JP6237063B2 - 鉄道車両用歯車装置及び鉄道車両用台車 - Google Patents

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Description

本発明は、歯車箱の振動及び騒音を低減可能な鉄道車両用歯車装置、及び、この歯車装置を搭載した鉄道車両用台車に関するものである。
近年、鉄道車両にはより一層の高速性が求められているが、高速性を求めた場合、走行中の車両に発生する振動が増大する。そのため、環境問題、たとえば振動によって発生する路線周辺地域への騒音低減や、さらには乗客の乗り心地改善等への対応が強く求められている。
鉄道車両は、図13に示すように、モータ1で発生するトルクを、撓み軸継手2を介して歯車装置3の小歯車3aに伝達し、この小歯車3aに噛み合う大歯車3bを経て車軸4に取り付けた車輪5に伝達し、走行するようになっている。鉄道車両に用いられる前記小歯車は、軸と歯車を一体の構造にした、いわゆるピニオンシャフト(ピニオン軸とも言う)が一般的である。そのため、以下で小歯車と言う場合は、ピニオンシャフトを意味するものとする。
鉄道車両の走行中、歯車装置3の内部では、小歯車3aと大歯車3bが回転して絶えず振動している。従って、小歯車3aと大歯車3bの回転によって発生する振動を低減させることが重要である。
そこで、前記歯車装置の歯車に、制振構造或いは騒音の低減構造を付与する手段として、従来、たとえば次のようなものが開示されている。
特許文献1には、外周に歯が形成された歯車本体、或いは歯車本体のリム部分に、制振用凹部を形成することで、歯車回転時の歯部の衝撃に伴う振動を抑止するものが開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された制振手段の場合、前記制振用凹部によって歯車箱内部の潤滑油の流れが阻害され、正常な潤滑状態を維持できないことが懸念される。また、制振用凹部を形成することによって歯車の強度が低下することも懸念される.
また、特許文献2には、弾性支持部を介してリム部に重錘部を取り付けることで、特定回転数域におけるウェブ、リブの振動を抑制するものが、特許文献3には、歯車の側部に環状部材をボルトによって取り付けることで、歯車の騒音を低減するものが開示されている。
しかしながら、特許文献2に開示された振動抑制手段の場合、経年変化により取り付け手段である弾性支持部の減衰性能が劣化し、所定の性能が得られなくなる。また、特許文献3に開示された騒音低減手段の場合は、使用期間の経過に伴って取り付けボルトが緩んだ場合、かえって騒音が大きくなるおそれがある。さらに、歯車装置の使用中に取り付けた部材が外れた際、最悪の場合は、歯車装置の機能そのものが失われることになるので、鉄道車両への適用は避けるべきである。
そこで、発明者らの内の2名は、歯車の噛み合い周波数に対して、大歯車の固有振動数と車両の常用速度における噛み合い周波数が重なり合う範囲があり、その速度域(以下、常用車速域と言う。)では、歯車装置の振動が非常に大きくなることを知見し、特許文献4の制振手段を提案した。
この特許文献4で提案した制振手段は、常用車速域に相当する噛み合い周波数範囲内に、大歯車のリム部や歯部が周方向に波打つ形状の変形モードの固有振動数が入らないように大歯車を構成することで、常用車速域における大歯車の共振を避けるものである。
この特許文献4で提案した制振手段は、特許文献1〜3で開示された課題を解決しつつ、常用車速域で走行中における低騒音化を達成できるものではあるが、大歯車と小歯車が噛み合った実際に即した状態に基づいてなされたものではない。
特開平9−26015号公報 特開平10−281259号公報 特開2000−220726号公報 特許第4882453号公報
本発明は、特許文献1〜3で開示された構造が有する課題を解決しつつ、常用車速域で走行中における低振動化、低騒音化を達成するという課題を、大歯車と小歯車が噛み合った、より実際に即した状態に基づいて行うことを目的としている。
本発明は、鉄道車両用歯車装置の低振動化、低騒音化を、大歯車と小歯車が噛み合った、より実際に即した状態に基づいて行うことを可能とするもので、
モータが発生するトルクを、撓み軸継手を介して小歯車に伝達し、この小歯車に噛み合う大歯車を経て車軸に取り付けた車輪に伝達する鉄道車両用歯車装置において、
当該鉄道車両の常用車速域に相当する噛み合い周波数範囲内に、小歯車と大歯車で構成される歯車対の噛み合い共振周波数が入らないように、あるいは前記噛み合い共振周波数のピーク値を低減させるように、前記小歯車を構成した点を最も主要な特徴としている。
本発明において、鉄道車両の常用車速域に相当する噛み合い周波数範囲内に前記歯車対の噛み合い共振周波数が入らないように、あるいは前記噛み合い共振周波数のピーク値を低減させるようにするための前記小歯車の構成は、小歯車の軸剛性または軸重量を変更するか、小歯車の重量に占める軸部の重量比を変更することによって、小歯車の曲げの変形モード又はねじりの変形モードの発生周波数を調整すればよい。
上記の本発明に係る鉄道車両用歯車装置を搭載した鉄道車両用台車にあっては、常用車速域における歯車対の共振を避ける、あるいは前記共振周波数のピーク値を低減するので、鉄道車両用台車の振動や騒音を低減できるようになる。
本発明によれば、鉄道車両用歯車装置に使用されている歯車対の噛み合い共振周波数を常用車速域に相当する噛み合い周波数範囲外にするので、常用車速域における歯車対の共振を避けることができる。あるいは、前記噛み合い共振周波数のピーク値を低減するので、常用車速域における歯車対の共振周波数のピーク値を低減することができる。その結果、歯車装置やこの歯車装置を搭載した鉄道車両用台車の振動低減、さらには騒音低減に効果を発揮する。
常用車速域の周波数範囲を説明する図である。 小歯車、大歯車、噛合いばねで構成された有限要素モデルの概要図である。 加速度応答の評価方法を説明する図で、(a)は小歯車の加振方向を示した図、(b)は小歯車に作用する加速度の方向を示した図である。 歯車の噛み合い周波数に対して、小歯車と大歯車と噛合いばねで構成される歯車対の噛み合い共振周波数と車両常用速度における噛み合い周波数が重なり合う範囲があることを説明する図である。 図4中に「g」で示した変形モード発生周波数に含まれる小歯車、大歯車、噛み合いばねのひずみエネルギの割合を示した図である。 図5に示した小歯車が有するひずみエネルギにおける小歯車の変形モード毎のひずみエネルギの割合を示した図である。 (a)は図6に示したP-1の変形モードを示した図、(b)は同じくP-3の変形モードを示した図である。 公知文献から引用した歯車装置の小歯車部分を説明する図である。 小歯車の構造と本発明での呼び名を説明する図である。 軸重量の比を変化させた場合の、図4中に「g」で示した変形モード発生周波数の減少度の関係を示した図である。 小歯車の重量に占める軸部の重量比を変化させた場合の、図4中に「g」で示した変形モード発生周波数の減少度の関係を示した図である。 小歯車重量に占める軸部の重量比を、従来の軸部の重量の0.7とした場合の発明例を示した図4と同様の図である。 歯車装置の基本構成を説明する図である。
本発明は、鉄道車両用歯車装置の低振動化、低騒音化を、大歯車と小歯車が噛み合った、より実際に即した状態に基づいて行うという目的を、例えば、鉄道車両の常用車速域に相当する噛み合い周波数範囲内に、前記小歯車と前記大歯車の噛み合い共振周波数が入らないように、小歯車の軸剛性または軸重量を変更するか、小歯車の重量に占める軸部の重量比を変更することによって、小歯車における曲げの変形モード又はねじりの変形モードの発生周波数を調整することで実現した。
以下、本発明の完成に至る新しい着想及びこの着想から課題解決に至るまでの経緯と共に、本発明の実施例について、図1〜図12を用いて説明する。
大歯車と小歯車が噛み合って回転することで発生する歯車装置の振動や騒音の低減について発明者らが種々検討した結果、鉄道車両の常用車速域では、前記大歯車と前記小歯車の噛み合い共振周波数と前記常用車速域における噛合い周波数が重なりあう範囲があることが分かった。そして、この常用車速域では、対をなす大歯車と小歯車の共振現象によって歯車装置の振動が非常に大きくなり、振動のみならず、さらには騒音に悪影響を及ぼすことが判明した。
先ず、対をなす大歯車と小歯車の噛み合い共振周波数と車両の常用車速域の噛み合い周波数が重なりある範囲について説明する。
一般に、歯車の噛み合いによって生じる振動周波数を噛み合い周波数fG(Hz)と言い、この噛み合い周波数fGは車両走行速度V(mm/分)から下記数式1で求めることができる。
Figure 0006237063
大歯車の歯数nを80とした場合における車両走行速度Vを噛み合い周波数fGで整理した一例を図1に示す。
歯車装置の大歯車の歯数nは変化しないので、噛み合い周波数fGは、前記数式1から明らかなように、車輪径Dによって変化する。一般に、鉄道車両に用いられる車輪は、車両走行中のレールとの接触により摩耗して車輪径が小さくなり、車輪径Dがある一定値以下となった場合に交換する。以下、前記交換時期に達した車輪を摩耗限車輪と、新品車輪を新製車輪と言う。
図1中のaを付した太い実線は噛み合い周波数fGに対して新製車輪を使用した場合の車両走行速度Vを、bを付した細い実線は摩耗限車輪を使用した場合の車両走行速度Vを示している。摩耗限車輪は新製車輪と比較して車輪径が小さいため、車両走行速度Vを同一とした場合には噛み合い周波数が大きくなる。
車両走行速度Vは、鉄道車両の性能や軌道条件によって決まるが、図1中のcを付した最高速度と、dを付した定速運転速度の間の範囲eを常用車速域と言う。ここで、定速運転速度は、一般には、最高速度の80%程度と想定される。また、前記常用車速域に対応する周波数範囲fを、常用車速域の周波数範囲と言う。
次に、対をなす大歯車と小歯車の共振現象について説明する。
発明者らは、対をなす大歯車と小歯車の共振現象を有限要素法によって評価した。
図2は、有限要素法に基づく解析モデルの概要を示した図である。この図2は、図13に示した小歯車3aと大歯車3bが歯の撓みのばね定数を有するばね(以下、噛み合いばね6と言う。)を介して結合されている状況を、公知文献である例えば「演習機械運動学」(遠山茂樹共著,サイエンス社,1984年)、「機械騒音ハンドブック」(日本機械学会編,産業図書,1991年,p410)に沿ってモデル化したものである。ここで、噛み合いばね6のばね定数は大歯車3bと小歯車3aの回転時の接触点によって変化するが、本明細書では噛合い開始から終了までの平均値を仮定している。
図2に示した有限要素モデルに基づき、噛み合いばね6と小歯車3aの接触点(以下、歯車噛み合い点と言う。)での加速度の自己応答関数を評価した。その評価方法は、小歯車3aを図3(a)に矢印で示す方向に加振し、図3(b)に矢印で示す方向の小歯車3aの加速度を評価したものである。
その評価結果を図4に示す。なお、評価結果を得るための具体的な計算方法は、例えば「モード解析」(長松昭男著,培風館,1985年)に記載されており、公知であるため省略した。
図4は、歯数nが80の大歯車を使用した場合における車両走行速度Vを噛み合い周波数fGで整理した図に、加速度の自己応答関数を重ねて示したものである。この図4中のgの周波数では共振によって大歯車ならびに小歯車に作用する振動が過大となって歯車装置に作用する加速度が大きくなり、このgの周波数が図1で説明した常用車速域の周波数範囲に入っていることが分かる。
この図4中のgの周波数は、鉄道車両が定速運転速度で走行している場合、共振現象により噛み合う大歯車と小歯車の振動が過大となって歯車装置の振動を増大させ、さらには歯車装置から発せられる騒音を大きくする。従って、図4中のgの周波数が、常用車速域の周波数範囲内に含まれるようにしてはならない、すなわち、gの周波数を常用車速域の周波数範囲外とする必要がある。あるいは、gの周波数のピーク値を下げる必要がある。
この共振周波数は、何らかの要因で歯車装置を構成する部品の共振によって発生するものであるため、その対策を講じることが必要である。また、図4中のgの周波数のピーク値を下げることは、歯車装置の振動、騒音を低減する手段となる。
なお、図4中のhの周波数でも加速度が大きくなるが、hの周波数は鉄道車両が加速、または減速する際に通過するのみであり、定速運転速度のように一定速度で鉄道車両が走行することはほとんどないため、問題とはならない。
発明者らは、図4中のgの周波数において加速度が増大する原因は、噛み合いばねで結合された大歯車と小歯車が連成した変形モードの噛み合い共振周波数であることを知見した。さらに、後で説明するように、当該噛み合い共振周波数は歯車装置を構成する小歯車の曲げの変形モードやねじりの変形モードが主要因であることも知見した。
すなわち、本発明は、鉄道車両用歯車装置やこの歯車装置を搭載した台車の低振動化、低騒音化を図ること、より具体的には低振動化、低騒音化を実現可能な小歯車の制振構造を提供することを目的としたもので、以下のような構成である。
本発明は、鉄道車両の常用車速域に相当する噛み合い周波数範囲に、大歯車と小歯車が連成した変形モードの噛み合い共振周波数が入らないように、あるいは前記噛み合い共振周波数のピーク値を低減させるように構成するのである。
その構成は、例えば対をなす大歯車と小歯車の変形モードに影響を及ぼす小歯車の曲げの変形モードやねじりの変形モードの発生周波数を調整することで行えばよい。
発明者らは、図2に示した小歯車と大歯車と噛み合いばねで構成された全体系を対象に、振動解析分野で広く用いられているモード解析によって評価した。ここでは、図2に示した全体系の有限要素モデルに基づいて、以下の評価手順とした。
(1) 大歯車と小歯車の運動方程式をモード座標系で求める。
(2) モード座標系で求めた大歯車と小歯車の運動方程式をばね要素で結合し、全体系の運動方程式を求める。
(3) 全体系の変形モード(固有振動モード)毎のひずみエネルギを全体系のモード座標によって求める。
(4) (3)で求めたひずみエネルギに対して、大歯車、小歯車、結合に用いた噛み合いばねそれぞれのひずみエネルギの割合を求めて対策を検討する。
以下に、基礎式を示す。
A.モード座標で表現された小歯車と大歯車の運動方程式(前記(1)の評価手順)
モード座標で表現された小歯車の運動方程式は下記数式2で表される。
Figure 0006237063
物理座標で表現された小歯車の運動方程式の変位ベクトルを{xI}とすると、下記数式3の関係が成立する。
Figure 0006237063
一方、モード座標で表現された大歯車の運動方程式は下記数式4で表される。
Figure 0006237063
物理座標で表現された大歯車の運動方程式の変位ベクトルを{xII}とすると、下記数式5の関係が成立する。
Figure 0006237063
B.公知文献である「モード解析」(長松昭男著,6章,培風館,1985年)に記載されているモード合成法の不拘束モード型に基づいて、前記数式2と数式4をばね要素で結合する(前記(2)の評価手順:下記数式6)。
Figure 0006237063
上記数式6中の行列[Tp]は、下記数式7を満足する。
Figure 0006237063
すなわち、ばねの変位を{xc}とし、これを小歯車と大歯車の変位に分けて下記数式8とすると、下記数式9を満足することになる。
Figure 0006237063
Figure 0006237063
C.前記数式6で示した全体系の運動方程式の座標を全体系のモード座標{ζ}に変換する(前記(3)の評価手順:下記数式10)。
Figure 0006237063
以上の準備を元に、ひずみエネルギは次の数式11で求めることができる。
Figure 0006237063
前記数式11の左辺、及び右辺右肩の小括弧内の添え字rは全体系の固有振動モードの番号を表し、周波数の低い順に1,2…と番号を付ける。
前記数式11の1)〜3)式は全体系の固有振動モード毎に得られるエネルギであるから、全体系のr番目の変形モードのひずみエネルギは、小歯車、大歯車、噛み合いばねにおける前記数式11の1)〜3)式の和をとればよい。
D.r番目の変形モードのひずみエネルギにおける小歯車の割合は下記数式12で求めることができる(前記(4)の評価手順)。
Figure 0006237063
r番目の変形モードのひずみエネルギにおける大歯車や噛み合いばねの割合も前記と同様に求めることができる。
図4中のgの周波数に対して、前記数式12に基づいて小歯車、及び小歯車と同様に大歯車、噛み合いばねそれぞれのひずみエネルギの割合を求めた結果を図5に示す。図5より、ひずみエネルギの割合は小歯車、大歯車、噛み合いばねの順に小さい、すなわち、小歯車のひずみエネルギの割合が一番大きいことが分かる。従って、小歯車に対策を施すことで大きい効果を得ることができると考えられる。
そこで、発明者らは、小歯車の変形モード毎のひずみエネルギの割合を評価した。その結果を図6に示す。図6において、「P- 」のあとの数字は小歯車の変形モードを周波数の小さい順に並べた数字であり、この図6よりP-1とP-3のひずみエネルギが大きい、すなわちP-1とP-3の影響が大きいことが分かる。このP-1の変形モードを図7(a)に、P-3の変形モードを図7(b)に示すが、P-1は曲げモード、P-3はねじりモードである。従って、この曲げとねじりの変形モードが発生する周波数を変更するように対策を施せばよいことが分かる。
発明者らは、前述のP-1とP-3の発生周波数を変更できるような小歯車の構成を検討した。その結果、P-1とP-3の発生周波数が増大するような構成にすると、図4のgの周波数も増大する一方、P-1とP-3の発生周波数が減少するような構成にすると、図4のgの周波数も減少することが分かった。
そこで、発明者らは、P-1とP-3の発生周波数を減少するような形状について検討を行った。
一般に、構造物の固有振動数は、kを剛性、mを質量としたとき、(k/m)1/2で与えられることから、小歯車の剛性、または質量を変更することが考えられる。すなわち、図7に示した変形モードとなる周波数とはならないように重量を変更する、あるいは構造部材の剛性を変更する等の手段を講じればよい。
以下、本発明の上記構成を具体的に実現するための構造について説明する。
本発明の上記構成を具体的に実現するための構造を説明する前に、まず鉄道車両用歯車装置の一例を示す図8に基づいて歯車装置の各部位の呼称を説明する。なお、図8は、公知文献である特開平7−113459号公報から引用したものである。
図8は、鉄道車両用歯車装置3の小歯車3a部の構造を一部断面して示した図で、歯車箱3cに固定された軸受け蓋3dに軸受け3eが装着され、この軸受け3eに小歯車3aが回転自在に支持されている。この小歯車3aは、図9に示すように、軸部3aaと歯部3abとで形成されている。
使用する小歯車の諸元は、対象とする車両や最高走行速度、または台車に使用されるモータ最大トルクによって変わるが、ここでは以下の小歯車を対象とした。
(1)基本仕様
公的規格JIS B1701−2に示されたモジュールの標準値:6
基準ピッチ円直径:約520mm
(2)歯幅
使用条件によって変わるが、鉄道車両に使用される歯車の歯幅は一般的には50〜100mmの範囲である。本実施例では70mmとした。
本発明では、図7に示した変形モードの発生周波数とはならないように変更するため、以下の手段を講じることにする。
(a) 軸剛性または軸重量を変更する。
(b) 小歯車の重量に占める軸部の重量比を変更する。
一般的に、対象とする車両の制約を考慮した上で上記(a),(b)を使い分ければよい.
(a)の手段を講じる場合において、例えば軸剛性を変更する際は軸径を変更することになるが、軸径の変更に応じて軸重量が変わるため、軸重量で換算することが可能である。従って、ここでは軸重量を変更した場合の共振周波数、ねじりの周波数、曲げの周波数の変化を図10に示す。図10中の横軸の「軸重量の比」とは、初期形状の小歯車(図4に示した振動加速度を有する歯車対に用いられた小歯車)の軸部重量を1とした場合の重量割合を示したものである。
(b)の手段を講じる場合において、「小歯車の重量に占める軸部の重量比」は、小歯車全重量に占める軸部の重量の割合で求めるが、初期形状の前記小歯車の場合における軸部の重量比を1とし、軸部の重量比を変更した場合の共振周波数、ねじりの周波数、曲げの周波数の変化を図11に示す。すなわち、図11に示した横軸の「小歯車の重量に占める軸部の重量比」とは、初期形状の軸部重量をma0、歯部重量をmt0とし、また本発明構造の軸部重量をma1、歯部重量をmt1とすると、下記数式13で求めることができる。
Figure 0006237063
図10及び図11に示したように、前述の(a)または(b)の手段を講じることによって、図4中のgの共振周波数を減少させることが可能になる。本発明例として、小歯車の重量に占める軸部の重量比を、初期形状の前記小歯車の0.7とした場合の結果を図12に示す。
図12に示した周波数のうち、破線で示したものは初期形状の前記小歯車を使用した場合の結果であり、実線で示したものは本発明例を使用した場合の結果である。このように、本発明によれば、常用車速域に相当する噛み合い周波数範囲内に、小歯車と大歯車で構成される歯車対の噛み合い共振周波数を避けることが可能である。
本発明は上記した実施例に限らないことは勿論であり、各請求項に記載の技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
例えば、上記説明では、P-1とP-3の発生周波数を減少させるものを示したが、図10、図11から、P-1とP-3の発生周波数を増加させる設計、すなわち、図10、図11の横軸の比を1より大きくとるようにすることも可能である。
また、(a)の軸剛性または軸重量を変更する手段や、(b)の小歯車の重量に占める軸部の重量比を変更する手段は、小歯車の設計に対する制限はないので、設計諸元である重量、小歯車を納める歯車箱の容量、幅等から適正値を決めればよい。
また、歯車対の所望する噛み合い共振周波数の減少分は、適用する車両諸元によって変わるため、図10、図11に示した範囲のみならず、横軸の比を1より大きくとった範囲で選定してもよい。
以上の本発明は鉄道車両用の歯車装置に限らず、どのような歯車装置にも適用することもできる。
1 モータ
2 撓み軸継手
3 歯車装置
3a 小歯車
3b 大歯車
4 車軸
5 車輪

Claims (2)

  1. モータが発生するトルクを、撓み軸継手を介して小歯車に伝達し、この小歯車に噛み合う大歯車を経て車軸に取り付けた車輪に伝達する鉄道車両用歯車装置において、
    当該鉄道車両の常用車速域に相当する噛み合い周波数範囲内に、小歯車と大歯車で構成される歯車対の噛み合い共振周波数が入らないように、あるいは前記噛み合い共振周波数のピーク値を低減させるように、前記小歯車の軸剛性または軸重量を変更するか、前記小歯車の重量に占める軸部の重量比を変更することによって、前記小歯車における曲げの変形モード又はねじりの変形モードの発生周波数を調整したことを特徴とする鉄道車両用歯車装置。
  2. 請求項1に記載の鉄道車両用歯車装置を搭載したことを特徴とする鉄道車両用台車
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