JP2004006909A - 電子部品 - Google Patents

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JP2004006909A
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Minoru Takatani
高谷 稔
Toshiichi Endo
遠藤 敏一
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Abstract

【課題】粒子の分散性が良好となる材料により、所望の特性が容易に得られ、小型化が達成できるコンデンサを含む電子部品を提供する。
【解決手段】平均粒径が0.1〜10μmで、ほぼ球形の金属粒子1の表面全部あるいは一部を、誘電体層2により被覆する。被覆粒子を1種類以上樹脂中に分散してなり、かつ金属箔上に塗工して形成され、前記金属箔にパターニングが施された複合誘電体材料を有する。誘電体層2の厚みを0.005〜2μmとする。電子部品として、キャパシタ、積層フィルタ、電圧制御発振器、パワーアンプ、重畳モジュールまたはRFユニットを構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリプレグや基板を用いたコンデンサを含む電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンデンサや圧電素子等の樹脂を含む誘電体材料を使用する電子部品は、その材料としてのモールド材(トランスファ成形やインジェクション成形等による成形材料)、キャスティング材(ポッティング等により注型成形のための液状材料)や印刷ペースト等の塗料、圧粉成形粉末材料(加圧して成形するための材料)、プリプレグや基板等を材料として使用する。これらの樹脂系誘電体材料として、従来は誘電体粒子の粉末を樹脂に分散した複合誘電体材料が使用される。この複合誘電体材料を例えば積層基板に使用する場合は、ガラスクロスに前記複合誘電体材料を含浸塗工することで積層基板の中間加工品としてのプリプレグを作る。そしてこのプリプレグに銅箔を貼ることで積層板を作製し、プリント基板の製造工程を経て所望の導体パターンを形成している。この複合誘電体材料に使用する誘電体粉末は、粉末を焼成するか、あるいは焼結した誘電体を粉砕することで得られる。ここで使用する焼結誘電体の特性は、最終的にできあがった複合誘電体材料の特性と密接な関係があるため、誘電率およびtanδ等を考慮して選択される。
【0003】
コンデンサ、圧電素子等の電子部品は、前記複合誘電体材料の成形体の両面に外部電極を固着して構成される。
【0004】
磁性材を用いるインダクタやトランス、またはシールド部品等電子部品は、その磁性材料として、フェライト粉末を有機材料中に分散混合してなる。また、この複合磁性材料をガラスクロスに塗工することでプリプレグを作製した後、このプリプレグに銅箔を貼り銅張り積層板を成形している。この積層板に所望のパターンを形成することにより、高周波特性のすぐれたインダクタンス素子を得ていた。
【0005】
また、多層基板あるいはプリプレグを用いる磁性基板の材料として、特許文献1、2には、磁性金属粒子を樹脂中に分散混合したものがある。また、特許文献2では、球状カーボニル鉄を樹脂に分散した複合磁性材料が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−78798号公報
【特許文献2】特開平10−79593号公報
【特許文献3】特開平8−204486号公報。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
(誘電体材料を用いた電子部品について)
従来の複合誘電体材料を使用して構成される電子部品の場合、外部電極間には樹脂中にこれと異なる材料である誘電体粒子が分散して存在する。この場合の合成比誘電率は2種類の材料の体積比率で決定される。
【0008】
比誘電率の高い誘電体材料を混合してもさほど高い比誘電率が得られない。例えば比誘電率が90の粉末をエポキシ樹脂に分散させたものでは、60vol%で合成比誘電率が約20であり、約1/5に低下する。また、比誘電率が9,000の粉末をエポキシ樹脂に40vol%分散したものの比誘電率は約15であり、一方比誘電率が90の粉末をエポキシ樹脂に40vol%分散したものの比誘電率は約12であって、両者間にそれほど大きな差はない。
【0009】
ガラスクロスに複合誘電体材料を含浸させる場合、ガラスクロスがない場合よりも、複合誘電体材料の分散粉末の比誘電率の違いがでてこない。これは基板のなかに占めるガラスクロスの体積が無視できなくなり、体積比率で決定される合成比誘電率に、比誘電率が7.0のガラスクロスが影響を与えているためである。
【0010】
このように、従来の複合誘電体材料で高い比誘電率を得るには、比誘電率9000の粉末を60vol%以上とする必要がある。しかし薄い基板を作成するには、銅箔との密着や層間の剥離を考慮すると、複合誘電体材料の含有率を50vol%以下にしなければならないので、高価な誘電体粉末を混合しても、あまり誘電率の向上が達成できない。また、従来の誘電体粉末は、焼結誘電体の破砕により得ており、凹凸があり、かつ粒径が大きいために分散性が悪く、薄型のコンデンサ、圧電素子等の電子部品や基板の特性を安定させることが困難であるという問題点がある。
【0011】
(ガラスクロス入りプリプレグおよび銅張り磁性基板を用いた電子部品について)
(a) フェライト粉末を有機材料中に分散混合してなる複合磁性銅張り基板を用い、インダクタンス素子を作製した場合では、高透磁率のフェライト粉末を使用すると高周波特性が悪くなる傾向にあり、逆に高周波特性に優れた低透磁率フェライト材を使用すると当然の事ながら十分な透磁率がとれず、いずれにしても満足のいく特性が得られていなかった。
【0012】
(b) フェライト粉末の代わりに金属磁性体たとえばカーボニル鉄のようなものを用いた場合では、比較的高透磁率で、高周波特性のよい複合磁性基板が得られるが、絶縁性が低く、銅箔のパターニング工程において素体(複合磁性材料)の絶縁不良により、パターン以外の部分へもめっきが付着し、パターン間のショートを生じ不具合が発生していた。また、シリコン鉄の場合には、透磁率と飽和磁束密度の高い複合磁性基板が得られるが、高周波域では使用ができない上、絶縁性が低いという問題があった。
【0013】
(磁性成形材料を用いた電子部品について)
(1)シート成形材
(a) カーボニル鉄やシリコン鉄等の軟磁性金属粉末を樹脂に分散混合し、シート状に成形しシールド材として使用した場合では、金属粉末表面のカップリング処理、酸化処理等により10Ω・cm程度の体積抵抗は得られるものの、耐電圧を測定してみると厚さ1.0mmで150V程度であり、電圧を印加した場合においては絶縁材料とみなすことができず、電気的なショートの危険を抱えている。
【0014】
(b) カーボニル鉄やシリコン鉄等の軟磁性金属粉末の代わりにフェライト粉末を分散させたシールド材では、体積抵抗は高く電気的ショートの可能性はほとんどないが、電界シールドには効果がないばかりか、磁気シールドにおいても低周波数側では効果が少ない。
【0015】
(2)モールド材
部品が搭載されたプリント配線板の輻射ノイズ対策として、部品搭載面をフェライトが樹脂に混合された複合磁性材料で部品全体を覆うようにモールド材を成形する方法が使用されていた。フェライト粉末を分散させたモールド材では、電界シールドには効果がないばかりか、磁気シールドにおいても低周波数側では効果が少ない。カーボニル鉄やシリコン鉄等の軟磁性金属粉末を分散させたモールド材では、シールド効果は高まるが絶縁性が低く、配線板のパターン間の絶縁不良により特性不良を招いてしまっていた。
【0016】
(3)複合磁性コア材
チョークコイル、トランス等の磁芯として使用する複合磁性材料は、数百nmから数十μmの平均粒径のフェライト、もしくは表面を絶縁処理した磁性金属粒子を液晶ポリマー、PPS樹脂,エポキシ樹脂等の樹脂材料中に分散させたものを使用していた。それを所望の形に成形し磁芯とするが、フェライトを分散した場合には、飽和磁束密度が小さく、大電流のハイパワー用途には使用が難しく、また、磁性金属材料を用いた場合には絶縁性を十分に確保できず、信頼性上の課題があった。
【0017】
本発明は、粒子の分散性が良好となる材料により、所望の特性が容易に得られ、かつ小型化が達成できる電子部品を提供することを目的とする。
【0018】
また、本発明は、絶縁性や耐圧性が高く、かつ腐食発生の問題がなく、高周波特性も良好となる電子部品を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子部品は、平均粒径が0.1〜10μmで、ほぼ球形の金属粒子の表面全部あるいは一部を、誘電体層により被覆し、
該被覆粒子を1種類以上樹脂中に分散してなり、かつ金属箔上に塗工して形成され、前記金属箔にパターニングが施された複合誘電体材料を有するコンデンサを含む
ことを特徴とする。
【0020】
ここで、誘電体層とは、樹脂より高い誘電率を持つ物質でなる層を意味し、好ましくは比誘電率が20以上のものである。このように、金属粒子の表面の全部または一部を誘電体層で被覆した小径の球形の粒子は、例えば特公平3−68484号公報に記載のような噴霧熱分解法により得ることができる。この噴霧熱分解法は、金属塩を含む溶液を噴霧して液滴にし、その液滴を該金属塩の分解温度より高くかつ金属の融点より高い温度で空中で加熱することにより、金属粉末を作る方法である。この金属粉末の表面に誘電体層を形成する場合、例えばチタン酸バリウム層を形成する場合は、バリウム塩やチタニル塩等の化合物を前記ニッケル塩と共に溶解した溶液を噴霧加熱すると共に、これらの誘電体用塩の分解温度よりも高い温度で加熱する。これにより、実質的に単結晶の球形金属粒子の表面に誘電体層が形成される。
【0021】
この場合、前記粒子が実質的に単結晶であるとする根拠は、透過型電子顕微鏡を使った電子回折結果の回折像からも結晶性が非常に高いことが確認されたことによる。
【0022】
また、この粒子は、噴霧熱分解法により生成させる場合、粒径の下限は0.05μm、上限は20μm程度である。実質的には、平均粒径が0.1〜10μm程度であり、粒径が0.05〜20μmの粒子が95wt%を占めるような粒子の集合体となっている。
【0023】
このような誘電体被覆金属粒子は、樹脂中に分散混合することにより、従来のように焼結誘電体を破砕して粉末にした片状あるいは凹凸のあるブロック状のものに比較して球形でありかつ小径であるため、樹脂中に分散性よく混合される。このため、加工が容易で所望の特性が得やすくなる。また、この粒子を樹脂に分散させた場合、誘電体層が金属粒子に対して例えば1wt%の添加量のときは誘電率の向上に寄与することができないが、複合誘電体材料の絶縁抵抗や耐電圧を向上させることができる。誘電体層が金属粒子に対して例えば1wt%の添加量を越える場合は誘電率の向上に寄与する。また、金属粒子が被覆層により覆われるため、腐食しにくい。
【0024】
このような誘電体被覆金属粒子は、前記のような噴霧熱分解法で製造できるから、従来のような誘電体の焼結、粉砕等の多数の工程を経る場合に比較して廉価に提供可能となる。
【0025】
なお、本発明において、複合誘電体材料は、樹脂中に誘電体被覆金属粒子の他に、酸化物誘電体粉末を1種以上さらに含ませたものであっても良い。
【0026】
本発明において、金属粒子の表面に形成する誘電体層は、その厚みが0.005〜2μmであることが好ましい。
【0027】
誘電体層の厚みが0.005μm以上であれば誘電率あるいは耐電圧の向上に寄与することができる。また、2μmを超えると、粒子の製造が困難となる。
【0028】
なお、この場合の厚みとは、被覆の最大厚みを意味し、その被覆は必ずしも金属粒子の表面のすべてを覆っている必要はなく、金属粒子の表面の50%程度を占めていればよい。
【0029】
また、前記被覆金属粒子を30〜98wt%樹脂中に混合することが好ましい。被覆金属粒子が30wt%未満であると、基板、電子部品、シールド材などを構成した際にそれぞれ所望の特性を得ることが困難となり、一方、98wt%を越えるといずれの場合も成形が困難となる。
【0030】
また、前記金属粒子としては、銀、金、白金、パラジウム、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、モリブデン、タングステンのうちの一種以上のものからなるものを用いることができる。さらに本発明においては、前記金属どうしの合金または他の金属との合金を用いることができる。
【0031】
また、金属粒子の表面に形成する誘電体層としては、チタン−バリウム−ネオジウム系、チタン−バリウム−スズ系、鉛−カルシウム系、二酸化チタン系、チタン酸バリウム系、チタン酸鉛系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸カルシウム系、アルミナ系、チタン酸ビスマス系、チタン酸マグネシウム系、チタン−バリウム−ストロンチウム系、チタン−バリウム−鉛系、チタン−バリウム−ジルコニウム系、BaTiO−SiO系、BaO−SiO系、CaWO系、Ba(Mg,Nb)O系、Ba(Mg,Ta)O系、Ba(Co,Mg,Nb)O系、Ba(Co,Mg,Ta)O系のセラミックス等があげられる。
【0032】
本発明の電子部品においては、製造工程においては、表面に誘電体層を形成した金属粒子を樹脂中に分散させた複合誘電体材料を、成形材料、圧粉成形粉末材料、塗料、プリプレグ、基板として用いることができる。また、本発明の複合誘電体材料は、誘電体層に圧電材を用いることより、圧電材料として用いることができる。また、本発明の複合誘電体材料は、誘電体層の厚みや粒子の含有率を調整することにより、半導体材料として用いることができる。
【0033】
このような複合誘電体材料を用いれば、粒子が球形であるために分散性がよく、また、前記噴霧熱分解法により小径の粒子が得られるから、小型にしても特性の良好な電子部品が得られる。また、表面に目的に合致した誘電体層が形成されることにより、誘電体層が有効に働き、高価な誘電体の量を少なくすることができる。
【0034】
また、コンデンサ材料として前記誘電体被覆金属粒子を用いれば、誘電体層の厚みや粒子の樹脂に対する含有率を変えることにより、種々の誘電率を得ることができる。また、使用する複合誘電体材料は粒子が小径でありかつ球形であるため分散性が良好であり、小型に構成する場合であっても特性が安定する。
【0035】
また、積層基板に前記複合誘電体材料を用いれば、積層基板内にコンデンサを形成することができ、また、誘電体層の厚みや粒子の樹脂に対する混合率を変えることにより、種々の誘電率の層を得ることができ、特性が異なる種々の受動素子を積層基板内に形成することができる。
【0036】
また、シールド材として前記複合誘電体材料を用いれば、絶縁性を必要とするシールド製品の成形材として使用できるので、絶縁材を介することなく取付けができ、実装が容易である。
【0037】
このような球形金属粒子の表面誘電体層を設けて樹脂中に分散混合してなる複合誘電体材料を用いて構成される本発明による電子部品としては、一般的なコンデンサ、積層コンデンサ、円盤コンデンサ、貫通コンデンサ等がある。
【0038】
このように、金属粒子の表面を絶縁体層で被覆した小径の実質的に単結晶の球状の粒子は、前記特公平3−68484号公報に記載にような噴霧熱分解法より得ることができる。
【0039】
このような絶縁体被覆金属は、樹脂中に分散混合することにより、従来のフェライトを破砕して粉末にした片状、あるいは凹凸のあるブロック状のものに比較して球状でありかつ小径であるため樹脂中に分散性よく混合される。また、この粒子を樹脂に分散させた場合、絶縁体層が金属粒子に対して1wt%の少量の添加量であっても絶縁抵抗の向上に寄与することができ、かつ耐電圧をも向上させることができる。
【0040】
この粒子は、噴霧熱分解法により生成される場合、粒径の下限は0.05μm、上限は20μm程度である。実質的には、平均粒径が0.1〜10μm程度であり、粒径が0.05〜20μmの粒子が95wt%を占めるような粒子の集合体となっている。
【0041】
このように小径でありかつ表面が絶縁体により被覆されていることにより、金属粒子を用いた複合磁性材料でありながら磁性材としての損失のひとつである渦電流損が小さく、高周波特性が良好となる。さらに、小径であることにより薄い電子部品の製造も容易となる。
【0042】
このような金属粒子または磁性金属粒子の周囲を絶縁体層により覆った複合磁性材料を有する電子部品は、前記絶縁体層の厚みが0.005〜2μmであることが好ましい。絶縁体層の厚みが0.005μm以上であれば誘電率、絶縁性および耐電圧性の向上に寄与することができる。また、2μmを越えると均一な絶縁体層の膜形成が困難となる。
【0043】
なお、この場合の厚みとは、被覆の最大厚みを意味し、その被覆は必ずしも金属粒子の表面のすべてを覆っている必要はなく、金属粒子の表面の50%程度を占めていればよい。また、被覆金属粒子の含有率は前記の通り30〜98wt%であることが好ましい。
【0044】
このように、微小磁性金属粒子を絶縁体層で被覆することにより、絶縁抵抗が高く、耐電圧も高くなる。また、シールド材においては絶縁処理の必要がないので、他の部材との組み合わせが絶縁処理を行うことなく可能となり、構造が簡略化できる。チョークコイルの磁芯の場合でも絶縁処理を行うことなしに巻線することが可能となり、同じく構造の簡略化がはかれる。
【0045】
また、本発明において、加熱加圧による成形方法をとる電子部品の場合は、被覆金属粒子の樹脂中の含有率は90〜98wt%であることが好ましい。このような加熱加圧による場合は、被覆金属粒子の樹脂材料中への添加量を容易に増やすことができるので、透磁率を高くとることが可能となる。さらに、絶縁体被覆金属粒子を使用していることで絶縁性が高い信頼性の良い電子部品が得られる。また、本発明の複合材料を用いれば、絶縁体層が強固に被覆されているので、加圧の際に該被覆金属粒子が変形されても絶縁体層が破壊されにくくなる。
【0046】
本発明の電子部品は、前記磁性金属粒子の周囲を絶縁体層により覆った複合磁性材料を印刷等により電子部品の内部または表面に形成したものとして構成することができる。このような絶縁体層被覆金属粒子を用いることにより高周波域まで高い透磁率を得ることができる。また、絶縁体層の被覆により高い絶縁抵抗と高い耐電圧が得られる。
【0047】
本発明において、プリプレグおよび磁性基板を用いた電子部品を構成する場合、このような微小の絶縁体層被覆金属粒子を用いることにより、高周波域まで高い透磁率を得ることができる。また、絶縁体層の被覆により高い絶縁抵抗と高い耐電圧が得られる。
【0048】
本発明において、樹脂材料をガラス質の材料に置き換え、成形および焼成にて粒子を結合し、用途に応じた形状とすることも当然の事ながら可能であり、耐熱性を重視した成形材を有する電子部品の実現も可能である。
【0049】
また、樹脂中に被覆金属粒子のみならずガラス成分を添加するか、あるいは被覆絶縁層をガラス成分とし、成形後、焼成を行い、耐熱性の優れた複合磁性材料とすることも可能である。
【0050】
本発明において用いる複合材料には、樹脂として、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の双方が使用可能であり、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、メラミン樹脂、シアネートエステル系樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物樹脂、液晶ポリマー、フッ素系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル樹脂のうちの少なくとも1種類以上のものが単独または混合して使用できる。
【0051】
本発明の電子部品は、前記複合誘電体材料または/および複合材料を複合化させて備えたものとして構成することができる。このような電子部品としては、クランプフィルタ、コモンモードフィルタ、EMCフィルタ、電源用フィルタ、電源ユニット、DC−DCコンバータ、DC−ACコンバータ、インバータ、ディレイライン、ダイプレクサ等がある。また、携帯電話等の通信機器におけるデュプレクサ、アンテナスイッチモジュール、PLLモジュール、フロントエンドモジュール、チューナユニット、ダブルバランスドミキサ等に用いることができる。
【0052】
さらに本発明の電子部品において、前記複合誘電体材料または複合材料が、樹脂中にガラスクロスを埋設した層を少なくとも一層以上含むものからなるものとして構成することができる。このようにガラスクロスを埋設することにより、部品強度を向上させることができる。
【0053】
【発明の実施の形態】
図1(A)は本発明において用いる金属粒子を示す断面図である。1は金属粒子であり、2はその表面に形成された被覆層である。この被覆金属粒子は噴霧熱分解法によって製造される。噴霧熱分解法とは、図2に示すような装置を使用して実施される。すなわち、外部に加熱装置3を有する炉心管4の上端に噴霧する溶液の導入管5につながる噴霧式ノズル6を配置する。該ノズル6の周囲には、キャリアガスの導入管7につながるガイド筒8が同心状に配置される。炉心管4の下端には、製造粒子の収容部9が設けられる。
【0054】
この装置において、ノズル6から金属塩と、誘電体層形成のための塩とを含む溶液を噴霧すると同時に、ガイド筒8から酸化性または還元性等目的に応じた特性のキャリアガスを流出させながら、炉心管4内において被覆金属粒子を形成する。
【0055】
前記金属粒子1、被覆層2の材料としては、誘電体層として被覆層2を形成する場合は、前述した各材料を用いることができる。
【0056】
また、金属粒子1や被覆層2形成のための塩の種類としては、硝酸塩、硫酸塩、オキシ硝酸塩、オキシ硫酸塩、塩化物、アンモニウム錯体、リン酸塩、カルボン酸塩、金属アルコラート、樹脂酸塩、ホウ酸、珪酸等の熱分解性化合物の1種または2種以上が使用される。
【0057】
これらの塩等の化合物を、水や、アルコール、アセトン、エーテル等の有機溶剤あるいはこれらの混合液中に溶解する。加熱装置3により設定される加熱温度は、金属粒子1の溶融温度より高い温度に設定される。
【0058】
図1(B)に示すように、前記噴霧熱分解法により製造した誘電体被覆金属粒子1を、ボールミル等を使用して樹脂15中に分散混合することにより、複合誘電体材料を得る。樹脂15としては、前述した各材料を使用することができる。
【0059】
前記金属粒子の材料としては、磁性を持つものを用いれば、複合磁性材料となり、磁性電子部品を構成できる。この複合磁性材料を作るための金属として、特に、ニッケル、鉄あるいは鉄と他の金属(ニッケル、モリブデン、珪素、アルミニウム、コバルト、ネオジウム、白金、サマリウム、亜鉛、硼素、銅、ビスマス、クロム、チタン等)のうち1種以上より選択された合金が用いられる。その他にも鉄を含まないものとしてMn−Al、Co−Pt、Cu−Ni−Co系等の合金も使用できる。
【0060】
また、被覆層2を絶縁体層形成の目的で設けるための材料としては、絶縁性を有する酸化物組成であれば良く、例えばガラス質を形成するような珪素、硼素、燐、錫、亜鉛、ビスマス、アルカリ金属、アルカリ土類金属ゲルマニウム、銅、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、マンガン、タングステン、鉄、クロム、コバルト、希土類金属、モリブデン等の元素を少なくとも1種類以上含む酸化物がある。
【0061】
また、複合磁性材料を得る場合であっても、例えば以下に挙げるような誘電性を示す酸化物によって被覆層2を形成しても良い。具体的には、チタン−バリウム−ネオジウム系、チタン−バリウム−錫系、チタン−バリウム−ストロンチウム系、チタン−バリウム−鉛系、チタン−バリウム−ジルコニウム系、鉛−カルシウム系、二酸化チタン系、チタン酸バリウム系、チタン酸鉛系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸カルシウム系、チタン酸ビスマス系、チタン酸マグネシウム系のセラミックスが挙げられる。さらに、CaWO系、Ba(Mg,Nb)O系、Ba(Mg,Ta)O系、Ba(Co,Mg,Nb)O系、Ba(Co,Mg,Ta)O系、BaTiO−SiO系、BaO−SiO系のセラミックスやアルミナ等が挙げられる。
【0062】
さらに、複合磁性材料を得る場合の被覆層2は、次に示すような磁性酸化物であっても良い。組成としては、Mn−Zn系フェライト、Nn−Zn系フェライト、Mn−Mg−Zn系フェライト、Ni−Cu−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Mnフェライト、Coフェライト、Liフェライト、Mgフェライト、Niフェライトなどがある。また、Baフェライト等の六方晶フェライトであっても良い。それ以外にもFe、Fe等の酸化鉄でも差し支えない。
【0063】
以上に挙げた塩を水やアルコール、アセトン、エーテル等の有機溶剤あるいは、それらの混合溶液中に溶解する。加熱装置3により設定される加熱温度は、金属粒子1の溶融温度より高い温度に設定される。
【0064】
以上により得られた複合磁性材料は、その磁気特性を利用して、後述する各電子部品に用いられる。製造においては、各種の成形方法により、ガラスクロス入りプリプレグおよび銅張り磁性基板、磁性成形材料、磁性塗料、圧粉磁性粉末成形材料の形態にする。
【0065】
また、本発明により得られた複合磁性材料に、被覆されていない金属粒子や偏平化した金属粒子、および酸化物磁性体、酸化物誘電体粒子を目的とする特性に合わせて添加することも可能である。
【0066】
本発明による電子部品の製造に使用するプリプレグは、図27または図28に示すような方法により製造することができる。この場合、図27の方法は比較的量産に適しており、図28の方法は、膜厚制御を行い易く、特性の調整が比較的容易に行えるという特徴を有している。図27において、(a)に示すように、ロール状に巻回されたガラスクロス101aは、このロール90から繰り出され、ガイドローラ91を介して塗工槽92に搬送される。この塗工槽92には、複合誘電体材料あるいは複合磁性材料がスラリー状に調整されており、この塗工槽92をガラスクロスが通過すると、上記スラリー中に浸漬され、ガラスクロスに塗工されるとともに、その中のすきまが埋められることになる。
【0067】
塗工槽92を通過したガラスクロスは、ガイドローラー93a、93bを介して乾燥炉120に導入される。乾燥炉に導入された複合誘電体材料あるいは複合磁性材料含浸ガラスクロスは、所定の温度と時間乾燥され、Bステージ化されるとともに、ガイドローラー95により方向転換して巻取ローラ130に巻回される。
【0068】
そして、所定の大きさに切断されると、(b)に示すように、ガラスクロス101の両面に複合誘電体材料あるいは複合磁性材料102が配置されたプリプレグが得られる。
【0069】
さらに、(c)に示すように、得られたプリプレグの上下両面上に銅箔などの金属箔100を配置し、これを加熱・加圧プレスすると、(d)に示すような両面金属箔付き基板が得られる。加熱加圧条件は100〜200℃の温度、9.8×10〜7.84×10Pa(10〜80kgf/cm)の圧力とすればよく、このような条件下で0.5〜20時間程度成形することが好ましい。成形は条件をかえて複数段階に分けて行うことができる。なお、金属箔を設けない場合には、金属箔を配置することなく加熱・加圧プレスすればよい。
【0070】
次に、図28の製造方法について説明する。図28において、(a)に示すように、複合誘電体材料あるいは複合磁性材料からなるスラリー102aをドクターブレード96等によってクリアランスを一定に保ちながら銅箔などの金属箔上に塗工する。
【0071】
そして、所定の大きさに切断されると、(b)に示すように、金属箔100の上面に複合誘電体材料あるいは複合磁性材料102が配置されたプリプレグが得られる。
【0072】
さらに、得られたプリプレグを、(c)に示すように、ガラスクロス101の上下両面に、それぞれ複合誘電体材料あるいは複合磁性材料102側を内面にして配置し、これを加熱・加圧プレスすると、(d)に示すような両面金属箔100付き基板が得られる。加熱加圧条件は上記と同様でよい。
【0073】
積層電子部品を構成する基板、およびプリプレグは、上記塗工法以外に材料を混練し、固体状とした混練物を成型することによっても得ることができる。この場合、原料が固体状であるため、厚みをとりやすく、比較的厚みのある基板、プリプレグを形成する方法として適している。
【0074】
混練は、ボールミル、撹拌、混練機などの公知の方法で行えばよい。その際、必要により溶媒を用いてもよい。また、必要に応じてペレット化、粉末化してもよい。
【0075】
このようにペレット化、粉末化等された混練物を金型を用いて加熱・加圧成型する。成型条件としては、100〜200℃、0.5〜3時間、4.9×10〜7.84×10Pa(5〜80kgf/cm)圧力とすればよい。
【0076】
この場合に得られるプリプレグの厚みとしては、0.05〜5mm程度である。プリプレグの厚みは、所望する板厚、誘電体粉や磁性粉の含有率に応じて適宜調整すればよい。
【0077】
さらに、上記同様に得られたプリプレグの上下両面上に銅箔などの金属箔を配置し、これを加熱・加圧プレスすると両面金属箔付き基板が得られる。加熱加圧条件は100〜200℃の温度、9.8×10〜7.84×10Pa(10〜80kgf/cm)の圧力とすればよく、このような条件下で0.5〜20時間程度成形することが好ましい。成形は条件をかえて複数段階に分けて行うことができる。なお、金属箔を設けない場合には、金属箔を配置することなく加熱・加圧プレスすればよい。
【0078】
本発明において用いるプリプレグは銅箔と重ねて加熱加圧して成形することにより銅箔付基板を形成することができる。この場合の銅箔の厚さは12〜35μm 程度である。このような銅箔付基板には、両面パターンニング基板や多層基板などがある。
【0079】
図29、図30は両面パターンニング基板形成例の工程図である。図29、図30に示されるように、所定厚さのプリプレグ16と所定厚さの銅(Cu)箔17とを重ねて加圧加熱して成形する(工程A)。次にスルーホール18をドリリングにより形成する(工程B)。形成したスルーホール18に銅(Cu)メッキを施し、メッキ膜25を形成する(工程C)。さらに両面の銅箔17にパターニングを施し、導体パターン26を形成する(工程D)。その後、図29に示されるように、外部端子等の接続のためのメッキを施す(工程E)。この場合のメッキはNiメッキ後にさらにPdメッキを施す方法、Niメッキ後にさらにAuメッキを施す方法(メッキは電解または無電解メッキ)、半田レベラーを用いる方法により行われる。
【0080】
図31、図32は多層基板形成例の工程図であり、4層積層する例が示されている。図31、図32に示されるように、所定厚さのプリプレグ16と所定厚さの銅(Cu)箔17とを重ねて加圧加熱して成形する(工程a)。次に両面の銅箔17にパターニングを施し、導体パターン24を形成する(工程b)。このようにして得られた両面パターンニング基板の両面に、さらに所定厚さのプリプレグ16と銅箔17とを重ねて、同時に加圧加熱して成形する(工程c)。次にスルーホール18をドリリングにより形成する(工程d)。形成したスルーホールに銅(Cu)メッキを施し、メッキ膜19を形成する(工程e)。さらに両面の銅箔17にパターニングを施し、導体パターン24を形成する(工程f)。その後図31に示されるように、外部端子との接続のためのメッキを施す(工程g)。この場合のメッキはNiメッキ後にさらにPdメッキを施す方法、Niメッキ後にさらにAuメッキを施す方法(メッキは電解または無電解メッキ)、半田レベラーを用いる方法により行われる。
【0081】
上記の加熱加圧の成形条件は、100〜200℃の温度、9.8×10〜7.84×10Pa(10〜80kgf/cm)の圧力で、0.5〜20時間とすることが好ましい。
【0082】
本発明では、前記例に限らず、種々の基板を形成することができる。例えば、成形材料としての基板や、銅箔付基板とプリプレグとを用い、プリプレグを接着層として多層化することも可能である。
【0083】
また、プリプレグや成形材料としての基板と銅箔とを接着する態様において、前述の複合誘電体材料や複合磁性材料と、必要により難燃剤と樹脂とブチルカルビトールアセテート等の高沸点溶剤とを混練して得られた複合誘電体材料や複合磁性材料ペーストをパターニングした基板の上にスクリーン印刷等にて形成してもよく、これにより特性の向上を図ることができる。
【0084】
このようなプリプレグ、銅箔付き基板、積層基板等と素子構成パターン、構成材料を組み合わせることにより、後述のような積層電子部品を得ることができる。
【0085】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
<実施例1>
図3、図4は、本発明の第1の実施例であるキャパシタ(コンデンサ)を示した図であり、図3は透視斜視図、図4は断面図である。図において、キャパシタ20は本発明の複合誘電体材料を有する構成層20a〜20gと、この構成層20b〜20g上に形成されている内部導体(内部電極パターン)23と、この内部導体23とそれぞれ交互に接続されるキャパシタの端面に形成された端子電極22とそれから僅かに上下面方向に形成された導体パターン21とから構成されている。
【0086】
このキャパシタ20の構成層20a〜20gは、実質的に単結晶で球形の平均粒径が0.1から10μmの金属粒子の表面を誘電体でなる被覆層で被覆し、その1種以上の被覆金属粒子を樹脂中に分散混合してなる複合誘電体材料によって構成される。
【0087】
図3のコンデンサの等価回路を図6(a)に示す。図6(a)に示されるように、等価回路ではキャパシタ32を有する電子部品(コンデンサ)となっている。
【0088】
<実施例2>
図5は本発明の第2の実施例であるキャパシタを示した透視斜視図である。この例では、実施例1において単独で構成されていたキャパシタを、複数アレイ状に並べて4連とした例である。実施例2の層構成方法、使用材料、端子構成方法は実施例1と同じである。図5において、図3と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。その等価回路を図6(b)に示す。図6(b)に示されるように、等価回路ではキャパシタ32a〜32dが4連装された電子部品(コンデンサ)となっている。このようにキャパシタが複数内蔵された構造とすれば、セットの小型化、部品点数削減に役立つ。
【0089】
実施例1、2のように、球形金属粒子を誘電体層で被覆したものを樹脂中に分散混合した複合誘電体材料を誘電体の構成層として用いることにより、セラミック破砕粉を樹脂中に分散した場合に比較し、小型で、高容量のチップコンデンサを得ることができる。また、樹脂中に分散される粒子が球形の金属粒子であるため、分散性が良好であり、加工性がよい。また、金属粒子が誘電体層によって覆われているため、絶縁性、耐電圧が向上する。
【0090】
<実施例3>
図7〜図9は、本発明の第3の実施例の積層フィルタを示している。ここで図7は斜視図、図8は分解斜視図、図9は等価回路図である。なお、この積層型フィルタは2ポールとして構成されている。
【0091】
図7〜9において、積層型フィルタ60は、構成層60a〜60eが積層された積層体のほぼ中央に一対のストリップ線路68と、一対のコンデンサ導体67とを有する。コンデンサ導体67は下部構成層群60d上に形成され、ストリップ線路68はその上の構成層60c上に形成されている。構成層60a〜60eの上下端部にはGND導体65が形成されていて、前記ストリップ線路68とコンデンサ導体67とを挟み込むようになっている。ストリップ線路68と、コンデンサ導体67と、GND導体65とはそれぞれ端面に形成された端部電極(外部端子)62とそれから僅かに上下面方向に形成されたランドパターン61と接続されている。また、その両側面およびそこから僅かに上下面方向に形成されたGNDパターン66はGND導体65と接続されている。
【0092】
ストリップ線路68は、図9の等価回路図に示されるλg /4長またはそれ以下の長さを有するストリップ線路74a、74bであり、コンデンサ導体67は入出力結合容量Ciを構成する。また、それぞれのストリップ線路74a、74b間は、結合容量Cmおよび結合係数Mにより結合されている。
【0093】
この積層フィルタ60の構成層60a〜60eは、球形金属粒子を誘電体層で被覆したものを樹脂中に分散混合した複合誘電体材料により構成されている。
【0094】
このような積層型フィルタを設計するにあたっても、小型化を考慮すると誘電率は高い方が良い。本発明によれば、前述のように、高い誘電率が得られる前記複合誘電体材料により構成層を構成しているので、小型で高特性の積層フィルタを提供可能となる。
【0095】
<実施例4>
図10〜図12は、本発明の第4の実施例の積層フィルタを示している。ここで図10は斜視図、図11は分解斜視図、図12は等価回路図である。なお、この積層フィルタは4ポールとして構成されている。
【0096】
図10〜12において、積層フィルタ60は、構成層60a〜60eが積層された積層体のほぼ中央に4つのストリップ線路68と、一対のコンデンサ導体67とを有する。その他の構成要素は実施例3と同様であり、同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0097】
<実施例5>
図13〜図15は、本発明の第5の実施例のVCO(電圧制御発振器)を示している。ここで図13は透過斜視図、図14は断面図、図15は等価回路図である。
【0098】
図13〜15において、VCOは、構成層210a〜210gが積層された積層体210の上に形成、配置されたコンデンサ、インダクタ、半導体、レジスタ等の電子部品261と、この構成層210a〜210g中およびその上下面に形成されている導体パターン262、263、264を有する。
【0099】
このVCOは図15に示すような等価回路により構成されているため、共振器、コンデンサ、信号線、半導体、電源ラインなどを有する。このため、それぞれの機能に適した材料で構成層を形成するのが効率的である。ここで示す構成はその一例であり、他の構成例もある。
【0100】
この例では、共振器を構成する構成層210f、210gには共振周波数に適した誘電率に調整した複合誘電体材料を用い、コンデンサ構成層210c〜210eには誘電率が5〜40となるような複合誘電体材料を用いる。また、配線、およびインダクタ構成層210a、210bには、前記コンデンサより誘電率が低い複合誘電体材料を用いる。
【0101】
そして、上記構成層210a〜210gの表面には、内部導体であるストリップライン263、GND導体262、コンデンサ導体264,配線インダクタ導体265、および端子導体266を構成する。また、それぞれの内部導体はビアホール214により上下に接続され、表面にはマウントされた電子部品261が搭載されて図15の等価回路に示すようなVCOが形成される。
【0102】
このように構成することにより、それぞれの機能に適した材料を層毎に構成しているので、高性能化、小型化、薄型化が可能となる。
【0103】
<実施例6>
図16〜図18は、本発明の第6の実施例のパワーアンプ(電力増幅部)を示している。ここで図16は各構成層の分解平面図、図17は等価回路図、図18は断面図である。
【0104】
図16〜18において、パワーアンプは、構成層300a〜300eが積層された積層体の上に形成、配置されたコンデンサ、インダクタ、半導体、レジスタ等の電子部品361と、この構成層300a〜300e中およびその上下面に形成されている導体パターン313,315を有する。314は内部導体間を接続するビアホールである。
【0105】
このパワーアンプは図17に示すような等価回路により構成されているため、ストリップラインL11〜L17、コンデンサC11〜C20、信号線、半導体への電源ラインなどを有する。このため、それぞれの機能に適した材料で構成層を形成するのが効率的である。ここで示す構成はその一例であり、他の構成例もある。
【0106】
この例では、ストリップラインを構成する構成層300d,300eには使用周波数に適した誘電率に調整した複合誘電体材料を使用する。また、コンデンサ構成層300a〜300cには、誘電率が5〜40となるような複合誘電体材料を用いる。
【0107】
このように構成することにより、それぞれの機能に適した材料を層毎に構成しているので、高性能化、小型化、薄型化が可能となる。
【0108】
<実施例7>
図19〜図21は、本発明の第7の実施例の光ピックアップなどに使用される重畳モジュールを示している。ここで図19は各構成層の分解平面図、図20は断面図、図21は等価回路図である。
【0109】
図19〜21において、重畳モジュールは、構成層400a〜400kが積層された積層体の上に形成、配置されたコンデンサ、インダクタ、半導体、レジスタ等の電子部品461と、この構成層400a〜400k中およびその上下面に形成されている導体パターン413,415を有する。この重畳モジュールは図21に示すような等価回路により構成されているため、インダクタL21、L23、コンデンサC21〜C27、信号線、半導体への電源ラインなどを有する。このため、それぞれの機能に適した材料で構成層を形成するのが効率的である。ここで示す構成はその一例であり、他の構成例もある。
【0110】
この例では、コンデンサ構成層400d〜400hには、誘電率が10〜40となるように調整された複合誘電体材料を用いる。また、インダクタなどを構成する構成層400a〜400c,400j〜400kには、比較的誘電率が低い材料を用いる。そして、ベース材料400a〜400kの表面には、内部導体413、GND導体415等が形成されている。また、それぞれの内部導体はビアホール414により上下に接続され、表面にはマウントされた電子部品461が搭載されて図21の等価回路に示すような重畳モジュールが形成される。
【0111】
このように構成することにより、それぞれの機能に適した材料を層毎に構成しているので、高性能化、小型化、薄型化が可能となる。
【0112】
<実施例8>
図22〜図26は、本発明の第8の実施例のRFユニットを示している。ここでRFユニットは携帯電話等の無線通信機器に使用されるもので、図22は斜視図、図23は外装部材を外した状態での斜視図、図24は各構成層の分解斜視図、図25は断面図、図26はブロック図ある。RFユニットは図26に示すように、PLL回路520、VCO521、ハイブリッド回路522、ミキサー523、バンドパスフィルタ524、アンプ525とカプラ526とアイソレータ527とからなるパワーアンプモジュール529、アンテナ530、ローパスフィルタと531とデュプレクサ532とからなるフロントエンドモジュール533、アンプ534〜536、バンドパスフィルタ537、538、ミキサー539、540、弾性表面波フィルタ541を備えている。
【0113】
図22〜25において、RFユニットは、構成層500a〜500iが積層された積層体500の上に形成、配置されたコンデンサ、インダクタ、半導体、レジスタ等の電子部品561と、この構成層500a〜500i中およびその上下面に形成されている導体パターン513、515、572と、アンテナパターン573を有する。このRFユニットは、上記のように、アンテナ、フィルタ、インダクタ、コンデンサ、信号線、半導体への電源ラインなどを有する。このため、それぞれの機能に適した材料で構成層を形成するのが効率的である。ここで示す構成はその一例であり、他の構成例もある。
【0114】
この例では、アンテナ構成、ストリップライン構成および配線層500a〜500d、500gには、使用周波数に合わせて調整された誘電率の複合誘電体材料を使用する。コンデンサ構成層500e〜500fには、誘電率が10〜40程度に高く調整された複合誘電体材料を使用する。電源ライン層500h〜500iには、透磁率が3〜20程度に調整された前記被覆磁性金属粒子を樹脂中に分散混合した複合磁性材料を用いる。
【0115】
そして、これらの構成層500a〜500iの表面には、内部導体513、GND導体515、アンテナ導体573等が形成されている。また、それぞれの内部導体はビアホール514により上下に接続され、表面にはマウントされた電子部品561が搭載されてRFユニットが形成される。
【0116】
このように構成することにより、それぞれの機能に適した材料を層毎に用いることにより、高性能化、小型化、薄型化が可能となる。
【0117】
これらの他、アイソレータ、サーキュレータも多層化された小型のものを作成することが可能である。また、前記した各実施例の部品を適宜に複合化することにより、より集積化、小型化が可能となる。例えばアンテナを含むフロントエンドモジュール533、アイソレータ527を含むパワーアンプモジュール529等の製品も、本発明の複合誘電体材料あるいは複合磁性材料を用いることにより、小型化、集積化が可能となる。
【0118】
以上の各実施例において、必要によりハロゲン化リン酸エステル、ブロム化エポキシ樹脂等のハロゲン化物、また、リン酸エステルアミド系等の有機化合物や、三酸化アンチモン、水素化アルミニウム等の無機材料等の難燃剤を各構成層中に添加してもよい。また、各実施例において、必要に応じて、構成層中に前記ガラスクロスが埋設される。また、すべての層は同じ材質である必要はなく、それぞれの層のうち、一部の層または全部の層をそれぞれ異なる材質により構成しても良い。
【0119】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、平均粒径が0.1〜10μmで、ほぼ球形の金属粒子の表面全部あるいは一部を、誘電体層または絶縁体層により被覆し、該被覆粒子を1種類以上樹脂中に分散してなり、かつ金属箔上に塗工して形成され、前記金属箔にパターニングが施された複合誘電体材料またh複合材料を有する構成としたので、小型で加工性が良く、比重が軽い柔軟性のある電子部品が提供できる。また、金属粒子の表面を絶縁体層により覆っているので、絶縁抵抗と耐圧性が高くなる。
【0120】
また、磁性金属粒子の表面を絶縁体層により被覆して磁性体を構成した場合には、樹脂中に金属粒子を分散混合した磁性体に比較し、高周波特性の優れた電子部品が提供できる。
【0121】
また、異なった材料により多層化しても、セラミックに比較して柔軟性が高いため、クラック、はがれ、そり等の問題がおきにくく、高性能の電子部品を得ることができる。
【0122】
また、焼成や厚膜印刷等の工程がないため、製造しやすく、不具合の起きにくいライン設計が可能となる。また、基体にガラスクロスを埋設すれば、強度の高い電子部品が得られる。また、難燃剤を添加すれば、難燃性の高い電子部品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明において用いる粒子の断面図、(B)は本発明において用いる複合材料の一例を示す断面図である。
【図2】本発明において噴霧熱分解法による粒子生成に用いる装置の一例を示す構成図である。
【図3】本発明の積層電子部品の構成例であるキャパシタを示す図である。
【図4】本発明の積層電子部品の構成例であるキャパシタを示す図である。
【図5】本発明の積層電子部品の構成例であるキャパシタを示す図である。
【図6】本発明の積層電子部品の構成例であるキャパシタを示す等価回路図である。
【図7】本発明の積層電子部品の構成例である積層フィルタを示す図である。
【図8】本発明の積層電子部品の構成例である積層フィルタを示す図である。
【図9】本発明の積層電子部品の構成例である積層フィルタを示す等価回路図である。
【図10】本発明の積層電子部品の構成例である積層フィルタを示す図である。
【図11】本発明の積層電子部品の構成例である積層フィルタを示す図である。
【図12】本発明の積層電子部品の構成例である積層フィルタを示す等価回路図である。
【図13】本発明の積層電子部品の構成例であるVCOを示す図である。
【図14】本発明の積層電子部品の構成例であるVCOを示す図である。
【図15】本発明の積層電子部品の構成例であるVCOを示す等価回路図である。
【図16】本発明の積層電子部品の構成例であるパワーアンプを示す図である。
【図17】本発明の積層電子部品の構成例であるパワーアンプを示す等価回路図である。
【図18】本発明の積層電子部品の構成例であるパワーアンプを示す図である。
【図19】本発明の積層電子部品の構成例である重畳モジュールを示す図である。
【図20】本発明の積層電子部品の構成例である重畳モジュールを示す図である。
【図21】本発明の積層電子部品の構成例である重畳モジュールを示す等価回路図である。
【図22】本発明の積層電子部品の構成例であるRFユニットを示す図である。
【図23】本発明の積層電子部品の構成例であるRFユニットを示す図である。
【図24】本発明の積層電子部品の構成例であるRFユニットを示す図である。
【図25】本発明の積層電子部品の構成例であるRFユニットを示す図である。
【図26】本発明の積層電子部品の構成例であるRFユニットを示すブロック図である。
【図27】本発明に用いる銅箔付基板の形成例を示す工程図である。
【図28】本発明に用いる銅箔付基板の形成例を示す他の工程図である。
【図29】銅箔付基板の形成例を示す工程図である。
【図30】銅箔付基板の形成例を示す他の工程図である。
【図31】多層基板の形成例を示す工程図である。
【図32】多層基板の形成例を示す工程図である。
【符号の説明】
1:金属粒子
2:被覆層
20  キャパシタ
20a〜20g  構成層
21  導体パターン
22  貫通ビア
23  内部導体(内部電極パターン)
43  内部導体
45  GND導体
60  積層フィルタ

Claims (3)

  1. 平均粒径が0.1〜10μmで、ほぼ球形の金属粒子の表面全部あるいは一部を、誘電体層により被覆し、
    該被覆粒子を1種類以上樹脂中に分散してなり、かつ金属箔上に塗工して形成され、前記金属箔にパターニングが施された複合誘電体材料を有するコンデンサを含む
    ことを特徴とする電子部品。
  2. 請求項1の電子部品において、
    前記誘電体層の厚みが0.005〜2μmである
    ことを特徴とする電子部品。
  3. 請求項1または2の電子部品が、キャパシタ、積層フィルタ、電圧制御発振器、パワーアンプ、重畳モジュールまたはRFユニットである
    ことを特徴とする電子部品。
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