JP6258663B2 - フィルムコンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、フィルムコンデンサに関する。
フィルムコンデンサは、例えば、ポリプロピレン樹脂をフィルム化した誘電体フィルムの表面に蒸着によって形成された金属膜を電極として有している。このような構成により、誘電体フィルムの絶縁欠陥部で短絡が生じた場合にも、短絡のエネルギーで欠陥部周辺の金属膜が蒸発、飛散して絶縁化し、フィルムコンデンサの絶縁破壊を防止できるという利点を有している。これを自己回復機能と呼ぶ。
このため、フィルムコンデンサは電気回路が短絡した際の発火や感電を防止することができるという点が注目され、近年、LED(Light Emitting Diode)照明等の電源回路への適用を始め、用途が拡大しつつある(例えば、特許文献1を参照)。
また、特許文献2では、コンデンサ素子および外部電極内部に耐電圧上昇作用を有するガスを封入することにより、コンデンサが長時間使用され、自己回復を繰り返し続けた後の終局破壊時においても、誘電体フィルムが分解して発生する可燃性ガスによるコンデンサ素子の発火・焼損する危険を防止できることが示されている。
特開2010−178571号公報 特開2002−289460号公報
しかしながら、特許文献2に示されたフィルムコンデンサは、金属化フィルムを積層巻回後、外部電極を形成する際にガスを封入したものであり、短絡が起こる可能性が比較的高い密着したフィルム間にガスを封入することはできないため、発火・焼損の防止には未だ不充分であった。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、絶縁破壊電圧を高め、終局破壊時における発火・焼損の可能性をより低減できるフィルムコンデンサを提供することを目的とする。
本発明のフィルムコンデンサは、金属酸化物と樹脂とを含む誘電体フィルムが電極層を介して複数積層された積層体と、該積層体の一対の側面に設けられた一対の外部電極と、を備え、一対の該外部電極が、一対の前記側面に露出した前記電極層とそれぞれ電気的に接続されたフィルムコンデンサであって、前記誘電体フィルムの第1の主面が、樹脂からなる第1の樹脂面と、前記金属酸化物を含み前記第1の樹脂面から丘状に突出した複数の丘状部と、を有し、該丘状部は、前記第1の樹脂面からの高さに対して裾部の幅または長さが5倍以上の大きさを有する扁平状をなし、前記電極層が前記誘電体フィルムの第2の主面に設けられており、前記第1の主面に対向する前記電極層の第1の電極表面が、前記丘状部と接するとともに、前記第1の電極表面と前記第1の樹脂面との間に空隙を有し、該空隙に絶縁性の気体が存在することを特徴とする。
本発明によれば、絶縁破壊電圧を高め、終局破壊時における発火・焼損の可能性をより低減できるフィルムコンデンサを提供することができる。
(a)は、本発明の一実施形態であるフィルムコンデンサの一部を模式的に示した斜視図であり、(b)は、(a)におけるX−X線断面図である。 本発明のフィルムコンデンサの他の態様を示すもので、金属酸化物を含む島状部が誘電体フィルムの第2の樹脂面と略面一であることを示す断面模式図である。 本発明のフィルムコンデンサの他の態様を示すもので、金属酸化物を含む島状部が誘電体フィルムの第2の樹脂面から丘状に突出していることを示す断面模式図である。 フィルムコンデンサの外観斜視図である。
本発明のフィルムコンデンサの一実施形態について、図1に基づき説明する。本実施形態において、誘電体フィルム1は、図1に示すように金属酸化物2aと樹脂3とを含み、その第1の主面1Aには、樹脂3からなる第1の樹脂面3Aと、金属酸化物2aを含み第1の樹脂面3Aから丘状に突出した扁平状の複数の丘状部2とを備える構成となっている。ここで、丘状とは、たとえばその高さに対してその裾部の幅や長さがおおむね5倍以上の大きさを有するような、扁平な形状を指す。なお、図1〜3では、理解を容易にするために誘電体フィルムの積層方向を誇張して示しており、実際の寸法関係を反映したものではない。
一方、誘電体フィルム1の第2の主面1Bには電極層4が形成されており、電極層4の第1の電極表面4Aと他の誘電体フィルム1の第1の主面1Aとが対向するように誘電体フィルム1を重ね合わせることにより積層体が形成される。なお、ここでいう積層体とは、誘電体フィルム1と電極層4とが交互に重ねあわされたものであり、たとえば矩形状の誘電体フィルム1と電極層4とが交互に積層されたいわゆる積層体以外に、長尺状の誘電体フィルム1と電極層4とが巻回された構造も含む。
積層体の電極層4が露出した一対の側面には、一対の外部電極7が設けられ、一対の側面に露出した電極層4とそれぞれ電気的に接続されている。
本実施形態においては、第1の電極表面4Aと誘電体フィルム1の第1の主面1Aとは、丘状部2において接するとともに、第1の電極表面4Aと第1の樹脂面3Aとの間には空隙5を有し、空隙5に絶縁性の気体が存在することが重要である。
このように第1の樹脂面3Aと第1の電極表面4Aとの間に空隙5を有し、空隙5に絶縁性の気体が存在する場合、第1の樹脂面3Aと第1の電極表面4Aとの間に絶縁性の気体層が形成される。この絶縁性の気体層、たとえば空気や窒素(N)などの層により、フィルムコンデンサの絶縁破壊電圧(BDV)が向上するという効果が得られ、その結果、発煙・発火の可能性が低減される。このような効果は、パッシェンの法則からわかるように、たとえば気体層が1気圧の空気からなる場合、空隙5の厚さ(第1の樹脂面3Aと第1の電極表面4Aとの間隔)すなわち気体層の厚さが特に1000nm以下の場合において顕著となり、この時の気体層のBDVはおよそ300V以上にもなる。
また、空隙5にさらに絶縁性の高い気体が存在することで、さらにBDVが向上するため好ましい。絶縁性の高い気体としては、例えば、窒素(N)や六フッ化硫黄(SF)、ヨウ化トリフルオロメタン(CFI)などが挙げられる。
空隙5に存在する気体は、積層体の一対の側面に設けられた外部電極7、および必要に応じての積層体の他の側面や、積層体および外部電極7を被覆した被覆層により、空隙5内に保持される。
空隙5の内部に気体を充填するには、たとえば誘電体フィルム1と電極層4とを積層または巻回する際に、所望の気体の雰囲気中で行えばよい。また、空隙5に存在する気体の種類は、真空中でフィルムコンデンサを破断したり、積層部に穴をあけるなどして得られた気体を、ガスクロマトグラフィなどを用いて確認すればよい。
なお、丘状部2の表面は、金属酸化物2aが露出していてもよいが、有機物等の薄い層が形成されていていることが好ましい。これは、金属成分を含む金属酸化物は電極層4を構成する金属との接着性が高く、有機物の方が丘状部2と接する第1の電極表面4Aとの滑り性が高い(摩擦係数が低い)ことによる。このように丘状部2と第1の電極表面4Aとの滑り性を高めることにより、誘電体フィルム1を巻回する際に誘電体フィルム1にかかる応力を小さくすることができ、欠陥の発生が抑制されフィルムコンデンサの信頼性が向上する。また、金属酸化物2aが露出している場合でも、露出部は一部のみで、他の大部分が樹脂3に埋まっていることが好ましい。金属酸化物2aの大部分が樹脂3に埋まっていることにより、丘状部2の誘電体フィルム1からの脱落を防止することができる。
金属酸化物2aのサイズ(平均粒径)としては、金属酸化物2aの凝集の低減や金属酸化物2a同士が当接したときに変形しやすくなるという理由から、10〜250nmであることが望ましい。
また、誘電体フィルム1の第1の主面1Aにおける丘状部2が占める面積比率は、60%以下、さらには30%以下であることがより好ましい。これは、絶縁破壊電圧の向上という点からは、より多くの空隙5を有することが好ましいことによる。
また、丘状部2には、樹脂3が含まれていることが好ましい。丘状部2中に樹脂3が含まれていることにより、丘状部2自体が変形しやすいものとなり、これにより誘電体フィルム1を巻回した場合に、例えば、曲率半径のより小さい積層体を実現することが可能になる。丘状部2に含まれる樹脂3の割合は、たとえば面積比率にして5〜50%とすればよい。
このとき、誘電体フィルム1の第1の主面1Aにおける丘状部2の間隔(最近接間距離)は、第1の電極表面4Aと第1の樹脂面3Aとの間の空隙5を確保するという理由から0.1〜5μmであることが望ましい。なお、実用上の範囲で誘電体フィルム1の変形能を維持できるのであれば、丘状部2は、隣接する他の丘状部2との間で一部が連結した状態となっていてもよい。
また、本発明の他の態様においては、図2に示すように誘電体フィルム1の電極層4が形成される第2の主面1Bが、樹脂2からなる第2の樹脂面3Bと、金属酸化物2aを含む扁平状の複数の島状部6を備える構成となっている。ここで、島状部6の表面は第2の樹脂面3Bと略面一である。島状部6の表面が第2の樹脂面3Bと略面一でない場合、すなわち島状部6が樹脂面3Bから突出した場合、島状部6の周縁近傍に樹脂面3Bとの段差が生じ、その段差を起点として、島状部6自体や、第2の主面1Bに形成された電極層4が、誘電体フィルム1から剥離する懸念があるが、島状部6の表面と第2の樹脂面3Bとが略面一であると、このような剥離の可能性が低減され、誘電体フィルム1の第2の主面1Bと電極層4とを強固に密着することができる。なお、島状部6の表面が第2の樹脂面3Bと略面一であるとは、島状部6と第2の樹脂面3Bとの間に数nm程度の段差を有する場合も含むという意味である。
島状部6は、図3に示すように第2の樹脂面3Bから丘状に突出していてもよい。その場合、誘電体フィルム1の第2の主面1Bにおいて島状部6が占める面積比率が、第1の主面1Aにおける丘状部2が占める面積比率よりも大きいことが好ましい。これにより、島状部6が第2の樹脂面3Bから丘状に突出し、第2の樹脂面3Bと、電極層4の第2の主面1Bと対向する面である第2の電極表面4Bとの間に空隙が生じたとしても、第2の主面1Bと、第2の電極表面4Bとの接触面積が、第1の主面1Aと第1の電極表面4Aとの接触面積よりも大きくなり、第2の主面1Bと第2の電極表面4Bとの密着性が向上する。
特に、第2の主面1Bにおける島状部6が占める面積比率は、第1の主面1Aにおける丘状部2が占める面積比率の5倍以上であることがより好ましい。
なお、第2の樹脂面3Bと第2の電極表面4Bとの間には空隙が介在していてもよいが、フィルムコンデンサとした場合の容量を確保するという点から密着している方が好ましい。
さらに、島状部6を構成する金属酸化物2aは金属成分を含むため、電極層4を構成する金属との接着性が高いことから、その大部分が島状部6の表面に露出していることが好ましいが、金属酸化物2aの表面に有機物等の薄い層が形成されている場合でも、その厚みが10nm以下であれば、金属酸化物2aが露出している状態と同等の効果を得ることができる。
また、誘電体フィルム1の第2の主面1Bにおける島状部6の占める面積比率は、5〜70%であることが望ましい。島状部6の占める面積比率が5〜70%であると、誘電体フィルム1の第2の主面1Bと第2の電極表面4Bとの密着性を高めることができるとともに、島状部6の無い第2の樹脂面3Bが存在するために誘電体フィルム1の剛性を低く維持することができる。
また、島状部6の面積に占める金属酸化物2aの割合(面積割合)は70〜95%であることが望ましい。島状部6の面積に占める金属酸化物2aの割合(面積割合)が70〜95%であると、電極層4を構成する金属との接着性が高い金属酸化物2aの割合が高まるため、誘電体フィルム1の第2の主面1Bに対する電極層4の密着強度をさらに高めることができる。なお、この場合にも、島状部6中には樹脂3が含まれていることから、島状部6自体が変形しやすいものとなり、これにより誘電体フィルム1を巻回した場合に、例えば、曲率半径のより小さい積層体を実現することが可能になる。このとき、誘電体フィルム1の第2の主面1Bにおける島状部6の間隔(最近接間距離)は、第2の電極表面4Bと第2の樹脂面3Bとが接触する領域をより小さくすることができ、第2の主面1Bからの電極層4の剥離の可能性を低減できるという理由から、0.1〜5μmであることが望ましい。なお、実用上の範囲で誘電体フィルム1の変形能を維持できるのであれば、島状部6は、隣接する他の島状部6との間で一部が連結した状態となっていてもよい。この場合には、島状部6と第2の電極表面4Bとが一部でも連続した接着部分を有するようになることから、誘電体フィルム1の第2の主面1Bと第2の電極表面4Bとの間の接着力をさらに高めることができる。
上述の構成を有する誘電体フィルム1としては、その平均厚みが3μm、特には、2μmといった薄層化したものを好適に用いることができる。また、主面1A、1Bの算術平均粗さ(Sa)についても50nm以下、特に、10nm以下と平滑な表面を有するものが適している。
ここで、本実施形態の誘電体フィルム1を構成する金属酸化物2aとしては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、および酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの金属酸化物2aは樹脂3に比較して比誘電率が高いことから、得られる誘電体フィルム1についても高誘電率化を図ることが可能となる。
また、丘状部2や島状部6における金属酸化物2a中の金属成分の濃度は、誘電体フィルム1の主面1A、1Bを平面視した場合の丘状部2や島状部6の中央部と周縁部、あるいは誘電体フィルムの断面における丘状部2の表面側と内部側とで異なっており、中央部から周縁部へ、あるいは丘状部2の表面側から内部側へ向かうにつれて、金属成分の濃度が少なくなる、換言すれば有機成分(例えば金属アルコキシドなど)の割合が多くなっていることが望ましい。中央部よりも周縁部において、金属酸化物2aに含まれる有機成分の割合が多くなっていると、金属酸化物2aが誘電体フィルム1を構成する樹脂3と結合したような状態となり、金属酸化物2aが、例えば、セラミック粒子のように樹脂3中に明確な界面を介して存在する場合に比較して、誘電体フィルム1に対する金属酸化物2aの接着強度を高めることができる。
誘電体フィルム1の丘状部2の状態や、空隙5の有無については、例えば、フィルムコンデンサなどの積層体の誘電体フィルム1から化学的方法あるいは物理的方法によって電極層4を除去した表面や、フィルムコンデンサなどの積層体の積層方向または巻回軸に垂直な断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)などの分析装置を用いて観察することで確認できる。
図4は、フィルムコンデンサの外観斜視図である。本実施形態のフィルムコンデンサは、矩形状の誘電体フィルム1と電極層4とが交互に積層されたいわゆる積層体を用いた積層型のフィルムコンデンサであってもよいし、長尺状の誘電体フィルム1と電極層4とを巻回した構造の積層体を用いた巻回型のフィルムコンデンサであってもよい。ただし、積層型のフィルムコンデンサの場合には、空隙5に存在する気体がフィルムコンデンサの外部に逃げないように、積層体の少なくとも外部電極7が設けられていない側面において、誘電体フィルム1同士を熱圧着したり、樹脂などの被覆を設ける必要がある。
これらのフィルムコンデンサは外部電極7に端子としてさらにリード線15を有していても良いが、フィルムコンデンサの小型化という点でリード線15を有しない構造が望ましい。また、積層体であるコンデンサ本体13および外部電極7は、その少なくとも一部が絶縁性および耐環境の点から樹脂などからなる外装部材16に覆われていてもよい。また、リード線15の一部が外装部材16に覆われていてもよい。外装部材16を設けることにより、空隙5に存在する気体の漏出を防止することもできる。
本実施形態の積層体は、例えば、以下に示すような製造方法によって得ることができる。まず、誘電体フィルム1の母材となる樹脂3を用意する。樹脂3としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびシクロオレフィンポリマー(COP)、などが好適である。
これらの樹脂3の室温(約25℃)における比誘電率(ε)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)が3.3、ポリプロピレン(PP)が2.2、ポリフェニレンサルファイド(PPS)が3.0、シクロオレフィンポリマー(COP)が2.2〜3.0である。
また、これらの樹脂3の室温(約25℃)における絶縁破壊電界(BDE)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)が310(V/μm)、ポリプロピレン(PP
)が380(V/μm)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)が210(V/μm)、シクロオレフィンポリマー(COP)が370〜510(V/μm)である。
金属酸化物2aとなる原料組成物としては、テトラエトキシシラン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−i−プロポキシアルミニウム、およびトリ−n−ブトキシアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属アルコキシド化合物を適用できる。
誘電体フィルム1を形成する場合、例えば、基材としてPET製のフィルムを適用し、この表面に、溶液キャスト法などの成形法を適用して、金属酸化物2aを含む扁平状の丘状部2を有する樹脂シートを形成することにより、誘電体フィルム1を得ることができる。なお、この場合誘電体フィルム1のPETフィルム側には丘状部2は形成されず、平滑な面となる。
誘電体フィルム1用のスラリは、樹脂3を溶剤に溶解させて調製した樹脂スラリに、金属アルコキシドまたは溶剤で希釈した金属アルコキシド溶液(以下、金属アルコキシドおよび溶剤で希釈した金属アルコキシド溶液を単にアルコキシドという場合がある)を混合することによって調製する。
この場合、樹脂3、溶剤およびアルコキシドの特定濃度の組み合わせにより、誘電体フィルム1を形成するときに、アルコキシド中に含まれている金属成分が加水分解反応によって樹脂3中において特定の数密度で核生成する。一方、樹脂3中に取り込まれなかった過剰のアルコキシドは樹脂シートの表面に移動し、そこで加水分解反応が進むため、樹脂シートの表面に扁平状の丘状部2が形成されることになる。この時、誘電体フィルム1内部には未反応の金属アルコキシドが残留していてもよい。金属アルコキシドは樹脂3との親和性が高く、丘状部2や金属酸化物2aの誘電体フィルム1からの剥離や脱落を抑制する効果を有する。なお、多くの場合樹脂シートの基材フィルム側の面に島状部6が形成されるが、基材フィルムによりその表面は平滑な略面一なものとなる。
なお、誘電体フィルム1の第1の主面だけに丘状部2を形成し、第2の主面に島状部6が形成されないようにする場合には、フィルムを溶液キャスト法にて、基材上に有限な湿度(40〜70%RH)を持つ大気雰囲気にて形成すればよい。また、丘状部2を有する2枚の誘電体フィルム1を用いて平滑な面同士を重ね合わせることによって、第1の主面1Aに丘状部2を有するとともに、第2の主面1Bに丘状に突出した島状部6を有する誘電体フィルム1を得ることができる。
成膜には、ドクターブレード法、ダイコータ法およびナイフコータ法等から選ばれる一種の成形法を用いる。なお、金属酸化物2aを含む扁平状の丘状部2または島状部6を形成するための条件としては、スラリ中における金属成分の濃度、樹脂に対する金属アルコキシドの濃度、成膜時の温度、等を適宜規定する。
成膜に使用する溶剤としては、例えば、メタノール、イソプロパノール、n‐ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、又は、これらから選択された2種以上の混合物を含んだ有機溶剤を用いるのがよい。
次に、誘電体フィルム1の平滑な、または丘状に突出した部分の面積比率が大きい側の表面を第2の主面として、Al(アルミニウム)などの金属成分を蒸着することによって
電極層4を形成し、次いで、電極層4を形成した誘電体フィルム1を、絶縁性を有する気体の雰囲気中で巻回して積層体を得る。
次に、得られた積層体をフィルムコンデンサの本体部13として、その電極層4が露出した端面に外部電極7を形成する。外部電極7の形成には、例えば、金属の溶射や半田付けなどが好適である。また、ここで、外部電極7にリード線15を形成しても良い。次いで、外部電極7(リード線15を含む)を形成した本体部13の表面に樹脂からなる外装部材16を形成することによって本実施形態のフィルムコンデンサを得ることができる。
具体的な材料の選択を行って誘電体フィルムを作製し、以下の評価を行った。
まず、Si、Ti、Zr、Alのうちのいずれかの金属元素を含む金属アルコキシド化合物と、樹脂としてシクロオレフィンポリマー(COP;分子量:Mw=20000)を準備した。
次に、シクロヘキサンに溶解した上記の金属アルコキシド化合物を、シクロヘキサンを溶剤とするシクロオレフィンポリマー溶液中に混合分散させて塗布溶液を調製した。金属アルコキシド化合物の種類およびその樹脂に対する濃度を表1に示す。
この後、相対湿度を55%±5%とした条件で、コーターにより、上記スラリをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布することによって誘電体フィルムを作製した。作製した誘電体フィルムでは、金属酸化物を含む扁平状の丘状部が誘電体フィルムの一方の面(第1の主面)に形成され、PETフィルム側である平滑な他方の面(第2の主面)には島状部が形成されていた。また、作製した誘電体フィルムの第1の主面における丘状部の面積割合は11〜56%(金属アルコキシドが10質量%の試料は11%、20質量%の試料は50〜56%)であった。また、丘状部に占める金属酸化物の割合(面積割合)は70〜90%(金属アルコキシドが10質量%の試料は90%、20質量%の試料は70〜78%)の範囲であった。
作製した誘電体フィルムは、180℃で脱溶剤を行った。作製した誘電体フィルムの一部を切り取り、10等分した領域の厚さをマイクロメータで測定して平均値を求めた結果、平均膜厚は、3μmであった。
次に、真空蒸着法により誘電体フィルムの第2の主面である平滑な面に、平均厚みが75nmのAlの電極層を形成した。得られた電極層つきの誘電体フィルムを、表2に記載した雰囲気中で巻回して積層体とし、メタリコン処理により外部電極を形成し、メタリコン層の表面にリード線を接続してフィルムコンデンサを作製した。
フィルムコンデンサの絶縁破壊電圧(BDV)は、試験電圧を1分間印加して、静電容量が初期状態の95%以下となる電圧とした。
誘電体フィルムにおける丘状部および島状部の表面形態、金属化合物については、エネルギー分散型X線分光(EDS)および走査型電子顕微鏡(SEM)観察により確認した。積層体の空隙は、作製したフィルムコンデンサをクロスセクションポリッシャー(CP)により加工し、得られた断面を走査型電子顕微鏡(SEM)観察することにより確認した。これらの結果を表2に示す。
なお、フィルムコンデンサの内部に含まれる気体の種類は、フィルムコンデンサをヘッドスペースバイアル瓶に入れて密閉し、シリンジで瓶の内部の空気を吸い出した後、シリ
ンジを用いてフィルムコンデンサを壊し、得られた気体をガスクロマトグラフィにて分析した。その結果、フィルムコンデンサの内部に含まれる気体は、フィルムコンデンサを作製した際の雰囲気と同じ気体であることを確認した。
比較例として、平均粒子径が100nmのアルミナ粉末を含有する誘電体フィルムを作製し、同様の評価を行った(試料No.9、10)。
表2の結果より、試料(No.1〜8)では、誘電体フィルムの第1の主面に、金属酸化物を含む扁平状の丘状部が複数存在した状態となり、積層体の第1の樹脂面と第1の電極表面との間に空隙が存在し、空隙から表2に記載した気体が検出された。
これに対し、アルミナ粉末を混合して作製した誘電体フィルムを用いた試料(No.9、10)では、誘電体フィルムの表面に試料No.1〜8に見られたような金属酸化物を含む丘状部は形成されず、空隙の存在も確認できなかった。
また、各試料について絶縁破壊電圧(BDV)を測定したところ、空隙内に空気を有する試料No.1、3、5および7は、空隙のない試料No.9よりも高い値を示し、また空隙内に窒素を有する試料No.2、4、6および8は、空隙のない試料No.10よりも高い値を示した。
1 : 誘電体フィルム
1A : 誘電体フィルムの第1の主面
1B : 誘電体フィルムの第2の主面
2 : 丘状部
2a : 金属酸化物
3 : 樹脂
3A : 第1の樹脂面
3B : 第2の樹脂面
4 : 電極層
4A : 第1の電極表面
4B : 第2の電極表面
5 : 空隙
6 : 島状部
7 : 外部電極
13 : 本体部
15 : リード
16 : 外装部材

Claims (8)

  1. 金属酸化物と樹脂とを含む誘電体フィルムが電極層を介して複数積層された積層体と、該積層体の一対の側面に設けられた一対の外部電極と、を備え、一対の該外部電極が、一対の前記側面に露出した前記電極層とそれぞれ電気的に接続されたフィルムコンデンサであって、
    前記誘電体フィルムの第1の主面が、樹脂からなる第1の樹脂面と、前記金属酸化物を含み前記第1の樹脂面から丘状に突出した複数の丘状部と、を有し、
    該丘状部は、前記第1の樹脂面からの高さに対して裾部の幅または長さが5倍以上の大きさを有する扁平状をなし、
    前記電極層が前記誘電体フィルムの第2の主面に設けられており、前記第1の主面に対向する前記電極層の第1の電極表面が、前記丘状部と接するとともに、前記第1の電極表面と前記第1の樹脂面との間に空隙を有し、該空隙に絶縁性の気体が存在することを特徴とするフィルムコンデンサ。
  2. 前記絶縁性の気体が、窒素(N)、六フッ化硫黄(SF)およびヨウ化トリフルオロメタン(CFI)からなる群のうち、少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルムコンデンサ。
  3. 前記積層体および前記外部電極の外表面に樹脂からなる被覆を有することを特徴とする請求項1または2に記載のフィルムコンデンサ。
  4. 前記誘電体フィルムの第2の主面が、樹脂からなる第2の樹脂面と、前記金属酸化物を含む扁平状の複数の島状部と、を有し、
    前記第2の樹脂面と前記複数の島状部の表面とが、略面一であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のフィルムコンデンサ。
  5. 前記誘電体フィルムの第2の主面が、樹脂からなる第2の樹脂面と、前記金属酸化物を含む扁平状の複数の島状部と、を有し、
    該島状部が前記第2の樹脂面から丘状に突出していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のフィルムコンデンサ。
  6. 前記第2の主面において丘状に突出した前記島状部が占める面積比率が、前記第1の主面において前記丘状部が占める面積比率よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の
    フィルムコンデンサ。
  7. 前記金属酸化物が、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、および酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のフィルムコンデンサ。
  8. 前記誘電体フィルムが、さらに金属アルコキシドを含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のフィルムコンデンサ。
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