JP2016130296A - インクジェット記録用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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JP2016130296A JP2015050427A JP2015050427A JP2016130296A JP 2016130296 A JP2016130296 A JP 2016130296A JP 2015050427 A JP2015050427 A JP 2015050427A JP 2015050427 A JP2015050427 A JP 2015050427A JP 2016130296 A JP2016130296 A JP 2016130296A
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Kazukiyo Nagai
一清 永井
祐介 小飯塚
Yusuke Koiizuka
祐介 小飯塚
島田 知幸
Tomoyuki Shimada
知幸 島田
顕芳 左部
Akiyoshi Sabe
顕芳 左部
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Nariyuki Harada
成之 原田
宜輝 梁川
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宜輝 梁川
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Keita Kato
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Abstract

【課題】高い画像濃度が得られ、保存安定性、吐出回復性に優れたインクジェット記録用インクの提供。【解決手段】少なくとも水、水溶性溶剤、顔料、及びホスホン酸基を有する重合体を含むインクであって、前記重合体は、ジホスホン酸基を有する共重合体であり、該ジホスホン酸基の少なくとも一部がテトラアルキルアンモニウム塩であり、たとえば、4−メタクリルアミドー1-ヒドロキシブタンー1,1−ジホスホン酸二テトラエチルアンモニウム塩と、たとえば、2ーナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステルと2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートとの反応で得られるモノマーとを少なくとも有するものであるインク【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録用インク(以下、単に「インク」と称することもある。)インクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び記録物に関する。
インクジェット記録方式は、他の記録方式に比べてプロセスが簡単であり、かつフルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置であっても高解像度の画像が得られるという利点があることから、普及してきている。このインクジェット記録方式は、熱により発生する泡や、ピエゾや静電等を利用して発生させた圧力で少量のインクを飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて素早く乾燥させること(又は記録媒体に浸透させること)により、画像形成する方式であり、パーソナル及び産業用のプリンタや印刷まで用途が拡大してきている。
このようなインクジェット記録方式では、着色剤として水溶性染料を使用した水系インクが主に用いられているが、前記染料インクは、耐候性及び耐水性に劣るという欠点がある。このため、水溶性染料に代えて水不溶性の顔料を使用する顔料インクの研究が進められている。しかし、前記顔料インクは、前記染料インクに比べて発色性やインクの保存安定性が未だ劣っている。
また、顔料インクは染料インクに比べ、吐出安定性に劣っている。例えば、インクヘッドノズル先端で水が蒸発した際に水溶性溶剤の濃度が高くなり、顔料およびインク組成物が析出しやすく、インクの飛行曲がりやドット抜けが発生し、インクヘッドノズルのクリーニングなどの吐出性回復動作を必要とする。
また、OA用プリンタの高画質化技術の向上に伴って、顔料インクにおいて記録媒体として普通紙を用いても高い画像濃度が要求されている。しかし、前記顔料インクは、記録媒体として普通紙を使用すると、紙中へ浸透することにより紙表面の顔料濃度が低くなり、画像濃度が低くなるという問題がある。
また、近年、特に産業用途としての需要が高まり、高速印字化が望まれている。このような高速印字化に伴ってラインヘッドを搭載したインクジェットプリンターも提案されている。高速印字化を図るため、記録媒体に付着したインクの乾燥速度を速めるために、インクに浸透剤を添加し水を記録媒体中に浸透させることにより乾燥を早める手段が試みられているが、水だけでなく顔料の記録媒体への浸透性も高くなってしまい、画像濃度が低下してしまうという問題がある。
また、記録媒体として普通紙を用いた場合には、印字直後、インクの溶媒である水により普通紙表面が膨潤し、表裏の伸び率差が大きくなり、カールが発生するという問題がある。このような現象は乾燥が進むにつれて解消するため、低速印字では問題とならなかった。
しかし、高速印字化に伴って、印字後のカールが解消されないまま記録媒体を搬送する必要があるため、紙詰まりの問題を引き起こすおそれがある。カールについては、インク中の有機溶剤の含有量を増やす手段が有効であるがインクがより疎水性に近づくため、インクの保存安定性、吐出安定性を確保することが困難になる。
前記課題を解決するため、例えば、液体ビフィクル、着色剤、及び特定のカルシウム指数値を有する少なくとも1つの官能基を有するポリマーを含有するインクジェットインク組成物が提案されている(特許文献1:特表2009−513802号公報参照)。この提案では、前記ポリマーを構成するモノマーとして4−メタクリルアミド−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジホスホン酸が示されており、着色剤が紙と接触した際に、ポリマーのジホスホン酸基と紙中のCa塩とで不安定にさせ、印刷画像を向上させることができるとされている。しかし、インクの保存性、吐出回復性が低いという問題がある。
また、水、水溶性有機溶剤、顔料および特定のビスホスホン酸基を有する構造単位を含むポリマーを含有するインクジェット記録用インクが提案されている(特許文献2:特開2014−114409号公報参照)。この提案では、前記ポリマーを構成するモノマーとして、1−メタクリロイルオキシエタン−1,1−ジホスホン酸が示されており、着色剤が紙と接触した際に、ポリマーのジホスホン酸基と紙中のCa塩とで不安定にさせ、印刷画像を向上させることができるとされている。また、このポリマーを顔料分散剤として用いることで、60℃で1週間のインク保存性が確保されているが、保存安定性の点では不十分である。
さらに、高速で連続印字したときにノズルからのインク吐出特性が不安定になる問題が見られる。吐出安定性は、顔料凝集の引き金となるカルシウム等の影響ばかりでなく、インク中の材料の化学安定性や粘着性等様々な因子が関与しており、キレート剤効果だけでは解決しておらずインクの吐出回復性が低いという問題がある。
また、紙にCa塩を含む受理液を付着させ、リン含有基が結合した顔料、樹脂エマルジョン、及び界面活性剤を含むインクを印字するインクジェット記録方法が提案されている(特許文献3:特開2012−51357号公報参照)。この提案には、リン含有基としてビスホスホン酸が好ましいことが記載されており、前記受理液のCa塩とリン含有基とが反応し、フェザリング及び定着性を向上させる効果があると記載されている。しかし、前記提案の技術では、ホスホン酸基含有ポリマーを顔料分散体の分散剤、及び添加剤として使用するのでなく、リン酸が結合した顔料を使用しており、普通紙に記録した場合の画像濃度の向上効果は十分なものではない。また、この方式の場合、顔料表面に予め化学修飾する必要があるため、顔料選択における汎用性が低いという問題がある。
また、着色剤、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤、及びキレート剤を含んでなる水性インクが提案されている(特許文献4:特開2004−123904号公報参照)。この提案では、前記キレート剤として、低分子化合物であるヒドロキシエチリデンジホスホン酸又はその塩が用いられている。前記キレート剤は、顔料等の分散体に含まれるカルシウム等を除去し、吐出安定性及び保存安定性を改善できるとされている。しかし、前記提案には、低分子化合物であるヒドロキシエチリデンジホスホン酸しか記載されておらず、ホスホン酸を含有するポリマーについては記載がなく、キレート剤と普通紙に記録した場合の画像濃度の向上効果との関係についても記載されていない。
したがって、普通紙に記録した場合でも高い画像濃度が得られ、水溶性有機溶剤の含有量が多くなっても保存安定性、吐出回復性に優れたインクジェット記録用インクの提供が望まれる。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、高い画像濃度が得られ、保存安定性、吐出回復性に優れたインクジェット記録用インクを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のインクジェット記録用インクは、
(1)「 少なくとも水、水溶性溶剤、顔料、及びホスホン酸基を有する重合体を含むインクジェット記録用インクであって、前記重合体は、ジホスホン酸基を有する共重合体であり、該ジホスホン酸基の少なくとも一部がテトラアルキルアンモニウム塩であり、かつ、前記重合体は一般式(1)で表される構造単位(1)と、一般式(2)で表される構造単位(2)とを少なくとも有するものであることを特徴とするインクジェット記録用インク;
Figure 2016130296

(一般式(1)中のRは水素原子またはメチル基を表し、M+は、テトラアルキルアンモニウムイオンまたはプロトンを表す。また、一般式(1)中のXは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)
Figure 2016130296

(一般式(2)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、Lは、炭素数2〜18のアルキレン基を表す。)。」
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、前記従来における諸問題を解決でき、前記目的を達成することができ、高い画像濃度が得られ、保存安定性、吐出回復性に優れたインクジェット記録用インクを提供することができる。
本発明のインクジェット記録装置に配備される記録ヘッドの一例(2ヘッドタイプ)を示すノズル面から見た概略平面図である。 本発明のインクジェット記録装置に配備される記録ヘッドの別例(4ヘッドタイプ)を示すノズル面から見た概略平面図である。 維持回復装置を有する本発明のインクジェット記録装置の一例を示す前方側から見た斜視説明図である。 図3に示すインクジェット記録装置の機構部の全体構成を説明する概略構成図である。 図3に示すインクジェット記録装置の機構部の要部平面説明図である。 本発明のインクジェット記録装置における維持回復装置を含むサブシステム91の要部平面説明図である。 図6に示すサブシステムの模式的概略構成図である。 図6に示すサブシステムの右側面説明図である。 キャップ92の保持昇降機構部の側面説明図である。
以下、本発明の上記(1)「インクジェット記録用インクセット」について詳しく説明する。なお、本発明には、次の(2)〜(16)に記載の「インク」、「インクカートリッジ」、「インクジェット記録装置」、「インク記録物」及び「インクジェット記録方法」も含まれるので、これらについても併せて詳しく説明する。
(2)「 前記重合体は、さらに次の一般式(3a)、一般式(3b)又は一般式(3c)で表される構造単位(3)を含むものであることを特徴とする前記(1)に記載のインク;
Figure 2016130296
(一般式(3a)中のRは、水素原子またはメチル基を表す。)
Figure 2016130296
(一般式(3b)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、R、Rはメチル基またはエチル基を表す。)
Figure 2016130296
(一般式(3c)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、Yはメチレン基またはエチレン基を表す。)。」
(3)「 前記重合体は、さらに次の一般式(4a)で表される構造単位又は一般式(4b)で表される構造単位(4)を含むものであることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用インク;
Figure 2016130296
(一般式(4a)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、R、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を表し、Y1は炭素数1〜4のアルキレン基を表す。)
Figure 2016130296
(一般式(4b)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、Yは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)。」
(4)「 前記共重合体における一般式(1)で表される構造単位(1)の含有率が30質量%〜90質量%であることを特徴とする前記(2)に記載のインクジェット記録用インク。」
(5)「 前記共重合体における一般式(1)で表される構造単位(1)の含有率が40質量%〜80質量%であることを特徴とする前記(4)に記載のインク。」
(6)「 前記共重合体における一般式(1)で表される構造単位(1)の含有率が20質量%〜60質量%であることを特徴とする前記(3)に記載のインク。」
(7)「 前記共重合体における一般式(1)で表される構造単位(1)の含有率が30質量%〜50質量%であることを特徴とする前記(6)に記載のインク。」
(8)「 前記一般式(2)の構造単位のLが炭素数2〜12のアルキレン基であることを特徴とする前記(1)乃至(7)のいずれか1に記載のインク。」
(9)「 前記共重合体の水溶液粘度(濃度10質量%、25℃)が1.5〜4.0mPa・sであることを特徴とする前記(1)乃至(8)のいずれか1に記載のインクジェット記録用インク。」
(10)「 少なくとも水、水溶性溶剤、顔料、及びホスホン酸基を有する重合体を含むインクであって、
前記重合体は、ジホスホン酸基を有する共重合体であり、該ジホスホン酸基の少なくとも一部がテトラアルキルアンモニウム塩であり、かつ、前記共重合体は、一般式(11)で表されるモノマー(1)と、一般式(12)で表されるモノマー(2)とを少なくとも含む重合性材料のラジカル重合により合成されたものであることを特徴とするインク;
Figure 2016130296
(一般式(11)中のRは水素原子またはメチル基を表し、Mは、テトラアルキルアンモニウムイオンまたはプロトンを表す。また、一般式(11)中のXは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)
Figure 2016130296
(一般式(12)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、Lは、炭素数2〜18のアルキレン基を表す。)。」
(11)「 前記重合体は、前記一般式(11)で表されるモノマー(1)と、前記一般式(12)で表されるモノマー(2)と、さらに次の一般式(13a)で表されるモノマー(3a)、次の一般式(13b)で表されるモノマー(3b)又は次の一般式(13c)で表されるモノマー(3c)の少なくともいずれかをも含む重合性材料のラジカル重合により合成されたものであることを特徴とする前記(10)に記載のインク;
Figure 2016130296
(一般式(13a)中のRは、水素原子またはメチル基を表す。)
Figure 2016130296
(一般式(13b)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、R、Rはメチル基またはエチル基を表す。)
Figure 2016130296
(一般式(13c)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、Yはメチレン基またはエチレン基を表す。)。」
(12)「 前記重合体は、前記一般式(11)で表されるモノマー(1)と、前記一般式(12)で表されるモノマー(2)と、さらに次の一般式(14a)で表されるモノマー(4a)又は次の一般式(14b)で表されるモノマー(4b)の少なくともいずれかをも含む重合性材料のラジカル重合により合成されたものであることを特徴とする前記(10)に記載のインク;
Figure 2016130296
(一般式(14a)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、R、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を表し、Yは炭素数1〜4のアルキレン基を表す。)
Figure 2016130296
(一般式(14b)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、Yは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)。」
(13)「 前記(1)乃至(12)のいずれか1に記載のインクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。」
(14)「 前記(1)乃至(12)のいずれか1に記載のインクに刺激を印加し、前記インクジェット記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。」
(15)「 記録メディア上に、前記(1)乃至(12)のいずれか1に記載のインクにより記録された画像を有してなることを特徴とするインク記録物。」
さらに、以下の詳細な説明から理解されるように、本発明は次の(16)の「記録方法」をも包含している。
(16)「 前記(1)乃至(12)のいずれか1に記載のインクに刺激を印加し、前記インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。」
〔ジホスホン酸基を有する共重合体〕
以下、本発明を詳細かつ具体的に説明する。
本発明におけるジホスホン酸基を有する共重合体(以下、ポリマー又は共重合体ポリマーとも表記する)は、前記一般式(1)で表される構造単位(1)と、前記一般式(2)で表される構造単位(2)とを少なくとも有する共重合体である。
前記一般式(1)中のMのテトラアルキルアンモニウムイオンとしては炭素数1〜22のアルキル基を4個有するアンモニウムイオンであり、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラアミルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムイオン、メチルトリオクチルアンモニウムイオン、トリメチルステアリルアンモニウムイオン等が挙げられる。特に、炭素数1〜5のアルキル基からなるテトラアルキルアンモニウムイオンを用いる場合は、低粘度で且つ保存安定性に優れるインク提供が可能となるため特に好ましい。
炭素数1〜5のアルキル基からなるテトラアルキルアンモニウムイオンとしては、例えば、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、メチルトリブチルアンモニウムイオン、メチルトリアミルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオン、エチルトリメチルアンモニウムイオン等を挙げることができる。
前記Mとしては、2個又は3個が、テトラアルキルアンモニウムイオンであり、残りは水素イオン(プロトン)であることが好ましい。
前記一般式(1)中のXの炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基を挙げることができる。本発明ではプロピレン基を挙げて効果を説明する。
また、一般式(2)中のLで表される炭素数2〜18のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、ドデシレン基、ステアリレン基等を挙げることができる。また、好ましくは炭素数が2〜16のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数が2〜12のアルキレン基である。
Lを介して末端に存在するナフチル基は、水性インク(以下、インクということもある)中の色材である顔料とのπ−πスタッキングにより、優れた顔料吸着力を有するため、インクの保存安定性を向上させることができる。
前記一般式(1)で表される構造単位(1)の質量比率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ポリマー全量に対して、30質量%〜90質量%が好ましく、40質量%〜80質量%が更に好ましく、45質量%〜75質量%が更に好ましい。前記質量比率が、好ましい範囲内であると、インクジェット記録用インクに用いた場合、高い画像濃度が得られ、分散安定性と保存安定性が良好となる点で有利である。
本発明で用いられホスホン酸基を有する前記共重合体は、以下に説明する本発明のポリマーの製造方法により製造することができる。また、前記一般式(1)、(2)で表される構造単位(1)、(2)を含む共重合体、及び、一般式(1)、(2)で表される構造単位(1)、(2)に加えて一般式(3a)、(3b)又は(3c)で表される構造単位(3)(構造単位(3)=構造単位(3a)、(3b)又は(3c))を含む共重合体は、特に制限はなく、各種分野に幅広く用いることができる。そして、インクジェット記録用インクにおける顔料分散剤、顔料濃度向上剤、顔料用結着樹脂、粘度調整剤などとして好適に用いることができる。
<ポリマーの製造方法>
本発明で用いられるポリマーの製造方法は、少なくとも前記一般式(11)で表される化合物(モノマー(1))及び一般式(12)で表される化合物(モノマー(2))を含む重合性原料をラジカル重合させた後、得られたポリマーをさらにテトラアルキルアンモニウム塩基で中和調整することで合成することができる。
また、前記一般式(11)、(12)で表されるモノマー(1)、(2)に加えて下記一般式(13a)で表される化合物(モノマー(3a))、一般式(13b)で表される化合物(モノマー(3b))又は一般式(13c)で表される化合物(モノマー(3c)、これら(3a)、(3b)、(3c)のモノマーを、以下「モノマー(3)」と総称することがある。)を含む重合性原料をラジカル重合させた後、得られたポリマーをさらにテトラアルキルアンモニウム塩基で中和調整することで合成することができる。
Figure 2016130296
Figure 2016130296
Figure 2016130296
(上記一般式(13a)、(13b)、(13c)におけるR,R,R,R、R,Yは、それぞれ、前記一般式(3a)、(3b)、(3c)におけるR,R,R,R、R,Yと同じ意味を有する。)
中和調整は、モノマー段階で既に中和されているテトラアルキルアンモニウム塩に加えて、さらに中和する場合に行う中和処理であり、モノマー段階で付いているアンモニウムイオンと同種でも異種でも任意に処理することができる。トータルの中和量は一般式(1)中の4つの酸基のうち、1から4個まで中和する量を調整できるが、モノマー1分子当たりテトラアルキルアンモニウムイオンは2個または3個が好ましい。
一般式(11)で表されるモノマー(1)の具体例としては、テトラエチルアンモニウム ヒドロゲン−1−ヒドロキシ−4−メタクリルアミド−1−ホスホノブチルホスホネート、テトラエチルアンモニウム 1−ヒドロキシ−4−メタクリルアミドブタン−1,1−ジイルビス(ヒドロゲンホスホネート)、テトラエチルアンモニウム 1−(ヒドロゲンホスホナート)−1−ヒドロキシ−4−メタクリルアミドブチルホスホネート、テトラエチルアンモニウム1−ヒドロキシ−4−メタクリルアミドブタン−1,1−ジイルジホスホネート等が挙げられる。
さらに、これらのメタクリルがアクリルの場合や、テトラエチルアンモニウムが他のテトラアルキルアンモニウムイオンの場合や混合している場合を挙げることができる。
前記一般式(11)で表されるモノマー(1)の合成法として、前記一般式(11)中のXがプロピレンの場合(即ち、1−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリルアミドブタン−1,1−ジイルジホスホン酸の塩)を例に挙げて説明すると、アレンドロン酸を、予め1等量〜3等量の範囲にテトラアルキルアンモニウム塩基で中和処理した後、メタクリル酸クロリドまたはアクリル酸クロリドと反応させることで得ることができる。
また、反応後、中和処理して塩の数を調整することができる。
前記一般式(12)で表されるモノマー(2)としては、下記反応式(1)および(2)に示すように、まず、ナフタレンカルボニルクロリド(A−1)と過剰量のジオール化合物を、アミン又はピリジンなどの酸受容剤の存在下で縮合反応させて、ナフタレンカルボン酸ヒドロキシアルキルエステル(A−2)を得る。次いで、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(A−3)と前記(A−2)とを反応さて得られる。ここで、モノマー(A−4)の重量平均分子量は、一般式(2)のLが炭素数2〜18のアルキレン基、及びR2が水素原子かメチル基であることから、357〜596である。
Figure 2016130296

Figure 2016130296
前記一般式(1)及び(2)で表される構造単位を含むポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により重合される。前記一般式(1)(2)及び(3)で表される構造単位を含むポリマーも、前記一般式(1)及び(2)で表される構造単位を含むポリマーに属し、同様である。したがって、以下の説明において、別段の注釈ない限り、「一般式(1)及び(2)で表される構造単位を含むポリマー」と記載される場合、前記一般式(1)(2)及び(3)で表される構造単位を含むポリマーにも言及していると解して差し支えない。
前記ポリマーは、本発明の前記課題の達成を妨げない限り、前記一般式(1)、(2)、(3)で表される構造単位以外、前記一般式(11)、(12)、(13)で著されるモノマー由来の構造単位以外にも、更に、重合性モノマー由来の構造単位を含むことができる。前記重合性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合性の疎水性モノマー、重合性の親水性モノマー、などが挙げられる。
前記一般式(3)で表される構造単位(前記一般式(13)で著されるモノマー由来の構造単位)に替えて、前記一般式(4)で表される構造単位(前記一般式(14)で著されるモノマー由来の構造単位)を、前記一般式(1)、(2)で表される構造単位と共に含む共重合体の場合も同様である。
前記重合性の疎水性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−クロロメチルスチレン等の芳香族環を有する不飽和エチレンモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、(メタ)アクリル酸ラウリル(C12)、(メタ)アクリル酸トリデシル(C13)、(メタ)アクリル酸テトラデシル(C14)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル(C15)、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル(C16)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル(C17)、(メタ)アクリル酸ノナデシル(C19)、(メタ)アクリル酸エイコシル(C20)、(メタ)アクリル酸ヘンイコシル(C21)、(メタ)アクリル酸ドコシル(C22)等の(メタ)アクリル酸アルキル;1−ヘプテン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、1−ノネン、3,5,5−トリメチル−1−ヘキセン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ドコセン等のアルキル基を持つ不飽和エチレンモノマー、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合法に限定されないが、重合操作及び分子量の調整が容易なことから、ラジカル重合開始剤を用いる方法が好ましく、有機溶剤と水の混合溶媒中で重合させる溶液重合法が更に好ましい。
前記溶液重合法でラジカル重合を行う際の操作としては、特に制限はないが、モノマー、開始剤、連鎖移動剤、溶媒は、重合反応容器に一括で仕込んでも良いし、滴下漏斗を用いて連続的に供給しても良い。また、必要に応じて、重合反応中に開始剤を追加しても良い。
前記溶液重合法でラジカル重合を行う際の溶剤としては、モノマー(1)が水溶性であり、モノマー(2)が非水溶性なので、混合させるために水と水溶性有機溶剤の混合溶剤が好ましい。水溶性有機溶剤としてはメタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等のアルコール系溶媒やテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒やN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド、系溶媒等が使用でき、モノマーを溶解させるものであれば特に制限はない。
また、初めから混合溶剤を使用する以外にも、モノマー(1)の水溶液とモノマー(2)の有機溶剤液を重合時に混合していっても良い。
モノマー(1)とモノマー(2)の溶解性を近づけることは、共重合性を上げるために重要であり、本発明では、モノマー(1)をテトラアルキルアンモニウム塩とすることでモノマー(5)との溶解性の差を近づけることで共重合体の合成に成功している。仮にモノマー(1)と類似のナトリウム塩を使用した場合は、モノマー(2)との共重合樹脂の合成は困難になる。
溶解性だけに注目すれば、テトラアルキルアンモニウムのアルキル基が長いほうが疎水性が強くなり、モノマー(2)との共重合性に優れることと予測されるが、他特性とのバランスで選択される。
モノマー(3)はモノマー(1)とモノマー(2)の中間の性質を有し、双方に親和性がある他、2級アミノ基の強い塩基性(電子供与性、知られるように、アミノ基窒素原子に直結する置換基の電子供与性が大きいほど、アミンの電子供与性が増大するが、電子供与性は一般にアルキル基>水素原子>アリール基の順。)、立体構造(さほどバルキーでない)などによって、共重合体全体のバランスを採ることができるようになり、また、顔料への付着性を増すことができる。顔料は表面に酸性部位を有するものが多いことも一因と思われる。
モノマー(3)は、初めから混合溶剤に溶解させても良いし、モノマー(2)と同時に有機溶剤に溶解させても良い。
前記一般式(3)で表される構造単位(前記一般式(13)で著されるモノマー由来の構造単位)に替えて、前記一般式(4)で表される構造単位(前記一般式(14)で表されるモノマー由来の構造単位)を、前記一般式(1)、(2)で表される構造単位と共に含む共重合体の場合も、同様である。
なお本明細書では、一般式(4a)で表される部位及び、一般式(4b)で表される部位を纏めて、一般式(4)で表されるといい、それら部位のためのモノマー(14a)、(14b)を纏めて、一般式(14)で表されるモノマーという。
但し、前記一般式(3)で表される構造単位(前記一般式(13)で表されるモノマー由来の構造単位)に替えて、前記一般式(4)で表される構造単位(前記一般式(14)で表されるモノマー由来の構造単位)を用いる場合、前記一般式(1)で表される構造単位(1)の質量比率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ポリマー全量に対して、20質量%〜60質量%が好ましく、30質量%〜50質量%が更に好ましい。前記質量比率が、好ましい範囲内であると、インクジェット記録用インクに用いた場合、高い画像濃度が得られ、分散安定性と保存安定性が良好となる点で有利である。
前記一般式(14a)で表されるモノマー(4a)としては、3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジ−n−プロピルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジ−イソプロピルアミノプロピルアクリルアミド、3−エチルメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−エチルイソプロピルアミノプロピルアクリルアミド、2−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、2−ジエチルアミノエチルアクリルアミド、2−ジイソプロピルアミノエチルアクリルアミド、2−エチルメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノメチルアクリルアミド、ジエチルアミノメチルアクリルアミド等が挙げられる。
また、前記一般式(14b)で表されるモノマー(4b)としては、トリメチル(メタ)アクリロイルオキシメチルアンモニウムクロリド、トリメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアンモニウムクロリド、トリメチル−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
一般式(14a)で表されるモノマー(4a)と、一般式(14b)で表されるモノマー(4b)は、併用してもよい。
前記ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、シアノ系のアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(2,2’−イソバレロニトリル)、非シアノ系のジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、などが挙げられる。これらの中でも、分子量の制御がしやすく、分解温度が低い点から、有機過酸化物、アゾ系化合物が好ましく、アゾ系化合物が特に好ましい。
前記重合開始剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、重合性モノマーの総質量に対して、1質量%〜20質量%が好ましい。
前記ポリマーの分子量を調整するために、連鎖移動剤を適量添加してもよい。前記連鎖移動剤としては、例えば、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、チオフェノール、ノニルメルカプタン、1−ドデカンチオール、チオグリセロール、などが挙げられる。
重合温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜150℃が好ましく、60℃〜100℃がより好ましい。重合時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3時間〜48時間が好ましい。
得られたポリマーをテトラアルキルアンモニウム塩基で中和処理する。
前記中和処理は、テトラアルキルアンモニウム塩基にてポリマーのホスホン酸基の一部又は全てを中和することで行うことができる。
前記一般式(4)のモノマー製造工程で中和がすべて済んでいる場合は、この中和工程を省略することができるが、通常は、モノマー製造工程で1〜2等量中和しておき、ポリマー化してから残りの酸基を中和する。
なお、前記テトラアルキルアンモニウム塩基の中和処理は、インクの製造工程において顔料とポリマーとを混合した状態で行うことも可能である。
より具体的には、攪拌機、温度計、及び不活性ガス(窒素又はアルゴン)導入管、コンデンサーを備えたフラスコ内に前記一般式(11)のモノマー(1)を溶解させた水溶液、前記一般式(12)のモノマー(2)及び前記一般式(13a)、(13b)又は(13c)のモノマー(3)を溶解させた有機溶媒溶液、及び重合開始剤及び分子量調整剤等を溶解させた溶液を不活性ガス下、回分又は連続して投入攪拌し、60℃〜150℃の温度で反応させた後、テトラアルキルアンモニウム塩基で中和処理することで合成することができる。
前記一般式(13a)、(13b)又は(13c)のモノマー(3)を、一般式(11)、(12)のモノマー(1)、(2)と共に用いる場合、合成時における重合性モノマー総重量に対する、前記一般式(11)で表されるモノマー(1)の割合は、30〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がさらに好ましく、45〜80質量%がさらに好ましい。
得られたポリマーは、重合度に応じて分子量分布を持つ。通常、分子量測定にはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって容易に測定できるが、本ポリマーは解離性のポリマーであり、GPCカラムへの吸着により測定が難しい。
そこで本発明では、ポリマーを一定濃度の溶液としたときの粘度を分子量の代用特性とした。粘度の測定方法は、次のように行うことができる。粘度計(RE500L、東機産業株式会社製)を使用し、サンプルの粘度に合わせて50回転もしくは100回転に調整して測定する。
本発明のホスホン酸基を有する共重合体の水溶液粘度(10質量%、25℃)は、1.5mPa・s〜4.0mPa・sであることが好ましく、1.7mPa・s〜3.0mPa・sであることがさらに好ましい。
ポリマーの水溶液粘度が1.5mPa・s以上であれば、カルシウム反応性が低下することによる画像濃度低下が起こりにくく、4.0mPa・s以下であれば分散性安定性の低下に起因する、顔料分散体およびインクの保存性悪化が起こりにくくなる。
1.7mPa・s〜3.0mPa・sの範囲であれば、画像濃度低下やインク保存性悪化がさらに起こりにくくなる。また、インクの保存性悪化は吐出回復性の低下につながる恐れがある。
前記一般式(1)並びに(2)で表される構造単位を含むポリマー(前述のとおり、前記一般式(1)、(2)並びに(3)(前記一般式(13a)、(13b)又は(13c))で表される構造単位を含むポリマーの場合も含む。以下同様。)の分子量は、重合温度や重合開始剤量及び反応時のモノマー濃度である程度制御が可能である。
前記重合温度に関しては、高温にて短時間で重合すると低分子量のポリマーが得られやすく、低温度にて長時間かけて重合すれば高分子量のポリマーが得られやすい傾向にある。
前記重合開始剤の含有量については、多い方が低分子量のポリマーが得られやすく、少ない方が高分子量のポリマーが得られやすい傾向にある。
前記反応時のモノマー濃度については、高濃度の方が高分子量のポリマーが得られやすく、低濃度の方が低分子量のポリマーが得られやすい傾向にある。
前記一般式(3)で表される構造単位(前記一般式(13)で著されるモノマー(3)由来の構造単位)に替えて、前記一般式(4)で表される構造単位(前記一般式(14)で表されるモノマー(4)由来の構造単位)を、前記一般式(1)、(2)で表される構造単位と共に含む共重合体の場合も同様である。
(インクジェット記録用インク)
本発明のインクジェット記録用インクは、水、水溶性有機溶剤、顔料及び前記一般式(1)、(2)で表される構造単位を含む共重合体を含み、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<前記一般式(1)、(2)で表される構造単位を含む共重合体>
本発明のインクジェット記録用インクは、前記一般式(1)、(2)で表される構造単位を含む共重合体を含有することを特徴とする。
前記一般式(1)で表される構造単位に示されるように、ジホスホン酸基含有構造単位を、(少なくとも一部又は全部)テトラアルキルアンモニウム塩にしたアクリルアミドとすることで、ジホスホン酸基含有構造単位の疎水性が上がり、一般式(2)で表される構造単位との共重合性が向上する。一般式(2)で表される構造単位は、Lを介して末端にナフチル基が存在するため、顔料とのπ−πスタッキングにより優れた顔料吸着力を有する。
すなわち一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位とを含む共重合樹脂を用いることで、ジホスホン酸基の多価イオン凝集機能による高い画像濃度のみならず、優れた保存安定性を発揮できる。
また、優れた顔料吸着性を有することで、インクヘッドノズル先端で水が蒸発した際に、水溶性有機溶媒の濃度が高くなった環境においても、顔料から共重合樹脂が脱離しにくく、顔料の分散不安定化による析出を防止できる。
さらに、共重合樹脂の疎水性が上がることにより、水溶性有機溶媒の濃度が高くなった環境において共重合樹脂のビヒクルへの溶解性を維持でき、インクヘッドノズル先端での共重合樹脂の析出を防止できる。
すなわち一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位とを含む共重合樹脂を用いることで、インクヘッドノズル先端に顔料や共重合樹脂が析出することに起因する吐出不良を抑制し、ヘッドクリーニングなどの吐出性回復動作を低減することができる。
前記一般式(1)及び(2)で表される構造単位を含むポリマーの前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。がしかし、固形分で、0.05質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜5質量%がより好ましく、1質量%〜3質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.05質量%以上から画像濃度の向上効果が認められ、10質量%以下であると、インクをヘッドから吐出する際に適した粘度範囲とすることが可能となる。
前記一般式(1)及び(2)で表される構造単位を含むポリマーは、特に制限はなく、顔料の分散剤としても、顔料分散体の添加剤としても使用できる。顔料の分散剤として使用すれば、普通紙における画像濃度や、水溶性有機溶剤の含有量が多いインクでの保存安定性、吐出回復性の一層の向上が認められる。
前記一般式(1)及び前記一般式(2)で表される構造単位を含むポリマーの含有量は、顔料分散剤として使用する場合には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。そして、前記顔料100質量部に対して、1質量部〜100質量部が好ましく、5質量部〜80質量部がより好ましく、10質量部〜50質量部が更に好ましい。前記含有量が、前記より好ましい範囲内であると、高い画像濃度が得られ、分散安定性と保存安定性が良好となる点で有利である。
前記一般式(3)、及び/又は一般式(4)で表される構造単位を含むポリマーの場合も基本的に変わるところはない。
<水>
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
前記水の前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<顔料>
前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用或いはカラー用の無機顔料や有機顔料などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを用いることができる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、アゾメチン顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。
前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。
前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、ローダミンBレーキ顔料、などが挙げられる。
前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
前記カーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒径が15nm〜40nm、BET法による比表面積が50m/g〜300m/g、DBP吸油量が40mL/100g〜150mL/100g、揮発分が0.5%〜10%、pHが2〜9を有するものが好ましい。
前記カーボンブラックとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(いずれも、三菱化学株式会社製);Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(いずれも、コロンビア社製);Regal400R、同330R、同660R、Mogul L、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(いずれも、キャボット社製);カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(いずれも、デグッサ社製)、などが挙げられる。
前記カラー用のものとして、イエローインクに使用できる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー2、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー75、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー180、などが挙げられる。
マゼンタインクに使用できる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド48(Ca)、C.I.ピグメントレッド48(Mn)、C.I.ピグメントレッド57(Ca)、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット19、などが挙げられる。
シアンインクに使用できる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:34、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー63、C.I.ピグメントブルー66;C.I.バットブルー4、C.I.バットブルー60、などが挙げられる。
また、本発明で使用する顔料は、本発明のために新たに製造されたものでも使用可能である。
前記顔料としては、特に制限はなく、リン酸やホスホン酸などリン含有基を顔料表面に化学修飾した自己分散顔料を用いることができる。本発明においては、顔料表面にリン含有基の化学修飾がない顔料でも、高い画像濃度が得られ、保存安定性、吐出回復性に優れたインクジェット記録用インクを提供できる。
なお、イエロー顔料としてC.I.ピグメントイエロー74、マゼンタ顔料としてC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレッド19、シアン顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を用いることにより、色調、耐光性が優れ、バランスの取れたインクを得ることができる。
前記顔料の体積平均粒子径(D50)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、150nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。前記体積平均粒子径(D50)が、150nm以下であると、吐出安定性が良好となり、ノズル詰まりやインクの曲がりの発生を防止できることがある。
ここで、前記顔料の50%平均粒径は、23℃、55%RHの環境下において、日機装株式会社製マイクロトラックUPAで動的光散乱法により測定したD50%の値を示す。
前記顔料の前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜20質量%がより好ましい。
前記顔料としては、水、顔料、必要に応じて分散剤を混合した後、分散機で分散し粒径を調整した後、顔料分散体としたものを、インクに含有させることが好ましい。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、及び更に必要に応じてその他の成分を混合した後、分散機で分散し、粒径を調整して得られる。
得られた顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置等で粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
前記顔料分散体を作製する際の顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜30質量%がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
前記顔料分散体における顔料分散剤としては、前記一般式(1)で表される構造単位を含むポリマーが好ましい。その他の使用可能な分散剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の種々の界面活性剤、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物、高分子型の分散剤、などが挙げられる。
これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩、などが挙げられる。
前記カチオン界面活性剤としては、例えば、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ−4−ビニルピリジン誘導体、などが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体、などが挙げられる。
前記ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテル等のエーテル系界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系界面活性剤;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール系界面活性剤、などが挙げられる。
これらの中でも、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物が特に好ましい。
前記ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物におけるナフタレンスルホン酸の2量体、3量体、4量体の合計含有率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20質量%〜80質量%であることが好ましい。前記含有率が、20質量%以上であると、分散性が良好となり、インクの保存安定性が向上し、その結果、ノズルの目詰まりの発生が防止できることがある。一方、前記含有率が、80質量%以下であると、インクの粘度範囲が適切となり、分散性が良好となることがある。
<水溶性有機溶剤>
前記水溶性有機溶剤は、インクの乾燥を防止する湿潤剤としての効果、及び浸透剤としての効果の少なくともいずれかの効果を有する。
前記水溶性有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプロピリデングリセロール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、普通紙におけるカールを防止する点から、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、イソプロピリデングリセロール、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミドが特に好ましい。
また、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリエチレングリコール、グリセリンが水分蒸発による吐出不良を防止する上で優れた効果が得られる。
また、湿潤性が比較的少なく、浸透性を有する水溶性有機溶剤としては、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール[溶解度:4.2%(25℃)]、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール[溶解度:2.0%(25℃)]、などが挙げられる。
その他のポリオール化合物として、脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、などが挙げられる。
その他の併用できる浸透剤としては、前記インク中に溶解し、所望の物性に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類、などが挙げられる。
なお、水溶性有機溶剤ではない湿潤剤として、糖類を含有することができる。前記糖類としては、例えば、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類、四糖類を含む)、多糖類、などが挙げられる。具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖[例えば、糖アルコール〔一般式:HOCH(CHOH)CHOH(ただし、nは2〜5の整数を表す)で表される。〕]、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。これらの中でも、糖アルコールが好ましく、前記糖アルコールとしては、例えば、マルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
前記顔料と前記水溶性有機溶剤の比率は、ヘッドからのインク吐出安定性に非常に影響がある。顔料固形分が高いのに水溶性有機溶剤の含有量が少ないとノズルのインクメニスカス付近の水分蒸発が進み吐出不良をもたらすことがある。
前記水溶性有機溶剤の前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%〜60質量%が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。前記含有量が、10質量%以上であると、インクの吐出安定性が向上することがあり、60質量%以下であると、乾燥性が良好となることがある。前記含有量が、前記より好ましい数値範囲内であるインクは、乾燥性及び吐出信頼性が非常に良好になるという利点がある。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、pH調整剤、水分散性樹脂、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
−界面活性剤−
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、などが挙げられる。これらの中でも、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が特に好ましい。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアリル、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテルエステル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンオレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、エーテルカルボキシレート、スルホコハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、脂肪酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ナフテン酸塩、などが挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、などが挙げられる。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、などが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン誘導体、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、下記一般式(I)〜(III)で表される材料、などが挙げられる。
Figure 2016130296
ただし、前記一般式(I)中、mは、0〜10の整数を表す。nは、1〜40の整数を表す。
Figure 2016130296
前記一般式(II)において、Rfはフッ素含有基を表し、パーフルオロアルキル基が好ましい。
前記パーフルオロアルキル基としては、炭素数が1〜10のものが好ましく、1〜3のものがより好ましく、例えば、−C2n−1(ただし、nは1〜10の整数を表す)などが挙げられる。前記パーフルオロアルキル基としては、例えば、−CF、−CFCF、−C、−C、などが挙げられる。これらの中でも、−CF、−CFCFが特に好ましい。
m、n、及びpは、それぞれ整数を表し、nは1〜4、mは6〜25、pは1〜4が好ましい。
Figure 2016130296
前記一般式(III)において、Rfは、フッ素含有基を表し、上記一般式(II)と同様のパーフルオロアルキル基が好ましく、例えば、CF、CFCF、C、Cなどが好適に挙げられる。
はカチオン基を表し、例えば、第4級アンモニウム基;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン;トリエチルアミン、トリエタノールアミン、などが挙げられる。これらの中でも、第4級アンモニウム基が特に好ましい。R はアニオン基を表し、例えば、COO、SO 、SO 、PO 、などが挙げられる。qは、1〜6が好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F1405、F−474(いずれも、DIC株式会社製);ゾニールTBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、デュポン社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス製);PF−151N(ソリューションズインコーポレーテッド社製)などが挙げられる。これらの中でも、信頼性と発色性の向上の点から、ゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(いずれも、デュポン社製)が特に好ましい。
前記界面活性剤の前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜5.0質量%が好ましく、0.5質量%〜3質量%がより好ましい。前記含有量が、5.0質量%以下であると、記録媒体への浸透性が良好となり、画像濃度の低下や裏抜けの発生を防止できることがある。
−pH調整剤−
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを8.5〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば該pH調整剤として、アルコールアミン類、アルカリ金属元素の水酸化物、アンモニウムの水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、などが挙げられる。前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、などが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、などが挙げられる。
−水分散性樹脂−
前記水分散性樹脂は、造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性を備えて、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像記録に有用である。
前記水分散性樹脂としては、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物、などが挙げられる。
前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、などが挙げられる。
前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂、などが挙げられる。
前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴム、などが挙げられる。
これらの中でも、ポリウレタン樹脂微粒子、アクリル−シリコーン樹脂微粒子及びフッ素系樹脂微粒子が好ましい。
前記水分散性樹脂の平均粒子径(D50)は、分散液の粘度と関係しており、組成が同じものでは粒径が小さくなるほど同一固形分での粘度が大きくなる。
インクが過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の平均粒子径(D50)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50nm以上が好ましい。
また、粒径が数十μmになるとインクジェットヘッドのノズル口より大きくなるため使用できない。ノズル口より小さくとも粒子径の大きな粒子がインク中に存在すると吐出安定性を悪化させる。そこで、インク吐出安定性を阻害させないために平均粒子径(D50)は200nm以下がより好ましい。
また、前記水分散性樹脂は、前記水分散着色剤を紙面に定着させる働きを有し、常温で被膜化して色材の定着性を向上させることが好ましい。
そのため、前記水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30℃以下が好ましい。
また、前記水分散性樹脂のガラス転移温度が−40℃以下になると樹脂皮膜の粘稠性が強くなり印字物にタックが生じるため、ガラス転移温度が−30℃以上の水分散性樹脂であることが好ましい。
前記水分散性樹脂の前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固形分で、1質量%〜15質量%が好ましく、2質量%〜7質量%がより好ましい。
−防腐防黴剤−
前記防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、などが挙げられる。
−防錆剤−
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、などが挙げられる。
−酸化防止剤−
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
−紫外線吸収剤−
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
<インクジェット記録用インクの製造方法>
本発明のインクジェット記録用インクの製造方法は、例えば、水、水溶性有機溶剤、顔料、前記一般式(1)、前記一般式(2)及び前記一般式(3)で表される構造単位を含むポリマー、及び必要に応じてその他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、攪拌混合して製造することができる。
前記インクは、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
<インクの物性>
本発明のインクジェット記録用インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力等が以下の範囲であることが好ましい。
前記インクジェット記録用インクの25℃での粘度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3mPa・s〜20mPa・sが好ましい。前記インク粘度が、3mPa・s以上であると、印字濃度や文字品位を向上させる効果が得られる。一方、前記インク粘度を、20mPa・s以下とすることで、インクの吐出性を確保できることがある。
前記粘度は、例えば、粘度計(RE500L、東機産業株式会社製)を使用して、25℃で測定することができる。
前記インクジェット記録用インクの表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃で、40mN/m以下が好ましい。
(インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録装置は、本発明の前記インクジェット記録用インクを記録ヘッドから飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔手段を有することを特徴とするものである。すなわち、本発明のインクジェット記録装置は、記録ヘッドと、維持回復装置とを少なくとも備えてなり、更に必要に応じて刺激発生手段、制御手段等のその他の手段を有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の前記インクジェット記録用インクにインク飛翔手段を介して刺激を印加し、記録ヘッドから該インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするものである。すなわち、本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば刺激発生工程、制御工程等を含む。
以下、本発明のインクジェット記録装置の説明を通じて、本発明の前記インクジェット記録方法の詳細についても説明する。
前記インクジェット記録装置は、本発明の各インクにインク飛翔手段を介して刺激を印加し、前記記録ヘッドのノズルからインクを吐出させて画像を記録する。前記刺激は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動、光、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
なお、前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト、などが挙げられる。例えば、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどが挙げられる。
前記記録用インクの飛翔の態様としては、特に制限はなく、前記刺激の種類等応じて異なったものとすることができる。例えば、前記刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内の前記記録用インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを例えばサーマルヘッド等を用いて付与し、該熱エネルギーにより前記記録用インクに気泡を発生させ、該気泡の圧力により、該記録ヘッドのノズル孔から該記録用インクを液滴として吐出噴射させる方法などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記記録ヘッドのノズル孔から該記録用インクを液滴として吐出噴射させる方法などが挙げられる。
前記飛翔させる前記記録用インクの液滴は、その大きさとしては、例えば、3〜40plとするのが好ましい。また、その吐出噴射の速さとしては5〜20m/sとするのが好ましく、その駆動周波数としては1kHz以上とするのが好ましく、その解像度としては300dpi以上とするのが好ましい。
前記記録ヘッドは、多数のノズルを有してなり、インクセットにおけるインクをエネルギーの作用によりインク滴化し、吐出するヘッド部及び記録ユニットのいずれかを有することが好ましい。また、前記記録ヘッドは、液室部と、流体抵抗部と、振動板と、ノズル部材とを有してなり、かつ前記記録ヘッドの少なくとも一部がシリコーン及びニッケルのいずれかを含有する材料から形成されていることが好ましい。前記記録ヘッドのノズル径は30μm以下が好ましく、1〜20μmがより好ましい。
また、本発明のインクジェット記録装置は、前記記録ヘッド上にインクを供給するためのサブタンクを有し、該サブタンクにインクカートリッジから供給チューブを介してインクが補充されるように構成することが好ましい。
前記維持回復装置は、記録ヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段と連通する少なくとも1つの吸引覆蓋手段(吸引キャップ)、及び前記記録ヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段と連通していない少なくとも1つの非吸引覆蓋手段(保湿キャップ)を有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。このように、吸引キャップと保湿キャップとを備えることにより、全てのキャップが吸引キャップである構成よりも信頼性確保のための維持動作に消費されるインク量が少なくなり、維持動作にかかる時間、インクの無駄を防ぐことができる。前記維持回復装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2005−170035号公報などに記載されたものを用いることができる。
本発明のインクジェット記録装置は、記録媒体の記録面を反転させて両面印刷可能とする反転手段を有することが好ましい。該反転手段としては、静電気力を有する搬送ベルト、空気吸引により記録媒体を保持する手段、搬送ローラと拍車との組み合わせなどが挙げられる。無端状の搬送ベルトと、該搬送ベルト表面を帯電させて記録媒体を保持しながら搬送する搬送手段を有することが好ましい。この場合、帯電ローラに±1.2kV〜±2.6kVのACバイアスを加えて搬送ベルトを帯電させることが特に好ましい。
なお、前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、図1及び図2は、本発明のインクジェット記録装置に配備される記録ヘッドの例を示すノズル面から見た概略平面図である。なお、図1は、第1ヘッド及び第2ヘッドからなる2ヘッドタイプである。図2は、第1ヘッド、第2ヘッド、第3ヘッド、及び第4ヘッドからなる4ヘッドタイプである。
前記2ヘッドタイプでは、第1ヘッド及び第2ヘッドのいずれか一方が吸引力発生手段と連通する吸引覆蓋手段(吸引キャップ)で覆蓋され、他方が、吸引力発生手段と連通していない非吸引覆蓋手段(保湿キャップ)で覆蓋される。図1の例では、第1ヘッドが吸引キャップで覆蓋され、第2ヘッドが保湿キャップで覆蓋されている。
図2に示す4ヘッドタイプでは、第1ヘッドから第4ヘッドのうち少なくとも1つが吸引力発生手段と連通する吸引覆蓋手段(吸引キャップ)で覆蓋され、それ以外が、吸引力発生手段と連通していない非吸引覆蓋手段(保湿キャップ)で覆蓋される。図2の例では、第1ヘッドが吸引キャップで覆蓋され、第2、第3及び第4ヘッドが保湿キャップで覆蓋されている。
なお、図1の2ヘッドタイプにおいて、フルカラー記録を行う場合には、合計4つのノズル列に、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びブラック(Bk)の各色のインクをそれぞれ充填する必要がある。
ここで、維持回復装置を有する本発明のインクジェット記録装置の一例について図3を参照して説明する。なお、図3はインクジェット記録装置を前方側から見た斜視説明図である。
図3に示すインクジェット記録装置は、装置本体1と、装置本体1に装着した用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に装着され画像が記録(形成)された用紙(記録媒体)をストックするための排紙トレイ3とを備え、更に、装置本体1の前面4の一端部側には、前面4から前方側に突き出し、上面5よりも低くなったカートリッジ装填部6を有し、このカートリッジ装填部6の上面に操作キーや表示器などの操作部7を配置している。カートリッジ装填部6には、液体補充手段としての液体保管用タンクであるメインタンク(以下、「インクカートリッジ」という)10が交換可能に装着され、また、開閉可能な前カバー8を有している。
ここで、インクカートリッジは、本発明のインクジェット記録用インクを容器中に収容して成るものであり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を構成することもできる。前記容器としては、その形状、構造、大きさ、材質に特に制限無く、目的に応じて適宜選択できる。例として、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルムなどで形成されたインク袋を少なくとも有するものなどが好適に挙げられる。
インクカートリッジは、例えば、インク注入口からインク袋内に充填され、排気した後、該インク注入口は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口に装置本体の針を刺して装置に供給される。インク袋は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋は、通常、プラスチックス製のカートリッジケース内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
次に、図3のインクジェット記録装置の機構部について、図4及び図5を参照して説明する。なお、図4は同機構部の全体構成を説明する概略構成図、図5は同機構部の要部平面説明図である。
フレーム21を構成する左右の側板21A,21Bに横架したガイド部材であるガイドロッド31とステー32とでキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータによって図3においてキャリッジ走査方向(主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ33には、インクの液滴(インク滴)を吐出するための液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドからなる複数の記録ヘッド34を複数のノズルを主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
ここで、記録ヘッド34は、例えば、イエロー(Y)の液滴を吐出する記録ヘッド34y、マゼンタ(M)の液滴を吐出する記録ヘッド34m、シアン(C)の液滴を吐出する記録ヘッド34c、ブラック(Bk)の液滴を吐出する記録ヘッド34kとで構成している。なお、「記録ヘッド34」というときは色を区別しないものとする。なお、ヘッド構成は、これらの例に限るものではなく、1つ又は複数の色の液滴を吐出する1つ又は複数のノズル列を有する記録ヘッドを1つ又は複数用いて構成することもできる。
記録ヘッド34を構成する液滴吐出ヘッドとしては、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ33には、各記録ヘッド34にそれぞれ各色のインクを供給するための各色のサブタンク35y、35m、35c、35k(色を区別しない場合は「サブタンク35」という)を搭載している。このサブタンク35には各色のインク供給チューブ37を介して、前述した各色のインクカートリッジ10(各色を区別する場合には、「インクカートリッジ10y、10m、10c、10k」と称する)からインクを供給するようにしている。
ここで、インクカートリッジ10は、図5にも示すように、カートリッジ装填部6に収納される。このカートリッジ装填部6にはインクカートリッジ10内のインクを送液するための供給ポンプユニット23が設けられている。また、インクカートリッジ装填部6からサブタンク35に至るまでのインク供給チューブ37は這い回しの途中でフレーム21を構成する後板21Cに本体側ホルダ25にて固定保持されている。更に、キャリッジ33上でも固定リブ26にて固定されている。
なお、図4、図5中、符号22はフレキシブルケーブルを、符号36はインク供給チューブ(サブタンク接続部)を示す。
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(底板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び該給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側で搬送するための搬送部として、用紙42を静電吸着して搬送するための搬送ベルト51と、給紙部からガイド45を介して送られる用紙42を搬送ベルト51との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ52と、略鉛直上方に送られる用紙42を略90°方向転換させて搬送ベルト51上に倣わせるための搬送ガイド53と、押さえ部材54で搬送ベルト51側に付勢された先端加圧コロ55と、を備えている。また、搬送ベルト51表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。
ここで、搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ57とテンションローラ58との間に掛け渡されて、図5のベルト搬送方向に周回するように構成している。帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に各々2.5Nをかけている。
また、搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド34による印写領域に対応してガイド部材61を配置している。このガイド部材61は、上面が搬送ベルト51を支持する2つのローラ(搬送ローラ57とテンションローラ58)の接線よりも記録ヘッド34側に突出している。これにより、搬送ベルト51は印写領域ではガイド部材61の上面にて押し上げられてガイドされるので、高精度な平面性を維持される。
更に、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪71と、排紙ローラ72及び排紙コロ73とを備え、排紙ローラ72の下方に排紙トレイ3を備えている。ここで、排紙ローラ72と排紙コロ73との間から排紙トレイ3までの高さは排紙トレイ3にストックできる量を多くするためにある程度高くしている。
また、装置本体1の背面部には両面給紙ユニット81が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット81は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ52と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面給紙ユニット81の上面には手差し給紙部82を設けている。
更に、図5に示すように、キャリッジ33の走査方向の一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復装置(以下、「サブシステム」と称することもある)91を配置している。このサブシステム91には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下、「キャップ」と称することもある)92a〜92d(区別しないときは、「キャップ92」と称することもある)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード93と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け94及びこの空吐出受け94に一体形成され、ワイパーブレード93に付着したインクを除去するための清掃部材であるワイパークリーナ95(図7参照)と、ワイパーブレード93のクリーニング時にワイパーブレード93をワイパークリーナ95側に押し付けるクリーナ手段を構成するクリーナコロ96などを備えている。
また、図5に示すように、キャリッジ33の走査方向の他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け98を配置し、この空吐出受け98には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口99などを備えている。
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ52との間に挟まれて搬送される。更に用紙42は、先端を搬送ガイド53で案内されて先端加圧コロ55で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、制御回路によって高圧電源から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、即ち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に静電的に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ33を動かしながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号、又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ33はサブシステム91側に移動されて、キャップ部材92で記録ヘッド34がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ部材92で記録ヘッド34をキャッピングした状態でノズルからインクを吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という)、増粘したインクや気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド34の安定した吐出性能を維持する。
次に、本発明のインクジェット記録装置における維持回復装置を含むサブシステム91の構成の概要について図6から図8を参照して説明する。なお、図6は同システムの要部平面説明図、図7は同システムの模式的概略構成図、図8は図6の右側面説明図である。
このサブシステム91のフレーム(維持装置フレーム)111には、キャップ保持機構である2つのキャップホルダ112A、112Bと、清浄化手段としての弾性体を含むワイピング部材であるワイパーブレード93と、キャリッジロック115とがそれぞれ昇降可能(上下動可能)に保持されている。また、ワイパーブレード93とキャップホルダ112Aとの間には空吐出受け94が配置され、ワイパーブレード93のクリーニングを行うために、フレーム111の外側からワイパーブレード93を空吐出受け94の清掃部材であるワイパークリーナ95側に押し付けるための清掃部材であるクリーナコロ96を含むクリーナ手段であるワイパークリーナ118が揺動可能に保持されている。
キャップホルダ112A、112B(区別しないときは「キャップホルダ112」という)には、それぞれ、2つの記録ヘッド34のノズル面をそれぞれキャッピングする2つのキャップ92aと92b、キャップ92cと92dを保持している。
ここで、印字領域に最も近い側のキャップホルダ112Aに保持したキャップ92aには可撓性チューブ119を介して吸引手段であるチュービングポンプ(吸引ポンプ)120を接続し、その他のキャップ92b、92c、92dはチュービングポンプ120を接続していない。即ち、キャップ92aのみを吸引(回復)及び保湿用キャップ(以下、「吸引用キャップ」と称することもある)とし、その他のキャップ92b、92c、92dはいずれも単なる保湿用キャップとしている。したがって、記録ヘッド34の回復動作を行うときには、回復動作を行う記録ヘッド34を吸引用キャップ92aによってキャッピング可能な位置に選択的に移動させる。
また、これらのキャップホルダ112A、112Bの下方にはフレーム111に回転自在に支持したカム軸121を配置し、このカム軸121には、キャップホルダ112A、112Bを昇降させるためのキャップカム122A、122Bと、ワイパーブレード93を昇降させるためのワイパーカム124、キャリッジロック115をキャリッジロックアーム117を介して昇降させるためのキャリッジロックカム125と、空吐出受け94内で空吐出される液滴がかかる空吐出着弾部材である回転体としてのコロ126と、ワイパークリーナ118を揺動させるためのクリーナカム128をそれぞれ設けている。
ここで、キャップ92はキャップカム122A,122Bにより昇降させられる。ワイパーブレード93はワイパーカム124により昇降させられ、下降時にワイパークリーナ118が進出して、このワイパークリーナ118のクリーナコロ96と空吐出受け94のワイパークリーナ95とに挟まれながら下降することで、ワイパーブレード93に付着したインクが空吐出受け94内に掻き落とされる。
キャリッジロック115は圧縮バネによって上方(ロック方向)に付勢されて、キャリッジロックカム125で駆動されるキャリッジロックアーム117を介して昇降させられる。
そして、チュービングポンプ120及びカム軸121を回転駆動するために、モータ131の回転をモータ軸131aに設けたモータギヤ132に、チュービングポンプ120のポンプ軸120aに設けたポンプギヤ133を噛み合わせ、更にこのポンプギヤ133と一体の中間ギヤ134に中間ギヤ135を介して一方向クラッチ137付きの中間ギヤ136を噛み合わせ、この中間ギヤ136と同軸の中間ギヤ138に中間ギヤ139を介してカム軸121に固定したカムギヤ140を噛み合わせている。なお、クラッチ137付きの中間ギヤ136、138の回転軸である中間軸141はフレーム111にて回転可能に保持している。
また、カム軸121にはホームポジションを検出するためのホームポジションセンサ用カム142を設け、このサブシステム91に設けたホームポジションセンサにてキャップ92が最下端に来たときにホームポジションレバーを作動させ、センサが開状態になってモータ131(ポンプ120以外)のホームポジションを検知する。なお、電源オン時には、キャップ92(キャップホルダ112)の位置に関係なく上下(昇降)し、移動開始までは位置検出を行わず、キャップ92のホーム位置(上昇途中)を検知した後に、定められた量を移動して最下端へ移動する。その後、キャリッジが左右に移動して位置検知後キャップ位置に戻り、記録ヘッド34がキャッピングされる。
符号142はホームポジションセンサ用カムを示す。
次に、キャップ92の保持機構及び昇降機構(上下動機構)の詳細について図9を参照して説明する。なお、図9はキャップ保持昇降機構部の側面説明図である。
キャップ保持機構であるキャップホルダ112Aは、キャップ92a、キャップ92b(これらを併せて「キャップ92A」と称することがある)を昇降可能に保持するホルダ151と、ホルダ151の底面とキャップ92Aの底部との間に介装されてキャップ92Aを上方に付勢するスプリング152と、ホルダ151を前後方向(記録ヘッド34のノズルの並び方向)に移動可能に保持するスライダ153とを有している。
キャップ92Aは両端部に設けたガイドピン150aをホルダ151の図示を省略しているガイド溝に上下動可能に、底面に設けたガイド軸150bをホルダ151に上下動可能に挿通して、ホルダ151に対して上下動可能に装着している。キャップ92Aとキャップホルダ151との間に介装したスプリング152、152はキャップ92a、92bを上方向(キャッピング時にノズル面側に押圧する方向)に付勢している。
スライダ153は、前後端に設けたガイドピン154、155をフレーム111に形成したガイド溝156に摺動可能に嵌め合わせることで、スライダ153及びホルダ151及びキャップ92A全体が上下動できる構成としている。
そして、スライダ153の下面に設けたカムピン157をキャップカム122Aの図示しないカム溝に嵌め合わせて、モータ131の回転が伝達されるカム軸121の回転に同動するキャップカム122Aの回転によってスライダ153、ホルダ151及びキャップ92Aが上下動するようにしている。
更に、吸引用キャップ92aにはスライダ153及びホルダ151を挿通して、キャップ92aの短手方向に対してキャップ中央位置の下方からチューブ119を這い回して接続している。
なお、キャップ92c,92d(これらを併せて「キャップ92B」と称することがある)を保持するキャップホルダ112B及びこれを上下動させる構成も上記と同様であるので説明を省略する。ただし、キャップ92c、92dにはチューブ119は接続されない。このように、1つの駆動源であるモータ131を駆動することによって1つの軸であるカム軸121が回転し、このカム軸121の回転によってカム軸121に固定したカム122A,122Bが回転して、キャップ92A及びキャップ92Bが上下動する構成としている。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
−インク記録物−
本発明のインクジェット記録方法により記録されたインク記録物は、本発明のインク記録物である。本発明のインク記録物は、記録メディア上に本発明のインク記録用インクにより記録された画像を有してなる。
本発明に用いる記録メディアとは、本発明のインクジェット記録用インクが着弾し、画像が形成されうるものであれば特に制限はない。例えば、普通紙、印刷用塗工紙、光沢紙、特殊紙などが挙げられる。上記に例示した用紙には、炭酸カルシウム、タルク、カオリンまたは硫酸アルミニウム(硫酸バンド)などが配合されており、本発明のインクジェット記録インクが同用紙に着弾した際に、多価金属イオン、具体的には、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの2価または3価の金属イオンが溶出するものである。
前記のように、本発明はどんな紙でも使用できるが、特に普通紙が好ましい。ここで、「普通紙」とは、電子写真式複写機、簡易オフセット印刷機、プリンタ、或いは旧来のジアゾ複写機等々のハードコピー形成技術を用いたオフィスユース、ホームユース或いはパーソナルユース用画像形成装置内での通紙性、搬送性ある画像支持のための紙媒体全般を指す。普通紙は、Plain Paperの訳かとも思われるが、今日、Plain Paperの主流は、上質紙である。それ故、上質紙をPlain Paperと云うことも多く、これを用いた典型的な画像形成技術としての電子写真方式の画像媒体はPPC(Plain Paper Copy)の略称で親しまれている。
本発明におけるインクジェット記録用インクは、上記の多価金属イオンと反応して顔料が凝集し、高い画像濃度が得られるものである。しかし、上記に例示した用紙のうち例えば普通紙では、高画像濃度の実現が困難であった。
普通紙に含まれる填料やサイズ剤定着剤等の多くは難水溶性の金属塩である。また、水溶性の金属塩が含まれていても含有量が少ない。よって、水溶性の多価金属塩等を紙面上に加工した紙と比べると普通紙は多価金属イオンの溶出が少なく、従来技術では画像濃度向上効果が得られなかった。
本発明においては、上記加工した紙はもちろん、普通紙の様に多価金属イオンの溶出が少ない紙でも高画像濃度を実現することができる。普通紙の市販品としては、例えば、上質紙マイペーパー(株式会社リコー製)、Xerox4024(株式会社富士ゼロックス製)などが挙げられる。
本発明のインクは、紙から溶出してくるCaイオン量が、1.0×10−4〜5.0×10−4[g/g]の紙に対して使用するのが好ましい。該Caイオン量が1.0×10−4[g/g]以上だと、顔料分散剤との反応凝集による画像濃度向上の効果が向上する。また該Caイオン量が5.0×10−4[g/g]以下であることで、紙へのインクの浸透が阻害されないのでインクの乾燥性が向上し、耐擦過性及び耐マーカー性も向上する。
上記紙から溶出してくるCaイオン量は、次の方法により算出したものである。
即ち、紙を2.5cm(±0.5cm)×3.5cm(±0.5cm)四方の紙片に裁断純水を0.8μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック社製)でろ過して紙粉等の異物を除去した後、浸漬液に含まれるCaイオンをICP発光分光分析装置によって定量する。ここで得られたCaイオン濃度[ppm]に、高純水の重量である200gを掛け、更に浸漬させた紙の重量である16gで除して、紙から溶出してくるCaイオン量[g/g]を算出する。
例えば、MyPaper(株式会社リコー製)のCaイオン量は4.3×10−4[g/g]であり、Xerox4024(株式会社富士ゼロックス製)のCaイオン量は1.7×10−4[g/g]である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。「部」は、特に明示しない限り「質量部」を表す。「%」は、特に明示しない限り「質量%」を表す。
<モノマーの合成>
[モノマー1−1:4−メタクリルアミド−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジホスホン酸二テトラエチルアンモニウム塩]
フラスコにアレンドロン酸(東京化成社製)25部を入れ、次いでテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(東京化成社製、35%水溶液)179.8部をイオン交換水83.1部で溶解させた水溶液を投入し、撹拌しながら完全に溶解させた。次にフラスコを5℃に冷却しながらメタクリル酸クロリド(東京化成社製)13.32部をゆっくり滴下した。滴下終了後さらに30分撹拌し、その後、濃塩酸14.53部を冷却しながら滴下した。反応液を塩化メチレンで3回抽出洗浄し、残った水溶液を800部のアセトン中に滴下し、デカンテーションにより目的物を分離した。エバポレーターにより水を除去し、55部の目的物を得た。
この目的物1.4部をイオン交換水139部に溶解させ、チモールフタレイン(関東化学社製)を指示薬として0.1N KOHメタノール溶液で中和滴定し、酸価を求めたところ97であった。この結果をアレンドロン酸の滴定結果と比較することでホスホン酸のOH基の二つがテトラエチルアンモニウム塩に置き換わった場合の計算値97とよく一致した。
[モノマー1−2:4−メタクリルアミド−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジホスホン酸二テトラブチルアンモニウム塩]
モノマー1−1の合成で、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(東京化成社製、35%水溶液)179.8部とイオン交換水83.1部の代わりに、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(東京化成社製、40%水溶液)277.2部とイオン交換水33.7部を使用するほかは同様にして、目的物76部を得た。
[モノマー1−3:4−アクリルアミド−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジホスホン酸二テトラエチルアンモニウム塩]
モノマー1−1の合成で、メタクリル酸クロリド13.32部を使用する代わりに、アクリル酸クロリド(東京化成社製)11.53部を使用するほかは同様にして目的物53部を得た。
[モノマー1−4:4−メタクリルアミド−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジホスホン酸二ナトリウム塩]
フラスコにアレンドロン酸(東京化成社製)25部を入れ、次いで水酸化ナトリウム17.1部をイオン交換水200部で溶解させた水溶液を投入し、撹拌しながら完全に溶解させた。次にフラスコを5℃に冷却しながらメタクリル酸クロリド(東京化成社製)13.32部をゆっくり滴下した。滴下終了後さらに30分撹拌し、その後、濃塩酸14.53部を冷却しながら滴下した。反応液を塩化メチレンで3回抽出洗浄し、残った水溶液を800部のメタノール中に滴下し、目的物を析出させた。ろ過により35部の目的物を得た。
[モノマー1−5:4−メタクリルアミド−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジホスホン酸二カリウム塩]
モノマー1−4の合成で、水酸化ナトリウム17.1部の代わりに水酸化カリウム24部を使用するほかは同様にして目的物40部を得た。
[モノマー2−1の前駆体 2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステルの合成]
62.0g(525mmol)の1,6−ヘキサンジオール(東京化成社製)を700mLの塩化メチレンに溶解し、20.7g(262mmol)のピリジンを加えた。
この溶液に、50.0g(262mmol)の2−ナフタレンカルボニルクロリド(東京化成社製)を100mLの塩化メチレンに溶解した溶液を、2時間かけて攪拌しながら滴下した後、室温で6時間攪拌した。得られた反応溶液を水洗した後、有機相を単離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比98/2)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、52.5gの2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステルを得た。
[モノマー2−1の合成]
次に、42.1g(155mmol)の2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステルを80mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解し、60℃まで加熱した。この溶液に、24.0g(155mmol)の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI)を20mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解した溶液を、1時間かけて攪拌しながら滴下した後、70℃で12時間攪拌した。室温まで冷却した後、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比99/1)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、57.0gの下記構造式7で表される構造を有するモノマー2−1を得た。
Figure 2016130296
[モノマー2−2の合成]
1,6−ヘキサンジオールに代えて、エチレングリコール(東京化成社製)を用いた点以外は、モノマー2−1と同様にして下記構造式8で表される構造を有するモノマー2−2を得た。
Figure 2016130296
[モノマー2−3の合成]
1,6−ヘキサンジオールに代えて、1,12−ドデカンジオール(東京化成社製)を用いた点以外は、モノマー2−1と同様にして下記構造式9で表される構造を有するモノマー2−3を得た。
Figure 2016130296
[モノマー2−4の合成]
1,6−ヘキサンジオールに代えて、1,16−ヘキサデカンジオール(東京化成社製)を用いた点以外は、モノマー2−1と同様にして下記構造式10で表される構造を有するモノマー2−4を得た。
Figure 2016130296
<ホスホン酸基を有する共重合体ポリマーの合成−その第I群−>
[合成例1;ホスホン酸基の塩を含む共重合体ポリマー1の合成]
ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、30部のモノマー2−1を入れ、500部のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた。そこへ、30部のモノマー1−1を100部のイオン交換水に溶解させた水溶液を加え、アルゴン雰囲気下にて、75℃に加熱した。そこへ、1.8部の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(東京化成社製)を50部のDMFに溶解させたDMF溶液を滴下ロウトで滴下した。75℃で6時間撹拌を続け、その後冷却し重合を停止した。
反応液中の不溶物を除去し、ろ液をテトラヒドロフランとヘキサンの混合液(体積比40:100)で三回洗浄した。次いで、エバポレーターにより溶媒を除去したのち、60℃で真空乾燥し55部の樹脂を得た。
この樹脂1部をイオン交換水100部に溶解させ、チモールフタレインを指示薬として0.1NKOHメタノール溶液で滴定して酸価を求めたところ、49mgKOHであった。モノマー1−1の酸価から仕込み比通りに共重合されたとして計算される値49mgKOHとよく一致した。
この酸価値をもとにテトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて中和しながら10質量%の樹脂水溶液を作製した。この溶液の粘度を25℃で測定したところ2.6mPa・sであった。こうして得られた10質量%の樹脂水溶液を顔料分散体作製に使用した。
モノマー原料のアレンドロン酸の滴定結果からチモールフタレインの変色時にはホスホン酸の4個のOH基の内、3個が中和されることがわかることから、中和して得られた樹脂は、4個のOH基のうち、3個がテトラエチルアンモニウムイオンで中和されたものである。
[合成例2(ポリマー2の合成)〜合成例19(ポリマー19の合成)]
表1に示されるように、一般式(4)のモノマーの質量%、一般式(5)のモノマーの質量%をそれぞれ変え、表2に表される反応条件で合成した他は、合成例1と同様にして、ポリマー2〜19を合成した。
連鎖移動剤としてのα−チオグリセロールは、東京化成社製のものを用いた。
得られたポリマー2〜19はそれぞれ、表1に示されるような塩組成(一般式(1)のM)に中和し、又は中和せず、そのまま顔料分散体作製に使用した。ポリマー2〜19それぞれの溶液粘度を表1に示す。
[比較合成例1;ポリマーR1の合成]
ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、アルゴン雰囲気下にて、193部のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を入れ、75℃に加熱した。そこへ、30部のモノマー1−4を193部の水に溶解させた水溶液223部と、30部のモノマー2−1を182部のDMFに溶解させたDMF溶液212部と、5.4部の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(東京化成社製)を182部のDMFに溶解させたDMF溶液187.4部をそれぞれ12回に分けて30分毎に加えた。すべて加えた後にさらに75℃で4時間撹拌を続け、その後冷却し重合を停止した。
反応液中の析出物をろ別し、ヘキサンで洗浄し、50℃で真空乾燥し35部の樹脂を得た。この樹脂1部をイオン交換水100部に溶解させ、チモールフタレインを指示薬として0.1NKOHメタノール溶液で滴定して酸価を求めたところ、140mgKOHであった。これは、モノマー1−4の酸価から仕込み比通りに共重合されたとして計算される値77mgKOHと大きく異なる。
ナトリウムのような金属イオンで中和されたジホスホン酸含有構造単位が、一般式(2)で表されるような構造単位と親和性が低く、ほとんど共重合しなかったためと考えられる。
[比較合成例2;ポリマーR2の合成]
ポリマーR1の合成において、モノマー1−4をモノマー1−5に変え、30部のモノマー2−1の代わりに18部のN−t−オクチルアクリルアミドと12部のN−(2−ヒドロキシプロピルアクリルアミドとした他は同様にしてポリマーR2を合成し、中和せずに顔料分散体作製に使用した。
ポリマーR2の10質量%の樹脂水溶液の粘度を25℃で測定したところ4.6mPa・sであった。
[比較合成例3;アルカリ金属による低分子ジホスホン酸の造塩]
ポリマー化せずに低分子の1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(STREM CHEMICALS社製)をメタノール中で二等量の水酸化カリウムで中和し、メタノールを留去してそのまま用いた。
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸二カリウム塩の10質量%の樹脂水溶液の粘度を25℃で測定したところ1.9mPa・sであった。
Figure 2016130296
表1中、TetraEtAはテトラエチルアンモニウムイオンをTetraBuAはテトラブチルアンモニウムイオンを表す。3TetraEtA、1H等はM+がTetraEtAイオンが3個、プロトンが1個を表す。
Figure 2016130296
<ホスホン酸基を有する共重合体ポリマーの合成−その第II群−>
[合成例20;ホスホン酸基の塩を含む共重合体ポリマー20の合成]
ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、24部のモノマー2−1および6部のジメチルアクリルアミド(東京化成社製、DMAM)を入れ、500部のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた。そこへ、30部のモノマー1−1を100部のイオン交換水に溶解させた水溶液を加え、アルゴン雰囲気下にて、75℃に加熱した。そこへ、1.8部の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(東京化成社製)を50部のDMFに溶解させたDMF溶液を滴下ろうとで滴下した。75℃で6時間撹拌を続け、その後冷却し重合を停止した。
反応液中の不溶物を除去し、反応液をテトラヒドロフランとヘキサンの混合液(体積比40:100)で三回洗浄した。次いで、エバポレーターにより溶媒を除去したのち、60℃で真空乾燥し55部の樹脂を得た。
この樹脂1部をイオン交換水100部に溶解させ、チモールフタレインを指示薬として0.1NKOHメタノール溶液で滴定して酸価を求めたところ、49mgKOHであった。モノマー1−1の酸価から仕込み比通りに共重合されたとして計算される値49mgKOHとよく一致した。
この酸価値をもとにテトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて中和しながら10質量%の樹脂水溶液を作製した。この溶液の粘度を25℃で測定したところ2.5mPa・sであった。こうして得られた10質量%の樹脂水溶液を顔料分散体作製に使用した。
モノマー原料のアレンドロン酸の滴定結果からチモールフタレインの変色時にはホスホン酸の4個のOH基の内、3個が中和されることがわかることから、中和して得られた樹脂は、4個のOH基のうち、3個がテトラエチルアンモニウムイオンで中和されたものである。
[合成例21(ポリマー21の合成)〜合成例45(ポリマー45の合成)]
表3に示されるように、一般式(4)のモノマー(1)の質量%、一般式(5)のモノマー(2)の質量%、一般式(6)のモノマー(3)の質量%をそれぞれ変え、表4に表される反応条件で合成した他は、合成例20と同様にして、ポリマー21〜45を合成した。
連鎖移動剤としてのα−チオグリセロールは、東京化成社製のものを用いた。
得られたポリマー21〜45はそれぞれ、表3に示されるような塩組成(一般式(1)のM)に中和し、又は中和せず、そのまま顔料分散体作製に使用した。ポリマー21〜45それぞれの10質量%水溶液粘度を表3に示す。
[比較合成例4;ポリマーR4の合成]
ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、アルゴン雰囲気下にて、193部のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を入れ、75℃に加熱した。そこへ、30部のモノマー1−4を193部の水に溶解させた水溶液223部と、24部のモノマー2−1と、6部のジメチルアクリルアミドを182部のDMFに溶解させたDMF溶液212部と、5.4部の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(東京化成社製)を182部のDMFに溶解させたDMF溶液187.4部をそれぞれ12回に分けて30分毎に加えた。
この例におけるモノマー1−4:モノマー2−1:ジメチルアクリルアミド(DMAM):2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の量比は、表3に示されるように、50:40:10:9である。
すべて加えた後にさらに75℃で4時間撹拌を続け、その後冷却し重合を停止した。
反応液中の析出物をろ別し、ヘキサンで洗浄し、50℃で真空乾燥し35部の樹脂を得た。この樹脂1部をイオン交換水100部に溶解させ、チモールフタレインを指示薬として0.1NKOHメタノール溶液で滴定して酸価を求めたところ、140mgKOHであった。これは、モノマー1−5の酸価から仕込み比通りに共重合されたとして計算される値77mgKOHと大きく異なる。
ナトリウムのような金属イオンで中和されたジホスホン酸含有構造単位が、一般式(2)で表されるような構造単位と親和性が低く、ほとんど共重合しなかったためと考えられる。
[比較合成例5;ポリマーR5の合成]
ポリマー36の合成において、モノマー1−4をモノマー1−5に変え、24部のモノマー2−1の代わりに18部のモノマー2−1、18部のN−t−オクチルアクリルアミドとし、6部のジメチルアクリルアミドの代わりに12部のN−(2−ヒドロキシプロピルアクリルアミド)とした他は同様にしてポリマーR5を合成し、中和せずに顔料分散体作製に使用した。
ポリマーR5の10質量%の樹脂水溶液の粘度を25℃で測定したところ4.6mPa・sであった。
[比較合成例6;アルカリ金属による低分子ジホスホン酸の造塩]
ポリマー化せずに低分子の1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(STREM CHEMICALS社製)をメタノール中で二等量の水酸化カリウムで中和し、メタノールを留去してそのまま用いた。
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸二カリウム塩の10質量%の水溶液粘度を25℃で測定したところ1.9mPa・sであった。
Figure 2016130296
表3中、一般式(6)のモノマー(3)の略称を以下に示す。
DMAM:N,N−ジメチルアクリルアミド(東京化成社製)
DAAM:ダイアセトンアクリルアミド(東京化成社製)
DAMAM:ダイアセトンメタクリルアミド(ダイアセトンアクリルアミドの製法が記載された特開2010−7634号公報の開示内容を参考にして合成した)
DMMAM:N,N−ジメチルメタクリルアミド(東京化成社製)
DEAM:N,N−ジエチルアクリルアミド(東京化成社製)
HEAM:2−ヒドロキシエチルアクリルアミド(東京化成社製)
表3中、TetraEtAはテトラエチルアンモニウムイオンをTetraBuAはテトラブチルアンモニウムイオンを表す。3TetraEtA、1H等はM+がTetraEtAイオンが3個、プロトンが1個を表す。
Figure 2016130296

<ホスホン酸基を有する共重合体ポリマーの合成−その第III群−>
[合成例46;ホスホン酸基の塩を含む共重合体ポリマー46の合成]
ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、40部のモノマー2−1および20部のN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(東京化成工業社製/以降DMAPAAと略記)を入れ、500部のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた。そこへ、40部のモノマー1−1を100部のイオン交換水に溶解させた水溶液を加え、アルゴン雰囲気下にて、75℃に加熱した。そこへ、1.8部の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(東京化成社製)を50部のDMFに溶解させたDMF溶液を滴下ろうとで滴下した。75℃で6時間撹拌を続け、その後冷却し重合を停止した。
反応液中の不溶物を除去し、反応液をテトラヒドロフランとヘキサンの混合液(体積比40:100)で三回洗浄した。次いで、エバポレーターにより溶媒を除去したのち、60℃で真空乾燥し55部の樹脂を得た。
この樹脂1部をイオン交換水100部に溶解させ、チモールフタレインを指示薬として0.1NKOHメタノール溶液で滴定して酸価を求めたところ、38mgKOHであった。モノマー1−1の酸価から仕込み比通りに共重合されたとして計算される値39mgKOHとよく一致した。
この酸価値をもとにテトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて中和しながら10質量%の樹脂水溶液を作製した。この溶液の粘度を25℃で測定したところ2.6mPa・sであった。こうして得られた10質量%の樹脂水溶液を顔料分散体作製に使用した。
モノマー原料のアレンドロン酸の滴定結果からチモールフタレインの変色時にはホスホン酸の4個のOH基の内、3個が中和されることがわかることから、中和して得られた樹脂は、4個のOH基のうち、3個がテトラエチルアンモニウムイオンで中和されたものである。
[合成例47(ポリマー47の合成)〜合成例63(ポリマー63の合成)]
表5に示されるように、一般式(11)のモノマー(1)の質量%、一般式(12)のモノマー(2)の質量%、一般式(14a)または(14b)のモノマー(4a)または(4b)の質量%をそれぞれ変え、表6に表される反応条件で合成した他は、合成例46と同様にして、ポリマー47〜63を合成した。
連鎖移動剤としてのα−チオグリセロールは、東京化成社製のものを用いた。
得られたポリマー47〜63はそれぞれ、表5に示されるような塩組成(一般式(1)のM)に中和し、又は中和せず、そのまま顔料分散体作製に使用した。ポリマー47〜63それぞれの10質量%水溶液粘度を表5に示す。
Figure 2016130296
Figure 2016130296
表5中、一般式(14a)または(14b)のモノマー(3a)または(3b)の略称を以下に示す。
DMAPAA:N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(東京化成社製)
DEAEAA:N-[2-(ジエチルアミノ)エチル]アクリルアミド(従来公知の方法により合成)
TMMEAC:トリメチル−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロリド(東京化成社製)
表5中、TetraEtAはテトラエチルアンモニウムイオンをTetraBuAはテトラブチルアンモニウムイオンを表す。3TetraEtA、1H等はM+がTetraEtAイオンが3個、プロトンが1個を表す。
[比較合成例7;ポリマーR7]
公知である特表2009−513802号公報記載の実施例5に従い、比較合成例7のポリマーR7を合成した。
[比較合成例9:ポリマーR9]

<比較合成例9:ポリマーR9の合成>
ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、アルゴン雰囲気下にて、450部のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を入れ、75℃に加熱した。そこへ、75部のモノマー1−1の水溶液558部とベンジルアクリレート75部のDMF溶液525部と2,2’−アゾビスイソブチロニトリル14部を溶解したDMF溶液464部をそれぞれ12回に分けて30分毎に加えた。すべて加えた後にさらに4時間撹拌を続け、その後冷却し重合を停止した。
析出物をろ別し、ヘキサンで洗浄し、乾燥して共重合体(ポリマーR9)140部を得た。得られた樹脂は、合成例と同様に酸価測定し、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて中和処理し、比較合成例9のポリマーR9の10%樹脂溶液として用いた。
[比較合成例10:ポリマーR10]

<比較合成例10;ポリマーR10の合成>
ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、アルゴン雰囲気下にて、182部のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF、関東化学社製)を入れ、75℃に加熱した。そこへ、30部のモノマー1−1を193部の水に溶解させた水溶液223部とベンジルアクリレート(東京化成工業社製)24部とN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(東京化成工業社製/以降DMAPAAと略記)6部を182部のDMFに溶解させたDMF溶液212部と2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(東京化成工業社製/以降AIBNと略記)5.4部を182部のDMFに溶解させたDMF溶液187.4部をそれぞれ12回に分けて30分毎に加えた。すべて加えた後にさらに75℃で4時間撹拌を続け、その後冷却し重合を停止した。
その後、比較合成例9と同様に処理し、比較合成例10のポリマーR10の10%樹脂溶液として用いた。
[比較合成例11:ポリマーR11]

<比較合成例11;ポリマーR11の合成>
ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、アルゴン雰囲気下にて、193部のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を入れ、75℃に加熱した。そこへ、30部のモノマー1−4を193部の水に溶解させた水溶液223部とベンジルアクリレート(東京化成工業社製)24部とトリメチル−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロリド(東京化成工業社製、TMMEAC)6部を182部のDMFに溶解させたDMF溶液212部と2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(東京化成工業社製)5.4部を182部のDMFに溶解させたDMF溶液187.4部をそれぞれ12回に分けて30分毎に加えた。すべて加えた後にさらに75℃で4時間撹拌を続け、その後冷却し重合を停止した。
その後、水酸化ナトリウムを用いて中和する以外は比較合成例9と同様に処理し、比較合成例11のポリマーR11の10%樹脂溶液として用いた。
[比較合成例12:ポリマーR12]
比較合成例11においてベンジルアクリレートの代わりにステアリルアクリレートを、TMMEACの代わりにDMAPAAを用いる他は同様に重合及び処理し、比較合成例12のポリマーR12の10%樹脂溶液として用いた。
[比較合成例13;ポリマーR13]
[比較合成例7;ポリマー25]
公知である特開2014-114409号公報記載の実施例7に従い、比較合成例13のポリマーR13を合成した。
<顔料分散体の調製例−その第I群−>
[顔料分散体1の調製]
下記混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.1mmのジルコニアボール使用)で周速10m/sで10分間循環分散した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、顔料分散体1を得た。
・カーボンブラック(NIPEX 160、デグサ社製)・・20.0質量部
・ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物・・・・・・・13.0質量部
(A−45−PN 竹本油脂社製、固形分10質量%)
・純水・・・67.0質量部
この顔料分散体1は、後述する各顔料分散体と異なり、高純水に溶かしたナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物を含むものである。(但し、後述の顔料分散体1は、この顔料分散体1と同様に、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物を含む。)
[顔料分散体2の調製]
顔料分散体調製例1と同様にして、表7に示す処方により顔料分散体2を調製した。
なお、表5中、カーボンブラック以外の顔料は下記の製品を使用した。
・ピグメントブルー15:3 クロモファインブルーA−220JC、大日精化社製
・ピグメントレッド122 トナーマゼンタEO02、クラリアント社製
・ピグメントイエロー74 ファーストイエロー531、大日精化社製
[顔料分散体3〜顔料分散体25調製]
顔料分散体調製例1と同様にして、表7に示す処方により顔料分散体3〜顔料分散体25を調製した。
なお、ポリマーR1については、仕込み比通りに重合されていないのが明らかであり、顔料分散体を調製しなかった。
Figure 2016130296


<顔料分散体の調製例−その第II群−>
[顔料分散体26の調製]
下記混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.1mmのジルコニアボール使用)で周速10m/sで10分間循環分散した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、顔料分散体26を得た。
・カーボンブラック(NIPEX 160、デグサ社製)・・20.0質量部
・ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物・・・・・・・13.0質量部
(A−45−PN 竹本油脂社製、固形分10質量%)
・純水・・・67.0質量部
この顔料分散体26は、後述する各顔料分散体と異なり、高純水に溶かしたナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物を含むものである。(但し、後述の顔料分散体27〜57は、この顔料分散体26と同様に、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物を含む。)
[顔料分散体27の調製]
顔料分散体調製例26と同様にして、表8に示す処方により顔料分散体27を調製した。
なお、表8中、カーボンブラック以外の顔料は下記の製品を使用した。
・ピグメントブルー15:3 クロモファインブルーA−220JC、大日精化社製
・ピグメントレッド122 トナーマゼンタEO02、クラリアント社製
・ピグメントイエロー74 ファーストイエロー531、大日精化社製
[顔料分散体28〜顔料分散体57の調製]
顔料分散体調製例26と同様にして、表8に示す処方により顔料分散体28〜顔料分散体57を調製した。
なお、ポリマーR1については、仕込み比通りに重合されていないのが明らかであり、顔料分散体を調製しなかった。
Figure 2016130296

<顔料分散体の調製例−その第III群−>
[顔料分散体58の調製]
下記混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.1mmのジルコニアボール使用)で周速10m/sで10分間循環分散した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、顔料分散体58を得た。
・カーボンブラック(NIPEX 160、デグサ社製)・・20.0質量部
・ポリマー46 ・・・・・・・50.0質量部
・純水・・・30.0質量部
[顔料分散体59〜顔料分散体85調製]
顔料分散体調製例58と同様にして、表9に示す処方により顔料分散体59〜顔料分散体85を調製した。
なお、表9中、カーボンブラック以外の顔料は下記の製品を使用した。
・ピグメントブルー15:3 クロモファインブルーA−220JC、大日精化社製
・ピグメントレッド122 トナーマゼンタEO02、クラリアント社製
・ピグメントイエロー74 ファーストイエロー531、大日精化社製
Figure 2016130296
<インクジェット記録用インクの作製と評価結果−その第I群−>
[実施例1]
下記材料を混合し、1.5時間攪拌後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、インクを得た。
・顔料分散体1(顔料固形分20質量%)・・・・・・40.0質量部
・1,3−ブタンジオール(水溶性有機溶剤)・・・・・・・・・20.0質量部
・グリセリン(水溶性有機溶剤)・・・・・・・・・・・・・・・10.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(水溶性有機溶剤)・・・1.0質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・・・・1.0質量部
(水溶性有機溶剤)
・フッ素系界面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.0質量部
(固形分40質量%、DuPont社製、ゾニール FS−300)
・ジホスホン酸基を含む共重合体ポリマー1水溶液・・・・・・・20.0質量部
(固形分10質量%)
・蒸留水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6.0質量部
[実施例2]
下記材料を混合し、1.5時間攪拌後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、インクを得た。
・顔料分散体2(顔料固形分20質量%)・・・・・・40.0質量部
・1,3−ブタンジオール(水溶性有機溶剤)・・・・・・・・・20.0質量部
・グリセリン(水溶性有機溶剤)・・・・・・・・・・・・・・・10.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(水溶性有機溶剤)・・・1.0質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・・・・1.0質量部
(水溶性有機溶剤)
・フッ素系界面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.0質量部
(固形分40質量%、DuPont社製、ゾニール FS−300)
・蒸留水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26.0質量部
[実施例3〜23]
実施例2と同様の調製方法を用いて、表10に示す処方により実施例3〜23のインクを調製した。
[比較例1]
実施例2と同様の調製方法を用いて、表10に示す処方により比較例1のインクを調製した。すなわち、この例においては、比較合成例2によるポリマーR2を用いた顔料分散体24が使用された。
[比較例2]
実施例2と同様の調製方法を用いて、表10に示す処方により比較例2のインクを調製した。すなわち、この例においては、比較合成例3による1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸を用いた顔料分散体25が使用されたものである。
Figure 2016130296
[評価結果−その第I群−]
次に、以下に示す評価方法にて、実施例1〜23、比較例1〜2の各インクジェット用インクを評価した。結果を下記表11に示す。
<画像濃度>
23℃、50%RH環境下で、インクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO GX5000)に作製したインクを充填し、Microsoft Word2000(Microsoft社製)にて作製した64point文字JIS X 0208(1997),2223の一般記号の記載のあるチャートを、普通紙1(XEROX4200、XEROX社製)、及び普通紙2(MyPaper、株式会社リコー製)に打ち出し、印字面のJIS X 0208(1997),2223の一般記号部をX−Rite938(エックスライト社製)にて測色し、下記評価基準により判定した。
なお、印字モードはプリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準はやい」モードを「色補正なし」に改変したモードを使用した。
〔評価基準〕
(ブラック)
A:1.25以上。
B:1.20以上1.25未満。
C:1.10以上1.20未満。
D:1.10未満。
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない。
(イエロー)
A:0.80以上。
B:0.75以上0.80未満。
C:0.70以上0.75未満。
D:0.70未満。
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない。
(マゼンタ)
A:0.95以上。
B:0.85以上0.95未満。
C:0.75以上0.85未満。
D:0.75未満。
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない。
(シアン)
A:1.05以上。
B:0.95以上1.05未満。
C:0.85以上0.95未満。
D:0.85未満。
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない。
<顔料分散の保存安定性>
各顔料分散体をポリエチレン容器に入れ、密封し、70℃で2週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記基準により評価した。
粘度の変化率(%)=(保存後の顔料分散体の粘度/保存前の顔料分散体の粘度)×100
前記粘度の測定には、粘度計(RE500L、東機産業株式会社製)を使用し、サンプルの粘度に合わせて50回転もしくは100回転に調整して測定し、下記の基準をもとに評価した。
[評価基準]
A:粘度の変化率が±5%以内。
B:粘度の変化率が±5%を超え±8%以内。
C:粘度の変化率が±8%を超え±10%以内。
D:粘度の変化率が±10%を超え±30%以内。
E:粘度の変化率が±30%を超える(ゲル化して評価不能)。
<インクの保存安定性>
各インクをインクカートリッジに充填して70℃で2週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記基準により評価した。
粘度の変化率(%)=(保存後のインクの粘度/保存前のインクの粘度)×100
前記粘度の測定には、粘度計(RE500L、東機産業株式会社製)を使用し、サンプルの粘度に合わせて50回転もしくは100回転に調整して測定し、下記の基準をもとに評価した。
[評価基準]
A:粘度の変化率が±5%以内。
B:粘度の変化率が±5%を超え±8%以内。
C:粘度の変化率が±8%を超え±10%以内。
D:粘度の変化率が±10%を超え±30%以内。
E:粘度の変化率が±30%を超える(ゲル化して評価不能)。
<吐出回復性>
インクジェットプリンターに実施例1〜30及び比較例1〜2の各インクを充填して、HL環境(32±0.5℃、15±5%RH)で3時間放置した後、ノズルチェックパターンを印字し、ドット抜けや飛行曲がりといった吐出不良がないことを確認した。そして、さらにそのままの状態でさらに、6日間放置した。放置終了後、坪量が69.6g/m、サイズ度が23.2秒、透気度が21.0秒の上質紙マイペーパー(リコー社製)にベタ印字部付きノズルチェックパターンを1枚印字し、ドット抜けや飛行曲がりの有無を確認した。ノズルチェックパターンにインクのドット抜けや飛行曲がりが見られた際には、正常印刷への復帰動作としてプリンターノズルのクリーニングを行い、その合計回数を評価した。得られた合計回数から各インクの吐出回復性を下記評価基準により評価した。
〔評価基準〕
A:クリーニング0回
B:クリーニング1回。
C:クリーニング2回
D:クリーニング3回以上5回未満。
E:クリーニング5回以上。
Figure 2016130296
表11の結果から、実施例のインクは、比較例のインクに比べて、一般的な普通紙においても高い画像濃度が得られ、インクの保存安定性、吐出回復性が優れることがわかった。
<インクジェット記録用インクの作製と評価結果−その第II群−>
[実施例24]
下記材料を混合し、1.5時間攪拌後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、インクを得た。
・顔料分散体26(顔料固形分20質量%)・・・・・・40.0質量部
・1,3−ブタンジオール(水溶性有機溶剤)・・・・・・・・・20.0質量部
・グリセリン(水溶性有機溶剤)・・・・・・・・・・・・・・・10.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(水溶性有機溶剤)・・・1.0質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・・・・1.0質量部
(水溶性有機溶剤)
・フッ素系界面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.0質量部
(固形分40質量%、DuPont社製、ゾニール FS−300)
・ジホスホン酸基を含む共重合体ポリマー1水溶液・・・・・・・20.0質量部
(固形分10質量%)
・蒸留水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6.0質量部
[実施例25]
下記材料を混合し、1.5時間攪拌後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、インクを得た。
・顔料分散体27(顔料固形分20質量%)・・・・・・40.0質量部
・1,3−ブタンジオール(水溶性有機溶剤)・・・・・・・・・20.0質量部
・グリセリン(水溶性有機溶剤)・・・・・・・・・・・・・・・10.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(水溶性有機溶剤)・・・1.0質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・・・・1.0質量部
(水溶性有機溶剤)
・フッ素系界面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.0質量部
(固形分40質量%、DuPont社製、ゾニール FS−300)
・蒸留水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26.0質量部
[実施例26〜実施例53]
実施例25と同様の調製方法を用いて、表12に示す処方により実施例26〜実施例54のインクを調製した。
[比較例3]
実施例25と同様の調製方法を用いて、表9に示す処方により比較例3のインクを調製した。すなわち、この例においては、比較合成例2によるポリマー29を用いた顔料分散体32が使用された。
[比較例4]
実施例25と同様の調製方法を用いて、表12に示す処方により比較例4のインクを調製した。すなわち、この例においては、比較合成例6による1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸を用いた顔料分散体57が使用されたものである。
Figure 2016130296
[評価結果−その第II群−]
次の評価項目、画像濃度、顔料分散の保存安定性、インクの保存安定性および吐出回復性について、実施例24〜53、比較例3〜4の各インクジェット用インクの評価の際の評価基準と同様な評価基準を適用して、実施例24〜53、比較例3〜4の各インクジェット用インクを評価した。結果を下記表13に示す。
Figure 2016130296
表13の結果から、実施例24〜53の各インクジェット用インクも、実施例1〜23、の各インクと同様或はそれ以上に、比較例1〜4のインクに比べて、一般的な普通紙においても高い画像濃度が得られ、インクの保存安定性、吐出回復性が優れることが分かる。
<インクジェット記録用インクの作製と評価結果−その第III群−>
[実施例54]
下記材料を混合し、1.5時間攪拌後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、インクを得た。
・顔料分散体58(顔料固形分20質量%)・・・・・・40.0質量部
・1,3−ブタンジオール(水溶性有機溶剤)・・・・・・・・・20.0質量部
・グリセリン(水溶性有機溶剤)・・・・・・・・・・・・・・・10.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(水溶性有機溶剤)・・・1.0質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・・・・1.0質量部
(水溶性有機溶剤)
・フッ素系界面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.0質量部
(固形分100%、ダイキン工業製、ユニダインDSN−403N)
・蒸留水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27.0質量部
[実施例55〜74]
実施例54と同様の調製方法を用いて、表14に示す処方により実施例55〜74のインクを調製した。
[比較例5]
実施例55と同様の調製方法を用いて、表14に示す処方により比較例5のインクを調製した。すなわち、この例においては、比較合成例7によるポリマーR7を用いた顔料分散体79が使用された。
[比較例6−11]
比較例5と同様の調製方法を用いて、表14に示す処方により比較例6−比較例11のインクを調製した。すなわち、これらの例においては、比較合成例8−13によるポリマーR8−R13を用いた顔料分散体80−85が使用された。
Figure 2016130296
[評価結果]
次に、以下に示す評価方法にて、実施例54〜74、比較例5〜11の各インクジェット用インクを評価した。結果を下記表15に示す。
<画像濃度>
23℃、50%RH環境下で、インクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO GX5000)に作製したインクを充填し、Microsoft Word2000(Microsoft社製)にて作製した64point文字JIS X 0208(1997),2223の一般記号の記載のあるチャートを、普通紙1(XEROX4200、XEROX社製)、及び普通紙2(MyPaper、株式会社リコー製)に打ち出し、印字面のJIS X 0208(1997),2223の一般記号部をX−Rite938(エックスライト社製)にて測色し、下記評価基準により判定した。
なお、印字モードはプリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準はやい」モードを「色補正なし」に改変したモードを使用した。
〔評価基準〕
(ブラック)
A:1.25以上。
B:1.20以上1.25未満。
C:1.10以上1.20未満。
D:1.10未満。
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない。
(イエロー)
A:0.80以上。
B:0.75以上0.80未満。
C:0.70以上0.75未満。
D:0.70未満。
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない。
(マゼンタ)
A:0.95以上。
B:0.85以上0.95未満。
C:0.75以上0.85未満。
D:0.75未満。
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない。
(シアン)
A:1.05以上。
B:0.95以上1.05未満。
C:0.85以上0.95未満。
D:0.85未満。
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない。
(C以上が、実用可能である。)
<顔料分散の保存安定性>
各顔料分散体をポリエチレン容器に入れ、密封し、70℃で2週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記基準により評価した。
粘度の変化率(%)=(保存後の顔料分散体の粘度/保存前の顔料分散体の粘度)×100
前記粘度の測定には、粘度計(RE500L、東機産業株式会社製)を使用し、サンプルの粘度に合わせて50回転もしくは100回転に調整して測定し、下記の基準をもとに評価した。
[評価基準]
A:粘度の変化率が±5%以内。
B:粘度の変化率が±5%を超え±8%以内。
C:粘度の変化率が±8%を超え±10%以内。
D:粘度の変化率が±10%を超え±30%以内。
E:粘度の変化率が±30%を超える(ゲル化して評価不能)。
(C以上が、実用可能である。)
<インクの保存安定性>
各インクをインクカートリッジに充填して60℃で1週間保存、および70℃で2週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記基準により評価した。
粘度の変化率(%)=(保存後のインクの粘度/保存前のインクの粘度)×100

前記粘度の測定には、粘度計(RE500L、東機産業株式会社製)を使用し、サンプルの粘度に合わせて50回転もしくは100回転に調整して測定し、下記の基準をもとに評価した。
[評価基準]
A:粘度の変化率が±5%以内。
B:粘度の変化率が±5%を超え±8%以内。
C:粘度の変化率が±8%を超え±10%以内。
D:粘度の変化率が±10%を超え±30%以内。
E:粘度の変化率が±30%を超える(ゲル化して評価不能)。
表15に、60℃1週間保存評価結果を「保存性インク1」として、70℃2週間保存評価結果を「保存性インク2」として載せる。(C以上が、実用可能である。)
<吐出回復性>
インクジェットプリンターに実施例54〜74及び比較例5〜11の各インクを充填して、HL環境(32±0.5℃、15±5%RH)で3時間放置した後、ノズルチェックパターンを印字し、ドット抜けや飛行曲がりといった吐出不良がないことを確認した。そして、さらにそのままの状態でさらに、6日間放置した。放置終了後、坪量が69.6g/m、サイズ度が23.2秒、透気度が21.0秒の上質紙マイペーパー(リコー社製)にベタ印字部付きノズルチェックパターンを1枚印字し、ドット抜けや飛行曲がりの有無を確認した。ノズルチェックパターンにインクのドット抜けや飛行曲がりが見られた際には、正常印刷への復帰動作としてプリンターノズルのクリーニングを行い、その合計回数を評価した。得られた合計回数から各インクの吐出回復性を下記評価基準により評価した。
〔評価基準〕
A:クリーニング0回。
B:クリーニング1回。
C:クリーニング2回。
D:クリーニング3回以上5回未満。
E:クリーニング5回以上。
(C以上が、実用可能である。)
Figure 2016130296

[評価結果]
次に、以下に示す評価方法にて、実施例54〜74、比較例5〜11の各インクジェット用インクを評価した。結果を表15に示す。
<画像濃度>
23℃、50%RH環境下で、インクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO GX5000)に作製したインクを充填し、Microsoft Word2000(Microsoft社製)にて作製した64point文字JIS X 0208(1997),2223の一般記号の記載のあるチャートを、普通紙1(XEROX4200、XEROX社製)、及び普通紙2(MyPaper、株式会社リコー製)に打ち出し、印字面のJIS X 0208(1997),2223の一般記号部をX−Rite938(エックスライト社製)にて測色し、下記評価基準により判定した。
なお、印字モードはプリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準はやい」モードを「色補正なし」に改変したモードを使用した。
〔評価基準〕
(ブラック)
A:1.25以上。
B:1.20以上1.25未満。
C:1.10以上1.20未満。
D:1.10未満。
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない。
(イエロー)
A:0.80以上。
B:0.75以上0.80未満。
C:0.70以上0.75未満。
D:0.70未満。
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない。
(マゼンタ)
A:0.95以上。
B:0.85以上0.95未満。
C:0.75以上0.85未満。
D:0.75未満。
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない。
(シアン)
A:1.05以上。
B:0.95以上1.05未満。
C:0.85以上0.95未満。
D:0.85未満。
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない。
(C以上が、実用可能である。)
<顔料分散の保存安定性>
各顔料分散体をポリエチレン容器に入れ、密封し、70℃で2週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記基準により評価した。
粘度の変化率(%)=(保存後の顔料分散体の粘度/保存前の顔料分散体の粘度)×100
前記粘度の測定には、粘度計(RE500L、東機産業株式会社製)を使用し、サンプルの粘度に合わせて50回転もしくは100回転に調整して測定し、下記の基準をもとに評価した。
[評価基準]
A:粘度の変化率が±5%以内。
B:粘度の変化率が±5%を超え±8%以内。
C:粘度の変化率が±8%を超え±10%以内。
D:粘度の変化率が±10%を超え±30%以内。
E:粘度の変化率が±30%を超える(ゲル化して評価不能)。
(C以上が、実用可能である。)
<インクの保存安定性>
各インクをインクカートリッジに充填して60℃で1週間保存、および70℃で2週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記基準により評価した。
粘度の変化率(%)=(保存後のインクの粘度/保存前のインクの粘度)×100
前記粘度の測定には、粘度計(RE500L、東機産業株式会社製)を使用し、サンプルの粘度に合わせて50回転もしくは100回転に調整して測定し、下記の基準をもとに評価した。
[評価基準]
A:粘度の変化率が±5%以内。
B:粘度の変化率が±5%を超え±8%以内。
C:粘度の変化率が±8%を超え±10%以内。
D:粘度の変化率が±10%を超え±30%以内。
E:粘度の変化率が±30%を超える(ゲル化して評価不能)。
表15に、60℃1週間保存評価結果を「保存性インク1」として、70℃2週間保存評価結果を「保存性インク2」として載せる。
(C以上が、実用可能である。)
<吐出回復性>
インクジェットプリンターに実施例1〜30及び比較例1〜2の各インクを充填して、HL環境(32±0.5℃、15±5%RH)で3時間放置した後、ノズルチェックパターンを印字し、ドット抜けや飛行曲がりといった吐出不良がないことを確認した。そして、さらにそのままの状態でさらに、6日間放置した。放置終了後、坪量が69.6g/m、サイズ度が23.2秒、透気度が21.0秒の上質紙マイペーパー(リコー社製)にベタ印字部付きノズルチェックパターンを1枚印字し、ドット抜けや飛行曲がりの有無を確認した。ノズルチェックパターンにインクのドット抜けや飛行曲がりが見られた際には、正常印刷への復帰動作としてプリンターノズルのクリーニングを行い、その合計回数を評価した。得られた合計回数から各インクの吐出回復性を下記評価基準により評価した。
〔評価基準〕
A:クリーニング0回。
B:クリーニング1回。
C:クリーニング2回。
D:クリーニング3回以上5回未満。
E:クリーニング5回以上。
(C以上が、実用可能である。)
表15の結果から、本発明の構成を持つ実施例のインクは、比較例のインクに比べて、一般的な普通紙においても高い画像濃度が得られ、インクの保存安定性、吐出回復性が優れることがわかった。
実施例の中でも、一般式(1)で示されるモノマー含有量および粘度が好適な範囲に制御されているものは特に評価結果が高く(実施例54〜64)、含有量が好ましい範囲を外れるものは保存性、特に高温での長期保存時に多少の品質低下が見られるが、本発明の構成を満たせば、実施可能なレベルでの低下にとどめることができる(実施例65〜70)。粘度が好ましい範囲を外れる場合は画像濃度、保存性および吐出回復性にやや品質の低下が見られるが、実施可能なレベルである(実施例71〜74)。
一方で、本発明の構成をとらないものは、インクの保存性、および吐出回復性に劣る(比較例5〜11)。画像濃度には著しい品質低下が見られないものであっても、インクの長期保存および吐出回復性は実施可能なレベルではなく、これらは、画像濃度を良好にする一般式(1)で示される成分が含まれていても、一般式(2)で示されるような顔料分散を良好に保つ疎水性成分が含まれて居なければ、経時での顔料分散状態の悪化を実施可能なレベルにとどめることが困難であることを示している。一般式(2)に変わる、ベンジル基を疎水性基として含む場合やステアリル基を含む場合も、短期的には良好な評価結果であるが、長期保存ではその顔料分散の安定性に難があり、同時に吐出回復性も充分に担うことが出来ていない(比較例7〜8)。ベンジル基に比べてπ−πスタックの効果が高いナフチル基を持つ本願発明の場合には画像濃度を良好にすると同時に、長期保存や吐出回復を両立させることが出来るものであることがわかる。
以上の結果は、本発明の構成をもつインクが一般的な普通紙においても高い画像濃度が得られ、インクの保存安定性、吐出回復性が優れるものであると結論付けるものである。
1 装置本体
2 給紙トレイ
3 排紙トレイ
4 前面
5 上面
6 カートリッジ装填部
7 操作部
8 前カバー
10 インクカートリッジ
21 フレーム
21A 側板
21B 側板
21C 後板
22 フレキシブルケーブル
23 供給ポンプユニット
25 本体側ホルダ
26 固定リブ
31 ガイドロッド
32 ステー
33 キャリッジ
34 記録ヘッド
35 サブタンク
36 インク供給チューブ
37 インク供給チューブ
41 用紙積載部(底板)
42 用紙
43 半月コロ(給紙コロ)
44 分離パッド
45 ガイド
51 搬送ベルト
52 カウンタローラ
53 搬送ガイド
54 押さえ部材
55 先端加圧コロ
56 帯電ローラ
57 搬送ローラ
58 テンションローラ
61 ガイド部材
71 分離爪
72 排紙ローラ
73 排紙コロ
81 両面給紙ユニット
82 手差し給紙部
91 サブシステム
92 キャップ
92a キャップ
92b キャップ
92c キャップ
92d キャップ
93 ワイパーブレード
94 空吐出受け
95 ワイパークリーナ
96 クリーナコロ
98 空吐出受け
99 開口
111 維持装置フレーム
112A キャップホルダ
112B キャップホルダ
115 キャリッジロック
117 キャリッジロックアーム
118 ワイパークリーナ
119 可撓性チューブ
120 チュービングポンプ(吸引ポンプ)
120a ポンプ軸
121 カム軸
122A キャップカム
122B キャップカム
124 ワイパーカム
125 キャリッジロックカム
126 コロ
128 クリーナカム
131 モータ
131a モータ軸
132 モータギヤ
133 ポンプギヤ
134 中間ギヤ
135 中間ギヤ
136 中間ギヤ
137 クラッチ
138 中間ギヤ
139 中間ギヤ
140 カムギヤ
141 中間軸
142 ホームポジションセンサ用カム
150a ガイドピン
150b ガイド軸
151 ホルダ
152 スプリング
153 スライダ
154 ガイドピン
155 ガイドピン
156 ガイド溝
157 カムピン
特表2009−513802号公報 特開2014−114409号公報 特開2012−51357号公報 特開2004−123904号公報

Claims (15)

  1. 少なくとも水、水溶性溶剤、顔料、及びホスホン酸基を有する重合体を含むインクであって、前記重合体は、ジホスホン酸基を有する共重合体であり、該ジホスホン酸基の少なくとも一部がテトラアルキルアンモニウム塩であり、かつ、前記重合体は一般式(1)で表される構造単位(1)と、一般式(2)で表される構造単位(2)とを少なくとも有するものであることを特徴とするインク;
    Figure 2016130296

    (一般式(1)中のRは水素原子またはメチル基を表し、M+は、テトラアルキルアンモニウムイオンまたはプロトンを表す。また、一般式(1)中のXは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)

    Figure 2016130296

    (一般式(2)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、Lは、炭素数2〜18のアルキレン基を表す。)
  2. 前記重合体は、さらに次の一般式(3a)、一般式(3b)又は一般式(3c)で表される構造単位(3)を含むものであることを特徴とする請求項1に記載のインク;

    Figure 2016130296

    (一般式(3a)中のRは、水素原子またはメチル基を表す。)
    Figure 2016130296
    (一般式(3b)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、R、Rはメチル基またはエチル基を表す。)
    Figure 2016130296
    (一般式(3c)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、Yはメチレン基またはエチレン基を表す。)
  3. 前記重合体は、さらに次の一般式(4a)で表される構造単位又は一般式(4b)で表される構造単位(4)を含むものであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インク;
    Figure 2016130296

    (一般式(4a)中のR3は、水素原子またはメチル基を表し、R、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を表し、Y1は炭素数1〜4のアルキレン基を表す。)
    Figure 2016130296

    (一般式(4b)中のR6は、水素原子またはメチル基を表し、Y2は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)
  4. 前記共重合体における一般式(1)で表される構造単位(1)の含有率が30質量%〜90質量%であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録用インク。
  5. 前記共重合体における一般式(1)で表される構造単位(1)の含有率が40質量%〜80質量%であることを特徴とする請求項4に記載のインク。
  6. 前記共重合体における一般式(1)で表される構造単位(1)の含有率が20質量%〜60質量%であることを特徴とする請求項3に記載のインク。
  7. 前記共重合体における一般式(1)で表される構造単位(1)の含有率が30質量%〜50質量%であることを特徴とする請求項6に記載のインク。
  8. 前記一般式(2)の構造単位のLが炭素数2〜12のアルキレン基であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1に記載のインク。
  9. 前記共重合体の水溶液粘度(濃度10質量%、25℃)が1.5〜4.0mPa・sであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1に記載のインクジェット記録用インク。
  10. 少なくとも水、水溶性溶剤、顔料、及びホスホン酸基を有する重合体を含むインクであって、
    前記重合体は、ジホスホン酸基を有する共重合体であり、該ジホスホン酸基の少なくとも一部がテトラアルキルアンモニウム塩であり、かつ、前記共重合体は、一般式(11)で表されるモノマー(1)と、一般式(12)で表されるモノマー(2)とを少なくとも含む重合性材料のラジカル重合により合成されたものであることを特徴とするインク。
    Figure 2016130296
    (一般式(11)中のRは水素原子またはメチル基を表し、M+は、テトラアルキルアンモニウムイオンまたはプロトンを表す。また、一般式(11)中のXは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)
    Figure 2016130296
    (一般式(12)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、Lは、炭素数2〜18のアルキレン基を表す。)
  11. 前記重合体は、前記一般式(11)で表されるモノマー(1)と、前記一般式(12)で表されるモノマー(2)と、さらに次の一般式(13a)で表されるモノマー(3a)、次の一般式(13b)で表されるモノマー(3b)又は次の一般式(13c)で表されるモノマー(3c)の少なくともいずれかをも含む重合性材料のラジカル重合により合成されたものであることを特徴とする請求項10に記載のインク。
    Figure 2016130296
    (一般式(13a)中のRは、水素原子またはメチル基を表す。)
    Figure 2016130296
    (一般式(13b)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、R、Rはメチル基またはエチル基を表す。)
    Figure 2016130296
    (一般式(13c)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、Yはメチレン基またはエチレン基を表す。)
  12. 前記重合体は、前記一般式(11)で表されるモノマー(1)と、前記一般式(12)で表されるモノマー(2)と、さらに次の一般式(14a)で表されるモノマー(4a)又は次の一般式(14b)で表されるモノマー(4b)の少なくともいずれかをも含む重合性材料のラジカル重合により合成されたものであることを特徴とする請求項10に記載のインク。
    Figure 2016130296
    (一般式(14a)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、R、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を表し、Y1は炭素数1〜4のアルキレン基を表す。)
    Figure 2016130296
    (一般式(14b)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、Yは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)
  13. 請求項1乃至12のいずれか1に記載のインクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
  14. 請求項1乃至12のいずれか1に記載のインクに刺激を印加し、前記インクジェット記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  15. 記録メディア上に、請求項1乃至12のいずれか1に記載のインクにより記録された画像を有してなることを特徴とするインク記録物。
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