JP6196472B2 - 精密鋳造用中子及びその製造方法、精密鋳造用鋳型 - Google Patents

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Description

本発明は、精密鋳造用中子及びその製造方法、精密鋳造用鋳型に関するものである。
精密鋳造品として、例えばガスタービンに用いられる動翼がある。ガスタービンは、作動流体を燃焼器で燃焼させて高温高圧の作動流体とし、この作動流体によりタービンを回転させるようにしている。すなわち、圧縮機で圧縮した作動流体を燃焼器で燃焼させ、エネルギーを高め、そのエネルギーをタービンで回収して回転力を生じさせ、それによって発電を行うようにしている。タービン部には、タービンロータが設けられ、該タービンロータの外周には、ガスタービン動翼が少なくとも一以上設けられている。
ここで、ガスタービン動翼は、高温にさらされる。その対策として、ガスタービン動翼には冷却用の冷却媒体を流すことが行われている。このため、ガスタービン動翼には、内部冷却構造が設けられている。そして、このような内部冷却構造を構成するために、冷却媒体の流通路と同形状をした中子(コア)を配置し、鋳造後その中子を取り除くようにしている。この中子の除去は、アルカリ(例えばNaOHあるいはKOH等)の溶液中で中子を溶解・除去することにより、例えばタービン動翼の内部冷却構造が形成される。
中子としては、従来セラミックス粒子を用いたセラミックス中子が用いられている(特許文献1)。
ここで、精密鋳造用中子は、溶融シリカ(SiO2)等のシリカ質材料を射出成形あるいはスリップキャストなどの方法により成形した後、熱処理して得られる。
射出成形法は、セラミックスの粉末とワックスを混練した後、ワックスを加熱溶融させた材料を金型内に射出注入し、冷却・固化させる事によって、成形品を得る方法である。
また、スリップキャスト成形は、セラミックスの粉末を水などに混ぜてスラリを作り、これを石こう製などの溶液を吸う材質でできた成形型に注ぎ込んで乾燥し、成形する方法である。
特開平6−340467号公報
ところで、現状の中子は、アルカリ溶解性を主眼に製造されているため、高温強度が低いなどの課題がある。また、射出成形法において、その成形後、焼結された中子には、その表面に多数の孔があるため、強度が低く、さらには、この孔が起点となって、鋳込時に中子が壊れる可能性が懸念される、という問題がある。
よって、高温強度が向上した精密鋳造用中子の出現が切望されている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高温強度が向上した精密鋳造用中子及びその製造方法、精密鋳造用鋳型を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、シリカ質粒子を主成分とする焼結された精密鋳造用中子本体の表面に、粒径の異なる2種類のシリカ質材料の被覆層を形成してなり、前記粒径の異なる2種類のシリカ質材料が、シリカゾルと該シリカゾルよりも粒径が大きいシリカフュームからなることを特徴とする精密鋳造用中子にある。
第2の発明は、第1の発明において、シリカゾルとシリカフュームとの重量割合が1:1〜4:1であることを特徴とする精密鋳造用中子にある。
第3の発明は、鋳物の製造に用いる精密鋳造用鋳型であって、前記鋳物の内部の空洞部分に対応する形状の第1又は2の発明の精密鋳造用中子と、前記鋳物の外周面の形状に対応する外側鋳型と、を有ることを特徴とする精密鋳造用鋳型にある。
第4の発明は、シリカ質粒子を主成分とする精密鋳造用中子本体の焼結処理体を、
シリカゾルと該シリカゾルよりも粒径が大きいシリカフュームからなる粒径の異なる2種類のシリカ質材料からなる被覆材料に浸漬し、
次いで乾燥し、その後熱処理をし、精密鋳造用中子本体の表面に被覆層を形成することを特徴とする精密鋳造用中子の製造方法にある。
第5の発明は、第4の発明において、シリカゾルとシリカフュームとの重量割合が1:1〜4:1であることを特徴とする精密鋳造用中子の製造方法にある。
本発明は、焼結された精密鋳造用中子本体の表面に、粒径の異なる2種類のシリカ質材料の被覆層を形成することで、焼結時に発生した表面の孔を封孔することとなり、中子の強度が向上すると共に、孔が封止されるので、鋳込時に中子が壊れることを防止することができる、という効果を奏する。
図1は、精密鋳造用中子の断面構成図である。 図2は、鋳造方法の工程の一例を示すフローチャートである。 図3は、鋳型製造方法の工程の一例を示すフローチャートである。 図4は、中子の製造工程を模式的に示す説明図である。 図5は、金型の一部を模式的に示す斜視図である。 図6は、ろう型の製造工程を模式的に示す説明図である。 図7は、ろう型にスラリーを塗布する構成を模式的に示す説明図である。 図8は、外側鋳型の製造工程を模式的に示す説明図である。 図9は、鋳型製造方法の一部工程を模式的に示す説明図である。 図10は、鋳造方法の一部工程を模式的に示す説明図である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
図1は、精密鋳造用中子の断面構成図である。
本発明に係る精密鋳造用中子は、シリカ質粒子を主成分とする焼結された精密鋳造用中子本体(以下「中子本体」という。)の表面に、粒径の異なる2種類のシリカ質材料の被覆層を形成してなるものである。
図1に示す焼結体の中子本体の断面図の上段に示すように、中子本体18aの表面18bには、焼結の際に多数の孔18cが発生する。
本発明では、図1の下段に示すように、この表面に形成された孔18cを被覆層19aで被覆することで、孔18cを封孔するようにしている。
ここで、中子本体18aは、シリカ質粒子を主成分としており、例えばシリカ砂、シリカフラワー等の溶融シリカ(SiO2)から形成されている。
この中子本体は、公知の方法で製造され、シリカ質粒子として、例えばシリカフラワー(例えば800メッシュ(10〜20μm))と、シリカ砂(例えば220メッシュ(20〜70μm))とを用い、1:1の重量割合で混合したものに、ワックスを加えて、加熱混練し、コンパウンドを得る。
この得られたコンパウンドを、射出成形により成形し中子用成形体を得る。
その後、例えば600℃までの脱脂処理を行い、次いで例えば1,200℃における焼結処理を行い、中子本体18aを得る。
本発明では、この得られた焼結体の中子本体18aの表面に、被覆層19aを形成する。
被覆層19aは、粒径の異なる2種類のシリカ質材料を用いている。
ここで、2種類の粒径の異なるシリカ質材料は、第1の材料としてシリカゾル(SiO2が30重量%)を用い、第2の材料としてシリカフューム(粒径0.15μm)を用いる。
本発明では、シリカゾルに対し、シリカフュームを添加分散し、シリカゾル−シリカフュームスラリーを調製する。
ここで、シリカゾルとシリカフュームは重量割合1:1〜4:1の割合で混練している。2:1で混練した場合のシリカゾル中のシリカ微粒子の割合は、ゾル固形分:シリカフューム=30:50となる。
得られたシリカゾル−シリカフュームスラリーに焼結した中子本体を浸漬し、その後引き上げ、中子本体18aの表面に、シリカゾル−シリカフュームからなる被覆層19aを形成する。この被覆層19aの形成の際、中子の表面の孔18cにもスラリー成分が浸透し、乾燥後には中子材の孔の中にもシリカゾル−シリカフュームの成分が析出する。
その後乾燥し、次いで例えば1,000℃で熱処理を行う。この熱処理は、表面に被覆層19aが形成されれば、例えば1,000℃以下であってもよい。
この得られた被覆層19aは、構成材料であるシリカ質材料の粒径が大きいシリカフュームの隙間を、粒径が小さいシリカゾルが埋める状態となるので、細密充填となり、緻密層が形成されることとなる。
また、シリカフュームは球状であるため、粒径が小さいシリカゾルが、粒径が大きいシリカフュームの粒子間の隙間に入り込み易いので、細密充填がより高まることとなる。さらに、微粒子のシリカゾルは、粒子間の付着力を向上させるので、強度向上に寄与する。
このように、本発明によれば、精密鋳造用の中子の高温強度が向上する。
<試験例>
以下、本発明の効果を確認する試験例について、説明する。
本試験例では、先ずシリカフラワー(800メッシュ)と、シリカ砂(220メッシュ)を1:1の重量割合で混合したものにワックスを加えて、加熱混練し、コンパウンドを得る。ここで、シリカフラワーは、龍森社製「MCF-200C」(商品名)を、シリカ砂は龍森社製「RD− 120」(商品名)、ワックスはパラメルト社製、「Cerita Wax F30−75」(商品名)を各々用いた。
この得られたコンパウンドを、射出成形により成形体を得る。
評価試験体として、幅30×長200×厚5mmを得た。
次に、600℃までの脱脂処理及び1,200℃における焼結処理を行い、中子本体用の試験体を得た。
次に、シリカゾル(SiO2が30重量%)に対し、シリカフューム(粒径が0.15μm、球状)を添加分散して、シリカゾル−シリカフュームスラリーを調製した(シリカゾルとシリカフュームは重量割合2:1で混練した)。この時、シリカゾル中のシリカ微粒子の割合は、ゾル固形分:シリカフューム=30:50であった。
この得られたシリカゾル−シリカフュームスラリーに、中子本体用の試験体を浸漬したのち、引き上げ、表面にシリカゾル−シリカフュームの被覆層19aを形成した。次いで乾燥後、1,000℃で熱処理を行い、中子本体表面18bに、シリカゾル−シリカフュームからなる被覆層19aを形成した。
比較例として、被覆層を形成しないものを比較試験体とした。
これらの評価試験体の強度を測定した。
ここで、強度試験は、JIS R 1601による「セラミックスの曲げ強さ(1981)」に準拠しておこなった。
従来法の被覆層が形成されない比較試験体の強度は、20MPaであったのに対し、本発明法による中子本体用の試験体の強度は、25MPaであった。この結果、本発明の中子本体用の試験体は、25%の強度向上が認められた。
以下、本発明の精密鋳造用中子を配した鋳型を用いた鋳造方法について説明する。
図2は、鋳造方法の工程の一例を示すフローチャートである。以下、図2を用いて、鋳造方法について説明する。ここで、図2に示す処理は、全自動で実行しても良いし、オペレータが各工程を実行する装置を操作して実行しても良い。本実施形態の鋳造方法は、鋳型を作製する(ステップS1)。鋳型は、予め作製しておいても良いし、鋳造を実行する毎に作製しても良い。
以下、図3から図9を用いて、ステップS1の工程で実行する本実施形態の鋳型製造方法について説明する。図3は、鋳型製造方法の工程の一例を示すフローチャートである。ここで、図3に示す処理は、全自動で実行しても良いし、オペレータが各工程を実行する装置を操作して実行しても良い。
鋳型製造方法は、中子(コア)を作製する(ステップS12)。中子は、鋳型で作製する鋳物の内部の空洞に対応する形状である。つまり、中子は、鋳物の内部の空洞に対応する部分に配置されることで、鋳造時に鋳物となる金属が流れ込むことを抑制する。以下、図4を用いて、中子の製造工程について説明する。
図4は、中子の製造工程を模式的に示す説明図である。鋳型製造方法は、図4に示すように金型12を準備する(ステップS101)。金型12は、中子に対応する領域が空洞となっている。中子の空洞となる部分が凸部12aとなる。なお、図4では、金型12の断面で示しているが、金型12は、空間に材料を注入する開口や空気を抜く穴以外は、基本的に中子に対応する領域の全周を覆う空洞となっている。鋳型鋳造方法は、矢印14に示すようにセラミックスラリー16を、金型12の空間に材料を注入する開口から金型12の内部に注入する。具体的には、セラミックスラリー16を金型12の内部に噴射する、いわゆる射出成形で中子18を作製する。鋳型製造方法は、金型12の内部に中子18を作製したら、金型12から中子18を取り外し、取り外した中子18を焼成炉20に設置し、焼成させる。これにより、セラミックで形成された中子18を焼き固める(ステップS102)。
次いで、中子18の表面に被覆層を形成するために、スラリー19が貯留された貯留部17に焼結した中子18を浸漬させ、取り出した後、乾燥を行う(ステップ103)。次いで浸漬した中子18を取り出し、焼成炉20に設置し、焼成させる。これにより、セラミックで形成された中子18の表面に被覆層19aを形成する(ステップS104)。
鋳型鋳造方法は、以上のようにして被覆層19aが形成された中子18を作製する。なお、中子18は、鋳物が固まった後に化学処理等の脱中子処理で取り除ける材料で形成される。
鋳型製造方法は、中子18を作製したら、外部金型の作製を行う(ステップS14)。外部金型は、内周面が鋳物の外周面に対応した形状となる。金型は、金属で形成しても良いし、セラミックで形成しても良い。図5は、金型の一部を模式的に示す斜視図である。図5に示す金型22aは、内周面に形成された凹部が鋳物の外周面に対応している。なお、図5では、金型22aのみを示したが、金型22aに対応し、内周面に形成された凹部を塞ぐ向きに金型22aに対応する金型も作製する。鋳型製造方法は、2つの金型を合わせることで、内周面が鋳物の外周面に対応した型となる。
鋳型製造方法は、外部金型を作製したら、ろう型(ワックス型)の作製を行う(ステップS16)。以下、図6を用いて説明する。図6は、ろう型の製造工程を模式的に示す説明図である。鋳型製造方法は、金型22aの所定位置に中子18を設置する(ステップS110)。その後、金型22aに対応する金型22bを、金型22aの凹部が形成されている面に被せ、中子18の周囲を金型22a、22bで囲み、中子18と金型22a、22bとの間に空間24を形成する。鋳型製造方法は、矢印26に示すように、空間24と連結された配管から空間24の内部に向けてWAX28の注入を開始する(ステップS112)。WAX28は、所定の温度以上に加熱されると溶けるような、融点が比較的低温の物質、例えばろうである。鋳型製造方法は、空間24の全域にWAX28を充填させる(ステップS113)。その後、WAX28を固化させることで、中子18の周囲をWAX28が囲んだろう型30を形成する。ろう型30は、基本的にWAX28で形成される部分が製造する目的の鋳物と同じ形状となる。その後、鋳物製造方法は、ろう型30を金型22a、22bから分離し、湯口32を取り付ける(ステップS114)。湯口32は、鋳造時に溶けた金属である溶湯が投入される口である。鋳型製造方法は、以上のようにして、内部に中子18を含み、鋳物と同一の形状のWAX28で形成されたろう型30を作製する。
鋳型製造方法は、ろう型30を作製したら、スラリー塗布(ディッピング)を行う(ステップS18)。図7は、ろう型にスラリーを塗布する構成を模式的に示す説明図である。図8は、外側鋳型の製造工程を模式的に示す説明図である。鋳型製造方法は、図7に示すように、スラリー40が貯留された貯留部41にろう型30を浸漬させ、取り出した後、乾燥を行う(ステップS19)。これにより、ろう型30の表面にプライム層101Aを形成することができる。
ここで、ステップS18で塗布するスラリーは、ろう型30に直接塗布されるスラリーである。このスラリー40は、アルミナ超微粒子が単一分散されたスラリーを用いる。このスラリー40には、フラワーとして350メッシュ程度の耐火性の微粒子、例えばジルコニアを用いることが好ましい。また、分散剤としてポリカルボン酸を用いることが好ましい。また、スラリー40には、消泡剤(シリコン系の物質)や、濡れ性改善剤を微量、例えば0.01%添加することが好ましい。濡れ性改善剤を添加することで、スラリー40のろう型30への付着性を向上させることができる。
鋳型製造方法は、図7に示すように、スラリー40でスラリー塗布を行って、乾燥しプライム層(第1乾燥膜)101Aを有するろう型を、さらにスラリー塗布(ディッピング)を行う(ステップS20)。次いで、図8に示すように、この濡れているスラリーの表面にスタッコ材54としてジルコンスタッコ粒(平均粒径0.8mm)を振掛けるスタッコイングを行う(ステップS21)。その後スラリー層の表面にスタッコ材54が付着されたものを乾燥し、プライム層(第1乾燥膜)101Aの上に第1バックアップ層(第2乾燥膜)104−1を形成した(ステップS22)。
この第1バックアップ層(第2乾燥膜)104−1の形成工程と同様の操作を複数回(例えばn:6〜10回)繰り返す判断を行う(ステップS23)。所定回数(n)の第nバックアップ層104−nを積層させ(ステップS23:Yes)、複層バックアップ層105Aが形成された厚みが例えば10mmの外側鋳型となる乾燥成形体106Aを得る。
鋳型製造方法は、プライム層101Aと複層バックアップ層105Aの複数層が形成された乾燥成形体106Aを得たら、当該乾燥成形体106Aに対して熱処理を行う(ステップS24)。具体的には、外側鋳型と中子との間にあるWAXを除去し、さらに外側鋳型と中子とを焼成させる。以下、図9を用いて説明する。図9は、鋳型製造方法の一部工程を模式的に示す説明図である。鋳型製造方法は、ステップS130に示すように、プライム層101Aと複層バックアップ層105Aの複数層が形成された外側鋳型となる乾燥成形体106をオートクレーブ60の内部に入れ、加熱する。オートクレーブ60は、内部を加圧蒸気で満たすことで、乾燥成形体106内のろう型30を加熱する。これにより、ろう型30を構成するWAXが溶け、溶融WAX62が乾燥成形体106で囲まれた空間64から排出される。
鋳型製造方法は、溶けたWAX62を空間64から排出することで、ステップS131に示すように、外側鋳型となる乾燥成形体106と、中子18との間のWAXが充填されていた領域に空間64が形成された鋳型72が作製される。その後、鋳型製造方法は、ステップS132に示すように、外側鋳型となる乾燥成形体106と中子18との間に空間64が形成された鋳型72を、焼成炉70で加熱する。これにより、鋳型72は、外側鋳型となる乾燥成形体106に含まれる水成分や不要な成分が除去され、さらに、焼成されることで硬化され、外側鋳型61が形成される。鋳物製造方法は、以上のようにして鋳型72を作製する。
図2と図10を用いて、鋳造方法の説明を続ける。図10は、鋳造方法の一部工程を模式的に示す説明図である。鋳造方法は、ステップS1で鋳型を作製したら、鋳型の予熱を行う(ステップS2)。例えば、鋳型を炉(真空炉、焼成炉)内に配置し、800℃以上900℃以下まで加熱する。予熱を行うことで、鋳物の製造時に鋳型に溶湯(溶けた金属)を注入した際に鋳型が損傷することを抑制することができる。
鋳造方法は、鋳型を予熱したら、注湯を行う(ステップS3)。つまり、図10のステップS140に示すように、溶湯80、つまり溶解した鋳物の原料(例えば鋼)を鋳型72の開口から外側鋳型61と中子18との間に注入する。
鋳造方法は、鋳型72に注いだ溶湯80を固化させたら、外側鋳型61を除去する(ステップS4)。つまり、図10のステップS141に示すように、鋳型72の内部で溶湯が固まって鋳物90となったら、外側鋳型61を粉砕して破片61aとして、鋳物90から取り外す。
鋳造方法は、外側鋳型61を鋳物90から除去したら、脱中子処理を行う(ステップS5)。つまり、図10のステップS142に示すように、オートクレーブ92の内部に鋳物90を入れ、脱中子処理を行うことで、鋳物90の内部の中子18を溶解し、溶解した溶解中子94を鋳物90の内部から排出する。具体的にはオートクレーブ92の内部で鋳物90をアルカリ溶液に投入し、加圧、減圧を繰り返すことで、鋳物90から溶解中子94を排出する。
鋳造方法は、脱中子処理を行ったら、仕上げ処理を行う(ステップS6)。つまり、鋳物90の表面や内部に仕上げ処理を行う。また、鋳造方法では、仕上げ処理と共に鋳物の検品を行う。これにより、図10のステップS143に示すように、鋳物100を製造することができる。
本実施形態の鋳造方法は、以上のように、WAX(ワックス)を用いたロストワックス鋳造法を用いて鋳型を作製し、鋳物を作製する。ここで、本実施形態の鋳型製造方法、鋳造方法及び鋳型は、鋳型の外側の部分である外側鋳型を、スラリーとしてアルミナ超微粒子を用いて内周面となるプライム層(初層である第1乾燥膜)101Aを形成し、このプライム層101Aの外部に複数層のバックアップ層105Aを形成しての多層構造としている。
本実施形態の鋳造方法の際、中子の表面に被覆層が形成されているので、寸法精度が向上し、鋳込み温度が高温であっても耐久性が向上する。
また、鋳込みプロセス時間が長時間となった場合でも、高強度の中子であるので、鋳込み設計の自由度(例えば引き下げ速度を低く設定すること等)が向上する。
さらに、製品の薄肉化を図り、熱効率の良好なタービン動翼等の精密鋳造品を製造することができる。
本発明に係る精密鋳造品としては、ガスタービン動翼以外に、例えばガスタービン静翼、ガスタービン燃焼器、ガスタービン分割環等を挙げることができる。
12、22a、22b 金型
12a 凸部
14、26 矢印
16 セラミックスラリー
18 中子(コア)
18a 中子本体
18b 表面
18c 孔
19 スラリー
19a 被覆層
20、70 焼成炉
24、64 空間
28 WAX(ろう)
30 ろう型
32 湯口
40 スラリー
60、92 オートクレーブ
61 外側鋳型
61a 破片
62 溶融WAX
72 鋳型
80 溶湯
90、100 鋳物
94 溶解中子
101A、101B プライム層

Claims (5)

  1. シリカ質粒子を主成分とする焼結された精密鋳造用中子本体の表面に、粒径の異なる2種類のシリカ質材料の被覆層を形成してなり、
    前記粒径の異なる2種類のシリカ質材料が、シリカゾルと該シリカゾルよりも粒径が大きいシリカフュームからなることを特徴とする精密鋳造用中子。
  2. 請求項1において、
    シリカゾルとシリカフュームとの重量割合が1:1〜4:1であることを特徴とする精密鋳造用中子。
  3. 鋳物の製造に用いる精密鋳造用鋳型であって、
    前記鋳物の内部の空洞部分に対応する形状の請求項1又は2の精密鋳造用中子と、
    前記鋳物の外周面の形状に対応する外側鋳型と、を有ることを特徴とする精密鋳造用鋳型。
  4. シリカ質粒子を主成分とする精密鋳造用中子本体の焼結処理体を、
    シリカゾルと該シリカゾルよりも粒径が大きいシリカフュームからなる粒径の異なる2種類のシリカ質材料からなる被覆材料に浸漬し、
    次いで乾燥し、その後熱処理をし、精密鋳造用中子本体の表面に被覆層を形成することを特徴とする精密鋳造用中子の製造方法。
  5. 請求項4において、
    シリカゾルとシリカフュームとの重量割合が1:1〜4:1であることを特徴とする精密鋳造用中子の製造方法。
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