以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
(実施例1)
まず、本発明の実施例1を、図1〜11を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、『乗物』と『乗物用シート』の例として、『ミニバン形式の自動車1(以下、単に、「自動車1」と記す)』と『自動車1の右側の3列目シート10(以下、単に「3列目シート10」)と記す』とを説明することとする。また、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右は、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、自動車1の進行方向を向いて着座した着座者から見た方向に従うこととする。このことは、後述する実施例2においても同様である。
まず、3列目シート10と、自動車1の床フロア3のうち、3列目シート10が配置されている部位の床フロア3aとを個別に説明する。
はじめに、3列目シート10から説明する。この3列目シート10は、主として、主フレーム20と、シートクッション30と、シートバック40とから構成されている。以下に、これら、主フレーム20と、シートクッション30と、シートバック40とを個別に説明していく。
最初に、主フレーム20から説明していく。図1〜2から明らかなように、この主フレーム20は、略L字を成すように形成された金属製の丸パイプから構成されている。この主フレーム20の先端には、ロック爪(図示しない)を有する公知の第1のロック機構R1が固着されている。この第1のロック機構R1は、そのロック爪が後述する第1のロック受部90のストライカ90a、第2のロック受部92のストライカ92a、実施例2で説明する第3のロック受部94のストライカ94aのいずれかのストライカ90a、92a、94aにロック可能に構成されている。
もちろん、この第1のロック機構R1は、第1のロック機構R1自身のロックを解除する操作を行うと、これらいずれかのストライカ90a、92a、94aにロックしたロック爪をロック解除可能にも構成されている。なお、説明の便宜上、この第1のロック機構R1のロック爪がいずれかのストライカ90a、92a、94aにロックした状態を第1のロック機構R1のロック状態と記すこととする。これとは逆に、この第1のロック機構R1のロック状態から、いずれかのストライカ90a、92a、94aに対するロック爪のロックが解除した状態を第1のロック機構R1のロック解除状態と記すこととする。
また、この主フレーム20の略L字の折れ曲がり部位は、その丸パイプ形状が押し潰された格好を成す平坦状となるように形成されている。この平坦状の部位を第1の平坦部20aと記すこととする(図2参照)。この第1の平坦部20aには、後述する2本のボルトB1、B2を挿し込み可能な2個の挿込孔(図示しない)が形成されている。
これと同様に、この主フレーム20の基端も、その丸パイプ形状が押し潰された格好を成す平坦状となるように形成されている。この平坦状の部位を第2の平坦部20bと記すこととする(図3参照)。この第2の平坦部20bにも、後述するボルトB3、B4を挿し込み可能な2個の挿込孔20b1、20b2が形成されている。主フレーム20は、このように構成されている。
次に、シートクッション30を説明していく。このシートクッション30は、略矩形枠状に形成されたクッションフレーム(図示しない)と、このクッションフレームを覆うように略矩形状に形成されたクッションパッド(図示しない)と、このクッションパッドの表面をカバーリングするクッションカバー36とから構成されている。このクッションフレームには、シートクッション30のクッションカバー36の底面側から突出するように略コ字状のブラケット32、34が左右に対を成すように固着されている(図9参照)。
この左のブラケット32の左右の自由片32a、32bには、メイン部38aと、その両端を折り曲げた両サイド部38b、38cとから略コ字状に形成されたフロントレッグ38の左のサイド部38bの先端38dがピン32cを介して回転可能に組み付けられている。このフロントレッグ38も、金属製の丸パイプから構成されている。これと同様に、この右のブラケット34の左右の自由片34a、34bにも、このフロントレッグ38の右のサイド部38cの先端38eがピン34cを介して回転可能に組み付けられている。
これらの回転可能な組み付けにより、シートクッション30に対してフロントレッグ38を沿わせたフロントレッグ38の収納状態(図9に示す状態)と、シートクッション30からフロントレッグ38を引き起こしたフロントレッグ38の引起状態(図1に示す状態)とに切り替えることができる。シートクッション30は、このように構成されている。
次に、シートバック40を説明していく。このシートバック40も、略矩形枠状に形成されたバックフレーム(図示しない)と、このバックフレームを覆うように略矩形状に形成されたバックパッド(図示しない)と、このバックパッドの表面をカバーリングするバックカバー46とから構成されている。このバックパッドには、着座者の後頭部を受け止め可能な鞍型タイプのヘッドレスト42が組み付けられている。シートバック40は、このように構成されている。
続いて、これら主フレーム20と、シートクッション30と、シートバック40との組み付け構造を説明する。このシートクッション30とシートバック40とは、左右のブラケット22、24を介して主フレーム20に組み付けられている。
ここで、図2を参照して、この左のブラケット22について詳述すると、この左のブラケット22は、略直角三角形状を成すプレート状のブラケット本体22aと、このブラケット本体22aの前角から直交するように右側(内側)に向けて折り曲げられた取付部22bとから一体を成すように構成されている。この取付部22bには、主フレーム20の第1の平坦部20aに形成されている2個の挿込孔に対応するように2個の挿込孔(図示しない)が形成されている。
また、この取付部22bの前面側には、この2個の挿込孔に挿し込んだ2本のボルトB1、B2を螺合可能な2個のナットN1、N2が溶接等によって固着されている。また、このブラケット本体22aの内面には、長尺状に形成されたアーム22cが溶接等によって固着されている。このように形成されている左のブラケット22の取付部22bは、主フレーム20の第1の平坦部20aに固着されている。
なお、この固着は、主フレーム20の第1の平坦部20aの2個の挿込孔と、取付部22bの2個の挿込孔とに2本のボルトB1、B2を後側から前側に向けて挿し込み、この挿し込んだ2本のボルトB1、B2を2個のナットN1、N2に螺合させることで行われている。また、この2本のボルトB1、B2の挿し込みのとき、予め、この2本のボルトB1、B2にはワッシャー(図示しない)が挿入されている。そのため、2個のナットN1、N2に螺合させた2本のボルトB1、B2の緩みを防止できる。左のブラケット22は、このように構成されている。
一方、図3を参照して、右のブラケット24についても詳述すると、この右のブラケット24も、略直角三角形状を成すプレート状のブラケット本体24aと、このブラケット本体24aの前角から直交するように左側(内側)に向けて折り曲げられた取付部24bとから一体を成すように構成されている。この取付部24bにも、主フレーム20の第2の平坦部20bに形成されている2個の挿込孔20b1、20b2に対応するように2個の挿込孔24b1、24b2が形成されている。
また、このブラケット本体24aの内面にも、長尺状に形成されたアーム24cが溶接等によって固着されている。このように形成されている右のブラケット24の取付部24bも、主フレーム20の第2の平坦部20bに固着されている。
なお、この固着も、主フレーム20の第2の平坦部20bの2個の挿込孔20b1、20b2と、取付部24bの2個の挿込孔24b1、24b2と、略L字状に形成されている取付ブラケット62の一片62aの2個の挿込孔(図示しない)とに2本のボルトB3、B4を後側から前側に向けて挿し込み、この挿し込んだ2本のボルトB3、B4を取付ブラケット62に固着されている2個のナットN3、N4に螺合させることで行われている。また、この2本のボルトB3、B4の挿し込みのとき、予め、この2本のボルトB3、B4にはワッシャーW3、W4が挿入されている。そのため、2個のナットN3、N4に螺合させた2本のボルトB3、B4の緩みを防止できる。右のブラケット24は、このように構成されている。
そして、シートクッション30のクッションフレームの左右の基端側(後側)は、これら左右のブラケット22、24の各アーム22c、24cの先端に溶接等によって固着されている回転軸22d、24dを介して回転可能に組み付けられている。これにより、各アーム22c、24cに対して、すなわち、主フレーム20に対して、シートクッション30を跳ね上げることができる。このようにして、シートクッション30は、主フレーム20に対して組み付けられている。
また、シートバック40のバックフレームの左右の基端側(下側)も、これら左右のブラケット22、24の各ブラケット本体22a、24aの内面に公知のリクライナ22e、24eを介して組み付けられている(図2〜3参照)。もちろん、これらのリクライナ22e、24eは、手動式であっても構わないし、モータ等の駆動源によって駆動する電動式であっても構わない。これらのリクライナ22e、24eにより、左右のブラケット22、24に対して、すなわち、シートクッション30に対して、シートバック40の傾き角度を任意の位置に調節できる。したがって、着座者は、自身の体格に適した快適な姿勢で着座できる。
このようにして、シートバック40は、主フレーム20に対して組み付けられている。これら上述した組み付けから、シートクッション30とシートバック40とは、左右のブラケット22、24を介して主フレーム20に組み付けられている。主フレーム20と、シートクッション30と、シートバック40との組み付け構造は、このように構成されている。3列目シート10は、このように構成されている。
次に、図1に戻って、自動車1の床フロア3のうち、3列目シート10が配置されている部位の床フロア3aを説明する。この床フロア3aには、自動車1の右側の後輪のタイヤを収納するスペースを形成するフェンダーライナ(いずれも図示しない)を覆うホイルカバー4がビス等(図示しない)によって固着されている。このホイルカバー4は、フェンダーライナに沿って半円状に形成されたホイルカバー本体4aと、このホイルカバー本体4aから前側に向けて矩形状に形成された延長部4bとを備えており、剛性を有する合成樹脂から一体を成すように形成されている。
また、この床フロア3aの表面には、上述した第1のロック機構R1のロック爪がロック可能なストライカ90aを有する第1のロック受部90が埋め込まれている。この第1のロック受部90は、そのストライカ90aに第1のロック機構R1のロック爪がロックすると、この3列目シート10を第1の使用位置にアレンジした状態に保持できる位置に設定されている。なお、この第1の使用位置とは、図1に示すように、着座者が自動車1の進行方向を向いて着座可能な位置のことである。
また、上述したホイルカバー4の延長部4bの表面にも、上述した第1のロック機構R1のロック爪がロック可能なストライカ92aを有する第2のロック受部92が埋め込まれている。この第2のロック受部92は、そのストライカ92aに第1のロック機構R1のロック爪がロックすると、この3列目シート10を第1の格納位置にアレンジした状態に保持できる位置に設定されている。
なお、この第1の格納位置とは、図10に示すように、シートバック40に重なり合うようにシートクッション30を跳ね上げ、この跳ね上げたシートクッション30が右壁2に対向するように、シートクッション30とシートバック40と共に主フレーム20を右に90°回転させた位置のことである。
また、図1〜2に戻って、この床フロア3aの表面には、シートクッション30のフロントレッグ38のメイン部38aをロック可能な第2のロック機構R2が組み付けられている。この第2のロック機構R2は、その受入部70aに受け入れたフロントレッグ38のメイン部38aをカム部材80がロックさせると、第1の使用位置にアレンジした状態の3列目シート10のシートクッション30の支持性(安定性)を高めることができる。
ここで、図5〜8を参照して、この第2のロック機構R2について詳述すると、この第2のロック機構R2は、主として、ロックプレート70と、カム部材80とから構成されている。以下に、これらロックプレート70と、カム部材80とを個別に説明していく。
まず、ロックプレート70から説明していく(図5〜6参照)。このロックプレート70は、隣り合うように並べられる左右のロックブラケット72、82から構成されている。この左のロックブラケット72は、底壁74と、この底壁74の右側の縁から折り曲げられた縦壁76とから略L字を成すように形成されている。この底壁74には、後述するボルトB5を挿し込み可能な挿込孔(図示しない)が形成されている。
この縦壁76は、上述したフロントレッグ38のメイン部38aを受け入れ可能な受入部70aを有するフック体76aと、このフック体76aから屈曲部76bを介して左側(外側)に張り出した組付体76cとから構成されている。この組付体76cには、後述する組付ピン80dを挿し込み可能な挿込孔76dと、後述するカム部材80の突起80cを案内可能な長孔76eとが形成されている。
一方、右のロックブラケット82も、左のロックブラケット72に対して略左右対称を成しており、底壁84と、この底壁84の左側の縁から折り曲げられた縦壁86とから略L字を成すように形成されている。この底壁84にも、後述するボルトB6を挿し込み可能な挿込孔(図示しない)が形成されている。この縦壁86も、上述したフロントレッグ38のメイン部38aを受け入れ可能な受入部70aを有するフック体86aと、このフック体86aから屈曲部(図示しない)を介して右側(外側)に張り出した組付体86cとから構成されている。この組付体86cにも、後述する組付ピン80dを挿し込み可能な挿込孔86dが形成されている。
次に、カム部材80を説明する。このカム部材80の先端の外周には、カム面80aが形成されている。また、このカム部材80には、上述した左右のロックブラケット72、82の挿込孔76d、86dに対応する挿込孔80bが板厚方向を貫通するように形成されている。また、このカム部材80には、上述した左のロックブラケット72の長孔76eに挿し込み可能な突起80cが形成されている。
このように形成されているカム部材80は、組付ピン80dを介してロックプレート70の挟持部70b(隣り合う組付体76c、86cの間に形成される隙間)に左右の組付体76c、86cに対して回転可能に組み付けられている。この組み付けは、右のロックブラケット82の挿込孔86dと、カム部材80の挿込孔80bと、左のロックブラケット72の挿込孔76dとに組付ピン80dを右側から左側に向けて挿し込み、この挿し込んだ組付ピン80dを左右のロックブラケット72、82に固着させることで行われている。
このとき、組み付けられたカム部材80の突起80cは、左のロックブラケット72の長孔76eの内部に挿し込まれた状態となっている。なお、この組付ピン80dには、トーションばね80eが組み付けられている。このトーションばね80eの一端は、この組付ピン80dの先端に掛け留めされている。また、このトーションばね80eの他端は、カム部材80の突起80cに掛け留めされている。
これにより、カム部材80は、その左側面視において、ロックプレート70に対して時計回り方向(図6において、矢印方向)に付勢された状態となっている。なお、このように付勢されていても、カム部材80の突起80cが左のロックブラケット72の長孔76eの上端によって規制されることとなっている(図6参照)。そのため、このカム部材80が付勢によって後側に向けて大きく回転してしまうことがない。
このようにカム部材80が組み付けられている左右のロックブラケット72、82は、互いの縦壁76、86を隣り合うように並べて床フロア3の所定の位置に固着されている。なお、この固着は、左右のロックブラケット72、82の2個の挿込孔と、予め、床フロア3に形成されている2個の挿込孔とに2本のボルトB5、B6を上側から下側に向けて挿し込み、この挿し込んだ2本のボルトB5、B6を床フロア3に形成されている2個の挿込孔の雌ネジ(図示しない)に螺合させることで行われている。
また、この2本のボルトB5、B6の挿し込みのとき、予め、この2本のボルトB5、B6にはワッシャーW5、W6が挿入されている。そのため、2個の挿込孔の雌ネジに螺合させた2本のボルトB5、B6の緩みを防止できる。第2のロック機構R2は、このように構成されている。
ここで、図6〜8を参照して、この第2のロック機構R2の動作を説明する。図6に示す状態から、フロントレッグ38のメイン部38aがロックプレート70の受入部70aに受け入れられていくと(フロントレッグ38が収納状態から引き起こされていくと)、このフロントレッグ38のメイン部38aがトーションばね80eの付勢力に抗してカム部材80を押し込んでいく(図7参照)。
やがて、押し込んだカム部材80をフロントレッグ38のメイン部38aが乗り越えると、このフロントレッグ38のメイン部38aがロックプレート70の受入部70aに受け入れられた状態(フロントレッグ38の引起状態)となる。このとき、この乗り越えと同時に、トーションばね80eの付勢力によってカム部材80が押し込み前の状態に戻される。
これにより、フロントレッグ38のメイン部38aがロックされた状態、いわゆる、第2のロック機構R2のロック状態となる(図8参照)。なお、このロック状態になると、カム部材80のカム面80aがフロントレッグ38のメイン部38aの外周面を押し込むため、このロック状態におけるフロントレッグ38のメイン部38aのガタつきを抑えることができる。
なお、この第2のロック機構R2のロック状態から、トーションばね80eの付勢力に抗してカム部材80の突起80cを押し込む操作(第2のロック機構R2のロックを解除する操作)を行うと、フロントレッグ38のメイン部38aのロックが解除された状態、いわゆる、第2のロック機構R2のロック解除状態となる。そのため、引起状態のフロントレッグ38を収納状態に戻すことができる。3列目シート10が位置する自動車1の床フロア3は、このように構成されている。
なお、上述した3列目シート10は、ヒンジ機構H1を介して自動車1の右壁2に組み付けられている(図2〜3参照)。ここで、図3〜4を参照して、このヒンジ機構H1を説明すると、このヒンジ機構H1は、円筒状のインナパイプ54と、このインナパイプ54の外周面54aに対して軸方向と周方向とに相対移動可能な内周面56aを有する円筒状のアウタパイプ56とから構成されている。
この「円筒状のインナパイプ54」と「円筒状のアウタパイプ56」とが、特許請求の範囲に記載の「内筒部材」と「外筒部材」とに相当する。このアウタパイプ56は、インナパイプ54に挿し込まれた格好となっている。このインナパイプ54の外周面54aには、アウタパイプ56の後述する長孔56bを介してピン54bが固着されている。
一方、このアウタパイプ56には、上述したピン54bを案内可能な長孔56bが厚み方向を貫通するように形成されている。この長孔56bは、3列目シート10を第1の使用位置から第1の格納位置に向くように主フレーム20と共にアウタパイプ56を回転させると、この回転させたアウタパイプ56の高さ位置がその回転の前より高くなるように左下がりの傾斜状(自動車1の内側に向けて下り傾斜状)に形成されている(図3参照)。また、このアウタパイプ56の高さ方向の途中位置には、円形状の鍔58が形成されている。
このインナパイプ54の上端は、略L字を成す支持ブラケット50の一片50aを貫通する格好で溶接等によって固着されている。このように貫通させると、この固着の強度を高めることができる。この支持ブラケット50の他片50bは、自動車1の右壁2に固着されている。なお、この固着は、この支持ブラケット50の他片50bに形成されている挿込孔50b1と、予め、この右壁2に形成されている挿込孔2aとにボルトB7を左側から右側に向けて挿し込み、この挿し込んだボルトB7を右壁2に形成されている挿込孔2aの雌ネジ(図示しない)に螺合させることで行われている。
また、この挿し込みのとき、予め、ボルトB7にはワッシャーW7が挿入されている。そのため、この雌ネジに螺合させたボルトB7の緩みを防止できる。なお、この支持ブラケット50の両縁には、盛り上がり状を成すビード50c、50cが形成されている。これにより、この支持ブラケット50の強度を高めることができる。したがって、自動車1の右壁2に対する3列目シート10の組み付け強度も高めることができる。
これと同様に、インナパイプ54の下端は、略L字を成す支持ブラケット52の一片52aを貫通する格好で溶接等によって固着されている。このように貫通させると、この固着の強度を高めることができる。この支持ブラケット52の他片52bも、自動車1の右壁2に固着されている。なお、この固着も、この支持ブラケット52の他片52bに形成されている挿込孔52b1と、予め、この右壁2に形成されている挿込孔2bとにボルトB8を左側から右側に向けて挿し込み、この挿し込んだボルトB8を右壁2に形成されている挿込孔2bの雌ネジ(図示しない)に螺合させることで行われている。
また、この挿し込みのとき、予め、ボルトB8にはワッシャーW8が挿入されている。そのため、この雌ネジに螺合させたボルトB8の緩みを防止できる。なお、この支持ブラケット52の両縁には、折れ曲がり状の折曲部52c、52cが形成されている。これにより、この支持ブラケット52の強度を高めることができる。したがって、自動車1の右壁2に対する3列目シート10の組み付け強度も高めることができる。
一方、このアウタパイプ56には、取付ブラケット62の他片62bが溶接等によって固着されている。なお、この取付ブラケット62の両縁には、盛り上がり状のビード62e、62eが形成されている。これにより、この取付ブラケット62の強度を高めることができる。したがって、自動車1の右壁2に対する3列目シート10の組み付け強度も高めることができる。
また、このアウタパイプ56における鍔58の下側には、トーションばね60が挿し込まれている。このトーションばね60の一端60aは、アウタパイプ56の鍔58に形成されている切欠58aに掛け留めされている。これと同様に、このトーションばね60の他端60bは、支持ブラケット52の一片52aに形成されている切欠52a1に掛け留めされている。
これにより、アウタパイプ56は、3列目シート10が第1の格納位置を向くようにインナパイプ54に対して付勢された状態となっている。なお、このように付勢されていても、インナパイプ54のピン54bがアウタパイプ56の長孔56bの下縁によって規制されることとなっている。そのため、3列目シート10が第1の格納位置を超えて大きく回転してしまうことがない。ヒンジ機構H1は、このように構成されている。このようなヒンジ機構H1を介して3列目シート10は、自動車1の右壁2に組み付けられている。
最後に、上述したように自動車1の右壁2に組み付けられている3列目シート10をアレンジする手順について説明する。まず、第1の使用位置から第1の格納位置に3列目シート10をアレンジする手順について説明する。この第1の使用位置とは、既に説明したように、図1に示すように、着座者が自動車1の進行方向を向いて着座可能な位置のことである。
はじめに、この第1の使用位置から、ロック状態にある第2のロック機構R2のロックを解除する操作を行う。次に、引き起こされているフロントレッグ38を収納する操作を行うと共に、主フレーム20に対してシートクッション30を跳ね上げる操作を行う。これにより、図9に示すように、シートバック40に対してシートクッション30が重なり合うように跳ね上げられた状態となる。次に、ロック状態にある第1のロック機構R1のロックを解除する操作を行う。
次に、跳ね上げたシートクッション30が自動車1の右壁2に対向するように、これらシートクッション30とシートバック40と共に主フレーム20を右に90°回転させる操作を行う。このように回転させる操作を行うと、既に説明したように、アウタパイプ56の長孔56bにインナパイプ54のピン54bが案内されているため、この回転させる操作に伴い、主フレーム20と共にシートクッション30とシートバック40とが上昇していく(図10〜11参照)。
なお、この回転させる操作を行うとき、既に説明したように、トーションばね60の付勢力が作用するため、この回転させる操作に必要な操作荷重を抑えることができる。このようにして、第1の使用位置から第1の格納位置に3列目シート10をアレンジできる。このように第1の格納位置に3列目シート10をアレンジできると、従来技術と同様に、自動車1の車室の後方の空きスペースを広く確保できる。最後に、第1のロック機構R1のロック爪を第2のロック受部92のストライカ92aにロックさせる作業(第1のロック機構R1をロック状態に戻す作業)を行う(図10参照)。これにより、3列目シート10を第1の格納位置にアレンジした状態を保持できる。
続いて、第1の格納位置から第1の使用位置に3列目シート10をアレンジする(戻す)手順について説明する。まず、第1の格納位置(図10に示す状態)から、ロック状態にある第1のロック機構R1のロックを解除する操作を行う。次に、シートクッション30とシートバック40と共に主フレーム20を左に90°回転させる(戻す)操作を行う。このように回転させる操作を行うと、既に説明したように、アウタパイプ56の長孔56bにインナパイプ54のピン54bが案内されているため、この回転させる操作に伴い、主フレーム20と共にシートクッション30とシートバック40とが下降していく。
次に、第1のロック機構R1のロック爪を第1のロック受部90のストライカ90aにロックさせる作業(第1のロック機構R1をロック状態に戻す作業)を行う。次に、跳ね上げられているシートクッション30を前倒しさせる操作を行う。これにより、3列目シート10が第1の使用位置に戻される。この第1のロック機構R1により、3列目シート10を第1の使用位置にアレンジした状態(戻した状態)を保持できる。このようにして、第1の格納位置から第1の使用位置に3列目シート10をアレンジできる。最後に、収納状態にあるフロントレッグ38を引き起こす操作を行う。やがて、引き起こされたフロントレッグ38のメイン部38aが第2のロック機構R2にロックされた状態となる(図1参照)。これにより、第1の使用位置にアレンジした状態の3列目シート10のシートクッション30の支持性(安定性)を高めることができる。
本発明の実施例1に係る3列目シート10は、上述したように構成されている。この構成によれば、従来技術と同様に、3列目シート10を着座者が自動車1の進行方向を向いて着座可能な使用位置(この実施例1において、第1の使用位置)と、自動車1の車室の後方の空きスペースを広く確保できる格納位置(この実施例1において、第1の格納位置)とにアレンジできる。この第1の格納位置のアレンジは、シートバック40に対してシートクッション30が重なり合った状態となるように、主フレーム20に対してシートクッション30を跳ね上げる操作と、この跳ね上げたシートクッション30が自動車1の右壁2に対向するように、これらシートクッション30とシートバック40と共に主フレーム20を右に90°回転させる操作とによって行われている。このとき、この跳ね上げ操作には、作業者に対してシートクッション30のみの自重に抗した荷重が掛かることとなる。すなわち、従来技術とは異なり、この跳ね上げ操作には、作業者に対してシートバック40の自重に抗した荷重が掛かることがない。したがって、この跳ね上げに必要な操作荷重を抑えることができる。
また、この構成によれば、アウタパイプ56に形成されている長孔56bは、3列目シート10を第1の使用位置から第1の格納位置に向くように主フレーム20と共にアウタパイプ56を回転させると、この回転させたアウタパイプ56の高さ位置がその回転の前より高くなるように左下がりの傾斜状に形成されている。そのため、この主フレーム20と共にアウタパイプ56を回転させる操作に伴い、この主フレーム20と共にシートクッション30とシートバック40とが上昇していく。したがって、床フロア3aにホイルカバー4がビス等によって固着されていても、第1の格納位置に3列目シート10をアレンジするとき、このアレンジした3列目シート10が、このホイルカバー4に干渉してしまうことを防止できる。
また、この構成によれば、主フレーム20の先端には、ロック爪を有する公知の第1のロック機構R1が固着されている。この第1のロック機構R1は、そのロック爪が第1のロック受部90のストライカ90a、第2のロック受部92のストライカ92aのいずれかのストライカ90a、92aにロック可能に構成されている。なお、この第1のロック受部90は、そのストライカ90aに第1のロック機構R1のロック爪がロックすると、この3列目シート10を第1の使用位置にアレンジした状態に保持できる位置に設定されている。また、この第2のロック受部92は、そのストライカ92aに第1のロック機構R1のロック爪がロックすると、この3列目シート10を第1の格納位置にアレンジした状態に保持できる位置に設定されている。そのため、主フレーム20の先端に第1のロック機構R1が固着されていない場合(第1のロック機構R1を備えていない場合)と比較すると、これらアレンジした状態に3列目シート10をしっかりと保持できる。
また、この構成によれば、クッションフレームには、シートクッション30のクッションカバー36の底面側から突出するように略コ字状のブラケット32、34が左右に対を成すように固着されている。この左のブラケット32の左右の自由片32a、32bには、メイン部38aと、その両端を折り曲げた両サイド部38b、38cとから略コ字状に形成されたフロントレッグ38の左のサイド部38bの先端38dがピン32cを介して回転可能に組み付けられている。これと同様に、この右のブラケット34の左右の自由片34a、34bにも、このフロントレッグ38の右のサイド部38cの先端38eがピン34cを介して回転可能に組み付けられている。また、床フロア3aの表面には、シートクッション30のフロントレッグ38のメイン部38aをロック可能な第2のロック機構R2が組み付けられている。なお、この第2のロック機構R2は、その受入部70aに受け入れたフロントレッグ38のメイン部38aをカム部材80がロックさせると、第1の使用位置にアレンジした3列目シート10のシートクッション30を床フロア3に対して保持できるように構成されている。そのため、この第1の使用位置にアレンジした状態の3列目シート10のシートクッション30の支持性(安定性)を高めることができる。
(実施例2)
次に、本発明の実施例2を、図12〜17を用いて説明する。この実施例2は、既に説明した実施例1と比較すると、3列目シート110のアレンジの形態が異なるものである。すなわち、実施例1では、3列目シート10は、第1の使用位置と第1の格納位置とにアレンジできる形態となっていた。これに対し、これから説明する実施例2では、3列目シート110は、第1の使用位置と第2の格納位置と第2の使用位置とにアレンジできる形態である。なお、以下の説明にあたって、実施例1と同一または均等な構成の部材には、図面において同一符号を付すことで、重複する説明は省略することとする。
まず、3列目シート110と、自動車101の床フロア3のうち、3列目シート110が配置されている部位の床フロア103aとを個別に説明する。
この3列目シート110も、実施例1の3列目シート10と同様に、主として、主フレーム20と、シートクッション30と、シートバック40とから構成されている。一方、この床フロア103aにも、実施例1の床フロア3aと同様に、ホイルカバー4がビス等によって固着されている。この床フロア103aから嵩上げされた床フロア103bの表面にも、実施例1の床フロア3aと同様に、実施例1で説明した第1のロック受部90と、第1のロック機構R1のロック爪がロック可能なストライカ94aを有する第3のロック受部94が埋め込まれている。
この第3のロック受部94は、そのストライカ94aに第1のロック機構R1のロック爪がロックすると、この3列目シート110を第2の格納位置にアレンジした状態に保持できる位置に設定されている。なお、この第2の格納位置とは、図16に示すように、シートバック40に重なり合うようにシートクッション30を跳ね上げ、この跳ね上げたシートクッション30に重なり合うシートバック40が右壁2に対向するように、シートクッション30とシートバック40と共に主フレーム20を左に90°回転させた位置のことである。
また、この床フロア103aの表面には、実施例1で説明した第2のロック機構R2が組み付けられている。また、この床フロア103aの表面には、シートクッション30のフロントレッグ38のメイン部38aをロック可能な第3のロック機構R3が組み付けられている。なお、この第3のロック機構R3は、実施例1で説明した第2のロック機構R2と同様に構成されており、その受入部70aに受け入れたフロントレッグ38のメイン部38aをカム部材80がロックさせると、第2の使用位置にアレンジした3列目シート110のシートクッション30を床フロア103aに対して保持できるように構成されている。なお、第2の使用位置とは、図17に示すように、着座者が自動車1の内側を向いて着座可能な位置のことである。
なお、この実施例2における自動車101の右壁2には、3列目シート110を第2の格納位置にアレンジしても、このアレンジした3列目シート110のシートクッション30とシートバック40とが接触することがないように凹部102cが形成されている。また、この実施例2の3列目シート110も、実施例1の3列目シート10と同様に、ヒンジ機構H2を介して自動車1の右壁2に組み付けられている(図13参照)。
なお、このヒンジ機構H2も、実施例1のヒンジ機構H1と同様に構成されている。ただし、この実施例2のヒンジ機構H2のアウタパイプ56の長孔156bは、実施例1の長孔56bと異なる形状となっている。すなわち、この長孔156bは、3列目シート110を第1の使用位置から第2の格納位置に向くように主フレーム20と共にアウタパイプ56を回転させると、この回転させたアウタパイプ56の高さ位置がその回転の前より高くなるように右側に向けて右下がりの傾斜状(自動車1の外側に向けて下り傾斜状)に形成されている(図14参照)。このようなヒンジ機構H2を介して3列目シート110は、自動車101の右壁2に組み付けられている。
続いて、上述したように自動車101の右壁102に組み付けられている3列目シート110をアレンジする手順について説明する。まず、第1の使用位置から第2の格納位置に3列目シート110をアレンジする手順について説明する。この第1の使用位置とは、既に説明したように、図12に示すように、着座者が自動車101の進行方向を向いて着座可能な位置のことである。
はじめに、この第1の使用位置から、第2のロック機構R2のロックを解除する操作を行う。次に、引き起こされているフロントレッグ38を収納する操作を行うと共に、主フレーム20に対してシートクッション30を跳ね上げる操作を行う。これにより、図15に示すように、シートバック40に対してシートクッション30が重なり合うように跳ね上げられた状態となる。次に、第1のロック機構R1のロックを解除する操作を行う。
次に、シートバック40が自動車101の右壁102に対向するように、これらシートクッション30とシートバック40と共に主フレーム20を左に90°回転させる操作を行う。このように回転させる操作を行うと、既に説明したように、アウタパイプ56の長孔156bにインナパイプ54のピン54bが案内されているため、この回転させる操作に伴い、主フレーム20と共にシートクッション30とシートバック40とが上昇していく。
なお、この回転させる操作を行うとき、実施例1の説明と同様に、トーションばね60の付勢力が作用するため、この回転させる操作に必要な操作荷重を抑えることができる。このようにして、第1の使用位置から第2の格納位置に3列目シート110をアレンジできる。このように第2の格納位置に3列目シート110をアレンジできると、従来技術と同様に、自動車1の車室の後方の空きスペースを広く確保できる。
最後に、第1のロック機構R1のロック爪を第3のロック受部94のストライカ94aにロックさせる作業を行う(図16参照)。これにより、3列目シート110を第2の格納位置にアレンジした状態を保持できる。なお、このように第2の格納位置に3列目シート110をアレンジすると、このアレンジした3列目シート110のシートクッション30とシートバック40とが右壁102の凹部102cに収納されることとなる。
次に、第2の格納位置から第2の使用位置に3列目シート110をアレンジする手順について説明する。まず、図16に示す状態から、跳ね上げられているシートクッション30を前倒しさせる操作を行う。このようにして、第2の格納位置から第2の使用位置に3列目シート110をアレンジできる。次に、収納状態にあるフロントレッグ38を引き起こす操作を行う。やがて、引き起こされたフロントレッグ38のメイン部38aが第3のロック機構R3にロックされた状態となる(図17参照)。これにより、3列目シート110を第2の使用位置にアレンジした状態を保持できる。
続いて、第2の使用位置から第2の格納位置に3列目シート110をアレンジする(戻す)手順について説明する。まず、第2の使用位置(図17に示す状態)から、第3のロック機構R3のロックを解除する操作を行う。次に、引き起こされているフロントレッグ38を収納する操作を行うと共に、主フレーム20に対してシートクッション30を跳ね上げる操作を行う(図16参照)。これにより、3列目シート10が第2の格納位置に戻される。このようにして、第2の使用位置から第2の格納位置に3列目シート110をアレンジできる。
次に、第2の格納位置から第1の使用位置に3列目シート110をアレンジする(戻す)手順について説明する。まず、第2の格納位置(図16に示す状態)から、第1のロック機構R1のロックを解除する操作を行う。次に、シートクッション30とシートバック40と共に主フレーム20を左に90°回転させる(戻す)操作を行う。このように回転させる操作を行うと、既に説明したように、アウタパイプ56の長孔156bにインナパイプ54のピン54bが案内されているため、この回転させる操作に伴い、主フレーム20と共にシートクッション30とシートバック40とが下降していく。
次に、第1のロック機構R1のロック爪を第1のロック受部90のストライカ90aにロックさせる操作を行う(図15参照)。次に、跳ね上げられているシートクッション30を前倒しさせる操作を行う。これにより、3列目シート10が第1の使用位置に戻される。このようにして、第2の格納位置から第1の使用位置に3列目シート10をアレンジできる。最後に、収納状態にあるフロントレッグ38を引き起こす操作を行う。やがて、引き起こされたフロントレッグ38のメイン部38aが第2のロック機構R2にロックされた状態となる(図12参照)。これにより、3列目シート10を第1の使用位置にアレンジした状態を保持できる。
本発明の実施例2に係る3列目シート110は、上述したように構成されている。この構成によれば、従来技術と同様に、3列目シート110を着座者が自動車101の進行方向を向いて着座可能な使用位置(この実施例2において、第1の使用位置)と、自動車101の車室の後方の空きスペースを広く確保できる格納位置(この実施例2において、第2の格納位置)とにアレンジできる。この第2の格納位置のアレンジは、シートバック40に対してシートクッション30が重なり合った状態となるように、主フレーム20に対してシートクッション30を跳ね上げる操作と、この跳ね上げたシートクッション30と共にシートバック40が自動車101の右壁102に対向するように、これらシートクッション30とシートバック40と共に主フレーム20を左に90°回転させる操作とによって行われている。このとき、この跳ね上げ操作には、作業者に対してシートクッション30のみの自重に抗した荷重が掛かることとなる。すなわち、従来技術とは異なり、この跳ね上げ操作には、作業者に対してシートバック40の自重に抗した荷重が掛かることがない。したがって、この跳ね上げに必要な操作荷重を抑えることができる。
また、この構成によれば、第2の格納位置から着座者が自動車101の内側を向いて着座可能な第2の使用位置に3列目シート110をアレンジできる。そのため、例えば、この3列目シート110と隣り合うように、左側にも3列目シート(図示しない)が存在している場合、これら2つの3列目シート110を互いに第2の使用位置にアレンジすると、着座者は向かい合った格好で着座できる。したがって、この向かい合った着座者どうしの会話を弾ませることができる。
また、この構成によれば、アウタパイプ56に形成されている長孔156bは、3列目シート110を第1の使用位置から第2の格納位置に向くように主フレーム20と共にアウタパイプ56を回転させると、この回転させたアウタパイプ56の高さ位置がその回転の前より高くなるように右下がりの傾斜状(自動車1の外側に向けて下り傾斜状)に形成されている(図14参照)。そのため、この主フレーム20と共にアウタパイプ56を回転させる操作に伴い、この主フレーム20と共にシートクッション30とシートバック40とが上昇していく。したがって、床フロア103aにホイルカバー4がビス等によって固着されていても、第2の格納位置に3列目シート110をアレンジするとき、このアレンジした3列目シート110が、このホイルカバー4に干渉してしまうことを防止できる。
また、この構成によれば、主フレーム20の先端には、ロック爪を有する公知の第1のロック機構R1が固着されている。この第1のロック機構R1は、そのロック爪が第1のロック受部90のストライカ90a、第3のロック受部94のストライカ94aのいずれかのストライカ90a、94aにロック可能に構成されている。なお、この第1のロック受部90は、そのストライカ90aに第1のロック機構R1のロック爪がロックすると、この3列目シート10を第1の使用位置にアレンジした状態に保持できる位置に設定されている。また、この第3のロック受部94は、そのストライカ94aに第1のロック機構R1のロック爪がロックすると、この3列目シート110を第2の格納位置にアレンジした状態に保持できる位置に設定されている。そのため、主フレーム20の先端に第1のロック機構R1が固着されていない場合(第1のロック機構R1を備えていない場合)と比較すると、これらアレンジした状態に3列目シート110をしっかりと保持できる。
また、この構成によれば、クッションフレームには、シートクッション30のクッションカバー36の底面側から突出するように略コ字状のブラケット32、34が左右に対を成すように固着されている。この左のブラケット32の左右の自由片32a、32bには、メイン部38aと、その両端を折り曲げた両サイド部38b、38cとから略コ字状に形成されたフロントレッグ38の左のサイド部38bの先端38dがピン32cを介して回転可能に組み付けられている。これと同様に、この右のブラケット34の左右の自由片34a、34bにも、このフロントレッグ38の右のサイド部38cの先端38eがピン34cを介して回転可能に組み付けられている。また、床フロア103aの表面には、実施例1で説明した第2のロック機構R2が組み付けられている。また、この床フロア103aの表面には、シートクッション30のフロントレッグ38のメイン部38aをロック可能な第3のロック機構R3が組み付けられている。なお、この第3のロック機構R3は、実施例1で説明した第2のロック機構R2と同様に構成されており、その受入部70aに受け入れたフロントレッグ38のメイン部38aをカム部材80がロックさせると、第2の使用位置にアレンジした3列目シート110のシートクッション30を床フロア103aに対して保持できるように構成されている。そのため、この第1の使用位置および第2の使用位置にアレンジした状態の3列目シート110のシートクッション30の支持性(安定性)を高めることができる。
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
各実施例では、『乗物』の例として、『ミニバン形式の自動車1』を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、各種の乗物、例えば、『船舶』、『飛行機』、『鉄道』等であっても構わない。また、各実施例では、『乗物用シート』の例として、『自動車1の右側の3列目シート10』を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、『自動車1の左側の3列目シート』であっても構わない。もちろん、各種のシート、例えば、『運転席』、『2列目シート』等であっても構わない。
また、各実施例では、『内筒部材』の例として、『円筒状のインナパイプ54』を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、『多角形状の軸部材』であっても構わない。また、各実施例では、『外筒部材』の例として、『円筒状のアウタパイプ56』を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、『多角形状のパイプ』であっても構わない。
また、実施例1では、3列目シート10を第1の使用位置から第1の格納位置に向くように主フレーム20と共にアウタパイプ56を回転させると、この回転させたアウタパイプ56の高さ位置がその回転の前より高くなる形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、3列目シート10を第1の使用位置から第1の格納位置に向くように主フレーム20と共にアウタパイプ56を回転させると、この回転させたアウタパイプ56の高さ位置がその回転の前より低くなる形態でも構わない。その場合、自動車1の右壁2の上部に設けられる各種部材に対して第1の格納位置にアレンジした3列目シート10が接触することを防止できる。このことは、実施例2においても同様である。
また、実施例1では、インナパイプ54の外周面54aにピン54bが固着され、アウタパイプ56に長孔56bが形成されている形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、これとは逆に、インナパイプ54に長孔が形成され、アウタパイプ56の内周面にピンが固着される形態でも構わない。また、この長孔56bに限定されることなく、ピンを案内可能であれば、長溝等でも構わない。