JP2015124582A - 多重ガラス障子 - Google Patents
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Abstract
【課題】多重ガラス障子において、安定した品質と一層高められた耐久性を備えさせ、更に製造も簡易化することを目的とする。【解決手段】第1のガラス板と第2のガラス板とを有し、これらガラス板間の周囲に枠体を配して、これらガラス板を隔置し、空間層を形成するとともに、当該空間層がこれらガラス板の周囲において封着されてなる多重ガラス障子であって、前記空間層には、少なくとも1枚以上の中間板を配して複数層の区画空間層を形成し、これら複数層の区画空間層は、枠体に設けられた連通構造により、前記複数層の区画空間層の内、少なくとも2層の区画空間層同士で連通していることを特徴とする多重ガラス障子。【選択図】図5
Description
本発明は、複数枚のガラス板を備えた多重ガラスタイプの多重ガラス障子に関する。
2枚のガラス板を、スペーサーを介して隔置し、1層の空間層が形成されてなる複層ガラスは、断熱性及び防音性に優れており、広く住宅用、その他各種建造物の窓用として広く普及している。
上記したタイプの複層ガラスに比べ、更に断熱性を高めたガラスとして、3枚のガラス板を、スペーサーを介してそれぞれ隔置して2層の空間層が形成された複層ガラスが、特許文献1として知られている。
又、上記した2層の空間層が形成されたタイプの複層ガラスとして、1つのスペーサーの両側に最外側の2枚のガラス板を接合すると共に、前記2枚のガラス板の中間にもう1枚のガラス板をスペーサー内側に設けた条溝に嵌合、保持してなる多層ガラスが、特許文献2として知られている。
特許文献1に記載の3枚のガラス板が用いられた2層の空間層を有する複層ガラスにおいては、その製造において、3枚のガラス板の間にそれぞれスペーサーを配し、それぞれシール材を用いて封着するという作業をしなければならず、部品点数、組立て工数が多いとともに、複層ガラスの全体の厚さが厚くなるという難点を有していた。例えば、このタイプの複層ガラスを組立てるに当たっては、図10に示されるように、3枚のガラス板61、61、61の周縁部に空間層62、62が形成されるようにそれぞれスペーサー63、63を配するとともに、ガラス板61、61、61と、スペーサー63、63との間にブチルゴム系の接着剤64を塗工し、更にガラス板61、61、61と、スペーサー63、63との間の外側の溝部65にポリサルファイド系接着剤やシリコーン系接着剤等の封止材を充填し、硬化処理をするという工程を経なければならない。特許文献1に記載したような構成の2層の空間層を有する複層ガラスを上記したような構成をもって3層以上の空間層を有する多層構成の複層ガラスを製造しようとすると、更に部品点数、組立て工数が多くなってしまうという問題点がある。
特許文献1に記載の複層ガラスの構成においても、外側のガラス板と、内側のガラス板との間の中間に配されるガラス板が、接着材によりスペーサーに封着されているので、中間に配されたガラス板によって区画された内側と外側のそれぞれの区画中間層が独立した密閉空間になり、気圧変動、温度変動を受けやすいという傾向がある。又、区画中間層がそれぞれ個別の層であり、中間層に封入ガスを充填しようとする場合、その充填作業を別々に行なわなければならず、多層構成の複層ガラスの製造における工程数及び部品点数が増えるということになる。
又、特許文献1及び2のいずれにも、3層以上の空間層を有する多層構成の複層ガラスを製造しようとする場合、品質を保持し、更に耐久性を高めるという課題や、またこのような多層構成の複層ガラスの製造を簡略化するという課題については、いずれにも何ら言及されていない。
近年、省エネルギー住宅、建造物において開口部の断熱性の要求の益々の高まりによって、4枚以上のガラス板を、スペーサーを介してそれぞれ隔置して、3層以上の空間層が形成されるようにされた高断熱性多層複層ガラスの要求が高くなっており、又、かかる高断熱性多層複層ガラスにおいても、更に一層、充分な長期間の耐久性が要求されてきている。
本発明は、かかる各種の要求に応え、2枚のガラス板と、少なくとも更に1枚以上の中間板とが隔置された、ガラス板及び中間板の合計枚数が3枚以上の多重ガラスタイプの多重ガラス障子において、安定した品質と耐久性を備えさせ、更に製造も簡易化することを目的とするものである。
なお、本発明の多重ガラス障子は、住宅、その他各種の建造物の窓に使用される内側と外側の2枚のガラス板を枠体によって隔置して空間層を形成し、かかる空間層内に少なくとも1枚以上の中間板を配した構成のものであり、態様によっては框部も有するので、本明細書においては、複層ガラス、あるいは複層ガラス障子と呼ぶよりも、多重ガラス障子と称する。従って、本発明の多重ガラス障子は、いわゆる複層ガラス、多重ガラス、多層ガラス等も含むものである。
本発明者は、前記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に至ったものであり、下記(1)〜(7)の構成を有する多重ガラス障子を提供するものである。
(1)第1のガラス板と第2のガラス板とを有し、これらガラス板間の周囲に枠体を配して、これらガラス板を隔置し、空間層を形成するとともに、当該空間層がこれらガラス板の周囲において封着されてなる多重ガラス障子であって、前記空間層には、少なくとも1枚以上の中間板を配して複数層の区画空間層を形成し、これら複数層の区画空間層は、枠体に設けられた連通構造により、前記複数層の区画空間層の内、少なくとも2層の区画空間層同士で連通していることを特徴とする多重ガラス障子。
(2)前記した複数層の区画空間層は、枠体に設けられた連通構造により、複数層の区画空間層同士で連通しており、複数層の区画空間層内の圧力は均一にされていることを特徴とする上記(1)に記載の多重ガラス障子。
(3)前記枠体の少なくとも一部には、乾燥剤を収納する空間部を有するスペーサー部が設けられており、当該スペーサー部には、前記中間板の周辺部の少なくとも一部を保持する中間板保持部が設けられており、当該中間板保持部において前記複数層の区画空間層の内、少なくとも2層の区画空間層同士が連通する連通構造を有していることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の多重ガラス障子。
(4)前記枠体の少なくとも一部には、乾燥剤を収納する空間部を有するスペーサー部が設けられており、当該スペーサー部は、前記複数層の区画空間層の内、少なくとも2層の区画空間層同士が連通する流路、又は共有空間部からなる連通構造を有していることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の多重ガラス障子。
(5)前記枠体は、矩形の第1のガラス板と第2のガラス板の4辺の周辺部に配される縦枠体部と、横枠体部と、縦枠体部及び横枠体部とを連結するコーナー部とを有し、当該コーナー部において、前記複数層の区画空間層の内、少なくとも2層の区画空間層同士が連通する連通構造を有していることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の多重ガラス障子。
(6)前記枠体は、矩形の第1のガラス板と第2のガラス板の4辺の周辺部に配される縦枠体部と、横枠体部と、縦枠体部及び横枠体部とを連結するコーナー部とを有し、前記中間板のコーナー部に位置する中間板の角部の少なくとも一部に設けられた切り欠き部により前記複数層の区画空間層の内、少なくとも2層の区画空間層同士が連通する連通構造を有していることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の多重ガラス障子。
(7)前記空間層には、少なくとも1枚以上の中間板を配して複数層の区画空間層が形成され、これら複数層の区画空間層は、枠体に設けられた連通構造により、それぞれ連通していることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の多重ガラス障子。
上記した本発明の(1)、(2)、(5)、(6)の態様によれば、第1のガラス板と第2のガラス板とが枠体により隔置されて形成された空間層には、少なくとも1枚以上の中間板を配して複数層の区画空間層を形成し、これら複数層の区画空間層は、枠体に設けられた連通構造により、前記複数層の区画空間層の内、少なくとも2層の区画空間層同士で連通しているので、それらの区画空間層の圧力の均一化を図ることができ、気圧変動、温度変化、風圧変動などによる中間板の反りや変位を防ぐことができ、長期的な耐久性を向上させることができる。又、各区画空間層が連通しているので、区画空間層へのガスの充填作業も、それらの区画空間層ごとに個別に行なう必要がなく、一つの箇所からでもガスの充填作業を行なうことができる。
上記した本発明の(3)の態様によれば、前記枠体のスペーサー部には、前記中間板の周辺部の少なくとも一部を保持する、溝部、把持部、嵌合部、係止部等の構造を有する中間板保持部が設けられているので、この中間板保持部に少なくとも1枚以上の中間板の周縁部を配することにより、隔置された第1のガラス板と第2のガラス板との間の空間層に、複数層の区画空間層を形成することができるとともに、当該中間板保持部において前記した複数層の区画空間層同士が連通する連通構造が設けられているので、各区画空間層内の圧力の均一化を図ることができ、気圧変動、温度変化、風圧変動などによる中間板の反りや変位を防ぐことができ、長期的な耐久性を向上させることができる。
上記した本発明の(4)の態様によれば、前記枠体の少なくとも一部には、乾燥剤を収納する空間部を有するスペーサー部が設けられており、当該スペーサー部に、前記した少なくとも2層の区画空間層同士が連通する流路、又は共有空間部からなる連通構造が設けられているので、上記した(1)〜(3)の態様と同様に、それらの区画空間層の圧力の均一化を図ることができ、気圧変動、温度変化、風圧変動などによる中間板の反りや変位を防ぐことができ、長期的な耐久性を向上させることができる。
上記した本発明の(7)の態様によれば、上記した複数層の区画空間層が、枠体に設けられた連通構造により、前記した複数層の区画空間層がそれぞれ連通しているので、それぞれの区画空間層の圧力の均一化を図ることができ、気圧変動、温度変化、風圧変動などによる中間板の反りや変位を防ぐことができ、長期的な耐久性を向上させることができる。又、それぞれの区画空間層が連通しているので、区画空間層へのガスの充填作業も、それぞれ区画空間層ごとに個別に行なう必要がなく、一つの箇所から封入ガスの充填作業を行なうことができ、多重ガラス障子の組み立てを簡略化することができる。
次に、本発明の多重ガラス障子を図1〜図9の図面に基づいて具体的に説明する。図面に例示した例は、本発明の好ましい実施形態を例示したものであり、本発明は、これら例示の図面とその説明に限定されない。
図1は、本発明に係る多重ガラス障子の正面図、図2、図3は、本発明に係る多重ガラス障子の一部断面概略斜視図を示す。図1〜図3において、1は多重ガラス障子、2はガラス板、3aは多重ガラス障子の下辺側の枠体、3bは多重ガラス障子の側辺側の枠体、3cは多重ガラス障子の上辺側の枠体(以下、上辺側の枠体、側辺側の枠体、及び下辺側の枠体を総称する場合、枠体3ともいう。)、4は枠体3により隔置されたガラス板2、2の間に当該ガラス板2、2と隔置して配された中間板、5はガラス板2、2の間に形成された空間層、6は各枠体3a、3b、3cをそれらのコーナー部において連結するコーナー部材を示す。図2において、前記枠体3は、第1及び第2のガラス板2、2の間隔を保持する内面部50及び外面部51と、当該内面部50及び外面部51に連設され、第1及び第2のガラス板2、2の内側に面する側辺部52と、乾燥剤を収納する空間部53とを有するスペーサー部54と、前記第1及び第2のガラス板2、2の周縁部の内側に面する縦框部55を有する框部56とを備え、前記スペーサー部54には、前記中間板の周辺部の少なくとも一部を保持する中間板保持部が設けられており、当該中間板保持部において中間板が配される。なお、図3に示した例においても、図2と同様な構成を有する。
図4から図9は、本発明の実施形態の具体例に係る多重ガラス障子の要部を説明する部分概略断面図である。図示した例は、多重ガラス障子の中で、下辺側の部分の具体例を示した図面であり、図3のB−B線の矢印方向から見た多重ガラス障子の下辺側の部分の概略断面図である。本発明の多重ガラス障子においては、第1のガラス板11と第2のガラス板12とが枠体13により隔置され、第1及び第2のガラス板11、12の間に空間部が設けられ、又第1及び第2のガラス板11、12の間に中間層に1枚以上の中間板が配されることにより区画された複数層の中間層が設けられる。
上記した第1のガラス板11及び第2のガラス板12の間に形成された中間の層、及び上記したよう中間板の配設により第1のガラス板11及び第2のガラス板12の間に形成された複数層の区画された中間の層を、本明細書においては、空間層と称し、この空間層には、封入ガス、例えば、乾燥空気や、アルゴンガス、クリプトンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスが充填され、断熱性及び/又は防音性が高められ、又枠体のスペーサー部に空間部に収納された乾燥剤により多重ガラス障子の結露防止性能が付与される。この空間層は、空気層、ガス層、中間層、又は中空層と呼んでもよく、空間層は、空気層、ガス層、中間層、又は中空層などと同義である。
前記多重ガラス障子10は、第1のガラス板11と第2のガラス板12とを、第1及び第2のガラス板間の周囲に枠体13を配して、第1及び第2のガラス板を隔置し、空間層14を形成するとともに、当該空間層14が第1及び第2のガラス板の周囲において封着されてなり、前記枠体13には空間層14内に配される中間板15の端部を保持する1列又は2列以上の複数列の中間板保持部16が設けられており、前記空間層14内に少なくとも1枚以上の中間板15が前記した枠体13に設けられた中間板保持部16を利用して配されるようになっており、かかる中間板15により前記空間層14が複数層の区画空間層に分割される構成となっている。以下、前記空間層14が中間板15により区画された空間層を区画空間層ともいう。同図において、17、18は、多重ガラス障子10の周辺の枠体13の側辺と第1のガラス板11との当接部分、及び枠体13の側辺と第2のガラス板12との当接部分において、両者を接着ないし粘着して、上記第1及び第2のガラス板11、12の間の空間層を封着する封着シール材であり、17は第1の封着シール材、18は第2のシール材である。
上記した第1のガラス板11及び第2のガラス板12の形状、板厚は、目的とされる多重ガラス障子の形状、寸法に応じて適宜、選ばれるが、通常の住宅用、その他建造物の窓に使用される場合には、一般的には、矩形の平板のガラス板であり、それぞれの板厚は、0.7mm〜10mmの範囲であり、第1及び第2のガラス板11、12の寸法は、同一、又はほぼ同寸法であるのが好ましい。又、第1及び第2のガラス板は、板厚が異なっていてもよいし、種類が異なったガラス板であってもよい。又、ガラス板の種類としては、通常、建築用として用いられているフロートガラス板、普通ガラス板、熱線吸収ガラス板、紫外線吸収ガラス板、熱線反射ガラス板、低放射ガラス板(Low−Eガラス板)、型板ガラス、合わせガラス板、線・網入りガラス板、風冷強化ガラス板、化学強化ガラス板や、これらの機能が複合化されたガラス板などが、目的とする要求仕様に応じて適宜使用することができる。
上記した第1及び第2のガラス板11、12の間に、当該ガラス板11、12と所定間隔をおいて隔置して、かつ当該ガラス板11、12と平行に配される1枚、ないし2枚以上の中間板15は、第1及び第2のガラス板11、12の間の空間層14の空間のガスの対流を少なくし、断熱性を高めるために、また防音性能を高めるために配されるものである。
中間板15は、枠体13の内面側(即ち、空間層側)に設けられた中間板保持部16に、挿入、嵌め込み、係止等の配設方法によって配することができるように、ガラス板11、12より小寸法の相似形の矩形状とされるのが好ましい。第1及び第2のガラス板11、12が矩形状である場合、第1及び第2のガラス板11、12は、その周縁の4辺において前記した枠体13により隔置されて、多重ガラス障子が構成されるのが好ましい。
この中間板15は、第1及び第2のガラス板11、12の間に配されるため、外部には露出しないので、強度の要求度は第1及び第2のガラス板に比べ低くても構わず、板厚の薄い材料を使用することができ、そのため、3重タイプ、あるいはそれ以上の多重ガラス障子あっても、全体の厚さの増加を抑制してより薄く設計することが可能となる。かかる中間板15としては、ガラス板、プラスチック板、プラスチックフィルム等が使用できる。中間板15としては、透明板であってもよいし、着色されたものであってもよいし、模様付きのものであってもよいし、これらの組合わされたものでもよい。中間板としては、配設される場所、部位、意匠性等に応じて適宜の中間板が使用される。中間板としてガラス板を使用する場合、第1及び第2のガラス板11、12の間に配されるため、全体の厚さを薄くすることができる板厚が2mm以下のガラス板を好ましく使用できる。中間板15がガラス板の場合は、板厚が薄くても、剛性が高いので、中間板保持部16への挿入、嵌め込み、係止等の配設作業も容易であり、又透明性及び耐久性が高も高いので、多重ガラス障子用の中間板としてより好ましい。
特に、中間板15として、板厚を薄くしても充分な強度を有する化学強化ガラス板を好ましく使用することができる。化学強化ガラス板は、ソーダライムシリケートガラス等のNa成分やLi成分を含有するガラス板を、硝酸カリウム等の溶融塩中に浸漬させ、ガラス板の表面に存在する原子径の小さなNaイオン及び/又はLiイオンと、溶融塩中に存在する原子径の大きなKイオンとをイオン交換してガラス板の表面層に圧縮応力層を形成して強度を高めるという化学強化技術を利用して製造されたガラス板であり、板厚が2mm以下のガラス板でも、充分に高い破壊強度を有する。例えば、2mmの板厚の通常のソーダライムシリケートガラスからなる普通ガラス板に比べ、同厚の普通ガラス板を上記したようなイオン交換処理した化学強化ガラス板は、約2〜10倍程度の破壊強度を有する。従って、中間板15として化学強化ガラス板を使用すれば、本発明の多重ガラス障子の中間板の薄板化により軽量化を図ることができ、又、本発明の多重ガラス障子を製作する際、中間板の割れを防止することができるので、特に好ましい。なお、化学強化ガラス板の場合、切断手段の選択により、あるいは化学強化処理の程度の制御により、後切りができるようにすることが可能であるので、製造された化学強化ガラス板を中間板15としての所定寸法に選択して切断することが可能である。
上記した枠体13は、第1及び第2のガラス板11、12を、所定間隔をおいて隔置するスペーサー部としての機能を有する構造を有していればよいものである。平面視の形状が矩形の多重ガラス障子である場合、多重ガラス障子の上辺、下辺、左辺、右辺の4辺に配される。各辺の枠体は、基本的に単一部材からなっているものがより好ましい。即ち、各辺の枠体は、基本的には一つの部材により成型されたものが好ましい。又、上辺、下辺、左辺、右辺の4辺の枠体の突き合わせ部には、通常コーナー部材が配され、上辺、下辺、左辺及び右辺の4辺の枠体が連結され、枠状に形成される。
枠体13は、空間層側の少なくとも一部に乾燥剤を収納する空間部を有するスペーサー部を備えていることが好ましい。このスペーサー部を備えた枠体は、上辺、下辺、左辺及び右辺の4辺の少なくともいずれかでもよい。
また、枠体13は、前記枠体の第1のガラス板側及び第2のガラス板側の両方に、あるいはいずれか一方に縦框部を有していてもよい。
なお、枠体13は、上記したようなスペーサー部や縦框部を有せず、単に第1及び第2のガラス板11、12を隔置する機能を有している構造であってもよい。
平面視の形状が矩形の多重ガラス障子である場合、多重ガラス障子の上辺、下辺、左辺、右辺の4辺に配される枠体としては、多重ガラス障子の4辺とも同じ形状の枠体を使用すれば、多重ガラス障子の組み付けにおける部品点数を少なくすることができるとともに、多重ガラス障子の周辺部の外観、意匠を同じようにすることができるので好ましいが、勿論、多重ガラス障子に下辺側の枠体、上辺側の枠体、左辺の枠体、右辺の枠体は、それぞれの各辺の要求される機能を満たすように、それぞれ異なる構造としてもよい。なお、上記したように上辺、下辺、左辺及び右辺の4辺に配される枠体を共通の構造とし、スペーサー部を備えた構造とした場合、枠体を用いて多重ガラス障子を作製する際、枠体13のスペーサー部の空間部への乾燥剤の収納は、必要な辺、又は、必要な部分に行なえばよい。
本発明の多重ガラス障子においては、図4〜図8に示されるように、枠体13の空間層14側の内面側で、かつ長手方向には、第1及び第2のガラス板11、12の面方向と平行に延びる、空間層14内に配される中間板15の端部を保持する溝状の中間板保持部16が設けられており、当該中間板保持部16は、枠体13の幅方向、即ち第1及び第2のガラス板11、12の間隔の幅方向に、所定間隔をおいて1列又は2列以上設けられている。かかる中間板保持部は、平面視の形状が矩形の多重ガラス障子である場合、多重ガラス障子の上辺、下辺、左辺、右辺の4辺のうち、少なくとも対向辺にそれぞれ、対称的に設ければよいが、下辺、左辺及び右辺の3辺、又は上辺、左辺及び右辺の3辺、又は上辺、下辺、左辺及び右辺の4辺に対称的に設けるのが好ましい。
枠体に設けられる中間板保持部の形状としては、中間板の端部を保持することにより空間層に区画空間層が形成される形状であればよく、例えば、中間板の端部を挿入する溝部もしくは嵌合部が、または中間板の端部を係止する把持部もしくは係止部が、またはこれらの組合せが代表的な例として挙げることができる。また、複数の中間板保持部においては、それぞれ同様な構造の形状としてもよいし、また異なる構造を含んでいてもよい。勿論、これら例示された構造に限らず、中間板の端部を保持することができる機能を有しているその他の構造のものであってもよい。
本発明の前記多重ガラス障子10においては、前記空間層14内に1枚、又は2枚以上の複数枚の中間板15が、前記した枠体13に設けられた1列、又は2列以上の複数列の中間板保持部16を利用して配され、かかる中間板15により前記空間層14が複数層の区画空間層に分割される構成となっている。かかる複数層の区画空間層は、枠体に設けられた連通構造により、複数層の区画空間層同士で連通することを特徴とする。ここにおいて、連通とは、区画空間層に充填された封入ガスが、区画空間層同士の間で流通、即ち通気することを意味する。
以下、図4〜図8を参照して、本発明の多重ガラス障子の具体例について説明する。
図4〜図8に示した多重ガラス障子10は、単一の部材からなる枠体13を有し、当該枠体13の長手方向には、第1のガラス板11及び第2のガラス板12の面方向と平行に延びる溝状部を有する中間板保持部16が3列設けられている。かかる3列の中間板保持部16は、枠体13の幅方向、即ち第1及び第2のガラス板11、12の間隔の幅方向に所定間隔をおいて設けられている。そして、3列の中間板保持部16の溝状部には、それぞれガラス板からなる中間板15の端部が挿入され、枠体13のスペーサー部24によって隔置された第1及び第2のガラス板11、12の間の空間層14は、3枚の中間板15、15、15によって3層の区画空間層14a、14b、14c、14dに分割されている。
図4(a)及び(b)に示した多重ガラス障子10は、中間板保持部16の溝状部の底部においては、クッション性材料あるいは弾性材料などの材料からなるベース部材21によって中間板15の端部が支持され、又中間板保持部16の溝状部の上部の両側部においても、弾性材料あるいはクッション性材料などの材料からなるリップ部22によって中間板15の周辺部が支持されている。前記したベース部材21は、例えば、中間板保持部16の溝状部の底部の長手方向の少なくとも一部において、余白部(即ち、ベース部材21の敷設されていない部分)が形成された構成とされている。即ち、図4(b)に示されるように、ベース部材21は、中間板保持部16の溝状部の長手方向に一連に形成されているのではなく、所定長さのベース部材21、21、21、21が、複数個、中間板保持部16の溝状部の底部に配され、隣り合うベース部材21、21の間に、あるいはベース部材21の端部側に、余白部41、41、41、41、41が形成されている。この様な余白部41が、中間板が配される中間板保持部16の溝状部の底部において、溝状部の左右を連通、即ち通気する底部流通部を形成する。又、中間板保持部16の溝状部の上部において、中間板15の周辺部を支持する左右のリップ部22、22も中間板保持部16の溝状部の長手方向の少なくとも一部において、余白部(即ち、リップ部22、22が設けられていない部分)が形成された構成とされている。即ち、図4(b)に示されるように、リップ部22は、中間板保持部16の溝状部の長手方向の両側に一連に形成されているのではなく、所定長さの複数のリップ部22、22、22、22が、中間板保持部16の溝状部の上部に配され、隣り合うリップ部22、22の間に、あるいはリップ部22の端部側に、余白部42、42、42、42、42が形成されている。この様な余白部42が、中間板が配された中間板保持部16の溝状部の上部において、左右の区画空間層を流通、即ち通気する上部流通部を形成する。かかる底部流通部及び上部流通部により4層の区画空間層14a、14b、14c、14d同士が連通している。
上記したような連通構造により、各区画空間層内の圧力の均一化を図ることができ、気圧変動、温度変化等による中間板の反りや変位を防ぐことができ、長期的な耐久性を向上させることができる。又、各区画空間層が連通しているので、区画空間層への封入ガスの充填作業も、区画空間層ごとに個別に行なう必要がなく、一つの箇所からでも封入ガスの充填作業を行なうことができる。
なお、上記した例においては、区画空間層14a、14b、14c、14dの4層とも連通する構成とされているが、4層の区画空間層14a、14b、14c、14dのうち、必要な区画空間層同士を流通する構成としてもよい。例えば、区画空間層14aと14b同士を連通させ、又、区画空間層14cと14d同士を連通させ、区画空間層14bと区画空間層14cとを連通させない構造としてもよい。
又、上記した多重ガラス障子10においては、枠体13に、4層に区画された空間層のそれぞれに対応する個別の乾燥剤を収納する空間部23が備えられている。かかる空間部23を構成する壁部分のうち、空間層側の上辺壁には、空間層と連通する孔あるいはスリット等の連通部26が形成されており、空間部23に収納された乾燥剤(図4においては、空間部23内に小さな略円形状をもって表したものが乾燥剤である。以下同様。)が、空間部23の連通部26を通して空間層14との間で呼吸し、空間層14内の乾燥状態を維持するようになっている。なお、多重ガラス障子の4辺の枠体に空間部23を形成した場合、乾燥剤の充填は、4辺のうち必要な辺の枠体のみ、又は必要部分のみでよい。
又、上記した枠体13は、硬質塩化ビニル樹脂材料、その他の合成樹脂材料により成型されたもの、あるいはアルミニウム材料により成型されたもの、あるいは合成樹脂材料とアルミニウム材料との複合材料からなる単一の部材からなるものがより好ましく選択される。特に、硬質塩化ビニル樹脂材料、その他の合成樹脂材料によりなる枠体を用いた多重ガラス障子は、断熱効果が高く、結露もしにくく、又遮音性にも優れているので、より好ましい。
枠体13が、硬質塩化ビニル樹脂材料、その他の合成樹脂材料により成型されたものである場合、枠体13の外側から耐透湿性をより一層高めるために、枠体13の外面側部Sにアルミニウム箔等の透湿防止フィルムを貼りつけることができる。
図示した例は、多重ガラス障子の下辺側の枠体の構造について説明したものであるが、多重ガラス障子の上辺側の枠体、左辺側の枠体、右辺側の枠体においても基本的に下辺部の枠体と同様の構造の構造とするのが、枠体の全体の組立の容易さの点から、より好ましい。
図5に示した多重ガラス障子10において、枠体13には、4層に区画された空間層14a、14b、14c、14dのそれぞれに対応する個別の乾燥剤を収納する空間部23を有するスペーサー部24a、24b、24c、24dが備えられている。そして、スペーサー部24aと24bとの間には、流路25aが形成され、この流路25aの端部はそれぞれ空間層14aと14bに開口されており、この流路25aにより空間層14aと14b同士が流通する構造になっている。同じく、スペーサー部24bと24cとの間には、流路25bが形成され、この流路25bの端部はそれぞれ空間層14bと14cに開口されており、この流路25bにより空間層14bと14c同士が流通するようになっており、又スペーサー部24cと24dとの間には、流路25cが形成され、この流路25cの端部はそれぞれ空間層14cと14dに開口されており、この流路25cにより空間層14cと14d同士が流通するようになっている。かかる流路25a、25b、25cにより4層の区画空間層14a、14b、14c、14d同士が連通している。この流通構造により、図4に示した構造の多重ガラス障子と同様に、各区画空間層14a、14b、14c、14d内の圧力の均一化を図ることができ、気圧変動、温度変動等による中間板の反りや変位を防ぐことができ、長期的な耐久性を向上させることができる。又、各区画空間層が連通しているので、区画空間層への封入ガスの充填作業も、各区画空間層ごとに個別に行なう必要がなく、一つの箇所からでも封入ガスの充填作業を行なうことができる。
かかる空間部23を構成する壁部分のうち、空間層側の上辺壁には、空間層と連通する孔あるいはスリット等の連通部26が形成されており、空間部23に収納された乾燥剤が、空間部23の連通部26を通して空間層14との間で呼吸し、空間層14内の乾燥状態を維持するようになっている。なお、多重ガラス障子の4辺の枠体に空間部23を形成した場合、乾燥剤の充填は、4辺のうち必要な辺の枠体、または枠体の必要部分であってもよい。
図5に示した例では、中間板保持部16の溝状部の底部においては、クッション性材料あるいは弾性材料などの材料からなるベース部材21によって中間板15の端部が支持され、又中間板保持部16の溝状部の上部の両側部においては、コーキング材35によって中間板15の周辺部が支持されている。
図6に示した多重ガラス障子10においても図5と同様に、枠体13には、4層に区画された空間層14a、14b、14c、14dのそれぞれに対応する個別の乾燥剤を収納する空間部23を有するスペーサー部24a、24b、24c、24dが備えられている。そして、スペーサー部24aと24bの下部(即ち、空間層14側とは、反対側)には、一端がスペーサー部24aに開口し、他端がスペーサー部24bに開口する、スペーサー部24aと24b同士の間を流通する流路27aが形成されている。同じく、スペーサー部24bと24cの下部には、一端がスペーサー部24bに開口し、他端がスペーサー部24cに開口する、スペーサー部24bと24c同士の間を流通する流路27bが形成されており、又スペーサー部24cと24dの下部には、一端がスペーサー部24cに開口し、他端がスペーサー部24dに開口する、スペーサー部24cと24d同士の間を流通する流路27cが形成されている。かかる流路27a、27b、27cにより4層の区画空間層14a、14b、14c、14d同士が連通している。この流通構造により、図4、図5に示した構造の多重ガラス障子と同様な効果が発揮される。
図6に示した例も、図5と同様に、中間板保持部16の溝状部の底部においては、クッション性材料あるいは弾性材料などの材料からなるベース部材21によって中間板15の端部が支持され、又中間板保持部16の溝状部の上部の両側部においては、コーキング材35によって中間板15の周辺部が支持されている。
図7に示した多重ガラス障子10において、枠体13には、4層に区画された空間層14a、14b、14c、14dのそれぞれに対応する個別の空間部23a、23b、23c、23dを有するスペーサー部24a、24b、24c、24dが備えられている。この各スペーサー部の空間部23a、23b、23c、23dの下方(即ち、空間層14側とは、反対側)は、開口しており、空間部23a、23b、23c、及び23dが連通して共用する一つの空間領域となる共有空間部28を形成している。この例においては、共有空間部28の形成により空間部23a、23b、23c、及び23dがその下方において連通した構造となっている。一方、前記した共有空間部28の下方には、乾燥剤を収納する筺体部29が設けられている。この筺体部29には、当該筺体部29の空間層14側の壁部分に前記共有空間部28と連通する孔あるいはスリット等の連通部30が形成されており、又空間部23を構成する壁部分のうち、空間層側の上辺壁には、空間層と連通する孔あるいはスリット等の連通部26が形成されており、筺体部29に収納された乾燥剤が、筺体部29の連通部30及び空間部23の連通部26を通して空間層14との間で呼吸し、空間層14内の乾燥状態を維持するようになっている。
図8に示した多重ガラス障子10は、図4に示した多重ガラス障子10の変形例であり、中間板保持部16の溝状部の底部において、ベース部材21によって中間板15の端部が支持され、又中間板保持部16の溝状部の上部の両側部において、リップ部22によって中間板15の周辺部が支持されており、中間板が配された中間板保持部16の溝状部の底部において、溝状部の左右が連通する底部流通部を有し、かつ中間板が配された中間板保持部16の溝状部の上部において、空間層と流通する上部流通部を有し、かかる底部流通部及び上部流通部により4層の区画空間層14a、14b、14c、14d同士が連通していることは、同様である。
図8において、枠体13には、4層に区画された空間層のそれぞれに対応する個別の乾燥剤を収納する空間部23を有するスペーサー部24が備えられ、かつ前記枠体の第1のガラス板11と第2のガラス板12側の少なくとも一部に縦框部31が備えられている。かかる縦框部31は、枠体13の側辺、即ち第1のガラス板11と第2のガラス板12の周辺部と当接する部分から、空間層14と反対側(図においては下側)に延びており、第1及び第2のガラス板の端面まで伸びて形成されており、これによって、枠体13の第1のガラス板11と第2のガラス板12の間の周縁部に、断面形状が略コの字形状の凹状部33が形成されている。そして、縦框部31は、その終端部から第1及び第2のガラス板11、12の端面方向に屈曲して横方向に延びる屈曲框部32を有しており、かかる屈曲框部32により第1及び第2のガラス板11、12の端面部を保護するとともに、第1及び第2のガラス板11、12をより確実に支持することができる。ここに示した例においては、縦框部31と屈曲框部32とから框部が構成されており、かかる框部は、枠体13のスペーサー部の側辺部と一体化されており、当該框部は枠体の一部を構成している。又、縦框部31の高さを所定長さに選び、この凹状部33を利用して、戸車、戸車支持部材、外れ止め部品、補強材、その他、障子機能部品を設けることもできる。この凹状部33内の空間を利用して障子機能部品を設ければ、枠体の縦框部によって障子機能部品が外側から隠蔽される状態とすることができる。
図4〜図8は、本発明の枠体の具体的構成を、多重ガラス障子の下辺側の枠体に対して適用した例について説明したものであるが、図4〜図8において示した構造は、多重ガラス障子の下辺側の枠体、上辺側の枠体、左辺側の枠体、右辺側の枠体の少なくともいずれかに適用して、前記複数層の区画空間層の内、少なくとも2層の区画空間層同士が連通するようにすればよいものである。従って、図4〜図8において示した構造は、多重ガラス障子の下辺側の枠体、上辺側の枠体、左辺側の枠体及び右辺側の枠体のそれぞれに適用してもよいし、多重ガラス障子の下辺側の枠体、上辺側の枠体、左辺側の枠体及び右辺側の枠体の少なくともいずれか一つの枠体に適用してもよい。
次に、多重ガラス障子における空間層に少なくとも1枚以上の中間板を配して形成された複数層の区画空間層同士を連通する他の具体例について説明する。この例の形態は、図1に示したような平面視の形状が矩形状の多重ガラス障子1において、下辺部の枠体3aと上辺部の枠体3cと左右側辺部の枠体3bとを、それらをコーナー部においてコーナー部材6を使用して組み立ててなる枠体のコーナー部を利用して複数層の区画空間層同士を連通する構成である。
図9の(a)、(b)は、下辺部の枠体3aと左側辺部の枠体3bとが、コーナー部材6によって連結された部分の正面説明図である。
この部分に使用されるコーナー部材6の代表的なものは、下辺部の枠体3aの端面に開口したスペーサー部の空間部に挿入される第1の連結部(図示せず)と、左側辺部の枠体3bの端面に開口したスペーサー部の空間部に挿入される第2の連結部(図示せず)とを有しており、コーナー部材6の第1の連結部を下辺部の枠体3aの端面に開口したスペーサー部の空間部に挿入するとともに、コーナー部材6の第2の連結部を左側辺部の枠体3bの端面に開口したスペーサー部の空間部に挿入することにより、コーナー部材6を介して下辺部の枠体3aと左側辺部の枠体3bとが連結する。複数列のスペーサー部の空間部がある場合には、上記した連結には、通常複数列のうち少なくとも2列の空間部を用いるのが好ましい。
この様にコーナー部で枠体を連結した場合、図9のように、第1及び第2のガラスの間の空間層に配される矩形形状の中間板15は、中間板保持部の溝状部の底面部においてべース部材21を介して配されており、矩形形状の中間板15の下辺は一点鎖線15pをもって、矩形形状の中間板15の左辺は一点鎖線15qをもって、又矩形形状の中間板15の角部の辺は、一点鎖線15rをもって表示したようになる。又、上記中間板15の周縁部は、中間板保持部の溝状部の上部においてその両側からリップ部22によって挟持されている。
図9(a)示した例においては、枠体3aに形成された複数列のべース部材21は、中間板の角部、即ち枠体3aが、コーナー部材6の内の枠体3bと突き合わされる部分まで延びておらず、コーナー部材6の枠体3aの突き合わせ面6aで切れているので、コーナー部材の内部においてベース部材21の形成されていない余白部が複数列形成される。又、枠体3bに形成された複数列のべース部材21も同様に、中間板の角部、即ち枠体3bが、コーナー部材6の内の枠体3aと突き合わされる部分まで延びておらず、コーナー部材6の枠体3bの突き合わせ面6bで切れているので、コーナー部材の内部においてベース部材21の形成されていない余白部が複数列形成される。
又、枠体3aに形成された複数列のリップ部22は、中間板の角部、即ち枠体3aが、コーナー部材6の内の枠体3bと突き合わされる部分まで延びておらず、コーナー部材6の枠体3aの突き合わせ面6aで切れているので、コーナー部材の内部においてリップ部22の形成されていない余白部が複数列形成される。又、枠体3bに形成されたリップ部22も同様に、中間板の角部、即ち枠体3bが、コーナー部材6の内の枠体3aと突き合わされる部分まで延びておらず、コーナー部材6の枠体3bの突き合わせ面6bで切れているので、コーナー部材の内部においてリップ部22の形成されていない余白部が複数列形成される。
このように、コーナー部材の内部において、ベース部材21の形成されていない複数列の余白部、及びリップ部22の形成されていない複数列の余白部を形成することにより、枠体のコーナー部材の内部において、複数層の区画空間層同士を連通する共有空間部を有する連通構造を設けることができ、これによって複数層の区画空間層同士を連通して複数層の区画空間層同士を均一な圧力にすることができる。
なお、複数層の区画空間層同士を連通する共有空間部としては、上記したような構造によるものに限らず、その他の構造を採用することができる。
又、枠体のコーナー部材の構造において、図9の(a)に示した様な、複数層の区画空間層同士の共有空間部を設けることができない場合には、第1及び第2のガラス板の間に形成される空間層内に配される矩形状の中間板の4角の少なくとも一か所の角部を切り欠くことによって切欠き部43(即ち、角切り部)を形成し、この切欠き部によってコーナー部材の内側において形成された複数層の区画空間層同士が連通する共有空間部を利用して複数層の区画空間層同士で連通することができる。
即ち、図9(b)示した例においては、枠体3aに形成された複数列のべース部材21は、中間板の角部、即ち枠体3aが、コーナー部材6の内の枠体3bと突き合わされる部分まで延びて形成されている。又、枠体3bに形成された複数列のべース部材21も同様に、中間板の角部、即ち枠体3bが、コーナー部材6の内の枠体3aと突き合わされる部分まで延びて形成されている。
又、枠体3aに形成された複数列のリップ部22も、中間板の角部、即ち枠体3aが、コーナー部材6の内の枠体3bと突き合わされる部分まで延びて形成されており、又、枠体3bに形成されたリップ部22も同様に、中間板の角部、即ち枠体3bが、コーナー部材6の内の枠体3aと突き合わされる部分まで延びて形成されている。
この図9(b)示した例においては、図9の(a)に示した例のように、コーナー部材の内部において、ベース部材21の形成されていない複数列の余白部、及びリップ部22の形成されていない複数列の余白部を形成されていないので、この構造によっては、枠体のコーナー部材の内部において、複数層の区画空間層同士を連通する共有空間部を形成することができない。従って、上記したように矩形状の中間板の4角の少なくとも一か所の角部に切欠き部43(即ち、角切り部)を形成することによって、複数層の区画空間層同士を連通する共有空間部を有する連通構造を設けることができ、これによって複数層の区画空間層同士を連通して複数層の区画空間層同士を均一な圧力にすることができる。
なお、複数層の区画空間層同士を連通する共有空間部としては、上記したような構造によるものに限らず、その他の構造を採用することができる。
図9においては、下辺部の枠体と左辺部の枠体とを突き合わせるコーナー部においてコーナー部材6を使用して組み立てて連結する例について説明したが、下辺部の枠体と右辺部の枠体の連結、上辺部の枠体と左辺部の枠体の連結、上辺部の枠体と右辺部の枠体の連結も同様にして行うことができる。なお、上記した枠体を構成するコーナー部を利用した連通構造は、矩形形状の多重ガラス障子の下辺部の枠体と左辺部の枠体の連結、下辺部の枠体と右辺部の枠体の連結、上辺部の枠体と左辺部の枠体の連結の連結、及び上辺部の枠体と右辺部の枠体の連結に用いられるコーナー部材の一か所のみにおいて採用してもよいし、複数箇所において採用してもよい。
図5〜図8に示した枠体13としては、図4に示した例と同様に、合成樹脂材料、あるいはアルミニウム材料が好ましく使用される。かかる枠体形成用の合成樹脂材料としては、硬質塩化ビニル樹脂材料、アクリロニトリル・スチレン樹脂材料及びこれらにガラス繊維材を入れたものが、好ましい例として挙げられるが、勿論これらの熱可塑性合成樹脂材料に限定されるものではなく、各種熱可塑性合成樹脂材料も使用できる。
又、枠体形成材料としては、一種の材料を用いて単一の部材からなる枠体が得られるようにするのが好ましいが、これに限らず、複数種の材料を用いて複合材料の単一な部材としてもよい。例えば、異なる樹脂材料を共押し出し成型法により部分的に異なる合成樹脂材料からなる複合構造の枠体であってもよいし、又、上記したような合成樹脂材料とアルミニウム材料からなる複合構造の枠体であってもよい。このような複合構造は、所望の枠体形成材料を一体成型することにより得ることができる。特に、硬質の塩化ビニル樹脂材料やアクリロニトリル・スチレン樹脂材料により、スペーサー部を有する枠体、あるいはスペーサー部と縦框部を有する枠体とを一体成型した枠体は、障子として用いたとき、断熱性、耐久性に優れ、安価であり、断熱効果が高く、結露がしにくい、遮音性に優れた多重ガラス障子を得ることができるので、より好ましい。
又、枠体13が、硬質塩化ビニル樹脂材料、その他の合成樹脂材料により成型されたものである場合、枠体13の外側からの透湿を防止するため、枠体13の外面側(図においては下面側)にアルミニウム箔等の透湿防止フィルムを貼りつけることもできることも、図4の例と同様である。
又、図5〜図8に示した例は、多重ガラス障子の下辺側の枠体の構造について説明したものであるが、多重ガラス障子の上辺側の枠体、左辺側の枠体、右辺側の枠体においても基本的に下辺部の枠体と同様の構造の構造とするのがより好ましいことも、図4の例と同様である。勿論、多重ガラス障子の上辺側、左辺側、右辺側の枠体の仕様に応じて、適宜の構造変更を行なってもよい。
又、多重ガラス障子の4辺の枠体に空間部23を形成した場合、乾燥剤の充填は、4辺のうち必要な辺の枠体のみでよいことは、図4の場合と同様である。
本発明の多重ガラス障子において使用されるガラス板と枠体の側辺部との当接する部分の接着に使用される接着材(第1のシール材及び第2のシール材)としては、ガラス板と枠体の側辺部との間の優れた接着強度、透湿防止性、耐久性、良好な接着面等が得られるように、又ガラス板と枠体との接着工程の簡略化を考慮して、適宜の接着材が使用される。例えば、枠体の側辺部が、硬質塩化ビニル樹脂材料やアクリロニトリル・スチレン樹脂材料からなる場合、接着材としては、シリコーン系接着剤、ポリサルファイド系接着剤、ブチル系接着剤、ホットメルト系接着剤、エポキシ系接着剤や、両面接着テープ、両面粘着テープなどが好ましく使用できる。又、枠体が縦框部を備える場合、ガラス板と縦框部との間の接着に使用される接着材としても、上記と同様に、ガラス板と縦框部との間の優れた接着強度、透湿防止性、耐久性、良好な接着面等が得られるように、又、ガラス板と縦框部との接着工程の簡略化を考慮して、適宜の接着材が使用される。例えば、縦框部が、硬質塩化ビニル樹脂材料やアクリロニトリル・スチレン樹脂材料からなる場合、上記の例と同様に、接着材としては、シリコーン系接着剤、ポリサルファイド系接着剤、ブチル系接着剤、ホットメルト系接着剤、エポキシ系接着剤や、両面接着テープ、両面粘着テープなどが好ましく使用できる。前記接着材は必要に応じて接着力を向上させる目的でプライマーを使用しても良い。
以上のように、本発明によれば、第1のガラス板と第2のガラス板とが枠体により隔置されて形成された空間層には、少なくとも1枚以上の中間板を配して複数層の区画空間層を形成し、これら複数層の区画空間層は、枠体に設けられた連通構造により、複数層の区画空間層同士で連通しているので、各区画空間層の圧力の均一化を図ることができ、気圧変動、温度変化、風圧変動などによる中間板の反りや変位を防ぐことができ、より多層化を図った多重ガラス障子においても長期的な耐久性を向上させることができ、かかる本発明の多重ガラス障子は、住宅用、その他の各種建造物の窓用として有用である。
1、10…多重ガラス障子、2…ガラス板、3a…多重ガラス障子の下辺側の枠体、3b…多重ガラス障子の側辺側の枠体、3c…多重ガラス障子の上辺側の枠体、4…中間板、5…中空層、6…コーナー部材、10…多重ガラス障子、11…第1のガラス板、12…第2のガラス板、13…枠体、14…空間層、15…中間板、16…中間板保持部、17…第1のシール材、18…第2のシール材、21…ベース部材、22…リップ部、23…空間部、24…スペーサー部、25、27…流路、26…連通部、28…共有空間部、31…縦框部、32…屈曲框部、33…凹状部、50…枠体の内面部、51…枠体の外面部、52…枠体の側辺部、53…枠体の乾燥剤を収納する空間部、54…枠体のスペーサー部、55…枠体の縦框部、56…枠体の框部、S…枠体13の外面側部
Claims (7)
- 第1のガラス板と第2のガラス板とを有し、これらガラス板間の周囲に枠体を配して、これらガラス板を隔置し、空間層を形成するとともに、当該空間層がこれらガラス板の周囲において封着されてなる多重ガラス障子であって、前記空間層には、少なくとも1枚以上の中間板を配して複数層の区画空間層を形成し、これら複数層の区画空間層は、枠体に設けられた連通構造により、前記複数層の区画空間層の内、少なくとも2層の区画空間層同士で連通していることを特徴とする多重ガラス障子。
- 前記した複数層の区画空間層は、枠体に設けられた連通構造により、複数層の区画空間層同士で連通しており、複数層の区画空間層内の圧力は均一にされていることを特徴とする請求項1に記載の多重ガラス障子。
- 前記枠体の少なくとも一部には、乾燥剤を収納する空間部を有するスペーサー部が設けられており、当該スペーサー部には、前記中間板の周辺部の少なくとも一部を保持する中間板保持部が設けられており、当該中間板保持部において前記した複数層の区画空間層の内、少なくとも2層の区画空間層同士が連通する連通構造を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の多重ガラス障子。
- 前記枠体の少なくとも一部には、乾燥剤を収納する空間部を有するスペーサー部が設けられており、当該スペーサー部は、前記した複数層の区画空間層の内、少なくとも2層の区画空間層同士が連通する流路、又は共有空間部からなる連通構造を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多重ガラス障子。
- 前記枠体は、矩形の第1のガラス板と第2のガラス板の4辺の周辺部に配される縦枠体部と、横枠体部と、縦枠体部及び横枠体部とを連結するコーナー部とを有し、当該コーナー部において前記した複数層の区画空間層の内、少なくとも2層の区画空間層同士が連通する連通構造を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多重ガラス障子。
- 前記枠体は、矩形の第1のガラス板と第2のガラス板の4辺の周辺部に配される上枠体部と、下枠体部と、左右枠体部とを連結するコーナー部とを有し、前記中間板のコーナー部に位置する中間板の角部の少なくとも一部に設けられた切り欠き部により前記した複数層の区画空間層の内、少なくとも2層の区画空間層同士が連通する連通構造を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の多重ガラス障子。
- 前記空間層には、少なくとも1枚以上の中間板を配して複数層の区画空間層が形成され、これら複数層の区画空間層は、枠体に設けられた連通構造により、それぞれ連通していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の多重ガラス障子。
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