JP6264456B2 - 振動低減装置 - Google Patents

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Description

この発明は、捩り振動を低減する振動低減装置に関するものである。
上記のように構成された振動低減装置が、特開2012−225482号公報、特開2010−001905号公報、および特開平9−196122号公報にそれぞれ開示されている。例えば、特開2012−225482号公報には、捩り振動を吸収するための緩衝部材と、動力伝達経路に作用させる慣性トルクを生じる慣性体とを備えた振動低減装置が記載されている。その振動低減装置では、遊星歯車機構のサンギヤに遠心クラッチを介して慣性体を連結させるように構成されている。特開2010−001905号公報には、慣性体と一体回転するサンギヤと、変速機の入力軸と一体回転するキャリヤと、ブレーキ装置によって選択的に固定されるリングギヤとを有する遊星歯車機構を備えた振動低減装置が記載されている。その振動低減装置では、トルク変動を吸収するダンパを介して遊星歯車機構のキャリヤがエンジンと連結されている。また、特開平9−196122号公報には、遊星歯車機構のキャリヤを慣性体として機能させることが記載されている。
しかしながら、上記の各特許文献に記載された振動低減装置では、緩衝部材と慣性体とによる制振力を動力伝達経路に作用させることにより捩り振動を低減できるものの、その制振力によって車両の応答性が低下してしまうという背反がある。
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、車両の応答性が低下することを抑制するとともに、動力伝達経路に伝達する捩り振動を低減する振動低減装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、エンジンからトルクが入力される入力軸と出力軸との間で伝達されるトルクの変動によって伸縮する弾性体を有するダンパ機構と、前記トルクの変動によって自由回転して回転数が変化することにより前記トルクの変動を抑制する方向に慣性トルクを発生する慣性体とを備えている振動低減装置において、前記ダンパ機構を経由して前記入力軸と前記出力軸との間でトルクを伝達する第一経路と、前記ダンパ機構をバイパスして前記入力軸と前記出力軸との間でトルクを伝達する第二経路と、前記入力軸と前記出力軸との間でのトルクの伝達を行う経路を前記第一経路と前記第二経路とのいずれかに切り替える切替機構とを備え、前記切替機構は、前記入力軸と前記出力軸との間でトルクの伝達を行う経路を前記第一経路に切り替えた場合には前記慣性体を前記自由回転可能な状態とし、かつ前記入力軸と前記出力軸との間でトルクの伝達を行う経路を前記第二経路に切り替えた場合には前記慣性体を前記第二経路を経由したトルクの伝達のためにトルクが掛かる部材に連結するように構成されていることを特徴としている。
この発明は、上記発明において、互いに差動作用を行う複数の回転要素を有する遊星機構を更に備え、前記遊星機構は、前記入力軸からトルクが伝達される第一回転要素と、前記出力軸と一体回転する第二回転要素と、前記慣性体として機能する第三回転要素とを備え、前記ダンパ機構は、前記第一回転要素と前記第二回転要素との間でトルクを伝達するように設けられ、前記切替機構は、前記第一回転要素と前記第二回転要素との間で前記ダンパ機構に対して直列に配置された第一クラッチ機構と、前記第三回転要素を前記第一回転要素と第二回転要素とのいずれか一方に連結する第二クラッチ機構とを有することを特徴とする振動低減装置である。
この発明は、上記発明において、互いに差動作用を行う複数の回転要素を有する遊星機構を更に備え、前記遊星機構は、前記入力軸からトルクが伝達される第一回転要素と、前記出力軸と一体回転する第二回転要素と、前記慣性体として機能する第三回転要素とを備え、前記トルクが掛かる部材は、前記第三回転要素からトルクが掛かって前記第三回転要素に反力トルクを与える固定部を含み、前記切替機構は、前記第一回転要素と前記第二回転要素との間で前記ダンパ機構に対して直列に配置された第一クラッチ機構と、前記第三回転要素を前記固定部に連結する第二クラッチ機構とを有することを特徴とする振動低減装置である。
この発明は、上記発明において、前記エンジンと入力軸との間もしくは前記出力軸上に配置されたばねダンパ機構と、前記切替機構を切替動作させるコントローラとを更に備え、前記コントローラは、前記エンジンの回転数と判断の基準として予め定めた所定回転数とを比較し、前記エンジンの回転数が前記所定回転数より低回転数の場合には前記第一経路を経由して前記入力軸から前記出力軸にトルクを伝達するように前記切替機構を切り替えるように構成されていることを特徴とする振動低減装置である。
この発明は、上記発明において、前記コントローラは、前記エンジンの回転数が前記所定回転数以上の場合には前記第二経路を経由して前記入力軸から前記出力軸にトルクを伝達するように前記切替機構を切り替えるように構成されていることを特徴とする振動低減装置である。
この発明は、上記発明において、前記エンジンと入力軸との間もしくは前記出力軸上に配置されたばねダンパ機構と、前記切替機構を切替動作させるコントローラとを更に備え、前記コントローラは、前記エンジンの回転数と判断の基準として予め定めた所定回転数とを比較し、前記エンジンの回転数が前記所定回転数以上の場合には前記第二経路を経由して前記入力軸から前記出力軸にトルクを伝達するように前記切替機構を切り替えるように構成されていることを特徴とする振動低減装置である。
この発明によれば、入力軸と出力軸との間でトルクを伝達する経路を、切替機構によって第一経路に切り替えると、トルクはダンパ機構を介して伝達されるから、トルク変動が生じるとそのトルク変動がダンパ機構によって緩和され、また慣性体に加速度が作用して慣性体が慣性トルクを発生し、その慣性トルクがトルク変動を抑制するように作用する。これらのダンパ機構の作用および慣性体の作用によって出力軸でのトルク変動が抑制される。すなわち、振動を効果的に低減することができる。また、入力軸と出力軸との間でトルクを伝達する経路を、切替機構によって第二経路に切り替えると、トルクはダンパ機構を介することなく伝達されるとともに、慣性体は自由回転しなくなるので、入力軸のトルクはその伝達の過程で吸収されることなく出力軸に伝達される。すなわち、出力軸でのトルクの変化が入力軸でのトルクの変化に対して遅れることがない。したがって車両においては、アクセル操作に対する駆動力の変化の応答性が良好になる。
また、遊星機構におけるいずれか一つの回転要素が慣性体として機能するように構成すれば、変速機としての機能を兼ね備えた振動低減装置とすることができる。特に、慣性体として機能する第三回転要素を第一クラッチ機構によって第一回転要素もしくは第二回転要素に選択的に連結するように構成した場合には、変速比が「1」の変速機とすることができ、また慣性体として機能する第三回転要素を第二クラッチ機構によって固定部に選択的に連結するように構成した場合には、変速比が「1」より大きい、もしくは小さい変速機とすることができる。
前記ばねダンパ機構を更に備えた場合、エンジン回転数に応じてトルクの伝達経路を切り替えることにより、エンジン回転数が低回転数状態では、前記慣性体およひダンパ機構を有効に機能させた制振効果を得ることができ、またエンジン回転数が高回転数状態では、前記ばねダンパ機構による制振効果を得ることができ、結局、エンジン回転数の全域に亘って、振動を効果的に低減することができる。
第一実施例の振動低減装置を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合のスケルトン図である。 第一経路あるいは第二経路を設定する場合の切替機構における係合表である。 第一実施例において第一経路に設定された場合に慣性機構として機能する遊星機構の作動状態を示した共線図である。 (a)は第一経路に設定された場合の振動低減装置による制振効果と従来の装置による効果とを示した説明図であり、(b),(c),(d)は出力軸に作用するトルクパルスの一例をエンジン回転数に応じて示した波形図である。 コントローラによる切替機構の制御の一例を説明するためのフローチャートである。 第二実施例の振動低減装置を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合のスケルトン図である。 第二実施例において第二経路に設定された場合に変速装置として機能する遊星機構の作動状態を示した共線図である。 第二実施例の変形例として固定部の配置を変更した場合を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合のスケルトン図である。 第一実施例の変形例としてサンギヤを入力軸に選択的に連結するように構成された振動低減装置を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合を示したスケルトン図である。 第三実施例の振動低減装置を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合を示したスケルトン図である。 第三実施例において第一経路に設定された場合に慣性機構として機能する遊星機構の作動状態を示した共線図である。 第三実施例の変形例としてリングギヤを出力軸に選択的に連結するように構成された振動低減装置を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合を示したスケルトン図である。 第四実施例の振動低減装置を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合を示したスケルトン図である。 第四実施例において第一経路に設定された場合に慣性機構として機能する遊星機構の作動状態を示した共線図である。 第四実施例の変形例としてキャリヤを出力軸に選択的に連結するように構成された振動低減装置を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合を示したスケルトン図である。 第五実施例の振動低減装置を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合を示したスケルトン図である。 第五実施例において第二経路に設定された場合に変速装置として機能する遊星機構の作動状態を示した共線図である。 第六実施例の振動低減装置を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合を示したスケルトン図である。 第六実施例において第一経路に設定された場合に慣性機構として機能する遊星機構の作動状態を示した共線図である。 第六実施例の変形例としてサンギヤを入力軸に選択的に連結するように構成された振動低減装置を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合を示したスケルトン図である。 第七実施例の振動低減装置を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合を示したスケルトン図である。 第七実施例において第一経路に設定された場合に慣性機構として機能する遊星機構の作動状態を示した共線図である。 第七実施例の変形例としてリングギヤを出力軸に選択的に連結するように構成された振動低減装置を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合を示したスケルトン図である。 第八実施例の振動低減装置を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合を示したスケルトン図である。 第八実施例において第一経路に設定された場合に慣性機構として機能する遊星機構の作動状態を示した共線図である。 第八実施例の変形例としてキャリヤを出力軸に選択的に連結するように構成された振動低減装置を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合を示したスケルトン図である。 第九実施例の振動低減装置を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合を示したスケルトン図である。 第九実施例において第二経路に設定された場合に変速装置として機能する遊星機構の作動状態を示した共線図である。 第十実施例の振動低減装置を示し、(a)は第一経路に設定された場合、(b)は第二経路に設定された場合を示したスケルトン図である。 第十実施例において第二経路に設定された場合に変速装置として機能する遊星機構の作動状態を示した共線図である。 従来技術の一例を示し、(a)はエンジンと変速機との間で常に弾性体を介する動力伝達経路が形成される構成を示したスケルトン図であり、(b)は(a)に示す従来構成において弾性体により動力伝達経路に作用する制振効果を示した説明図である。
以下、図面を参照して、この発明の具体例における振動低減装置を説明する。
(1.第一実施例)
図1を参照して、この発明の第一実施例における振動低減装置について説明する。図1は、第一実施例の振動低減装置を車両に搭載した具体例を示している。図1に示すように、第一実施例は、エンジン10から出力された動力が振動低減装置1を介して変速機20へ伝達されるように構成されている。エンジン10は、車両の動力源であって燃料を使用する周知の内燃機関である。例えば、エンジン10は二気筒や三気筒や四気筒など比較的に少気筒数に構成されている。変速機20は、ケース内に収容された変速ギヤ機構などの周知のトランスアクスルにより構成されている。変速機20はエンジン10からの動力を変速して、デファレンシャルおよび車軸を介して駆動輪(いずれも図示せず)へ伝達するように構成されている。第一実施例では、エンジン10から変速機20へと伝達する捩り振動を低減するために、エンジン10と変速機20との間の動力伝達経路に振動低減装置1が設けられている。その動力伝達経路内において、振動低減装置1は、エンジン10側の入力軸2、および変速機20側の出力軸3と連結されている。入力軸2は、エンジン10のクランク軸(図示せず)からトルクが伝達されるように構成されている。出力軸3は、変速機20の入力軸(図示せず)と一体回転するように構成されている。なお、入力軸2と出力軸3とは、回転中心軸線が同一線上となるように配置されている。
振動低減装置1は、捩り振動を吸収する弾性体Kとしてのコイルスプリング43を有するダンパ機構4と、そのダンパ機構4のコイルスプリング43が捩り振動を吸収することにより慣性体Iとして作動する回転要素を有する遊星機構5により構成された慣性機構とを備えている。なお、弾性体Kの制振特性と慣性体Iの制振特性とは異なる。
ダンパ機構4は、互いに相対回転する入力要素41と出力要素42とを備え、コイルスプリング43を介して入力要素41と出力要素42とが連結されている。コイルスプリング43は回転方向に弾性変形(伸縮)することにより捩り振動を吸収するように構成されている。また、ダンパ機構4が捩り振動を吸収する際、コイルスプリング43が回転方向に弾性変形(伸縮)することにより、出力要素42は入力要素41に対して相対回転する。
遊星機構5は、互いに差動作用をなす複数の回転要素を有する差動機構により構成され、例えば遊星歯車機構あるいは遊星ローラ機構であってよい。第一実施例の遊星機構5は、サンギヤ5sとキャリヤ5cとリングギヤ5rとからなる三つの回転要素を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構に構成されている。サンギヤ5sは外歯歯車により構成されている。リングギヤ5rは内歯歯車により構成され、サンギヤ5sに対して同心円上に配置されている。キャリヤ5cはサンギヤ5sおよびリングギヤ5rに噛み合っているピニオンギヤ5pを保持している。遊星機構5ではピニオンギヤ5pがキャリヤ5cに保持されたままで自転可能かつ公転可能に構成されている。遊星機構5の各回転要素は回転中心軸線が入力軸2および出力軸3の回転中心軸線と同一軸線となるように配置されている。
第一実施例の慣性機構では、遊星機構5のサンギヤ5s(第三回転要素)を慣性体Iとして機能させるように構成されている。また、リングギヤ5r(第一回転要素)が入力軸2と一体回転し、キャリヤ5c(第二回転要素)が出力軸3と一体回転する。
(2.切替機構)
図1に示すように、エンジン10から変速機20に到る動力伝達経路として、ダンパ機構4のコイルスプリング43が設けられた第一経路R1と、遊星機構5が設けられた第二経路R2とが並列に形成されている。したがって、振動低減装置1は、動力伝達経路を第一経路R1あるいは第二経路R2に選択的に切り替え、かつ遊星機構5のサンギヤ5sすなわち慣性体Iによる制振力(慣性トルク)を動力伝達経路に選択的に作用させるように構成された切替機構Cを備えている。
切替機構Cは、互いに摩擦係合する係合要素を有するクラッチ機構からなる第一切替機構(以下「第一クラッチ」という)C1および第二切替機構(以下「第二クラッチ」という)C2を含む。そして、切替機構Cは、図2に示す係合表のように、動力伝達経路を第一経路R1あるいは第二経路R2に設定するように構成されている。
第一クラッチC1は、ダンパ機構4を入力軸2に選択的に連結するように構成されている。第一クラッチC1において、入力側の係合要素が入力軸2およびリングギヤ5rと一体回転し、かつ出力側の係合要素がダンパ機構4の入力要素41と一体回転する。また、第二クラッチC2は、サンギヤ5sを出力軸3に選択的に連結するように構成されている。第二クラッチC2において、入力側の係合要素がサンギヤ5sと一体回転し、かつ出力側の係合要素が出力軸3とダンパ機構4の出力要素42とキャリヤ5cと一体回転する。すなわち、ダンパ機構4は遊星機構5における二つの回転要素(具体的にはリングギヤ5rとキャリヤ5c)の間に配置され、第1クラッチC1はこのダンパ機構4に対して直列に配置されている。また、第2クラッチC2は遊星機構5における第三の回転要素(具体的にはサンギヤ5s)を、出力軸3にトルクを伝達する場合にトルクが掛かる部材であるキャリヤ5sもしくは出力軸3に連結するように構成されている。
なお、入力側とは、動力伝達経路において相対的にエンジン10側であることをいう。出力側とは、動力伝達経路において相対的に変速機20側(駆動輪側)であることをいう。すなわち、入力側および出力側は、動力伝達経路における上流側と下流側とを表現している。
また、各クラッチC1,C2は図示しないアクチュエータによって動作するように構成されている。そのアクチュエータは、油圧式や電磁式などであって、電子制御装置(以下、ECUと記す)6によって動作が制御されている。
ECU6は、マイクロコンピュータを主体にして構成され、記憶装置やインターフェイスなどを備えている。ECU6は入力されたデータおよび記憶装置内に予め記憶させられているデータを使用して各種の演算を行い、その演算結果を制御信号として出力するように構成されている。ECU6には、車速、アクセル開度、エンジン10の回転数(以下「エンジン回転数」という)Neなどが入力される。なお、エンジン回転数Neは、入力軸2の回転数と一致する。また、ECU6の記憶装置には、切替機構Cによる切替動作を制御するためのデータがマップ形式などで予め記憶されている。ECU6が出力する制御信号には、切替機構Cのアクチュエータへ出力される信号が含まれる。したがって、ECU6は車両の走行状態に応じて切替機構Cを動作制御するように構成されている。
切替機構Cによって、エンジン10から出力軸3に到る動力伝達経路を第一経路R1と第二経路R2との間で切り替える場合には、同時に、動力伝達経路にサンギヤ5sによる制振力(制振トルク、慣性トルク)を作用させる場合と、その制振力を作用させない場合とを切り替えることになる。
(2−1.第一経路)
具体的には、図2に示すように、振動低減装置1は、第一クラッチC1を係合し、かつ第二クラッチC2を開放することにより、動力伝達する経路を第一経路R1に設定する。図1(a)に示すように、第一経路R1では、第一クラッチC1を係合することにより、入力軸2からダンパ機構4を経由して出力軸3へとトルク伝達が可能になる。すなわち、第一経路R1において、コイルスプリング43は第一クラッチC1よりも駆動輪側(変速機20側,下流側)に配置されている。この場合、遊星機構5はリングギヤ5rとキャリヤ5cとの回転数差を増大もしくは減少させた回転数でサンギヤ5sを回転させる機能を奏するが、入力軸2と出力軸3との間の変速機としては機能しない。
第一経路R1に設定された場合、エンジン10でトルク変動(回転変動)が発生していない状態では、エンジン10と出力軸3との間に角加速度差(もしくは相対回転数の変化)は発生しておらず、ダンパ機構4の入力要素41と出力要素42とコイルスプリング43が等しい回転速度で回転する。さらに、その状態では、遊星機構5のサンギヤ5sと各ピニオンギヤ5pとキャリヤ5cとリングギヤ5rが等しい回転速度で一体となって回転する。
一方、第一経路R1に設定された場合において、エンジン10でトルク変動が発生して捩り振動が発生すると、コイルスプリング43がリングギヤ5rの回転方向で弾性変形しながら捩り振動を吸収することにより、エンジン10から出力軸3(変速機20)への捩り振動の伝達が低減される。
さらに、エンジン10のトルク変動が生じると、ダンパ機構4に作用するトルクが変化するので、ダンパ機構4ではコイルスプリング43の圧縮量が変化してねじれ角θを生じる。ダンパ機構4において、回転方向で出力要素42は入力要素41に対してねじれ角θのねじれの位置となる。トルクの変動が所定の幅(振幅)の変動であることにより、一時的に増大したトルクがその後に低下すると、圧縮されたコイルスプリング43が伸長する。このようなコイルスプリング43の圧縮と伸長との繰り返しによってトルク変動が緩和される。出力軸3には、コイルスプリング43の圧縮量に応じたトルクが作用する。そのトルクは上記のようにダンパ機構4によって変動が緩和されたトルクとなるので、結局、出力軸3でのトルク変動が低減される。
また、ダンパ機構4におけるコイルスプリング43の圧縮量が上記のよう変化することにより、リングギヤ5rとキャリヤ5cとの相対回転が生じる。その場合、第二クラッチC2が開放されていてサンギヤ5sが自由回転可能な状態になっていることにより、サンギヤ5sの回転数が変化する。サンギヤ5sの回転数を変化させるトルクはサンギヤ5sの角加速度とサンギヤ5sの慣性モーメントに応じた慣性トルクTiであり、この慣性トルクTiがエンジン10のトルク変動に起因するリンクギヤ5rやキャリヤ5cのトルク変動を抑制する制振トルクとして作用する。
このように、動力伝達経路として第一経路R1を選択した場合、サンギヤ5sによる慣性トルクを動力伝達経路に作用させる状態に設定したことになる。すなわち、切替機構Cによって、動力伝達経路を第一経路R1に切り替えることにより、振動低減装置1を作動できる状態に切り替えたことになる。
(2−1−1.慣性機構の作動状態)
また、図3を参照して、ダンパトルクTkおよび慣性トルクTiについて説明する。図3は、ダンパトルクTkおよび慣性トルクTiを生じる場合の遊星機構5の作動状態を示した共線図である。共線図とは、遊星機構5の回転要素であるサンギヤ5sとキャリヤ5cとリングギヤ5rとを縦線で示し、それらの間隔を遊星機構5のギヤ比ρに対応する間隔としたものである。共線図では、それぞれの縦線において横線に対する上下方向を回転方向、その上下方向での位置を回転数とする。図3では遊星機構5の各回転要素をシンボルで示してあり、Sはサンギヤ5s、Cはキャリヤ5c、Rはリングギヤ5rとなるとともに、INは遊星機構5の入力要素(エンジン10,入力軸2)、OUTは遊星機構5の出力要素(変速機20,出力軸3)となる。さらに、図3に示す四角印はダンパトルクTkおよび慣性トルクTiが生じている状態を示し、丸印はダンパトルクTkおよび慣性トルクTiが生じていない状態を示している。
図3に示すように、ダンパ機構4で正方向のダンパトルクTkが生じることによってキャリヤ5c(出力軸3)にそのダンパトルクTkが作用し、サンギヤ5sではそのダンパトルクTkに起因する負方向の慣性トルクTiが生じる。一方、ダンパ機構4で負方向のダンパトルクTkが生じると、サンギヤ5sでは正方向の慣性トルクTiが生じる。さらに、サンギヤ5sの回転数(回転速度)はダンパトルクTkの方向へ変化し、サンギヤ5sが出力軸3(キャリヤ5c)に対して相対回転する。つまり、サンギヤ5sはエンジン10のクランク軸(入力軸2)と出力軸3との間の角加速度差Δαに応じたダンパトルクTkに対して反対方向の慣性トルクTiを生じながら出力軸3に連れ回される。出力軸3には、ダンパトルクTkがサンギヤ5sに作用する際の反力として慣性トルクTiが作用するため、出力軸3に作用する慣性トルクTiの方向は負方向であり、ダンパトルクTkに対して反対方向となる。つまり、振動低減装置1は、ダンパ機構4が作動する場合に遊星機構5が慣性機構として作動して、サンギヤ5sがダンパトルクTkに起因して慣性体Iとして機能する。このようにして出力軸3に作用するダンパトルクTkおよび慣性トルクTiのトルク変動(波形)の一例を図4(c)に示してある。
図4(c)に示す例は、ダンパトルクTkの振幅Aと慣性トルクTiの振幅Bが等しい場合である。図4(c)に示すように、慣性トルクTiの位相がダンパトルクTkに対してπラジアン(180°)ずれており、ダンパトルクTkの振幅Aと慣性トルクTiの振幅Bが等しい場合には、出力軸3から変速機20へ出力される出力トルクToutにおいてトルク変動となるダンパトルクTkが慣性トルクTiによって完全に相殺される。この場合、エンジン10から変速機20へと伝達する捩り振動を最も効果的に低減させていることになる。なお、図4の詳細な説明は後述する。
(2−2.第二経路)
図2に示すように、振動低減装置1は、第一クラッチC1を開放し、かつ第二クラッチC2を係合することにより、動力伝達可能な経路を第二経路R2に設定する。図1(b)に示すように、第二経路R2では、第二クラッチC2を係合することでサンギヤ5sと各ピニオンギヤ5pとキャリヤ5cとリングギヤ5rとが一体回転するようになり、その遊星機構5を介して入力軸2から出力軸3へとトルク伝達が可能になる。つまり、第一経路R1では慣性体Iであったサンギヤ5sが第二経路R2中では回転部材として機能する。例えば、第二経路R2に設定された場合の遊星機構5の作動状態は、上述した図3に丸印で示すように、各回転要素の回転数が等しくなる。そのため、第二経路R2ではエンジン10が変速機20に直結され、入力軸2と出力軸3との間の変速比γは「1」となる。さらに、第二経路R2に設定された場合には、第一クラッチC1を開放しているので、ダンパ機構4において上述した角加速度差Δαに応じたダンパトルクTkを生じない。
(3.制振効果)
ここで、図4を参照して、第一経路R1に設定された場合の振動低減装置1による制振効果について説明する。この説明の比較例として、エンジン10から変速機20の間の動力伝達経路中に常に弾性体Kが配置された従来技術の構成例を図31(a)に示してある。また、図31(b)には、その比較例による制振効果(以下「従来効果」という)Eを一点鎖線で示してある。そして、図4(a)には、その比較例による従来効果Eを一点鎖線で示すとともに、第一経路R1に設定された場合の振動低減装置1による制振効果Sを実線で示してある。なお、図4(a)および図31(b)において、縦軸は制振効果の大小を表し、横軸はエンジン回転数を表している。
図4(a)に示すように、振動低減装置1の制振効果Sでは、エンジン回転数Neに応じて制振効果の大きさが変化し、エンジン回転数Neが所定回転数Ne1となる場合に最も制振効果Sが高くなるピーク状態Pとなる。振動低減装置1による制振効果Sのピーク状態Pでは、上述した図4(c)に示すように慣性トルクTiによってダンパ機構4から出力軸3に入力されたダンパトルクTkを完全に相殺し、出力トルクToutに振動低減装置1によるトルク変動が生じない。さらに、振動低減装置1は、ピーク状態Pにおいて従来効果Eよりも高い制振効果を発揮する。すなわち、サンギヤ5sを慣性体として作用させることにより、低回転数域での制振効果が従来技術によるよりも向上する。
また、図4(a)に示すように、エンジン回転数Neがピーク状態Pの所定回転数Ne1よりも低回転数域になると、エンジン回転数Neの低下に伴い振動低減装置1の制振効果Sが低下する。その低回転数域内において、エンジン回転数Ne2となる低速走行状態Lを図4(a)に点Lで示してある。また、図4(b)に示すように、低速走行状態Lでは、ダンパトルクTkの振幅Aがサンギヤ5sによる慣性トルクTiの振幅Bよりも大きい。つまり、ダンパ機構4に入力された捩り振動により生じたダンパトルクTkを慣性トルクTiによって完全に相殺できていないため、出力軸3において出力トルクToutがダンパトルクTkと同位相で変動(振動)する。その低速走行状態Lにおける振動低減装置1は、振動低減装置1としての制振トルク(慣性トルクTi)がピーク状態Pよりも不足しているが、従来効果Eよりも高い制振効果を発揮する。なお、低速走行状態Lは、エンジン回転数Ne2がピーク状態Pの所定回転数Ne1よりも低回転であるため、ダンパトルクTkおよび慣性トルクTiの周波数がピーク状態Pよりも低くなる。
さらに、図4(a)に示すように、エンジン回転数Neがピーク状態Pの所定回転数Ne1よりも高回転数域になると、エンジン回転数Neの上昇に伴い振動低減装置1の制振効果Sが低下する。そして、その高回転数域内において、エンジン回転数Ne3となる走行状態Xを図4(a)に点Xで示してある。エンジン回転数Ne3を境にして、振動低減装置1の制振効果Sと従来効果Eとの大小関係が逆転する。つまり、エンジン回転数Neが所定回転数Ne3よりも低回転数の場合には振動低減装置1の制振効果Sが従来効果Eよりも大きく、反対に、エンジン回転数Neが所定回転数Ne3よりも高回転数の場合には振動低減装置1の制振効果Sは従来効果Eよりも小さくなる。
例えば、図4(a)に示すように、エンジン回転数Neが所定回転数Ne3よりも高回転数域になると、エンジン回転数Neの上昇に伴い振動低減装置1の制振効果Sは従来効果Eよりも低下する。この高回転数域内において、エンジン回転数Ne4となる高速走行状態Hを図4(a)に点Hで示してある。また、図4(d)に示すように、高速走行状態Hでは、ダンパトルクTkの振幅Aがサンギヤ5sによる慣性トルクTiの振幅Bよりも小さい。この場合、振動低減装置1における制振トルクが捩り振動よりも大きくなる。つまり、慣性トルクTiに起因する振動(トルク変動)が出力軸3で生じてしまうため、出力軸3において出力トルクToutが慣性トルクTiと同位相で変動(振動)する。その高速走行状態Hにおける振動低減装置1は、振動低減装置1としての制振トルク(慣性トルクTi)がピーク状態Pよりも過剰に出力軸3に作用し、サンギヤ5sが起振力として出力軸3に作用するとともに、制振効果Sが従来効果Eよりも小さくなる。なお、高速走行状態Hは、エンジン回転数Ne4がピーク状態Pの所定回転数Ne1よりも高回転であるため、ダンパトルクTkおよび慣性トルクTiの周波数がピーク状態Pよりも高くなる。
上述したように、この発明の実施例である上記の振動低減装置1による制振効果は、上記の所定回転数Ne3を境にして、従来技術との優劣が反転する。その従来技術として挙げてある例は、慣性体やそれによる制振効果のないばねダンパ機構を設けた例である。このような動力の伝達経路は、エンジンと変速機とを選択的に連結するクラッチにばねダンパ機構を設けた伝達経路、あるいは変速機20にばねダンパ機構を内蔵させた伝達経路と同様である。したがって、この種の一般的なクラッチあるいはばねダンパ機構を設けた車両に上述したこの発明の実施例である振動低減装置1を組み込んだ場合、図4の(a)に実線で示す制振効果と破線で示す制振効果を得ることが可能になる。すなわち、前述したECU6によって、エンジン回転数Neに応じて切替機構Cの切替制御を行う。この場合、ECU6がこの発明の実施例におけるコントローラに相当する。
その制御例を図5にフローチャートで示してある。図5に示す制御は、上記の第二経路R2によって入力軸2から出力軸3にトルクを伝達する場合であっても、所定のばねダンパ機構による制振作用が生じるように構成された車両を対象として実施される。この種のばねダンパ機構Dの一例は、エンジン10と入力軸2との間に設けられる機構であり、これを図1に破線で示してある。
図5に示すルーチンは、エンジン10が起動されている状態で所定時間ごとに繰り返し実行される。先ず、エンジン回転数Neが上述した所定回転数Ne3以上か否かが判断される(ステップS1)。エンジン回転数Neはエンジン制御のために常時検出されているから、その検出値を使用すればよい。また、所定回転数Ne3は、実際の車両もしくはそのモデルを用いて実測し、あるいはシミュレートすることにより求めておくことができる。
ステップS1で否定的に判断された場合には、エンジン回転数Neが低い状態になっていて、前述した慣性体Iおよびダンパ機構Kを使用した制振が有効であるから、第二クラッチC2が開放状態(OFF)に制御され(ステップS2)、かつ第一クラッチC1が係合状態(ON)に制御され(ステップS3)、リターンする。すなわち、前述した第一経路R1が設定される。したがって、振動低減装置1が動作し、その制振効果は図4の(a)に示すように、従来技術によるよりも優れた効果となり、エンジン回転数Ne低回転数である状態における振動を効果的に低減することができる。
これに対して、エンジン回転数Neが前記所定回転数Ne3以上であることによりステップS1で肯定的に判断された場合には、第二クラッチC2が係合状態(ON)に制御され(ステップS4)、かつ第一クラッチC1が開放状態(OFF)に制御され(ステップS5)、リターンする。すなわち、前述した第二経路R2が設定される。したがって、入力軸2と出力軸3とは、全体が一体化されている遊星機構5を介して連結され、入力軸2と出力軸3との間には振動低減作用を特に行う機構は介在しないことになる。なお、エンジン10と変速機20との間には、ばねダンパ機構Dが介在している。このばねダンパ機構Dは、制振のための慣性トルクを発生する部材を備えていないので、その制振効果は図4の(a)に破線で示すような特性になる。エンジン回転数Neが所定回転数Ne3以上の場合には、この破線で示す制振特性のダンパ機構Dによる振動低減が行われるので、車両の振動が悪化することが防止もしくは抑制される。また、この場合、トルクをばねの変位によって吸収する作用が少なくなるので、エンジン10のトルクの変化に対する出力軸3のトルクの変化の遅れが抑制される。そのため、例えばアクセル操作に対する駆動トルクの応答性が向上する。
以上説明した通り、第一実施例の振動低減装置によれば、車両の走行状態に応じて、慣性体による慣性トルクを動力伝達経路に選択的に作用させることによって、動力伝達経路を伝達する捩り振動を効果的に低減できるとともに、車両の応答性が低下することを抑制することができる。なお、図5に示す制御は、以下に説明する各実施例においても、上記のばねダンパ機構Dと同様のばねダンパ機構を設けることにより、上記の第一実施例と同様に実施して、同様の作用・効果を得ることができる。
(4.第二実施例)
次に、第二実施例の振動低減装置について説明する。第二実施例は、第一実施例とは異なり、第一経路に設定した場合に慣性体として機能する遊星機構の回転要素を、第二経路に設定する場合には固定するように構成されている。そのため、第二実施例において第二経路に設定した場合には、遊星機構が変速装置として機能し、入力軸から出力軸の間の変速比が「1」以外の値となる。以下、図6を参照して、第二実施例について具体的に説明する。なお、第二実施例の説明において、第一実施例と同様の構成については説明を省略しその参照符号を引用する。
図6に示すように、第二実施例の振動低減装置200では、第二クラッチC2がサンギヤ5sをケースなどの固定部7に選択的に連結するように構成されている。第二クラッチC2において、固定側の係合要素が固定部7に連結(一体化)され、かつ回転側の係合要素がサンギヤ5sと一体回転する。固定部7は、軸線方向で遊星機構5よりも変速機20側に配置されている。
図6(a)に示すように、振動低減装置200は、第一クラッチC1を係合し、かつ第二クラッチC2を開放することにより第一経路R1に設定することで、遊星機構5のサンギヤ5sを慣性体Iとして機能させるように構成されている。なお、第二実施例において、第一経路R1に設定された場合の遊星機構5による制振効果は、上述した第一実施例と同様である。
図6(b)に示すように、振動低減装置200は、第一クラッチC1を開放し、かつ第二クラッチC2を係合することにより第二経路R2に設定することで、サンギヤ5sを固定部7に固定する。第二クラッチC2はサンギヤ5sを固定部7に連結している。したがって、第二経路R2中の遊星機構5は、サンギヤ5s(第三回転要素)が固定要素、キャリヤ5c(第二回転要素)が出力要素、リングギヤ5r(第一回転要素)が入力要素となり変速装置として機能する。すなわち、遊星機構5による変速比は「1」以外の値になる。
図7は、振動低減装置200において、第二経路R2に設定された場合に変速装置として機能する遊星機構5の作動状態を示した共線図である。図7に示すように、サンギヤ5sを固定してその回転を止める方向の反力トルクをサンギヤ5sに作用させることにより、出力要素となるキャリヤ5cは入力要素となるリングギヤ5rよりも低回転数になる。つまり、この遊星機構5による変速比は「1」よりも大きい値になり、遊星機構5は減速装置として機能する。そのため、第二実施例の第二経路R2において、入力軸2と出力軸3との間の変速比γは「1」より大きい値となり、エンジン10からのトルクを遊星機構5で増幅して出力軸3に伝達できる。したがって、固定部7がこの発明の実施例における「トルクが掛かる部材」に相当している。
以上説明した通り、第二実施例によれば、第一実施例と同様の効果を得られるとともに、第一経路に設定した場合に慣性機構として機能する遊星機構を、第二経路に設定した場合には変速装置として機能させることができる。
なお、上述した第二実施例の説明では、固定部7を軸線方向で遊星機構5よりも変速機20側に設けるものとしたが、固定部7を設ける位置は、サンギヤ5sを選択的に固定できる位置であればよく、上述した位置に限定されない。例えば、図8に示す振動低減装置200のように、固定部7を軸線方向で遊星機構5よりもエンジン10側に設けることが可能である。
さらに、この発明の振動低減装置は、上述した第一実施例および第二実施例に限定されず、この発明の目的を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
(5.第一実施例の変形例)
例えば、上述した第一実施例では、第二クラッチC2によって慣性体Iとして機能するサンギヤ5sを出力軸3に選択的に連結する構成について説明したが、この発明はこれに限定されず、図9に示すようにサンギヤ5sを入力軸2に選択的に連結する第二クラッチC2を備えた振動低減装置100に構成されてもよい。この振動低減装置100の第二クラッチC2は、サンギヤ5sを入力軸2もしくはリングギヤ5rに選択的に連結するように構成されている。したがって、入力軸2もしくはリングギヤ5rがこの発明の実施例における「トルクの掛かる部材」に相当している。第二クラッチC2において、入力側の係合要素が入力軸2とリングギヤ5rと第一クラッチC1における入力側の係合要素と一体回転し、かつ出力側の係合要素がサンギヤ5sと一体回転する。なお、振動低減装置100は、図9(a)に示す第一経路R1に設定された場合、および図9(b)に示す第二経路R2に設定された場合において、上述した第一実施例と同様に作動する。さらに、第一経路R1に設定された場合、振動低減装置100における遊星機構5は、上述した図3に共線図で示す作動状態と同様である。
要するに、第二クラッチを係合することにより遊星機構における全ての回転要素が一体回転する場合、慣性体として機能する回転要素を入力軸あるいは出力軸のどちらに連結させてもよい。したがって、図10に示す遊星機構5のリングギヤ5rが慣性体Iとして機能するように構成された第三実施例の振動低減装置110、あるいは図13に示す遊星機構5のキャリヤ5cが慣性体Iとして機能するように構成された第四実施例の振動低減装置130のように、第二クラッチC2によって慣性体Iとしての回転要素(第三回転要素)を入力軸2あるいは出力軸3に連結させるように構成することができる。なお、以下の第三実施例および第四実施例の説明において、上述した第一実施例と同様の構成については説明を省略しその参照符号を引用する。
(5−1.第三実施例)
まず、図10を参照して、第三実施例の振動低減装置110について説明する。図10(a)に示すように、第一経路R1に設定された場合、振動低減装置110の遊星機構5は、リングギヤ5r(第三回転要素)が慣性体Iとして機能し、サンギヤ5s(第一回転要素)が入力軸2と一体回転し、キャリヤ5c(第二回転要素)が出力軸3と一体回転する。第三実施例の第二クラッチC2は、慣性体Iとしてのリングギヤ5rを入力軸2もしくはリングギヤ5rに選択的に連結するように構成されている。したがって、入力軸2もしくはリングギヤ5rが、この発明の実施例における「トルクの掛かる部材」に相当している。第二クラッチC2において、出力側の係合要素がリングギヤ5rと一体回転する。また、第一クラッチC1において、入力側の係合要素が入力軸2とサンギヤ5sと第二クラッチC2における入力側の係合要素と一体回転し、かつ出力側の係合要素がダンパ機構4の入力要素41と一体回転する。そして、図10(b)に示すように、第二経路R2に設定された場合、リングギヤ5rが入力要素のサンギヤ5sおよび出力要素のキャリヤ5cと一体回転する。
さらに、第三実施例において第一経路R1に設定された場合、振動低減装置110における遊星機構5は、図11に共線図で示す作動状態となる。図11に示すように、ダンパ機構4で正方向のダンパトルクTkが生じることによってキャリヤ5c(出力軸3)にそのダンパトルクTkが作用し、リングギヤ5rではそのダンパトルクTkに起因する負方向の慣性トルクTiが生じる。一方、ダンパ機構4で負方向のダンパトルクTkが生じると、リングギヤ5rでは正方向の慣性トルクTiが生じる。さらに、リングギヤ5rの回転数(回転速度)はダンパトルクTkの方向へ変化し、リングギヤ5rが出力軸3(キャリヤ5c)に対して相対回転する。つまり、リングギヤ5rはエンジン10のクランク軸(入力軸2)と出力軸3との間の角加速度差Δαに応じたダンパトルクTkに対して反対方向の慣性トルクTiを生じながら出力軸3に連れ回される。出力軸3には、ダンパトルクTkがリングギヤ5rに作用する際の反力として慣性トルクTiが作用するため、出力軸3に作用する慣性トルクTiの方向はダンパトルクTkに対して反対方向となる。つまり、振動低減装置110は、ダンパ機構4が作動する場合に遊星機構5が慣性機構として作動して、リングギヤ5rがダンパトルクTkに起因して慣性体Iとして機能するように構成されている。なお、第三実施例においても、図4を参照して上述した制振効果Sと同様の効果を発揮する。
以上説明した通り、第三実施例の振動低減装置によれば、慣性体として機能する回転要素をリングギヤに変更し、そのリングギヤを入力軸あるいは出力軸に選択的に連結させるとともに、切替機構およびダンパ機構の配置を変更した場合も、第一実施例と同様の効果を得ることができる。
なお、上述した第三実施例の変形例として、図12に示す振動低減装置120のように、慣性体Iとしてのリングギヤ5rを出力軸3もしくはキャリヤ5cに連結する第二クラッチC2を備えた構成であってもよい。図12に示す第二クラッチC2は、リングギヤ5rを出力軸3もしくはキャリヤ5cに選択的に連結するように構成されている。したがって、出力軸3もしくはキャリヤ5cが、この発明の実施例における「トルクの掛かる部材」に相当している。第二クラッチC2において、入力側の係合要素がリングギヤ5rと一体回転し、かつ出力側の係合要素が出力軸3とキャリヤ5cとダンパ機構4の出力要素42と一体回転する。また、振動低減装置120は、図12(a)に示す第一経路R1に設定された場合、および図12(b)に示す第二経路R2に設定された場合において、上述した第三実施例と同様に作動する。
(5−2.第四実施例)
次に、図13を参照して、第四実施例の振動低減装置130について説明する。図13(a)に示すように、第一経路R1に設定された場合、振動低減装置130の遊星機構5は、キャリヤ5c(第三回転要素)が慣性体Iとして機能し、サンギヤ5s(第一回転要素)が入力軸2と一体回転し、リングギヤ5r(第二回転要素)が出力軸3と一体回転する。第四実施例の第二クラッチC2は、慣性体Iとしてのキャリヤ5cを入力軸2もしくはサンギヤ5sに選択的に連結するように構成されている。したがって、入力軸2もしくはキャリヤ5cが、この発明の実施例における「トルクの掛かる部材」に相当している。第二クラッチC2において、出力側の係合要素がキャリヤ5cと一体回転する。また、第四実施例のダンパ機構4は、出力要素42がリングギヤ5rおよび出力軸3と一体回転する。図13(b)に示すように、第二経路R2に設定された場合、キャリヤ5cは入力要素のサンギヤ5sおよび出力要素のリングギヤ5rと一体回転する。なお、第四実施例の第一クラッチC1は上述した第三実施例と同様に構成されている。
さらに、第四実施例において第一経路R1に設定された場合、振動低減装置130における遊星機構5は、図14に共線図で示す作動状態となる。図14に示すように、ダンパ機構4で正方向のダンパトルクTkが生じることによってリングギヤ5r(出力軸3)にそのダンパトルクTkが作用し、キャリヤ5cではそのダンパトルクTkに起因する負方向の慣性トルクTiが生じる。一方、ダンパ機構4で負方向のダンパトルクTkが生じると、キャリヤ5cでは正方向の慣性トルクTiが生じる。さらに、キャリヤ5cの回転数(回転速度)はダンパトルクTkの方向へ変化し、キャリヤ5cが出力軸3(リングギヤ5r)に対して相対回転する。つまり、キャリヤ5cはエンジン10のクランク軸(入力軸2)と出力軸3との間の角加速度差Δαに応じたダンパトルクTkに対して反対方向の慣性トルクTiを生じながら出力軸3に連れ回される。出力軸3には、ダンパトルクTkがキャリヤ5cに作用する際の反力として慣性トルクTiが作用するため、出力軸3に作用する慣性トルクTiの方向はダンパトルクTkに対して反対方向となる。つまり、振動低減装置130は、ダンパ機構4が作動する場合に遊星機構5が慣性機構として作動して、キャリヤ5cがダンパトルクTkに起因して慣性体Iとして機能するように構成されている。なお、第四実施例においても、図4を参照して上述した制振効果Sと同様の効果を発揮する。
以上説明した通り、第四実施例の振動低減装置によれば、慣性体として機能する回転要素をキャリヤに変更し、そのキャリヤを入力軸あるいは出力軸に選択的に連結させるとともに、切替機構およびダンパ機構の配置を変更した場合も、第一実施例と同様の効果を得ることができる。
なお、上述した第四実施例の変形例として、図15に示す振動低減装置140のように、慣性体Iとしてのキャリヤ5cを出力軸3もしくはリングギヤ5rに連結する第二クラッチC2を備えた構成であってもよい。図15に示す第二クラッチC2は、キャリヤ5cを出力軸3もしくはリングギヤ5rに選択的に連結するように構成されている。したがって、出力軸3もしくはリングギヤ5rが、この発明の実施例における「トルクの掛かる部材」に相当している。第二クラッチC2において、入力側の係合要素がキャリヤ5cと一体回転し、かつ出力側の係合要素が出力軸3とリングギヤ5rとダンパ機構4の出力要素42と一体回転する。また、振動低減装置140は、図15(a)に示す第一経路R1に設定された場合、および図15(b)に示す第二経路R2に設定された場合において、上述した第四実施例と同様に作動する。
(6.第二実施例の変形例)
また、第二実施例についても変形例を構成することができる。上述した第二実施例では、第二クラッチC2によって慣性体Iとして機能するサンギヤ5sを固定部7に選択的に連結する構成について説明したが、この発明はこれに限定されず、サンギヤ5S以外の回転要素を慣性体Iとして機能させるように構成することができ、その慣性体Iとしての回転要素を第二クラッチC2によって選択的に固定するように構成されてもよい。具体的には、図16に示す遊星機構5のリングギヤ5rが慣性体Iとして機能するように構成された第五実施例の振動低減装置210のように、第二クラッチC2によって慣性体Iとしての回転要素(第三回転要素)を固定部7に連結させるように構成することができる。なお、以下の第五実施例の説明において、上述した第二実施例と同様の構成については説明を省略しその参照符号を引用する。
(6−1.第五実施例)
まず、図16を参照して、第五実施例の振動低減装置210について説明する。図16(a)に示すように、第一経路R1に設定された場合、振動低減装置210は、遊星機構5のリングギヤ5rを慣性体Iとして機能させるように構成されている。振動低減装置210の遊星機構5において、慣性体Iとしてのリングギヤ5r(第三回転要素)を備え、入力要素となるサンギヤ5s(第一回転要素)が入力軸2と一体回転し、かつ出力要素となるキャリヤ5c(第二回転要素)が出力軸3と一体回転する。
振動低減装置210では、第二クラッチC2によってリングギヤ5rをケースなどの固定部7に選択的に連結するように構成されている。固定部7は、軸線方向で遊星機構5よりもエンジン10側に配置されている。第二クラッチC2はリングギヤ5rを選択的に固定するように機能する。第二クラッチC2において、固定側の係合要素が固定部7に連結(一体化)され、かつ回転側の係合要素がリングギヤ5rと一体回転する。したがって、固定部7が、この発明の実施例における「トルクの掛かる部材」に相当している。また、第一クラッチC1において、入力側の係合要素が入力軸2およびサンギヤ5sと一体回転し、かつ出力側の係合要素がダンパ機構4の入力要素41と一体回転する。そして、図16(b)に示すように、第二経路R2に設定された場合、リングギヤ5rが固定部7に固定され固定要素となる。したがって、第二経路R2中の遊星機構5は、サンギヤ5sが入力要素、キャリヤ5cが出力要素、リングギヤ5rが固定要素となり変速装置として機能する。
図17は、振動低減装置210において、第二経路R2に設定された場合に変速装置として機能する遊星機構5の作動状態を示した共線図である。図17に示すように、リングギヤ5rを固定することにより、出力要素となるキャリヤ5cは入力要素となるサンギヤ5sよりも低回転数になる。つまり、この遊星機構5による変速比は「1」よりも大きい値になり、遊星機構5は減速装置として機能する。そのため、第五実施例の第二経路R2において、入力軸2と出力軸3との間の変速比γは「1」より大きい値となり、エンジン10からのトルクを遊星機構5で増幅して出力軸3に伝達できる。
以上説明した通り、第五実施例の振動低減装置によれば、慣性体として機能する回転要素をリングギヤに変更し、そのリングギヤを選択的に固定するとともに、切替機構およびダンパ機構の配置を変更した場合も、第二実施例と同様の効果を得ることができる。
なお、上述した第五実施例において、固定部7を設ける位置は、リングギヤ5rを選択的に固定できる位置であればよく、上述した位置に限定されない。例えば、固定部7を軸線方向で遊星機構5よりも変速機20側に設けることが可能である。
(7.第一実施例の他の変形例)
さらに、上述した第一実施例では、シングルピニオン型の遊星機構からなる慣性機構を備えた構成について説明したが、この発明はこれに限定されず、ダブルピニオン型の遊星機構により慣性機構を構成してもよい。したがって、ダブルピニオン型の遊星機構において、いずれか一つの回転要素を慣性体として機能させるように構成できる。そして、その慣性体としての回転要素を第二クラッチC2によって入力軸2あるいは出力軸3に選択的に連結するように構成されてよい。ここでは、ダブルピニオン型の遊星機構において、サンギヤを慣性体として機能させる場合を第六実施例、リングギヤを慣性体として機能させる場合を第七実施例、そしてキャリヤを慣性体として機能させる場合を第八実施例とする。第六実施例の振動低減装置については図18を参照し、第七実施例の振動低減装置については図21を参照し、第八実施例の振動低減装置については図24を参照して説明する。なお、各変形例の説明において、上述した第一実施例と同様の構成については説明を省略しその参照符号を引用する。
(7−1.第六実施例)
図18に示すように、第六実施例の振動低減装置300は、慣性機構としてダブルピニオン型に構成された遊星機構9を備えている。例えば、遊星機構9は遊星歯車機構あるいは遊星ローラ機構であってよい。第七実施例の遊星機構9は、サンギヤ9sとキャリヤ9cとリングギヤ9rとからなる三つの回転要素を備えたダブルピニオン型の遊星歯車機構に構成されている。サンギヤ9sは外歯歯車により構成されている。リングギヤ9rは内歯歯車により構成され、サンギヤ9sに対して同心円上に配置されている。キャリヤ9cは、サンギヤ9sに噛み合っている第一ピニオンギヤ9p1と、リングギヤ9rに噛み合っている第二ピニオンギヤ9p2とを保持している。遊星機構9では各ピニオンギヤ9p1,9p2がキャリヤ9cに保持されたままで自転可能かつ公転可能に構成されている。
図18(a)に示すように、振動低減装置300は、第一クラッチC1を係合しかつ第二クラッチC2を開放して第一経路R1を設定することによって、遊星機構9のサンギヤ9sを慣性体Iとして機能させるように構成されている。振動低減装置300の遊星機構9において、慣性体Iとしてのサンギヤ9s(第三回転要素)を備え、入力要素となるリングギヤ9r(第一回転要素)は入力軸2と一体回転し、かつ出力要素となるキャリヤ9c(第二回転要素)は出力軸3と一体回転する。第二クラッチC2は、出力軸3もしくはキャリヤ9cとサンギヤ9sとを選択的に連結するように構成されている。したがって、出力軸3もしくはキャリヤ9cが、この発明の実施例における「トルクの掛かる部材」に相当している。第二クラッチC2において、入力側の係合要素がサンギヤ9sと一体回転し、かつ出力側の係合要素が出力軸3とキャリヤ9cとダンパ機構4の出力要素42と一体回転する。また、第一クラッチC1において、入力側の係合要素が入力軸2およびリングギヤ9rと一体回転し、かつ出力側の係合要素がダンパ機構4の入力要素41と一体回転する。そして、図18(b)に示すように、第二経路R2に設定された場合、サンギヤ9sが入力要素のリングギヤ9rおよび出力要素のキャリヤ9cと一体になって回転する。
また、第六実施例において第一経路R1に設定された場合、振動低減装置300における遊星機構9は、図19に共線図で示す作動状態となる。図19に示す共線図では、遊星機構9の回転要素であるサンギヤ9sとリングギヤ9rとキャリヤ9cとを縦線で示し、それらの間隔を遊星機構9のギヤ比ρに対応する間隔とする。なお、図19では遊星機構9の各回転要素をシンボルで示してあり、Sはサンギヤ9s、Rはリングギヤ9r、Cはキャリヤ9cとなる。さらに、図19に示す四角印はダンパトルクTkおよび慣性トルクTiが生じている状態を示し、丸印はダンパトルクTkおよび慣性トルクTiが生じていない状態を示している。
図19に示すように、ダンパ機構4で正方向のダンパトルクTkが生じることによってキャリヤ9c(出力軸3)にそのダンパトルクTkが作用し、サンギヤ9sではそのダンパトルクTkに起因する正方向の慣性トルクTiが生じる。一方、ダンパ機構4で負方向のダンパトルクTkが生じると、サンギヤ9sでは負方向の慣性トルクTiが生じる。さらに、サンギヤ9sの回転数(回転速度)はダンパトルクTkの方向へ変化し、サンギヤ9sは自由回転可能な状態であることにより出力軸3(キャリヤ9c)に対して相対回転する。つまり、サンギヤ9sはエンジン10のクランク軸(入力軸2)と出力軸3との間の角加速度差Δαに応じたダンパトルクTkに対して同一方向の慣性トルクTiを生じながら出力軸3に連れ回される。出力軸3には、ダンパトルクTkがサンギヤ9sに作用する際の反力として慣性トルクTiが作用するため、出力軸3に作用する慣性トルクTiの方向はダンパトルクTkに対して反対方向となる。つまり、振動低減装置300は、ダンパ機構4が作動する場合に遊星機構9が慣性機構として作動して、サンギヤ9sがダンパトルクTkに起因して慣性体Iとして機能する。なお、第六実施例においても、図4を参照して上述した制振効果Sと同様の効果を発揮する。
以上説明した通り、第七実施例の振動低減装置によれば、慣性機構としての遊星機構をダブルピニオン型により構成した場合も、第一実施例と同様の効果を得ることができる。
なお、上述した第六実施例のように遊星機構がダブルピニオン型に構成された場合も、第二クラッチを係合することにより遊星機構における全ての回転要素が一体回転するので、慣性体として機能する回転要素を入力軸あるいは出力軸のどちらに連結させてもよい。したがって、第六実施例の変形例として、図20に示す振動低減装置310のように、慣性体Iとしてのサンギヤ9sを入力軸2に連結する第二クラッチC2を備えた構成であってもよい。図20に示す第二クラッチC2は、サンギヤ9sを入力軸2に選択的に連結するように構成されている。第二クラッチC2において、入力側の係合要素が入力軸2とリングギヤ9rと第一クラッチC1における入力側の係合要素と一体回転し、かつ出力側の係合要素がサンギヤ9sと一体回転する。そして、振動低減装置310は、図20(a)に示す第一経路R1に設定された場合、および図20(b)に示す第二経路R2に設定された場合において、上述した第六実施例と同様に作動する。
(7−2.第七実施例)
図21に示すように、第七実施例の振動低減装置320は、上述した第六実施例の変形例であって、特に上述した第三実施例の遊星機構をダブルピニオン型により構成した変形例である。なお、第七実施例の説明において、上述した第六実施例と同様の構成については説明を省略しその参照符号を引用する。
図21(a)に示すように、第一経路R1に設定された場合、振動低減装置320の遊星機構9は、リングギヤ9r(第三回転要素)が慣性体Iとして機能し、サンギヤ9s(第一回転要素)が入力軸2と一体回転し、キャリヤ9c(第二回転要素)が出力軸3と一体回転する。第七実施例の第二クラッチC2は、慣性体Iとしてのリングギヤ9rを入力軸2もしくはサンギヤ9sに選択的に連結するように構成されている。したがって、入力軸2もしくはサンギヤ9sが、この発明の実施例における「トルクの掛かる部材」に相当している。第二クラッチC2において、入力側の係合要素が入力軸2とサンギヤ9sと第一クラッチC1における入力側の係合要素と一体回転し、かつ出力側の係合要素がリングギヤ9rと一体回転する。また、第一クラッチC1において、入力側の係合要素が入力軸2とサンギヤ9sと第二クラッチC2における入力側の係合要素と一体回転し、かつ出力側の係合要素がダンパ機構4の入力要素41と一体回転する。そして、図21(b)に示すように、第二経路R2に設定された場合、リングギヤ9rが入力要素のサンギヤ9sおよび出力要素のキャリヤ9cと一体回転する。
また、第七実施例において第一経路R1に設定された場合、振動低減装置320における遊星機構9は、図22に共線図で示す作動状態となる。図22に示すように、ダンパ機構4で正方向のダンパトルクTkが生じることによってキャリヤ9c(出力軸3)にそのダンパトルクTkが作用し、リングギヤ9rでは自由回転可能な状態であることによりそのダンパトルクTkに起因する負方向の慣性トルクTiが生じる。一方、ダンパ機構4で負方向のダンパトルクTkが生じると、リングギヤ9rでは正方向の慣性トルクTiが生じる。さらに、リングギヤ9rの回転数(回転速度)はダンパトルクTkの方向へ変化し、リングギヤ9rが出力軸3(キャリヤ9c)に対して相対回転する。つまり、リングギヤ9rはエンジン10のクランク軸(入力軸2)と出力軸3との間の角加速度差Δαに応じたダンパトルクTkに対して反対方向の慣性トルクTiを生じながら出力軸3に連れ回される。出力軸3には、ダンパトルクTkがリングギヤ9rに作用する際の反力として慣性トルクTiが作用するため、出力軸3に作用する慣性トルクTiの方向はダンパトルクTkに対して反対方向となる。つまり、振動低減装置320は、ダンパ機構4が作動する場合に遊星機構9が慣性機構として作動して、リングギヤ9rがダンパトルクTkに起因して慣性体Iとして機能する。なお、第七実施例においても、図4を参照して上述した制振効果Sと同様の効果を発揮する。
以上説明した通り、第七実施例の振動低減装置によれば、慣性機構としての遊星機構をダブルピニオン型により構成した場合であって、慣性体として機能する回転要素をリングギヤに変更し、そのリングギヤを入力軸に選択的に連結させるとともに、切替機構の配置を変更した場合も、第一実施例と同様の効果を得ることができる。
なお、上述した第七実施例の変形例として、図23に示す振動低減装置330のように、慣性体Iとしてのリングギヤ9rを出力軸3に連結する第二クラッチC2を備えた構成であってもよい。図23に示す第二クラッチC2は、慣性体としてのリングギヤ9rを出力軸3もしくはキャリヤ9cに選択的に連結するように構成されている。したがって、出力軸3もしくはキャリヤ9cがこの発明の実施例における「トルクの掛かる部材」に相当している。第二クラッチC2において、入力側の係合要素がリングギヤ9rと一体回転し、かつ出力側の係合要素が出力軸3とキャリヤ9cとダンパ機構4の出力要素42と一体回転する。そして、振動低減装置330は、図23(a)に示す第一経路R1に設定された場合、および図23(b)に示す第二経路R2に設定された場合において、上述した第七実施例と同様に作動する。
(7−3.第八実施例)
図24に示すように、第八実施例の振動低減装置340は、上述した第六および第七実施例の変形例であって、特に上述した第四実施例の遊星機構をダブルピニオン型により構成した変形例である。なお、第八実施例の説明において、第六および第七実施例と同様の構成については説明を省略しその参照符号を引用する。
図24(a)に示すように、第一経路R1に設定された場合、振動低減装置340の遊星機構9は、キャリヤ9c(第三回転要素)が慣性体Iとして機能し、サンギヤ9s(第一回転要素)が入力軸2と一体回転し、リングギヤ9r(第二回転要素)が出力軸3と一体回転する。第八実施例の第二クラッチC2は、慣性体Iとしてのキャリヤ9cを入力軸2もしくはサンギヤ9sに選択的に連結するように構成されている。したがって、この入力軸2もしくはサンギヤ9sがこの発明の実施例における「トルクの掛かる部材」に相当している。第二クラッチC2において、出力側の係合要素がキャリヤ9cと一体回転する。また、第八実施例のダンパ機構4は、出力要素42がリングギヤ9rおよび出力軸3と一体回転する。そして、図24(b)に示すように、第二経路R2に設定された場合、キャリヤ9cが入力要素のサンギヤ9sおよび出力要素のリングギヤ9rと一体回転する。
また、第八実施例において第一経路R1に設定された場合、振動低減装置340における遊星機構9は、図25に共線図で示す作動状態となる。図25に示すように、ダンパ機構4で正方向のダンパトルクTkが生じることによってリングギヤ9r(出力軸3)にそのダンパトルクTkが作用し、キャリヤ9cでは自由回転可能な状態であることによりそのダンパトルクTkに起因する負方向の慣性トルクTiが生じる。一方、ダンパ機構4で負方向のダンパトルクTkが生じると、キャリヤ9cでは正方向の慣性トルクTiが生じる。さらに、キャリヤ9cの回転数(回転速度)はダンパトルクTkの方向へ変化し、キャリヤ9cが出力軸3(リングギヤ9r)に対して相対回転する。つまり、キャリヤ9cはエンジン10のクランク軸(入力軸2)と出力軸3との間の角加速度差Δαに応じたダンパトルクTkに対して反対方向の慣性トルクTiを生じながら出力軸3に連れ回される。出力軸3には、ダンパトルクTkがキャリヤ9cに作用する際の反力として慣性トルクTiが作用するため、出力軸3に作用する慣性トルクTiの方向はダンパトルクTkに対して反対方向となる。つまり、振動低減装置340は、ダンパ機構4が作動する場合に遊星機構9が慣性機構として作動して、キャリヤ9cがダンパトルクTkに起因して慣性体Iとして機能する。なお、第八実施例においても、図4を参照して上述した制振効果Sと同様の効果を発揮する。
以上説明した通り、第八実施例の振動低減装置によれば、慣性機構としての遊星機構をダブルピニオン型により構成した場合であって、慣性体として機能する回転要素をキャリヤに変更し、そのキャリヤを入力軸に選択的に連結させるとともに、切替機構の配置を変更した場合も、第一実施例と同様の効果を得ることができる。
なお、上述した第八実施例の変形例として、図26に示す振動低減装置350のように、慣性体Iとしてのキャリヤ9cを出力軸3に連結する第二クラッチC2を備えた構成であってもよい。図26に示す第二クラッチC2は、慣性体としてのキャリヤ9cを出力軸3もしくはリングギヤ9rに選択的に連結するように構成されている。したがって、出力軸3もしくはリングギヤ9rがこの発明の実施例における「トルクの掛かる部材」に相当している。第二クラッチC2において、入力側の係合要素がキャリヤ9cと一体回転し、かつ出力側の係合要素が出力軸3とリングギヤ9rとダンパ機構4の出力要素42と一体回転する。そして、振動低減装置350は、図26(a)に示す第一経路R1に設定された場合、および図26(b)に示す第二経路R2に設定された場合において、上述した第八実施例と同様に作動する。
(8.第二実施例の他の変形例)
加えて、上述した第二実施例についても、変速装置として機能する慣性機構をダブルピニオン型の遊星機構により構成することができる。ここでは、ダブルピニオン型の遊星機構において、サンギヤを慣性体として機能させる場合を第九実施例、そしてキャリヤを慣性体として機能させる場合を第十実施例とする。第九実施例の振動低減装置については図27を参照し、第十実施例の振動低減装置については図29を参照して説明する。なお、各変形例の説明において、上述した第二および第六実施例と同様の構成については説明を省略しその参照符号を引用する。
(8−1.第九実施例)
図27(a)に示すように、第九実施例の振動低減装置400は、第一クラッチC1を係合し、かつ第二クラッチC2を開放することにより第一経路R1に設定することで、遊星機構9のサンギヤ9sを慣性体Iとして機能させるように構成されている。第二クラッチC2はサンギヤ9sをケースなどの固定部7に選択的に連結するように構成されている。したがって、固定部7がこの発明の実施例における「トルクの掛かる部材」に相当している。第二クラッチC2において、固定側の係合要素が固定部7に連結(一体化)され、かつ回転側の係合要素はサンギヤ9sと一体回転する。固定部7は、軸線方向で遊星機構9よりも変速機20側に配置されている。そして、図27(b)に示すように、振動低減装置400は、第一クラッチC1を開放し、かつ第二クラッチC2を係合することにより第二経路R2に設定することで、サンギヤ9sを固定部7に固定する。第二クラッチC2はサンギヤ9sを固定部7に連結している。したがって、第二経路R2中の遊星機構9は、サンギヤ9s(第三回転要素)が固定要素、リングギヤ9r(第一回転要素)が入力要素、キャリヤ9c(第二回転要素)が出力要素となり変速装置として機能する。
図28は、振動低減装置400において、第二経路R2に設定された場合に変速装置として機能する遊星機構9の作動状態を示した共線図である。図28に示すように、サンギヤ9sを固定することにより、出力要素となるキャリヤ9cは入力要素となるリングギヤ9rよりも高回転数になる。つまり、この遊星機構9による変速比は「1」よりも小さい値になり、遊星機構9は増速装置として機能する。そのため、第九実施例の第二経路R2において、入力軸2と出力軸3との間の変速比γは「1」より小さい値となり、エンジン10からの動力を遊星機構9で増速して出力軸3に伝達できる。
以上説明した通り、第九実施例の振動低減装置によれば、慣性機構としての遊星機構をダブルピニオン型により構成した場合も、第二実施例と同様の効果を得られるとともに、遊星機構を増速装置として機能させることができる。
なお、上述した第九実施例において、固定部7を設ける位置は、サンギヤ9sを選択的に固定できる位置であればよく、上述した位置に限定されない。例えば、固定部7を軸線方向で遊星機構9よりもエンジン10側に設けることが可能である。
(8−2.第十実施例)
図29に示すように、第十実施例の振動低減装置420は、上述した第九実施例の変形例である。なお、第十実施例の説明において、上述した第九実施例と同様の構成については説明を省略しその参照符号を引用する。
図29(a)に示すように、振動低減装置420は、第一クラッチC1を係合し、かつ第二クラッチC2を開放することにより第一経路R1に設定することで、遊星機構9のキャリヤ9cを慣性体Iとして機能させるように構成されている。振動低減装置420の遊星機構9において、慣性体Iとしてのキャリヤ9c(第三回転要素)を備え、入力要素となるサンギヤ9s(第一回転要素)が入力軸2と一体回転し、かつ出力要素となるリングギヤ9r(第二回転要素)が出力軸3と一体回転する。第二クラッチC2は、キャリヤ9cをケースなどの固定部7に選択的に連結するように構成されている。したがって、固定部7がこの発明の実施例における「トルクの掛かる部材」に相当している。第二クラッチC2において、固定側の係合要素が固定部7に連結(一体化)され、かつ回転側の係合要素がキャリヤ9cと一体回転する。また、第十二実施例のダンパ機構4は、出力要素42がリングギヤ9rおよび出力軸3と一体回転する。そして、図29(b)に示すように、第二経路R2に設定された場合、キャリヤ9cが固定部7に固定され固定要素となる。したがって、第二経路R2中の遊星機構9は、サンギヤ9sが入力要素、リングギヤ9rが出力要素、キャリヤ9cが固定要素となり変速装置として機能する。
図30は、振動低減装置420において、第二経路R2に設定された場合に変速装置として機能する遊星機構9の作動状態を示した共線図である。図30に示すように、キャリヤ9cを固定することにより、出力要素となるリングギヤ9rは入力要素となるサンギヤ9sよりも低回転数となる。つまり、この遊星機構9による変速比は「1」よりも大きい値になり、遊星機構9は減速装置として機能する。そのため、第十実施例の第二経路R2において、入力軸2と出力軸3との間の変速比γは「1」よりも大きい値となり、エンジン10からのトルクを遊星機構9で増幅して出力軸3に伝達できる。
以上説明した通り、第十実施例の振動低減装置によれば、慣性機構としての遊星機構をダブルピニオン型により構成し、慣性体として機能する回転要素をキャリヤに変更し、そのキャリヤを選択的に固定するとともに、切替機構およびダンパ機構の配置を変更した場合も、第二実施例と同様の効果を得ることができる。
なお、上述した第十実施例において、固定部7を設ける位置は、リングギヤ9rを選択的に固定できる位置であればよく、上述した位置に限定されない。例えば、固定部7を軸線方向で遊星機構9よりも変速機20側に設けることが可能である。
そして、上述した各実施例の振動低減装置では、弾性体としてコイルスプリングを設けた構成について説明したが、この発明はこれに限定されず、例えば上述したコイルスプリングの代わりに樹脂製の緩衝部材などを弾性体として採用してもよい。
また、上述した各実施例において、第一クラッチを係合し、かつ第二クラッチを係合する場合、遊星機構の各回転要素が一体回転するのでエンジンを変速機に直結でき、車両の応答性を向上させることができる。この場合、振動低減装置による制振効果は発揮されない。

Claims (6)

  1. エンジンからトルクが入力される入力軸と出力軸との間で伝達されるトルクの変動によって伸縮する弾性体を有するダンパ機構と、前記トルクの変動によって自由回転して回転数が変化することにより前記トルクの変動を抑制する方向に慣性トルクを発生する慣性体とを備えている振動低減装置において、
    前記ダンパ機構を経由して前記入力軸と前記出力軸との間でトルクを伝達する第一経路と、
    前記ダンパ機構をバイパスして前記入力軸と前記出力軸との間でトルクを伝達する第二経路と、
    前記入力軸と前記出力軸との間でのトルクの伝達を行う経路を前記第一経路と前記第二経路とのいずれかに切り替える切替機構とを備え、
    前記切替機構は、前記入力軸と前記出力軸との間でトルクの伝達を行う経路を前記第一経路に切り替えた場合には前記慣性体を前記自由回転可能な状態とし、かつ前記入力軸と前記出力軸との間でトルクの伝達を行う経路を前記第二経路に切り替えた場合には前記慣性体を前記第二経路を経由したトルクの伝達のためにトルクが掛かる部材に連結するように構成されている
    ことを特徴とする振動低減装置。
  2. 請求項1に記載の振動低減装置において、
    互いに差動作用を行う複数の回転要素を有する遊星機構を更に備え、
    前記遊星機構は、前記入力軸からトルクが伝達される第一回転要素と、前記出力軸と一体回転する第二回転要素と、前記慣性体として機能する第三回転要素とを備え、
    前記ダンパ機構は、前記第一回転要素と前記第二回転要素との間でトルクを伝達するように設けられ、
    前記切替機構は、前記第一回転要素と前記第二回転要素との間で前記ダンパ機構に対して直列に配置された第一クラッチ機構と、前記第三回転要素を前記第一回転要素と第二回転要素とのいずれか一方に連結する第二クラッチ機構とを有する
    ことを特徴とする振動低減装置。
  3. 請求項1に記載の振動低減装置において、
    互いに差動作用を行う複数の回転要素を有する遊星機構を更に備え、前記遊星機構は、前記入力軸からトルクが伝達される第一回転要素と、前記出力軸と一体回転する第二回転要素と、前記慣性体として機能する第三回転要素とを備え、
    前記トルクが掛かる部材は、前記第三回転要素からトルクが掛かって前記第三回転要素に反力トルクを与える固定部を含み、
    前記切替機構は、前記第一回転要素と前記第二回転要素との間で前記ダンパ機構に対して直列に配置された第一クラッチ機構と、前記第三回転要素を前記固定部に連結する第二クラッチ機構とを有する
    ことを特徴とする振動低減装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の振動低減装置において、
    前記エンジンと入力軸との間もしくは前記出力軸上に配置されたばねダンパ機構と、
    前記切替機構を切替動作させるコントローラとを更に備え、
    前記コントローラは、
    前記エンジンの回転数と判断の基準として予め定めた所定回転数とを比較し、
    前記エンジンの回転数が前記所定回転数より低回転数の場合には前記第一経路を経由して前記入力軸から前記出力軸にトルクを伝達するように前記切替機構を切り替える
    ように構成されていることを特徴とする振動低減装置。
  5. 請求項4に記載の振動低減装置において、
    前記コントローラは、
    前記エンジンの回転数が前記所定回転数以上の場合には前記第二経路を経由して前記入力軸から前記出力軸にトルクを伝達するように前記切替機構を切り替える
    ように構成されていることを特徴とする振動低減装置。
  6. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の振動低減装置において、
    前記エンジンと入力軸との間もしくは前記出力軸上に配置されたばねダンパ機構と、
    前記切替機構を切替動作させるコントローラとを更に備え、
    前記コントローラは、
    前記エンジンの回転数と判断の基準として予め定めた所定回転数とを比較し、
    前記エンジンの回転数が前記所定回転数以上の場合には前記第二経路を経由して前記入力軸から前記出力軸にトルクを伝達するように前記切替機構を切り替える
    ように構成されていることを特徴とする振動低減装置。
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