JP6281660B1 - 車両用駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車輪からモータに向けてトルクが入力される場合であっても、車両の走行のためのトルクを出力するモータの制御を精度よく行ったり、共振によるNVH特性の悪化を防止もしくは抑制したりすることができる車両用駆動装置を提供する。【解決手段】モータ2で発生したモータトルクを車輪3に伝達して走行のための駆動力を発生する車両用駆動装置1において、モータ2は、車輪3ごとに設けられ、前記モータと前記車輪との間の動力伝達経路PTにおけるトルクの変動を緩和するダンパ機構5が動力伝達経路PTに設けられている。【選択図】図1

Description

この発明は、車輪をモータによって回転させて走行する車両用の駆動装置に関するものである。
モータを駆動力源とした車両は、従来の内燃機関(エンジン)や変速機をモータに置き換えた車両やホイールにモータを組み込んだインホイールモータを搭載した車両などがその例であり、特許文献1にはインホイールモータを搭載した車両における駆動装置の一例が記載されている。その装置では、ラビニョ型の遊星歯車機構がモータシャフトと同軸上に配置され、そのモータシャフトにサンギヤが一体化され、かつリングギヤがモータケースに固定されており、ホイールハブ軸にキャリヤが連結されている。その遊星歯車機構は減速機構として機能するように構成されており、したがってモータが出力したトルクが遊星歯車機構によって増幅されてホイールに伝達され、車両はモータが出力したトルクによって走行する。
特開2016−201945号公報
特許文献1に記載された構成では、トルクを出力するモータシャフトとタイヤホイールとが実質的に直接連結されており、しかもモータは電流に応じたトルクを出力し、かつ周波数に応じた回転数で回転するので、駆動力の制御応答性が良好であり、また駆動力が安定してスムーズな走行を行うことができる。しかしながら、モータには車両が走行することに伴う抵抗(走行抵抗)が掛かり、その走行抵抗は路面の凹凸などによって逐次かつ頻繁に変化する。また、運転者が加減速操作を行うと、その都度、モータの負荷が変化する。走行抵抗が変化したり、制動操作によってモータに掛かる負荷が増大したりした場合、その時点の駆動要求を充足するようにモータが制御される。特許文献1に記載されているようにタイヤホイールとモータとがいわゆる直結状態になっていると、タイヤに掛かる負荷あるいはタイヤからモータに向けて入力されるトルクの変化が直接モータに作用し、そのような変化に対応したモータの制御を行うことになる。そのため、例えば凹凸のある路面を走行していることにより、タイヤからモータに向けて入力されるトルクが繰り返し変化し、変動している状態になると、モータの制御がそのような振動に対して正確には追従できなくなり、その結果、駆動力が瞬間的もしくは一時的に不足したり、反対に過大になったりする可能性がある。また、同期モータにあってはタイヤから入力されるトルクの振動によって同期が乱れるなどの可能性がある。このようにモータによって車輪を駆動する車両用の駆動装置では、路面や運転者の操作などに起因してタイヤから入力されるトルクの影響を受けて制御性が悪化したり、エネルギ効率が低下したり、出力トルクの頻繁かつ大きい変化によって車両のNVH特性が悪化したりするなどの可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、車輪からモータに向けてトルクが入力される場合であっても、車両の走行のためのトルクを出力するモータの制御を精度よく行ったり、共振によるNVH特性の悪化を防止もしくは抑制したりすることができる車両用駆動装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、モータで発生させたモータトルクを車輪に伝達して走行のための駆動力を発生する車両用駆動装置において、前記モータは、前記車輪ごとに設けられ、前記モータと前記車輪との間の動力伝達経路に、前記動力伝達経路におけるトルクの変動を低減するダンパ機構と、前記モータの回転数に対して前記車輪の回転数が低回転数となるように構成された減速機構とが設けられ、前記ダンパ機構は、前記モータトルクの伝達方向で前記モータの出力側に配置された第1部材と、前記モータトルクの伝達方向で前記第1部材の出力側に配置された第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを相対回転可能に連結する弾性体とを有するばね式ダンパと、複数の回転要素によって差動作用を行う遊星回転機構とを備え、前記ばね式ダンパは、前記モータトルクの伝達方向で前記減速機構の出力側に設けられ、前記複数の回転要素のうちの第1回転要素に前記第1部材が連結され、前記複数の回転要素のうちの第2回転要素に前記第2部材が連結され、前記動力伝達経路における前記トルクの変動によって前記第1回転要素と前記第2回転要素とが相対回転させられて、前記複数の回転要素のうちの第3回転要素が回転して慣性トルクを生じることを特徴とするものである。
この発明によれば、路面の凹凸などによって車輪に掛かる負荷が変化し、それに伴って車輪とモータとの間の動力伝達経路上でトルク変動が生じた場合には、そのトルク変動はダンパ機構のねじれによって吸収もしくは低減される。したがって、モータの制御性や効率の悪化、車両のNVH特性の悪化などを回避もしくは抑制することができる。その結果、車両用駆動装置の全体としていわゆるロバスト性を向上することができる。また、モータの制御を精度よく行うことができるため、いわゆる電費を向上することができる。
この発明の実施形態に係る車両用駆動装置を用いて構成した、いわゆるインホイールモータ車両の一部を模式的に示す図である。 この発明の第1参考例に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。 この発明の第1実施形態に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。 この発明の第2実施形態に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。 この発明の第3実施形態に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。 この発明の第4実施形態に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。 この発明の第5実施形態に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。 この発明の第6実施形態に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。 この発明の第2参考例に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。 図9に示す振子式ダンパを模式的に示す図である。 この発明の第3参考例に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。 この発明の第4参考例に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。 この発明の第5参考例に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。 この発明の実施形態に係る車両用駆動装置を車体に搭載した、いわゆるオンボードタイプの車両の一部を模式的に示す図である。
の発明の実施形態に係る車両用駆動装置は、車両の走行のための駆動力を発生させる装置であって、その車両用駆動装置は車両における車輪ごとに設けられる。図1は、この発明の実施形態に係る車両用駆動装置を用いて構成した、いわゆるインホイールモータ車両の一部を模式的に示す図である。図1に示す車両用駆動装置1は、駆動力源としてモータ2を備え、モータ2で発生したモータトルクを車輪3に伝達するように構成されている。つまり、各車輪3で発生させる駆動力を、それぞれ独立して制御できるように構成されている。なお、モータ2で発生したモータトルクを車輪3に伝達するトルクの伝達経路PTが、この発明の実施形態における動力伝達経路に相当している。また、上述したモータトルクを、以下の説明では、単にトルクと記す。
モータ2で発生したトルクの伝達方向でモータ2の出力側に、モータ2の回転数に対して車輪3の回転数が低回転数となるように構成された減速機構4が設けられている。そのため、モータ2で発生したトルクは増大して車輪3に伝達され、モータ2として、低トルク・高回転型のもの、つまり、外径の小さいものを採用することができる。モータ2で発生したトルクの伝達方向で減速機構4の出力側に、つまり減速機構4と車輪3との間に、車両が走行する路面の凹凸や運転者の操作によって、車輪3からモータ2に向けて入力されるいわゆる逆入力トルクを低減もしくは緩和するダンパ機構5が設けられている。モータ2で発生したトルクの伝達方向でダンパ機構5の出力側に車輪3が連結されている。具体的には、ダンパ機構5の出力軸は、車輪3におけるタイヤ6が装着されるホイール7に連結されている。
上述したモータ2と、減速機構4と、ダンパ機構5とはケース8に収容されており、ケース8はホイール7に対して相対回転可能に取り付けられている。またケース8はサスペンション機構9とロアアーム10とによって車体11に支持されている。
図2は、この発明の第1参考例に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。図2に示すように、モータ2のステータ2Sはケース8に固定され、ロータ2Rは減速機構4にトルク伝達可能に連結されている。モータ2は減速時にエネルギ回生を行うように構成されていてもよく、減速時にエネルギ回生を行うモータとしては、例えば、永久磁石式の同期電動機のような発電機能のあるモータを挙げることができる。なお、図2では、図面を簡単にするため、サスペンション機構9やロアアーム10の記載は省略している。
減速機構4は、図2に示す例では、この発明の実施形態における遊星回転機構に相当する遊星歯車機構によって構成されており、モータ2と同一軸線上に並んで配置されている。減速機構4は、サンギヤ4Sと、サンギヤ4Sに噛み合う大径の第1ピニオンギヤ4P1と、第1ピニオンギヤ4P1と一体に回転すると共に第1ピニオンギヤ4P1より小径の第2ピニオンギヤ4P2と、第2ピニオンギヤ4P2に噛み合うと共にサンギヤ4Sに対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ4Rと、第1ピニオンギヤ4P1と第2ピニオンギヤ4P2とを自転および公転可能に保持するキャリヤ4Cとを備えている。サンギヤ4Sにモータ2のロータ2Rが連結され、キャリヤ4Cにこの発明の実施形態におけるばね式ダンパに相当するトーショナルダンパ12が連結されている。つまり、図2に示す例では、トーショナルダンパ12によって上述したダンパ機構5が構成されている。リングギヤ4Rはケース8に固定されている。そのため、サンギヤ4Sに入力されたトルクが減速機構4のギヤ比に応じて増大されてキャリヤ4Cから出力される。また、このように減速機構4として遊星歯車機構を採用することにより、車両用駆動装置1の全体としてのコンパクト化が図られている。
トーショナルダンパ12は、モータ2で発生したトルクの伝達方向で減速機構4の出力側に配置されている。トーショナルダンパ12は入力側回転部材12Aと、モータ2で発生したトルクの伝達方向で入力側回転部材12Aの下流側に配置された出力側回転部材12Bと、それらの入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとを相対回転可能に連結するコイルバネ12Cとによって構成されている。入力側回転部材12Aに減速機構4のキャリヤ4Cが連結されており、出力側回転部材12Bに車輪3が連結されている。なお、入力側回転部材12Aがこの発明の実施形態における第1部材に相当し、出力側回転部材12Bがこの発明の実施形態における第2部材に相当し、コイルバネ12Cがこの発明の実施形態における弾性体に相当している。
次に、図2に示す構成の車両用駆動装置1の作用について説明する。モータ2が力行制御されてトルクを出力すると、モータ2の出力トルクは、減速機構4におけるギヤ比に応じて増大されてトーショナルダンパ12の入力側回転部材12Aに伝達され、コイルバネ12Cを介してトーショナルダンパ12の出力側回転部材12Bに伝達される。その出力側回転部材12Bには車輪3が連結されているため、コイルバネ12Cには出力側回転部材12Bや車輪3を回転させるためのトルクが反力として作用する。そのコイルバネ12Cに反力として作用するトルクを、以下の説明では、単に反力トルクと記す。入力側回転部材12Aに伝達されたモータ2の出力トルクと反力トルクとによってコイルバネ12Cを圧縮する荷重が生じ、その荷重に応じた変位がコイルバネ12Cに生じる。その結果、入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとが所定角度、相対回転する。すなわち捩れる。モータ2の出力トルクや反力トルクすなわちモータ2と車輪3との間の動力伝達経路PTで伝達されるトルクに変動がない、あるいは、安定している場合には、上述した捩れが生じた状態でトーショナルダンパ12の全体が一体となって回転する。
車両が走行する路面の凹凸や運転者の操作によって、車輪3に逆回転方向のトルク、いわゆる逆入力トルクが作用した場合について説明する。例えば、路面における段差に車輪3が乗り上がったり衝突したりすると、車輪3に瞬間的あるいは衝撃的に逆入力トルクTiが作用する。逆入力トルクTiは車輪3を逆回転させるように作用するため、逆入力トルクTiによって出力側回転部材12Bの角速度や角加速度が減少し、上述した反力トルクが増大する。その結果、コイルバネ12Cを圧縮する荷重が増大してコイルバネ12Cは更に圧縮される。これに対して逆入力トルクTiが小さくなりあるいは抜けたときには、反力トルクは減少する。その結果、コイルバネ12Cを圧縮する荷重が減少してコイルバネ12Cは伸張あるいは復元し、コイルバネ12Cの弾性力は出力側回転部材12Bの角速度または角加速度を増大させるように作用する。このようなコイルバネ12Cの伸縮は逆入力トルクTiの振動に応じて繰り返し生じる。
したがって、上述した構成では、トーショナルダンパ12におけるコイルバネ12Cの伸縮によって入力側回転部材12Aには、逆入力トルクTiを低減したトルクT1が現れる。つまり、車輪3からモータ2に向けて入力される逆入力トルクTiや逆入力トルクTiに起因するトルクの変動などを低減もしくは緩和することができる。そのため、モータの制御を精度よく行ったり、効率を向上したりすることができ、いわゆる電費を向上することができる。また、動力伝達経路PTにおけるトルクの変動を低減もしくは緩和することができるため、例えば、減速機構4におけるギヤ同士の噛み合い状態が変化して歯打ち音やそれに起因する振動が生じることを防止もしくは抑制することができる。さらに、モータ2が力行制御を行っていない、いわゆるフリーな状態であることにより、その固有振動数が低下している場合におけるモータ2の振動と逆入力トルクTiの振動との共振を抑制することができる。つまりNVH特性の悪化を回避もしくは抑制することができる。それらの結果、車両用駆動装置1の全体としていわゆるロバスト性を向上することができる。
第1実施形態)
図3は、この発明の第1実施形態に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。図3に示す例は、この発明の実施形態におけるダンパ機構をトーショナルダンパ12と遊星歯車機構13とによって構成した例である。遊星歯車機構13はシングルピニオンタイプのものであり、サンギヤ13Sと、サンギヤ13Sに対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ13Rと、サンギヤ13Sおよびリングギヤ13Rに噛み合っているピニオンギヤ13Pを保持しているキャリヤ13Cとを有している。キャリヤ13Cにトーショナルダンパ12の入力側回転部材12Aが連結され、サンギヤ13Sにトーショナルダンパ12の出力側回転部材12Bが連結されている。リングギヤ13Rに所定の質量を有する慣性質量体14が一体に設けられている。その他の構成は図2に示す構成と同様であるため、図2に示す構成と同様の部分には、図2と同様の符号を付してその説明を省略する。
図3に示す構成の車両用駆動装置1の作用について説明する。モータ2がトルクを出力すると、その出力トルクは減速機構4におけるギヤ比に応じて増大されてトーショナルダンパ12の入力側回転部材12Aに伝達される。入力側回転部材12Aに伝達されたモータ2の出力トルクと、上述した反力トルクとによってコイルバネ12Cを圧縮する荷重が生じ、その荷重に応じた変位がコイルバネ12Cに生じる。その結果、入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとが所定角度、相対回転する。遊星歯車機構13のサンギヤ13Sは出力側回転部材12Bに連結され、キャリヤ13Cは入力側回転部材12Aに連結されているため、入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとの相対回転に伴ってサンギヤ13Sとキャリヤ13Cとは所定角度、相対回転する。モータ2と車輪3との間の動力伝達経路PTで伝達されるトルクの変動がないあるいはトルクが安定している場合には、上述した捩れを生じた状態でトーショナルダンパ12の全体が一体となって回転する。また、これと同様に、サンギヤ13Sとキャリヤ13Cとは捩れを生じた状態で一体となって回転するので、遊星歯車機構13の全体が一体となって回転する。
路面の凹凸や運転者の操作によって、車輪3に逆入力トルクTiが入力されると、コイルバネ12Cに作用する圧縮力が変化する。例えば、コイルバネ12Cを更に圧縮する荷重が生じ、その荷重によってコイルバネ12Cが更に圧縮される。そして入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとが相対回転する。これにより、逆入力トルクTiは低減されて入力側回転部材12Aに伝達される。このようにして、入力側回転部材12Aに現れるトルクを、以下の説明では、便宜上、ダンパ通過トルクT1と称する。さらに、入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとの相対回転に伴って、サンギヤ13Sとキャリヤ13Cとの相対回転が生じる。
入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとの相対回転は逆入力トルクTiの振動によって繰り返し生じるため、サンギヤ13Sとキャリヤ13Cとの相対回転が逆入力トルクTiの振動に応じて繰り返し生じる。それに伴って遊星歯車機構13のピニオンギヤ13Pが所定の角度範囲内で回転し、リングギヤ13Rが強制的に回転させられる。リングギヤ13Rは逆入力トルクTiの振動に応じて振動する。リングギヤ13Rには慣性質量体14が一体に設けられているため、リングギヤ13Rの質量と慣性質量体14の質量とを合算した質量(慣性モーメント)と、回転角加速度とに応じた慣性トルクT2が生じる。また、ここに示す例では、リングギヤ13Rの回転速度はキャリヤ13Cの回転速度に対してギヤ比に応じて増速される。そのため、リングギヤ13Rと慣性質量体14との回転角加速度が増大され、それに伴って慣性トルクT2が増大される。この慣性トルクT2が入力側回転部材12Aに作用する。また、上記の慣性トルクT2の振動の位相と、トーショナルダンパ12を介して入力側回転部材12Aに伝達されたダンパ通過トルクT1の振動の位相とは、ずれる。そのため、慣性トルクT2は、ダンパ通過トルクT1に対して制振トルクとして作用し、ダンパ通過トルクT1は慣性トルクT2によって低減されて滑らかになる。このように、第1実施形態では、入力側回転部材12Aに現れるダンパ通過トルクT1を慣性トルクT2によって低減することができるため、モータ2に伝達される逆入力トルクTiやそれに起因するトルク変動を第1参考例よりも効果的に低減もしくは緩和することができる。その結果、モータ2の制御を精度よく行ったり、効率を向上したりすることができ、いわゆる電費を向上することができる。さらに、減速機構4や遊星歯車機構13における互いに噛み合っているギヤ同士の噛み合い状態が変化して歯打ち音や振動が発生することを回避もしくは抑制することができる。このように第1実施形態であっても、第1参考例と同様の作用・効果を得ることができる。
第2実施形態)
図4は、この発明の第2実施形態に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。第3実施形態におけるダンパ機構は、図3に示すダンパ機構における遊星歯車機構の一部の構成を変更した装置であり、第2実施形態では、キャリヤ13Cにトーショナルダンパ12の出力側回転部材12Bが連結され、リングギヤ13Rに入力側回転部材12Aが連結され、サンギヤ13Sに慣性質量体14が設けられている。その他の構成は図3に示す構成と同様であるため、図3に示す構成と同様の部分には、図3と同様の符号を付してその説明を省略する。
第2実施形態の作用について説明する。モータ2がトルクを出力している場合であってかつ、モータ2と車輪3との間の動力伝達経路PTで伝達されるトルクの変動がない、あるいは、安定している場合には、上述したように、トーショナルダンパ12の全体が一体となって回転する。また、遊星歯車機構13の全体が一体となって回転する。
車輪3に逆入力トルクTiが入力されると、コイルバネ12Cに作用する圧縮力が変化する。コイルバネ12Cは逆入力トルクTiの振動に応じて伸縮し、入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとの相対回転が繰り返し生じる。それに伴って、遊星歯車機構13におけるリングギヤ13Rとキャリヤ13Cとが相対回転する。また、遊星歯車機構13におけるピニオンギヤ13Pが所定の角度範囲内で回転し、サンギヤ13Sが強制的に回転させられる。サンギヤ13Sは逆入力トルクTiの振動に応じて振動する。サンギヤ13Sには慣性質量体14が一体に設けられているため、サンギヤ13Sの質量と慣性質量体14の質量とを合算した質量(慣性モーメント)と、回転角加速度とに応じた慣性トルクT2が生じる。また、ここに示す例では、サンギヤ13Sの回転速度はリングギヤ13Rの回転速度に対してギヤ比に応じて増速される。そのため、サンギヤ13Sと慣性質量体14との回転角加速度が増大され、それに伴って慣性トルクT2が増大される。慣性トルクT2の振動の位相と、ダンパ通過トルクT1の振動の位相とは、ずれるため、慣性トルクT2は、ダンパ通過トルクT1に対して制振トルクとして作用し、ダンパ通過トルクT1は慣性トルクT2によって低減されて滑らかになる。したがって、モータ2に伝達される逆入力トルクTiやそれに起因するトルクの変動が低減もしくは緩和されるため、第2実施形態であっても、第1実施形態および第1参考例と同様の作用・効果を得ることができる。
第3実施形態)
図5は、この発明の第3実施形態に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。第3実施形態におけるダンパ機構は、図3に示すダンパ機構における遊星歯車機構の一部の構成を変更した装置であり、第3実施形態では、キャリヤ13Cに慣性質量体14が設けられ、リングギヤ13Rにトーショナルダンパ12の入力側回転部材12Aが連結され、サンギヤ13Sに出力側回転部材12Bが連結されている。その他の構成は図3に示す構成と同様であるため、図3に示す構成と同様の部分には、図3と同様の符号を付してその説明を省略する。
第3実施形態の作用について説明する。モータ2がトルクを出力している場合であってかつ、モータ2と車輪3との間の動力伝達経路PTで伝達されるトルクの変動がない、あるいは、安定している場合には、上述したように、トーショナルダンパ12の全体が一体となって回転する。また、遊星歯車機構13の全体が一体となって回転する。
車輪3に逆入力トルクTiが入力されると、コイルバネ12Cに作用する圧縮力が変化する。コイルバネ12Cは逆入力トルクTiの振動に応じて伸縮し、入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとの相対回転が繰り返し生じる。それに伴って、遊星歯車機構13におけるサンギヤ13Sとリングギヤ13Rとが相対回転する。また、ピニオンギヤ13Pが所定の角度範囲内で回転し、キャリヤ13Cが強制的に回転させられ、逆入力トルクTiの振動に応じて振動する。キャリヤ13Cには慣性質量体14が一体に設けられているため、キャリヤ13Cの質量と慣性質量体14の質量とを合算した質量(慣性モーメント)と、回転角加速度とに応じた慣性トルクT2が生じる。慣性トルクT2の振動の位相と、ダンパ通過トルクT1の振動の位相とは、ずれるため、慣性トルクT2は、ダンパ通過トルクT1に対して制振トルクとして作用し、ダンパ通過トルクT1は慣性トルクT2によって低減されて滑らかになる。したがって、モータ2に伝達される逆入力トルクTiやそれに起因するトルクの変動が低減もしくは緩和されるため、第3実施形態であっても、上述した各実施形態および第1参考例と同様の作用・効果を得ることができる。
第4実施形態)
図6は、この発明の第4実施形態に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。第4実施形態におけるダンパ機構は、図3に示すダンパ機構における遊星歯車機構の一部の構成を変更した装置である。第4実施形態では、キャリヤ13Cにトーショナルダンパ12の出力側回転部材12Bが連結され、サンギヤ13Sに入力側回転部材12Aが連結され、リングギヤ13Rに慣性質量体14が設けられている。その他の構成は図3に示す構成と同様であるため、図3に示す構成と同様の部分には、図3と同様の符号を付してその説明を省略する。
第4実施形態の作用について説明する。モータ2がトルクを出力している場合であってかつ、モータ2と車輪3との間の動力伝達経路PTで伝達されるトルクの変動がない、あるいは、安定している場合には、上述したように、トーショナルダンパ12の全体が一体となって回転する。また、遊星歯車機構13の全体が一体となって回転する。
車輪3に逆入力トルクTiが入力されると、コイルバネ12Cに作用する圧縮力が変化する。コイルバネ12Cは逆入力トルクTiの振動に応じて伸縮し、入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとの相対回転が繰り返し生じる。それに伴って、遊星歯車機構13におけるキャリヤ13Cとサンギヤ13Sとが相対回転する。また、ピニオンギヤ13Pが所定の角度範囲内で回転し、リングギヤ13Rが強制的に回転させられ、逆入力トルクTiの振動に応じて振動する。リングギヤ13Rには慣性質量体14が一体に設けられているため、リングギヤ13Rの質量と慣性質量体14の質量とを合算した質量(慣性モーメント)と、回転角加速度とに応じた慣性トルクT2が生じる。慣性トルクT2の振動の位相と、ダンパ通過トルクT1の振動の位相とは、ずれるため、慣性トルクT2はダンパ通過トルクT1に対して制振トルクとして作用し、ダンパ通過トルクT1は低減されて滑らかになる。したがって、モータ2に伝達される逆入力トルクTiやそれに起因するトルクの変動が低減もしくは緩和されるため、第4実施形態であっても、各実施形態および第1参考例と同様の作用・効果を得ることができる。
第5実施形態)
図7は、この発明の第5実施形態に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。第5実施形態におけるダンパ機構は、図3に示すダンパ機構における遊星歯車機構の一部の構成を変更した装置であり、第5実施形態では、キャリヤ13Cに慣性質量体14が設けられ、サンギヤ13Sにトーショナルダンパ12の入力側回転部材12Aが連結され、リングギヤ13Rに出力側回転部材12Bが連結されている。その他の構成は図3に示す構成と同様であるため、図3に示す構成と同様の部分には、図3と同様の符号を付してその説明を省略する。
第5実施形態の作用について説明する。モータ2がトルクを出力している場合であってかつ、モータ2と車輪3との間の動力伝達経路PTで伝達されるトルクの変動がない、あるいは、安定している場合には、上述したように、トーショナルダンパ12の全体が一体となって回転する。また、遊星歯車機構13の全体が一体となって回転する。
車輪3に逆入力トルクTiが入力されると、コイルバネ12Cに作用する圧縮力が変化する。コイルバネ12Cは逆入力トルクTiの振動に応じて伸縮し、入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとの相対回転が繰り返し生じる。それに伴って、遊星歯車機構13におけるリングギヤ13Rとサンギヤ13Sとが相対回転する。また、ピニオンギヤ13Pが所定の角度範囲内で回転し、キャリヤ13Cが強制的に回転させられ、逆入力トルクTiの振動に応じて振動する。そして、リングギヤ13Rの質量と慣性質量体14の質量とを合算した質量(慣性モーメント)と、回転角加速度とに応じた慣性トルクT2が生じる。慣性トルクT2の振動の位相と、ダンパ通過トルクT1の振動の位相とは、ずれるため、慣性トルクT2は、ダンパ通過トルクT1に対して制振トルクとして作用し、ダンパ通過トルクT1は慣性トルクT2によって低減されて滑らかになる。したがって、モータ2に伝達される逆入力トルクTiやそれに起因するトルクの変動が低減もしくは緩和されるため、第5実施形態であっても、上述した各実施形態および第1参考例と同様の作用・効果を得ることができる。
第6実施形態)
図8は、この発明の第6実施形態に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。第6実施形態におけるダンパ機構は、図3に示すダンパ機構における遊星歯車機構の一部の構成を変更した装置であり、第6実施形態では、キャリヤ13Cにトーショナルダンパ12の入力側回転部材12Aが連結され、リングギヤ13Rに出力側回転部材12Bが連結され、サンギヤ13Sに慣性質量体14が設けられている。その他の構成は図3に示す構成と同様であるため、図3に示す構成と同様の部分には、図3と同様の符号を付してその説明を省略する。
第6実施形態の作用について説明する。モータ2がトルクを出力している場合であってかつ、モータ2と車輪3との間の動力伝達経路PTで伝達されるトルクの変動がない、あるいは、安定している場合には、上述したように、トーショナルダンパ12の全体が一体となって回転する。また、遊星歯車機構13の全体が一体となって回転する。
車輪3に逆入力トルクTiが入力されると、逆入力トルクTiの振動に応じてコイルバネ12Cが伸縮し、入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとの相対回転が繰り返し生じる。それに伴って、遊星歯車機構13におけるリングギヤ13Rとキャリヤ13Cとが相対回転する。また、ピニオンギヤ13Pが所定の角度範囲内で回転し、サンギヤ13Sが強制的に回転させられ、逆入力トルクTiの振動に応じて振動する。そして、サンギヤ13Sの質量と慣性質量体14の質量とを合算した質量(慣性モーメント)と、回転角加速度とに応じた慣性トルクT2が生じる。慣性トルクT2の振動の位相と、ダンパ通過トルクT1の振動の位相とは、ずれるため、慣性トルクT2は、ダンパ通過トルクT1に対して制振トルクとして作用し、ダンパ通過トルクT1は慣性トルクT2によって低減されて滑らかになる。したがって、モータ2に伝達される逆入力トルクTiやそれに起因するトルクの変動が低減もしくは緩和されるため、第6実施形態であっても、上述した各実施形態および第1参考例と同様の作用・効果を得ることができる。
第2参考例)
図9にこの発明の第2参考例を示してある。図9に示す例は、この発明の実施形態におけるダンパ機構を、振子式のダンパ機構によって構成した例である。その振子式のダンパ機構を以下の説明では、振子式ダンパ15と記す。その振子式ダンパ15は、ここに示す例では、モータ2で発生したトルクの伝達方向でモータ2の出力側であってかつ減速機構4の入力側に設けられている。
図10は、図9に示す振子式ダンパを模式的に示す図である。振子式ダンパ15は、図10に示すように、ロータ2Rと一体となって回転する回転体16を備え、その回転体16の外周部に、円周方向に一定の間隔で複数の転動室17が形成されている。転動室17は、回転体16を板厚方向すなわち回転体16の回転中心軸線に平行な方向に貫通して形成された貫通部であって、図10に示す例では回転体16の外周部における4箇所に形成されている。その形状は、図10に示すように、回転体16の外周面よりも大きく湾曲した形状であり、模擬的には楕円形もしくは長円形を湾曲させた形状となっている。各転動室17には、回転体16のトルクが変動した場合に慣性力で振り子運動を行う転動体18が収容されている。その転動体18は、回転体16が回転した場合に遠心力によって転動室17の内壁面のうち回転体16の半径方向で外側の内壁面に押し付けられ、その内壁面に沿って転動するように構成されている。したがって当該内面が転動面19となっている。また転動体18のうち転動面19に接触する部分は、断面が円形となるように構成されている。したがって、転動体18は単純な円柱状もしくは円筒状の部材であってよく、あるいは両端部にフランジ部を有していてもよい。
この回転体16の外周側の部分にはカバー20が取り付けられている。カバー20は転動室17および転動体18を塵埃から遮蔽して転動体18の円滑な振り子運動を補償するためのものである。図9および図10に示すように、カバー20は全体として中空のリング状をなし、かつその中空部分が転動室17および転動体18を覆う箱形断面(矩形断面)を成している。その他の構成は上述した図2に示す構成と同様であるため、図2に示す構成と同様の部分には、図2と同様の符号を付してその説明を省略する。
第2参考例の作用について説明する。モータ2がトルクを出力して回転体16が回転すると、それに伴って転動体18も回転する。転動体18は遠心力によって転動室17のうち回転体16の中心から最も遠い箇所に移動する。すなわち、転動面19における回転体16の中心から最も遠い箇所に転動体18が移動する。モータ2と車輪3との間の動力伝達経路PTで伝達されるトルクの変動がない、あるいは、安定している場合には、転動体18は、転動面19における回転体16の回転中心から最も遠い箇所に遠心力によって押し付けられている。
車輪3に逆入力トルクTiが入力されて、モータ2と車輪3との間の動力伝達経路PTにおけるトルクつまり回転体16のトルクが変化すると、回転体16の回転速度が変化する。それに伴って、転動体18は慣性力によって転動室17の内部で振り子運動を行う。すなわち、遠心力によって転動面19に押し付けられた状態で、転動面19に沿って往復運動する。このような回転体16の捩り振動と転動体18の振り子運動とのずれによって、逆入力トルクTiやそれに起因する動力伝達経路PTでのトルク変動が低減される。したがって、モータ2に伝達される逆入力トルクTiやそれに起因するトルクの変動が低減もしくは緩和されるため、第2参考例であっても、上述した各実施形態および第1参考例と同様の作用・効果を得ることができる。
ところで、車両が高車速で走行する場合には、車両が走行する路面の凹凸などが要因となって、周期的に逆入力トルクが入力されることがある。上記構成の振子式ダンパ15では、転動体18は伝達されるトルクの変動によって往復動する。そのため、高車速で走行する際に入力される逆入力トルクの振動に応じて往復動するように、振り子運動する転動体18の揺動支点から転動体18の重心までの長さであるいわゆる振り子長さを変更する。高車速で走行する際に入力される逆入力トルクの振動に応じた振り子長さは、例えば、実験により予め求めることができる。高車速で走行する際に入力される逆入力トルクの振動に応じて往復動するように振り子長さを変更することにより、高車速で走行して逆入力トルクが周期的に入力される場合であっても、その周期的な逆入力トルクによる振動を低減することができる。その結果、上述した振動がモータ2に伝達されることを防止もしくは抑制することに加えて、上述した振動が車室に伝達されることを防止もしくは抑制することができる。いわゆるロードノイズを低減して静粛性を向上することができる。
第3参考例)
図11はこの発明の第3参考例に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。図11に示す例は、モータ2で発生したトルクの伝達方向でモータ2と減速機構4との間に振子式ダンパ15を配置し、減速機構4の出力側にトーショナルダンパ12を配置した例である。その他の構成は図9に示す構成と同様であるため、図9に示す構成と同様の部分には、図9と同様の符号を付してその説明を省略する。
第3参考例の作用について説明する。モータ2がトルクを出力して回転体16が回転すると、それに伴って転動体18も回転する。転動体18は遠心力によって転動面19における回転体16の中心から最も遠い箇所に移動する。また、入力側回転部材12Aに伝達されたモータ2の出力トルクと、上述した反力トルクとによってコイルバネ12Cが圧縮する荷重が生じ、その荷重に応じた変位がコイルバネ12Cに生じる。その結果、入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとが所定角度、相対回転する。モータ2と車輪3との間の動力伝達経路PTにおけるトルク変動がない、あるいは、安定している場合には、転動体18は、転動面19における回転体16の中心から最も遠い箇所に遠心力によって押し付けられた状態を維持する。また、トーショナルダンパ12は、上述した捩れを生じた状態でトーショナルダンパ12の全体が一体となって回転する。
車輪3に逆入力トルクTiが入力されると、逆入力トルクTiの振動に応じてコイルバネ12Cが伸縮し、入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとの相対回転が繰り返し生じる。このようなコイルバネ12Cの伸縮によって逆入力トルクTiは低減されて入力側回転部材12Aに伝達される。入力側回転部材12Aに現れるダンパ通過トルクT1は減速機構4を介して振子式ダンパ15に伝達される。ダンパ通過トルクT1によって回転体16の回転速度が変化すると、転動体18は慣性力によって転動室17の内部で振り子運動を行う。すなわち、遠心力によって転動面19に押し付けられた状態で、転動面19に沿って往復運動する。このような回転体16の捩り振動と転動体18の振り子運動とのずれによって、ダンパ通過トルクT1が低減される。つまり、第3参考例では、逆入力トルクTiはトーショナルダンパ12と振子式ダンパ15とによって2段階に低減される。したがって、第3参考例であっても、モータ2に伝達される逆入力トルクTiやそれに起因するトルクの変動が低減もしくは緩和されるため、各実施形態および各参考例と同様の作用・効果を得ることができる。また、第2参考例と同様に、高車速で走行する際に入力される周期的な逆入力トルクに応じて転動体18が往復動するように、振子式ダンパ15における振り子長さを調整することにより、高車速で走行する際における周期的な逆入力トルクTiによる振動を低減することができる。
第4参考例)
図12はこの発明の第4参考例に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。図12に示す例は、図11に示す振子式ダンパ15の配置を変更した例である。すなわち、モータ2で発生したトルクの伝達方向で減速機構4の出力側に振子式ダンパ15が配置され、振子式ダンパ15の出力側にトーショナルダンパ12が配置されている。その他の構成は図11に示す構成と同様であるため、図11に示す構成と同様の部分には、図11と同様の符号を付してその説明を省略する。
第4参考例の作用について説明する。モータ2がトルクを出力すると、そのトルクは減速機構4のギヤ比に応じて増大されて振子式ダンパ15に伝達される。伝達されたトルクによって回転体16が回転すると、それに伴って転動体18も回転する。転動体18は遠心力によって転動面19における回転体16の中心から最も遠い箇所に移動する。また、入力側回転部材12Aに伝達されたモータ2の出力トルクと、上述した反力トルクとによってコイルバネ12Cが圧縮され、入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとが所定角度、相対回転する。モータ2と車輪3との間の動力伝達経路PTで伝達されるトルク変動がない、あるいは、安定している場合には、転動体18は、転動面19における回転体16の中心から最も遠い箇所に遠心力によって押し付けられた状態を維持する。また、トーショナルダンパ12は、上述した捩れを生じた状態でトーショナルダンパ12の全体が一体となって回転する。
車輪3に逆入力トルクTiが入力されると、逆入力トルクTiの振動に応じてコイルバネ12Cが伸縮し、入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとの相対回転が繰り返し生じる。このようなコイルバネ12Cの伸縮によって逆入力トルクTiは低減されて入力側回転部材12Aに伝達される。入力側回転部材12Aにはダンパ通過トルクT1が現れ、そのダンパ通過トルクT1は振子式ダンパ15に伝達される。振子式ダンパ15では、伝達されたダンパ通過トルクT1の振動によって、回転体16の回転速度が変化する。そして、転動体18は遠心力によって転動面19に押し付けられた状態で、転動面19に沿って往復運動する。このような回転体16の捩り振動と転動体18の振り子運動とのずれによって、ダンパ通過トルクT1が低減される。つまり、第4参考例では、逆入力トルクTiはトーショナルダンパ12と振子式ダンパ15とによって2段階に低減され、その2段階に低減されたトルクが減速機構4に伝達される。したがって、モータ2に伝達される逆入力トルクTiやそれに起因するトルクの変動が低減もしくは緩和されるため、第4参考例であっても、上述した各実施形態および各参考例と同様の作用・効果を得ることができる。また、振子式ダンパ15が設けられているため、第2参考例や第3参考例と同様に、高車速で走行する際に入力される周期的な逆入力トルクに応じて転動体18が往復動するように、振子式ダンパ15における振り子長さを調整することにより、高車速で走行する際における周期的な逆入力トルクTiによる振動を低減することができる。
第5参考例)
図13はこの発明の第5参考例に係る車両用駆動装置を示すスケルトン図である。図13に示す例では、モータ2から車輪3に向けたトルクの伝達方向でモータ2の出力側に、トーショナルダンパ12が配置されており、モータ2の出力軸あるいは減速機構4の図示しない入力軸にトーショナルダンパ12の入力側回転部材12Aが連結されている。その入力側回転部材12Aにコイルバネ12Cを介して出力側回転部材12Bが連結されている。出力側回転部材12Bに、所定の質量を有する慣性質量体14が一体に設けられている。その他の構成は図2に示す構成と同様であるため、図2に示す構成と同様の部分には、図2と同様の符号を付してその説明を省略する。
第5参考例の作用について説明する。モータ2がトルクを出力すると、そのトルクはトーショナルダンパ12の入力側回転部材12Aに伝達され、コイルバネ12Cを介して出力側回転部材12Bに伝達される。コイルバネ12Cには、出力側回転部材12Bと慣性質量体14とを回転させるためのトルクが反力として作用する。この出力側回転部材12Bと慣性質量体14とを回転させるいわゆる反力トルクと、入力側回転部材12Aに伝達されたモータ2の出力トルクとによってコイルバネ12Cを圧縮する荷重が生じ、その荷重に応じた変位がコイルバネ12Cに生じる。その結果、入力側回転部材12Aと出力側回転部材12Bとが所定角度、相対回転する。すなわち捩れる。動力伝達経路PTにおけるトルクの変動がない、あるいは、安定している場合には、上述した捩れが生じた状態でトーショナルダンパ12の全体が一体となって回転する。また、モータ2の出力トルクは減速機構4のギヤ比に応じて増大されて車輪3に伝達される。
車輪3に逆入力トルクTiが入力されると、逆入力トルクTiの振動に応じてコイルバネ12Cが伸縮し、入力側回転部材12Aと、出力側回転部材12Bおよび当該出力側回転部材12Bに一体の慣性質量体14との相対回転が繰り返し生じる。すなわち振動する。出力側回転部材12Bおよび当該出力側回転部材12Bに一体の慣性質量体14は、コイルバネ12Cを介して入力側回転部材12Aに連結されているため、出力側回転部材12Bおよびこれに一体の慣性質量体14の振動の位相と、入力側回転部材12Aの振動の位相とはずれる。第5参考例では、このような入力側回転部材12Aの振動と出力側回転部材12Bおよび当該出力側回転部材12Bに一体の慣性質量体14の振動とのずれによって、逆入力トルクTiに起因する動力伝達経路PTの振動が低減される。したがって、モータ2に伝達される逆入力トルクTiやそれに起因するトルクの変動が低減もしくは緩和されるため、第5参考例であっても、上述した各実施形態および各参考例と同様の作用・効果を得ることができる。
なお、この発明は上記の各実施形態に限定されないのであって、この発明の実施形態に係る車両用駆動装置1は車体11に搭載されていてもよい。図14に、この発明の実施形態に係る車両用駆動装置を車体に搭載した、いわゆるオンボードタイプの車両の一部を模式的に示している。図14に示す構成では、車体11に車両用駆動装置1が搭載されるため、いわゆるばね下荷重を低減することができ、車両の乗り心地や路面に対するタイヤ6の接地性を向上することができる。また、このような構成であっても、ダンパ機構5によってモータ2に伝達される逆入力トルクTiやそれに起因するトルクの変動が低減もしくは緩和されるため、上述した各実施形態および各参考例と同様の作用・効果を得ることができる。

1…車両用駆動装置、 2…モータ、 3…車輪、 5…ダンパ機構、 12…トーショナルダンパ(ダンパ機構)、 13…遊星歯車機構(ダンパ機構)、 9…振子式ダンパ(ダンパ機構)、 PT…動力伝達経路。

Claims (1)

  1. モータで発生させたモータトルクを車輪に伝達して走行のための駆動力を発生する車両用駆動装置において、
    前記モータは、前記車輪ごとに設けられ、
    前記モータと前記車輪との間の動力伝達経路に、前記動力伝達経路におけるトルクの変動を低減するダンパ機構と、前記モータの回転数に対して前記車輪の回転数が低回転数となるように構成された減速機構とが設けられ、
    前記ダンパ機構は、前記モータトルクの伝達方向で前記モータの出力側に配置された第1部材と、前記モータトルクの伝達方向で前記第1部材の出力側に配置された第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを相対回転可能に連結する弾性体とを有するばね式ダンパと、複数の回転要素によって差動作用を行う遊星回転機構とを備え、
    前記ばね式ダンパは、前記モータトルクの伝達方向で前記減速機構の出力側に設けられ、
    前記複数の回転要素のうちの第1回転要素に前記第1部材が連結され、前記複数の回転要素のうちの第2回転要素に前記第2部材が連結され、
    前記動力伝達経路における前記トルクの変動によって前記第1回転要素と前記第2回転要素とが相対回転させられて、前記複数の回転要素のうちの第3回転要素が回転して慣性トルクを生じる
    ことを特徴とする車両用駆動装置。
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