JP2003178927A - 電子部品 - Google Patents

電子部品

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JP2003178927A
JP2003178927A JP2001376132A JP2001376132A JP2003178927A JP 2003178927 A JP2003178927 A JP 2003178927A JP 2001376132 A JP2001376132 A JP 2001376132A JP 2001376132 A JP2001376132 A JP 2001376132A JP 2003178927 A JP2003178927 A JP 2003178927A
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metal
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dielectric
resin layer
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JP2001376132A
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Minoru Takatani
稔 高谷
Toshiichi Endo
敏一 遠藤
Kenichi Kawabata
賢一 川畑
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 小型軽量化ができ、高い機械的強度、耐熱性
及び高周波特性を有する電子部品の提供。 【解決手段】 電子部品1は樹脂を主成分として構成さ
れる樹脂層10と、該樹脂層に接触しており導電体から
形成された導体部23とを有する。そして、樹脂層は、
金属アルコキシド又は該金属アルコキシドの部分縮合物
と合成樹脂とを反応させることにより得られる樹脂を含
む金属含有樹脂層10a〜10fを有していることを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品に関し、
特に高周波数領域(100MHz以上)での使用に好適
な電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、通信用、民生用、産業用等の電子
機器の分野における電子部品の小型化・高密度化への指
向は著しいものがあり、それに伴って、より優れた耐熱
性、寸法安定性、電気特性、成形性が要求されつつあ
る。
【0003】高周波用電子部品(高周波用多層基板)と
しては、焼結フェライト等の焼結セラミクスを構成材料
とする誘電体層と、例えば、電極等の導電体部となる金
属薄膜とを複数積層して基板(積層体)状としたものが
一般に知られている。これらの誘電体層を用いて多層構
造の基板を構成することは、電子部品の小型化が図れる
というメリットがあることから従来から用いられてき
た。このような電子部品としては、例えば、特開平10
−208907号公報に開示されている電子部品が挙げ
られる。
【0004】しかしながら、上述の焼結セラミック製の
誘電体層を用いて電子部品を構成する場合、誘電体層の
形成に多段階の焼結工程が必要となることや、焼結時に
クラックや反りが発生する等の問題あった。また、プリ
ント基板上に誘電体層を形成した場合、誘電体層とプリ
ント基板との線膨張係数の違い等によりクラックが発生
する等といった問題もあった。
【0005】そのため、樹脂系の材料を構成材料とする
誘電体層を上述の焼結セラミック製の誘電体層の代替物
として用いた電子部品に対する要求が年々高まってお
り、様々な検討がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、樹脂系
の材料を用いて形成した誘電体層は焼結セラミクスのよ
うな無機材料を用いて形成した誘電体層と比較すると、
耐熱性、機械的強度の点で劣るという問題、充分な誘電
率、透磁率を得られなかったので、実効波長を十分に短
くすることができず、小型化が困難であるという問題が
あった。また、セラミクス製の誘電体層は軽量化に限界
があるという問題があった。例えば、熱硬化性樹脂を用
いて形成した誘電体層の場合には、熱硬化性樹脂がガラ
ス転移温度を有しているため、ガラス転移温度以上の温
度領域では機械的強度が大きく低下してしまうことや、
誘電体層間の密着強度が大きく低下してしまうこと等が
挙げられる。
【0007】また、充分な誘電率及び透磁率を確保する
ことを意図して樹脂系の材料にセラミクスの粉末をコン
ポジットして誘電体層を形成する手法が、例えば、特開
平8-69712号公報、特開平11-192620号公報に開示されて
いる。しかし、いずれにおいても充分な高周波特性や磁
気特性が得られていなかった。
【0008】また、このように有機材料と無機材料とを
コンポジットする場合には、両者間の結合強度を十分に
確保することが困難であり、誘電体層の機械的強度が大
きく低下してしまうという問題があった。更に、機械的
強度の低下によりクラックが発生するとクラック部分が
吸水経路になり、使用中、誘電体層の誘電率や、誘電体
層の共振の鋭さを示すQ値(機械的品質係数)が経時的
に大きく変化してしまうという問題が発生する。また、
有機材料と無機材料との結合強度をシランカップリング
剤等の表面処理剤を用いて強化する方法も知られている
が、充分な結合強度が確保できていなかった。
【0009】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑
みてなされたものであり、小型軽量化ができ、高い機械
的強度、耐熱性及び高周波特性を有する電子部品を提供
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、金属アルコキシド
又は該金属アルコキシドの部分縮合物と合成樹脂とを反
応させることにより得られる樹脂(以下、必要に応じて
「金属含有樹脂」という)を用いて誘電体層となる樹脂
層を形成することにより、高い機械的強度、高い耐熱性
及び優れた高周波特性を得ることができることを見出し
た。更に、本発明者らは、金属含有樹脂は無機材料との
間に強固な化学結合を形成できることを見出し、本発明
に到達した。
【0011】すなわち、本発明は、樹脂を主成分として
構成される樹脂層と、樹脂層に接触しており導電体から
形成された導体部とを有する電子部品であって、樹脂層
は、金属アルコキシド又は該金属アルコキシドの部分縮
合物と合成樹脂とを反応させることにより得られる樹脂
を含む金属含有樹脂層を有していること、を特徴とする
電子部品を提供する。
【0012】本発明の電子部品は、金属含有樹脂を含む
金属含有樹脂層を用いて樹脂層を構成することにより、
従来は達成することが困難であったような高い機械的強
度及び高い耐熱性を得ることができる。これは、金属含
有樹脂中の金属アルコキシドが結合した部分又は金属ア
ルコキシドの部分縮合物が結合した部分に、金属アルコ
キシドの加水分解反応と重縮合反応とにより生成した部
分橋架け構造を有する金属酸化物の無機ポリマー(オリ
ゴマー)からなる部分が含まれているためであると考え
られる。
【0013】そのため、本発明の電子部品は、基板への
表面実装(SMT)に必携とされるリフローによる半田
接合、特に近年の鉛レス化の要求に伴うリフロー温度の
アップに対する条件においても充分に耐えることができ
る。更に、本発明の電子部品の樹脂層は、高い機械的強
度と高い耐熱性を有し、しかも樹脂を主成分とするため
小型軽量化が容易である。そのため、電子部品の設置ス
ペースを小さくすることができ、電子部品を備える装置
の小型軽量化にも寄与する。
【0014】また、本発明の電子部品は、金属含有樹脂
層に上述の金属酸化物の無機ポリマー(オリゴマー)か
らなる部分が含まれているため、従来の樹脂のみからな
る樹脂層に比較して高周波特性の良い高い誘電率と高い
透磁率を得ることができる。
【0015】更に、金属含有樹脂層の誘電率と透磁率は
金属アルコキシド又はその部分縮合物の種類や添加量を
変えることにより調節することができる。金属アルコキ
シド又はその部分縮合物の種類や添加量を変えることに
より、金属含有樹脂層に形成される金属酸化物の無機ポ
リマーの誘電率と透磁率を変化させることができるから
である。これにより、必要に応じて樹脂層における波長
短縮効果を容易に最適化することができ、これによって
も電子部品の小型軽量化を効果的にはかることができ
る。
【0016】ここで、「導体部」とは、本発明の電子部
品が搭載される電子機器における電気回路の一部を構成
するためのものである。また、樹脂層が「樹脂を主成
分」とすることとは、樹脂層中の樹脂(金属含有樹脂も
含む)の含有率が、50質量%以上であることを示す。
【0017】更に、金属含有樹脂の原料となる合成樹脂
は、金属アルコキシド又は該金属アルコキシドの部分縮
合物と反応することのできる官能基を有する樹脂、又
は、該官能基を変性等により分子中に導入することの可
能な樹脂を示す。
【0018】なお、本発明において、樹脂層は少なくと
も1つの金属含有樹脂層を有していればよい。従って、
例えば、樹脂層は単一の金属含有樹脂層のみから形成さ
れていてもよく、複数の金属含有樹脂層を積層すること
により形成されていてもよい。また、例えば、樹脂層は
1つ以上の金属含有樹脂層と1つ以上の金属含有樹脂を
含まない樹脂層とから形成されていてもよい。更に、金
属含有樹脂層には金属含有樹脂以外の樹脂が含まれてい
てもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の電子部品の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0020】図1は、本発明の電子部品の好適な一実施
形態であるキャパシタ(積層型コンデンサ)1を示す透
視斜視図である。また、図2は、図1に示したキャパシ
タ1のII−II線に沿う方向からみた場合の縦断面図
である。更に、図3は、図1に示したキャパシタ1の等
価回路を示す模式図である。
【0021】図1及び図2に示すように、キャパシタ1
は、誘電体層としての樹脂層10とこの樹脂層10に接
触しており導電体から形成された導体部23とから構成
されている。
【0022】この樹脂層10は、金属含有樹脂を主成分
とする6つの金属含有樹脂層10a〜10fにより構成
されている。
【0023】また、導体部は、主として、5つの矩形状
の電極板23a〜23eと、2つのリード部12とから
構成されている。そして、電極板23aは金属含有樹脂
層10aと層10bとの間、電極板23bは金属含有樹
脂層10bと層10cとの間、電極板23cは金属含有
樹脂層10cと層10dとの間、電極板23dは金属含
有樹脂層10dと層10eとの間、電極板23eは金属
含有樹脂層10eと層10fとの間にそれぞれ密着する
ように配置されている。
【0024】2つのリード部12は、電極板23a〜2
3eと外部電源(図示せず)とを電気的に接続させるた
めのものである。これらの2つのリード部12は、円筒
を長手方向に2分割したような形状を有しており、側面
の長手方向の高さは樹脂層の層厚に一致するように形成
されている。
【0025】また、2つのリード部12は、その側面の
長手方向が各電極板の法線方向に平行となるように樹脂
層10の一対の側面のそれぞれに配置されている。そし
て、一方のリード部12には電極板23a、23c及び
23eが接合され、他方のリード部12には電極板23
b及び23dが接合され、その結果、図3に示す等価回
路32が樹脂層中に形成される。また、リード部12の
両端部には、キャパシタ1を半田付けなどにより電子機
器の所定の部位に設置する際に使用され、外部との電気
信号の中継に使用されるランドパターン11が設けられ
ている。
【0026】次に、各金属含有樹脂層10a〜10fの
主成分となる金属含有樹脂について説明する。先ず、金
属含有樹脂の原料の合成樹脂について説明する。金属含
有樹脂の原料の合成樹脂は、金属アルコキシド又は該金
属アルコキシドの部分縮合物と反応することのできる官
能基(水酸基、カルボキシル基等)を有する樹脂、又
は、該官能基を変性等により分子中に導入することの可
能な樹脂であればよく、熱硬化性樹脂であってもよく、
熱可塑性樹脂であってもよい。
【0027】このような熱硬化性樹脂としては、例え
ば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステ
ル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化
変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ビスマレイミドトリ
アジン樹脂、フマレート樹脂、ポリブタジエン樹脂、ビ
ニルベンジルエーテル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン
樹脂等が挙げられる。
【0028】耐熱性、高周波特性の観点から、これらの
熱硬化性樹脂の中でも特に好ましい樹脂は、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、
ポリイミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ビニルベンジル
エーテル樹脂である。
【0029】また、熱可塑性樹脂としては芳香族ポリエ
ステル樹脂、シンジオタクティックポリスチレン樹脂、
ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファ
イド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチ
レンテレフタレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン
樹脂、グラフト樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0030】次に、金属含有樹脂の原料の金属アルコキ
シドについて説明する。金属含有樹脂の原料の金属アル
コキシドは、単一金属アルコキシドであってもよく、二
金属アルコキシドであってもよく、更に、例えばAl2
Mg(i−OC37)等のような3つ以上の金属元素の
成分を含むアルコキシドであってもよい。
【0031】なお、本明細書においては、1つの金属元
素の成分を含むアルコキシドを「単一金属アルコキシ
ド」といい、1分子中に同種或いは異種の2つの金属元
素の成分を含むアルコキシドを「二金属アルコキシド」
という。また、二金属アルコキシドについては、例え
ば、Mg[Al(i−OC3742のように化学式で
表現できるものもあるが構造が明確でないものも含まれ
るので、2つの金属元素の成分M1及びM2を含むもの
の場合、「M1−M2アルコキシド」と示すこととす
る。従って、「M1−M2アルコキシド」中のM1及び
M2の状態はそれぞれ特に限定されない。例えば、「M
1−M2アルコキシド」が有機金属錯体として存在する
場合、M1とM2のうちのいずれが配位中心ととなるか
或いはM1とM2のうちのいずれがカウンターカチオン
となるかは限定されない。
【0032】また、「金属アルコキシドの部分縮合物」
とは、上記の金属アルコキシドが部分的に加水分解さ
れ、アルコキシ基の一部が水酸基に置換されることによ
り生成する化合物を示す。また、金属アルコキシド部分
縮合物には、金属アルコキシドに対してグリシジルエー
テル基等のアルコキシ基と反応する官能基を有する化合
物を反応させて得られる化合物も含まれる。
【0033】このような金属アルコキシドの部分縮合物
を調製する場合の触媒としては、オクチル酸錫、ジブチ
ル錫ジラウレートなどの有機錫、有機酸錫が好ましい。
また、これらの他にも上述の金属アルコキシドの部分的
な加水分解反応を促進可能な金属、金属酸化物、有機酸
塩、ハロゲン化物等の中から適宜選択したものを触媒と
して使用してよい。
【0034】合成可能で現実性(使用可能性)があり、
誘電特性及び磁気特性に寄与するという観点から、単一
金属アルコキシドとしては、ジルコニウムアルコキシ
ド、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、
バリウムアルコキシド、ビスマスアルコキシド、カルシ
ウムアルコキシド、セリウムアルコキシド、クロムアル
コキシド、鉄アルコキシド、マグネシウムアルコキシ
ド、マンガンアルコキシド、ネオジウムアルコキシド、
カリウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、スト
ロンチウムアルコキシド、錫アルコキシド、亜鉛アルコ
キシド、アルコキシボラン、アルコキシシラン又はこれ
らの組み合わせが好ましい。
【0035】入手性及びコストの観点から、この中で
も、ジルコニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキ
シド、チタンアルコキシド又はアルコキシシランがより
好ましい。
【0036】また、合成可能で現実性(使用可能性)が
あり、誘電特性及び磁気特性に寄与するという観点か
ら、二金属アルコキシドとしては、バリウム−チタンア
ルコキシド、ストロンチウム−バリウムアルコキシド、
アルミニウム−銅アルコキシド、アルミニウム−チタン
アルコキシド、マグネシウム−アルミニウムアルコキシ
ド、ジルコニウム−アルミニウムアルコキシド、ニッケ
ル−アルミニウムアルコキシド、ランタン−アルミニウ
ムアルコキシド、バリウム−ジルコニウムアルコキシ
ド、マグネシウム−チタンアルコキシド又はこれらの組
み合わせが好ましい。
【0037】誘電特性向上の観点から、この中でも、バ
リウム−チタンアルコキシド又はストロンチウム−バリ
ウムアルコキシドがより好ましい。
【0038】更に、金属アルコキシドを構成するアルコ
キシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ
基、s−ブトキシ基又はt−ブトキシ基が好ましい。
【0039】以上、説明した金属アルコキシドの中で
も、誘電特性及び磁気特性、入手性、合成性の観点か
ら、アルコキシシラン、チタンアルコキシド、アルミニ
ウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、バリウ
ム−チタンアルコキシド又はストロンチウム−バリウム
アルコキシドが好ましい。
【0040】次に、合成樹脂と金属アルコキシド又はそ
の部分縮合物との反応により、金属含有樹脂を合成する
方法と、金属含有樹脂を用いて金属含有樹脂層を形成す
る方法について説明する。
【0041】金属含有樹脂の合成は公知のゾル−ゲル法
の技術を用いて行うことができる。例えば、合成樹脂
と、これを溶解可能なアルコールと水とを含む微酸性溶
液と、金属アルコキシド又はその部分縮合物とを混合す
ることにより、先に述べた合成樹脂の官能基(水酸基、
カルボキシル基等)に、水酸基を有する金属酸化物の無
機ポリマー(オリゴマー)が結合する。このとき、合成
樹脂と金属アルコキシド又はその部分縮合物との反応
は、加水分解と重縮合反応により進行すると考えられ
る。
【0042】例えば、金属アルコキシド又はその部分縮
合物の有する水酸基又はアルコキシ基と、合成樹脂の有
する水酸基とのエステル交換反応や、金属アルコキシド
又はその部分縮合物の有する水酸基又はアルコキシ基
と、合成樹脂の有するカルボキシル基との金属塩生成反
応等によって進行すると考えられる。
【0043】そして、上記の反応の進行とともに、部分
橋架け構造を有する金属酸化物の無機ポリマー(オリゴ
マー)からなる部分を含む金属含有樹脂の溶解した安定
なゾルができる。これをゲル化して、例えば、テッピン
グ法などにより所定の基板上に塗布して乾燥することに
より、半硬化物(Bステージ、プレプリグ)、硬化物と
いった状態で金属含有樹脂層を形成することができる。
【0044】なお、金属含有樹脂層を形成する際に、金
属含有樹脂を溶剤に溶解して使用する必要がある場合、
その溶剤は金属含有樹脂を溶解可能であれば特に限定さ
れなない。金属含有樹脂を溶解可能な溶剤としては、例
えば、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、
テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ
ン、トルエン、キシレン、ジオキソラン等が挙げられ
る。
【0045】また、金属含有樹脂層を形成する場合、原
料の合成樹脂が熱硬化性材料の場合には、硬化反応より
も先にゾル-ゲル法における重縮合反応、架橋反応を完
全に終了させておく必要がある。重縮合反応、架橋反応
を完全に終了させておかないと、反応副生成物として生
成するアルコールによる発泡現象がおきる。
【0046】従って、硬化反応が起こる温度よりも低い
温度もしくは、硬化反応が起こりはじめる前の反応時間
でゾル-ゲル法における重縮合反応、架橋反応を終了さ
せる必要がある。金属含有樹脂層の種類や反応条件によ
って最適条件は異なるが、半硬化物の作製は、80〜1
50℃の温度条件のもとで5分から60分の加熱乾燥を
行うことが好ましい。また、原料の合成樹脂が熱可塑性
樹脂の場合もゾル-ゲル法における重縮合反応、架橋反
応を終了させた後に金属含有樹脂層を形成するか、又
は、金属含有樹脂層の形成時に発泡現象の起きないよう
な温度、時間等の反応条件を選定する必要がある。
【0047】このようにして得られた各金属含有樹脂層
10a〜10fにおける金属含有樹脂の含有率は、使用
環境においてキャパシタ1が要求される耐熱性、機械的
強度、高周波特性等の条件に応じて適宜調節すればよく
特に限定されない。また、各金属含有樹脂層10a〜1
0fには金属含有樹脂以外の合成樹脂を含有させてもよ
い。この場合、各金属含有樹脂層10a〜10f中の金
属含有樹脂以外の合成樹脂の含有量も使用環境において
キャパシタ1が要求される耐熱性、機械的強度、高周波
特性等の条件に応じて適宜調節すればよく特に限定され
ない。
【0048】以上説明したように、金属含有樹脂中に
は、上述のように部分橋架け構造を有する金属酸化物の
無機ポリマー(オリゴマー)からなる部分が含まれてい
るため、金属含有樹脂層を用いて樹脂層10を構成する
ことにより、キャパシタ1は、従来は達成することが困
難であったような高い機械的強度及び高い耐熱性を得る
ことができる。しかも、キャパシタ1は樹脂を主成分と
する樹脂層10を有するため小型軽量化が容易である。
【0049】更に、キャパシタ1は、樹脂層10を構成
する金属含有樹脂層に上述の金属酸化物の無機ポリマー
(オリゴマー)からなる部分が含まれているため、従来
の樹脂のみからなる樹脂層に比較して高い誘電率と高い
透磁率を得ることができ、その結果、高い高周波特性を
得ることができる。
【0050】また、金属含有樹脂層の誘電率と透磁率は
金属アルコキシド又はその部分縮合物の種類や添加量を
変えることにより調節することができる。これは、金属
アルコキシド又はその部分縮合物の種類や添加量を変え
ることにより、金属含有樹脂層に形成される金属酸化物
の無機ポリマー(オリゴマー)からなる部分の誘電率と
透磁率を変化させることができるからである。これによ
り、必要に応じて樹脂層における波長短縮効果を容易に
最適化することができ、これによっても電子部品の小型
軽量化を効果的にはかることができる。
【0051】ここで、金属含有樹脂層は、誘電体材料か
らなる少なくとも1種の誘電性粒子、又は、磁性体材料
からなる少なくとも1種の磁性粒子を有していることが
好ましい。このように金属含有樹脂層に誘電性粒子又は
磁性粒子を添加することにより、金属含有樹脂層の誘電
率又は透磁率の調節をより容易に行うことができ、金属
含有樹脂層における誘電率及び透磁率を高めたり、波長
短縮効果を効果的に得ることができる。
【0052】また、樹脂層における誘電率及び透磁率を
より高めたり、波長短縮効果をより効果的に得ることを
意図する場合には、金属含有樹脂層は、誘電体材料から
なる少なくとも1種の誘電性粒子と、磁性体材料からな
る少なくとも1種の磁性粒子とを有していることがより
好ましい。
【0053】このように金属含有樹脂層中に誘電性粒子
と磁性粒子とを共存させて、これらの量を調節すること
により、樹脂層10の誘電率や透磁率をより容易に所望
の値に調整することができる。そのため、以下の理由に
より、キャパシタ1は高い高周波特性をより容易に得る
ことができ、必要に応じて樹脂層10における波長短縮
効果をより容易に最適化することができる。
【0054】すなわち、キャパシタ1の実効波長λは下
記式(1)で表される。但し、式(1)中、λ0は実際
の波長、εはキャパシタ1の誘電率、μはキャパシタ1
の透磁率を示す。従って、例えば、λ/4のサイズのキ
ャパシタ1を設計する場合、これの構成部材のε、μの
少なくとも一方(好ましくは両方)を高めることで実効
波長λを短くすることができ、これにより、キャパシタ
1を小型軽量化することが可能となる。そのため、上述
の樹脂層10の誘電率及び透磁率を高めることでキャパ
シタ1の誘電率及び透磁率を高めることができる。 λ=λ0/(ε×μ)1/2…(1)。
【0055】一方、従来一般の樹脂からなる樹脂層にお
いて、波長短縮効果を得ようとする場合には、シランカ
ップリング剤等の表面処理剤による表面処理を施した誘
電性粒子或いは磁性粒子を層中に混入させる手法があっ
た。しかし、この場合、樹脂と誘電性粒子との間或いは
樹脂と磁性粒子との間の密着性を十分に確保することが
困難であった。そのため、従来一般の樹脂からなる樹脂
層は硬く脆くなるという問題があった。
【0056】これに対し、本実施形態の金属含有樹脂層
では、金属含有樹脂中の金属酸化物の無機ポリマー(オ
リゴマー)からなる部分に水酸基又はアルコキシ基が存
在しており、この部分が添加した誘電性粒子と磁性粒子
のそれぞれの表面に存在する水酸基と加水分解反応を起
こすことができる。これにより、金属含有樹脂と誘電性
粒子との間及び金属含有樹脂と磁性粒子との間に強固な
化学結合をシランカップリング剤等の表面処理剤を使用
せずに形成できる。そのため、樹脂層10の誘電率及び
透磁率を高めることができる。しかも、同時にこのよう
に無機材料の粒子を混入しても樹脂層10の十分な耐熱
性と機械的強度とを得ることができる。
【0057】次に、上述の誘電体材料からなる誘電性粒
子と、磁性体材料からなる磁性粒子について説明する。
【0058】誘電性粒子は、セラミクス誘電体材料から
なるセラミクス誘電体粒子であることが好ましく、高周
波数帯域において分散媒となる樹脂よりも大きい比誘電
率及びQ値を有するセラミクス誘電体粒子であることが
より好ましく、周波数が2GHzのときの比誘電率が5
〜20000、Q値が20〜100000であるセラミクス誘電体粒
子であることが更に好ましい。更に、これらの誘電性粒
子の形状は、球形、扁平、楕円形のいずれのものでも良
く、その用途により使い分ければよい。
【0059】また、比較的高いQ値を得ることを意図し
て金属含有樹脂層に混入するセラミクス誘電体粒子とし
てはサファイヤなどの単結晶粉末や多結晶のアルミナ粉
末でも良く、以下に示す粒子であってもよい。
【0060】すなわち、2GHzにおける比誘電率εお
よびQ値をあわせて表記すると、Mg 2SiO4[ε=7、Q=2000
0]、Al2O3[ε=9.8、Q=40000]、MgTiO3[ε=17、Q=2200
0]、ZnTiO3[ε=26、Q=800]、Zn2TiO4[ε=15、Q=700]、T
iO2[ε=104、Q=15000]、CaTiO3[ε=170、Q=1800]、SrTi
O3[ε=255、Q=700]、SrZrO3[ε=30、Q=1200]、BaTi2O
5[ε=42、Q=5700]、BaTi4O9[ε=38、Q=9000]、Ba2Ti9O
20[ε=39、Q=9000]、Ba2(Ti,Sn)9O20[ε=37、Q=5000]、
ZrTiO4[ε=39、Q=7000]、(Zr,Sn)TiO4[ε=38、Q=700
0]、BaNd2Ti5O14[ε=83、Q=2100]、BaSm2TiO14[ε=74、
Q=2400]、Bi2O3-BaO-Nd2O3-TiO2系[ε=88、Q=2000]、Pb
O-BaO-Nd2O3-TiO2系[ε=90、Q=5200]、(Bi2O3、PbO)-Ba
O-Nd2O3-TiO2系[ε=105、Q=2500]、La2Ti2O7[ε=44、Q=
4000]、Nd2Ti2O7[ε=37、Q=1100]、(Li,Sm)TiO3[ε=8
1、Q=2050]、Ba(Mg1/3Ta2/3)O3[ε=25、Q=35000]、Ba(Z
n1/3Ta2/3)O3[ε=30、Q=14000]、Ba(Zn1/3Nb2/3)O3[ε=
41、Q=9200]、Sr(Zn1/3Nb2/3)O3[ε=40、Q=4000]等とい
った組成を主成分とするセラミクス誘電体粒子である。
【0061】入手性の観点から、特に上記の中でも、Ti
O2、CaTiO3、SrTiO3、BaO-Nd2O3-TiO2系、Bi2O3-BaO-Nd
2O3-TiO2系、BaTi4O9、Ba2Ti9O20、Ba2(Ti,Sn)9O20系、
MgO-TiO2系、ZnO-TiO2系、MgO-SiO2系、Al2O3といった
組成を主成分とするセラミクス誘電体粒子が好ましい。
【0062】更に、比較的高い誘電率を得ることを意図
して金属含有樹脂層に混入するセラミクス誘電体粒子と
しては、2GHzにおける比誘電率εおよびQ値をあわせ
て表記するとBaTiO3[ε=1500]、(Ba,Pb)TiO3系[ε=600
0]、Ba(Ti,Zr)O3系[ε=9000](Ba,Sr)TiO3系[ε=7000]と
いった組成を主成分とする高い比誘電率を持つ粒子が好
ましく、より好ましくはBaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系であ
る。
【0063】金属含有樹脂層中のセラミクス誘電体粒子
の含有率は、金属含有樹脂とセラミクス誘電体粒子とを
あわせた体積を100体積%とした場合、10〜65体積%で
あることが好ましく、20〜60体積%であることが好まし
い。セラミクス誘電体粒子の含有率が10体積%未満であ
るとセラミクス誘電体粒子の添加効果を十分に得られな
くなる傾向が大きくなる。一方、セラミクス誘電体粒子
の含有率が65体積%を超えると、緻密な金属含有樹脂層
が得られなくなる傾向が大きくなる。
【0064】セラミクス誘電体粒子の粒径は、金属含有
樹脂と混合する際の混練性等の観点から平均粒径が0.01
〜100μmであることが好ましく、0.2〜50μmであるこ
とがより好ましい。セラミクス誘電体粒子の平均粒径が
100μmを超えると、金属含有樹脂と混合する際にセラ
ミクス誘電体粒子が沈降し、十分に金属含有樹脂中に分
散されない傾向が大きくなる。一方、セラミクス誘電体
粒子の平均粒径が0.01μm未満であると、金属含有樹脂
のペーストの粘度が増加し、混練性に問題が生じるおそ
れがある。
【0065】磁性粒子は、セラミクス磁性体材料からな
るセラミクス磁性体粒子であってもよく、金属磁性体材
料からなる磁性金属粒子であってもよい。また、磁性粒
子は、磁性金属粒子からなる粒子と該粒子の表面を被覆
する絶縁体材料からなる被膜とから構成された絶縁体被
覆磁性金属粒子であってもよい。なお、絶縁体被覆磁性
金属粒子における絶縁体とは、先に述べた誘電体粒子の
構成材料となる誘電体を除く絶縁体であり、Eガラス
(SiO2:52〜54%,CaO:16〜25%,A
23:12〜16%,B23:5〜10%)、Dガラ
ス(SiO2:72〜76%,Al23:5%以下,B2
3:20〜25%,Na2O・K2O:3〜5%)、NE
ガラス(SiO2:52〜56%,CaO:10%以
下,Al23:10〜15%,B23:15〜20%,
MgO:5%以下)、Qガラス(SiO2:>99.9
7%)、Tガラス(SiO2:62〜65%,Al
23:20〜25%,MgO:10〜15%)、Rガラ
ス(SiO2:60%,CaO:8.4%,Al23
24%,MgO:6.2%,Na2O・K 2O:0.5
%,Fe23:1%)等を示す。
【0066】このようなセラミクス磁性体粒子として
は、例えば、フェライトとしては、Mn-Mg-Zn系、
Ni-Zn系、Mn-Zn系、Ni-Cu-Zn系の粒子な
どが挙げられる。また、プラナ材などの粒子でもよい。
更にこれらの単結晶の粒子であってもよい。
【0067】磁性金属粒子としては、例えば、強磁性金
属としては、カーボニル鉄、鉄-シリコーン系合金、鉄-
アルミ-珪素系合金、鉄-ニッケル系合金、アモルファス
系(鉄系、コバルト系)などの粒子が好ましい。
【0068】また、絶縁体被覆磁性金属粒子は例えば、
上述の磁性金属粒子にEガラス(SiO2:52〜54
%,CaO:16〜25%,Al23:12〜16%,
2 3:5〜10%)、Dガラス(SiO2:72〜7
6%,Al23:5%以下,B 23:20〜25%,N
2O・K2O:3〜5%)、NEガラス(SiO2:52
〜56%,CaO:10%以下,Al23:10〜15
%,B23:15〜20%,MgO:5%以下)、Qガ
ラス(SiO2:>99.97%)、Tガラス(Si
2:62〜65%,Al23:20〜25%,Mg
O:10〜15%)、Rガラス(SiO2:60%,C
aO:8.4%,Al23:24%,MgO:6.2
%,Na2O・K2O:0.5%,Fe23:1%)など
の絶縁体を被覆した粒子が挙げられる。
【0069】これらの磁性粒子の粒径(粒子径分布の範
囲)は0.01〜100μmであることが好ましく、0.01〜50
μmであることがより好ましい。また、これらの磁性粒
子の平均粒径は0.2〜50μmであることが好ましい。磁
性粒子の平均粒径が100μmを超えると、金属含有樹脂
と混合する際に磁性粒子が沈降し、十分に金属含有樹脂
中に分散されない傾向が大きくなる。一方、磁性粒子の
平均粒径が0.01μm未満であると、金属含有樹脂のペー
ストの粘度が増加し、混練性に問題が生じるおそれがあ
る。なお、これらの磁性粒子を粉末状にするための手段
は、粉砕、造粒などの公知の技術により行うことができ
る。
【0070】また、これらの磁性粒子の透磁率は5〜100
0000であることが好ましい。ここで、磁性粒子のバルク
の絶縁性は高いほうが電子部品として絶縁性が向上して
好ましい。更に、これらの磁性粒子の形状は、球形、扁
平、楕円形のいずれのものでも良く、その用途により使
い分ければよい。
【0071】更に、金属含有樹脂層中の磁性粒子の含有
率は、金属含有樹脂層の透磁率が3〜20となるように
添加されていればよい。より具体的には、金属含有樹脂
層中の磁性粒子の含有率は、金属含有樹脂と磁性粒子と
をあわせた体積を100体積%とした場合、10〜65体積%
であることが好ましく、20〜60体積%であることが好ま
しい。磁性粒子の含有率が10体積%未満であると磁性粒
子の添加効果、すなわち十分な透磁率を得られなくなる
傾向が大きくなる。一方、磁性粒子の含有率が65体積%
を超えると、金属含有樹脂との混練物をスラリー化して
塗工することが困難になる傾向が大きくなる。
【0072】また、先に述べた金属含有樹脂層中に誘電
性粒子と磁性粒子とを共存させて得られる効果と同様の
効果を得る観点から、金属含有樹脂層は、誘電体材料及
び磁性体材料から構成された少なくとも1種の粒子を有
していることが好ましい。ここで、この誘電体材料及び
磁性体材料から構成された粒子は金属含有樹脂層中に単
独で含有されていてもよく、先に述べた誘電性粒子及び
磁性粒子と共に共存する状態で含有されていてもよく、
誘電性粒子と共に共存する状態で含有されていてもよ
く、磁性粒子と共に共存する状態で含有されていてもよ
い。いずれの場合にも、金属含有樹脂層中に誘電性粒子
と磁性粒子を共存させて得られる効果と同様の効果を得
ることができる。
【0073】更に、この誘電体材料及び磁性体材料から
構成された粒子は、金属磁性体材料からなる磁性金属粒
子と、該磁性金属粒子の表面を被覆する誘電体材料から
なる被膜とから構成された誘電体被覆磁性金属粒子であ
ってもよい。なお、誘電体被覆磁性金属粒子における誘
電体とは、先に述べた誘電体粒子の構成材料となる誘電
体を示す。誘電体被覆磁性金属粒子の形状は、球形、扁
平、楕円形のいずれのものでも良く、その用途により使
い分ければよい。
【0074】また、上述のように誘電体被覆磁性金属粒
子は金属含有樹脂層中に単独で含有されていてもよく、
誘電性粒子及び磁性粒子と共に共存する状態で含有され
ていてもよく、誘電性粒子と共に共存する状態で含有さ
れていてもよく、磁性粒子と共に共存する状態で含有さ
れていてもよい。いずれの場合にも、金属含有樹脂層中
に誘電性粒子と磁性粒子を共存させて得られる効果と同
様の効果を得ることができる。
【0075】このような誘電体被覆磁性金属粒子として
は、上述の磁性金属粒子に上述の誘電体粒子の構成材料
を被覆した粒子が挙げられる。また、この誘電体被覆磁
性金属粒子は、特公昭63-31522号公報、特開平6-172802
号公報、特開平6-27981号公報等に記載されている噴霧
熱分解法等により製造することができる。更に、誘電体
被覆磁性金属粒子の粒径や金属含有樹脂層における含有
率の好ましい条件は上述の磁性粒子と同様である。
【0076】また、金属含有樹脂層には、必要に応じて
ハロゲン化リン酸エステル、ブロム化エポキシ樹脂等の
ハロゲン化物、また、リン酸エステルアミド系等の有機
化合物や、三酸化アンチモン、水素化アルミニウム等の
無機材料等の難燃剤を添加してもよい。
【0077】次に、図1に示したキャパシタ1の製造方
法について説明する。先ず、金属含有樹脂層のプリプレ
グを形成する。プリプレグは、例えば、金属含有樹脂を
所定の溶剤に溶解させてスラリー又はペーストを調製
し、このスラリー又はペーストを所定の基板、金属箔、
ガラスクロス等に塗布して乾燥(Bステージ化)するこ
とにより形成することができる。なお、金属含有樹脂を
所定の溶剤に溶解する際に、必要に応じて先に述べた誘
電性粒子や磁性粒子、難燃剤を配合してもよい。
【0078】プリプレグはより具体的には、例えば、図
4及び図5に示す方法又は図6及び図7に示す方法によ
り形成することができる。
【0079】先ず、図4及び図5に示す方法について説
明する。図4に示すように、先ず、巻心90にロール状
に巻回されたガラスクロス101を、ロール101aか
ら繰り出させ、ガイドローラ111を介して塗工槽11
0に搬送する。この塗工槽110には、金属含有樹脂を
所定の溶剤に溶解させて調製したスラリー又はペースト
を入れておき、この塗工槽110内にガラスクロス10
1を導くことにより、スラリー又はペーストをガラスク
ロス101の表面に塗工する。
【0080】次に塗工槽110から取り出したガラスク
ロス101を、ガイドローラ112a及び112bを介
して乾燥炉120に導入する。ここで、乾燥炉120に
導入されたガラスクロス101は、所定の条件のもとで
乾燥され、金属含有樹脂のスラリー又はペーストがBス
テージ化される。そして、その後、ガラスクロス101
をガイドローラ121を介して巻取ローラ130に巻回
する。
【0081】そして、Bステージ化された層P10を有
するガラスクロス101を使用目的に応じて所定の大き
さに切断する。その結果、図5(a)に示すように、ガ
ラスクロス101の両面にBステージ化された金属含有
樹脂層P10が配置されたプリプレグP1が得られる。
【0082】更に、図5(b)に示すように、必要に応
じてプリプレグP1の両面に銅箔などの金属箔13を配
置し、これを加熱・加圧プレスすると、図5(c)に示
すような金属箔13と硬化した金属含有樹脂層P10と
から構成された樹脂層P2が得られる。
【0083】そして、ガラスクロス101のかわりに剥
離シートを用いて、剥離シート上に形成した金属含有樹
脂層P10を、剥離シートから剥がして金属箔13と組
み合わせて加熱・加圧プレスしてもよい。そして、金属
箔13と金属含有樹脂層P10との数を調節することに
より、金属箔13を電極板23a〜23eとし、金属含
有樹脂層P10を金属含有樹脂層10a〜10fとする
図1〜図3に示したキャパシタ1を形成することができ
る。なお、金属箔を設けない場合には、金属箔を配置す
ることなく加熱・加圧プレスすればよい。
【0084】次に、図6及び図7に示す方法について説
明する。先ず、図6に示すように、金属含有樹脂を所定
の溶剤に溶解させて調製したスラリー又はペースト10
2aをドクターブレード150等によってクリアランス
を一定に保ちながら、所定の速度で移動する銅箔などの
金属箔13上に塗工する。そして、スラリー又はペース
ト102aを塗工された金属箔13を乾燥器151に導
き、スラリー又はペースト102aをBステージ化す
る。その後、金属箔13を巻取ローラ160により巻き
取る。
【0085】そして、Bステージ化された層P10を有
する金属箔13を使用目的に応じて所定の大きさに切断
する。その結果、図7(a)に示すように、金属箔13
の一方の面にBステージ化された金属含有樹脂層P10
が配置されたプリプレグP3が得られる。
【0086】更に、図7(b)に示すように、必要に応
じて、得られた2つのプリプレグP3のBステージ化さ
れた金属含有樹脂層P10の側の面を互いに対向させた
状態で、ガラスクロス101をこれら2つのプリプレグ
P3の間に配置し、これを加熱・加圧プレスすると、図
7(c)に示すような金属箔13と硬化した金属含有樹
脂層P10と、ガラスクロス101とから構成された層
が得られる。
【0087】そして、この場合、ガラスクロス101を
用いずに、金属箔13の一方の面にBステージ化された
金属含有樹脂層P10が配置されたプリプレグP3を組
み合わせて加熱・加圧プレスしてもよい。そして、金属
箔13と金属含有樹脂層P10との数を調節することに
より、金属箔13を電極板23a〜23eとし、金属含
有樹脂層P10を金属含有樹脂層10a〜10fとする
図1〜図3に示したキャパシタ1を形成することができ
る。
【0088】また、キャパシタ1のリード部12を形成
する方法としては、例えば、先ず、ドリリングにより樹
脂層10にスルーホールを形成し、このスルーホールに
銅等の金属メッキを施してメッキ膜を形成することによ
り形成することができる。
【0089】以上、本発明の好適な実施形態について説
明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでは
ない。
【0090】例えば、上記の実施形態においては、本発
明の電子部品を単一のキャパシタに適用する場合につい
て説明したが、本発明の電子部品はこれに限定されるも
のではない。例えば、本発明の電子部品は図1に示した
キャパシタ1を複数アレイ状に並べて配置させたもので
あってもよく、円盤コンデンサ、貫通コンデンサであっ
てもよい。
【0091】また、本発明の電子部品はキャパシタ以外
の電子部品に適用してもよい。本発明の電子部品の他の
態様としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0092】すなわち、インダクタ、バルントランス、
積層フィルター、ブロックフィルター、カプラ、アンテ
ナ、パッチアンテナ、VCO(電圧制御発振器)、光ピ
ックアップ等に使用される重畳モジュール、RFモジュ
ール、共振器、ストリップ共振器、携帯端末機器の高周
波部品、コイルコア、トロイダルコア、クランプフィル
タ、コモンモードフィルタ、EMCフィルタ、電源用フ
ィルタ、パルストランス、偏向コイル、チョークコイ
ル、DC−DCコンバータ、ディレイライン、電波吸収
シート、薄型電波吸収体、電磁シールド、ダイプレク
サ、デュプレクサ、アンテナスイッチモジュール、アン
テナフロントエンドモジュール(例えば、アンテナ、デ
ュプレクサ、ローパスフィルタ等を含む)、アイソレー
タパワーアンプモジュール(例えば、アイソレータ、カ
ップラー、減衰器、パワーアンプ等を含む)、PLLモ
ジュール、フロントエンドモジュール、チューナーユニ
ット、方向性結合器、ダブルバランスドミキサー(DB
M)、電力合成器、電力分配器、トナーセンサ、電流セ
ンサ、アクチュエータ、サウンダ(圧電型音声発生
器)、マイク、レシーバ、ブザー、PTCサーミスタ、
温度ヒューズ、フェライト磁石を用いる部品等に適用す
ることができる。
【0093】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の電
子部品について更に詳しく説明する。但し、本発明はこ
れらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0094】(実施例1)以下の手順により、電子部品
に備えられる樹脂層を作製した。
【0095】すなわち、先ず、グリシドールとテトラメ
トキシシラン部分縮合物を質量比がグリシドール:テト
ラメトキシシラン部分縮合物=1:10となるように調節
して反応器内に仕込んだ。そして、窒素雰囲気中、100
℃のもとで、反応器内に仕込んだ混合物に対してオクチ
ル酸錫(触媒)を0.1質量%加え、5時間反応させた。次
に、減圧蒸留を行い、反応副生成物であるメタノールを
除去してグリシジルエーテル含有アルコキシシラン部分
縮合物を得た。
【0096】次に、ジオキソラン100gにオルソクレゾ
ールノボラックエポキシ樹脂(商品名:「180S65」,ジ
ャパンエポキシ社製)100gを加えて攪拌し溶解した。
この液にグリシジルエーテル含有アルコキシシラン部分
縮合物98gと2-メチル-4-イミダゾール0.2gとを加え
て90℃、2時間反応させた。反応後の液を室温まで冷却
し、アルコキシ基含有シラン変性フェノール樹脂溶液を
得た。
【0097】次に、アルコキシ基含有シラン変性フェノ
ール樹脂溶液にオクチル酸錫を1g攪拌しながら加え
た。そして80℃で10分攪拌し混合した。次に、この液を
冷却してペーストとした後、シリコン処理を表面に施し
たPETフィルム上にこのペーストを厚さが100μmの
膜となるように塗工した。次に、PETフィルム上に塗
工した膜を100℃で20分間乾燥させてBステージの半硬
化物を得た。
【0098】次に、半硬化物を10枚重ね、150℃で60分
間の熱処理と、210℃で60分間の熱処理を施すことによ
り硬化させ、厚さが1mmの硬化物(樹脂層)を得た。
【0099】(実施例2)以下の手順により、電子部品
に備えられる樹脂層を作製した。すなわち、先ず、実施
例1と同様にしてアルコキシ基含有シラン変性フェノー
ル樹脂溶液を得た。
【0100】次に、アルコキシ基含有シラン変性フェノ
ール樹脂溶液に、誘電性粒子(TiBaO3系,ε:150
0、平均粒径:0.8μm)を樹脂固形分に対して40体積
%、オクチル酸錫を1g攪拌しながら加え、常温で8時間
攪拌した後、80℃の温度にて10分間攪拌し混合した。
【0101】次に、この液を冷却してペーストとした
後、シリコン処理を表面に施したPETフィルム上にこ
のペーストを厚さが100μmの膜となるように塗工し
た。次に、実施例1と同様にしてこの膜を乾燥させ、B
ステージの半硬化物を得た。次に、半硬化物を10枚重
ね、実施例1と同様にして厚さ1mmの硬化物(樹脂
層)を得た。
【0102】(比較例1)以下の手順により、電子部品
に備えられる樹脂層を作製した。すなわち、先ず、ジオ
キソラン100gにオルソクレゾールノボラックエポキシ
樹脂(商品名:「180S65」,ジャパンエポキシ社製)10
0gを加えて攪拌し溶解した。この液に、実施例1で用
いたグリシジルエーテル含有アルコキシシラン部分縮合
物を加えず、2-メチル-4-イミダゾール0.2gのみを加
えて常温で1時間撹拌し混合した。
【0103】次に、この液を冷却してペーストとした
後、シリコン処理を表面に施したPETフィルム上にこ
のペーストを厚さが100μmの膜となるように塗工し
た。次に、PETフィルム上に塗工した膜を100℃で20
分間乾燥させてBステージの半硬化物を得た。
【0104】次に、半硬化物を10枚重ね、150℃で60分
間の熱処理と、210℃で60分間の熱処理を施すことによ
り硬化させ、厚さが1mmの硬化物(樹脂層)を得た。
【0105】(比較例2)以下の手順により、電子部品
に備えられる樹脂層を作製した。すなわち、先ず、ジオ
キソラン100gにオルソクレゾールノボラックエポキシ
樹脂(商品名:「180S65」,ジャパンエポキシ社製)10
0gを加えて攪拌し溶解した。この液に、実施例1で用
いたグリシジルエーテル含有アルコキシシラン部分縮合
物を加えず、2-メチル-4-イミダゾール0.2g、誘電性
粒子(TiBaO3系、ε:1500、平均粒径:0.8μm)
を樹脂固形分に対して40体積%、N-フェニル-γ-アミ
ノプロピルトルメトキシシラン(誘電性粒子の表面処理
剤)を誘電性粒子に対して1質量%加え、常温で8時間攪
拌し混合した。
【0106】次に、得られたペーストを、シリコン処理
を表面に施したPETフィルム上に厚さが100μmの膜
となるように塗工した。次に、PETフィルム上に塗工
した膜を100℃で20分間乾燥させてBステージの半硬化
物を得た。
【0107】次に、半硬化物を10枚重ね、150℃で60分
間の熱処理と、210℃で60分間の熱処理を施すことによ
り硬化させ、厚さが1mmの硬化物(樹脂層)を得た。
【0108】[特性評価試験1]実施例1及び実施例2
並びに比較例1及び比較例2の樹脂層について、それぞ
れの曲げ強度、曲げ弾性率、ガラス転移温度、誘電率を
測定し比較した。
【0109】なお、曲げ強度、曲げ弾性率については、
測定装置としてADS−1000D(SHIMADZU社製)を
用い、JIS−C−6481に規定された測定方法に準
拠して行った。また、ガラス転移温度については、粘弾
性測定器 DMS6100(Seiko Instrument Inc
製)を用い、測定周波数を1Hzとして測定した。更
に、誘電率については特開平9−257851号公報及
び特開平9−311151号公報に記載のいわゆる摂動
法に基づき測定周波数を2GHzとして測定した。その
結果を表1に示す。
【0110】
【表1】
【0111】表1に示す実施例1と比較例1の結果か
ら、金属含有樹脂を使用することにより、耐熱性、機械
的強度及び高周波特性に優れた樹脂層を形成することが
できることが確認された。また、表1に示す実施例2と
比較例2の結果から、誘電体からなる誘電性粒子、磁性
体からなる磁性粒子を配合する場合にも、金属含有樹脂
を使用することにより、従来のようにシランカップリン
グ剤等の表面処理剤を用いる場合に比較して、耐熱性、
機械的強度及び高周波特性に優れた樹脂層を形成するこ
とができることが確認された。
【0112】(実施例3〜7)以下の手順により、電子
部品に備えられる樹脂層を作製した。
【0113】すなわち、先ず、実施例1と同様にしてア
ルコキシ基含有シラン変性フェノール樹脂溶液を得た。
次に、アルコキシ基含有シラン変性フェノール樹脂溶液
に、誘電性粒子(TiBaO3系、ε:1500、平均粒
径:0.8μm)を樹脂固形分に対してそれぞれ20体積%
(実施例3)、30体積%(実施例4)、40体積%(実施
例5)、50体積%(実施例6)、60体積%(実施例7)
加え、更に、オクチル酸錫を1g攪拌しながら加え、常
温で8時間攪拌した後、80℃の温度にて10分間攪拌し混
合した。
【0114】次に、実施例1と同様の手順でBステージ
の半硬化物を得て、更に、この半硬化物を10枚重ね、実
施例1と同様にして厚さ1mmの硬化物(樹脂層)をそ
れぞれ得た。
【0115】(実施例8〜12)以下の手順により、電
子部品に備えられる樹脂層を作製した。
【0116】すなわち、先ず、実施例1と同様にしてア
ルコキシ基含有シラン変性フェノール樹脂溶液を得た。
次に、アルコキシ基含有シラン変性フェノール樹脂溶液
に、誘電性粒子(BaNd2Ti412系、ε:90、平均
粒径:0.8μm)を樹脂固形分に対してそれぞれ20体積
%(実施例8)、30体積%(実施例9)、40体積%(実
施例10)、50体積%(実施例11)、60体積%(実施
例12)加え、更に、オクチル酸錫を1g攪拌しながら
加え、常温で8時間攪拌した後、80℃の温度にて10分間
攪拌し混合した。
【0117】次に、実施例1と同様の手順でBステージ
の半硬化物を得て、更に、この半硬化物を10枚重ね、実
施例1と同様にして厚さ1mmの硬化物(樹脂層)をそ
れぞれ得た。
【0118】(実施例13〜17)以下の手順により、
電子部品に備えられる樹脂層を作製した。
【0119】すなわち、先ず、実施例1と同様にしてア
ルコキシ基含有シラン変性フェノール樹脂溶液を得た。
次に、アルコキシ基含有シラン変性フェノール樹脂溶液
に、磁性粒子(Mn-Mg-Znフェライト、μ:320、
平均粒径:3.0μm)を樹脂固形分に対してそれぞれ20
体積%(実施例13)、30体積%(実施例14)、40体
積%(実施例15)、50体積%(実施例16)、60体積
%(実施例17)加え、更に、オクチル酸錫を1g攪拌
しながら加え、常温で8時間攪拌した後、80℃の温度に
て10分間攪拌し混合した。
【0120】次に、実施例1と同様の手順でBステージ
の半硬化物を得て、更に、この半硬化物を10枚重ね、実
施例1と同様にして厚さ1mmの硬化物(樹脂層)をそ
れぞれ得た。
【0121】(実施例18及び19)以下の手順によ
り、電子部品に備えられる樹脂層を作製した。
【0122】すなわち、先ず、実施例1と同様にしてア
ルコキシ基含有シラン変性フェノール樹脂溶液を得た。
次に、アルコキシ基含有シラン変性フェノール樹脂溶液
に、磁性粒子(Mn-Mg-Znフェライト、μ:320、
平均粒径:3.0μm)を樹脂固形分に対してそれぞれ20
体積%(実施例18)、30体積%(実施例19)、更
に、誘電性粒子(TiBaO3系、ε:1500、平均粒
径:0.8μm)を樹脂固形分に対してそれぞれ20体積%
(実施例18)、30体積%(実施例19)、更に、オク
チル酸錫を1g攪拌しながら加え、常温で8時間攪拌した
後、80℃の温度にて10分間攪拌し混合した。
【0123】次に、実施例1と同様の手順でBステージ
の半硬化物を得て、更に、この半硬化物を10枚重ね、実
施例1と同様にして厚さ1mmの硬化物(樹脂層)をそ
れぞれ得た。
【0124】[特性評価試験2]実施例3〜19の樹脂
層について、それぞれの誘電率、透磁率を測定するとと
もに、これらに基づいて波長(線路長)短縮効果を計算
により求めて比較した。
【0125】なお、誘電率については特開平9−257
851号公報及び特開平9−311151号公報に記載
のいわゆる摂動法に基づいて、測定周波数を2GHzと
して測定した。また、透磁率については、JIS−C−
6481に規定された測定方法に準拠して行った。透磁率の
測定装置としてはHP4291A(Agilent tec
hnology製)を用い、測定周波数を100MHzと
してインピーダンス特性(インダクタンス値)に基づい
て求めた。更に、波長(線路長)短縮効果については1
/(ε×μ)1/2の値を算出した。結果を表2に示す。
【0126】
【表2】
【0127】表1及び表2に示した結果から明らかなよ
うに、実施例3〜19の樹脂層は優れた高周波特性及び
波長短縮効果が得られ、小型軽量化が容易にできること
が確認された。
【0128】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電子部品
によれば、小型軽量化ができ、高い機械的強度、耐熱性
及び高周波特性を得ることができる。しかも高い波長短
縮効果が得られ、総合的に優れた電気特性を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子部品の好適な一実施形態であるキ
ャパシタ(コンデンサ)を示す透視斜視図である。
【図2】図1に示したキャパシタ1のII−II線に沿
う方向からみた場合の縦断面図である。
【図3】図1に示したキャパシタ1の等価回路を示す模
式図である。
【図4】図1に示したキャパシタ1の製造方法の一例を
説明するための模式図である。
【図5】(a)〜(c)は、図1に示したキャパシタ1
の製造方法の一例を説明するための模式図である。
【図6】図1に示したキャパシタ1の製造方法の他の一
例を説明するための模式図である。
【図7】(a)〜(c)は、図1に示したキャパシタ1
の製造方法の他の一例を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1・・・キャパシタ(電子部品)、10・・・樹脂層、10
a,10b,10c,10d,10f・・・金属含有樹脂
層、11・・・ランドパターン、12・・・リード部、13・・
・金属箔、23・・・導体部、23a,23b,23c,2
3d,23e・・・電極板、32・・・等価回路、90・・・巻
心、101・・・ガラスクロス、101a・・・ロール、10
2a・・・ペースト、110・・・塗工槽、111 ・・・
ガイドローラ、112a・・・ガイドローラ、120・・・乾
燥炉、121・・・ガイドローラ、130・・・巻取ローラ、
150・・・ドクターブレード、151 乾燥器、160
・・・巻取ローラ,P1・・・プリプレグ、P10・・・金属含
有樹脂層、P2・・・樹脂層P3・・・プリプレグ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川畑 賢一 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 4J031 CA06 CA66 CA77 CD29 5E041 AA00 AB00 BB03 CA02 CA06 CA08 5E082 AB03 BB05 BC23 BC31 FF14 FG26 FG34

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂を主成分として構成される樹脂層
    と、前記樹脂層に接触しており導電体から形成された導
    体部とを有する電子部品であって、 前記樹脂層は、金属アルコキシド又は該金属アルコキシ
    ドの部分縮合物と合成樹脂とを反応させることにより得
    られる樹脂を含む金属含有樹脂層を有していること、を
    特徴とする電子部品。
  2. 【請求項2】 前記金属アルコキシドが、単一金属アル
    コキシドであることを特徴とする請求項1に記載の電子
    部品。
  3. 【請求項3】 前記単一金属アルコキシドが、ジルコニ
    ウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、チタン
    アルコキシド、バリウムアルコキシド、ビスマスアルコ
    キシド、カルシウムアルコキシド、セリウムアルコキシ
    ド、クロムアルコキシド、鉄アルコキシド、マグネシウ
    ムアルコキシド、マンガンアルコキシド、ネオジウムア
    ルコキシド、カリウムアルコキシド、ナトリウムアルコ
    キシド、ストロンチウムアルコキシド、錫アルコキシ
    ド、亜鉛アルコキシド、アルコキシボラン及びアルコキ
    シシランからなる群から選択される少なくとも1種の金
    属アルコキシドであることを特徴とする請求項2に記載
    の電子部品。
  4. 【請求項4】 前記金属アルコキシドが、二金属アルコ
    キシドであることを特徴とする請求項1に記載の電子部
    品。
  5. 【請求項5】 前記二金属アルコキシドが、バリウム−
    チタンアルコキシド、ストロンチウム−バリウムアルコ
    キシド、アルミニウム−銅アルコキシド、アルミニウム
    −チタンアルコキシド、マグネシウム−アルミニウムア
    ルコキシド、ジルコニウム−アルミニウムアルコキシ
    ド、ニッケル−アルミニウムアルコキシド、ランタン−
    アルミニウムアルコキシド、バリウム−ジルコニウムア
    ルコキシド及びマグネシウム−チタンアルコキシドから
    なる群から選択される少なくとも1種の金属アルコキシ
    ドであることを特徴とする請求項4に記載の電子部品。
  6. 【請求項6】 前記金属アルコキシドを構成するアルコ
    キシ基が、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イ
    ソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s
    −ブトキシ基及びt−ブトキシ基からなる群から選択さ
    れるアルコキシ基であることを特徴とする請求項1〜5
    の何れかに記載の電子部品。
  7. 【請求項7】 前記合成樹脂が、熱硬化性樹脂又は熱可
    塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜6の何れか
    に記載の電子部品。
  8. 【請求項8】 前記金属含有樹脂層は、誘電体材料から
    なる少なくとも1種の誘電性粒子、又は、磁性体材料か
    らなる少なくとも1種の磁性粒子を有していることを特
    徴とする請求項1〜7の何れかに記載の電子部品。
  9. 【請求項9】 前記金属含有樹脂層は、誘電体材料から
    なる少なくとも1種の誘電性粒子と、磁性体材料からな
    る少なくとも1種の磁性粒子とを有していることを特徴
    とする請求項1〜7の何れかに記載の電子部品。
  10. 【請求項10】 前記金属含有樹脂層は、誘電体材料か
    らなる少なくとも1種の誘電性粒子と、磁性体材料から
    なる少なくとも1種の磁性粒子と、誘電体材料及び磁性
    体材料から構成された少なくとも1種の誘電性及び磁性
    を有する粒子とを有していることを特徴とする請求項1
    〜7の何れかに記載の電子部品。
  11. 【請求項11】 前記金属含有樹脂層は、誘電体材料か
    らなる少なくとも1種の誘電性粒子と、誘電体材料及び
    磁性体材料から構成された少なくとも1種の誘電性及び
    磁性を有する粒子とを含有していることを特徴とする請
    求項1〜7の何れかに記載の電子部品。
  12. 【請求項12】 前記金属含有樹脂層は、磁性体材料か
    らなる少なくとも1種の磁性粒子と、誘電体材料及び磁
    性体材料から構成された少なくとも1種の誘電性及び磁
    性を有する粒子とを含有していることを特徴とする請求
    項1〜7の何れかに記載の電子部品。
  13. 【請求項13】 前記金属含有樹脂層は、誘電体材料及
    び磁性体材料から構成された少なくとも1種の誘電性及
    び磁性を有する粒子を有していることを特徴とする請求
    項1〜7の何れかに記載の電子部品。
  14. 【請求項14】 前記誘電性粒子が、セラミクス誘電体
    材料からなることを特徴とする請求項8〜11の何れか
    に記載の電子部品。
  15. 【請求項15】 前記磁性粒子が、セラミクス磁性体材
    料からなることを特徴とする請求項8〜10の何れか又
    は請求項12に記載の電子部品。
  16. 【請求項16】 前記磁性粒子が、金属磁性体材料から
    なることを特徴とする請求項8〜10の何れか又は請求
    項12に記載の電子部品。
  17. 【請求項17】 前記磁性粒子が、金属磁性体材料から
    なる粒子と該粒子の表面を被覆する絶縁体材料からなる
    被膜とから構成されていることを特徴とする請求項8〜
    10の何れか又は請求項12に記載の電子部品。
  18. 【請求項18】 前記誘電性及び磁性を有する粒子が、
    金属磁性体材料からなる粒子と該粒子の表面を被覆する
    前記誘電体材料からなる被膜とから構成されていること
    を特徴とする請求項10〜13の何れかに記載の電子部
    品。
  19. 【請求項19】 前記金属含有樹脂層は、少なくとも1
    種の難燃剤を更に有していることを特徴とする請求項1
    〜18に記載の電子部品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012521947A (ja) * 2009-03-23 2012-09-20 エスビーエー マテリアルズ インク 新規な誘電体酸化物膜およびその製造方法
JP2015088609A (ja) * 2013-10-30 2015-05-07 京セラ株式会社 フィルムコンデンサ
JP2015088553A (ja) * 2013-10-29 2015-05-07 京セラ株式会社 フィルムコンデンサ

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