JP2013207202A - フィルムコンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 導体層中に静電容量の発現に寄与しない部分を設けることなく、誘電体フィルムが短絡した場合でも発炎や発火を抑制することができるフィルムコンデンサを提供する。
【解決手段】 誘電体フィルム5がセラミック粒子11の含有量の異なる第1の領域5Aおよび第2の領域5Bを有しており、第2の領域5Bは第1の領域5Aよりもセラミック粒子11の含有量が少なく、かつ第1の領域5Aよりも幅wの狭い帯状を為しているとともに、第2の領域5Bが第1の領域5Aを一対の外部電極3の方向に分断するように配置されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂中にセラミック粒子を含むフィルムコンデンサに関する。
フィルムコンデンサは誘電体フィルムの耐圧が高いことから、高い電圧のインバータ回路にも使用することが可能である。このためフィルムコンデンサを用いてインバータを高電圧化し効率を向上させることが可能になる。
上記のようなフィルムコンデンサの長所を生かして市場のニーズに対して期待に応えていくためには、これまでよりも薄い誘電体フィルムを用いることによってフィルムコンデンサを小型化し、信頼性や安全性をさらに高める必要がある。
小型化するためには、従来よりも薄いフィルムを使用しなければならないことから、金属を蒸着した誘電体フィルムの耐電圧(1μm当たりの耐圧)を増加させることが必要となる。
誘電体フィルムを薄くしていくと、フィルム中に電気的弱点部が存在する確率が増加する。このような弱点部があってもフィルムコンデンサとして正常に機能させるために、次のような2つの方法を用いることが一般的である。
一つは、蒸着膜の厚みを薄くし、自己回復(セルフヒーリング)性を向上させることである。自己回復性とは、ショート等で電気的弱点部に過大な電流が流れた際の発熱によって、弱点部周囲の蒸着膜が蒸発飛散し、瞬時に絶縁回復する現象のことである。この性質が鋭敏に働き、自己回復時のクリアリングエネルギーが比較的小さい場合は、弱点部から絶縁破壊が進行しにくいのでコンデンサに大きなダメージを与えることなく正常状態で使用し続けることができる。
もう一つは、導体層を蒸着によって形成する際に、パターン設計によって、非蒸着スリットを設けることにより、分割電極とそれらを接続するヒューズ部からなるパターンの導体層を形成することである(例えば、特許文献1を参照)。
図3は、従来のフィルムコンデンサを模式的に示す斜視図である。図中において、電極101には金属の蒸着されていない非蒸着部が非蒸着スリット103として形成されている。101aは分割電極であり、近接する非蒸着スリット103によって形成されたヒューズ部101bを介して接続された状態となっている。
電極101に図1に示すようなパターンを採用すると、ショートした弱点部に向かって周りの分割電極101aからもヒューズ部101bを通って過大な電流が流れ込み、その大きな電流によって分割電極105を接続しているヒューズ部101bが切れて全体のフィルムコンデンサから弱点部を有するコンデンサの部分を切り離すことができる。このようにしておくと、前述した自己回復作用が鋭敏に働かなかったとしても、弱点部を有するコンデンサの部分がヒューズ部101bの溶断によって瞬時に電気的に切り離されるので、フィルムコンデンサとして正常に使用し続けることができる。
ところが、実際には、短絡のエネルギーにより誘電体フィルム109(電極101が上下から挟持している部分)中の欠陥部周辺の電極101が蒸発、飛散しきれず、一方、誘電体フィルム109側も発熱による炭化が発生することで、電極101間が短絡し、発煙
や発火などが発生しやすいという問題があった。また、電極101が図1に示すようなパターン形状を有する場合には、電極101中に静電容量の発現に寄与しない部分(非蒸着スリット103)が形成されるため、フィルムコンデンサの静電容量が低下するという問題も有している。
特開2004−87648号公報
従って、本発明の目的は、導体層中に静電容量の発現に寄与しない部分を設けることなく、誘電体フィルムが短絡した場合でも発炎や発火を抑制することができるフィルムコンデンサを提供することを目的とする。
本発明のフィルムコンデンサは、樹脂中にセラミック粒子を有する長方形状を有してなる誘電体フィルムおよび該誘電体フィルムの主面を挟持するように設けられた導体層を有するコンデンサ本体と、該コンデンサ本体の対向する端面にて前記導体層と積層方向に交互に接続されている一対の外部電極と、を具備するフィルムコンデンサであって、前記誘電体フィルムは前記セラミック粒子の含有量の異なる第1の領域および第2の領域を有しており、前記第2の領域は前記第1の領域よりも前記セラミック粒子の含有量が少なく、かつ前記第1の領域よりも幅の狭い帯状を為しているとともに、前記第2の領域が前記第1の領域を一対の前記外部電極の方向に分断するように配置されていることを特徴とする。
本発明のフィルムコンデンサによれば、導体層中に静電容量の発現に寄与しない部分が設けられていないため、高い静電容量を得ることができるとともに、誘電体フィルムが短絡した場合でも発炎や発火を抑制することができる。
(a)は本発明のフィルムコンデンサの一実施形態を模式的に透視した斜視図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。 誘電体フィルムの製造方法を示す模式図である。 従来のフィルムコンデンサを模式的に示す斜視図である。
図1(a)は、本発明のフィルムコンデンサの一実施形態を模式的に透視した斜視図であり、(b)は、(a)のA−A線断面図である。
本実施形態のフィルムコンデンサは、コンデンサ本体1の対向する端面に一対の外部電極3が設けられた構成を有している。この場合、コンデンサ本体1のサイズは適宜に設定されてもよいが、例えば、1辺が2〜10数ミリであることが望ましい。外部電極3は、図1(a)に示しているように、例えば、コンデンサ本体1の端面を覆う形状(本実施形態では矩形)とされており、例えば、Sn、Zn若しくはSn−Zn合金等の金属により形成されている。さらに、外部電極3にはリードが接合されていてもよい。また、コンデンサ本体1および外部電極3の表面にはこれを覆う外装部が形成されてもよく、この場合、エポキシ樹脂等の絶縁性材料により形成されていることが望ましい。
コンデンサ本体1は、長方形状を有してなる誘電体フィルム5と、その誘電体フィルム5の主面を挟持するように設けられた導体層7とを有するものである。図1(a)(b)では、誘電体フィルム5が1層の場合を示しているが、積層数はこれに限定されるものではなく、例えば、100〜1000層にも及ぶ多層型のフィルムコンデンサにも適用することが可能である。また、誘電体フィルム5が長尺状である場合には、巻回された構造のフィルムコンデンサにも適用することができる。
誘電体フィルム5の平均厚みtは、印加される電圧および要求される容量等に応じて適宜に設定されてよいが、多層化により静電容量を高められるという理由から、例えば、3〜20μmであることが望ましい。
本実施形態のフィルムコンデンサを構成する誘電体フィルム5は、樹脂9中にセラミック粒子11を有するものであるが、本実施形態のフィルムコンデンサを構成する誘電体フィルム5は、セラミック粒子11の含有量の異なる第1の領域5Aおよび第2の領域5Bを有しており、第2の領域5Bは第1の領域5Aよりもセラミック粒子11の含有量が少ないものである。また、第2の領域5Bは第1の領域5Aよりも幅wが狭く帯状を為しており、第2の領域5Bが第1の領域5Aを一対の外部電極3の方向に分断するように配置されている。
誘電体フィルム5中にセラミック粒子11の含有量の少ない領域(第2の領域5B)と、これよりもセラミック粒子11の多い領域(第1の領域5A)とが共存する場合、セラミック粒子11の少ない第2の領域5Bは、セラミック粒子11の多い第1の領域5Aよりもセラミック粒子11の少ない分だけ熱伝導性が低下する。このため短絡などによって誘電体フィルム5内に電流が流れた場合、第2の領域5Bは第1の領域5Aよりも発熱しやすくなる。第2の領域5Bはその周囲にある第1の領域5Aよりも部分的に発熱量が高くなるために、誘電体フィルム5を覆っている導体層7も第2の領域5Bを覆っている部分の導体層7Bの方がその周囲の第1の領域5Aを覆っている部分の導体層7A側よりも加熱される。その結果、第2の領域5Bを覆っている導体層7Bが部分的に焼失しやすいことから、誘電体フィルム5の絶縁性を回復することが可能となる。このため誘電体フィルム5中に短絡した箇所が発生したとしても、誘電体フィルム5の絶縁破壊が進行し難いために、フィルムコンデンサに大きなダメージを与えることがなく、正常な状態で使用し続けることができる。
また、このフィルムコンデンサでは、従来のフィルムコンデンサとは異なり、導体層7に金属の非蒸着スリットより形成されるヒューズ部を形成するものではないために、導体層7に、静電容量に寄与するための有効面積を最大に確保することができ、その結果、高い静電容量を得ることができる。
この誘電体フィルム5では、第2の領域5Bは、その厚みが第1の領域5Aとほぼ同じであり、図1(a)(b)に示すように、誘電体フィルム5において、対向する外部電極3の方向に、第1の領域5A、第2の領域5Bおよび第1の領域5Aがこの順に並んでいる構成となっている。この場合、第2の領域5Bの幅wは誘電体フィルム5の長さ(対向する外部電極3の方向の長さ)Wの1/100〜1/50であることが望ましい。
また、この第2の領域5Bは、誘電体フィルム5の対向する外部電極3の方向においてほぼ中央部に配置されていることが望ましい。第2の領域5Bが誘電体フィルム5の対向する外部電極3の方向においてほぼ中央部に配置されていると、第2の領域5Bをカバーしている導体層7がこの部分で蒸発し、外部電極3との接続ができなくなっても、誘電体フィルム5を覆っている導体層7の約半分とは対向する外部電極3間で電気的な接続が維持されるため、静電容量の低下を小さくすることができる。仮に、第2の領域5Bが外部
電極3に近いところに形成されていた場合には、誘電体フィルム5の短絡した箇所によっては、面積の広い導体層7の方が機能しなくなるおそれがあり、その結果、静電容量の低下が大きくなるからである。
また、このフィルムコンデンサでは、第2の領域5Bの熱拡散係数をαとし、第2の領域5Bを覆っている導体層7が溶断するのに必要な時間をdとしたときに、次式L=(α×d)1/2から得られる熱伝達距離Lと誘電体フィルム5の平均厚みtとが、t>Lの関係を有することが望ましい。誘電体フィルム5において、例えば、熱伝導性に大きく寄与しているセラミック粒子11の割合を調整することにより、その誘電体フィルム5の厚み方向における単位時間当たりの熱伝達距離Lが決まるが、この場合、セラミック粒子11の体積割合が低いほど熱伝達距離Lは短くなる。熱伝達距離Lが小さいということは熱が伝わり難いことを意味している。この点で、第2の領域5Bの熱伝達距離Lが第1の領域5A側の熱伝達距離Lよりも小さいことが望ましく、特に、第2の領域5Bの熱伝達距離Lが誘電体フィルム5の平均厚みtよりも小さいことが望ましい。上記の関係式から導かれる第2の領域5Bの熱伝達距離Lが誘電体フィルム5の平均厚みtよりも小さくなるような場合には、第1の領域5Aと比較したときに、第2の領域5Bの発熱量が高くなり、誘電体フィルム5の両面に配置された導体層7間での発熱量に大きな差を生じさせることができ、こうして第2の領域5Bのヒューズ機能をより向上させることが可能となる。
ここで、熱伝達距離Lは以下の関係から求められる。誘電体フィルム5を構成する樹脂9の熱拡散係数α[m/sec.]は、樹脂9の熱伝導率をk[W/(m・K)]、密度をρ[kg/m]、比熱をc[J/(kg・K)]としたときに、α[m/sec.]=k/(ρ×c)で表される。
一方、セラミック粒子11の熱拡散係数α[m/sec.]は、セラミック粒子11の熱伝導率をk[W/(m・K)]、密度をρ[kg/m]、比熱をc[J/(kg・K)]としたときに、α[m/sec.]=k/(ρ×c)で表される。
誘電体フィルム5中に含まれる樹脂9の体積分率をv、セラミック粒子の体積分率をvとすると、誘電体フィルム5の熱拡散係数αは、α=(α×v)+(α×v)によって表される。熱伝達距離L[m]は、L=(α×d)1/2で表されることから、誘電体フィルム5(または第1の領域5Aもしくは第2の領域5B)の熱拡散係数αと導体層7が溶断するのに必要な時間dとから熱伝達距離L求めることができる。
誘電体フィルム5に含ませるセラミック粒子11としては、アルミナ、シリカ、ジルコニアなど、樹脂9よりも比誘電率の高いセラミック粒子11を適用することが好ましいが、誘電体フィルム5の誘電損失を小さくできるという点で、比誘電率が6以下のセラミック粒子11が好適であり、この点でシリカが好ましい。
このフィルムコンデンサにおいて、誘電体フィルム5を構成する第1の領域5Aおよび第2の領域5Bのそれぞれにおけるセラミック粒子11の含有量は、第1の領域5Aが40〜60体積%、第2の領域5Bが0〜20体積%であることが望ましいが、誘電体フィルム5の全体の比誘電率および耐電圧を高められるという理由から、第2の領域5Bにおけるセラミック粒子11の含有量は10〜15体積%であることがより好ましい。この場合、誘電体フィルム5が通電状態に至った際に、第1の領域5Aに比較して、第2の領域5Bを発熱し易くするという点で、第1の領域5Aと第2の領域5Bとの間のセラミック粒子11の含有量の差が35体積%以上であることが望ましい。
また、この誘電体フィルム5において第1の領域5Aは、挟持されている導体層7間に
おいて誘電体フィルム5の厚み方向における熱伝導性を高めるという理由から、セラミック粒子11がネック部などを介して接触していることが望ましく、特に、セラミック粒子11が導体層7間を繋ぐように連結されていることが望ましい。
一方、第2の領域5Bは、この領域が第1の領域5Aよりも部分的に発熱しやすいように、連結されたセラミック粒子11が少なくなっていることが望ましく、さらには、第2の領域5Bに含まれるセラミック粒子11の平均粒径が第1の領域5Aに含まれるセラミック粒子11の平均粒径よりも小さいことが望ましい。なお、この誘電体フィルム5に含まれるセラミック粒子11のサイズは誘電体フィルム5の平均厚みの1/200〜1/50であることが望ましく、具体的には、誘電体フィルム5の厚みにもよるが30〜500nmであることが望ましい。
誘電体フィルム5に含まれるセラミック粒子11の存在状態の確認および粒径の測定は、例えば、誘電体フィルムの研磨面若しくは破断面をSEM(Scanning Electron Microscope)によって適宜な倍率(例えば30000倍)で撮像して得られるSEI(二次電子像)及び/又はBEI(反射電子像)を用いて行う。この場合、粒径は、SEI及び/又はBEIにおいて観察される粒子の面積と同等の面積を有する円の直径(円相当径)として算出(測定)する。また、セラミック粒子11の体積割合は、上述のSEI及び/又はBEIにおいて、画像解析装置等を用いて誘電体フィルム5に占める各セラミック粒子11の面積比率(面積%)を複数個所(例えば10箇所)の断面にて測定し、その測定値の平均値を算出して含有量(体積%)とみなすことにより求める。
樹脂9としては、例えば、ポリブタジエン(比誘電率:2.3〜3.6)、エポキシ(比誘電率:2.5〜6)、ポリイミド(比誘電率:3.55)、シアノレジン(比誘電率:15〜20)、ポリビニルブチラール(PVB、比誘電率:3.9〜4)、フッ素樹脂(比誘電率:4〜8)、アクリル樹脂(比誘電率:2.7〜4.5)、ポリエチレンテレフタラート(PET、比誘電率:2.9〜3)、ポリシクロオレフィン(比誘電率:2.3)、ポリシルセスキオキサン(比誘電率:3.0〜3.4)、およびポリプロピレン(PP、比誘電率:2.2〜2.3)から選ばれる一種の高分子材料が好ましく、この中で、耐電圧が高いという理由からポリブタジエンがより好ましい。
導体層7は、例えば、誘電体フィルム5の上面側および下面側において互いに同一の形状及び大きさとされており、また、厚さが概ね一定の平板状(フィルム状)に形成されている。導体層7の平面形状は適宜に設定されてよいが、長方形状の誘電体フィルム5の表面において、導体層7の有効面積を高められるという理由から、誘電体フィルム5に対して相似形であるものがよく、例えば長方形状であることが望ましい。導体層7は、その積層方向において交互に、1対の外部電極3の対向方向において互いにずれて配置されている。そして、誘電体フィルム5の上面側および下面側に配置された複数の導体層7は、その積層方向において交互に、1対の外部電極3の一方又は他方に、平面形状の矩形の1辺(縁部)が接続されている。導体層7は、例えば、Al若しくはAl−Zn合金等の金属により形成されている。
次に、本実施形態のフィルムコンデンサの製造方法を説明する。
まず、例えば、平均粒径が30〜500nmのセラミック粒子11を準備する。次に、このセラミック粒子11を所定の配合比で配合するとともに溶剤および溶融状態の樹脂9に分散させてスラリーを調製する。このとき、セラミック粒子11の配合比率の異なるスラリーを別々に調製する。セラミック粒子1の配合比(体積比)は、第1の領域5Aとなるスラリーでは40〜60体積%、第2の領域5Bとなるスラリーでは0〜20体積%であることが望ましい。
溶剤は、例えばメタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルアセトアミド、又は、これらから選択された2種以上の混合物を含んだものを用いるのが良い。
次に、図2に示すように、セラミック粒子11の含有量の異なるスラリーをダイヘッド21と呼ばれる容器に注入し、ダイコータ法によりキャリアフィルム23上に塗布してシート25に成形し、乾燥させる。このとき、ダイヘッド21はセラミック粒子11の含有量の異なる複数のスラリーを分けて溜めておけるように3分割(図2の21A、21B、21C)されており、成形時には、図2に示しているように、セラミック粒子11の含有量の異なるシートが並列に成形されてくる。こうして本実施形態のフィルムコンデンサを構成する誘電体フィルム5を形成することができる。図2の破線の枠で囲った部分が本実施形態のフィルムコンデンサの誘電体フィルム5となる部分であるが、この場合、シート25の幅方向(図2において、シート25の進行方向とは垂直な方向に向いた矢印の方向)がフィルムコンデンサの対向する外部電極3の方向となる。なお、キャリアフィルム23は、樹脂等の適宜な材料により形成されていてよいが、耐熱性、機械的強度及びコストの観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いるのが良い。
次に、作製した誘電体フィルム5の両面に蒸着法等の物理的製法により導体層7を形成し、さらにその上面および下面のうち少なくとも一方に誘電体フィルム5を貼り付けて加熱加圧してコンデンサ本体1を形成する。
次に、コンデンサ本体1の導体層7が露出した端面に、亜鉛などの金属を溶射等により付着させて外部電極9を形成する。以上の工程により作製されたフィルムコンデンサは、誘電体フィルム5がセラミック粒子の含有量の異なる第1の領域5Aおよび第2の領域5Bを有しており、第2の領域5Bは第1の領域5Aよりもセラミック粒子11の含有量が少なく、かつ第1の領域5Aよりも幅wの狭い帯状を為しているとともに、第2の領域5Bが第1の領域5Aを一対の外部電極の方向に分断するように配置された構成となっており、これにより導体層7中に静電容量の発現に寄与しない非蒸着スリットの部分を設けることなく、誘電体フィルム5が短絡した場合でも発炎や発火を抑制することができるフィルムコンデンサを得ることができる。
実施形態の誘電体フィルムについて、具体的な材料の選択及び寸法の設定等を行い、実施例に係る誘電体を作製し、耐電圧試験を実施した。具体的には、以下のとおりである。
まず、以下のシリカ粒子と樹脂とを用意した。セラミック粒子としては平均粒径が100nmのシリカ粒子を用いた。樹脂としては、ポリブタジエン(分子量:Mw=5000〜7000、Mn=2500〜3500)を用いた。
上記のシリカ粒子をポリブタジエンおよびMEK(メチルエチルケトン)中に分散させて、セラミック粒子の含有量の異なるスラリーを調製した。
この後、上記スラリーをダイコータを用いて離形処理されたPETフィルム上に塗布してシート状に成形し、110℃で脱溶剤を行った後、150〜200℃の温度で熱処理を行って、平均厚みの異なる誘電体フィルムを作製した。このときダイヘッドは図2に示したようにスラリーを分けて溜めることのできる構造のものを用いた。このとき第2の領域となる部分の幅は170μmとした。
次に、誘電体フィルムの両面に真空蒸着法により平均厚みが75nmの導体層を形成した。次に、この導体層の上面および下面に厚みが30μmの誘電体フィルムを貼り付けて成形体を作製した。この成形体の対向する端面には上下交互に導体層が露出していた。こうして形成された誘電体フィルムの平均厚みは表1に示すように4〜9μmであった。次に、この導体層が露出した端面に亜鉛(Zn)を溶射法により吹き付けて外部電極を形成した。作製したフィルムコンデンサのサイズは主面の面積が7mm、5mm、厚みが約70μmであった。導体層の面積は6mm×4mmであった。
次に、作製したフィルムコンデンサについて、以下の評価を行った。まず、作製したフィルムコンデンサについて耐電圧を測定した。この場合、フィルムコンデンサの外部電極間に商用周波数(60Hz)、毎秒100Vの昇圧速度にて電圧を印加し、漏れ電流値が1mAを超えた瞬間の電圧値から求めた。
また、作製したフィルムコンデンサの試料に対して、高電圧を印加する方法で誘電体フィルムの損傷の状態を評価した。このときの最大電圧を表1に示した。電圧の印加時間は60秒とした。
静電容量は周波数1KHz、入力信号レベル1.0Vrmsの測定条件にて測定した。静電容量は高電圧を印加して損傷の程度を評価する前後で測定し、高電圧を印加していない状態で測定した静電容量に対する、高電圧を印加した後に測定した静電容量の比として求めた。
第1の領域および第2の領域の熱拡散距離は作製した誘電体フィルムを構成する樹脂(ポリブタジエン)およびシリカ粒子の物性値を基に上述した式により算出した。このとき樹脂の熱伝導率は0.19(W/m・K)、密度は1.15(g/cm)、比熱は1670(J/kg・K)とし、セラミック粒子の熱伝導率は1.35(W/m・K)、密度は2.21(kg/m)、比熱は710(J/kg・K)とした。
なお、試料No.12は、第2の領域に含まれるシリカ粒子の平均粒径を43μm、第1の領域に含まれるシリカ粒子の平均粒径を100μmとしたものである。この試料では第1の領域に含まれるセラミック粒子は直接接触してネック部を形成している部分が見られたが、第2の領域に含まれるセラミック粒子が樹脂を介して存在している状態であり、セラミック粒子同士が直接接触していなかった。また、他の試料(試料No.1〜8、10〜12)はいずれも平均粒径が100nmのシリカ粒子を用いたものであるが、この場合には、シリカ粒子がネック部を形成した箇所が認められた。
また、比較例として、従来技術として示した特許文献1の図1に示されたパターンの導体層を有するフィルムコンデンサを作製し、同様の評価を行った(試料No.13)。この場合、サイズおよび層構成は上記した本発明の試料と同じとし導体層のパターンだけ変えた。
表1、2の結果から明らかなように、試料No.1〜8、11および12では、フィルムコンデンサの静電容量が導体層の有効面積と誘電体フィルムの比誘電率、厚みから見積もられる設計値に相当する値であり、また、耐電圧よりも高い電圧を印加した場合にも第2の領域の導体層が飛散しただけであり、大きな損傷は認められなかった。
また、第2の領域の位置を対向する一対の前記外部電極の方向において中央部に配置し
た試料(試料No.1〜8および12)では、静電容量の低下が−65%以下となり、コンデンサ本体の端面から1.5mmの位置に配置させた試料No.11に比較して静電容量の低下が小さかった。
熱伝達距離Lを誘電体フィルムの平均厚みtよりも小さくした試料(試料No.1〜3、6、8、12)では、耐電圧よりも高い電圧を印加して損傷状態を確認した後においても、第2の領域に部分的に炭化した部分が認められたものの、静電容量の低下が−55%以下に止まっていた。
この中で、第2の領域に含まれるシリカ粒子の平均粒径を第1の領域に含まれるシリカ粒子の平均粒径よりも小さくした試料No.12では、高電圧を印加して損傷状態を確認した後においても静電容量の低下が−50%であった。
これに対し、誘電体フィルム内のシリカ粒子をほぼ均一な分布させた、いわゆる第2の領域を設けなかった試料(試料No.9、10)では、耐電圧よりも高い電圧を印加したときに、誘電体フィルムの全体に炭化が発生し、静電容量が得られなかった。
また、導体層の非蒸着スリットを設けた試料は、本発明の試料に対して、耐電圧は同等であったが静電容量が70%に止まっていた。
1・・・・コンデンサ本体
3・・・・外部電極
5・・・・誘電体フィルム
5A・・・第1の領域
5B・・・第2の領域
7・・・・導体層
7A・・・第1の領域を覆う導体層
7B・・・第2の領域を覆う導体層
9・・・・樹脂
11・・・セラミック粒子
21・・・ダイヘッド
23・・・キャリアフィルム

Claims (4)

  1. 樹脂中にセラミック粒子を有する長方形状を有してなる誘電体フィルムおよび該誘電体フィルムの主面を挟持するように設けられた導体層を有するコンデンサ本体と、該コンデンサ本体の対向する端面にて前記導体層と積層方向に交互に接続されている一対の外部電極と、を具備するフィルムコンデンサであって、
    前記誘電体フィルムは前記セラミック粒子の含有量の異なる第1の領域および第2の領域を有しており、前記第2の領域は前記第1の領域よりも前記セラミック粒子の含有量が少なく、かつ前記第1の領域よりも幅の狭い帯状を為しているとともに、前記第2の領域が前記第1の領域を一対の前記外部電極の方向に分断するように配置されていることを特徴とするフィルムコンデンサ。
  2. 前記第2の領域は、対向する一対の前記外部電極の方向において中央部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルムコンデンサ。
  3. 前記第2の領域に含まれるセラミック粒子の平均粒径が前記第1の領域に含まれるセラミック粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルムコンデンサ。
  4. 前記第2の領域の熱伝達係数αと、該第2の領域を覆っている前記導体層が溶断するのに必要な時間dとから得られる熱伝達距離Lを次式L=(α×d)1/2とし、前記誘電体フィルムの平均厚みをtとしたときに、t>Lの関係を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載のフィルムコンデンサ。
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