JP6606092B2 - 多重ガラス障子 - Google Patents

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Description

本発明は、4枚以上のガラス板を第1の枠体であるスペーサによって隔置して構成された多重ガラス障子に関する。
建築物の外壁として窓ガラスを使用する場合には、室内の冷暖房の効率を高めるために、所定の断熱性能(熱貫流率:U値(JIS R3107:1998年)、単位:W/m・K)が要求される。このため、近年では、単板のガラス板と比較して断熱性能が高い(すなわち、U値が低い)複層ガラス(特許文献1等参照)が、窓ガラスのガラス板として使用される傾向にある。
ところで、本願の出願人は、特許文献2において、4枚以上のガラス板を1つのスペーサ部(スペーサ)によって隔置して構成した多重ガラス障子を提案している。特許文献2の多重ガラス障子は、第1のガラス板と第2のガラス板との間の中空層内に、2枚又は3枚の中間板(中間ガラス板)を隔置して配することにより構成されている。この多重ガラス障子によれば、2枚のガラス板からなる複層ガラスと比較して、断熱性能に寄与する中空層の厚さが厚くなるので、断熱性能が向上している。
一方、特許文献3には、一対のガラスペインと低放射金属層を含む2枚のポリマーシートとからなる絶縁ガラスユニットが開示されている。前記2枚のポリマーシートは、前記一対のガラスペインの間に間隔を隔てて平行にフレームに設けられており、2枚のポリマーシートに備えられた低放射金属層によって断熱性能が高められている。
特開2014−133675号公報 特開2014−196642号公報 特表2014−500223号公報
ところで、4枚以上のガラス板を備える特許文献2の多重ガラス障子において、断熱性能を更に向上させるために、全てのガラス板をLow−E(Low−Emissivity)ガラスとして構成することが考えられている。
しかしながら、Low−Eガラスは、日射熱を吸収する特性があるので、2枚以上のガラス板からなる中間ガラス板に熱割れが発生するリスクがあることを、本願の出願人が実験及びシミュレーション解析等によって確認した。
熱割れとは、ガラス板の主面とエッジとの温度差によって発生するエッジの引張応力が、許容値を超えたときに生じる現象である。
つまり、中空層に配置される中間ガラス板は、太陽光、特に朝日の日射による中空層の温度上昇、及び日射熱を吸収する自身の特性によって、主面の温度がエッジの温度よりも急激に上昇する傾向にある。このため、中間ガラス板は、第1のガラス板及び第2のガラス板よりも熱割れのリスクが大きくなる。また、3枚の全ての中間ガラス板がLow−Eガラスである多重ガラス障子では、中央に配置される中間ガラス板のエッジ応力が、他の2枚の中間ガラス板のエッジ応力よりも高くなることを確認した。
熱割れを防止するには、中間ガラス板を放射率の大きい通常の透明のガラス板とすることで対処できるが、通常のガラス板では、日射熱が透過するので断熱性能が低下する問題があった。
なお、特許文献3の絶縁ガラスユニットは、ポリマーシートを使用しているので、熱割れの問題は発生しない。また、特許文献3では、ポリマーシートに代えて中間ガラス板を使用した際の中間ガラス板の熱割れを防止する課題は開示されていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、4枚以上のガラス板からなる多重ガラス障子において、断熱性能を確保しつつ中間ガラス板の熱割れを防止することができる多重ガラス障子を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、前記目的を達成するために、第1のガラス板と第2のガラス板とがその周囲において第1の枠体により隔置されて中空層が形成されるとともに、前記中空層が前記周囲において前記第1の枠体に封着され、かつ前記中空層に2枚以上の中間ガラス板が前記第1の枠体に保持されてなる多重ガラス障子において、前記第1のガラス板及び前記第2のガラス板は、低放射膜を有し、前記2枚以上の前記中間ガラス板のうち少なくとも1枚以上の前記中間ガラス板は、低放射膜を有し、前記2枚以上の前記中間ガラス板のうち少なくとも1枚の前記中間ガラス板は、低放射膜を有していない透明のガラス板であることを特徴とする多重ガラス障子を提供する。
本発明の一態様によれば、第1のガラス板、第2のガラス板、及び2枚以上の中間ガラス板のうち1枚以上の中間ガラス板を、低放射膜を有するLow−Eガラスとしたので、断熱性能が向上する。そして、2枚以上の中間ガラス板のうち1枚の中間ガラス板を、低放射膜を有していない透明のガラス板とすることで、日射熱を透過させ、そのガラス板の温度上昇及び中空層の温度上昇を抑えることにより、Low−Eガラスである他の1枚以上の中間ガラス板の温度上昇を抑えた。これにより、本発明の一態様によれば、4枚以上のガラス板からなる多重ガラス障子において、断熱性能を確保しつつ中間ガラス板の熱割れを防止することができる。
本発明の一態様は、第1のガラス板が建物の室外側に配置され、第2のガラス板が建物の室内側に配置される構成の多重ガラス障子であって、室外側に配置される前記第1のガラス板の放射率は、前記低放射膜を有する前記第2のガラス板及び前記中間ガラス板の放射率よりも低いことが好ましい。
本発明の一態様によれば、第1のガラス板によって、日射熱の透過率が低くなるので、日射熱による中空層の温度上昇を抑えることができ、中間ガラス板の温度上昇を抑えることができる。また、Low−Eガラスである中間ガラス板の放射率は、第1のガラス板の放射率よりも高いので、Low−Eガラスである中間ガラス板の日射熱吸収による温度上昇を抑えることができる。
本発明の一態様は、3枚の前記中間ガラス板を備え、3枚の前記中間ガラス板のうち中央に配置された1枚の中間ガラス板が低放射膜を有していない透明のガラス板であることが好ましい。
3枚の全ての中間ガラス板がLow−Eガラスである多重ガラス障子では、中央に配置される中間ガラス板のエッジ応力が、他の2枚の中間ガラス板のエッジ応力よりも高くなる傾向にある。そこで、本発明の一態様によれば、中央に配置される1枚の中間ガラス板を、低放射膜を有していない透明のガラス板としたので、中央に配置される1枚の中間ガラス板のエッジ応力の上昇を抑えることができ、熱割れを防止することができる。
本発明の一態様は、前記第1の枠体を支持する第2の枠体を備え、前記第2の枠体は、中空部を有し、前記中空部に断熱材が配置されることが好ましい。
本発明の一態様によれば、中空層の温度上昇によって、中空層の空気が膨張することで第1の枠体が膨らもうとするが、第1の枠体は、第2の枠体によって支持されて補強されているので、第1の枠体が中空層の反対側へ膨らもうとする動きを抑えることができる。そして、第2の枠体の中空部に断熱材を配置したので、夜間のガラスエッジの温度低下を抑えることができるので、中間ガラス板の主面とエッジの温度差を小さくすることができる。これにより、中間ガラス板の熱割れをより一層抑えることができる。
本発明の多重ガラス障子によれば、4枚以上のガラス板からなる多重ガラス障子において、断熱性能を確保しつつ中間ガラス板の熱割れを防止することができる。
実施形態に係る多重ガラス障子が適用された窓の下部の断面図 図1に示した多重ガラス障子の全体斜視図 図2に示した多重ガラス障子の下部の縦断面図 スペーサ同士を接続するコーナーキーの斜視図 支持板同士を接続するコーナーキーの斜視図 スペーサとコーナーキーとをビスにより接続した状態、及び支持板とコーナーキーとをビスにより接続した状態を示した要部説明図
本発明の実施形態の多重ガラス障子を添付した図面に基づいて説明する。
なお、図面は、本発明の好ましい実施形態を例示したものであり、本発明は、例示の図面とその説明に限定されるものではない。
図1は、実施形態に係る多重ガラス障子120が装着された窓100の下部の縦断面図である。
窓100は、建物の躯体の開口部に取り付けられている既設の窓枠20の内側に、室外側からアタッチメント枠110を窓枠20に装着し、アタッチメント枠110に実施形態の多重ガラス障子120を装着することにより構成される。
窓枠20は、下枠20Aと不図示の上枠及び左右の縦枠とを四方枠組みして構成されており、窓枠20の各枠材は、前記躯体に、ねじによって固定される。アタッチメント枠110も同様に、下枠110Aと不図示の上枠及び左右の縦枠とを四方枠組みして構成されている。
また、図1の符号50は、室外側の押縁であり、符号52は、室内側の気密材である。実施形態の窓枠20、アタッチメント枠110は、いずれも硬質合成樹脂材料又はアルミニウム合金の押出形材であり、図示した例は、窓枠20、アタッチメント枠110は、開閉することができないFIX窓用の窓枠である。なお、実施形態の多重ガラス障子120の適用は、FIX窓に限定されず、引き違い窓等の他の形態の窓にも適用することができる。
多重ガラス障子120とは、後述する4本のスペーサが一体化された枠体を用い、断熱性能を最大限に発揮できると想定される5枚のガラス板を隔置して構成されたものである。また、後述する4層の分割中空層には、空気よりも熱伝導率が小さいアルゴンガスが封入されており、断熱性能がより一層向上されている。なお、多重ガラス障子120は、複層ガラス障子の範疇に含まれるものであり、4枚以上のガラス板を隔置して構成されたものも含む。
〔多重ガラス障子120の全体構成〕
図2は、多重ガラス障子120の全体斜視図であり、図3は、多重ガラス障子120の下部の縦断面図である。
図2、図3の如く、多重ガラス障子120は、建物の室外側に配置されるガラス板(すなわち、第1のガラス板)122と、室内側に配置されるガラス板(すなわち、第2のガラス板)124と、ガラス板122とガラス板124との間に配置された3枚の中間ガラス板126A、126B、126Cと、ガラス板122とガラス板124とを隔置し、かつ中間ガラス板126A、126B、126Cを隔置して保持するスペーサ(すなわち、第1の枠体)128と、スペーサ128を外側から支持する支持板(すなわち、第2の枠体)200とを備えている。図4、図5の如く、ガラス板122とガラス板124の角部であって、4本のスペーサ128の各端部がそれぞれ突き合わされる4箇所のコーナーにおいては、突き合わされたスペーサ128の端部同士がスペーサ接続部材であるコーナーキー(コーナーピースとも言う。)150によってそれぞれ接続されて枠状に構成され、また4本の支持板200の各端部がそれぞれ突き合わされる4箇所のコーナーにおいても、突き合わされた支持板200の端部同士が支持板接続部材である支持板用コーナーキー(同じく、コーナーピースとも言う。)250によってそれぞれ接続されて枠状に構成される。
なお、中間ガラス板126A、126B、126Cを総称する場合には、単に中間ガラス板126と称する。
ガラス板122とガラス板124とは、その周囲においてスペーサ128により隔置される。これにより、ガラス板122とガラス板124との間に中空層が形成される。ガラス板122とガラス板124とスペーサ128とにより形成される中空層は、周囲においてスペーサ128により封着されるとともに、3枚の中間ガラス板126A、126B、126Cが隔置して配置されることにより、中空層が4層の分割中空層130に分割される。支持板200は、スペーサ128の中空層側の内表面とは反対側の外表面に添設するように配置される。
<スペーサ128>
図3の如く、スペーサ128は、ガラス板122とガラス板124との間隔を保持する内面部132及び外面側部134、内面部132及び外面側部134に連設されてガラス板122、124の内側壁部に対向する側辺部136、136、及び乾燥剤138(図1参照)が充填される複数の空間部140から構成される。
スペーサ128には、3枚の中間ガラス板126A、126B、126Cの周辺部の一部を保持するために、スペーサ128の内面部132に3列の溝部142が設けられる。3列の溝部142は、3枚の中間ガラス板126A、126B、126Cを平行に配置するように、スペーサ128の長手方向に沿って平行に形成される。
実施形態では、スペーサ128に中間ガラス板126を保持するための溝部142を形成することによって空間部140が左右方向に4分割されている。空間部140の個数は、中間ガラス板126の枚数に応じて決定される。実施形態のスペーサ128は、複数の空間部140と複数の溝部142とを有するように一体的に形成されている。
スペーサ128は、スペーサ形成材料によって成型される。成型方法としてスペーサ形成材料を押し出し成型法、共押し出し成型法、又は射出成型法等の成型法を用いることができる。
スペーサ形成材料としては、合成樹脂材料が好ましく使用される。スペーサ形成用の合成樹脂材料としては、硬質塩化ビニル樹脂材料、アクリロニトリル・スチレン樹脂材料、及びこれらにガラス繊維材を入れたものが好ましいが、これらの熱可塑性合成樹脂材料に限定されるものではなく、各種熱可塑性合成樹脂材料も使用できる。
また、スペーサ枠体形成材料としては、一種に限らず、複数種の材料を用いて複合構造としてもよい。例えば、異なる樹脂材料を共押し出し成型法により部分的に異なる合成樹脂材料からなる複合構造の枠体でもよく、合成樹脂材料とアルミニウム材料からなる複合構造の枠体でもよい。この複合構造の場合、いずれか一種のスペーサ形成材料により一体成型されていればよい。一体成型されたスペーサ128は、部分的に、又は全体に異なる合成樹脂材料及び/又は金属材料が接合されていてもよい。特に、硬質の塩化ビニル樹脂材料やアクリロニトリル・スチレン樹脂材料により形成されたスペーサ128は、多重ガラス障子120として用いたとき、断熱性に優れており、一体成型が容易で、耐久性に優れ、安価である。
実施形態のスペーサ128の溝部142には、中間ガラス板126A、126B、126Cの端部を支持するための、グレージングチャンネル144が嵌合されている。グレージングチャンネル144により、スペーサ128の溝部142に中間ガラス板126A、126B、126Cを容易に密着固定することができる。また、グレージングチャンネル144を偏芯させることで各分割中空層130の厚さを変えることもできる。また、温度低下時において、分割中空層130の内圧が減少しスペーサ128が分割中空層130に向けて変形した場合でも、グレージングチャンネル144がスペーサ128から中間ガラス板126A、126B、126Cにかかる圧力を、グレージングチャンネル144によって緩和することができる。
また、グレージングチャンネル144を、溝部142において部分的に配置することもできる。溝部142にグレージングチャンネル144を配置しない部分を設けることで、各分割中空層130の間を連通させることができ、各分割中空層130の内部の圧力を均等化することができる。
したがって、温度上昇、温度低下に伴い、分割中空層130の体積が増減した場合でも、複数の分割中空層130の全体でその体積変化の増減を吸収することができる。グレージングチャンネル144を部分的に設ける場合、中間ガラス板126A、126B、126Cの各辺の隅部近くに設けるのが好ましい。
グレージングチャンネル144は、ショアA硬度が50度から90度の樹脂製(例えば、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂)、又はゴム製であることが好ましい。ショアA硬度が50度未満であると、軟らか過ぎるため中間ガラス板126A、126B、126Cに対する十分な保持力を得難く、また、ショアA硬度が90度を超えると硬くなり過ぎるため、中間ガラス板126A、126B、126Cを嵌め込み難くなるからである。
グレージングチャンネル144として、図1、図3に示す形状に限定されず他の形状のグレージングチャンネル144を使用することもできる。
2枚のガラス板122、124が矩形の平板形状である場合、ガラス板122、124は、4辺の周縁付近に配置された4つのスペーサ128により隔置される。
〈コーナーキー150〉
図4は、スペーサ128同士を接続するコーナーキー150を示した斜視図である。
スペーサ128の各端部が突き合わされる4つの角においては、隣接するスペーサ128同士がスペーサ接続部材であるコーナーキー150により連結され、連続する枠状のスペーサが構成される。
スペーサ128は、コーナーキー150の本体部152に対面する端面160を有している。スペーサ128の内面部132には通し孔162が形成されている。通し孔162は、空間部140に連通されている。
コーナーキー150は、本体部152と、本体部152から突出しL字状に配置された挿入部154を有しており、挿入部154には通し孔156が形成されている。コーナーキー150は、L字状に配置された挿入部154がスペーサ128の複数の空間部140に対応して本体部152と一体的に形成されている。
スペーサ128の端面160がコーナーキー150の本体部152に接する位置まで、コーナーキー150の挿入部154がスペーサ128の空間部140に挿入される。挿入部154の断面積は、空間部140の断面積より小さく、挿入部154は空間部140の内壁とはほとんど接触することなく挿入されるので、スペーサ128にクラック等が発生するのを抑制することができる。
スペーサ128とコーナーキー150とを連結した際、スペーサ128の通し孔162とコーナーキー150の挿入部154の通し孔156とが、内面部132の側から見て重なる位置に、位置合わせされる。固定部材であるビス158が、空間部140の外側からスペーサ128の通し孔162に挿入される。ビス158は、スペーサ128の内面部132を貫通し、挿入部154の通し孔156に達する。ビス158を空間部140の外側からねじ込むことにより、ビス158がスペーサ128の通し孔162と挿入部154の通し孔156とに締結される。ビス158がスペーサ128を貫通しているので、スペーサ128とコーナーキー150の挿入部154とをビス158により確実に固定することができる。
ここで空間部140の外側とは、スペーサ128の内部に形成された空間部140に対して、スペーサ128を境界にして空間部140の反対側を意味する。実施形態では、内面部132の外側から空間部140に向けてビス158を挿入した例を示したが、空間部140の外側であれば、外面側部134、又は側辺部136、136の外側から空間部140に向けてビス158を挿入することもできる。
実施形態では、ビス158の下孔として、スペーサ128に通し孔162、挿入部154に通し孔156を形成したが、例えば、固定部材であるビス158として、タッピングビスを使用した場合、タッピングビスによりスペーサ128及び挿入部154に貫通孔を直接開けることもできる。
実施形態では、ビス158により、スペーサ128のガラス板122、124に近い側の2箇所でコーナーキー150と固定しているが、これに限定されない。例えば、空間部140の形成されている4箇所、又はスペーサ128の内側に位置する2箇所で固定することもできる。
本体部152及び挿入部154を有するコーナーキー150は、硬質の合成樹脂材料(例えば、硬質ポリ塩化ビニル樹脂材料やアクリロニトリル・スチレン樹脂材料、ポリプロピレン樹脂材料)により一体成型されたものが好ましい。一体成型とは、コーナーキー形成材料を削り出し法、モールド法、3Dプリンターによる造形法、あるいは射出成型法等の一体成型法により成型することを意味する。このように一体成型されていれば、コーナーキー150を一つの部材にピース化することが容易であり、コーナーキー150の部品点数を削減することができ、組み立て工程も簡略化することができる。
<分割中空層130>
図1、図3に示す4層の分割中空層130には、空気よりも熱伝導率が小さいアルゴンガスが封入され、多重ガラス障子120の断熱性能が高められている。また、スペーサ128の空間部140に収納された乾燥剤138によってアルゴンガスが乾燥される。これによって、ガラス板122、124、及び中間ガラス板126A、126B、126Cの結露が防止されている。更に、分割中空層130の厚さは、断熱性能を十分に発揮できる厚さである13mm〜17mmに設定されている。つまり、分割中空層130の厚さは、断熱性能を最大限に発揮できる最適値(15mm)に対して、前後に2mmの幅を持たせて設定されている。分割中空層130の個数は、中間ガラス板126の枚数に応じて決定される。
なお、高い断熱性が特に要求されない場合には、上述の分割中空層130には、乾燥空気や、その他の不活性ガスが充填されてもよい。
<ガラス板122、124>
ガラス板122、124は、通常の多くの実施形態においては、矩形の平板のガラス板であり、それぞれの厚さは、軽量化を図るために好ましくは1.3mm〜3mmの範囲であり、ガラス板122、124の寸法は、同一、又は略同寸法である。
また、ガラス板122、124は、前記厚さの範囲内であれば、厚さが異なっていてもよい。更に、ガラス板122、124は、厚さを薄くしても充分な強度を有する化学強化ガラスであるのが好ましい。つまり、ガラス板122、124を化学強化ガラスとすることにより、厚さが1.3mm〜3mmであっても、耐衝撃性能と耐風圧性能を得ることができる。
化学強化ガラス板とは、ソーダライムシリケートガラス等のNa成分やLi成分を含有するガラス板を、硝酸カリウム等の溶融塩中に浸漬させ、ガラス板の表面に存在する原子径の小さなNaイオン及び/又はLiイオンと、溶融塩中に存在する原子径の大きなKイオンとを置換してガラス板の表面層に圧縮応力層を形成して強度が高められたガラス板である。化学強化ガラスによれば、板厚が2mm以下のガラス板でも、充分に高い破壊強度を有する。したがって、ガラス板122、124として化学強化ガラス板を使用すれば、厚さが1.3mm〜3mmの薄板のガラス板122、124であっても、外側に配置されるガラス板122、124として十分な強度を得られる。
<中間ガラス板126A、126B、126C>
中間ガラス板126A、126B、126Cは、通常の多くの実施態様においては、矩形の平板のガラス板であり、それぞれの厚さは、軽量化を図るために1mm〜2mmの範囲であり、中間ガラス板126A、126B、126Cの寸法は、同一、又は略同寸法である。
また、中間ガラス板126A、126B、126Cは、前記厚さの範囲内であれば、厚さが異なっていてもよい。更に、中間ガラス板126A、126B、126Cは、ガラス板122、124と同様に、厚さを薄くしても充分な強度を有する化学強化ガラスでもよい。例えば、厚さが1mmないし2mmの化学強化ガラスは、厚さが3mmないし6mmのフロートガラス等の非強化ガラスと同等の静的曲げ強度を有する。
なお、中間ガラス板126A、126B、126Cは、スペーサ128の溝部142に挿入できるようにガラス板122、124よりも小寸法の相似形の矩形状とされるのが好ましい。
実施形態では、3枚の中間ガラス板126A、126B、126Cを例示したが、中間ガラス板126は、ガラス板122、124の間に2枚以上あればよい。すなわち、多重ガラス障子120は、2枚以上の中間ガラス板126を備えることにより構成される。したがって、多重ガラス障子120によれば、分割中空層130の温度が低下し、分割中空層130の内圧が減少した場合でも、中間ガラス板126の端部がスペーサ128を支持するので、スペーサ128が分割中空層130に向けて変形するのを中間ガラス板126によって抑制することができる。
<支持板200>
図1、図3の如く、支持板200は、スペーサ128を支持し、補強する部材である。このため、支持板200は、各スペーサ128の外面側部(外表面)134に対向する位置であって、後述する透湿防止層190を介して外面側部134に添設されている。なお、透湿防止層190は必須ではなく、支持板200を外面側部134に直接当接するように添設させてもよい。この支持板200はコーナーキー250により連結される。
実施形態の多重ガラス障子120によれば、スペーサ128が支持板200によって、その外側から支持されているので、温度上昇により分割中空層130の内圧が上昇し、スペーサ128が分割中空層130と反対側に膨張しようとしても、支持板200によりスペーサ128が外に膨らむのを抑制することができる。
多重ガラス障子120の構成によって、ガラス板122とガラス板124との間の中空層の厚さは、通常の2枚のガラス板からなる複層ガラスと比較して非常に厚くなる。このため、熱膨張する中空層からスペーサ128が受ける圧力は、前記複層ガラスと比較して非常に大きくなり、1枚のスペーサ128では対応できない場合が生じる。また、スペーサ128が樹脂製の場合には、金属製と比較して膨張しやすいという性質がある。そこで、実施形態の多重ガラス障子120では、スペーサ128の外側を支持し、スペーサ128を補強して、スペーサ128の膨張を抑制する支持板200を設けたので、前記上昇した内圧にも対抗することができる。これにより、使用寿命の長い多重ガラス障子120を提供することができる。また、支持板200は、断面形状において、内部に4つの中空部202を有するホロー構造体である。
支持板200の形状に関して、例えば、支持板200は、スペーサ128を支持するため、スペーサ128と略同じ長さを有し、スペーサ128の幅より小さい幅を有している。
また、支持板200は、ガラス板122の内側壁部及びガラス板124の内側壁部と、スペーサ128の外面側部134とで囲まれる空間部に収納される。また、支持板200の一方の外側壁部とガラス板122の内側壁部との間、支持板200の他方の外側壁部とガラス板122の内側壁部との間には、シール材として二次シール材182が充填されている。
実施形態では、支持板200は、複数の中空部202を有するように一体的に形成されている。支持板200は、支持板形成材料によって成型される。成型方法として支持板形成材料を押し出し成型法、共押し出し成型法、又は射出成型法等の成型法を用いることができる。
支持板形成材料としては、合成樹脂材料が好ましく使用される。支持板形成用の合成樹脂材料としては、硬質塩化ビニル樹脂材料、アクリロニトリル・スチレン樹脂材料、及びこれらにガラス繊維材を入れたものが好ましいが、これらの熱可塑性合成樹脂材料に限定されるものではなく、各種熱可塑性合成樹脂材料も使用できる。
また、支持体枠体形成材料としては、一種に限らず、複数種の材料を用いて複合構造としてもよい。例えば、異なる樹脂材料を共押し出し成型法により部分的に異なる合成樹脂材料からなる複合構造の枠体でもよく、合成樹脂材料とアルミニウム材料からなる複合構造の枠体でもよい。この複合構造の場合、いずれか一種のスペーサ形成材料により一体成型されていればよい。一体成型された支持板200は、部分的に、又は全体に異なる合成樹脂材料及び/又は金属材料が接合されていてもよい。特に、硬質の塩化ビニル樹脂材料やアクリロニトリル・スチレン樹脂材料により形成された支持板200は、多重ガラス障子120として用いたとき、断熱性に優れており、一体成型が容易で、耐久性に優れ、安価である。
〈コーナーキー250〉
図5は、支持板200同士を接続するコーナーキー250の斜視図である。
支持板200の各端部が突き合わされる4つの角のコーナーにおいては、隣接する支持板200同士が支持板接続部材であるコーナーキー250により連結され、連続する枠状のスペーサが構成される。
支持板200は、コーナーキー250の本体部252に面する端面230を有している。支持板200の外面部214には通し孔232が形成されている。通し孔232は、中空部202に貫通されている。
コーナーキー250は、本体部252と、本体部252から突出しL字状に配置された挿入部254を有しており、挿入部254には通し孔256が形成されている。コーナーキー250は、L字状に配置された挿入部254が支持板200の複数の中空部202に対応して本体部252と一体的に形成されている。
支持板200の端面230がコーナーキー250の本体部252に接する位置まで、コーナーキー250の挿入部254が支持板200の中空部202に挿入される。挿入部254の断面積は、中空部202の断面積より小さく、挿入部254を中空部202の内壁とはほとんど接触せず、支持板200にクラック等が発生するのを抑制することができる。
支持板200とコーナーキー250とを連結した際、支持板200の通し孔232とコーナーキー250の挿入部254の通し孔256とは重なる位置に、位置合わせされる。固定部材であるビス258が、外面部214から支持板200の孔232に挿入される。ビス258は、支持板200を貫通し、挿入部254の通し孔256に達する。ビス258を外面部214の外側からねじ込むことにより、ビス258が支持板200の通し孔232と挿入部254の通し孔256とに締結される。ビス258が支持板200を貫通しているので、支持板200とコーナーキー250の挿入部254とをビス258により確実に固定することができる。
実施形態では、ビス258の下孔として、支持板200に通し孔232、挿入部254に通し孔256を形成したが、例えば、固定部材であるビス258として、タッピングビスを使用した場合、タッピングビスにより支持板200及び挿入部254に貫通孔を直接開けることできる。
実施形態では、ビス258により、支持板200のガラス板122、124に近い側の2箇所でコーナーキー250と固定しているが、これに限定されない。例えば、中空部202の形成されている4箇所、又は支持板200の内側に位置する2箇所で固定することもできる。
本体部252及び挿入部254を有するコーナーキー250は、硬質の合成樹脂材料(例えば、硬質ポリ塩化ビニル樹脂材料やアクリロニトリル・スチレン樹脂材料)により一体成型されたものが好ましい。一体成型とは、コーナーキー形成材料を削り出し法、モールド法、3Dプリンターによる造形法、あるいは射出成型法等の一体成型法により成型することを意味する。このように一体成型されていれば、コーナーキー250を一つの部材にピース化することが容易であり、コーナーキー250の部品点数を削減することができ、又組み立て工程を簡略化することができる。
図6は、スペーサ128とコーナーキー150とをビス158により接続した状態、及び支持板200とコーナーキー250とをビス258により接続した状態、を示す説明図である。図6の如く、スペーサ128の外側には支持板200が配置され、スペーサ128が支持板200に支持され、かつ補強されている。
<シール材180、二次シール材182>
図1、図3の如く、多重ガラス障子120は、シール材180、二次シール材182を備えている。ガラス板122とガラス板124とに対向するスペーサ128の側辺部136、136が、シール材180であるブチルゴムによってガラス板122とガラス板124とに接合される。
そして、スペーサ128の外面側部134の側に二次シール材182であるポリサルファイド系又はシリコーン系のシーリング材が充填される。これによって、多重ガラス障子120が構成される。シール材180及び二次シール材182は、上記形態に限定されず、ガラス板122、124において接合するシール材と、スペーサ128の外面側部134の側に塗布するシール材とを同一の材料としてもよい。さらに、二次シール材182の外周に二次シール材182を保護する別のシール材を有してもよい。
<透湿防止層190>
図1、図3の如く、多重ガラス障子120の分割中空層130の側に外側から水分が透過するのを防止する透湿防止層190が形成される。特に、スペーサ128が、合成樹脂材料、例えば硬質ポリ塩化ビニル樹脂材料、又はアクリロニトリル・スチレン樹脂材料により形成されている場合、素材自体として水分の透湿防止性が高いアルミニウム製のスペーサと同等程度の透湿防止性が求められている。
透湿防止層190としては、分割中空層130内にスペーサ128自体を通して水分が透過することを防止できる材質からなるものが選ばれる。透湿防止層190としては、透湿防止塗料を塗布し、硬化されてなる層や、透湿防止フィルム状体を貼り付けてなる層が好ましい。透湿防止塗料としては、代表的には、フッ素樹脂系塗料、ポリ塩化ビニリデン樹脂系塗料などが挙げられる。透湿防止塗料の塗布により透湿防止層を形成する場合、2種以上の透湿防止塗料を塗布して2層、あるいは3層以上の複数層の構成としてもよい。
透湿防止フィルム状体としては、透湿防止性能をもった金属被覆フィルム、セラミック被覆フィルム、金属及びセラミックの複合被覆フィルム、金属テープ、フィルム自身が透湿防止性能をもった樹脂からなる透湿防止樹脂フィルム、又は透湿防止樹脂被覆フィルムが挙げられる。ブチルゴム系接着材からなるブチルテープと、金属テープ、例えばアルミニウム箔又はステンレス箔とを積層した透湿防止フィルム状体も好ましく使用することができる。
また、図1の如く、スペーサ128は、空間部140を有しているので、空間部140にゼオライト又はシリカゲル等の乾燥剤138を充填することができる。この乾燥剤138により分割中空層130の気体を乾燥させることができる。なお、乾燥剤138は、スペーサ128の内面部132に形成された開口部(不図示)により、分割中空層130に露出される。
実施形態において、支持板200が設けられているので、透湿防止層190を保護することができる。以上が、多重ガラス障子120の構成である。
〔多重ガラス障子120の特徴〕
図1の如く、ガラス板122、124の分割中空層130に対向する内面、及び中間ガラス板126A、126Cの中間ガラス板126Bに対向する内面に、Low−E膜等の低放射膜166A、166B、166C、166Dを成膜したことにある。すなわち、ガラス板122、124、及び中間ガラス板126A、126CをLow−Eガラスとして構成したことにある。
Low−Eガラスとは、ガラス板の表面に、例えば、酸化スズ(SnO2)を主体とした低放射膜を化学蒸着装置やスパッタリング装置等を用いて成膜したもの、又は銀(Ag)を主体とした低放射膜を、スパッタリング装置等を用いて成膜したものであり、赤外線による熱エネルギーの放射率を低くする機能を有する。ここで、銀(Ag)を主体とした低放射膜とは、銀膜を酸化物膜、窒化物膜等で積層化したタイプのものも含む。すなわち、Low−Eガラスは、熱を通し難い性能を有するので、遮熱性及び断熱性が高い。また、銀を主体とした低放射膜は、空気中の水分等によって酸化し易い性質を有するため、複層ガラスに用いる場合は、密閉された中空層に面する面側に成膜されることが好ましい。更に、酸化スズを主体とする低放射膜は、銀を主体とする低放射膜と比較して、熱線の反射性能が低く、遮熱性能は低いが、銀を主体とする低放射膜と比較して、酸化し難く、機械耐久性が高いため傷付き難いという利点がある。
多重ガラス障子120において、Low−Eガラスを使用する場合、低放射膜166A、166B、166C、166Dの放射率を異ならせることができる。これにより、断熱性能を確保しつつ、分割中空層130の温度上昇、及び中間ガラス板126A、126B、126Cの温度上昇を抑えることができるので、中間ガラス板126A、126B、126Cの熱割れを防止することができる。
熱割れの発生原因について説明すると、分割中空層130の温度が日射(特に朝日)を受けて上昇することにより、3枚の中間ガラス板126A、126B、126Cのエッジを除く主面の温度が上昇する。このとき、前記エッジと前記主面との温度差が大きくなると、エッジに引張応力が発生し、その許容度(エッジ許容応力:17.7MPa)を超えたときにエッジに熱割れが発生する場合がある。つまり、エッジは、窓枠20及びアタッチメント枠110に保持されているため、エッジの温度上昇は、主面よりも温度上昇の遅い窓枠20及びアタッチメント枠110に依存する。よって、エッジと主面とに温度差が発生し、この温度差に起因してエッジに熱割れが発生する。
熱割れを多重ガラス障子120において防止するには、室外側のガラス板122の内面に、放射率の比較的低い低放射膜166Aを成膜する。中間ガラス板126Aの中間ガラス板126Bに対向する面に、低放射膜166Aよりも放射率の高い低放射膜166Bを形成する。中間ガラス板126Cの中間ガラス板126Bに対向する面に、低放射膜166Aよりも放射率の高い低放射膜166Cを形成する。室外側のガラス板122の内面に、低放射膜166Aよりも放射率の高い低放射膜166Dを成膜する。低放射膜166B、166C、166Dは、放射率が同値のものでもよく異なっていてもよい。また、中央に配置された中間ガラス板126Bは、低放射膜を有していない通常の透明のガラス板である。
なお、低放射膜166Bは、ガラス板122に対向する面に形成してもよい。また、低放射膜166Cは、ガラス板124に対向する面に形成してもよい。
室外側のガラス板122に放射率の比較的低い低放射膜166Aを設けることで、分割中空層130の内部の温度上昇を抑えることができ、これによって、中間ガラス板126A、126B、126Cの温度上昇を抑えることができる。また、中央の中間ガラス板126Bを、低放射膜を有しない通常の透明のガラス板にすることによって、中間ガラス板126Bの温度上昇を抑えることができる。よって、エッジ応力が中間ガラス板126A、126Cよりも高くなる傾向がある中間ガラス板126Bの熱割れを防止することができる。なお、中間ガラス板126Aのみ、又は中間ガラス板126Cのみを、低放射膜を有していない通常の透明のガラス板とすることもできる。
一方で、中間ガラス板126A、126Cの低放射膜166B、166Cは、低放射膜166Aより放射率が高いので、日射熱による中間ガラス板126A、126Cの温度上昇を抑えることができる。これにより、中間ガラス板126A、126Cの温度上昇に起因する、中間ガラス板126A、126Cの熱割れを防止することができる。
以上により実施形態の多重ガラス障子120によれば、中間ガラス板126A、126B、126Cと分割中空層130の温度上昇を抑制し、中間ガラス板126A、126B、126Cのエッジ応力を低下することができるので、断熱性能を確保しつつ、中間ガラス板126A、126B、126Cの熱割れを防止することができる。
ガラス板122、124及び中間ガラス板126A、126Cの放射率の一例として、ガラス板122の放射率を0.03〜0.04に設定し、ガラス板124及び中間ガラス板126A、126Cの放射率を0.04〜0.05に設定することができる。通常のガラス板である中間ガラス板126Bの放射率は0.8〜0.9である。
なお、低放射膜を有していない通常の透明のガラス板からなる中間ガラス板126Bの光学特性は、例えば、可視光透過率Tvは89〜92%、日射透過率は82〜91%である。
熱割れは、支持板200の中空部202に断熱材260(図1参照)を設けることによっても抑制することができる。すなわち、断熱材260によって夜間にガラスエッジ部が冷やされるのを防ぐことで中間ガラス板126A、126B、126Cの主面とエッジとの温度差を小さくすることができる。これにより、中間ガラス板126A、126B、126Cの熱割れを抑えることができる。また。窓枠20、アタッチメント枠110の下面に断熱材を設けることによっても熱割れを抑制することができる。
なお、実施形態では、3枚の中間ガラス板126A、126B、126Cを有する多重ガラス障子120について説明したが、これに限定されるものではなく、本発明は、2枚以上の中間ガラス板を有する多重ガラス障子に適用できる。
すなわち、2枚以上の中間ガラス板のうち1枚の中間ガラス板を、低放射膜を有していない透明のガラス板として構成し、日射熱を透過させ、そのガラス板の温度上昇及び中空層の温度上昇を抑えることにより、Low−Eガラスである他の1枚以上の中間ガラス板の温度上昇を抑えることができる。これにより、4枚以上のガラス板からなる多重ガラス障子において、断熱性能を確保しつつ中間ガラス板の熱割れを防止することができる。
例えば、室外側のガラス板122と、2枚の中間ガラス板126と、室内側のガラス板124とを有する中空層が3層の合計4枚のガラス板からなる多重ガラス障子においては、2枚の中間ガラス板のうち室外側のガラス板122側に位置する中間ガラス板として、室外側のガラス板122の放射率より高いLow−Eガラスを用い、もう1枚の中間ガラス板として低放射膜を有していない通常の透明のガラス板を用いればよい。なお、室外側のガラス板122側に位置する中間ガラス板として、低放射膜を有していない通常の透明のガラス板を用い、もう1枚の中間ガラス板として室外側のガラス板122の放射率より高いLow−Eガラスを用いてもよい。
また、例えば、室外側のガラス板122と、4枚の中間ガラス板126と、室内側のガラス板124とを有する中空層が5層の合計6枚のガラス板からなる多重ガラス障子においては、4枚の中間ガラス板のうち少なくとも室外側のガラス板122と対面する側の中間ガラス板および室内側のガラス板124と対面する側の中間ガラス板として、室外側のガラス板122の放射率より高いLow−Eガラスを用い、多重ガラス障子の断面方向中央付近に配置された残りの2枚の中間ガラス板のうち少なくとも1枚に低放射膜を有していない通常の透明のガラス板を用いればよい。
本発明の多重ガラス障子によれば、4枚以上のガラス板からなる多重ガラス障子において、断熱性能を確保しつつ中間ガラス板の熱割れを防止することができる。
なお、2014年10月30日に出願された日本特許出願2014−221621号の明細書、特許請求の範囲、図面および要約書の全内容をここに引用し、本発明の開示として取り入れるものである。
20…窓枠、50…押縁、52…気密材、100…窓、110…アタッチメント枠、120…多重ガラス障子、122、124…ガラス板、126、126A、126B、126C…中間ガラス板、128…スペーサ(第1の枠体)、130…分割中空層、132…内面部、134…外面側部、136…側辺部、138…乾燥剤、140…空間部、142…溝部、144…グレージングチャンネル、150…コーナーキー、152…本体部、154…挿入部、156…通し孔、158…ビス、160…端面、162…通し孔、166A、166B、166C、166D…低放射膜、180…シール材、182…二次シール材、190…透湿防止層、200…支持板(第2の枠体)、202…中空部、214…外面部、232…通し孔、250…コーナーキー、252…本体部、254…挿入部、256…通し孔、258…ビス、260…断熱材。

Claims (4)

  1. 第1のガラス板と第2のガラス板とがその周囲において第1の枠体により隔置されて中空層が形成されるとともに、前記中空層が前記周囲において前記第1の枠体に封着され、かつ前記中空層に3枚の中間ガラス板が前記第1の枠体に保持されてなる多重ガラス障子において、
    前記第1のガラス板及び前記第2のガラス板は、低放射膜を有し、
    前記3枚の前記中間ガラス板のうち2枚の前記中間ガラス板は、低放射膜を有し、
    前記3枚の前記中間ガラス板のうち1枚の前記中間ガラス板は、低放射膜を有していない透明のガラス板であり、
    前記第1のガラス板の放射率は0.03〜0.04、前記第2のガラス板及び前記透明のガラス板を除いた前記中間ガラス板の放射率は0.04〜0.05である多重ガラス障子。
  2. 第1のガラス板が建物の室外側に配置され、第2のガラス板が建物の室内側に配置される構成の多重ガラス障子であって、室外側に配置される前記第1のガラス板の放射率は、前記低放射膜を有する前記第2のガラス板及び前記中間ガラス板の放射率よりも低い請求項1に記載の多重ガラス障子。
  3. 枚の前記中間ガラス板のうち中央に配置された1枚の中間ガラス板が、前記透明のガラス板である請求項1又は2に記載の多重ガラス障子。
  4. 前記第1の枠体を支持する第2の枠体を備え、前記第2の枠体は、中空部を有し、前記中空部に断熱材が配置される請求項1〜3のいずれか1項に記載の多重ガラス障子。
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