JP2010235422A - 水酸化カルシウムスラリーおよびその製造方法 - Google Patents

水酸化カルシウムスラリーおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】平均粒径が比較的大きく、分散安定性に優れた水酸化カルシウムスラリー、前記水酸化カルシウムスラリーを含む水質調整剤、および前記水酸化カルシウムスラリーの製造方法を提供すること。
【解決手段】レーザー回折式粒子径分布測定装置による粒子径分布測定における粒子径50〜250μmのものが90%以上含まれる水酸化カルシウム40〜60質量%、分散安定剤0.1〜10質量%、電解質比重調整剤1〜10質量%、および水残部(いずれも対水酸化カルシウムスラリー)を含む水酸化カルシウムスラリー。さらに付着防止剤0.1〜8質量%(対水酸化カルシウムスラリー)を含むことが好ましい。この水酸化カルシウムスラリーは、各成分を特定の順序で水に添加して製造され、特に、水質調整剤として有用である。
【選択図】なし

Description

この発明は水酸化カルシウムスラリーとその製造方法、および前記水酸化カルシウムを含む水質調整剤に関する。より詳しくは、この発明は、市販されている水酸化カルシウムを予め粉砕することなく、スラリー化して得られる水酸化カルシウムスラリーとその製造方法および前記水酸化カルシウムを含む水質調整剤に関する。
水酸化カルシウムスラリーは、ボイラ系、冷却水系、紙パルプ工場や製鉄工場の水系などのpHやカルシウム硬度を調整する水質調整剤として、また、水性インキ、脱臭剤、塗料、排ガス処理剤、排水処理剤、建築材、セメント混和剤、工作機械用の腐食防止剤、抗菌剤、紙・鋳物・製線用の潤滑剤、および難燃化充填剤などとして、日常的に使用されている。
このような種々の用途を有する水酸化カルシウムスラリーは、できるだけ高濃度スラリーにしたほうが輸送上、および現場における取り扱い上好ましく、通常20質量%以上の高濃度のものが製造されている。
ところが、平均粒径が50μm以上の市販の水酸化カルシウム粉末をそのままスラリー化しても、その粘性や粒子の凝集沈降や凝固に起因して、せいぜい20質量%以下の水酸化カルシウムスラリーしか得られなかった。
そこで、前記粉末を一旦大型設備である粉砕機などに供給し、平均粒径を20μm程度以下に微粉砕してから水酸化カルシウムをスラリー化して製造されていた(特許文献1〜3)。
しかも、この従来方法の場合、製造中、粒子の凝集沈降や凝固、および炭酸カルシウムの生成を防止するために、窒素ガスや脱炭酸ガスなどを用いて前記スラリーを攪拌し続ける必要があった。
このような微細な水酸化カルシウムスラリーは、上記の必要とされる場所で添加されて使用されるが、例えば、排ガス処理剤として水酸化カルシウムスラリーが使用される場合には、反応効率上、微細粒子の水酸化カルシウムスラリーが必要となるが、必ずしも微細粒子の水酸化カルシウムスラリーが必要とされない用途も多くなる。たとえば、前記のpHやカルシウム硬度を調整する水質調整剤などでは、平均粒径が50μm以上の高濃度の水酸化カルシウムスラリーでも十分対応可能である。
このような用途では、市販品をそのまま高濃度の水酸化カルシウムスラリー化することができれば、価格上昇の原因となる粉砕機などの大型設備を備えなくとも、安価に高濃度水酸化カルシウムスラリーを提供することができ、輸送上、および現場における取り扱い上極めて有利になる。
特開2007−31212号公報 特開2006−2968732号公報 特許第2533816号明細書
本発明は、以上のような従来の課題を解決するために、鋭意研究がなされたものであり、平均粒径が比較的大きいにも拘わらず、分散安定性に優れ、かつ好ましくは付着防止性にも優れた高濃度水酸化カルシウムスラリーと、その製造方法、および前記水酸化カルシウムスラリーを含む水質調整剤を提供することを目的とする。
このような目的は、下記の1〜8記載の本発明により達成される。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.レーザー回折式粒子径分布測定装置による粒子径分布測定において、粒子径50〜250μmの粒子が90%以上含まれる水酸化カルシウム40〜60質量%、マレイン酸、アクリル酸、フマル酸、またはイタコン酸からなるホモ重合体、および、マレイン酸、アクリル酸、フマル酸、およびイタコン酸から選ばれる少なくとも2種を含む共重合体、ならびにこれらの水溶性塩から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸系低分子量重合体である分散安定剤0.1〜10質量%、および電解質比重調整剤1〜10質量%を含む水酸化カルシウムスラリー。
2.さらに水酸化カルシウムスラリーに対して、付着防止剤0.1〜8質量%を含む上記1に記載の水酸化カルシウムスラリー。
3.分散安定剤が、数平均分子量500から4000のカルボン酸系低分子重合体である上記1または2に記載の水酸化カルシウムスラリー。
4.電解質比重調整剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および珪酸塩から選ばれる少なくとも1種である上記1〜3のいずれかに記載の水酸化カルシウムスラリー。
5.付着防止剤が塩化カリウムである上記2に記載の水酸化カルシウムスラリー。
6.水に、水酸化カルシウムスラリーに対して、1〜10質量%となる量の電解質比重調整剤と、0.1〜10質量%となる量の、マレイン酸、アクリル酸、フマル酸、またはイタコン酸からなるホモ重合体、および、マレイン酸、アクリル酸、フマル酸、およびイタコン酸から選ばれる少なくとも2種を含む共重合体、ならびにこれらの水溶性塩から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸系低分子重合体である分散安定剤を溶解した後、40〜60質量%となる量の、レーザー回折式粒子径分布測定装置による粒子径分布測定において、粒子径50〜250μmの粒子が90%以上含まれる水酸化カルシウムを添加することを特徴とする水酸化カルシウムスラリーの製造方法。
7.さらに、水酸化カルシウムスラリーに対して、0.1〜8質量%となる量の付着防止剤を、分散安定剤を溶解した後に添加する上記6に記載の水酸化カルシウムスラリーの製造方法。
8.上記1〜5のいずれかに記載の水酸化カルシウムスラリーを含む水質調整剤。
またはそれらから選ばれる2種以上の共重合体、
本発明により、平均粒径が比較的大きいにも拘わらず、分散安定性に優れ、かつ好ましくは付着防止性にも優れた高濃度水酸化カルシウムスラリーと、その製造方法、および前記水酸化カルシウムスラリーを含む水質調整剤を提供することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
なお、本発明において、各成分濃度は水酸化カルシウムスラリーに対する濃度である。
本発明は、レーザー回折式粒子径分布測定装置による粒子径分布測定において、粒子径50〜250μmのものが90質量%以上含まれる水酸化カルシウム40〜60質量%、分散安定剤0.1〜10質量%、および電解質比重調整剤1〜10質量%を含む水酸化カルシウムスラリーに関する。
ここで用いられる水酸化カルシウムとしては、レーザー回折式粒子径分布測定装置による粒子径分布測定において粒子径50〜250μmのものが90質量%以上含まれるものであり、このような水酸化カルシウムは、市販品をそのまま、または篩い分けして使用することができる。
レーザー回折式粒子径分布測定装置による粒子径分布測定における粒子径50〜250μm程度のものが90質量%以上含まれる水酸化カルシウムを使用することにより、他の必須成分との相乗効果により、粘性が比較的抑えられ、しかも凝集沈降や凝固が抑制されるので、そのままポンプ輸送などが可能となる。
水酸化カルシウム濃度は、水酸化カルシウムスラリー全体に対して、40〜60質量%、好ましくは40〜50質量%とする。
水酸化カルシウム濃度が40質量%未満では、水層とスラリー層の分離が生じ、一方、60質量%を越えると、粘性が高くなり、いずれも好ましくない。
次に、本発明に用いられる分散安定剤は、スラリー中の水酸化カルシウム粒子を分散状態に維持して粒子間の凝集沈降を抑制するために添加されるものであり、マレイン酸、アクリル酸、フマル酸、またはイタコン酸からなるホモ重合体、および、マレイン酸、アクリル酸、フマル酸、およびイタコン酸から選ばれる少なくとも2種を含む共重合体、ならびにこれらの水溶性塩から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸系低分子重合体を含む。
またはそれらから選ばれる2種以上の共重合体、 このうち、ホモ重合体としては、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸、またはそれらの水溶性塩が好ましい。
共重合体としては、マレイン酸―アクリル酸共重合体、またはその水溶性塩が好ましい。共重合体では、上記のカルボン酸が含まれていれば、第3成分として、非イオン性不飽和単量体成分、例えば、イソブチレンや、エチレン、プロピレン、ブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素数2〜8のオレフィン炭化水素、アクリルアミドなどが含まれていてもよい。
これらホモ重合体または共重合体の数平均分子量は500〜4000程度、好ましくは500〜3500である。
この数平均分子量が500未満となったり、4000を超えたりすると、スラリー中における水酸化カルシウム粒子の分散効果が発揮されにくくなって、好ましくない。
なお、カルボン酸系低分子重合体として、1種のカルボン酸系不飽和単量体単位と、非イオン性不飽和単量体単位および/またはスルホン酸基含有不飽和単量体単位とを有する共重合体が市販されているが、このような共重合体を使用すると、水酸化カルシウム粒子の分散効果が発揮されない。
分散安定剤濃度は、水酸化カルシウムスラリー全体に対して、純分で0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜5質量%とする。
分散安定剤濃度が0.1質量%未満では、スラリー中で水酸化カルシウム粒子が十分に分散されにくくなる。また、10質量%を超えると、効果が一定となり、不経済となる。
本発明に使用される電解質比重調整剤は、スラリーの比重を調整することによって、スラリー中で水酸化カルシウム粒子が凝集沈降することを防止する作用効果を発揮する化合物であり、たとえば、アルカリ剤や、珪酸塩などが挙げられる。
そのようなアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化アンモニウムなどが挙げられる。また、珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸アンモニウム、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、およびメタ珪酸アンモニウムなどが例示される。
電解質比重調整剤濃度は、水酸化カルシウムスラリー中、1〜10質量%、好ましくは3〜10質量%とする。
電解質比重調整剤の濃度が1質量%未満では、凝集沈降を防止する効果が得られず、一方、10質量%を超えると、粘性が高くなって、いずれも好ましくない。
本発明の水酸化カルシウムスラリーは前記の成分を特定量含むものであり、このまま使用に供することができるが、たとえば、ポンプ輸送に使用される配管の材質がポリエチレンやポリ塩化ビニルであると、このスラリーが壁面に付着することがあるので、好ましくは、さらに付着防止剤を添加することで、配管やポンプなどの壁面に水酸化カルシウムスラリーの付着を防止する。
このような目的に使用される付着防止剤としては、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硝酸カリウム、および硫酸カリウムなどのカリウム化合物が例示される。特に塩化カリウムは効果が顕著なので、好ましい。
付着防止剤の添加量は、水酸化カルシウムラリー中、0.1〜8質量%程度、好ましくは、1〜5質量%とする。
付着防止剤の添加量が0.1質量%未満になると、付着防止効果が得られず、8質量%を超えると、粘性が高くなるので、いずれも好ましくはない。
本発明は前記水酸化カルシウムスラリーの製造方法も提供するものであり、次に水酸化カルシウムスラリーの製造方法について説明する。
本発明の水酸化カルシウムスラリーは、水に、水酸化カルシウムスラリーに対して、1〜10質量%となる量の電解質比重調整剤と、0.1〜10質量%となる量の、マレイン酸、アクリル酸、フマル酸、またはイタコン酸からなるホモ重合体、および、マレイン酸、アクリル酸、フマル酸、およびイタコン酸から選ばれる少なくとも2種を含む共重合体、ならびにこれらの水溶性塩から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸系低分子重合体である分散安定剤を溶解した後、40〜60質量%となる量の、レーザー回折式粒子径分布測定装置による粒子径分布測定において、粒子径50〜250μmの粒子が90%以上含まれる水酸化カルシウムを添加して、十分混合、攪拌することにより製造することができる。
電解質比重調整剤と分散安定剤の添加順序は、電解質比重調整剤を先ず添加、溶解し、ついで分散安定剤を溶解する方が好ましいが、その逆でもよい。
さらに付着防止剤を添加する場合には、前記において、分散安定剤を溶解した後に、その添加量が水酸化カルシウムスラリー中で0.1〜8質量%程度となるように添加することが好ましい。
なお、水酸化カルシウムは、水に対する溶解度が1800mg/l程度なので、かたまり(ダマ)の生成を避けるため、徐々に添加して確実に分散させる必要がある。例えば、1kgの水酸化カルシウムスラリーを製造する場合、50g/分の速度で添加する。
従来、このような水酸化カルシウムスラリーを製造する際には、微細な水酸化カルシウムを使用するため、炭酸ガスとの接触面積が大きく、水酸化カルシウムの表面が炭酸カルシウムで被覆されるのを防止する必要があった。このために、窒素ガスや脱炭酸ガスなどを供給しながらスラリーを製造していたが、本発明の場合には、水酸化カルシウムの粒径が大きいために、炭酸ガスとの接触面積が小さくなり、従って、製造中にそのような窒素ガスや脱炭酸ガスなどを供給する必要は特にない。
こうして製造された水酸化カルシウムスラリーは、ボイラ系、冷却水系、紙パルプ工場や製鉄工場の水系などのpHやカルシウム硬度を調整する水質調整剤として、また、水性インキ、脱臭剤、塗料、排ガス処理剤、排水処理剤、建築材、セメント混和剤、工作機械用の腐食防止剤、抗菌剤、紙・鋳物・製線用の潤滑剤、および難燃化充填剤などとして、使用することができる。特に、レーザー回折式粒子径分布測定装置による粒子径分布測定における粒径が50〜250μmという比較的大粒径の水酸化カルシウムを使用することが可能な水質調整剤として、好ましく使用することができる。
以下に実施例と比較例を掲げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されることはない。
本実施例、比較例では、攪拌性と分散性を、以下の手順と基準により、評価した。
手順:薬剤を添加後、10分間スターラー攪拌した後、静置し、30分後の様子を目視観察した。
評価基準:
攪拌性 ○・・・スターラー攪拌ができる。
×・・・スターラー攪拌が十分にできない。
分離性 ○・・・静置30分後、10容量%未満の水層が観察される。
×・・・静置30分後、10容量%以上の水層が観察される。
また、粘度は攪拌10分後に、B型粘度計で、室温での溶液の粘度を測定した。
評価基準:
◎・・・1000mP・a未満で、実用性大
○・・・1000〜2500mP・aで、実用性あり
×・・・2500mP・a超で、実用性なし
実施例1〜4、比較例1、2
本実施例、および参考例で使用した消石灰粉末は、篩い分けにより調製された、レーザー回折式粒子径分布測定装置による粒子径分布測定における粒径が55〜250μmのものが90%以上含まれる消石灰粉末Aである。
電解質比重調整剤として水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを、また分散安定剤として、数平均分子量が600のポリマレイン酸を、それぞれ用いた。
水を入れたビーカーに、表1記載の割合となるように、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、およびポリマレイン酸を、この順序で所定量添加後、消石灰粉末を50g/分の速度で添加し、添加終了後、10分間攪拌した。
結果を表1に示す。
なお、篩い分けにより調製された、レーザー回折式粒子径分布測定装置による粒子径分布測定における粒径が50〜150μmのものが90%以上含まれる消石灰粉末B、粒径が0〜75μmのものが90質量%以上含まれる消石灰粉末C、および粒径が0〜150μmのものが90%以上含まれる消石灰粉Dを用いて、実施例3、4および比較例1、2の試験を行なった。
実施例3、4および比較例1、2の試験は、対象の消石灰のみ変更し、手順等は実施例1と同様に行った。
実施例1〜4、および比較例1、2の結果を表1に示す。
Figure 2010235422
表1より、本発明の場合、攪拌性、分離性、および粘度のいずれの面でも、良好であることがわかる。しかし、比較例1、2に示すように、消石灰粉末に含まれる粒径範囲が本発明の定義範囲と異なると、攪拌性と分離性は満足しても、粘度が2500mP・sを超えてしまい、非実用的となることがわかる。
実施例5〜12、比較例3
実施例1において、さらに付着防止剤として塩化カリウムを、ポリマレイン酸の添加後に添加したこと以外は、実施例1と同様に試験を行なった。
比較例3は、塩化カリウムを10質量%添加した例である。
ここで、付着性の試験は、上記手順により得られた水酸化カルシウムスラリー100gをポリエチレン製のビーカーに入れ、2週間密閉状態で静置した後、10秒間150度倒してスラリーを排出し、ビーカー壁に付着したスラリー量(g)を測定したものである。
付着性の評価基準:
○・・・付着スラリー量が20g以下
△・・・付着スラリー量が40g以下
×・・・付着スラリー量が50g以上
結果を表2に示す。
Figure 2010235422
表2の実施例5および9から、付着防止剤を添加しないと、付着性が50g以上となり、ポンプ輸送に使用される配管がポリエチレンやポリ塩化ビニルである場合、目詰りを起こす可能性がある。しかし、付着防止剤を添加すると、いずれの場合でも40g以下となり、ポリエチレンやポリ塩化ビニル製の配管であっても、十分輸送可能となることがわかる。
ただし、付着防止剤を、8質量%を超えて添加すると、悪影響が出て、付着性の試験において、ビーカーをさかさまにしても、スラリーが落下しなかった。
実施例13
実施例1において、分散安定剤として、アクリル酸―マレイン酸―酢酸ビニル(数平均分子量1060)を用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。
その結果、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。
比較例4、5
実施例3において、分散安定剤として、ポリマレイン酸に替えて、分散剤A(アクリル酸―2−ヒドロキシ−3−アリロキシプロパンスルホン酸、数平均分子量5000)、分散剤B(マレイン酸―イソブチレン、数平均分子量16000)を用いた以外は、実施例3と同様の手順で実験を行なった。結果を表3に示す。
Figure 2010235422
表3から、分散安定剤として、ホモポリマに替えて共重合体を用いると、10時間後に凝固を起こし、スラリーが得られなかったことが分かる。
比較例6
比較例4において、分散安定剤Aに替えて、数平均分子量10000のポリアクリル酸ナトリウムに替えた以外は、比較例4と同様に実験を行った。
その結果、静置10時間後には、凝固を起こした。これより、ホモポリマであっても、数平均分子量が4000を超えると、うまくポンプ輸送されない可能性が高いことが分かる。
本発明の水酸化カルシウムスラリーは、ボイラ系、冷却水系、紙パルプ工場や製鉄工場の水系などのpHやカルシウム硬度を調整する水質調整剤として、また、水性インキ、脱臭剤、塗料、排ガス処理剤、排水処理剤、建築材、セメント混和剤、工作機械用の腐食防止剤、抗菌剤、紙・鋳物・製線用の潤滑剤、および難燃化充填剤などとして使用することができる。特に、大きな水酸化カルシウム粒径で使用可能な水質調整剤として好ましく使用することができる。

Claims (8)

  1. レーザー回折式粒子径分布測定装置による粒子径分布測定において、粒子径50〜250μmの粒子が90%以上含まれる水酸化カルシウム40〜60質量%、マレイン酸、アクリル酸、フマル酸、またはイタコン酸からなるホモ重合体、および、マレイン酸、アクリル酸、フマル酸、およびイタコン酸から選ばれる少なくとも2種を含む共重合体、ならびにこれらの水溶性塩から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸系低分子量重合体である分散安定剤0.1〜10質量%、および電解質比重調整剤1〜10質量%を含む水酸化カルシウムスラリー。
  2. さらに付着防止剤0.1〜8質量%(対水酸化カルシウムスラリー)を含む請求項1に記載の水酸化カルシウムスラリー。
  3. 分散安定剤が、数平均分子量500から4000のカルボン酸系低分子重合体である請求項1または2に記載の水酸化カルシウムスラリー。
  4. 電解質比重調整剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および珪酸塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の水酸化カルシウムスラリー。
  5. 付着防止剤が塩化カリウムである請求項2に記載の水酸化カルシウムスラリー。
  6. 水に、水酸化カルシウムスラリーに対して、1〜10質量%となる量の電解質比重調整剤と、0.1〜10質量%となる量の、カルボン酸系低分子重合体が、マレイン酸、アクリル酸、フマル酸、またはイタコン酸からなるホモ重合体、および、マレイン酸、アクリル酸、フマル酸、およびイタコン酸から選ばれる少なくとも2種を含む共重合体、ならびにこれらの水溶性塩から選ばれる少なくとも1種である分散安定剤を溶解した後、40〜60質量%となる量の、レーザー回折式粒子径分布測定装置による粒子径分布測定において、粒子径50〜250μmの粒子が90%以上含まれる水酸化カルシウムを添加することを特徴とする水酸化カルシウムスラリーの製造方法。
  7. さらに、水酸化カルシウムスラリーに対して、0.1〜8質量%となる量の付着防止剤を、分散安定剤を溶解した後に添加する請求項6に記載の水酸化カルシウムスラリーの製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の水酸化カルシウムスラリーを含む水質調整剤。
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