JP2013175579A - コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐電圧が高く、かつ誘電体フィルムの絶縁欠陥部で短絡が生じた場合にも、誘電体フィルムの損傷領域を小さくすることのできるコンデンサを提供する。
【解決手段】 誘電体フィルム1と、その誘電体フィルム1の両面に形成された電極層3とを備えているコンデンサであって、誘電体フィルム1は、樹脂5中に、平均粒径が30〜40nmのシリカ粒子7を30〜70体積%含有してなるとともに、シリカ粒子7が電極層3間をつなぐように連結されている。
【選択図】図1
【解決手段】 誘電体フィルム1と、その誘電体フィルム1の両面に形成された電極層3とを備えているコンデンサであって、誘電体フィルム1は、樹脂5中に、平均粒径が30〜40nmのシリカ粒子7を30〜70体積%含有してなるとともに、シリカ粒子7が電極層3間をつなぐように連結されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂中にセラミック粒子を含むフィルムを誘電体とするコンデンサに関する。
誘電体が2枚の電極板によって挟持された構成を有するコンデンサは、直流の電荷を蓄電し、充放電できる機能や交流(高周波)の電流を流し、両端電圧を一定に維持するという機能を有しており、従来より、ノイズ除去、デカンプリング、カップリング、電圧の平滑化等、用途に応じて多くの電気製品に適用されている。
コンデンサとしては、容量あたりのサイズの小さい積層型セラミックコンデンサ、静電容量当たりの体積が小さく安価なアルミ電解コンデンサ、温度特性に優れ、大容量化が可能なタンタルコンデンサおよび耐電圧範囲が広く、誘電損失が小さいフィルムコンデンサが知られている。
この中で、フィルムコンデンサは、許容電流が大きく、耐電圧が高くかつ自己修復機能を有するという利点から、近年、電磁障害防止用のコンデンサとして注目されている。
フィルムコンデンサは、例えば、ポリプロピレン樹脂をフィルム化した誘電体フィルムの表面に蒸着によって形成された金属膜を電極として有しており、このような構成により、誘電体フィルムの絶縁欠陥部で短絡が生じた場合にも、短絡のエネルギーで欠陥部周辺の金属膜が蒸発、飛散して絶縁化し、フィルムコンデンサの絶縁破壊を防止できるとされている(例えば、特許文献1を参照)。
ところが、実際には、短絡のエネルギーにより誘電体中の欠陥部周辺の金属膜が蒸発、飛散すると同時に、誘電体フィルム側も発熱による炭化が発生し、広い範囲で損傷してしまうという問題がある。
従って、本発明は、耐電圧が高く、かつ誘電体フィルムの絶縁欠陥部で短絡が生じた場合にも、誘電体フィルムの損傷領域を小さくすることのできるコンデンサを提供することを目的とする。
本発明のコンデンサは、誘電体フィルムと、該誘電体フィルムの両面に形成された電極層とを備えているコンデンサであって、前記誘電体フィルムは、樹脂中に、平均粒径が30〜40nmのシリカ粒子を30〜70体積%含有してなるとともに、前記シリカ粒子が前記電極層間をつなぐように連結されていることを特徴とする。
本発明によれば、耐電圧が高く、かつ誘電体フィルムの絶縁欠陥部で短絡が生じた場合にも、誘電体フィルムの損傷領域を小さくすることができる。
図1(a)は、本発明のコンデンサの一実施形態を示す断面模式図である。本実施形態のコンデンサは、誘電体フィルム1と、この誘電体フィルム1の上面および下面に形成された一対の電極層3とを備えたものである。ここで、誘電体フィルム1は、樹脂5中に、平均粒径が30〜40nmのシリカ粒子7を30〜70体積%含有しており、また、そのシリカ粒子7は電極層3間をつなぐように連結されている。
これにより耐電圧の高いコンデンサを得ることができる。また、本実施形態のコンデンサでは、誘電体フィルム1中において微粒のシリカ粒子7が連結するように存在しているために、電極層3間の誘電体フィルム1が短絡し、電流が流れた時などに発生する熱エネルギー等によって、誘電体フィルム1中のシリカ粒子7が熱的な影響を受けやすくなっており、近接したシリカ粒子7同士がネッキングしやすい状態にある。このため誘電体フィルム1の一方の構成材料である樹脂5の分解や燃焼を抑えることができる。これは樹脂5の分解に要するエネルギーを、シリカ粒子7同士をネッキングさせるためのエネルギーとして分散させることができるからであり、これにより樹脂5の損傷する範囲を小さくすることができる。
また、このような構成の誘電体フィルム1では、誘電体フィルム1が無機フィラーを含まない場合に比べて誘電損失を大きく低下させることができる。
これに対し、シリカ粒子7の平均粒径が40nmよりも大きく、例えば、100nm程度であると、シリカ粒子7の熱容量が大きくなることから、シリカ粒子7が熱的な影響を受けにくくなる。このため樹脂5の方が熱を受けやすくなり損傷する領域が大きくなってしまう。
また、樹脂5中に含まれるシリカ粒子7の割合が30体積%よりも低い場合には、シリカ粒子7間に多くの樹脂が存在するようになることから、シリカ粒子7同士のネッキングよりも先に樹脂5が熱的な影響を受けやすくなり、熱による分解や燃焼が発生しやすくなる。一方、樹脂5中に含まれるシリカ粒子5の割合が70体積%よりも高い場合には、空隙が多くなるために耐電圧が低下するおそれがある。
なお、シリカ粒子7の平均粒径が30nmよりも小さく、例えば、10nm程度になると、樹脂5と複合(混合)させて誘電体フィルム1を形成したときに、シリカ粒子7間に樹脂5が介在しやすくなるため、電極層3間においてシリカ粒子7が連結した構造の誘電体フィルム1を得ることが困難となる。
本発明において、シリカ粒子7が電極層3間をつなぐように連結されているというのは、シリカ粒子7が電極層3に接しつつ、上下の電極層3間において、複数のシリカ粒子7同士がそれらの表面の一部で接して連結されている状態をいう。この場合、電極層3およびシリカ粒子7が接している部位には樹脂が存在していないことが望ましい。
また、本実施形態のコンデンサを構成する誘電体フィルム1は、複数のシリカ粒子7同士が互いに結合して三次元マトリクス構造(三次元網目構造、骨格構造)を形成しているのがよく、シリカ粒子7はネック部7aを介して互いに結合していることが望ましい。こ
の場合、ネック部7aは後述する低い温度での加熱条件下で起こる物質の拡散によって形成されるものであり、シリカ粒子7同士が焼成されたセラミック粒子のように焼結された状態ではない。このため、誘電体フィルム1に対して、短絡した際に発生する熱エネルギーが加わった程度でもシリカ粒子7がネッキングしやすいのである。
の場合、ネック部7aは後述する低い温度での加熱条件下で起こる物質の拡散によって形成されるものであり、シリカ粒子7同士が焼成されたセラミック粒子のように焼結された状態ではない。このため、誘電体フィルム1に対して、短絡した際に発生する熱エネルギーが加わった程度でもシリカ粒子7がネッキングしやすいのである。
樹脂5は複数のシリカ粒子7の骨格構造の空隙を埋めるように充填されており、これにより誘電体フィルム1の耐電圧を高めることができる。この場合、シリカ粒子の含有量としては40〜50体積%であるのがよい。
樹脂5としては、例えば、ポリブタジエン(比誘電率:2.3〜3.6)、エポキシ(比誘電率:2.5〜6)、ポリイミド(比誘電率:3.55)、シアノレジン(比誘電率:15〜20)、ポリビニルブチラール(PVB、比誘電率:3.9〜4)、フッ素樹脂(比誘電率:4〜8)、アクリル樹脂(比誘電率:2.7〜4.5)、ポリエチレンテレフタラート(PET、比誘電率:2.9〜3)、およびポリプロピレン(PP、比誘電率:2.2〜2.3)から選ばれる一種の高分子材料が好ましく、この中で、耐電圧が高いという理由からポリブタジエンがより好ましい。
また、電極層3の材料としては、例えば、AlもしくはAl−Zn合金を適用するのがよい。
シリカ粒子7の平均粒径は、例えば、誘電体フィルム1の研磨面もしくは破断面をSEM(Scanning Electron Microscope)によって適宜な倍率(例えば30000倍)で撮影して得られるSEI(二次電子像)及び/又はBEI(反射電子像)の写真を画像解析することにより測定できる。例えば、得られた写真上にシリカ粒子7が30〜100個ほど入る円を描き、各粒子の輪郭から面積を求め、その面積と同等の面積を有する円の直径(円相当径)として算出(測定)し、平均値を求める。
シリカ粒子7の体積%は、例えば、上述のSEI及び/又はBEIにおいて、画像解析装置等を用いて誘電体フィルム1に占める各シリカ粒子7の面積比率(面積%)を複数箇所(例えば10箇所)の断面にて測定し、その測定値の平均値を算出して含有量(体積%)とみなすことにより求める。
次に、上述の誘電体フィルム1を複数層積層して形成した積層型のコンデンサについて説明する。図2(a)は、積層型のコンデンサの外観を示す斜視図、(b)は図2(a)のA−A線における断面図である。図2(b)において破線で囲まれた部分(E部分)が図1に示した、誘電体フィルム1の両面に電極層3を有する単層型のコンデンサに相当する。図2(a)(b)にはリード付きのコンデンサを一例として示しているが、リード付きのコンデンサだけではなく、リードを備えていないコンデンサや誘電体フィルム1と電極層3とが巻回された構造のコンデンサにも適用できることはいうまでもない。
本実施形態のコンデンサは、図1に示した単層型のコンデンサの他、図2に示すような積層型にも成り得る。ここで、上記した誘電体フィルム1が下記の積層型のコンデンサにおいて誘電体層15として適用される。これにより耐電圧の高い積層型のコンデンサを得ることができる。また、内部電極層3間の誘電体層15が短絡したとしても、誘電体層15中のシリカ粒子7が熱的な影響を受けやすく、近接したシリカ粒子7同士がネッキングしやすいことから、誘電体層15の一方の構成材料である樹脂5の分解や燃焼を抑えることができ、これにより誘電体層15が多層に積層されたコンデンサであっても誘電体層15の損傷を低減することができる。
本実施形態のコンデンサは、図2(a)(b)に示すように、リード付きコンデンサと
して構成されており、本体部13と、本体部13から延出し、電圧が印加される1対のリード14とを有している。本体部13は、例えば、概ね直方体状に形成されており、1対のリード14は、例えば、直方体の一の面から延出している。本体部13の大きさは適宜に設定されてよいが、例えば、1辺が3〜10数ミリである。
して構成されており、本体部13と、本体部13から延出し、電圧が印加される1対のリード14とを有している。本体部13は、例えば、概ね直方体状に形成されており、1対のリード14は、例えば、直方体の一の面から延出している。本体部13の大きさは適宜に設定されてよいが、例えば、1辺が3〜10数ミリである。
本体部13は、例えば、積層型のコンデンサとして構成されており、交互に積層された複数の誘電体層15および複数の内部電極層17を有している。また、本体部13は、複数の内部電極層17に接続された1対の外部電極19と、誘電体層15および外部電極19等を覆う外装部21とを有している。
複数の誘電体層15及び複数の内部電極層17は、要求される容量等に応じて適宜な数で積層されている。図2では、内部電極層17が3層となるように積層されているが、積層数はこれに限定されるものではなく、例えば、100〜1000層であってもよい。
複数の誘電体層15は、例えば、互いに同一の形状及び大きさとされており、各誘電体層15は、厚さが概ね一定の平板状(フィルム状)に形成されている。誘電体層15の厚さは、印加される電圧及び要求される容量等に応じて適宜に設定されてよいが、例えば、5〜20μmである。誘電体層15の平面形状は、適宜に設定されてよいが、例えば矩形である。
複数の内部電極層17は、例えば、互いに同一の形状及び大きさとされており、各内部電極層17は、厚さが概ね一定の平板状(フィルム状)に形成されている。内部電極層17の平面形状は適宜に設定されてよいが、例えば矩形である。複数の内部電極層17は、その積層方向において交互に、1対の外部電極19の対向方向において互いにずれて配置されている。そして、複数の内部電極層17は、その積層方向において交互に、1対の外部電極9の一方又は他方に、平面形状の矩形の1辺(縁部)が接続されている。この場合も、内部電極層17は、例えば、Al若しくはAl−Zn合金等の金属により形成されている。
外部電極19は、複数の誘電体層15および複数の内部電極層17によって構成された積層体18の側面を覆うように形成されている。外部電極19は、例えば、概ね厚さが一定の板状に形成されている。外部電極19の平面形状は、例えば、積層体18の側面全体を覆う形状(本実施形態では矩形)とされている。外部電極19は、例えば、Sn、Zn若しくはSn−Zn合金等の金属により形成されている。
外装部21は、積層体18および1対の外部電極19の全体を覆っており、本体部13の外面全体を構成している。外装部21は、樹脂等の絶縁性材料により形成されている。樹脂は、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂である。
リード14は、線材からなり、一端側が外部電極19の外側面に接続されており、他端側が外装部21から延出している。リード14は、例えば、Fe、Cu若しくはSn等の金属により形成されている。
次に、本実施形態のコンデンサを製造する方法について説明する。まず、平均粒径が30〜40nmのシリカ粒子7を所定の配合比で配合するとともに溶剤および溶融状態の樹脂に分散させてスラリーを調製する。シリカ粒子7と樹脂5との配合比(体積比)は、例えば、3:7〜7:3である。
ここで溶剤としては、例えば、メタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルアセトアミド、又は、これらから選択された2種以上の混合物を含んだ有機溶剤を用いるのがよい。
イソブチルケトン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルアセトアミド、又は、これらから選択された2種以上の混合物を含んだ有機溶剤を用いるのがよい。
次に、調製したスラリーをキャリアフィルム上に塗布して、ドクターブレード法、ダイコータ法およびナイフコータ法から選ばれる一種のシート成形法を用いてシート状に成形し、脱溶剤を行った後、樹脂5が硬化する温度で熱処理を行って誘電体フィルム1を作製する。この場合、樹脂5を硬化させる際に加熱と同時に加圧処理を行う。これにより誘電体フィルム1の表面にシリカ粒子7が露出しつつ、誘電体フィルム1中のシリカ粒子7同士が接着し連結した誘電体フィルム1を得ることができる。
キャリアフィルムは、樹脂等の適宜な材料により形成されていてよいが、耐熱性、機械的強度及びコストの観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)により形成されていることが好ましい。また、誘電体フィルム1の剥離性を高める上で、シリコーン樹脂やフッ素樹脂等が適宜コーティングされていてもよい。
次に、金属を誘電体フィルム1上に蒸着することによって電極層3を形成する。こうして、図1に示すような誘電体フィルム1の両面に電極層3を有するコンデンサを得ることができる。
なお、図2(a)(b)に示すような積層型のコンデンサを製造する場合には、さらに以下のような加工を行う。まず、誘電体フィルム1の表面にメタルマスクを介してパターニングされた内部電極層17を形成する。次に、この内部電極層17を有する誘電体フィルム1を所望の枚数積層し、内部電極層17が端面に露出するように切断することによって積層型のコンデンサの本体部13を得る。次に、本体部13の内部電極層17が露出した端面に外部電極9を形成する。外部電極9は、例えば、誘電体層15および内部電極層17からなる積層体18の側面に金属を溶射することによって形成する。さらに、外部電極9の外層にSn等のめっきを施してもよい。次に、外部電極9に溶接等によってリード14を接合し、次いで、外部電極9およびリード14を含む積層体18の表面に外装部21を形成する。
本実施形態の誘電体フィルムについて、具体的な材料の選択及び寸法の設定等を行い、実施例に係る誘電体フィルムを作製し、以下の評価を行った。
まず、表1に示す平均粒径を有するシリカ粒子と、樹脂としてポリブタジエン(分子量:Mw=5000〜7000、Mn=2500〜3500)を準備した。表1には平均粒径が30nm以上のシリカ粒子を用いたときの試料を示しているが、平均粒径が約10nmと見積もられるシリカ粒子を適用した場合には、シリカ粒子間に樹脂が介在し、両表面間でシリカ粒子7が連結した構造の誘電体フィルムを得ることができなかった。
次に、上記のシリカ粒子をポリブタジエン中に分散させてスラリーを調製した。場合によってはMEK(メチルエチルケトン)等の溶剤を希釈剤として加えた。
この後、上記スラリーをコーターを用いてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布してシート状に成形し、110℃で脱溶剤を行った後、150〜200℃の温度で熱処理を行って厚み10μmの誘電体フィルムを作製した。この場合、熱処理を行う際に加圧処理を行った。次に、真空蒸着法により誘電体フィルムの両面に平均厚みが75nmのAlの電極層を形成した。
次に、得られた誘電体フィルムについて、耐電圧、比誘電率および誘電損失を測定し、耐電圧を測定した試料については絶縁破壊後の損傷の程度を評価した。また、誘電体フィルムに含まれるシリカ粒子の平均粒径と体積割合を求めた。
耐電圧は、誘電体フィルムの電極層間に商用周波数(60Hz)、毎秒100Vの昇圧速度で電圧を印加し、漏れ電流値が1.0mAを越えた瞬間の電圧値から求めた。
比誘電率および誘電損失は、LCRメーターを使用して測定した。具体的には、作製した誘電体フィルムの電極層間の短絡の有無を確認した後、LCRメーターにより周波数1KHz、入力信号レベル1.0Vrmsの測定条件にて、誘電体フィルムの静電容量と誘電損失を測定した後、静電容量、電極層の有効面積(誘電体フィルムの両面で電極層が重なった面積)および誘電体フィルムの厚みから比誘電率を算出した。
絶縁破壊後の損傷領域は、マイクロスコープにて確認し、画像解析より誘電体フィルムの表面における損傷領域の直径(損傷領域を異なる3方向から求めた値の平均値)を算出した。
誘電体フィルムに含まれるシリカ粒子の平均粒径と体積割合は、以下のようにして分析用の試料を作製し、評価した。まず、誘電体フィルムを樹脂埋めした後、研磨し、図1に示すような断面を露出させた試料を作製した。次に、約30000倍の倍率でSEMによりSEIおよびBEIの写真を撮り、このうち縦横の長さが約10μm×約15μmの領域を選択し、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて、写真上にシリカ粒子が50個ほど入る円を描き、各粒子の輪郭から面積を求め、その面積と同等の面積を有する円の直径(円相当径)として算出(測定)し、平均値を求めた。
シリカ粒子の体積%は、上記SEIおよびBEIの写真において、縦横の長さが約1μm×約2μmの領域を10箇所選定し、画像解析装置を用いて誘電体フィルムに占めるシリカ粒子の面積比率(面積%)を測定し、誘電体フィルムの組織が等方的であるものとして、その測定値の平均値を算出して含有量(体積%)とみなすことにより求めた。このとき空隙の体積は除くようにした。作製した誘電体フィルム中に含まれるシリカ粒子の平均粒径は表1に示す値に一致した。また、シリカ粒子の体積割合も表1に示す調合組成に一致するものであった。
表1の結果から明らかなように、平均粒径が30〜40nmのシリカ粒子を30〜70体積%含有させた誘電体フィルムの試料(試料No.3〜6および9〜12)では、損傷領域の直径が120μm以下であり、誘電損失が0.98以下、耐電圧が211kV/mm以上であった。
この中で、シリカ粒子の含有量を40〜50体積%とした試料No.4、5、10および11では、損傷領域の直径が110μm以下であり、誘電損失が0.90以下、耐電圧が252kV/mm以上であった。
これに対し、シリカ粒子を含まないか(試料No.1)、シリカ粒子の体積割合が30〜70体積%をはずれるか(試料No.2、7、8、13)、または、平均粒径が100nmのシリカ粒子を用いた場合(試料No.14)には、損傷領域の直径が120μm以下、誘電損失が0.98以下、耐電圧が211kV/mm以上のうちのいずれかの特性を満たさないものであった。
1・・・・・誘電体フィルム
3・・・・・電極層
5・・・・・樹脂
7・・・・・シリカ粒子
7a・・・・ネック部
9・・・・・外部電極
13・・・・本体部
14・・・・リード
15・・・・誘電体層
17・・・・内部電極層
18・・・・積層体
19・・・・外部電極
3・・・・・電極層
5・・・・・樹脂
7・・・・・シリカ粒子
7a・・・・ネック部
9・・・・・外部電極
13・・・・本体部
14・・・・リード
15・・・・誘電体層
17・・・・内部電極層
18・・・・積層体
19・・・・外部電極
Claims (2)
- 誘電体フィルムと、該誘電体フィルムの両面に形成された電極層とを備えているコンデンサであって、前記誘電体フィルムは、樹脂中に、平均粒径が30〜40nmのシリカ粒子を30〜70体積%含有してなるとともに、前記シリカ粒子が前記電極層間をつなぐように連結されていることを特徴とするコンデンサ。
- 前記シリカ粒子の含有量が40〜50体積%であることを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ。
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