次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
インクジェットインクは、水、水溶性有機溶媒、顔料及び共重合体を含む。
共重合体は、一般式(1)で表される構成単位と、一般式(2)又は(3)で表される構成単位を有する。
Xの炭素数が1〜3のアルキレン基としては、特に限定されないが、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
M1 +、M2 +、M3 +及びM4 +のアルカリ金属イオンとしては、特に限定されないが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。
M1 +、M2 +、M3 +及びM4 +の有機アンモニウムイオンを脱プロトン化した有機アミンとしては、特に限定されないが、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等のアルコールアミン;コリン、モルホリン、N−メチルモノホルリン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン等の環状アミン等が挙げられる。
中でも、画像濃度と保存安定性の面から、カリウムイオン、ナトリウムイオン、アルキルアンモニウムイオンが好ましい。
M1 +、M2 +、M3 +及びM4 +のうち、2個以上がアルカリ金属イオン又は有機アンモニウムイオンであることが好ましく、2〜3個がアルカリ金属イオン又は有機アンモニウムイオンであることがさらに好ましい。
共重合体中の一般式(1)で表される構成単位の含有量は、通常、30〜70質量%であり、40〜60質量%であることが好ましく、45〜55質量%であることがさらに好ましい。共重合体中の一般式(1)で表される構成単位の含有量が30質量%以上であることにより、普通紙における画像濃度を向上させることができる。一方、共重合体中の一般式(1)で表される構成単位の含有量が70質量%以下であることにより、インクジェットインクの保存安定性を向上させることができる。
共重合体中の一般式(1)で表される構成単位の含有量は、共重合体の酸価を測定することにより、求めることができる。
まず、共重合体を所定量の水に溶解させた後、中和試薬としての0.1N水酸化カリウムメタノール溶液を滴下し、指示薬の変色時の滴定量から酸価を計算する。指示薬としては、チモールフタレイン溶液を用いる。
共重合体の質量をA[g]、0.1N水酸化カリウムメタノール溶液の滴定量をB[mL]、0.1N水酸化カリウムメタノール溶液のファクターをfとすると、式
B×5.611×f/A
から、酸価を計算することができる。
次に、一般式(3)で表されるモノマーの酸価をC、共重合体の酸価をDとすると、共重合体中の一般式(1)で表される構成単位の含有量[質量%]は、式
X=D/C×100
から、求めることができる。
なお、共重合体は、顔料分散剤、結着樹脂、粘度調整剤等として、用いることができる。
共重合体は、一般式(4)で表される化合物と、一般式(5)又は(6)で表される化合物を含むモノマーを共重合させた後、必要に応じて、アルカリ金属塩基及び/又は有機アミン塩基で中和することにより合成することができる。
M5 +、M6 +、M7 +及びM8 +のうち、1〜3個がアルカリ金属イオン又は有機アンモニウムイオンであり、1〜2個がアルカリ金属イオン又は有機アンモニウムイオンであることがさらに好ましい。
一般式(4)で表される化合物としては、特に限定されないが、1−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリルアミドブタン−1,1−ジイルジホスホン酸、1−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリルアミドプロパン−1,1−ジイルジホスホン酸、1−ヒドロキシ−2−(メタ)アクリルアミドエタン−1,1−ジイルジホスホン酸及びこれらのアルカリ金属塩、有機アンモニウム塩等が挙げられる。
なお、1−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリルアミドブタン−1,1−ジイルジホスホン酸のアルカリ金属塩又は有機アンモニウム塩は、アレンドロン酸をアルカリ金属塩基又は有機アミン塩基で中和した後、(メタ)アクリル酸クロリドと反応させることにより合成することができる(例えば、特許文献1参照)。
一般式(5)で表される化合物としては、特に限定されないが、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド等が挙げられる。
一般式(6)で表される化合物としては、特に限定されないが、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)メタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等が挙げられる。
モノマー中の一般式(4)で表される化合物の含有量は、通常、30〜70質量%であり、40〜60質量%であることが好ましく、45〜55質量%であることがさらに好ましい。モノマー中の一般式(4)で表される化合物の含有量が30質量%以上であることにより、普通紙における画像濃度を向上させることができる。一方、モノマー中の一般式(4)で表される構成単位の含有量が70質量%以下であることにより、インクジェットインクの保存安定性を向上させることができる。
モノマーの重合方法としては、特に限定されないが、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。中でも、重合操作及び分子量の調整が容易であることから、ラジカル重合開始剤を用いる方法が好ましく、有機溶媒と水の混合溶媒中で重合する溶液重合法がさらに好ましい。
溶液重合法でラジカル重合する際には、モノマー、ラジカル重合開始剤及び溶媒を、一括で仕込んでもよいし、滴下漏斗を用いて連続的に供給してもよい。また、必要に応じて、ラジカル重合開始剤を重合中に追加してもよい。さらに、一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)又は(6)で表される化合物を、それぞれ水及び有機溶媒に溶解させて供給することが好ましい。
有機溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、シアノ系のアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(2,2'−イソバレロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。中でも、分子量の制御が容易であり、分解温度が低い点から、有機過酸化物、アゾ系化合物が好ましく、アゾ系化合物がさらに好ましい。
モノマーに対するラジカル重合開始剤の質量比は、通常、0.01〜0.20である。
共重合体の分子量を調整するために、連鎖移動剤を添加してもよい。
連鎖移動剤としては、特に限定されないが、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、チオフェノール、ノニルメルカプタン、1−ドデカンチオール、α−チオグリセロール等が挙げられる。
重合温度は、通常、50〜150℃であり、60〜100℃であることが好ましい。
重合時間は、通常、3〜48時間である。
なお、インクジェットインクの製造工程において、顔料と混合した状態で、共重合体を中和してもよい。
共重合体の10質量%水溶液の25℃における粘度は、通常、2.0〜4.0mPa・sであり、2.0〜3.0mPa・sであることが好ましい。共重合体の10質量%水溶液の25℃における粘度が2.0mPa・s以上であることにより、画像濃度を向上させることができる。一方、共重合体の10質量%水溶液の25℃における粘度が4.0mPa・s以下であることにより、インクジェットインクの保存安定性を向上させることができる。
なお、共重合体の10質量%水溶液の25℃における粘度は、粘度計RL−500L(東機産業社製)を用いて測定することができる。
共重合体は、解離性のポリマーであるため、カラムへの吸着により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による分子量の測定が困難である。そこで、分子量の指標として、10質量%水溶液の25℃における粘度を用いている。
共重合体の分子量は、重合条件、ラジカル重合開始剤の添加量及び重合時のモノマー濃度により、制御することができる。具体的には、高温で短時間共重合すると、低分子量の共重合体が得られ、低温で長時間共重合すると、高分子量のポリマーが得られる。また、ラジカル重合開始剤の添加量が多いと、低分子量の共重合体が得られ、ラジカル重合開始剤の添加量が少ないと、高分子量の共重合体が得られる。さらに、重合時のモノマー濃度が高いと、低分子量の共重合体が得られ、重合時のモノマー濃度が低いと、高分子量の共重合体が得られる。
また、連鎖移動剤の添加量を調節することにより、共重合体の分子量を制御することができる。
一般式(1)で表される構成単位は、ホスホン酸基が隣接した四塩基酸の構造を有しており、共重合体は、ホスホン酸基が隣接した四塩基酸の構造を多数有している。その結果、一般式(1)で表される構成単位は、一塩基酸の構造を有する構成単位に比べて、共重合体に多数の親水性基を付与することができ、良好な親水性を示す。また、一般式(1)で表される構成単位は、カルシウムイオンと反応しやすいホスホン酸基が隣接している四塩基酸の構造を有するため、カルシウムイオンをキレートする効果を有し、カルシウムイオンと接触した場合に、疎水化することができる。
一般式(2)又は(3)で表される構成単位は、共重合体に適度な親水性をもたらすと共に、顔料との濡れ性や吸着性を高め、顔料の分散安定性を向上させることができる。また、一般式(2)又は(3)で表される構成単位は、一般式(1)で表される構成単位とのバランスにより、カルシウムイオンと接触した場合の共重合体の凝集性を保持したまま、顔料の分散安定性を向上させることができる。さらに、共重合体内でのホスホン酸基の会合を抑制することができ、インクジェットインクの保存安定性を向上させることができると推測される。
したがって、共重合体を含むインクジェットインクは、保存安定性に優れるだけでなく、カルシウムイオンの含有量が少ない普通紙に画像を記録しても、普通紙からインクジェットインクへ溶出するカルシウムイオンにより、共重合体が疎水化し、顔料を巻き込んで凝集することで、紙面上に顔料が留まり、画像濃度を向上させることができる。
インクジェットインク中の共重合体の含有量は、通常、0.05〜10質量%であり、0.5〜5質量%であることが好ましく、1〜3質量%であることがさらに好ましい。インクジェットインク中の共重合体の含有量が0.05質量%以上であることにより、普通紙における画像濃度及び保存安定性を向上させることができる。一方、インクジェットインク中の共重合体の含有量が10質量%以下であることにより、インクジェットインクの吐出安定性を向上させることができる。
顔料に対する共重合体の質量比は、通常、0.01〜1であり、0.05〜0.8であることが好ましく、0.1〜0.5であることがさらに好ましい。顔料に対する共重合体の質量比が0.01以上であることにより、普通紙における画像濃度及び保存安定性を向上させることができる。一方、顔料に対する共重合体の質量比が1以下であることにより、インクジェットインクの吐出安定性を向上させることができる。
水としては、特に限定されないが、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水等が挙げられる。
顔料としては、特に限定されないが、黒色用又はカラー用の無機顔料、有機顔料等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック等が挙げられる。
カーボンブラックの製造方法としては、特に限定されないが、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等が挙げられる。
有機顔料としては、アゾ顔料、アゾメチン顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が挙げられる。中でも、アゾ顔料、多環式顔料が好ましい。
アゾ顔料としては、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等が挙げられる。
多環式顔料としては、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、ローダミンBレーキ顔料等が挙げられる。
染料キレートとしては、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等が挙げられる。
黒色用の顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の無機顔料、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料等が挙げられる。
カーボンブラックの平均一次粒径は、通常、15〜40nmである。
カーボンブラックのBET比表面積は、通常、50〜300m2/gである。
カーボンブラックのDBP吸油量は、通常、40〜150mL/100gである。
カーボンブラックの揮発分は、通常、0.5〜10質量%である。
カーボンブラックのpHは、通常、2〜9である。
カーボンブラックの市販品としては、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上、三菱化学社製);Raven700、5750、5250、5000、3500、1255(以上、コロンビア社製);Regal400R、330R、660R、Mogul L、Monarch700、800、880、900、1000、1100、1300、Monarch1400(以上、キャボット社製);カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリンテックス35、U、V、140U、140V、スペシャルブラック6、5、4A、4(以上、デグサ社製)等が挙げられる。
イエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー2、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー75、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー180等が挙げられる。
マゼンタ用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド48(Ca)、C.I.ピグメントレッド48(Mn)、C.I.ピグメントレッド57(Ca)、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
シアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:34、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー63、C.I.ピグメントブルー66;C.I.バットブルー4、C.I.バットブルー60等が挙げられる。
なお、イエロー顔料として、C.I.ピグメントイエロー74、マゼンタ顔料として、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、シアン顔料として、C.I.ピグメントブルー15:3を用いると、色調、耐光性が優れ、バランスのよいインクジェットインクが得られる。
顔料の体積中位径(D50)は、通常、150nm以下であり、100nm以下であることが好ましい。これにより、インクジェットインクの吐出安定性を向上させることができる。
なお、顔料の体積中位径(D50)は、23℃、55%RHの環境において、マイクロトラックUPA(日機装社製)を用いて、動的光散乱法により測定することができる。
インクジェットインク中の顔料の含有量は、通常、0.1〜20質量%であり、1〜20質量%であることが好ましい。
顔料は、水、必要に応じて、顔料分散剤を混合した後、分散機を用いて分散させ、顔料分散体を調製することが好ましい。
顔料分散体を調製する際に、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置等を用いて、粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
顔料分散体中の顔料の含有量は、通常、0.1〜50質量%であり、0.1〜30質量%であることが好ましい。
顔料分散剤としては、共重合体を用いることができる。
共重合体以外の顔料分散剤としては、特に限定されないが、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型リン酸エステル、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、アルキル型リン酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホコハク酸塩、ジエチルヘキシルスルホコハク酸塩、ジオクチルスルホコハク酸塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ(4−ビニルピリジン誘導体)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテル等のエーテル系界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系界面活性剤;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。
中でも、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩が好ましい。
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩中のナフタレンスルホン酸の2〜4量体の含有量は、通常、20〜80質量%である。ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩中のナフタレンスルホン酸の2〜4量体の含有量が20質量%以上であることにより、インクジェットインクの保存安定性を向上させることができる。一方、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩中のナフタレンスルホン酸の2〜4量体の含有量が80質量%以下であることにより、インクジェットインクの吐出安定性を向上させることができる。
水溶性有機溶媒は、インクジェットインクの乾燥を抑制する湿潤剤としての効果及び/又は浸透剤としての効果を有する。
水溶性有機溶媒としては、特に限定されないが、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプロピリデングリセロール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミド等のアミド;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物;3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、普通紙におけるカールを防止する点から、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、イソプロピリデングリセロール、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミドが好ましい。また、水の蒸発による吐出不良を防止する点から、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリエチレングリコール、グリセリンが好ましい。
湿潤性が比較的少なく、浸透性を有する水溶性有機溶媒としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等が挙げられる。
その他の脂肪族ジオールとしては、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等が挙げられる。
その他の浸透剤としては、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル、エタノール等の低級アルコール等が挙げられる。
水溶性有機溶媒以外の湿潤剤として、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類、四糖類を含む)、多糖類等の糖類及びその誘導体を用いることができる。
糖類としては、特に限定されないが、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等が挙げられる。
ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロース等の自然界に広く存在する物質を含む。
糖類の誘導体としては、糖類の還元糖(例えば、一般式
HOCH2(CHOH)nCH2OH
(ただし、nは2〜5の整数である。)
で表される糖アルコール)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸)、アミノ酸、チオ酸等が挙げられる。中でも、糖アルコールが好ましい。
糖アルコールとしては、マルチトール、ソルビット等が挙げられる。
インクジェットインク中の水溶性有機溶媒の含有量は、通常、10〜60質量%であり、20〜60質量%であることが好ましい。インクジェットインク中の水溶性有機溶媒の含有量が10質量%以上であることにより、インクジェットインクの吐出安定性を向上させることができる。一方、インクジェットインク中の水溶性有機溶媒の含有量が60質量%以下であることにより、インクジェットインクの乾燥性を向上させることができる。
インクジェットインクは、界面活性剤、pH調整剤、水分散性樹脂、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤等をさらに含んでいてもよい。
界面活性剤としては、特に限定されないが、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。中でも、ノニオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテルエステル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンオレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、エーテルカルボキシレート、スルホコハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、脂肪酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ナフテン酸塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、イミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン誘導体、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルビス(アミノエチル)グリシン等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、一般式(I)〜(III)で表される化合物等が挙げられる。
(式中、mは0〜10の整数であり、nは1〜40の整数である。)
(式中、Rfは、パーフルオロアルキル基であり、nは1〜4の整数であり、mは6〜25の整数であり、pは1〜4の整数である。)
(式中、Rfは、パーフルオロアルキル基であり、R
1 −は、アニオン性基であり、R
2 +は、カチオンであり、qは1〜6の整数である。)
一般式(II)、(III)において、パーフルオロアルキル基の炭素数は、通常、1〜10であり、1〜3であることが好ましい。
パーフルオロアルキル基としては、特に限定されないが、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロペンチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。中でも、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が好ましい。
一般式(III)において、アニオン性基としては、特に限定されないが、COO−、SO3 −等が挙げられる。
一般式(III)において、カチオンとしては、特に限定されないが、4級アンモニウムイオン;ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;トリエチルアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン等が挙げられる。中でも、4級アンモニウムイオンが好ましい。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(以上、旭硝子社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(以上、住友スリーエム社製);メガファックF−470、F1405、F−474(以上、DIC社製);ゾニールTBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(以上、デュポン社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(以上、ネオス社製);PF−151N(ソリューションズインコーポレーテッド社製)等が挙げられる。
インクジェットインク中の界面活性剤の含有量は、通常、0.01〜5.0質量%であり、0.5〜3質量%であることが好ましい。インクジェットインク中の界面活性剤の含有量が5.0質量%以下であることにより、普通紙における画像濃度を向上させると共に、裏抜けの発生を防止することができる。
pH調整剤としては、pHを8.5〜11に調整できれば、特に限定されないが、アルコールアミン、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、水酸化アンモニウム、水酸化4級アンモニウム、水酸化4級ホスホニウム等が挙げられる。
アルコールアミンとしては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
水分散性樹脂としては、特に限定されないが、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物等が挙げられる。
縮合系合成樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリエーテル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
付加系合成樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂等が挙げられる。
天然高分子化合物としては、セルロース、ロジン、天然ゴム等が挙げられる。
中でも、ポリウレタン、アクリル−シリコーン樹脂及びフッ素系樹脂が好ましい。
水分散性樹脂のメジアン径(D50)は、通常、50〜200nmである。
水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)は、通常、30℃以下である。
水分散性樹脂のガラス転移温度は、通常、−30℃以上である。
インクジェットインク中の水分散性樹脂の含有量は、通常、1〜15質量%であり、2〜7質量%であることが好ましい。
防腐防黴剤としては、特に限定されないが、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、特に限定されないが、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤等が挙げられる。
インクジェットインクは、水溶性有機溶媒、顔料及び共重合体を含む組成物を水中に溶解又は分散させた後、撹拌することにより製造することができる。
インクジェットインクを製造する際には、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置等により粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
組成物を水中に溶解又は分散させる際に用いる分散機としては、特に限定されないが、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等が挙げられる。
組成物が溶解又は分散している水を攪拌する際に用いる攪拌機としては、特に限定されないが、攪拌羽根を用いる攪拌機、マグネチックスターラー、高速分散機等が挙げられる。
インクジェットインクの25℃における粘度は、通常、3〜20mPa・sであり、5〜12mPa・sであることが好ましい。インクジェットインクの25℃における粘度が3mPa・s以上であることにより、画像濃度及び文字品位を向上させることができる。一方、インクジェットインクの25℃における粘度が20mPa・s以下であることにより、インクの吐出安定性を向上させることができる。
なお、インクジェットインクの25℃における粘度は、粘度計RL−500L(東機産業社製)を用いて測定することができる。
インクジェットインクの25℃における表面張力は、通常、40mN/m以下である。
インクジェットインクにより画像が記録される記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、印刷用塗工紙、光沢紙、特殊紙等が挙げられる。
上記の記録媒体には、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)等が配合されており、インクジェットインクが着弾した際に、多価金属イオン(例えば、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム)が溶出する。
インクジェットインクは、一般に、多価金属イオンと反応して凝集し、画像濃度に優れる画像が記録される。
しかしながら、普通紙に含まれる填料、サイズ剤定着剤等の多くは難水溶性の金属塩であり、普通紙中の水溶性の金属塩の含有量が少ない。このため、普通紙は、一般に、水溶性の多価金属塩等が紙面上に加工されている紙と比較すると、多価金属イオンの溶出量が少なく、画像濃度を向上させることが困難である。
一方、前述のインクジェットインクは、多価金属イオンの溶出量が少ない普通紙であっても、画像濃度に優れる画像を記録することができる。
前述のインクジェットインクは、カルシウムイオンの水に対する溶出量が1.0×10−4〜5.0×10−4g/gの記録媒体に画像を記録する際に用いることが好ましい。カルシウムイオンの水に対する溶出量が1.0×10−4g/g以上である記録媒体を用いることにより、共重合体が凝集することにより画像濃度を向上させることができる。一方、カルシウムイオンの水に対する溶出量が5.0×10−4g/g以下である記録媒体を用いることにより、記録媒体へのインクジェットインクの浸透が阻害されないため、インクジェットインクの乾燥性、耐擦過性及び耐マーカー性を向上させることができる。
インクジェット記録装置は、インクジェットインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェットヘッドを有し、すなわち、インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドと、維持回復装置を有し、刺激発生手段、制御手段等をさらに有していてもよい。
インクジェット記録装置は、インクジェットインクにインクジェットヘッドを介して刺激を印加し、インクジェットヘッドのノズルからインクジェットインクを吐出させて画像を記録する。
刺激としては、特に限定されないが、熱(温度)、圧力、振動、光等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、熱、圧力が好ましい。
刺激発生手段としては、特に限定されないが、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト等が挙げられる。
刺激発生手段の具体例としては、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて、液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等が挙げられる。
インクジェットインクの吐出方法としては、特に限定されないが、インクジェットヘッド内のインクジェットインクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを、サーマルヘッドを用いて付与することにより、インクジェットインクに気泡を発生させ、気泡の圧力により、インクジェットヘッドのノズルからインクジェットインクを液滴として吐出させる方法、インクジェットヘッド内の流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、インクジェットヘッドのノズルからインクジェットインクを液滴として吐出させる方法等が挙げられる。
インクジェットインクの液滴の大きさは、通常、3〜40pLである。
インクジェットインクの液滴を吐出させる速度は、通常、5〜20m/sである。
インクジェットインクの液滴を吐出させる駆動周波数は、通常、1kHz以上である。
インクジェットインクを吐出させて記録される画像の解像度は、通常、300dpi以上である。
インクジェットヘッドは、多数のノズルを有し、インクジェットインクをエネルギーの作用により液滴化し、吐出させるヘッド部及び記録ユニットのいずれかを有することが好ましい。
また、インクジェットヘッドは、液室部と、流体抵抗部と、振動板と、ノズル部材を有し、インクジェットヘッドの少なくとも一部がシリコーン及びニッケルのいずれかを含有する材料から形成されていることが好ましい。
インクジェットヘッドのノズル径は、通常、30μm以下であり、1〜20μmであることが好ましい。
インクジェット記録装置は、インクジェットヘッド上にインクジェットインクを供給するサブタンクを有し、インクカートリッジからチューブを介して、サブタンクにインクジェットインクが供給されることが好ましい。
維持回復装置は、インクジェットヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段と連通する少なくとも1つの吸引覆蓋手段(吸引キャップ)及びインクジェットヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段と連通していない少なくとも1つの非吸引覆蓋手段(保湿キャップ)を有する。吸引キャップと保湿キャップを備えることにより、全てのキャップが吸引キャップである場合よりも信頼性を確保するための維持動作に消費されるインクジェットインクが低減され、維持動作にかかる時間、インクジェットインクの無駄を防ぐことができる。
維持回復装置としては、特に限定されないが、特開2005−170035号公報等に開示されている装置を用いることができる。
インクジェット記録装置は、記録媒体の記録面を反転させて両面印刷可能とする反転手段を有することが好ましい。
反転手段としては、静電気力を有する搬送ベルト、空気吸引により記録媒体を保持する手段、搬送ローラと拍車との組み合わせ等が挙げられる。
斑点手段は、無端状の搬送ベルトと、搬送ベルト表面を帯電させて記録媒体を保持しながら搬送する搬送手段を有することが好ましい。この場合、帯電ローラに±1.2kV〜±2.6kVのACバイアスを加えて搬送ベルトを帯電させることが好ましい。
制御手段としては、各手段の動作を制御することが可能であれば、特に限定されないが、シークエンサー、コンピュータ等が挙げられる。
図1及び図2に、インクジェットヘッドのノズル面を示す。なお、図1は、第1ヘッド及び第2ヘッドからなる2ヘッドタイプであり、図2は、第1ヘッド、第2ヘッド、第3ヘッド及び第4ヘッドからなる4ヘッドタイプである。
2ヘッドタイプでは、第1ヘッド及び第2ヘッドのいずれか一方が吸引力発生手段と連通する吸引覆蓋手段(吸引キャップ)で覆蓋され、他方が、吸引力発生手段と連通していない非吸引覆蓋手段(保湿キャップ)で覆蓋される。図1の例では、第1ヘッドが吸引キャップで覆蓋され、第2ヘッドが保湿キャップで覆蓋されている。
4ヘッドタイプでは、第1ヘッドから第4ヘッドのうち少なくとも1つが吸引力発生手段と連通する吸引覆蓋手段(吸引キャップ)で覆蓋され、それ以外が、吸引力発生手段と連通していない非吸引覆蓋手段(保湿キャップ)で覆蓋される。図2の例では、第1ヘッドが吸引キャップで覆蓋され、第2ヘッド、第3ヘッド及び第4ヘッドが保湿キャップで覆蓋されている。
なお、2ヘッドタイプにおいて、フルカラー記録を行う場合には、合計4つのノズル列に、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(Bk)のインクジェットインクをそれぞれ充填する必要がある。
図3に、インクジェット記録装置の一例を示す。なお、図3は、インクジェット記録装置を前方側から見た図である。
インクジェット記録装置は、装置本体1と、装置本体1に装着されており、用紙を装填する給紙トレイ2と、装置本体1に装着されており、画像が記録された用紙をストックする排紙トレイ3を備える。また、インクジェット記録装置は、装置本体1の前面4の一端部側には、前面4から前方側に突き出し、上面5よりも低くなったカートリッジ装填部6を有し、カートリッジ装填部6の上面に、操作キー、表示器等の操作部7が配置されている。カートリッジ装填部6には、インクカートリッジ10が交換可能に装着され、また、開閉可能な前カバー8を有している。
インクカートリッジ10は、容器中にインクジェットインクが収容されている。
容器は、通常、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等により形成されているインク袋を有する。
インクカートリッジは、通常、インク注入口からインク袋内にインクジェットインクが充填され、排気された後、インク注入口を融着することにより閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口に装置本体1の針を刺して、インクジェットインクが装置本体1に供給される。
図4に、図3のインクジェット記録装置の機構部の全体構成を示す。また、図5に、図3のインクジェット記録装置の機構部の要部を示す。
フレーム21を構成する左右の側板21A、21Bに横架されているガイドロッド31とステー32で、キャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータにより、キャリッジ走査方向(主走査方向)Xに移動走査する。
キャリッジ33には、インクジェットインクの液滴を吐出させる複数のインクジェットヘッド34がインクジェットインクの液滴が吐出される方向が下方になるように装着されている。このとき、複数のノズルは、主走査方向と交差する方向に配列されている。ここで、インクジェットヘッド34は、例えば、イエロー(Y)の液滴を吐出するインクジェットヘッド34y、マゼンタ(M)の液滴を吐出するインクジェットヘッド34m、シアン(C)の液滴を吐出するインクジェットヘッド34c、ブラック(Bk)の液滴を吐出するインクジェットヘッド34kから構成されている。
なお、単数又は複数の色のインクジェットインクの液滴を吐出させる単数又は複数のノズル列を有するインクジェットヘッドを単数又は複数用いることもできる。
また、キャリッジ33には、各インクジェットヘッド34にそれぞれ各色のインクジェットインクを供給する各色のサブタンク35y、35m、35c、35kが搭載されている。サブタンク35には、各色のチューブ37を介して、各色のインクカートリッジ10からインクジェットインクが供給される。
ここで、インクカートリッジ10は、カートリッジ装填部6に収納される。カートリッジ装填部6には、インクカートリッジ10内のインクジェットインクを送液する供給ポンプユニット23が設けられている。また、インクカートリッジ装填部6からサブタンク35に至るまでインクジェットインクを供給するチューブ37は、這い回しの途中でフレーム21を構成する後板21Cに本体側ホルダ25により固定保持されている。さらに、チューブ37は、キャリッジ33上でも固定リブ26により固定されている。
なお、符号22及び36は、それぞれフレキシブルケーブル及びインクジェットインクを供給するチューブ(サブタンク接続部)を示す。
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(底板)41上に積載した用紙42を給紙する給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する給紙コロ43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数が大きい材質からなる分離パッド44を備え、分離パッド44は、給紙コロ43側に付勢されている。
インクジェット記録装置は、給紙部から給紙された用紙42をインクジェットヘッド34の下方側で搬送するための搬送部として、用紙42を静電吸着して搬送する搬送ベルト51と、給紙部からガイド45を介して送られる用紙42を搬送ベルト51との間で挟んで搬送するカウンタローラ52と、略鉛直上方に送られる用紙42を略90°方向転換させて搬送ベルト51上に倣わせる搬送ガイド53と、押さえ部材54で搬送ベルト51側に付勢された先端加圧コロ55を備えている。また、インクジェット記録装置は、搬送ベルト51の表面を帯電させる帯電ローラ56を備えている。
ここで、搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ57とテンションローラ58の間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)Yに周回するように構成されている。帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されており、軸の両端に各々2.5Nの加圧力が印加されている。
また、搬送ベルト51の裏側には、インクジェットヘッド34による印字領域に対応してガイド部材61が配置されている。ガイド部材61は、上面が搬送ベルト51を支持する搬送ローラ57及びテンションローラ58の接線よりもインクジェットヘッド34側に突出している。これにより、搬送ベルト51は、印字領域では、ガイド部材61の上面にて押し上げられてガイドされるので、高精度な平面性が維持される。
さらに、インクジェット記録装置は、インクジェットヘッド34で記録された用紙42を排紙する排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離する分離爪71、排紙ローラ72及び排紙コロ73を備え、排紙ローラ72の下方に排紙トレイ3を備えている。ここで、排紙ローラ72と排紙コロ73の間から排紙トレイ3までの高さは、排紙トレイ3にストックできる量を多くするために、ある程度高くしている。
また、装置本体1の背面部には、両面給紙ユニット81が着脱自在に装着されている。両面給紙ユニット81は、搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ52と搬送ベルト51の間に給紙する。また、両面給紙ユニット81の上面には、手差し給紙部82が設けられている。
さらに、キャリッジ走査方向Xの一方の側の非印字領域には、インクジェットヘッド34のノズルの状態を維持し、回復する維持回復装置91を配置している。維持回復装置91には、インクジェットヘッド34の各ノズル面をキャッピングするキャップ部材92a〜92dと、ノズル面をワイピングするワイパーブレード93と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け94及び空吐出受け94に一体形成され、ワイパーブレード93に付着したインクジェットインクを除去するワイパークリーナ95(図7参照)と、ワイパーブレード93のクリーニング時にワイパーブレード93をワイパークリーナ95側に押し付けるクリーナコロ96を備えている。
また、キャリッジ走査方向Xの他方側の非印字領域には、記録中等に増粘したインクジェットインクを排出するために、記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け98が配置されており、空吐出受け98は、インクジェットヘッド34のノズル列方向に沿った開口99を備えている。
インクジェット記録装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42は、ガイド45により案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ52の間に挟まれて搬送される。さらに、用紙42は、先端が搬送ガイド53により案内された後、先端加圧コロ55により搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向が転換される。
このとき、制御回路により、高圧電源から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力が交互に繰り返すように、即ち、交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、即ち、周回方向であるベルト搬送方向Yに、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電したものとなる。プラスとマイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に静電的に吸着され、搬送ベルト51の周回移動により、用紙42がベルト搬送方向Yに搬送される。そこで、キャリッジ33を動かしながら、画像信号に応じてインクジェットヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインクジェットインクの液滴を吐出させて1行分を記録し、用紙42を所定量搬送した後、次の行を記録する。このとき、記録が終了した信号、又は、用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けると、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
また、記録待機中には、キャリッジ33は、維持回復装置91側に移動されて、キャップ部材92でインクジェットヘッド34がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことにより、インクジェットインクの乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ部材92でインクジェットヘッド34をキャッピングした状態でノズルからインクを吸引し、増粘したインクジェットインクや気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中等に記録と関係ないインクジェットインクを吐出する空吐出動作を行う。これにより、インクジェットヘッド34の安定した吐出性能を維持する。
図6に、維持回復装置91の要部を示す。また、図7及び図8に、維持回復装置91を示す。
フレーム111には、2つのキャップホルダ112A、112Bと、ワイパーブレード93と、キャリッジロック115が、それぞれ昇降可能(上下動可能)に保持されている。また、ワイパーブレード93とキャップホルダ112Aの間には、空吐出受け94が配置されており、ワイパーブレード93をクリーニングするために、フレーム111の外側からワイパーブレード93をワイパークリーナ95側に押し付けるクリーナコロ96を含むワイパークリーナ118が揺動可能に保持されている。
キャップホルダ112A、112Bには、それぞれ、2つのインクジェットヘッド34のノズル面を、それぞれキャッピングする2つのキャップ92aと92b、キャップ92cと92dが保持されている。
ここで、印字領域に最も近い側のキャップホルダ112Aに保持されているキャップ92aには、可撓性チューブ119を介して、チュービングポンプ(吸引ポンプ)120が接続されており、キャップ92b、92c、92dには、チュービングポンプ120が接続されていない。即ち、キャップ92aを吸引用キャップとし、キャップ92b、92c、92dを保湿キャップとしている。したがって、インクジェットヘッド34の回復動作を行うときには、回復動作を行うインクジェットヘッド34を吸引用キャップ92aによってキャッピング可能な位置に選択的に移動させる。
また、キャップホルダ112A、112Bの下方には、フレーム111に回転自在に支持されているカム軸121が配置されており、カム軸121には、キャップホルダ112A、112Bを昇降させるためのキャップカム122A、122Bと、ワイパーブレード93を昇降させるワイパーカム124、キャリッジロックアーム117を介して、キャリッジロック115を昇降させるキャリッジロックカム125と、空吐出受け94内で空吐出した液滴がかかるコロ126と、ワイパークリーナ118を揺動させるクリーナカム128がそれぞれ設けられている。
ここで、キャップ92は、キャップカム122A、122Bにより昇降する。ワイパーブレード93は、ワイパーカム124により昇降し、下降時にワイパークリーナ118が進出して、ワイパークリーナ118のクリーナコロ96と空吐出受け94のワイパークリーナ95に挟まれながら下降することにより、ワイパーブレード93に付着したインクが空吐出受け94内に掻き落とされる。
キャリッジロック115は、圧縮バネにより、上方(ロック方向)に付勢されて、キャリッジロックカム125により駆動されるキャリッジロックアーム117を介して、昇降する。
そして、チュービングポンプ120及びカム軸121を回転駆動するために、モータ131の回転をモータ軸131aに設けられているモータギヤ132に、チュービングポンプ120のポンプ軸120aに設けられているポンプギヤ133を噛み合わせている。また、ポンプギヤ133と一体の中間ギヤ134に中間ギヤ135を介して、一方向クラッチ137付きの中間ギヤ136を噛み合わせ、中間ギヤ136と同軸の中間ギヤ138に中間ギヤ139を介して、カム軸121に固定したカムギヤ140を噛み合わせている。なお、クラッチ137付きの中間ギヤ136、138の回転軸である中間軸141は、フレーム111により、回転可能に保持されている。
また、カム軸121には、ホームポジションを検出するホームポジションセンサ用カム142が設けられており、維持回復装置91に設けられているホームポジションセンサにより、キャップ92が最下端に来たときにホームポジションレバーを作動させ、センサが開状態になって、モータ131(ポンプ120以外)のホームポジションを検知する。なお、電源オン時には、キャップ92(キャップホルダ112)の位置に関係なく、上下(昇降)し、移動開始までは位置検出を行わず、キャップ92のホーム位置(上昇途中)を検知した後に、定められた量を移動して最下端へ移動する。その後、キャリッジが左右に移動して位置を検知した後、キャップ位置に戻り、インクジェットヘッド34がキャッピングされる。
図9に、キャップ92の保持昇降機構部を示す。
キャップホルダ112Aは、キャップ92a、92bを昇降可能に保持するホルダ151と、ホルダ151の底面とキャップ92a、92bの底部の間に介装されてキャップ92a、92bを上方に付勢するスプリング152と、ホルダ151を前後方向(インクジェットヘッド34のノズルの並び方向)に移動可能に保持するスライダ153を有する。
キャップ92a、92bは、両端部に設けられているガイドピン150aをホルダ151のガイド溝(不図示)に上下動可能に、底面に設けられているガイド軸150bをホルダ151に上下動可能に挿通して、ホルダ151に対して上下動可能に装着されている。キャップ92a、92bとキャップホルダ151の間に介装されているスプリング152、152は、キャップ92a、92bを上方向(キャッピング時にノズル面側に押圧する方向)に付勢されている。
スライダ153は、前後端に設けられているガイドピン154、155をフレーム111に形成したガイド溝156に摺動可能に嵌め合わせることにより、スライダ153、ホルダ151及びキャップ92a、92b全体が上下動できる構成としている。
そして、スライダ153の下面に設けられているカムピン157をキャップカム122Aのカム溝(不図示)に嵌め合わせて、モータ131の回転が伝達されるカム軸121の回転に同動するキャップカム122Aの回転により、スライダ153、ホルダ151及びキャップ92Aが上下動するようにしている。
さらに、吸引用キャップ92aには、スライダ153及びキャップホルダ151を挿通して、キャップ92aの短手方向に対してキャップ中央位置の下方からチューブ119を這い回して接続している。
なお、キャップ92c、92dを保持するキャップホルダ112B及びこれを上下動させる構成も上記と同様であるので、説明を省略する。ただし、キャップ92c、92dには、チューブ119は接続されない。このように、1つの駆動源であるモータ131を駆動することにより、1つの軸であるカム軸121が回転し、カム軸121の回転により、カム軸121に固定されているカム122A、122Bが回転して、キャップ92a、92b及びキャップ92c、92dが上下動する構成としている。
インクジェット記録装置は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機等に適用することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、実施例に限定されない。なお、部は、質量部を意味する。
<化合物(4−1)の合成>
フラスコにアレンドロン酸25部を入れた後、水酸化ナトリウム17.1部を水200部で溶解させた水溶液を加え、撹拌しながら溶解させた。次に、フラスコを5℃に冷却しながらメタクリル酸クロリド13.32部を滴下し、30分間撹拌した後、濃塩酸14.53部を冷却しながら滴下した。さらに、塩化メチレンで3回抽出洗浄した後、メタノール800部中に滴下し、析出させた。次に、ろ過して、化合物(4−1)(1−ヒドロキシ−4−メタクリルアミドブタン−1,1−ジイルビス(ホスホン酸ナトリウム)35部を得た。
化合物(4−1)1.7部をイオン交換水176部に溶解させた後、チモールフタレインを指示薬として、0.1N水酸化カリウムメタノール溶液で中和滴定し、酸価を求めたところ、155mgKOH/gであった。アレンドロン酸の滴定結果と比較すると、ジホスホン酸の4個のOH基のうち、2個のOH基が中和された場合の計算値155mgKOH/gとよく一致した。
<化合物(4−2)の合成>
メタクリル酸クロリド13.32部の代わりに、アクリル酸クロリド11.53部を用いた以外は、化合物(4−1)と同様にして、化合物(4−2)(1−ヒドロキシ−4−アクリルアミドブタン−1,1−ジイルビス(ホスホン酸ナトリウム)33部を得た。
<化合物(4−3)の合成>
水酸化ナトリウム17.1部の代わりに、水酸化カリウム24部を用いた以外は、化合物(4−1)と同様にして、化合物(4−3)(1−ヒドロキシ−4−メタクリルアミドブタン−1,1−ジイルビス(ホスホン酸カリウム)40部を得た。
<化合物(4−4)の合成>
メタクリル酸クロリド13.32部の代わりに、アクリル酸クロリド11.53部を用い、水酸化ナトリウム17.1部の代わりに、トリエチルアミン43.3部を用いた以外は、化合物(4−1)と同様にして、化合物(4−4)(1−ヒドロキシ−4−アクリルアミドブタン−1,1−ジイルビス(ホスホン酸トリエチルアンモニウム)44部を得た。
<共重合体1の合成>
ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、アルゴン雰囲気下、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)180部を入れた後、75℃まで昇温した。次に、化合物(4−1)15部を水193部に溶解させた水溶液、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)45部をDMF182部に溶解させた溶液及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7.2部をDMF180.8部に溶解させた溶液を、それぞれ12回に分けて30分毎に加えた後、75℃で4時間撹拌し、冷却した。次に、ヘキサン250部とテトラヒドロフラン150部の混合溶媒に撹拌しながら投入した後、放置して分離抽出した。さらに、混合溶媒で2回洗浄し、溶媒を留去した後、70℃で真空乾燥させ、共重合体1の前駆体を得た。
1部の共重合体1の前駆体をイオン交換水120部に溶解させた後、チモールフタレインを指示薬として、0.1N水酸化カリウムメタノール溶液で滴定して酸価を求めたところ、39mgKOH/gであった。化合物(4−1)の酸価と比較すると、仕込み比通りに共重合された場合の計算値39mgKOH/gとよく一致した。
共重合体1の前駆体の酸価を基に、水酸化ナトリウムを用いて、ジホスホン酸の4個のOH基のうち、3個のOH基が中和されるように、共重合体1の前駆体を中和しながら、共重合体1の10質量%水溶液を得た。共重合体1の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.21mPa・sであった。
なお、アレンドロン酸の滴定結果から、チモールフタレインの変色時には、ジホスホン酸の4個のOH基のうち、3個が中和されることがわかる。
<共重合体2の合成>
化合物(4−1)及びDMAAの添加量を、それぞれ18部及び42部に変更した以外は、共重合体1の合成と同様にして、共重合体2の10質量%水溶液を得た。共重合体2の前駆体の酸価は、47mgKOH/gであった。また、共重合体2の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.16mPa・sであった。
<共重合体3の合成>
化合物(4−1)及びDMAAの添加量を、それぞれ24部及び36部に変更した以外は、共重合体1の合成と同様にして、共重合体3の10質量%水溶液を得た。共重合体3の前駆体の酸価は、62mgKOH/gであった。また、共重合体3の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.12mPa・sであった。
<共重合体4の合成>
化合物(4−1)及びDMAAの添加量を、それぞれ30部及び30部に変更した以外は、共重合体1の合成と同様にして、共重合体4の10質量%水溶液を得た。共重合体4の前駆体の酸価は、77mgKOH/gであった。また、共重合体4の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.09mPa・sであった。
<共重合体5の合成>
化合物(4−1)及びDMAAの添加量を、それぞれ36部及び24部に変更した以外は、共重合体1の合成と同様にして、共重合体5の10質量%水溶液を得た。共重合体5の前駆体の酸価は、92mgKOH/gであった。また、共重合体5の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.08mPa・sであった。
<共重合体6の合成>
化合物(4−1)及びDMAAの添加量を、それぞれ42部及び18部に変更した以外は、共重合体1の合成と同様にして、共重合体6の10質量%水溶液を得た。共重合体6の前駆体の酸価は、109mgKOH/gであった。また、共重合体6の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.11mPa・sであった。
<共重合体7の合成>
化合物(4−1)及びDMAAの添加量を、それぞれ45部及び15部に変更した以外は、共重合体1の合成と同様にして、共重合体7の10質量%水溶液を得た。共重合体7の前駆体の酸価は、115mgKOH/gであった。また、共重合体7の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.15mPa・sであった。
<共重合体8の合成>
化合物(4−1)の代わりに、化合物(4−2)を用いた以外は、共重合体2の合成と同様にして、共重合体8の10質量%水溶液を得た。共重合体8の前駆体の酸価は、48mgKOH/gであった。また、共重合体8の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.67mPa・sであった。
<共重合体9の合成>
化合物(4−1)の代わりに、化合物(4−2)を用いた以外は、共重合体4の合成と同様にして、共重合体9の10質量%水溶液を得た。共重合体9の前駆体の酸価は、81mgKOH/gであった。また、共重合体9の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.61mPa・sであった。
<共重合体10の合成>
化合物(4−1)の代わりに、化合物(4−2)を用いた以外は、共重合体5の合成と同様にして、共重合体10の10質量%水溶液を得た。共重合体10の前駆体の酸価は、97mgKOH/gであった。また、共重合体10の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.59mPa・sであった。
<共重合体11の合成>
DMAAの代わりに、N,N−ジメチルメタクリルアミド(DMMAA)を用いた以外は、共重合体3の合成と同様にして、共重合体11の10質量%水溶液を得た。共重合体11の前駆体の酸価は、62mgKOH/gであった。また、共重合体11の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.09mPa・sであった。
<共重合体12の合成>
DMAAの代わりに、DMMAAを用いた以外は、共重合体5の合成と同様にして、共重合体12の10質量%水溶液を得た。共重合体12の前駆体の酸価は、93mgKOH/gであった。また、共重合体12の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.05mPa・sであった。
<共重合体13の合成>
DMAAの代わりに、DMMAAを用いた以外は、共重合体9の合成と同様にして、共重合体13の10質量%水溶液を得た。共重合体13の前駆体の酸価は、80mgKOH/gであった。また、共重合体13の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.51mPa・sであった。
<共重合体14の合成>
AIBN7.2部の代わりに、2,2'−アゾビス(ジメチルバレロニトリル)3.6部及びα−チオグリセロール4.2部を用いた以外は、共重合体4の合成と同様にして、共重合体14の10質量%水溶液を得た。共重合体14の前駆体の酸価は、78mgKOH/gであった。また、共重合体14の10質量%水溶液は、25℃における粘度が1.84mPa・sであった。
<共重合体15の合成>
AIBN7.2部の代わりに、AIBN1.8部及び1−ドデカンチオール4部を用いた以外は、共重合体4の合成と同様にして、共重合体15の10質量%水溶液を得た。共重合体15の前駆体の酸価は、77mgKOH/gであった。また、共重合体15の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.38mPa・sであった。
<共重合体16の合成>
AIBNの添加量を2.0部に変更した以外は、共重合体4の合成と同様にして、共重合体16の10質量%水溶液を得た。共重合体16の前駆体の酸価は、77mgKOH/gであった。また、共重合体16の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.92mPa・sであった。
<共重合体17の合成>
AIBNの添加量を1.8部に変更した以外は、共重合体4の合成と同様にして、共重合体17の10質量%水溶液を得た。共重合体17の前駆体の酸価は、78mgKOH/gであった。また、共重合体17の10質量%水溶液は、25℃における粘度が3.95mPa・sであった。
<共重合体18の合成>
AIBNの添加量を1.6部に変更し、重合温度を70℃に変更した以外は、共重合体4の合成と同様にして、共重合体18の10質量%水溶液を得た。共重合体18の前駆体の酸価は、76mgKOH/gであった。また、共重合体18の10質量%水溶液は、25℃における粘度が4.36mPa・sであった。
<共重合体19の合成>
化合物(4−1)の代わりに、化合物(4−3)を用いた以外は、共重合体4の合成と同様にして、共重合体19の10質量%水溶液を得た。共重合体19の前駆体の酸価は、70mgKOH/gであった。また、共重合体19の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.07mPa・sであった。
<共重合体20の合成>
化合物(4−1)の代わりに、化合物(4−3)を用い、DMAAの代わりに、DMMAAを用いた以外は、共重合体5の合成と同様にして、共重合体20の10質量%水溶液を得た。共重合体20の前駆体の酸価は、86mgKOH/gであった。また、共重合体20の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.05mPa・sであった。
<共重合体21の合成>
化合物(4−1)の代わりに、化合物(4−4)を用いた以外は、共重合体3の合成と同様にして、共重合体21の10質量%水溶液を得た。共重合体21の前駆体の酸価は、45mgKOH/gであった。また、共重合体21の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.07mPa・sであった。
<共重合体22の合成>
化合物(4−1)の代わりに、化合物(4−4)を用いた以外は、共重合体5の合成と同様にして、共重合体22の10質量%水溶液を得た。共重合体22の前駆体の酸価は、67mgKOH/gであった。また、共重合体22の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.06mPa・sであった。
<共重合体23の合成>
化合物(4−1)の代わりに、化合物(4−4)を用い、DMAAの代わりに、DMMAAを用いた以外は、共重合体4の合成と同様にして、共重合体23の10質量%水溶液を得た。共重合体23の前駆体の酸価は、56mgKOH/gであった。また、共重合体23の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.04mPa・sであった。
<共重合体24の合成>
DMAAの代わりに、ジエチルアクリルアミド(東京化成社製)(DEAA)を用いた以外は、共重合体4の合成と同様にして、共重合体24の10質量%水溶液を得た。共重合体24の前駆体の酸価は、77mgKOH/gであった。また、共重合体24の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.18mPa・sであった。
<共重合体25の合成>
DMAAの代わりに、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)(東京化成社製)を用いた以外は、共重合体5の合成と同様にして、共重合体25の10質量%水溶液を得た。共重合体25の前駆体の酸価は、93mgKOH/gであった。また、共重合体25の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.26mPa・sであった。
<共重合体26の合成>
DMAAの代わりに、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド(HMAA)(東京化成社製)を用いた以外は、共重合体9の合成と同様にして、共重合体26の10質量%水溶液を得た。共重合体26の前駆体の酸価は、80mgKOH/gであった。また、共重合体26の10質量%水溶液は、25℃における粘度が2.57mPa・sであった。
<共重合体27の合成>
ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、アルゴン雰囲気下、DMF360部を入れた後、75℃まで昇温した。次に、化合物(4−1)60部を水193部に溶解させた水溶液、DMF182部に溶解させた溶液及びAIBN7.2部をDMF180部に溶解させた溶液を、それぞれ12回に分けて30分毎に加えた後、75℃で4時間撹拌し、冷却した。
析出物をろ別し、ヘキサンで洗浄し、真空乾燥させ、共重合体27を得た。共重合体27の酸価は、154mgKOH/gであった。
共重合体27を希釈し、共重合体27の10質量%水溶液を得た。共重合体27の10質量%水溶液は、25℃における粘度が3.20mPa・sであった。
<共重合体28の合成>
化合物(4−1)の代わりに、化合物(4−3)を用い、DMAAの代わりに、2−ヒドロキシプロピルアクリルアミド(HPAA)(東京化成社製)を用いた以外は、共重合体2の合成と同様にして、共重合体28の10質量%水溶液を得た。共重合体28の前駆体の酸価は、43mgKOH/gであった。また、共重合体28の10質量%水溶液は、25℃における粘度が9.50mPa・sであった。
<粘度>
粘度計RE500L(東機産業社製)を用いて、サンプルの粘度に合わせて、50回転又は100回転に調整して粘度を測定した。
表1に、共重合体の特性を示す。
<顔料分散体1の調製>
カーボンブラックNIPEX160(デグサ社製)20部、固形分が10質量%のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩A−45−PN(竹本油脂社製)13部及び純水67部をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミルKDL型(シンマルエンタープライゼス社製)を用いて、周速10m/sで10分間循環分散させた。このとき、メディアとして、直径が0.1mmのジルコニアボールを使用した。次に、孔径が1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、顔料分散体1を得た。
<顔料分散体2の調製>
カーボンブラックNIPEX160(デグサ社製)20部、共重合体1の10質量%水溶液50部及び純水30部をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミルKDL型(シンマルエンタープライゼス社製)を用いて、周速10m/sで10分間循環分散させた。このとき、メディアとして、直径が0.1mmのジルコニアボールを使用した。次に、孔径が1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、顔料分散体2を得た。
<顔料分散体3の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体2の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体3を得た。
<顔料分散体4の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体3の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体4を得た。
<顔料分散体5の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体4の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体5を得た。
<顔料分散体6の調製>
カーボンブラックNIPEX160(デグサ社製)の代わりに、ピグメントブルー15:3のクロモファインブルーA−220JC(大日精化社製)を用いた以外は、顔料分散体5と同様にして、顔料分散体6を得た。
<顔料分散体7の調製>
カーボンブラックNIPEX160(デグサ社製)の代わりに、ピグメントレッド122のトナーマゼンタEO02(クラリアント社製)を用いた以外は、顔料分散体5と同様にして、顔料分散体7を得た。
<顔料分散体8の調製>
カーボンブラックNIPEX160(デグサ社製)の代わりに、ピグメントイエロー74のファーストイエロー531(大日精化社製)を用いた以外は、顔料分散体5と同様にして、顔料分散体8を得た。
<顔料分散体9の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体5の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体9を得た。
<顔料分散体10の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体6の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体10を得た。
<顔料分散体11の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体7の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体11を得た。
<顔料分散体12の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体8の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体12を得た。
<顔料分散体13の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体9の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体13を得た。
<顔料分散体14の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体10の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体14を得た。
<顔料分散体15の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体11の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体15を得た。
<顔料分散体16の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体12の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体16を得た。
<顔料分散体17の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体13の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体17を得た。
<顔料分散体18の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体14の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体18を得た。
<顔料分散体19の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体15の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体19を得た。
<顔料分散体20の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体16の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体20を得た。
<顔料分散体21の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体17の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体21を得た。
<顔料分散体22の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体18の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体22を得た。
<顔料分散体23の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体19の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体23を得た。
<顔料分散体24の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体20の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体24を得た。
<顔料分散体25の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体21の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体25を得た。
<顔料分散体26の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体22の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体26を得た。
<顔料分散体27の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体23の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体27を得た。
<顔料分散体28の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体24の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体28を得た。
<顔料分散体29の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体25の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体29を得た。
<顔料分散体30の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体26の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体30を得た。
<顔料分散体31の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体27の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体28を得た。
<顔料分散体32の調製>
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、共重合体28の10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体29を得た。
<顔料分散体33の調製>
2−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸をメタノール中で2倍等量の水酸化カリウムで中和した後、メタノールを留去して、2−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸ジカリウムを得た。
2−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸ジカリウムを希釈し、2−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸ジカリウムの10質量%水溶液を得た。
共重合体1の10質量%水溶液の代わりに、2−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸ジカリウムの10質量%水溶液を用いた以外は、顔料分散体2と同様にして、顔料分散体30を得た。
次に、顔料分散体の保存安定性を評価した。
<保存安定性>
顔料分散体をポリエチレン容器に入れ、密封した後、60℃で1週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率[%]を、式
(保存後の顔料分散体の粘度)/(保存前の顔料分散体の粘度)×100
から算出し、保存安定性を評価した。このとき、粘度計RE500L(東機産業社製)を用いて、サンプルの粘度に合わせて50回転又は100回転に調整して、粘度を測定した。なお、粘度の変化率の絶対値が5%未満である場合をA、5%以上8%未満である場合をB、8%以上10%未満である場合をC、10%以上30%未満である場合をD、30%以上である場合をEとして、判定した。
表2に、顔料分散体の保存安定性の評価結果を示す。
(実施例1)
40部の顔料分散体1、1,3−ブタンジオール20部、グリセリン10部、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール1部、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール1部、固形分が40質量%のフッ素系界面活性剤ゾニール FS−300(DuPont社製)2部、共重合体4の10質量%水溶液20部及び蒸留水6部を混合し、1.5時間攪拌した後、孔径が1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、インクジェットインクを得た。
(実施例2)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体2を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例3)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体3を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例4)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体4を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例5)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体5を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例6)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体6を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例7)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体7を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例8)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体8を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例9)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体9を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例10)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体10を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例11)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体11を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例12)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体12を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例13)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体13を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例14)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体14を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例15)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体15を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例16)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体16を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例17)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体17を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例18)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体18を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例19)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体19を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例20)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体20を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例21)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体21を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例22)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体22を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例23)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体23を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例24)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体24を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例25)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体25を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例26)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体26を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例27)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体27を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例28)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体28を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例29)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体29を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(実施例30)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体30を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(比較例1)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体31を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(比較例2)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体32を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
(比較例3)
顔料分散体1の代わりに、顔料分散体33を用い、共重合体4の10質量%水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクを得た。
次に、インクジェットインクの画像濃度及び保存安定性を評価した。
<画像濃度>
23℃、50%RH環境下で、インクジェットプリンターIPSiO GX5000(リコー社製)にインクジェットインクを充填した。次に、Microsoft Word2000(Microsoft社製)を用いて作成したJIS X 0208(1997),2223の一般記号が記載されているチャートを、XEROX4200(XEROX社製)(以下、普通紙1という)及びMyPaper(リコー社製)(以下、普通紙2という)に打ち出した。さらに、X−Rite938(エックスライト社製)を用いて、JIS X 0208(1997),2223の一般記号を測色し、画像濃度を測定した。このとき、印字モードとしては、プリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準はやい」モードを「色補正なし」に改変したモードを使用した。また、普通紙1、2のカルシウムイオンの水に対する溶出量は、それぞれ1.7×10−4g/g、4.3×10−4g/gである。
なお、ブラックのインクジェットインクを使用した場合、画像濃度が1.25以上である場合をA、1.20以上1.25未満である場合をB、1.10以上1.20未満である場合をC、1.10未満である場合をD、顔料がゲル化してインクジェットインク中に分散できず、印字できない場合をEとして、判定した。
また、イエローのインクジェットインクを使用した場合、画像濃度が0.80以上である場合をA、0.75以上0.80未満である場合をB、0.70以上0.75未満である場合をC、0.70未満である場合をD、顔料がゲル化してインクジェットインク中に分散できず、印字できない場合をEとして、判定した。
さらに、マゼンタのインクジェットインクを使用した場合、画像濃度が0.95以上である場合をA、0.85以上0.95未満である場合をB、0.75以上0.85未満である場合をC、0.75未満である場合をD、顔料がゲル化してインクジェットインク中に分散できず、印字できない場合をEとして、判定した。
また、シアンのインクジェットインクを使用した場合、画像濃度が1.05以上である場合をA、0.95以上1.05未満である場合をB、0.85以上0.95未満である場合をC、0.85未満である場合をD、顔料がゲル化してインクジェットインク中に分散できず、印字できない場合をEとして、判定した。
<カルシウムイオンの水に対する溶出量>
2.5cm(±0.5cm)×3.5cm(±0.5cm)四方の紙片に裁断した普通紙16gを高純水200g中に40時間浸漬した後、孔径が0.8μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック社製)でろ過して紙粉等の異物を除去した。次に、浸漬液に含まれるカルシウムイオンを、ICP発光分光分析装置を用いて定量した。得られたカルシウムイオンの濃度[ppm]、高純水の質量200g、普通紙の質量16gから、カルシウムイオンの溶出量[g/g]を算出した。
<保存安定性>
インクジェットインクをインクカートリッジに充填した後、60℃で1週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率[%]を、式
(保存後のインクジェットインクの粘度)/(保存前のインクジェットインクの粘度)×100
から算出し、保存安定性を評価した。このとき、粘度計RE500L(東機産業社製)を用いて、サンプルの粘度に合わせて50回転又は100回転に調整して、粘度を測定した。なお、粘度の変化率の絶対値が5%未満である場合をA、5%以上8%未満である場合をB、8%以上10%未満である場合をC、10%以上30%未満である場合をD、30%以上である場合をEとして、判定した。
表3に、インクジェットインクの画像濃度及び保存安定性の評価結果を示す。
表3から、実施例1〜30のインクジェットインクは、普通紙における画像濃度及び保存安定性に優れることがわかる。
一方、比較例1のインクジェットインクは、一般式(1)で表される構成単位を有さない共重合体24を含むため、普通紙における画像濃度及び保存安定性が低下する。
比較例2のインクジェットインクは、一般式(2)又は(3)で表される構成単位を有さない共重合体25を含むため、普通紙における画像濃度及び保存安定性が低下する。
比較例3のインクジェットインクは、共重合体を含まないため、普通紙における画像濃度及び保存安定性が低下する。