JP2017185527A - セラミック粉体及び鋳造用セラミックス中子並びに鋳造用セラミックス中子の製造方法 - Google Patents

セラミック粉体及び鋳造用セラミックス中子並びに鋳造用セラミックス中子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザ焼結を用いて積層造形により鋳造用セラミックス中子を製造した場合に、鋳造用セラミックス中子に要求される強度及び形状精度を確保しうる材料構成を有するセラミック粉体を提供する。
【解決手段】レーザ焼結を用いて積層造形により鋳造用セラミックス中子を製造するために用いられるセラミック粉体であって、非晶質の溶融シリカを主成分とし、結晶質のシリカが添加されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、セラミック粉体及びこれを用いた鋳造用セラミックス中子、並びに係るセラミック粉体を用いた鋳造用セラミックス中子の製造方法に関するものである。
例えば、ガスタービンや航空機エンジンのタービン翼は精密鋳造品であり、内部冷却構造の形成にセラミックス中子を用いる。一般に、中子は金型での射出成形で製造されるが、射出成形を用いる場合、型抜き対策等の形状制約があり、複雑な構造には対応し難い。したがって、内部冷却構造を複雑化する上での障害となっている。
また、金属の3D積層造形を用いて動翼を製造する技術も検討されているが、現状では実用化は困難である。
一方、セラミックスの3D積層造形(単に、積層造形とも言う)についても、種々の技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
このため、セラミックス中子を、積層造形を用いて製造することが試みられつつある(例えば特許文献2参照)。
特許4378053号公報 特開2015−171725号公報
ところで、鋳造用の中子の場合、高温下(例えば、1500℃)で使用され、精密鋳造品を鋳造する場合、高い形状精度が要求される。
そこで、セラミックス中子は、高温強度を確保できること、及び、高温で収縮変形が少ないこと、の各条件を満たすことが必要である。
セラミックを積層造形する場合、粉体のセラミックをレーザ焼結して造形するが、高温強度や高温での収縮特性は、粉体の材料構成に左右され、現状では、上記のセラミックス中子の条件を満たす材料構成は開示されていない。
そこで、上記のセラミックス中子の条件を満たすセラミック粉体の材料構成の開発が要望されている。
また、積層造形を用いて形状精度が高く高温強度の高いセラミックス中子を製造する場合、粉体の材料構成のみならず、製造手法の面からのアプローチも考えられる。製造手法の面では、製造に要する時間の短縮化も要望される。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、レーザ焼結を用いて鋳造用セラミックス中子を製造した場合に、鋳造用セラミックス中子に要求される強度及び形状精度を確保しうると共に生産性を高めることができる材料構成を有するセラミック粉体、及びこのセラミック粉体を用いた鋳造用セラミックス中子を提供することを第1の目的とする。
また、係るセラミック粉体を用いて、生産性を高めながら鋳造用セラミックス中子に要求される強度及び形状精度を確保できるようにした鋳造用セラミックス中子の製造方法を提供することを第2の目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明のセラミック粉体は、レーザ焼結を用いた積層造形により鋳造用セラミックス中子を製造するために用いられ、非晶質の溶融シリカを主成分とし、結晶質のシリカが添加されていることを特徴としている。
(2)主成分である前記非晶質の溶融シリカは1μm〜50μmの粒度分布を持ち平均粒径が10〜20μmであり、添加される前記結晶質のシリカは平均粒径が20〜40μmであり、前記結晶質のシリカの添加量は5〜20質量%であることが好ましい。
(3)αアルミナが更に添加されていることが好ましい。
(4)前記αアルミナは、平均粒径が12〜25μmであって、5〜30質量%が添加されていることが好ましい。
なお、上記非晶質の溶融シリカの平均粒径は13〜17μmがより好ましく、14〜16μmが一層好ましい。
また、上記結晶質のシリカの平均粒径は25〜35μmがより好ましく、28〜32μmが一層好ましい。
上記結晶質のシリカの添加量は8〜15質量%がより好ましく、10〜12質量%が一層好ましい。
上記αアルミナの平均粒径は15〜25μmがより好ましく、17〜19μmが一層好ましい。
上記αアルミナの添加量は15〜25質量%がより好ましく、15〜20質量%が一層好ましい。
(5)平均粒径が0.1〜1μmの非晶質のシリカ微粒子1〜5質量%が更に添加されていることが好ましい。
(6)或いは、平均粒径が0.1〜1μmのαアルミナ微粒子1〜5質量%が更に添加されていることが好ましい。
(7)本発明の鋳造用セラミックス中子は、(1)〜(6)の何れかに記載のセラミック粉体を、レーザ焼結により焼結されて積層造形されたことを特徴としている。
(8)上記の目的を達成するために、本発明の鋳造用セラミックス中子の製造方法は、(1)〜(6)の何れかに記載のセラミック粉体を用いて、積層造形により、立体形状体である鋳造用セラミックス中子を製造する製造方法であって、層状に敷き詰められた前記セラミック粉体に対して、前記立体形状体の底面,周面,頂面を含む全ての輪郭部のみを、レーザ選択焼結による積層造形を用いて焼結形成する積層造形工程と、前記積層造形工程で、前記輪郭部のみを焼結形成され前記輪郭部の内部は未焼結の半完成状態の前記立体形状体を焼成し前記輪郭部の内部を焼結させる焼成工程と、を有することを特徴としている。
(9)前記積層造形工程では、前記立体形状体の前記輪郭部に加えて前記立体形状体の内部を区画するハニカム構造状にレーザ選択焼結することが好ましい。
(10)前記積層造形工程では、前記セラミック粉体をスラリ状にして用いるスラリ積層造形を実施することが好ましい。
(11)前記積層造形工程と前記焼成工程との間に、前記輪郭部の外側のセラミック粉体を除去する除去工程を有することが好ましい。
(12)上記の目的を達成するために、本発明のもう一つの鋳造用セラミックス中子の製造方法は、(1)〜(6)の何れかに記載のセラミック粉体を用いて、積層造形により、立体形状体である鋳造用セラミックス中子を製造する製造方法であって、層状に敷き詰められた前記セラミック粉体に対して、前記立体形状体の周面の輪郭部のみを、レーザ選択焼結による積層造形を用いて焼結形成すると共に、前記輪郭部で覆われた前記立体形状体の内部にバインダを供給する積層造形工程と、前記積層造形工程で、前記輪郭部のみを焼結形成され前記輪郭部の内部は未焼結の半完成状態の前記立体形状体を焼成し前記輪郭部の内部を焼結させる焼成工程と、を有することを特徴としている。
(13)前記バインダには、コロイダルシリカの無機類とポリビニルアルコールの有機類とを含む水溶液が用いられていることが好ましい。
(14)前記積層造形工程における前記バインダの供給は、インクジェット方式で行なうことが好ましい。
(15)前記積層造形工程では、前記セラミック粉体をスラリ状にして用いるスラリ積層造形を実施することが好ましい。
(16)前記積層造形工程と前記焼成工程との間に、前記輪郭部の外側のセラミック粉体を除去する除去工程を有することが好ましい。
本発明のセラミック粉体によれば、このセラミック粉体を材料として、レーザ焼結を用いて鋳造用セラミックス中子を製造することにより、鋳造用セラミックス中子に要求される所要の高温強度を確保することができると共に高温で収縮変形が少なく所要の形状精度を確保することができ、生産性を高めることもできる。
また、本発明のそれぞれの鋳造用セラミックス中子の製造方法によれば、生産性を向上させながら、鋳造用セラミックス中子に要求される所要の高温強度を確保することができると共に高温で収縮変形が少なく所要の形状精度を確保することができる。
本発明の第1実施形態に係る鋳造用セラミックス中子の製造方法を説明する模式図であり、(a0)はセラミック粉体をスラリ化する準備工程を示し、(a1)は積層造形工程を示し、(b)は完成品を示す。 本発明の第2,3実施形態に係る鋳造用セラミックス中子の製造方法の概念を説明する図であり、(a1),(a2)は本実施形態に関し、(b1),(b2)はその比較例に関する。 本発明の第2,3実施形態に係る鋳造用セラミックス中子の製造方法を示すフローチャート図である。 本発明の第2実施形態に係る鋳造用セラミックス中子の製造方法を説明する模式図であり、(a1)〜(a3)は積層造形工程を示し、(b1),(b2)は焼成工程を示す。 本発明の第2実施形態の比較例に係る鋳造用セラミックス中子の製造方法を説明する模式図であり、(a1)〜(a3)は積層造形工程を示し、(b)は完成品を示す。 本発明の第2実施形態に係る製造方法による立体形状体(鋳造用セラミックス中子)の断面をその比較例のものと共に示す顕微鏡写真(図面代用写真)であり、(a)は比較例の断面を示し、(b)は本実施形態の断面を示す。 本発明の第3実施形態に係る鋳造用セラミックス中子の製造方法を説明する模式図であり、(a1)〜(a3)は積層造形工程を示し、(b1),(b2)は焼成工程を示す。 本発明の第4実施形態に係る鋳造用セラミックス中子の製造方法を示すフローチャート図である。 本発明の第4実施形態に係る鋳造用セラミックス中子の製造方法を説明する模式図であり、(a0)はセラミック粉体をスラリ化する準備工程を示し、(a1)〜(a3)は積層造形工程を示し、(b)は除去工程を示し、(c1),(c2)は焼成工程を示す。
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態を説明する。
なお、以下に示す各実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
〔各実施形態に係るセラミック粉体〕
本発明では、セラミック粉体をレーザ焼結する3D積層造形(単に、積層造形とも言う)によって、立体形状体である鋳造用セラミックス中子(以下、鋳造用中子、又は、単に中子とも言う)、特に、精密鋳造品に好適な鋳造用セラミックス中子を製造するが、まず、係る鋳造用セラミックス中子を製造するのに適したセラミック粉体を説明する。
本実施形態に係るセラミック粉体は、非晶質の溶融シリカを主成分とし、これに、結晶質のシリカと、αアルミナとが添加されている。ただし、本発明では、αアルミナの添加は必須ではない。
シリカは、耐食性、耐熱性に優れ、非晶質の溶融シリカは更に低線熱膨張特性に優れているため、これを主成分としている。ただし、非晶質の溶融シリカのみを用いると十分な強度を確保し難く、焼成に時間を要する。そこで、結晶質のシリカを添加している。この結晶質のシリカを添加することにより、耐食性、耐熱性に優れた利点を生かしながらことにより、強度の向上及び安定性と、焼成時間の短縮化を図ることができる。
ただし、主成分(50質量%以上)として用いる非晶質の溶融シリカの強度はその粒度分布にも依存し、ある程度、粒度分布が広く粒度にバラつきがある方が焼成後の強度を高めることができる。
また、非晶質の溶融シリカの平均粒径が大き過ぎれば微細な形状の成形性を確保し難く、非晶質の溶融シリカの平均粒径が小さ過ぎれば焼成による熱収縮が大きくなり易い。
つまり、非晶質の溶融シリカは、精密鋳造に用いることができるように、精密な成形性を確保する観点から平均粒径の上限が規定され、焼成による熱収縮の抑の観点から平均粒径の下限が規定される。
このような観点から、主成分である非晶質の溶融シリカの粒度分布及び平均粒径を規定することが好ましい。
成形する立体形状体の輪郭部分には、主成分である非晶質の溶融シリカが用いられ、添加成分である結晶質のシリカは立体形状体の内部を埋めるように用いられるので、結晶質のシリカは、特に粒度分布が広い必要はなく、平均粒径も非晶質の溶融シリカよりも大きめでよい。
また、結晶質のシリカの添加量については、添加量が大き過ぎると、微細形状の成形性が低下し、添加量が少な過ぎると、強度向上効果や焼成時間の短縮効果を得難い。
このような観点から、添加成分である結晶質のシリカの平均粒径及び添加量を規定することが好ましい。
本実施形態では、更に、αアルミナを添加しているが、これも、結晶質のシリカと同様に、成形物の強度の向上及び安定性と焼成時間の短縮化とを図るためである。
このため、添加成分であるαアルミナは、特に粒度分布が広い必要はなく、平均粒径も非晶質の溶融シリカよりも大きめでよい。
また、αアルミナの添加量については、結晶質のシリカと同様に、添加量が大き過ぎると、微細形状の成形性が低下し、添加量が少な過ぎると、強度向上効果や焼成時間の短縮効果を得難い。
このような観点から、添加成分であるαアルミナの平均粒径及び添加量を規定することが好ましい。
上記の観点から、主成分である非晶質の溶融シリカについて、以下のようにその粒度分布、粒径が設定され、添加成分である結晶質のシリカ及びαアルミナについて、以下のようにその粒径、添加割合が添加されている。
主成分の非晶質の溶融シリカは、1μm〜50μmの粒度分布を持つものが好ましく、平均粒径が10〜20μmのものが好ましい。この非晶質の溶融シリカの平均粒径は13〜17μmがより好ましく、14〜16μmが一層好ましい。
添加される結晶質のシリカは、平均粒径が20〜40μmのものが好ましく、添加量は5〜20質量%が好ましい。
この結晶質のシリカの平均粒径は25〜35μmがより好ましく、28〜32μmが一層好ましい。
また、結晶質のシリカの添加量は8〜15質量%がより好ましく、10〜12質量%が一層好ましい。
添加されるαアルミナは、平均粒径が12〜25μmのものが好ましく、添加量は5〜30%質量が好ましい。
このαアルミナの平均粒径は15〜20μmがより好ましく、17〜19μmが一層好ましい。
また、αアルミナの添加量は10〜25質量%がより好ましく、15〜20質量%が一層好ましい。
なお、上記の成分構成のセラミック粉体に、平均粒径が0.1〜1μmの非晶質のシリカ微粒子1〜5%を更に添加することにより、粒子間の結合が強くなり、立体形状体である中子の強度を向上させることができる。
あるいは、上記の成分構成のセラミック粉体に、平均粒径が0.1〜1μmのαアルミナ微粒子1〜5%を更に添加することによっても、粒子間の結合が強くなり、立体形状体である中子の強度を向上させることができる。
以下に説明する鋳造用セラミックス中子の製造方法の実施形態では、上記の非晶質の溶融シリカを主成分とし結晶質のシリカとαアルミナとが添加されたセラミック粉体(セラミック粉体A)、又はこのセラミック粉体Aに非晶質のシリカ微粒子を更に添加されたセラミック粉体(セラミック粉体B)、又はセラミック粉体Aにαアルミナ微粒子を更に添加されたセラミック粉体(セラミック粉体C)を用いて鋳造用セラミックス中子の製造するものとする。
〔第1実施形態〕
第1実施形態にかかる鋳造用セラミックス中子の製造方法を説明する。
本製造方法は、レーザ選択焼結による積層造形を用いており、セラミック粉体をスラリ状にして積層造形する。
つまり、図1(a0)に示すように、セラミック粉体1に水2を加えて攪拌混合し、スラリ3を生成する。このとき、例えばセラミック粉体1を80%に水2を20%の割合で混合させる。
次に、図1(a1)に示すように、レーザ選択焼結による積層造形を行なう。この積層造形工程では、スラリ供給装置10を移動させながら台座12上にスラリ3を供給し、ドクタブレード11で所定の厚みのスラリ3の層4を形成する。層4の上部からはスラリ3に含まれた水分は蒸発していく。
この形成した層4に対し、レーザ装置13から焼結させたい部分のみにレーザ光14を照射して、要部のセラミック粉体1を焼結させる(レーザ選択焼結)。
このような処理を各層ごとに実施して、層を積層していって、所望の立体形状体(即ち、中子)5を積層造形する。
その後、図1(b)に示すように、積層造形された立体形状体5の周囲の水2を含んだセラミック粉体1を水で洗い流して除去する(除去工程)。これにより、立体形状体5の製造が完了する。
本実施形態にかかる鋳造用セラミックス中子の製造方法によれば、上記の特有の成分構成のセラミック粉体を用いて鋳造用セラミックス中子を製造するので、鋳造用中子に要求される強度及び焼成収縮量(非収縮性)を得ることができる。また、上記の特有の成分構成によりセラミック粉体の焼結時間が短くなり、生産性も向上できる。
(実施例)
なお、セラミック粉体A,B,Cを用いて本方法により立体形状体のサンプルを作りその強度及び焼成収縮量を確認した。焼成は、温度は1200〜1300℃で2時間とした。
ここでは、室温強度(三点曲げ)8MPa以上、焼成収縮率1.0%以内を強度及び焼成収縮量の目標値に設定した。
まず、第1実施例として、下記の表1に示す構成のセラミック粉体Aを用いてスラリ3を作成し、図1に示す三次元積層造形を用いて立体形状体のサンプルを製作し、その強度、及び焼成収縮量を確認した。
つまり、第1実施例に係るセラミック粉体は、1μm〜50μmの粒度分布を持つ平均粒径が16μmの非晶質の溶融シリカを主成分とし、これに平均粒径が30μmの結晶質のシリカを10質量%、平均粒径が18μmのαアルミナを20質量%、それぞれ添加したものとした。
Figure 2017185527
この結果、製作した中子は、焼成収縮率:1.0%、室温強度(三点曲げ):10MPa、1500℃強度:9MPa(1500度での収縮0%)であった。
設定した室温強度(三点曲げ)8MPa以上、焼成収縮率1.0%以内を満たすことが確認された。
また、第2実施例として、下記の表2に示す構成のセラミック粉体Bを用いてスラリ3を作成し、図1に示す三次元積層造形を用いて立体形状体のサンプルを製作し、その強度、及び焼成収縮量を確認した。
つまり、第2実施例に係るセラミック粉体は、1μm〜50μmの粒度分布を持つ平均粒径が16μmの非晶質の溶融シリカを主成分とし、これに平均粒径が30μmの結晶質のシリカを10質量%、平均粒径が18μmのαアルミナを20質量%、それぞれ添加し、平均粒径が0.1〜1μmの非晶質のシリカ微粒子1〜5%を更に添加したものとした。
Figure 2017185527
この結果、製作した中子は、焼成収縮率:1.0%、室温強度(三点曲げ):11MPa、1500℃強度:15MPa(1500度での収縮0%)であった。
設定した室温強度(三点曲げ)8MPa以上、焼成収縮率1.0%以内を満たすことが確認された。
また、第3実施例として、下記の表3に示す構成のセラミック粉体Cを用いてスラリ3を作成し、図1に示す三次元積層造形を用いて立体形状体のサンプルを製作し、その強度、及び焼成収縮量を確認した。
つまり、第3実施例に係るセラミック粉体は、1μm〜50μmの粒度分布を持つ平均粒径が16μmの非晶質の溶融シリカを主成分とし、これに平均粒径が30μmの結晶質のシリカを10質量%、平均粒径が18μmのαアルミナを20質量%、それぞれ添加し、平均粒径が0.1〜1μmのαアルミナ微粒子1〜5%を更に添加したものとした。
Figure 2017185527
この結果、製作した中子は、焼成収縮率:1.0%、室温強度(三点曲げ):10MPa、1500℃強度:9MPaであった。
設定した室温強度(三点曲げ)8MPa以上、焼成収縮率1.0%以内を満たすことが確認された。
〔第2,3実施形態〕
第2,3実施形態にかかる鋳造用セラミックス中子の製造方法を説明する。
本製造方法でも、レーザ選択焼結による積層造形を用いており、セラミック粉体をスラリ状にして積層造形する。
まず、第2及び第3実施形態に係る製造方法の原理を説明する。
図2(b1)に示すように、第1実施形態に係る製造方法では、各層のセラミック粉体の焼結を全てレーザ選択焼結により行って、図2(b2)に示す中子5を製造している。しかし、レーザによる焼結は、ピンポイントの焼結を連続して二次元状に実施するため時間を要し、コストもかかる。
そこで、第2及び第3実施形態に係る製造方法では、中子となる立体形状体の全てにレーザ焼結を用いるのではなく、立体形状体の一部のみにレーザ焼結を用いて立体形状体(中子)を製造する。
つまり、図2(a1)に示すように、立体形状体の輪郭部(底面,周面,頂面を含む全ての輪郭部)51のみを、レーザ選択焼結による積層造形を用いて焼結形成する(積層造形工程、図3のステップS10)。これにより、図2(a2)に示すように、内部に焼成されない内部セラミック粉体52を内蔵し、周囲をレーザ選択焼結による積層造形で形成された輪郭部51で包囲した半完成状態の立体形状体50を製造する。
この半完成状態の立体形状体50の周囲の水を含んだセラミック粉体を水で洗い流して除去し(除去工程、図3のステップS20)、その後、これを炉内で焼成する(焼成工程、図3のステップS30)。これにより、立体形状体(中子)が完成する。
(第2実施形態)
図4を参照して第2実施形態の製造方法を説明する。
図4(a1)に示すように、積層造形の初期(下層部の造形)において、立体形状体の底面の輪郭部51について、レーザ装置13からレーザ光14を照射し焼結させる。
底面の輪郭部が形成されたら、図4(a2)に示すように、周面の輪郭部51について、レーザ装置13からレーザ光14を照射し焼結させる。このとき、周面の輪郭部51に囲まれた内部セラミック粉体52については、立体形状体の構成部位であるがレーザ選択焼結を行なわない。
周囲の輪郭部51が形成されたら、図4(a3)に示すように、頂面の輪郭部51について、レーザ装置13からレーザ光14を照射し焼結させる。この結果、立体形状体の三次元的な輪郭が全てレーザ光14で焼結されて、その内部は焼結されていない半完成状態の立体形状体50Aが完成する(以上、積層造形工程、図3のステップS10)。
立体形状体50Aの周囲の水を含んだセラミック粉体を水で洗い流して除去する(除去工程、図3のステップS20)。得られた立体形状体50A〔図4(b1)〕を炉内で焼成して(焼成工程、図3のステップS30)。立体形状体5A〔図4(b2)〕が完成する。
本実施形態によれば、焼成に係る時間を短縮させることができ、生産性を向上させることができると共に、焼成後の立体形状体5Aの構造を強化させることができる。また、レーザ光14の照射が低減されコストを抑えることができる。
例えば、第1実施形態の場合、図5(a1)〜(a3)に示すように、中子となる立体形状体の全てにレーザ焼結を用いると、各層において広い面積でレーザ光14を照射する必要があり時間がかかりコストもかかるが、本実施形態の場合、図4(a2)に示すように、輪郭部51のみレーザ光14を照射すればよく、その後の炉内で焼成は、輪郭部51の内部を一斉に焼成できるため、焼成時間を短縮できコストも抑えられる。
また、各層を全てレーザ光14の照射で焼成すると、図6(a)に示すように、完成した立体形状体5Aの断面が層状になり、各層で全面的に連続的に焼結した組織の造形体となるために、鋳造後の脱コア時のアルカリ液が内部に浸透しにくく、脱コア性が低下する。また、積層間の強度が弱く、この部分から壊れやすい。
一方、本実施形態の方法で製造した立体形状体5Aの場合、図6(b)に示すように、立体形状体5Aの内部は、元のパウダの形状を維持したまま、粒の接触面のみ部分焼結しているため、浸透性のあるポーラス組織となり、脱コア時のアルカリ液が内部に浸透し、脱コア性が向上する。また、強度的に弱い箇所も発生し難く耐久性が向上する。
(第3実施形態)
図7を参照して第3実施形態の製造方法を説明する。
本実施形態は、第2実施形態と同様に、立体形状体の輪郭部51についてのみレーザ光14を照射し焼結させ、輪郭部51に囲まれた内部セラミック粉体52については基本的にレーザ選択焼結を行なわないが、輪郭部51に加えて立体形状体の内部を区画するハニカム構造〔ここでは、水平断面がハニカム形状(格子形状を含む)〕53を形成するようにレーザ選択焼結をする。
つまり、図7(a1)に示すように、積層造形の初期(下層部の造形)において、立体形状体の底面の輪郭部について、レーザ装置13からレーザ光14を照射し焼結させる。
底面の輪郭部51が形成されたら、図7(a2)に示すように、周面の輪郭部51と内部のハニカム構造53について、レーザ装置13からレーザ光14を照射し焼結させる。このとき、周面の輪郭部51に囲まれた内部については、全て立体形状体の構成部位であるがハニカム構造53以外はレーザ選択焼結を行なわない。
周囲の輪郭部51が形成されたら、図7(a3)に示すように、頂面の輪郭部51について、レーザ装置13からレーザ光14を照射し焼結させる。この結果、立体形状体の三次元的な輪郭が全てレーザ光で焼結されて、図7(b1)に示すように、その内部は焼結されていない半完成状態の立体形状体50Bが製造される(以上、積層造形工程、図3のステップS10)。
立体形状体50Bの周囲の水を含んだセラミック粉体を水で洗い流して除去し(除去工程、図3のステップS20)、立体形状体50B〔図7(b1)〕を炉内で焼成して(焼成工程、図3のステップS30)。立体形状体5B〔図7(b1)〕が完成する。
が完成する。
本実施形態によれば、第2実施形態の効果に加えて、内部を区画するハニカム構造とするので、内部が焼成されていない状態での形状安定性が高まり、焼成品の形状精度を高めることや、輪郭部の焼成厚みを薄くすることができ、全体としてレーザ照射による焼結量を減少させて、生産性を向上させることができる。
なお、区画するハニカム構造の形状は種々適用できる。
(第4実施形態)
図8,図9を参照して第4実施形態の製造方法を説明する。
本実施形態は、第2,3実施形態と同様に、立体形状体の輪郭部51についてのみレーザ光14を照射し焼結させ、輪郭部51に囲まれた内部セラミック粉体52については基本的にレーザ選択焼結を行なわないが、立体形状体の内部の焼成されていないセラミック粉体にバインダを供給して結合性を高めるようにしている。このバインダには、コロイダルシリカの無機類とポリビニルアルコールの有機類とを含む水溶液が用いられる。バインダは、セラミック粉体を結合できるものであればこれに限らない。
つまり、図9(a0)に示すように、セラミック粉体に水を加えて攪拌混合し、スラリ3を生成する。このとき、例えばセラミック粉体1を80%に水2を20%の割合で混合させる。
次に、図9(a1)〜(a3)に示すように、レーザ選択焼結による積層造形を行なう。この積層造形工程では、スラリ供給装置10を移動させながら台座12上にスラリ3を供給し、ドクタブレード11で所定の厚みのスラリ3の層4を形成する。層4の上部からはスラリ3に含まれた水分は蒸発していく。
この形成した層4に対し、レーザ装置13から焼結させたい輪郭部51のみにレーザ光14を照射して、要部のセラミック粉体1を焼結させる(レーザ選択焼結)。これに続いて、インクジェット方式のバインダ供給装置15から、内部の焼成されていない内部セラミック粉体52にバインダ16を供給する。バインダ16を供給された内部セラミック粉体52Aは結合性を高められる。なお、レーザ選択焼結とバインダ供給の順番は逆でもよい。
このような処理を各層ごとに実施して、層を積層していって、所望の立体形状体、即ち、中子の半完成の立体形状体50Cを積層造形する(積層造形工程、図8のステップS11)。
その後、図9(b)に示すように、積層造形された半完成の立体形状体50Cの周囲の水を含んだセラミック粉体を水で洗い流して除去する(除去工程、図8のステップS20)。
得られた立体形状体50C〔図9(c1)〕を炉内で焼成して(焼成工程、図8のステップS30)、立体形状体5C〔図9(c1)〕が完成する。
本実施形態によれば、第2実施形態と同様に、焼成に係る時間を短縮させることができ、生産性を向上させることができると共に、焼成後の立体形状体5Aの構造を強化させることができる。また、コストを抑えることもできる。
本実施形態の場合、バインダ供給によって、内部のセラミック粉体の結合性が高まるので、第3実施形態のような内部を区画するハニカム構造なしでも、内部が焼成されていない状態での形状安定性が高まる。したがって、焼成品の形状精度を高めることや、輪郭部の焼成厚みを薄くすることができ、全体としてレーザ照射による焼結量を減少させて、生産性を向上させることができる。
なお、インクジェットプリンタ方式でバインダを吐出させて立体形状体50Cを全て造形することもできるが、吐出したバインダが滲みやすく、造形物の輪郭がぼやけるため、形状精度を確保し難い。この点、本実施形態では、輪郭部51はレーザ照射により焼結させるので、形状精度を確保できる。
また、インクジェットプリンタ方式で吐出したバインダは層内で拡散するように滲むが、層間では滲みは生じ難いので、第2,3実施形態のように、立体形状体の底面,周面,頂面を含む全ての輪郭部をレーザ照射により焼結させる必要はなく、少なくとも、立体形状体の周面の輪郭部のみをレーザ照射により焼結させればよい。
〔その他〕
以上、本発明の各実施形態を説明したが、何れの実施形態の立体物やその要部の形状は一例であり、本発明は種々の形状の立体物に適用できる。
第2〜4実施形態では、便宜上輪郭部の厚みを大きく与えて表現しているが、焼結すべき輪郭部の厚さは立体形状体の大きさにもよるが1〜2mm程度でよい。
また、各実施形態では、セラミック粉体をスラリ状にして用いているが、セラミック粉体を粉体のまま用いてもよい。
また、セラミック粉体は、非晶質の溶融シリカを主成分とし、これに、結晶質のシリカが添加されていることが必要であるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、これにいずれかの添加物を加えてもよい。
1 セラミック粉体
2 水
3 スラリ
4 スラリ3の層
5,5A〜5C 立体形状体(中子)
10 スラリ供給装置
11 ドクタブレード
12 台座
13 レーザ装置
14 レーザ光
15 インクジェット方式のバインダ供給装置
16 バインダ
50,50A〜50C 半完成状態の立体形状体(中子)
51 立体形状体(中子)50A〜50Cの輪郭部
52 焼成されない内部セラミック粉体
52A バインダを供給された内部セラミック粉体
53 ハニカム形状(格子形状を含む)

Claims (16)

  1. レーザ焼結を用いて積層造形により鋳造用セラミックス中子を製造するために用いられ、非晶質の溶融シリカを主成分とし、結晶質のシリカが添加されている
    ことを特徴とする、セラミック粉体。
  2. 主成分である前記非晶質の溶融シリカは1μm〜50μmの粒度分布を持ち平均粒径が10〜20μmであり、添加される前記結晶質のシリカは平均粒径が20〜40μmであり、前記結晶質のシリカの添加量は5〜20質量%である
    ことを特徴とする、請求項1記載のセラミック粉体。
  3. αアルミナが更に添加されている
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載のセラミック粉体。
  4. 前記αアルミナは、平均粒径が12〜25μmであって、5〜30質量%が添加されている
    ことを特徴とする、請求項3記載のセラミック粉体。
  5. 平均粒径が0.1〜1μmの非晶質のシリカ微粒子1〜5質量%が更に添加されている
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のセラミック粉体。
  6. 平均粒径が0.1〜1μmのαアルミナ微粒子1〜5質量%が更に添加されている
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のセラミック粉体。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載のセラミック粉体を、レーザ焼結により焼結されて積層造形された
    ことを特徴とする、鋳造用セラミックス中子。
  8. 請求項1〜6の何れか1項に記載のセラミック粉体を用いて、積層造形により、立体形状体である鋳造用セラミックス中子を製造する製造方法であって、
    層状に敷き詰められた前記セラミック粉体に対して、前記立体形状体の底面,周面,頂面を含む全ての輪郭部のみを、レーザ選択焼結による積層造形を用いて焼結形成する積層造形工程と、
    前記積層造形工程で、前記輪郭部のみを焼結形成され前記輪郭部の内部は未焼結の半完成状態の前記立体形状体を焼成し前記輪郭部の内部を焼結させる焼成工程と、を有する
    ことを特徴とする、鋳造用セラミックス中子の製造方法。
  9. 前記積層造形工程では、前記立体形状体の前記輪郭部に加えて前記立体形状体の内部を区画するハニカム構造状にレーザ選択焼結する
    ことを特徴とする、請求項8記載の鋳造用セラミックス中子の製造方法。
  10. 前記積層造形工程では、前記セラミック粉体をスラリ状にして用いるスラリ積層造形を実施する
    ことを特徴とする、請求項5又は6記載の鋳造用セラミックス中子の製造方法。
  11. 前記積層造形工程と前記焼成工程との間に、前記輪郭部の外側のセラミック粉体を除去する除去工程を有する
    ことを特徴とする、請求項8〜10の何れか1項に記載の鋳造用セラミックス中子の製造方法。
  12. 請求項1〜6の何れか1項に記載のセラミック粉体を用いて、積層造形により、立体形状体である鋳造用セラミックス中子を製造する製造方法であって、
    層状に敷き詰められた前記セラミック粉体に対して、前記立体形状体の周面の輪郭部のみを、レーザ選択焼結による積層造形を用いて焼結形成すると共に、前記輪郭部で覆われた前記立体形状体の内部にバインダを供給する積層造形工程と、
    前記積層造形工程で、前記輪郭部のみを焼結形成され前記輪郭部の内部は未焼結の半完成状態の前記立体形状体を焼成し前記輪郭部の内部を焼結させる焼成工程と、を有する
    ことを特徴とする、鋳造用セラミックス中子の製造方法。
  13. 前記バインダには、コロイダルシリカの無機類とポリビニルアルコールの有機類とを含む水溶液が用いられている
    ことを特徴とする、請求項12記載の鋳造用セラミックス中子の製造方法。
  14. 前記積層造形工程における前記バインダの供給は、インクジェット方式で行なう
    ことを特徴とする、請求項12又は13記載の鋳造用セラミックス中子の製造方法。
  15. 前記積層造形工程では、前記セラミック粉体をスラリ状にして用いるスラリ積層造形を実施する
    ことを特徴とする、請求項12〜14の何れか1項に記載の鋳造用セラミックス中子の製造方法。
  16. 前記積層造形工程と前記焼成工程との間に、前記輪郭部の外側のセラミック粉体を除去する除去工程を有する
    ことを特徴とする、請求項12〜15の何れか1項に記載の鋳造用セラミックス中子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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RU2676721C1 (ru) * 2017-12-19 2019-01-10 Федеральное государственное унитарное предприятие "Центральный институт авиационного моторостроения имени П.И. Баранова" Способ изготовления составного керамического стержня для литья полых изделий

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