JP6256269B2 - 建築物窓用多層ガラス - Google Patents
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Description
又、3枚のガラス板を、スペーサーを介してそれぞれ隔置して2層の中空層が形成された、断熱性能と遮音性能とを向上させた複層ガラスが、特許文献1として知られている。
以下、2枚のガラス板および2枚のガラス板の間に少なくとも1枚以上の中間板(例えば、ガラス板)をスペーサーを介してそれぞれ隔置して2層以上の中空層が形成された多層の中空層を有する複層ガラスを本明細書において多層ガラスと称する。
特許文献1におけるガラス板3枚を用い2層の中空層を有する複層ガラスは、図7に示すように、縦寸法および横寸法を合わせて3枚のガラス板100、101、102を用意し、それぞれのガラス板の周縁部に中空層110、111が形成されるようにそれぞれ乾燥剤115入りスペーサー120、121を配し、ガラス板100、101、102と、スペーサー120、121との間にブチルゴム系等の一次シール材130、131を塗工により形成するとともに、スペーサー120、121の外側のガラス板100、101、102の端部の間の溝部にポリサルファイド系接着剤やシリコーン系接着剤等の二次シール材140、141を充填し、硬化処理して封止する構成を有する。そして、特許文献1における多層タイプの複層ガラスにおいては、両側の2枚のガラス板100、102の厚さ、および2層の中空層110、111の厚さが、内部のガラス板101から見て等しく対称となる構成とするのが好ましいと記載されている。
一方、多層ガラスの温度変化に対する中空層内の圧力(以下、これを内圧と呼ぶ。)に関しては、2層以上の中空層の合計厚さに相当する1層の厚い中空層を有する複層ガラスと同様な挙動を示す。例えば、3mm厚の室内側ガラス板、12mm厚の第1の中空層、3mm厚の中間ガラス板、12mm厚の第2の中空層、3mm厚の室外側ガラス板の構成を有する多層ガラスは、3mm厚の室内側ガラス板、24mm厚の中空層、3mm厚の室外側ガラス板の構成を有する複層ガラスと、温度変化に対する中空層内の圧力変化に関して同等の挙動となることが知られている。
なお、図6−(b)に示した多層ガラスは、中空層の合計厚みが24mmとなるので、図6−(c)に示したようなNが24mmの1層の中空層を有する複層ガラスと同様の挙動を示すこととなり、図6−(b)に示した多層ガラスの撓み変形量yは、図6−(a)に示した複層ガラスの撓み変形量xの約2倍となる。
(1)多層ガラスを建築物の窓部に施工した際に、室外側に位置する第1のガラス板と、室内側に位置する第2のガラス板と、第1のガラス板および第2のガラス板との間に少なくともn(ここで、nは1以上の整数。)枚の中間板をそれぞれ隔置して配し、第1のガラス板と第2のガラス板と中間ガラス板との周縁部をシール材により封着してなる建築物窓用多層ガラスにおいて、第1のガラス板と第2のガラス板との間に隔置して配される少なくともn枚の中間板によって区画形成される(n+1)層の中空層の厚みAを、室外側の第1のガラス板から室内側の第2のガラス板に向かってAm(ここで、mは、1〜(n+1)。)としたとき、最も室外側の中空層の厚みA1を最も室内側の中空層の厚みA(n+1)より薄くしたことを特徴とする建築物窓用多層ガラス。
(3)前記した室外側に位置する第1のガラス板と室内側に位置する第2のガラス板との間に隔置して配される2枚の中間板によって区画形成される3層の中空層の厚みAを、室外側の第1のガラス板から室内側の第2のガラス板に向かってAmY(ここで、Yは、1〜3の整数。)としたとき、少なくともAm1とAm3との関係を、Am1<Am3としたことを特徴とする上記(1)に記載の建築物窓用多層ガラス。
(5)前記した室外側に位置する第1のガラス板と室内側に位置する第2のガラス板との間に隔置して配される3枚の中間板によって区画形成される4層の中空層の厚みAを、室外側の第1のガラス板から室内側の第2のガラス板に向かってAmZ(ここで、Zは、1〜4の整数。)としたとき、少なくともAm1とAm4との関係を、Am1<Am4としたことを特徴とする上記(1)に記載の建築物窓用多層ガラス。
(7)前記した最も室外側の中空層の厚みA1が、6mm〜18mmであることを特徴とする上記(1)から(6)のいずれかに記載の建築物窓用多層ガラス。
(8)前記した室外側に位置する第1のガラス板と室内側に位置する第2のガラス板との間に隔置して配される少なくともn枚の中間板によって区画形成される(n+1)層の中空層の厚みAを、室外側の第1のガラス板から室内側の第2のガラス板に向かってAm(ここで、mは、1〜(n+1)、nは整数。)としたとき、中空層の厚みA1と、最も室内側の中空層の厚みA(n+1)との差が4mm以内であることを特徴とする上記(1)から(7)のいずれかに記載の建築物窓用多層ガラス。
なお、本明細書において示されているガラス板の板厚は、ガラス関連の日本工業規格で定められている厚さおよびその許容差の基準、ならびにその基準に準じて解釈されるものする。例えば、3mmの板厚のフロート板ガラスとは、3.0mm(板厚)±0.3mm(許容値)の板厚を指し、4mmの板厚のフロート板ガラスとは、4.0mm(板厚)±0.3mm(許容値)の板厚を指す。
中空層の内圧変動による2次シールの負荷が少なくなり、中空層の内部結露やガラス破損を減少でき、耐久性を向上できる。
図1は、本発明に係る多層ガラスの一部断面概略斜視図であり、同図において、1は多層ガラス、2は、多層ガラスを建築物の窓部に施工した際に、室外側に位置する第1のガラス板、3は、同様に多層ガラスを建築物の窓部に施工した際に、室内側に位置する第2のガラス板、4は第1のガラス板2および第2のガラス板3の間に当該ガラス板と隔置して配された中間板、5は中空層、6はスペーサー、7は一次シール、8は二次シールを示す。
図2〜図5において、建築物の窓部等の開口部に多層ガラスが施工された際、図示したように左側が室外側を表し、右側が室内側を表している。
図2〜図5の例は、第1のガラス板2および第2のガラス板3との間に1枚から3枚の中間板を配してなる三重タイプの多層ガラスから五重タイプの多層ガラスを示したものであるが、更に第1のガラス板2および第2のガラス板3との間に配される中間板を4枚以上とし、更に多重タイプの多層ガラスとしてもよい。
図2に示した例は、室外側の第1のガラス板2と中間板4との間に形成された中空層5−1の厚み(層厚)をA1、中間板4と室内側の第2のガラス板3との間に形成された中空層5−2の厚みをA2、としたとき、A1<A2とした多層ガラスである。即ち、室外側の第1のガラス板から室内側の第2のガラス板に向かって順次AmX(ここで、Xは、1〜2の整数。)とすると、中空層の厚みA1、A2の関係は、A1<A2となっている。
例えば、A1の厚みは、6〜18mmの範囲が好ましく、A2の厚みは、A1<A2の関係を満たし、かつ10〜18mmの範囲が好ましい。
例えば、A1の厚みは、6〜18mmの範囲が好ましく、A3の厚みは、A1<A3の関係を満たし、かつ10〜18mmの範囲が好ましい。
この場合、各中空層の厚みA1、A2、A3の関係は、A1<A2≦A3とするのが特に好ましい。
例えば、A1の厚みは、6〜18mmの範囲が好ましく、A4の厚みは、A1<A4の関係を満たし、かつ10〜18mmの範囲が好ましい。
この場合、各中空層の厚みA1、A2、A3、A4の関係は、Am1<Am2≦Am3≦Am4とするのが特に好ましい。
第1のガラス板2、第2のガラス板3および中間板が矩形状である場合、これら複数枚のガラス板は、その周縁の4辺(即ち、下辺側、左辺側、右辺側及び上辺側)において前記したスペーサー6により隔置されるが、下辺側、左辺側、右辺側及び上辺側のスペーサー6のそれぞれが突き合わされる4つの角のコーナーにおいては、コーナーキーを差し込み、それぞれのスペーサー6が連結される。
また、本発明の多層ガラスの中空層には、乾燥空気、あるいは不活性ガス(アルゴンガス、クリプトンガス等)の封入ガスが充填され、断熱性が高められる。
より具体的には、多層ガラスの第1のガラス板2とスペーサー6の側面部、中間ガラス板4とスペーサー6の側面、および第2のガラス板3とスペーサー6の側面部の封着に一次シール材7が使用される。一次シール材7としては、ガラス板とスペーサー部の側辺部との間の優れた透湿防止性、耐久性、封着性、良好な接着面、塗工作業性等が得られる接着材が選択される。例えば、ブチルゴム系封着材が好ましく使用できる。
なお、図2〜図4に示したように、二次シール材は、第1のガラス板2と中間板との間の周縁部、第2のガラス板と中間板との間の周縁部、また中間板同士の間の周縁部にそれぞれ別々に設けてもよく、図5のように中間板の端部は、二次シール材によって覆われるようにしてもよい。このようにすれば、中間板の端部の破損を防止でき、多層ガラスの耐久性を向上できる。
Claims (7)
- 多層ガラスを建築物の窓部に施工した際に、室外側に位置する第1のガラス板と、室内側に位置する第2のガラス板と、第1のガラス板および第2のガラス板との間に少なくともn(ここで、nは1以上の整数)枚の中間板をそれぞれ隔置して配し、第1のガラス板と第2のガラス板と中間ガラス板との周縁部をシール材により封着してなる建築物窓用多層ガラスにおいて、第1のガラス板と第2のガラス板との間に隔置して配される少なくともn枚の中間板によって区画形成される(n+1)層の中空層の厚みAを、室外側の第1のガラス板から室内側の第2のガラス板に向かってAm(ここで、mは、1〜(n+1)。)としたとき、最も室外側の中空層の厚みA1を最も室内側の中空層の厚みA(n+1)より薄くし、中空層の厚みA 1 と、最も室内側の中空層の厚みA (n+1) との差が4mm以内であることを特徴とする建築物窓用多層ガラス。
- 前記nが1であることを特徴とする請求項1に記載の建築物窓用多層ガラス。
- 前記nが2であることを特徴とする請求項1に記載の建築物窓用多層ガラス。
- A 1 <A 2 ≦A 3 であることを特徴とする請求項3に記載の建築物窓用多層ガラス。
- 前記nが3であることを特徴とする請求項1に記載の建築物窓用多層ガラス。
- A 1 <A 2 ≦A 3 ≦A 4 であることを特徴とする請求項5に記載の建築物窓用多層ガラス。
- 前記した最も室外側の中空層の厚みA1が、6mm〜18mmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の建築物窓用多層ガラス。
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