JP6196472B2 - 精密鋳造用中子及びその製造方法、精密鋳造用鋳型 - Google Patents
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Description
射出成形法は、セラミックスの粉末とワックスを混練した後、ワックスを加熱溶融させた材料を金型内に射出注入し、冷却・固化させる事によって、成形品を得る方法である。
また、スリップキャスト成形は、セラミックスの粉末を水などに混ぜてスラリを作り、これを石こう製などの溶液を吸う材質でできた成形型に注ぎ込んで乾燥し、成形する方法である。
よって、高温強度が向上した精密鋳造用中子の出現が切望されている。
シリカゾルと該シリカゾルよりも粒径が大きいシリカフュームからなる粒径の異なる2種類のシリカ質材料からなる被覆材料に浸漬し、
次いで乾燥し、その後熱処理をし、精密鋳造用中子本体の表面に被覆層を形成することを特徴とする精密鋳造用中子の製造方法にある。
本発明に係る精密鋳造用中子は、シリカ質粒子を主成分とする焼結された精密鋳造用中子本体(以下「中子本体」という。)の表面に、粒径の異なる2種類のシリカ質材料の被覆層を形成してなるものである。
本発明では、図1の下段に示すように、この表面に形成された孔18cを被覆層19aで被覆することで、孔18cを封孔するようにしている。
この中子本体は、公知の方法で製造され、シリカ質粒子として、例えばシリカフラワー(例えば800メッシュ(10〜20μm))と、シリカ砂(例えば220メッシュ(20〜70μm))とを用い、1:1の重量割合で混合したものに、ワックスを加えて、加熱混練し、コンパウンドを得る。
その後、例えば600℃までの脱脂処理を行い、次いで例えば1,200℃における焼結処理を行い、中子本体18aを得る。
被覆層19aは、粒径の異なる2種類のシリカ質材料を用いている。
ここで、2種類の粒径の異なるシリカ質材料は、第1の材料としてシリカゾル(SiO2が30重量%)を用い、第2の材料としてシリカフューム(粒径0.15μm)を用いる。
ここで、シリカゾルとシリカフュームは重量割合1:1〜4:1の割合で混練している。2:1で混練した場合のシリカゾル中のシリカ微粒子の割合は、ゾル固形分:シリカフューム=30:50となる。
その後乾燥し、次いで例えば1,000℃で熱処理を行う。この熱処理は、表面に被覆層19aが形成されれば、例えば1,000℃以下であってもよい。
また、シリカフュームは球状であるため、粒径が小さいシリカゾルが、粒径が大きいシリカフュームの粒子間の隙間に入り込み易いので、細密充填がより高まることとなる。さらに、微粒子のシリカゾルは、粒子間の付着力を向上させるので、強度向上に寄与する。
以下、本発明の効果を確認する試験例について、説明する。
本試験例では、先ずシリカフラワー(800メッシュ)と、シリカ砂(220メッシュ)を1:1の重量割合で混合したものにワックスを加えて、加熱混練し、コンパウンドを得る。ここで、シリカフラワーは、龍森社製「MCF-200C」(商品名)を、シリカ砂は龍森社製「RD− 120」(商品名)、ワックスはパラメルト社製、「Cerita Wax F30−75」(商品名)を各々用いた。
この得られたコンパウンドを、射出成形により成形体を得る。
評価試験体として、幅30×長200×厚5mmを得た。
この得られたシリカゾル−シリカフュームスラリーに、中子本体用の試験体を浸漬したのち、引き上げ、表面にシリカゾル−シリカフュームの被覆層19aを形成した。次いで乾燥後、1,000℃で熱処理を行い、中子本体表面18bに、シリカゾル−シリカフュームからなる被覆層19aを形成した。
これらの評価試験体の強度を測定した。
ここで、強度試験は、JIS R 1601による「セラミックスの曲げ強さ(1981)」に準拠しておこなった。
従来法の被覆層が形成されない比較試験体の強度は、20MPaであったのに対し、本発明法による中子本体用の試験体の強度は、25MPaであった。この結果、本発明の中子本体用の試験体は、25%の強度向上が認められた。
鋳型鋳造方法は、以上のようにして被覆層19aが形成された中子18を作製する。なお、中子18は、鋳物が固まった後に化学処理等の脱中子処理で取り除ける材料で形成される。
ここで、ステップS18で塗布するスラリーは、ろう型30に直接塗布されるスラリーである。このスラリー40は、アルミナ超微粒子が単一分散されたスラリーを用いる。このスラリー40には、フラワーとして350メッシュ程度の耐火性の微粒子、例えばジルコニアを用いることが好ましい。また、分散剤としてポリカルボン酸を用いることが好ましい。また、スラリー40には、消泡剤(シリコン系の物質)や、濡れ性改善剤を微量、例えば0.01%添加することが好ましい。濡れ性改善剤を添加することで、スラリー40のろう型30への付着性を向上させることができる。
この第1バックアップ層(第2乾燥膜)104−1の形成工程と同様の操作を複数回(例えばn:6〜10回)繰り返す判断を行う(ステップS23)。所定回数(n)の第nバックアップ層104−nを積層させ(ステップS23:Yes)、複層バックアップ層105Aが形成された厚みが例えば10mmの外側鋳型となる乾燥成形体106Aを得る。
鋳型製造方法は、溶けたWAX62を空間64から排出することで、ステップS131に示すように、外側鋳型となる乾燥成形体106と、中子18との間のWAXが充填されていた領域に空間64が形成された鋳型72が作製される。その後、鋳型製造方法は、ステップS132に示すように、外側鋳型となる乾燥成形体106と中子18との間に空間64が形成された鋳型72を、焼成炉70で加熱する。これにより、鋳型72は、外側鋳型となる乾燥成形体106に含まれる水成分や不要な成分が除去され、さらに、焼成されることで硬化され、外側鋳型61が形成される。鋳物製造方法は、以上のようにして鋳型72を作製する。
また、鋳込みプロセス時間が長時間となった場合でも、高強度の中子であるので、鋳込み設計の自由度(例えば引き下げ速度を低く設定すること等)が向上する。
さらに、製品の薄肉化を図り、熱効率の良好なタービン動翼等の精密鋳造品を製造することができる。
12a 凸部
14、26 矢印
16 セラミックスラリー
18 中子(コア)
18a 中子本体
18b 表面
18c 孔
19 スラリー
19a 被覆層
20、70 焼成炉
24、64 空間
28 WAX(ろう)
30 ろう型
32 湯口
40 スラリー
60、92 オートクレーブ
61 外側鋳型
61a 破片
62 溶融WAX
72 鋳型
80 溶湯
90、100 鋳物
94 溶解中子
101A、101B プライム層
Claims (5)
- シリカ質粒子を主成分とする焼結された精密鋳造用中子本体の表面に、粒径の異なる2種類のシリカ質材料の被覆層を形成してなり、
前記粒径の異なる2種類のシリカ質材料が、シリカゾルと該シリカゾルよりも粒径が大きいシリカフュームからなることを特徴とする精密鋳造用中子。 - 請求項1において、
シリカゾルとシリカフュームとの重量割合が1:1〜4:1であることを特徴とする精密鋳造用中子。 - 鋳物の製造に用いる精密鋳造用鋳型であって、
前記鋳物の内部の空洞部分に対応する形状の請求項1又は2の精密鋳造用中子と、
前記鋳物の外周面の形状に対応する外側鋳型と、を有ることを特徴とする精密鋳造用鋳型。 - シリカ質粒子を主成分とする精密鋳造用中子本体の焼結処理体を、
シリカゾルと該シリカゾルよりも粒径が大きいシリカフュームからなる粒径の異なる2種類のシリカ質材料からなる被覆材料に浸漬し、
次いで乾燥し、その後熱処理をし、精密鋳造用中子本体の表面に被覆層を形成することを特徴とする精密鋳造用中子の製造方法。 - 請求項4において、
シリカゾルとシリカフュームとの重量割合が1:1〜4:1であることを特徴とする精密鋳造用中子の製造方法。
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