JP6264241B2 - 玉軸受の組立方法及び組立装置 - Google Patents
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Description
(1)深溝玉軸受の内輪301と外輪303とを偏心させてベース板305に固定(図17参照)
ベース板305には、上面視で三日月状に形成された三日月状突起307が設けられている。三日月状突起307は、ベース板305表面からの高さHが、図中点線で示すように、内輪301と外輪303との間に玉309が正しく投入された場合(転動面中心が玉中心と一致する高さ)の玉309の最下面の高さと略同一にされている。
ベース板305に載置された内輪301と外輪303の三日月状突起307の直上(投入スペースの直上)に玉入れノズル311を配置する。そして、玉入れノズル311内に予め収容された複数の玉309を投入スペースに投入する。この玉入れノズル311には、略玉1個分の内径の通路313が形成されており、その通路313内に予め必要な個数の玉が挿入されている。つまり、玉入れノズル311は、通路313内に複数個の玉が垂直に積み重なった玉列が用意された状態で投入スペース上に配置され、投入スペースに玉列を一気に投入する。
相対的に外輪303に対して偏心して配置された内輪301を、外輪303と同心になる位置へ移動させる。三日月状突起307の径方向幅Wは、内輪301と外輪303とが同心である状態において、内輪301と外輪303との間に丁度入る幅に設定されている。
(1)傷の発生と塵埃や異物の付着
内輪と外輪との間の隙間空間に多数の玉を一気に投入するため、玉同士の衝突や玉と治具との衝突によって玉が傷付くことがある。また、玉入れノズル311内の通路313を通過する際に、玉に塵埃や異物が付着することがある。
(2)玉詰まり
上記構成の玉入れノズル311では、玉詰まりが発生することがある。玉詰まりの発生原因としては、図20、図21に示すように玉入れノズル311から供給された玉309が、内輪301と外輪303との間の隙間空間CSの一方に偏って流れてしまい、玉入れノズル311に残存する玉309が落下できなくなることにある。玉入れノズル311から供給された玉309は、隙間空間CSの左右に能動的に振り分けできないため、ある特定の確率で図21のように片側のみに玉309が流れ、玉詰まりが生じた状態になる。特に玉数が多い軸受名番では、玉詰まりの発生頻度が高くなる傾向がある。
図23(A)に示すように、玉入れノズル311の通路313内を複数の玉309の列が落下して、三日月状突起307の上面に先頭の玉309が衝突する。その際、図23(B)に示すように、玉同士の衝突により玉傷が発生する場合がある。特に玉数の多い軸受名番や玉径の大きい軸受名番では、玉309が傷付く割合が高くなる。
玉入れノズル311は、玉入れ対象とする玉軸受の名番専用部品であるので、軸受の種類の数だけ存在することになる。したがって、玉軸受の製造、組立ラインでは、多数の玉入れノズル311を保管、管理する必要があり、これが軸受の製造コストを増大させる要因となる。また、セット替え時には玉入れノズル311を交換する必要があるため、セット替え時間の短縮が困難となる。更に、玉入れノズル311の設置位置にずれが生じると、玉の流れがスムーズにならず、トラブルの原因になる、という問題があった。
(1) 外輪軌道面と内輪軌道面との間の隙間空間に、複数の玉を挿入する玉軸受の組立方法であって、
前記外輪軌道面と前記内輪軌道面を同一平面上で互いに偏心させて前記隙間空間を形成した後、
複数の玉を整列配置するストッカからいずれかの玉をロボットアームの先端に配置された玉保持機構に保持させる玉保持工程と、
前記玉軸受の種別に対応して設定された前記隙間空間の径方向隙間が最大となる最大隙間位置まで、制御プログラムに基づいて前記ロボットアームにより前記保持された玉を搬送する玉搬送工程と、
前記保持された玉を前記最大隙間位置の隙間空間内に挿入した後、前記ロボットアームにより前記保持された玉を軌道面に沿った周方向に移動させながら、前記玉保持機構による前記玉の保持を解除する玉投入工程と、
を前記玉軸受の玉数だけ繰り返し実施することを特徴とする玉軸受の組立方法。
(2) 前記玉投入工程は、前記ロボットアームが前記周方向に移動する向きを、前記玉を投入する毎に交互に反転させることを特徴とする(1)に記載の玉軸受の組立方法。
(3) 前記複数の玉それぞれの目標配置位置が前記制御プログラムに設定されており、
前記玉投入工程は、前記保持された玉を前記最大隙間位置に挿入した後、当該玉に対応する前記目標配置位置に前記保持された玉を前記ロボットアームにより移動させ、移動完了後に前記玉保持機構による前記玉の保持を解除することを特徴とする(1)又は(2)に記載の玉軸受の組立方法。
(4) 前記玉軸受は第1玉列と第2玉列とを有する複列玉軸受であって、
前記第1玉列に玉を投入した後、前記複列玉軸受の第1玉列と第2玉列との間の軸方向位置に、部分円環状の玉支持部を有する湾曲アーム治具を挿入し、挿入された前記玉支持部の上に第2玉列の玉を投入した後、該投入した第2玉列の玉を軌道面に沿って前記玉支持部から外れた部分に移動させ、前記湾曲アーム治具を前記第2玉列の玉の非占有部分から抜き取ることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の玉軸受の組立方法。
(5) 外輪軌道面と内輪軌道面との間の隙間空間に、複数の玉を挿入する玉軸受の組立装置であって、
前記外輪軌道面と前記内輪軌道面を同一平面上で互いに偏心させた状態で外輪及び内輪を保持し、前記隙間空間を形成する内外輪保持部と、
複数の玉を整列配置するストッカと、
前記玉を着脱自在に保持する玉保持機構と、
アーム先端部に前記玉保持機構が配置され、指定された位置に移動可能なロボットアームと、
前記玉軸受の種別に対応して前記隙間空間の玉投入位置が設定された制御プログラムに基づいて、前記ロボットアームと前記玉保持機構を駆動する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記ストッカからいずれかの玉を前記玉保持機構に保持させて、設定された前記隙間空間の径方向隙間が最大となる最大隙間位置まで、前記ロボットアームにより前記保持させた玉を搬送し、前記保持された玉を前記最大隙間位置の隙間空間内に挿入した状態で、前記ロボットアームにより前記保持された玉を軌道面に沿った周方向に移動させながら、前記玉保持機構による前記玉の保持を解除することを特徴とする玉軸受の組立装置。
(6) 前記玉保持機構は、複数個の前記玉を個別に着脱自在に保持することを特徴とする(5)に記載の玉軸受の組立装置。
図1は本発明の実施形態を説明するための図で、玉軸受の組立装置を模式的に示す全体構成図である。玉軸受の組立装置(ここでは、玉入れ装置として説明する)100は、玉軸受の外輪軌道面と内輪軌道面と間に複数の玉を投入する。玉入れ装置100は、外輪軌道面と内輪軌道面を同一平面上で互いに偏心させた状態で、外輪と内輪とを保持し、隙間空間を形成する内外輪保持部11と、複数の玉を整列配置するストッカ13と、指定された位置にアーム先端を移動可能なロボットアーム17と、ロボットアーム17のアーム先端に配置され、玉を着脱自在に保持する玉保持機構15と、ロボットアーム17を駆動する図示しないアーム駆動部と、制御部21とを備える。
次に、上記構成の玉軸受の玉入れ装置100による玉入れ手順を説明する。
まず、前述の図2(A),(B)に示すように、外輪27と内輪29をベース板23上にセットする。外輪27を、ベース板23上の三日月状突起25が外輪内周側となる位置に載置し、内輪29を、外輪27の内周側でベース板23上の三日月状突起25が外周側となる位置に載置する。
(2)隙間空間CSの玉投入位置まで、ロボットアーム17により玉保持機構15に保持された玉37を搬送する玉搬送工程。
(3)保持された玉37を隙間空間CS内に挿入した状態で玉保持機構15による玉37の保持を解除する玉投入工程。
本玉軸受の玉入れ装置100は、ストッカ13に配置された玉37を、ストッカ13の位置から軌道面間の隙間空間CSの玉投入位置までロボットアーム17で搬送し、この玉投入位置に玉37を投入する。従前では、軸受名番毎に軸受のサイズや玉の数が異なるために、それぞれに対応する玉入れ治具を用意して所定の位置に固定する必要があった。しかし、本構成では、ストッカ13の位置から、隙間空間CSの玉投入位置までの間を、制御プログラムに従ってロボットアーム17が往復する。そのため、軸受名番毎の適正な玉挿入位置に、簡単かつ正確に玉37を連続投入することができる。
上記構成の玉軸受の玉入れ装置100に使用されるロボットアーム17としては、図1に示す多関節機構のロボットアーム17の他にも種々の機構のものを採用できる。例えば、パラレルリンク型ロボット、単軸ロボットや2軸、3軸の直交するスライド軸により構成される直交ロボット等が挙げられる。中でも、高速動作が可能なパラレルリンク型ロボットを好適に用いることができる。
上記の玉保持機構15は、1つの玉37を吸着する構成であるが、複数個の玉37を同時に吸着させる構成であってもよい。図8(A)、(B)に複数の玉を吸着保持する玉保持機構の概略的な模式図を示す。図8(A)に示す玉保持機構16Aは、パラレルリンク型ロボット150の可動プレート53に取り付けられた連結部93Aと、連結部93Aに回転自在に接続された回転吸着部95Aとを有する。
次に、玉軸受の玉入れ装置100による第2の玉入れ手順を説明する。
前述の玉入れ手順では、外輪27と内輪29とを偏心させて配置している。これは、内外輪の各軌道面には溝肩があり、内外輪が同心の状態では玉37が溝肩に干渉して、軌道面間の隙間空間に挿入できないためである。しかしながら、外輪27と内輪29とを偏心させても、軌道面間の隙間空間CSに玉37が投入可能な領域は限られる。
次に、玉軸受の玉入れ装置による第3の玉入れ手順を説明する。
前述の玉軸受の玉入れ手順では、玉保持機構15が真空吸着方式であり、ロボットアーム17の駆動によって玉保持機構15を移動させながら、玉37の保持を解除している。その場合、ロボットアーム17の動作と玉保持機構15の動作とを高精度に同期させる必要がある。しかし、真空のオン/オフを切り替えるバルブ(図示略)から、ロボットアーム17先端の玉保持機構15までの距離が長いと、バルブが作動してから玉37の真空吸着が解除されるまでタイムラグが生じやすくなる。そのため、保持解除するタイミングを揃える制御や機構が別途に必要となってしまう。
本玉入れ工程で用いる制御プログラムは、次の手順で玉入れを行うように作成される。まず、外輪27と内輪29との間の隙間空間CSのうち、玉37が配置可能な径方向幅を有する実隙間領域Arを求め、この実隙間領域Arを円周方向に沿って球数で分割した分割領域を求める。そして、求めたそれぞれの分割領域における玉中心位置P1〜P8を求め、これを目標配置位置として記憶する。
上記した第1乃至第3の玉入れ手順は、組み立て対象とする玉軸受が複列の玉軸受の場合でも適用が可能である。ここでは、複列玉軸受に玉を投入する手順を説明する。図14(A),(B)に、玉軸受装置の第4の玉入れ手順の説明図を示す。
13 ストッカ
15 玉保持機構
17 ロボットアーム
19 アーム駆動部
21 制御部
23 ベース板
27 外輪
29 内輪
37 玉
49 記憶部
50 サーバ
75 複列玉軸受
77 外輪
79 第1玉列
81 第2玉列
83 湾曲アーム治具
85 玉支持部
87 垂直アーム
89 非占有部分
100 玉軸受の組立装置
150 パラレルリンク型ロボット
Claims (6)
- 外輪軌道面と内輪軌道面との間の隙間空間に、複数の玉を挿入する玉軸受の組立方法であって、
前記外輪軌道面と前記内輪軌道面を同一平面上で互いに偏心させて前記隙間空間を形成した後、
複数の玉を整列配置するストッカからいずれかの玉をロボットアームの先端に配置された玉保持機構に保持させる玉保持工程と、
前記玉軸受の種別に対応して設定された前記隙間空間の径方向隙間が最大となる最大隙間位置まで、制御プログラムに基づいて前記ロボットアームにより前記保持された玉を搬送する玉搬送工程と、
前記保持された玉を前記最大隙間位置の隙間空間内に挿入した後、前記ロボットアームにより前記保持された玉を軌道面に沿った周方向に移動させながら、前記玉保持機構による前記玉の保持を解除する玉投入工程と、
を前記玉軸受の玉数だけ繰り返し実施することを特徴とする玉軸受の組立方法。 - 前記玉投入工程は、前記ロボットアームが前記周方向に移動する向きを、前記玉を投入する毎に交互に反転させることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受の組立方法。
- 前記複数の玉それぞれの目標配置位置が前記制御プログラムに設定されており、
前記玉投入工程は、前記保持された玉を前記最大隙間位置に挿入した後、当該玉に対応する前記目標配置位置に前記保持された玉を前記ロボットアームにより移動させ、移動完了後に前記玉保持機構による前記玉の保持を解除することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の玉軸受の組立方法。 - 前記玉軸受は第1玉列と第2玉列とを有する複列玉軸受であって、
前記第1玉列に玉を投入した後、前記複列玉軸受の第1玉列と第2玉列との間の軸方向位置に、部分円環状の玉支持部を有する湾曲アーム治具を挿入し、挿入された前記玉支持部の上に第2玉列の玉を投入した後、該投入した第2玉列の玉を軌道面に沿って前記玉支持部から外れた部分に移動させ、前記湾曲アーム治具を前記第2玉列の玉の非占有部分から抜き取ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の玉軸受の組立方法。 - 外輪軌道面と内輪軌道面との間の隙間空間に、複数の玉を挿入する玉軸受の組立装置であって、
前記外輪軌道面と前記内輪軌道面を同一平面上で互いに偏心させた状態で外輪及び内輪を保持し、前記隙間空間を形成する内外輪保持部と、
複数の玉を整列配置するストッカと、
前記玉を着脱自在に保持する玉保持機構と、
アーム先端部に前記玉保持機構が配置され、指定された位置に移動可能なロボットアームと、
前記玉軸受の種別に対応して前記隙間空間の玉投入位置が設定された制御プログラムに基づいて、前記ロボットアームと前記玉保持機構を駆動する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記ストッカからいずれかの玉を前記玉保持機構に保持させて、設定された前記隙間空間の径方向隙間が最大となる最大隙間位置まで、前記ロボットアームにより前記保持させた玉を搬送し、前記保持された玉を前記最大隙間位置の隙間空間内に挿入した状態で、前記ロボットアームにより前記保持された玉を軌道面に沿った周方向に移動させながら、前記玉保持機構による前記玉の保持を解除することを特徴とする玉軸受の組立装置。 - 前記玉保持機構は、複数個の前記玉を個別に着脱自在に保持することを特徴とする請求項5に記載の玉軸受の組立装置。
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