以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明のタッチセンサユニットを備えた車両の側面図を、図2は車両に設けられる自動開閉装置の構造を説明する説明図を、図3はセンサホルダに保持されたタッチセンサを示す断面図を、図4はタッチセンサの詳細構造を説明する断面斜視図を、図5は実施の形態1に係るタッチセンサユニットの回路図をそれぞれ示している。
図1に示すように、車両10は、ボンネットおよびキャビン(詳細図示せず)を備えた所謂ミニバンタイプの乗用車である。車両10を形成する車体11の側部12には、開口部13が設けられている。開口部13は、図中太線矢印に示すように、車体11の前後方向にスライドする開閉体としてのスライドドア14によって開閉される。
図2に示すように、スライドドア14にはローラアッシー15が設けられている。ローラアッシー15は、車体11の側部12に固定されたガイドレール16に案内され、これによりスライドドア14は、図中実線で示す「全開位置」と図中二点鎖線で示す「全閉位置」との間でスライドする。また、ガイドレール16の車体前方側には、キャビン内側(図中上側)に湾曲した湾曲部16aが設けられている。これにより、ローラアッシー15が湾曲部16aに案内され、スライドドア14は、車体11の側部12に対して同一面となるようキャビン内側に引き込まれて閉じられる。
ここで、ローラアッシー15は、図示した箇所以外にスライドドア14の前端寄りの上下部分にもそれぞれ設けられ、これらに対応して車体11の開口部13の上下部分にもそれぞれガイドレールが設けられている。このように、スライドドア14は、合計3箇所で車体11に支持されており、したがって、スライドドア14は安定したスライド動作が可能となっている。
図2に示すように、車体11にはスライドドア14を自動で開閉させる自動開閉装置20が搭載されている。自動開閉装置20は、ガイドレール16の車体前後方向の略中央部に隣接して車体11に固定される駆動ユニット21を備えている。駆動ユニット21からは、車体前方側と後方側とに向けてケーブル22,23がそれぞれ引き出されている。
駆動ユニット21から車体前方側に引き出されたケーブル22は、ガイドレール16の前端部分に設けられた反転プーリ24を介して車体前方側からローラアッシー15に接続されている。一方、駆動ユニット21から車体後方側に引き出されたケーブル23は、ガイドレール16の後端部分に設けられた反転プーリ25を介して車体後方側からローラアッシー15に接続されている。
そして、駆動ユニット21によりケーブル22,23が駆動されると、スライドドア14は、車体前方側または車体後方側にあるケーブル22,23に引っ張られて、自動的に開閉動作される。つまり、自動開閉装置20は、所謂ケーブル式の自動開閉装置となっている。
駆動ユニット21は減速機構付きの電動モータであって、その駆動源には、例えば、ブラシ付きの直流モータやブラシレスの直流モータ等、正逆両方向に回転し得るものが用いられる。駆動ユニット21の内部には、各ケーブル22,23が巻き掛けられたドラム(図示せず)が収容されている。これにより、駆動ユニット21が正方向に駆動されると、ドラムが一方向に回転してケーブル22がドラムに巻き取られ、スライドドア14がケーブル22に引っ張られて閉じる。これとは逆に、駆動ユニット21が逆方向に駆動されると、ドラムが他方向に回転してケーブル23がドラムに巻き取られ、スライドドア14がケーブル23に引っ張られて開く。
駆動ユニット21には、当該駆動ユニット21の回転駆動を制御するコントローラ30が、接続ケーブル31を介して接続されている。コントローラ30は、CPUやROM,RAMなどのメモリ等(何れも図示せず)を備え、さらには、後述する検出抵抗部70(図5参照)からの電流値信号に基づいて、障害物DA(図1参照)の接触状態やタッチセンサ50(図5参照)の断線状態(故障)等を判断する判断回路32を備えている。
スライドドア14には、操作者によって操作されるドアハンドル14aが設けられている。ドアハンドル14aは、スライドドア14を開閉させる開閉スイッチとしての機能を備えている。操作者によってドアハンドル14aが操作されると、当該ドアハンドル14aからコントローラ30に開閉信号が出力される。そして、コントローラ30は、開閉信号等の入力に基づいて駆動ユニット21を回転駆動させる。
例えば、ドアハンドル14aが操作され、コントローラ30にスライドドア14を閉じる旨の指令信号(閉動作信号)が入力されると、コントローラ30によって駆動ユニット21が正方向に駆動される。よって、スライドドア14は閉じる。これとは逆に、ドアハンドル14aが操作されて、コントローラ30にスライドドア14を開く旨の指令信号(開動作信号)が入力されると、コントローラ30によって駆動ユニット21が逆方向に駆動される。よって、スライドドア14は開く。
スライドドア14の車体前方側、つまりスライドドア14が閉じる際に進行方向側となる端部には、センサ部材40が取り付けられている。このセンサ部材40は、スライドドア14と障害物DAとの接触を検出するようになっている。
図3に示すように、センサ部材40は、可撓性を有する絶縁ゴム材等により形成されたセンサホルダ41を備えている。センサホルダ41は、断面が略U字形状に形成された本体部42を有し、本体部42の内部には、当該本体部42の剛性を高めるための芯材43がインサート(埋設)されている。芯材43は鋼材によって断面が略U字形状に形成されている。本体部42は、スライドドア14に設けられたブラケット部14bを挟むようにして固定されている。ここで、本体部42の内側には、一対の抜け止め片42aが設けられ、これにより、本体部42のブラケット部14bからの脱落が防止される。
センサホルダ41のブラケット部14b側とは反対側(図中上側)には、スライドドア14の端部よりも車体前方側(図中上側)に突出された収容部44が設けられている。収容部44は、断面が略円形形状に形成され、本体部42に一体成形されている。収容部44は、車体11の上下方向に貫通するよう中空に形成され、当該収容部44の内部には、長尺に形成されたタッチセンサ50が収容されている。ここで、収容部44に収容されるタッチセンサ50は、本発明におけるセンサ部を構成しており、当該タッチセンサ50は、センサ部材40の組み立て時において、収容部44に差し込むようにして挿入される。
なお、本体部42の収容部44側とは反対側(図中下側)には、タッチセンサ50のリード線部59(図2,図5参照)を収容するリード線収容部45が一体に設けられている。また、本体部42の抜け止め片42a側とは反対側(図中左側)には、スライドドア14が閉じた状態のもとで、フロントドアやセンターピラー(図示せず)に当接して、開口部13(図1参照)を密閉するシール片46が一体に設けられている。
図4に示すように、タッチセンサ50は、断面が略円形形状に形成された中空の被覆材51を備えている。被覆材51の中心部分には、断面が略円形形状に形成されたスペーサ部材52が配置され、当該スペーサ部材52は、被覆材51の延在方向に真っ直ぐに延ばされている。また、被覆材51の内部で、かつスペーサ部材52の周囲には、断面が略円形形状に形成された4本の電極53,54,55,56が螺旋状に設けられている。これらの電極53,54,55,56は、それぞれ等間隔となるようスペーサ部材52の周囲に巻かれている。
ここで、スペーサ部材52および各電極53,54,55,56は、被覆材51により保持され、4本の電極53,54,55,56は、スペーサ部材52の周囲に接着剤(図示せず)により固定されている。したがって、接着剤による固定に限らず、スペーサ部材52の周囲に4本の螺旋溝(図示せず)を形成し、各螺旋溝の内部に各電極53,54,55,56を配置するようにしても良い。ただし、この場合における各螺旋溝の深さ寸法は、被覆材51に外力F(図5参照)が負荷された場合において、隣り合う電極同士が容易に接触可能なように、なるべく浅い深さ寸法とするのが望ましい。
被覆材51は、電流が流れない絶縁材により可撓性を有するよう管状に形成され、本発明における管状体を構成している。被覆材51の半径方向の厚み寸法は、被覆材51の円周方向の全ての位置において同一の厚み寸法となっている。これにより、タッチセンサ50の全方位からの感度が略同一となっている。そして、被覆材51に半径方向から外力Fを負荷すると、当該被覆材51は弾性変形される。一方、被覆材51に負荷される外力Fを開放(除去)すると、被覆材51は元の形状に復元される。つまり、被覆材51は復元性を有している。なお、図3,図4に示す状態は、被覆材51に外力Fが負荷されていない状態を示している。
被覆材51の材料としては、復元性ゴムや復元性プラスチック等を用いることができる。復元性ゴムには、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム等が含まれる。復元性プラスチックには、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンメチルメタクリレート共重合体、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、オレフィン系あるいはスチレン系の熱可塑性エラストマー等が含まれる。
スペーサ部材52は、被覆材51が弾性変形されていない状態のもとで、各電極53,54,55,56同士を、非接触の状態に保持する機能を備えている。スペーサ部材52は、金属材料により形成された芯材52aと、当該芯材52aの周囲を被覆する被覆層52bとを備えている。芯材52aは、スペーサ部材52の剛性を確保して、容易には延び縮みしないようにするためのものである。被覆層52bは、外力Fが負荷されると弾性変形し、外力Fが除去されると元の形状に復元されるようになっている。なお、被覆層52bの材料としては、被覆材51と同じ材料、つまり復元性を備えた絶縁材料を用いることができる。
4本の電極53,54,55,56は、それぞれ同じ外径に設定されており、何れも導電性および可撓性を有している。各電極53,54,55,56は、銅等の導電性に優れた導線53a,54a,55a,56a、およびこれらの導線53a,54a,55a,56aの外周を被覆する外周層53b,54b,55b,56bにより構成されている。
各導線53a,54a,55a,56aは、図4に示すように複数の金属細線を撚り合わせて形成され、これにより各電極53,54,55,56の弾性変形に対して所定の耐久性を得ている。ただし、各導線53a,54a,55a,56aの材料としては、銅等に限らず他の導電材料であっても良く、さらには複数の金属細線を撚り合わせずに1本の導線としても良い。
各外周層53b,54b,55b,56bは、被覆材51と同じ材料の復元性ゴムや復元性プラスチック等を用いることができる。ただし、各外周層53b,54b,55b,56bにおいては、導電性を持たせるために、カーボンブラック等の導電性充填剤(図示せず)が所定量配合されている。
図5に示すタッチセンサ50は、電気的な接続関係を明確にすべく簡略化しており、例えばスペーサ部材52(図4参照)の図示を省略している。また、4本の電極53,54,55,56を直線状に図示するとともに、網掛けを施している。
タッチセンサ50は、4本の電極53,54,55,56のうちの、対向配置された2本の電極53,55を直列に接続してなる第1電極接続体57と、他の対向配置された2本の電極54,56を直列に接続してなる第2電極接続体58とを備えている。そして、図5に示すように、タッチセンサ50の長手方向両端には、所定の端末処理が施されている。
第1電極接続体57における各電極53,55の長手方向一側(図中上側)には、第1接続導線部57aが設けられている。第1接続導線部57aは、各電極53,55の各導線53a,55a(図4参照)を電気的に接続することで形成され、第1接続導線部57aが配置される部分には、各外周層53b,55b(図4参照)が設けられていない。このようにして、第1電極接続体57は略U字形状に折り返され、各電極53,55の長手方向一側には、第1電極接続体57の折り返し部となる第1接続導線部57aのみが設けられる。
また、第2電極接続体58における各電極54,56の長手方向一側には、第2接続導線部58aが設けられている。第2接続導線部58aは、各電極54,56の各導線54a,56a(図4参照)を電気的に接続することで形成され、第2接続導線部58aが配置される部分には、各外周層54b,56b(図4参照)が設けられていない。このようにして、第2電極接続体58は略U字形状に折り返され、各電極54,56の長手方向一側には、第2電極接続体58の折り返し部となる第2接続導線部58aのみが設けられる。
ここで、第1接続導線部57aおよび第2接続導線部58aは、タッチセンサ50の長手方向一側において、互いに電気的に接触すること無く略直角に交差されている。つまり、各電極53,54,55,56は、被覆材51の円周方向に沿って略90度間隔で設けられている。そして、被覆材51に半径方向から外力Fを負荷することで、これに伴い、隣り合う電極同士が互いに接触(短絡)するようになっている。具体的には、電極53と電極54,電極54と電極55,電極55と電極56,電極56と電極53の「4パターン」の短絡をするよう構成されている。
このように、タッチセンサ50の長手方向一側には、検出抵抗等の電気部品が設けられていない。したがって、タッチセンサ50の長手方向一側を先端側としたときに、電気部品の脱落等を気にすること無く、センサホルダ41の収容部44(図3参照)に容易に挿通できるようになっている。
第1電極接続体57における各電極53,55の長手方向他側(図中下側)には、第1プラス側導線57bと第1マイナス側導線57cとが設けられている。第1プラス側導線57bは、電極53に対応して設けられ、電極53の導線53a(図4参照)に相当している。一方、第1マイナス側導線57cは、電極55に対応して設けられ、電極55の導線55a(図4参照)に相当している。
また、第2電極接続体58における各電極54,56の長手方向他側には、第2プラス側導線58bと第2マイナス側導線58cとが設けられている。第2プラス側導線58bは、電極54に対応して設けられ、電極54の導線54a(図4参照)に相当している。一方、第2マイナス側導線58cは、電極56に対応して設けられ、電極56の導線56a(図4参照)に相当している。
ここで、第1プラス側導線57b,第1マイナス側導線57c,第2プラス側導線58b,第2マイナス側導線58cは、タッチセンサ50の長手方向他側において、互いに電気的に接触すること無く集約されている。そして、これらの導線57b,57c,58b,58cが集約された部分はリード線部59となっており、当該リード線部59の端部には、コネクタ部材60が設けられている。
コネクタ部材60は、図5に示すように、並列に設けられた第1電極接続体57および第2電極接続体58のそれぞれの両端、つまり各導線57b,57c,58b,58cを、検出抵抗部70のセンサ側接続部70bに接続させるためのものである。コネクタ部材60は、センサ側接続部70bに対して、図示しない係合爪等によって互いに強固に接続され、この接続作業は、例えば、車体メーカにおいて車体11(図2参照)の内部で行われる。
ここで、コネクタ部材60としては、各導線57b,57c,58b,58cの周囲を囲うように設けられる略箱形状に形成されたコネクタ部材や、各導線57b,57c,58b,58cが一側面あるいは他側面にはんだ接続されたプリント基板状のコネクタ部材を採用することができる。
このように、タッチセンサ50の長手方向一側および他側には、検出抵抗等の電気部品を設けていないので、収容部44の長手方向一側および他側が弾性変形されたとしても、電気部品が外れる等の不具合を発生することが無い。したがって、このような電気部品の「外れ(脱落)」を防止するための対策、例えば、電気部品を保護する保護カバーを設ける等の対策が不要となる。
検出抵抗部70は、タッチセンサ50とコントローラ30との間に設けられ、コネクタ部材60と判断回路32とを電気的に接続している。検出抵抗部70は、タッチセンサ50の状態(短絡や断線等)を示す信号である電流値信号を、コントローラ30の判断回路32に送出するようになっている。ここで、タッチセンサ50および検出抵抗部70によって、本発明におけるタッチセンサユニットを構成している。
検出抵抗部70は、判断回路32とコネクタ部材60とを電気的に接続するプラス側配線71およびマイナス側配線72を有している。プラス側配線71およびマイナス側配線72の一端側(図中右側)は、コントローラ側接続部70aを介して判断回路32に接続されている。
一方、プラス側配線71およびマイナス側配線72の他端側(図中左側)には、プラス側分岐配線71aおよびマイナス側分岐配線72aが設けられている。そして、プラス側配線71およびマイナス側分岐配線72aには、それぞれ電気部品であるプラス側検出抵抗R1およびマイナス側検出抵抗R2が設けられている。ここで、プラス側検出抵抗R1およびマイナス側検出抵抗R2は、何れも同じものであり、その抵抗値は「2kΩ」に設定されている。
ここで、各配線71,71a,72,72aおよび各検出抵抗R1,R2は、プリント基板上に実装されている(図示せず)。各配線71,72,71a,72aは、プリント配線によりそれぞれ形成され、各検出抵抗R1,R2は、小型のチップ抵抗器によりそれぞれ形成されている。このように、タッチセンサの端末にリード線を有する抵抗器等を設ける場合(従前の場合)とは異なり、本実施の形態においては、基板上に実装し得るより小型化されたチップ抵抗器を採用することができる。
プラス側配線71,プラス側分岐配線71a,マイナス側配線72,マイナス側分岐配線72aは、センサ側接続部70bによって集約されており、当該センサ側接続部70bは、コネクタ部材60に接続されるようになっている。これにより、第1プラス側導線57bとプラス側配線71,第1マイナス側導線57cとマイナス側配線72,第2プラス側導線58bとプラス側分岐配線71a,第2マイナス側導線58cとマイナス側分岐配線72aがそれぞれ電気的に接続される。このように、第1電極接続体57および第2電極接続体58は、それぞれ検出抵抗部70に対して並列に接続され、ひいては並列回路を形成するようになっている。
ここで、図5に示す並列回路には、図示しない車載バッテリ等の電源が接続され、当該並列回路には所定の大きさの電流が供給されている。そして、タッチセンサ50に障害物DA(図1参照)が接触していない「通常状態」においては、4本の電極53,54,55,56のうちの隣り合う電極同士は短絡していない。したがって、プラス側検出抵抗R1およびマイナス側検出抵抗R2の双方に電流が流れて、これにより判断回路32は、入力される電流値信号に基づいて検出抵抗が「1kΩ」になることを検知する。つまり、隣り合う電極が短絡していない「通常状態」では、並列回路が形成されることから検出抵抗は「1kΩ」となる。なお、当該「通常状態」の場合においては、スライドドア14の自動開閉制御が許容される。
これに対し、センサ部材40に障害物DAが接触した「接触状態」においては、タッチセンサ50の被覆材51に外力Fが負荷されて、当該被覆材51が半径方向に弾性変形される。すると、被覆材51が各電極53,54,55,56に押し付けられて、各電極53,54,55,56およびスペーサ部材52が弾性変形する。そして、スペーサ部材52の周囲で隣り合う電極同士が短絡することで、「通常状態」のときに「1kΩ」となる検出抵抗が、例えば「100Ω」に変化する。
判断回路32は、この検出抵抗の差を検知することで「接触状態」を判断する。このとき、判断回路32は、例えば「300Ω」の閾値を有しており、当該閾値を下回ったときに「接触状態」と判断する。なお、判断回路32が「接触状態」と判断すると、コントローラ30は、車体前方側に移動しているスライドドア14を停止させるか、あるいはスライドドア14を車体後方側に移動させるよう駆動ユニット21を制御する。
タッチセンサ50が繰り返し弾性変形されて、各電極53,54,55,56の内部の各導線53a,54a,55a,56aのうちの何れかが断線すると、タッチセンサ50が「通常状態」であっても、判断回路32に入力される電流値信号が変化して、これにより検出抵抗が大きい値に変化する。具体的には、第1電極接続体57および第2電極接続体58のうちの何れか一方が断線(1回路断線)すると、検出抵抗は「2kΩ」となる。また、第1電極接続体57および第2電極接続体58の双方が断線(2回路断線)すると、検出抵抗は「無限大(∞)」となる。これにより、判断回路32は、タッチセンサ50が故障であること、つまり「断線状態」であることを検知する。
このとき、判断回路32は、例えば「1.3kΩ」の閾値を有しており、当該閾値を上回ったときに「断線状態」と判断する。そして、判断回路32が「断線状態」と判断すると、コントローラ30は、スライドドア14の自動開閉制御を停止させて、手動操作のみで開閉できるようにする。また、インストルメントパネルの警告灯を点灯させる等して、運転者等に修理を促すようになっている。
このように、タッチセンサ50が「通常状態」のときの検出抵抗「1kΩ」を基準として、これを下回る検出抵抗「100Ω」を検知すると、判断回路32は「接触状態」と判断するようになっている。一方、基準となる検出抵抗「1kΩ」を上回る検出抵抗「2kΩ」または「無限大(∞)」を検知すると、判断回路32は「断線状態」と判断するようになっている。
以上詳述したように、本実施の形態に係るタッチセンサユニットによれば、4本の電極53,54,55,56のうちの2本の電極53,55および電極54,56をそれぞれ直列に接続して、2本の第1,第2電極接続体57,58を設け、第1,第2電極接続体57,58の両端を、コネクタ部材60を介して検出抵抗部70に接続させた。検出抵抗部70は、各電極53,54,55,56の接触状態および断線状態を判断する判断回路32とコネクタ部材60とを接続するプラス側配線71およびマイナス側配線72を備え、かつプラス側配線71およびマイナス側配線72のそれぞれにプラス側検出抵抗R1およびマイナス側検出抵抗R2を設けた。
これにより、タッチセンサ50および検出抵抗部70を、コネクタ部材60を介して接続することができ、タッチセンサ50の長手方向端部に、従前のように検出抵抗を固定しなくて済む。したがって、タッチセンサ50の製造工程を簡素化して歩留まりを良くすることができ、さらには、タッチセンサ50のセンサホルダ41等への装着作業を簡素化することもできる。
次に、本発明の実施の形態2について図面を用いて詳細に説明する。なお、実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図6は実施の形態2に係るタッチセンサユニットの回路図を示している。
実施の形態2に係るタッチセンサユニットは、実施の形態1に比して、検出抵抗部80の構造が異なっている。実施の形態1の検出抵抗部70は、図5に示すように判断回路32を備えておらず、当該判断回路32はコントローラ30に設けられていた。これに対し、実施の形態2の検出抵抗部80は、図6に示すように判断回路32を備えており、この点のみが実施の形態1と異なっている。
そして、検出抵抗部80に設けられるセンサ側接続部80aが、本発明における接続部を構成しており、当該センサ側接続部80aは、タッチセンサ50のコネクタ部材60に接続されるようになっている。なお、検出抵抗部80のセンサ側接続部80a側とは反対側には、判断回路32を備えないコントローラ(図示せず)が接続されるようになっている。
ただし、実施の形態1および実施の形態2に示すように、検出抵抗部とコントローラとを別体とせずに、検出抵抗部をコントローラの内部に設けることもできる。この場合、コントローラのインターフェイスに、タッチセンサ50のコネクタ部材60が接続される接続部を設けるようにする。
以上のように形成した実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2においては、コントローラ側接続部70a(図5参照)を介さずに、プラス側検出抵抗R1およびマイナス側検出抵抗R2を判断回路32に接続することができ、ひいては電流値信号の検出精度を向上させることが可能となる。
次に、本発明の実施の形態3について図面を用いて詳細に説明する。なお、実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図7は実施の形態3に係るタッチセンサユニットの回路図を示している。
実施の形態3に係るタッチセンサユニットは、実施の形態1に比して、タッチセンサ90および検出抵抗部100の構造が異なっている。実施の形態1のタッチセンサ50においては、図5に示すように、4本の電極53,54,55,56のうちの2本の電極53,55および電極54,56をそれぞれ直列に接続し、2本の第1,第2電極接続体57,58を設け、第1,第2電極接続体57,58の両端を、コネクタ部材60を介して検出抵抗部70に接続させている。つまり、実施の形態1のタッチセンサ50は、本発明における「4n本の電極」および「2n本の電極接続体」の「n」が「1」である場合を示している。
これに対し、実施の形態3のタッチセンサ90においては、図7に示すように、実施の形態1に対して4本の電極91,92,94,95を新たに追加して設けている。また、2本の電極91,92および電極94,95をそれぞれ直列に接続し、2本の第3,第4電極接続体93,96を新たに追加して設けている。そして、第3,第4電極接続体93,96の両端を、コネクタ部材60を介して検出抵抗部100に接続させている。つまり、実施の形態3のタッチセンサ90は、本発明における「4n本の電極」および「2n本の電極接続体」の「n」が「2」である場合を示している。
なお、第3電極接続体93における各電極91,92の長手方向一側(図中上側)には、第3接続導線部93aが設けられ、第4電極接続体96における各電極94,95の長手方向一側には、第4接続導線部96aが設けられている。また、第3電極接続体93における各電極91,93の長手方向他側(図中下側)には、第3プラス側導線93bと第3マイナス側導線93cとが設けられ、第4電極接続体96における各電極94,95の長手方向他側には、第4プラス側導線96bと第4マイナス側導線96cとが設けられている。
実施の形態3の検出抵抗部100においては、新たに追加された第3,第4電極接続体93,96の両端を接続可能なように、2つのプラス側分岐配線71b,71cと、2つのマイナス側分岐配線72b,72cとを新たに追加して設けている。そして、新たに追加されたプラス側分岐配線71bおよびマイナス側分岐配線72cには、プラス側検出抵抗R3およびマイナス側検出抵抗R4がそれぞれ設けられている。ここで、プラス側検出抵抗R3およびマイナス側検出抵抗R4においても、その抵抗値は「2kΩ」となっている。
以上のように形成した実施の形態3においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態3においては、8本の電極53,54,55,56,91,92,94,95の間隔(略45度間隔)を狭めることができるので、タッチセンサ90の感度をより高感度にすることができる。なお、実施の形態3においても、上述した実施の形態2と同様に、検出抵抗部100の内部に判断回路32を内蔵させることができる。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態では、本発明における「4n本の電極」および「2n本の電極接続体」の「n」を、正の整数である「1」や「2」であるものを示したが、本発明はこれに限らない。例えば、直径寸法が大きいタッチセンサである場合には、「3」や「4」あるいはそれ以上の正の整数を採用することもできる。
また、上記各実施の形態においては、タッチセンサ50,90を、車体11のスライドドア14に採用した場合を示したが、本発明はこれに限らず、車体11のサンルーフや、車体11の後方にあるリヤハッチに採用することができる。さらには、車体11に設けられる開閉体に限らず、建物の出入り口を開閉する自動ドア等に採用することもできる。