前記水酸化物よりも粒子径の大きい耐火材であるムライト又はアルミナの粒子を付着させてスタッコ層を形成するスタッコ層形成工程と、
    前記スラリー層、および、前記スタッコ層を乾燥させる乾燥工程と、を含み、
    前記スラリー層形成工程と、前記スタッコ層形成工程と、前記乾燥工程との一連の工程を複数回繰り返して鋳型を形成する鋳型の製造方法。
  2. 前記水酸化物は、
    少なくとも水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および、水酸化ランタンの何れか一つである請求項1に記載の鋳型の製造方法。
  3. 水に分散されることでスラリー化する水酸化物を30重量%以上含む水性スラリーを乾燥させてなる酸化物層と、
    前記水酸化物の粒子径よりも大きい耐火材であるムライト又はアルミナの粒子を前記水性スラリーに積層して形成されるスタッコ層と、
    備える鋳型。
  4. 前記水酸化物は、
    少なくとも水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および、水酸化ランタンの何れか一つである請求項に記載の鋳型。
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