JP6257094B2 - コークスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コークス炉の炭化室から押し出しやすいコークスを製造する方法に関し、更に、炭化室への成型炭装入量を高位に維持することで、石炭装入量/乾留時間で表される生産性を高位にするとともに、強度が高いコークスを製造する方法に関する。
高炉に装入されるコークスを製造する設備として室炉式コークス炉が広く使用されており、コークス炉の生産性を高めることは重要である。特に、長年の使用によって老朽化している室炉式コークス炉には、複数の炭化室のうち、炉壁が損耗するなどして補修のために休止せざるを得ない炭化室が存在する場合があるので、稼働可能な炭化室で従来と同程度の生産量を確保するべく、乾留時間に対する石炭装入量で表されるコークスの生産性を向上させることが望ましい。しかし、老朽化したコークス炉では、炉壁の損耗などのために、炭化室内で生成したコークスを押出す際の抵抗が大きくなり、押出トラブルの発生により想定どおりに生産性が上げられない場合がある。そのため、単に石炭装入量/乾留時間で表される生産性を高位にするのみならず、コークスの押出抵抗を下げることも重要である。
特許文献1には、炭化室に装入される石炭の全てを、粘結力指数が70〜90であり且つ全膨張率が40以下である非微粘結炭を40質量%以上配合した配合原料炭を成型した成型炭を用いて、コークスを製造することが提案されている。特許文献1には、炭化室に装入される石炭の全てを粉炭とした場合の石炭装入量を1とした場合に対して、全てを成型炭とした場合の石炭装入量が0.9倍となり、装入される石炭の全てを粉炭とした場合の乾留時間を1とした場合に対して、全てを成型炭とした場合の乾留時間は0.7〜0.8倍に短縮され、全てを成型炭とした場合のコークス生産性が、全てを粉炭とした場合に対して1.1〜1.3倍となる旨が記載されている。また、特許文献2には、成型炭の配合割合が40〜85wt%の条件で、コークスの生産性を上げ得ることが記載されている。
特許第4505074号明細書 特開昭55−7863号公報
特許文献1および2の発明によって、コークスの生産性は向上することが期待される。また、得られるコークスの強度も高め得ることが期待される。しかしながら、成型炭の配合比率や乾留条件の押出性への影響は検討不十分であり、特に老朽化したコークス炉において成型炭を多量に配合して生産性を上げ得るかどうかは明らかにされていない。また、コークス強度に関しても、強度の平均値が議論されているのみであり、コークス強度のバラツキについては考慮されていない。
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、コークス炉の炭化室から押し出しやすく、且つ、生産性を高位にするとともに、強度が高く品質バラツキの小さいコークスを製造する方法を提供することである。
(1)上記課題を解決するための本発明の要旨は以下の通りである。
粒径が15mmを超える成型炭と粒径が15mm以下である粉状炭とからなる石炭原料をコークス炉の炭化室に装入し乾留してコークスを製造する方法であって、前記石炭原料中の前記成型炭の割合が70〜95質量%であることを特徴とするコークスの製造方法。
(2)前記成型炭の原料となる石炭は、ギーセラー最高流動度MFの常用対数値logMFが1.8〜2.4であることを特徴とする上記(1)に記載のコークスの製造方法。
(3)前記成型炭の体積が10〜100cmであることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載のコークスの製造方法。
(4)前記コークス炉は室炉式であって、室炉式コークス炉においてコークスを製造する際の置き時間を0.5〜1.5時間にすることを特徴とする上記(1)から上記(3)のいずれかに記載のコークスの製造方法。
本発明によって、コークス炉の炭化室から押し出しやすく、且つ、単位石炭質量当りの乾留時間で表される生産性を高位にできるとともに、強度が高く品質バラツキの少ないコークスを製造することが可能となる。
コークス炉の斜視図である。 実施例1における嵩密度と石炭原料中の成型炭の比率との関係を示すグラフである。 実施例1における嵩密度とコークス強度との関係を示すグラフである。 実施例1における嵩密度と乾留時間比/嵩密度との関係を示すグラフである。 発生ガス温度による火落ち時間の決定方法を説明する図である。 実施例5における置き時間とコークス強度との関係を示すグラフである。
発明者らは、生産性を高めつつ安定的に高強度のコークスを製造するために、成型炭を比較的高い配合率で含む配合炭を乾留する場合における、生産性、コークス押出性、乾留時間の影響を詳細に検討した。まずは、室炉式コークス炉を用いて石炭を乾留してコークスを製造する工程について説明する。図1はコークス炉の斜視図である。コークス炉1は、蓄熱室が複数並べられて構成される蓄熱部2、及び、該蓄熱部2の上に炭化室3と燃焼室4を複数有し、炭化室3と燃焼室4とは交互に隣接して並べられている。炭化室3と燃焼室4との上を、装炭車5がコークス炉1の炉長手方向Lに沿って走行する。図示は省略しているが、炭化室3の上壁には、装入孔が、コークス炉1の炉短手方向Sに沿って複数形成されており、装入孔を通じて、石炭が炭化室3に装入される。炭化室3の両側には窯口3aが設けられており、図示は省略しているが、窯口3aは脱着可能な炉蓋で覆われている。炭化室3の一方の窯口3a側には押出機6が配置され、他方の窯口3a側にはガイド車8が配置され、押出機6とガイド車8とが炉長手方向Lに沿って走行する。
炭化室3では、装入された石炭が乾留されてコークスとなる。石炭を乾留するために、蓄熱部2の各蓄熱室から燃料ガスを燃焼室4に供給し燃焼させて、燃焼熱を燃焼室4に隣接する炭化室3に伝えることで、該炭化室3を加熱する。燃焼室4での燃焼熱が隣接する炭化室3に伝わり、該炭化室3の温度が上昇し、石炭が乾留される。乾留が終わった後に、窯口3aから炉蓋を取外し、押出機6の押出ラムを炭化室3に挿入して、押出ラムで、石炭の乾留で得られるコークスを炭化室3から押し出して、該押出機6の反対側にあるガイド車8を介し、該ガイド車8の下側に配置された消火車9にコークスを受ける。消火車9は、蓄熱部2の前を炉長手方向Lに沿って走行可能であり、消火車9は、コークスをコークス消火冷却設備まで運搬する。
コークスを押出機6で押し出して、炭化室3が空となったら、装入孔を通じて装炭車5から石炭を炭化室3に装入し乾留してコークスとし、該コークスを炭化室3から押し出すという工程を繰り返して、コークス炉の操業を行う。
以上のコークスの製造工程の説明を踏まえて、本発明を具体的に説明する。本発明に係るコークスの製造方法は、炭化室3へ装入される石炭に成型炭と粉状炭との両方を用いるものである。本発明者らは、生産量を増やす方法を検討し、炭化室3へ装入される石炭に成型炭と粉状炭との両方を用いることがよいことを知見した。本発明者らは、更に鋭意検討した結果、成型炭と粉状炭とからなる石炭原料のうち、成型炭の割合を70〜95質量%とし、残部を粉状炭とすることで、炭化室3からの押出性を良好とし且つ、コークスの生産量を増加させることで、石炭装入量を高位に維持することで石炭装入量/乾留時間で表される生産性を高位としつつ、強度が高いコークスを製造することが可能となることを見出し、本発明の完成に至った。
さらに、乾留時間の詳細について検討した。乾留時間とは、一般に、石炭の乾留に要する時間を指す。一般的に、実機コークス炉では、乾留時間は石炭を炭化室に装入してからコークスを排出するまでの時間(総炭化時間とも呼ぶ)を指す。乾留時間(総炭化時間)は火落ち時間と置き時間の合計から決定される。火落ち時間とは石炭をコークス炉に装炭してから乾留が終了したとみなされるまでの時間である。これに対し、置き時間とは乾留が終了した後、コークスを熟成および均熱化するための時間である。
コークス品質はコークスの最高到達温度に影響されるので、一般に乾留が終了するとされる温度である900℃以上で一定時間保持することで品質向上が図られるのに加え、乾留が終了した後に加熱を継続することでコークスが収縮し、炭化室炉壁とコークスケーキ表面の間のクリアランスが増大して、押出性が良くなる。また、コークス炉の燃焼室内の温度(フリュー温度)には不可避的にバラツキがあるので、炭化室内の位置ごとにコークス温度が異なることがある。これにより、部分的にコークスが収縮しなかったり、コークスの品質にバラツキが発生したりすることがある。置き時間はこれらのバラツキを低減させる効果を有する。置き時間は炉の状況や稼働率によって異なるが、2時間程度が一般的である。
成型炭を多量に配合した石炭を炭化室に装入すると、炭化室内の伝熱速度が高まり、乾留時間が短くなることは特許文献1および2に記載されているが、その際の乾留時間を構成する火落ち時間と置き時間の影響については、特許文献1および2には記載されていない。火落ち時間は炭化室内の伝熱によってほぼ決定されるが、置き時間は操業上の要請によって決定しうる条件である。置き時間を長くとるほど、コークスの押出性が良くなり、コークス強度が向上し、品質のバラツキも減少する傾向にあることは従来から知られているが、置き時間を長くすることは、生産性の低下につながるという問題もあるので、どの程度の置き時間を採用すべきかを明確にする意義は大きい。本発明者らは、火落ち時間と置き時間の影響を詳細に調査した結果、成型炭を多量に配合した石炭を炭化室に装入すると、火落ち時間が短縮するだけでなく、置き時間を従来に比べて短くしてもコークスの押出性が良好で、コークス強度のばらつきも小さく維持できることを見出して本発明を完成した。
本発明者らは、コークスの強度を高めるべく成型炭を最大限に使用しつつも、生産性を高めることを目的として、成型炭と粉状炭とからなる石炭原料のうち成型炭の比率[質量%]を変更した場合の炭化室3における石炭の嵩密度[トン/m]を調査した。図2に、後述する実施例1における、嵩密度と石炭原料中の成型炭の比率との関係を示すグラフを示す。図2によれば、成型炭の比率が0〜50質量%の範囲では、成型炭の比率の増加に伴い、石炭の嵩密度が大きくなるが、成型炭の比率が50質量%を超えると、嵩密度が小さくなり、成型炭比率100質量%のときの石炭の嵩密度が最も小さくなることがわかる。
成型炭の比率が50質量%になるまでは、炭化室3においては、成型炭の間隙に粉状炭が入り込んでいる状態で炭化室3に石炭原料が充填されるのに対し、成型炭の比率が50質量%を超えると成型炭の間隙が粉状炭で満たされず、間隙のうち粉状炭で占有されない空間が多くなった状態で炭化室3に石炭原料が充填されるものと推察される。この推察から、成型炭を使用することでコークスの強度を高め、加えて、炭化室への石炭装入量を低下させないように、嵩密度を大きくして成型炭を多量に使用するためには、成型炭の比率を50質量%程度とすることが考えられる。なお、粉状炭は、粒径が3mm程度となるものが大部分を占めるが(通常は、粒径3mm以下の粒子の比率が粉状炭の70〜80質量%を占める)、粒径が15mmを超えるものはないので、粉状炭の粒径の最大値は15mmとする。また、石炭原料のうち粉状炭以外の成型炭は、粒径が大きく、概ね粒径が15mmを超えるものである。
乾留時間を短縮するためには、炭化室3における石炭への伝熱が効率良く行われることが重要となり、成型炭の比率を50質量%程度とすることで乾留時間が短くなるかは明確ではない。加えて、一般的には、成型炭を乾留して得られるコークスの強度は高くなるものの、成型炭の比率を上げると、必ずしも強度が向上するか明確ではない。
そこで、本発明者らは、成型炭と粉状炭とからなる石炭原料を、コークス炉の炭化室で乾留する実験を行い、該実験で、成型炭の比率を変更した石炭原料を乾留してコークスを製造し、(i)嵩密度[トン/m]と乾留時間[時]/嵩密度[トン/m]との関係、及び、(ii)嵩密度[トン/m]とコークス強度[−]との関係、を調査した。その結果、後述する実施例1で示すように、成型炭と粉状炭との石炭原料中の成型炭の割合が70〜95質量%であれば、成型炭の割合を100質量%とするよりも、嵩密度をある程度高位に保ちつつ、嵩密度に対する乾留時間を小さくできる上に、コークス強度を高位に維持することができることを確認した。
石炭原料のうち、成型炭の割合が70〜95質量%で残部が粉状石炭であれば、隣接する成型炭間に生じる空隙の一部を粉状炭が占有するものの、占有されていない残部の空隙を通じる輻射熱伝達が起きる上に、石炭の熱分解ガスが流通し、該熱分解ガスにより対流熱伝達によって熱が供給され、その空隙を占有する粉状炭にも熱が効果的に伝わり、乾留が効率的に行われる上に、粉状石炭が存在する分、嵩密度もある程度大きくできると推察される。
更には、石炭原料を乾留することで得られるコークスの押出性を評価するべく、コークスを炭化室から押し出す際に、押出機6に掛る押出反力も測定し、嵩密度[トン/m]と押出反力[トンf]との関係も調査した。その結果、後述する実施例4で示すように、石炭原料中の成型炭の割合が70〜95質量%であれば、成型炭の割合を0質量%とするよりも、押出反力も抑えられることを確認し、押出性も良好となっていることを確認した。
上記に加えて、本発明者らは、成型炭の性状及び体積を変更して、上記と同様の実験を行った。その結果、後述する実施例2及び3に示すように、成型炭を構成する石炭の性状として、ギーセラープラストメータで測定した石炭の最高流動度の常用対数値(logMF)が1.8以上2.4以下範囲にあり、成型炭の体積が10cm以上100cm(cc)以下であると、嵩密度[トン/m]に対する乾留時間[時]を小さくできる上に、コークス強度を高い値に維持できるとともに、押出反力も抑えられることを確認し、押出性も良好となっていることを確認した。
粒径が15mmを超える成型炭と粒径が15mm以下である粉状炭とからなる石炭原料を準備し、該石炭原料を試験コークス炉で乾留してコークスを製造した。試験コークス炉は、幅400mm、高さ1000mm、長さ1000mmの炭化室を有し、該炭化室に石炭原料を装入し、炉壁温度1250℃で乾留した。
前記石炭原料のうち成型炭の原料となる石炭(配合炭)の軟化溶融時の流動性を評価した。軟化溶融時の流動性を測定する方法としては、JIS M 8801に規定されるギーセラープラストメータ法による石炭流動性試験方法を採用した。ギーセラープラストメータ法は、425μm以下に粉砕した石炭を所定のるつぼに入れ、規定の昇温速度で加熱し、規定のトルクをかけた撹拌棒の回転速度を測定し、1分ごとの目盛分割をもって石炭試料の軟化溶融特性を表す方法であり、その方法で測定されるギーセラー最高流動度MFの常用対数値logMFは2.0であった。また、準備した成型炭は1個あたりの体積を50[cc]とした。なお、成型炭の原料となる石炭(配合炭)の平均反射率Roは0.98[%]とした。粒度3mm以下85質量%、水分8質量%に調整した配合炭に対し、バインダーとしてSOPを6質量%(水分込みの石炭に対して外枠の添加量)添加し、80℃で2分間混練後、ダブルロール成型機で線圧1tf/cmで成型して成型炭を製造した。
まずは、石炭原料の成型炭の比率を0%として、粉状炭のみからなる石炭原料を乾留してコークスを製造した(基準例)。なお、石炭原料の成型炭の比率[質量%]は、炭化室に石炭原料を装入する直前の石炭原料を取り出して、篩い分けを行い該石炭原料中の成型炭の質量割合で求めた。粉状炭は複数の石炭を配合した配合炭であり、その加重平均logMFは2.8、加重平均Roは1.01[%]、粒度は3mm以下の粒子の含有率が75質量%であり、粉状炭中には粒径15mmを超える粒子は含まれていなかった。
基準例に加えて、成型炭と粉状炭との比率を変更した以外は基準例と同じ条件で石炭原料を乾留してコークスを製造した(本発明例1−1〜1−3及び比較例1−1〜1−4)。実施例1では、成型炭と粉状炭との比率[質量%]に併せて、炭化室に充填したときの嵩密度[トン/m]、石炭の乾留時間[時]、コークス強度[−]を測定した。コークス強度は、JIS K 2151の回転強度試験法などに基づいて測定することが可能であり、JIS K2151の回転強度試験法により15rpm、150回転の条件で粒径15mm以上のコークスの質量割合を測定して得られるドラム強度DI150/15を、コークス強度の指標とした。乾留時間は、炭化室における、幅方向、高さ方向及び長さ方向の中央部に装入した熱電対の温度が950℃を超えるまでにかかった時間とした。表1に、実施例1の実験条件及び結果を示す。
Figure 0006257094
表1の項目には、乾留時間[時]を表す指標として、乾留時間比[−]を記載してある。乾留時間比[−]とは、基準例における乾留時間[時]で、本発明例及び比較例の各々における乾留時間[時]を除算して得られた値である。表1では、更に、乾留時間比[−]/嵩密度[トン/m]も示してある。これは、単位石炭質量当りの乾留時間を意味し、この値が小さいほど、石炭装入量に対して乾留時間が短縮されたことを意味し、生産性が高いことを意味する。但し、嵩密度の値が大きいことは、石炭装入量を大きいことを意味する。
実施例1における、嵩密度[トン/m]と石炭原料中の成型炭の比率[質量%]との関係を示すグラフを図2に示す。このグラフからわかるように、成型炭の比率が0〜50質量%の範囲では、成型炭の比率の増加に伴い、石炭の嵩密度が大きくなるが、成型炭の比率が50質量%を超えると、嵩密度が低下して、成型炭比率100質量%のときの石炭の嵩密度が最も低くなることがわかる。
次に、嵩密度[トン/m]とコークス強度(ドラム強度DI150/15)との関係を示すグラフを図3に示し、嵩密度と乾留時間比/嵩密度との関係を示すグラフを図4に示す。図3では、基準例(成型炭の比率=0)から比較例1−1〜1−3の点で示すように、成型炭の比率が大きくなるにつれて、石炭の嵩密度が大きくなり、ドラム強度も大きくなっていることがわかる。そして、本発明例1−1〜1−3の点及び比較例1−4で示すように、成型炭の比率が50[質量%]を超えると、嵩密度[トン/m]も低下するとともに(図2参照)、ドラム強度も低下してしまう。しかしながら、本発明例1−1〜1−3の通り、成型炭の比率が70〜95の場合では、ドラム強度は、例えば、比較例1−1での強度以上となるある程度の値に維持されており、石炭原料のうち全てが成型炭である比較例1−4に比べてドラム強度が高いことがわかる。
加えて、図4に示すように、基準例(成型炭の比率=0)から比較例1−1〜1−3の点で示すように、嵩密度[トン/m]が大きくなるにつれて、乾留時間比[−]/嵩密度[トン/m]は小さくなっていることがわかる。そして、本発明例1−1〜1−3及び比較例1−4の点で示すように、成型炭の比率が50質量%を超えると、嵩密度が小さくなり、乾留時間比/嵩密度も小さくなっていることがわかり、本発明例1−1〜1−3では、比較例1−4に対して嵩密度を増大させており、また、比較例1−1〜1−3に対しては、乾留時間比/嵩密度を抑えて、炭化室3における石炭の量を多くしても、乾留時間を短縮できることがわかるし、加えて、嵩密度の値自体も0.75以上と高位に維持できている。嵩密度を高位に維持できれば、石炭装入量も高位に維持できるものと考えられる。
図3及び図4に示すように、成型炭の比率が70〜95質量%で石炭原料を乾留してコークスを製造すれば、ドラム強度を高位に保ちかつ、石炭装入量を高位としつつも、乾留時間比/嵩密度を低位にして高い生産性を保つことが可能であるとわかる。
成型炭の原料となる石炭のギーセラー最高流動度MFの常用対数値logMFを変更したことを除き、本発明例1−2と同じ条件でコークスを製造した(本発明例2−1〜2−5)。実施例1と同様に、嵩密度[トン/m]、石炭の乾留時間[時]、コークス強度[−]を測定した。表2に、実施例2の実験条件及び結果を示す。
Figure 0006257094
表2に示すように、logMFが1.8〜2.4の場合には、ドラム強度が高位となっており、乾留時間比が抑えられていることがわかる(本発明例2−1〜2−3)。logMFが1.6の場合には、乾留時間比が小さくなっているものの、ドラム強度の値が若干低下してしまったことがわかる。また、logMFが2.7の場合には、ドラム強度の値が高いが、乾留時間比が若干大きくなってしまったことがわかる。
成型炭の体積を変更したことを除き、本発明例1−2と同じ条件でコークスを製造した(本発明例3−1〜3−5)。実施例1と同様に、嵩密度[トン/m]、石炭の乾留時間[時]、コークス強度[−]を測定した。表3に、実施例3の実験条件及び結果を示す。
Figure 0006257094
表3に示すように、成型炭の1個あたりの体積が10〜100[cc]の場合にも、同様に、ドラム強度が高位となっており、乾留時間比が抑えられていることがわかる(本発明例3−1〜3−3)。成型炭の体積が6[cc]の場合には、ドラム強度の値が高いが、乾留時間比が若干大きくなってしまったことがわかる。また、成型炭の体積が150[cc]の場合には、乾留時間比が小さくなっているものの、ドラム強度の値が若干小さくなってしまったことがわかる。
図1に示すコークス炉1を用い、配合炭を炭化室3に装入し乾留してコークスを製造した。押出機6にはロードセルが設けられており、コークスを炭化室3から押し出す際に、押出機6の押出ラムに掛る押出反力を測定することが可能であり、本発明例1−2及び基準例と同じ配合条件において、押出反力を測定した。押出反力としては、5つの炭化室3から得られたデータの平均値を採用した。押出反力は、基準例(成型炭の比率0)では、43.3[トンf]であったのに対して、本発明例1−2と同じ条件(成型炭の比率80[質量%])では、40.7[トンf]となり、成型炭の比率が70〜95%であればコークスを押し出しやすくできることがわかる。
図1に示すコークス炉1を用い、配合炭を炭化室3に装入し乾留してコークスを製造し、火落ち時間および置き時間を調べた。押出機6にはロードセルが設けられており、コークスを炭化室3から押し出す際に、押出機6の押出ラムに掛る押出反力を測定することが可能である。成型炭の条件は実施例1を基準に、成型炭比率0、50、70、90[質量%]とした。成型炭の原料となる配合された石炭の加重平均品位は、logMF=2.4、Ro=0.93[%]とした。
成型炭の製造は、粒度を3mm以下の質量割合が85質量%、水分9質量%となるように調製した原料石炭に対し、バインダーとしてSOPを3.5質量%(水分込みの石炭に対する外枠の添加量)添加し、80℃で3分間混練後、ダブルロール成型機で線圧1tf/cmの条件で成型して製造した。個々の成型炭の体積は、50cc/個であった。粉炭部の石炭の加重平均品位は、logMF=2.8、Ro=1.007%、粒度は3mm以下80質量%とした。コークス炉の火落ち時間は乾留が終了したとみなされる時間であり、実施例1の結果から成型炭比率によって変化すると予想された。コークス炉の火落ち時間は、実施例1のような炭中温度を測定する方法のほか、発生ガス温度、発生ガス組成、発生ガスの色などから判定する方法があるが、今回は発生ガス温度を用いることにした。
図5は、発生ガス温度による火落ち時間の決定方法を説明する図である。図中の曲線は、上昇管に設置された温度計で測定したコークス炉からの発生ガス温度の推移を示す。コークス炉からの発生ガス温度を示す曲線とコークス化判定式が交差する時間を火落ち時間とした。なお、この方法で求めた火落ち時間は、上昇管を開放して発生ガスの色から判断した火落ち時間とほぼ同じであった。コークス化判定式は式1で計算される。
y=A×t+B+C×装炭量・・・(式1)
式1におけるA、B、Cは定数であり、次の数字を用いた。(A=−12.91、B=880、C=−5.512)。tは装炭開始からの時間(hr)であり、装炭量は該当窯に装炭された石炭または成型炭の重量(t)、yは発生ガス温度(℃)である。
火落ち時間に対し、所定の置き時間が経過した後、コークスを押し出して、その際の押出反力、得られたコークスドラム強度を調査した。表4に実験の結果を示す。
成型炭比率0%、置き時間2.0時間が通常の操業基準である(基準例5−1)。成型炭比率によって火落ち時間が異なっているが、この傾向は実施例1と同じであり、粉炭に比べ、成型炭比率70〜95%では火落ち時間が短く、成型炭比率50%では火落ち時間が長くなった。図6に示すように本発明の範囲である成型炭比率70〜95%であれば置き時間0.5時間以上でコークスドラム強度は基準例よりも高く、押出反力も基準例よりも低い値であった。
一方、比較例の成型炭比率50%、0%においては置き時間2.0時間以上でコークスドラム強度は向上し、押出反力も低下した。今回のドラム強度は3回の測定結果の平均であり、表4にその標準偏差σを併記したが、本発明例では、この値が0.36以下と小さく、品質のバラツキが小さいことが確認された。一方、比較例の成型炭比率50%、0%においては置き時間2.0時間未満では標準偏差が0.61〜1.16と高く、品質のバラツキが大きいことがわかる。このようにコークス強度のバラツキが大きいことはコークス炉内のコークス乾留状況が異なっていることを示しており、部分的に乾留が不十分なコークスが存在したので、押出反力も高い値になったものと推定される。
以上の結果から本発明によれば、コークス炉での置き時間を0.5〜1.5時間まで短くしても、コークスの品質を維持し、コークス押出反力を低位に保つことが可能であり、コークス生産性の向上が可能である。さらに、乾留時間の削減によりコークス炉への供給エネルギーを削減することも可能となる。従来は、コークス品質のバラツキ低減のため、および良好な押出性を確保するために、置き時間は2.0時間程度以上確保することが必要とされていたが、本実施例では、比較例に比べて同じ置き時間であっても、ドラム強度の標準偏差と押出力を低位にできることが確認された。ドラム強度のバラツキおよび押出力の低減効果は、置き時間が0.5〜1.5時間の条件で特に顕著であった。
本実施例より、成型炭を70〜95質量%配合した石炭を乾留することにより、火落ち時間を短縮して生産性を向上できるだけでなく、置き時間を短縮することによりさらに生産性を向上できることが明らかとなった。
Figure 0006257094
以上に示すように、本発明によって、コークス炉の炭化室から押し出しやすく且つ石炭装入量を低下させずに高い生産性を確保しつつ、強度が高いコークスを製造することが可能とわかる。また、成型炭の原料となる石炭のギーセラー最高流動度MF及び成型炭の体積を調整することによって、コークス強度を向上させ乾留時間を短縮させることが可能とわかる。
また、置き時間を従来の操業よりも短縮しても、コークスの品質バラツキを小さい状態のまま維持できるとともに、押出力も低い状態のまま維持できる。このため、置き時間を従来よりも短縮することができ、これにより、さらに生産性を高めることが可能とわかる。
1 コークス炉
2 蓄熱部
3 炭化室
3a 窯口
4 燃焼室
5 装炭車
6 押出機
8 ガイド車
9 消火車

Claims (3)

  1. 粒径が15mmを超える成型炭と粒径が15mm以下であり粒径3mm以下の粒子の比率が70〜80質量%を占める粉状炭とからなる石炭原料をコークス炉の炭化室に装入し乾留してコークスを製造する方法であって、
    前記成型炭の1個あたりの体積が50cc以上100cc以下であり、
    前記石炭原料中の前記成型炭の割合が70〜95質量%であることを特徴とするコークスの製造方法。
  2. 前記成型炭の原料となる石炭は、ギーセラー最高流動度MFの常用対数値logMFが1.8〜2.4であることを特徴とする請求項1に記載のコークスの製造方法。
  3. 前記コークス炉は室炉式であって、室炉式コークス炉においてコークスを製造する際の置き時間を0.5〜1.5時間にすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコークスの製造方法。
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