〔発明が解決しようとする課題〕
ノッチフィルタが車体の振動を抑制する効果は、フィルタのノッチ度、すなわちノッチ周波数の成分を低減する度合によって異なる。ノッチ度が高い値に設定されると、車体の振動抑制効果は高くなるが、駆動装置へ出力される指令駆動力の変化が低減され、要求駆動力に対する指令駆動力の遅れが大きくなる。
すなわち、要求駆動力が増大から減少へ変化した状況においては、フィルタ処理により生成される指令駆動力が要求駆動力に対し遅れるので、指令駆動力は要求駆動力よりも大きい側へ要求駆動力から乖離する。逆に、要求駆動力が減少から増大へ変化した状況においては、フィルタ処理により生成される指令駆動力が要求駆動力に対し遅れるので、指令駆動力は要求駆動力よりも小さい側へ要求駆動力から乖離する。
特に、要求駆動力が減少する際に指令駆動力が要求駆動力より乖離する量は、フィルタのノッチ度が高いほど、また要求駆動力の減少率が大きいほど、大きくなる。そして、要求駆動力が減少する際に指令駆動力が要求駆動力より大きく乖離すると、運転者の減速要求が充足され難くなる。
かくして、ノッチフィルタの処理に起因する指令駆動力の遅れは、要求駆動力からの指令駆動力の乖離を伴うため、ノッチ度を高くして車体の振動を効果的に抑制しようとすると、運転者が指令駆動力の応答遅れや過不足という新たな違和感を覚える場合がある。
なお、上記特許文献1に記載された車体振動制御装置においては、車速が高いほど、エンジン回転数が高いほど、減速比が高いほど、ノッチ度の値が大きくなるよう、ノッチ度が可変設定されるようになっている。しかし、ノッチ度がこのように可変設定されても、車体の振動を効果的に抑制しつつ、要求駆動力に対する指令駆動力の遅れや要求駆動力よりの指令駆動力の乖離の量を低減することはできない。
本発明は、ノッチフィルタを使用して指令駆動力を制御する車体振動制御装置において、要求駆動力に対し指令駆動力が遅れ、指令駆動力が要求駆動力から乖離することに起因して運転者が違和感を覚える場合があるという問題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の主要な課題は、できるだけ高い車体制振効果を確保しつつ、指令駆動力が要求駆動力から過剰に乖離することを防止することである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
上述の主要な課題は、本発明によれば、運転者の要求駆動力を演算する要求駆動力演算装置と、車両に駆動力を付与する駆動装置と、指令駆動力に基づいて前記駆動装置を制御する駆動力制御装置と、前記要求駆動力演算装置より要求駆動力を示す信号を受信し、ノッチ周波数が車体の振動の周波数成分を低減するための値に設定されたノッチフィルタであって、前記信号をフィルタ処理し、処理後の信号を前記駆動力制御装置へ指令駆動力を示す信号として出力するノッチフィルタとを有する車両の車体振動制御装置において、前記車体振動制御装置は、指令駆動力が運転者の要求駆動力から乖離する程度が基準値を越えていると判定したときには、前記程度を制限するための制限値に基づいて指令駆動力の大きさを制限する指令駆動力制限装置を有することを特徴とする車両の車体振動制御装置によって達成される。
上記の構成によれば、ノッチ周波数が車体の振動の周波数成分を低減するための値に設定されたノッチフィルタにて要求駆動力を示す信号が処理され、処理後の信号が駆動力制御装置へ指令駆動力を示す信号として出力される。そして、指令駆動力が運転者の要求駆動力から乖離する程度、すなわち指令駆動力と運転者の要求駆動力との差の大きさである乖離量の大きさの程度が基準値を越えていると判定されたときには、該程度を制限するための制限値に基づいて指令駆動力の大きさが制限される。
よって、高い車体制振効果が得られるよう、ノッチ度が高い値に設定される場合にも、指令駆動力が要求駆動力から過剰に乖離することを防止することができる。従って、できるだけ高い車体制振効果を確保しつつ、指令駆動力に過剰な過不足が生じることを防止することができ、これにより駆動力の応答性が過剰に低下することを防止することができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、運転者の要求駆動力が減少する際における指令駆動力と要求駆動力との差を乖離量として、前記制限値は、前記乖離量を許容量以下に制限するための制限値であり、前記指令駆動力制限装置は、前記乖離量が前記許容量よりも大きいときには、前記乖離量が前記許容量になるように指令駆動力の大きさを制限するようになっていてよい。
上記の構成によれば、運転者の要求駆動力が減少する際における指令駆動力と要求駆動力との差である乖離量を許容量以下に制限するための制限値である。そして、乖離量が許容量よりも大きいときには、乖離量が許容量になるように指令駆動力が制限されるが、乖離量が許容量以下であるときには、許容量に基づく指令駆動力の制限は行われない。よって、指令駆動力が不必要に制限されることを防止しつつ、指令駆動力が要求駆動力から許容量を越えて乖離することを防止することができる。従って、できるだけ高い車体制振効果を確保しつつ、指令駆動力の低下が遅れることに起因して指令駆動力が過剰になること、及びこれに起因して駆動力の低下の応答性が過剰に低下することを防止することができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、前記指令駆動力制限装置は、運転者の要求駆動力の減少率の大きさが大きいほど、前記許容量が大きくなるよう、運転者の要求駆動力の減少率の大きさに基づいて、前記許容量を可変設定するようになっていてよい。
指令駆動力の乖離の大きさ、すなわち指令駆動力と要求駆動力との差の大きさは、要求駆動力が減少し始める状況においては小さく、要求駆動力の減少率の大きさが大きくなるにつれて大きくなる。よって、許容量が一定である場合には、要求駆動力が減少し始める状況においては、指令駆動力は許容量に基づく制限を受けないが、要求駆動力が減少する過程において指令駆動力は許容量に基づく制限を受けるようになる。そして、許容量に基づく制限の度合は、要求駆動力の減少率の大きさが大きくなるにつれて大きくなる。
上記の構成によれば、運転者の要求駆動力の減少率の大きさが大きいほど、許容量が大きくなる。よって、運転者の要求駆動力の減少率の大きさが大きいほど、許容量に基づく指令駆動力の制限が緩和される。従って、許容量が一定である場合に比して、運転者の要求駆動力の減少率が増大する過程において、「指令駆動力が許容量による制限を受け始めた後に指令駆動力の減少率の大きさが急激に増大する虞れ」及び「これに起因して運転者が違和感を覚える虞れ」を低減することができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、運転者の要求駆動力が減少する際における要求駆動力に対する指令駆動力の比を乖離の比として、前記制限値は、前記乖離の比を許容の比以下に制限するための制限値であり、前記指令駆動力制限装置は、前記乖離の比が前記許容の比よりも大きいときには、前記乖離の比が前記許容の比になるように指令駆動力の大きさを制限するようになっていてよい。
上記の構成によれば、制限値は、運転者の要求駆動力が減少する際における要求駆動力に対する指令駆動力の比である乖離の比を許容の比以下に制限するための制限値である。そして、乖離の比が許容の比よりも大きいときには、乖離の比が許容の比になるように指令駆動力が制限されるが、乖離の比が許容の比以下であるときには、許容の比に基づく指令駆動力の制限は行われない。よって、指令駆動力が不必要に制限されることを防止しつつ、乖離の比が許容の比を越えるほどに指令駆動力が要求駆動力から乖離することを防止することができる。従って、できるだけ高い車体の制振効果を確保しつつ、指令駆動力の低下が遅れることに起因して指令駆動力が過剰になること、及びこれに起因して駆動力の低下の応答性が過剰に低下することを防止することができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、前記指令駆動力制限装置は、運転者の要求駆動力の大きさが小さいほど、前記許容の比が大きくなるよう、運転者の要求駆動力の大きさに基づいて、前記許容の比を可変設定するようになっていてよい。
指令駆動力の乖離の比率が許容の比以下に制限される場合において、許容の比が一定である場合には、運転者の要求駆動力に対する指令駆動力の乖離の許容量は、要求駆動力が減少し小さくなるにつれて小さくなる。よって、許容の比が一定である場合には、要求駆動力が減少し始める状況においては、指令駆動力は許容の比に基づく制限を受けないが、要求駆動力が減少する過程において指令駆動力は許容の比に基づく制限を受けるようになる。そして、許容の比に基づく制限の度合は、要求駆動力が減少するにつれて大きくなる。
これに対し、上記の構成によれば、運転者の要求駆動力の大きさが小さいほど、許容の比が大きくなる。よって、運転者の要求駆動力の大きさが小さいほど、許容の比に基づく指令駆動力の制限が緩和される。従って、運転者の要求駆動力が減少する過程において、「指令駆動力が許容の比による制限を受け始めた後に指令駆動力の減少率の大きさが急激に増大する虞れ」及び「これに起因して運転者が違和感を覚える虞れ」を低減することができる。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
[第一の実施形態]
図1は、本発明による車両の車体振動制御装置10の第一の実施形態を示すブロック図である。図1において、車体振動制御装置10は、車両12に搭載されており、車体(VB)14と、車体14を含む車両12に駆動力を付与する駆動装置(DU)16と、駆動装置16を制御する電子制御装置(ECU)18とを含んでいる。なお、図示の実施形態に於いては、駆動装置16は、エンジン及びトランスミッション(自動変速機、無段変速機又はデュアルクラッチトランスミッション)の組合せであるが、ハイブリッドシステム、電動機の如き他の駆動装置であってもよい。また、電子制御装置18は、例えばマイクロコンピュータの如く演算機能及び記憶機能を備えた任意の電子制御装置であってよい。
電子制御装置18は、運転者の要求駆動力を演算する要求駆動力演算ブロック(PC)20と、駆動力を制御するための信号を駆動装置16へ出力する駆動力制御ブロック(DC)22とを含んでいる。要求駆動力演算ブロック20には、運転者の操縦操作量であるアクセル開度及び操舵角を示す信号が入力され、車両の運転状態を示すパラメータである車速及びトランスミッションの変速比を示す信号が入力される。要求駆動力演算ブロック20は、アクセル開度、操舵角、車速、減速比、或いはそれらに加えて他の任意の駆動力演算用入力パラメータに基づいて運転者の要求駆動力を演算する。
運転者の要求駆動力を示す信号は、ノッチフィルタ(NF)24に入力される。ノッチフィルタ24は、要求駆動力を示す信号に含まれる周波数成分のうち、ノッチ周波数の成分の伝送を抑制または遮断することにより、ノッチ周波数の成分を低減する。この場合、ノッチ周波数は基本的には車体の共振周波数に設定される。ノッチフィルタ24によって処理されることにより補正された要求駆動力(指令駆動力)を示す信号は、オーバーラン保護ブロック(OR)30を経て駆動力制御ブロック22に入力される。オーバーラン保護ブロック30については、後に図2を参照して詳細に説明する。
駆動力制御ブロック22は、電子式燃料噴射装置(EFI)用制御部22A及び電子式トランスミッション(ECT)用制御部22Bを含んでいる。そして、駆動力制御ブロック22は、指令駆動力、車速、エンジン回転数、減速比等のパラメータに基づいて、目標スロットル開度及び目標減速比を決定し、それらを示す信号を駆動装置16へ出力する。
駆動装置16は、エンジンが目標スロットル開度に基づいて制御され、またトランスミッションが目標減速比に基づいて制御されることにより、車体14を含む車両12に指令駆動力に対応する駆動力を付与する。車両12に駆動力が付与され駆動力が変動すると、車両の車体14が振動する。特に、車体のピッチング振動やローリング振動の如き振動は、サスペンションストローク、ピッチ角、ロール角の変化となって現れる。
駆動装置16により車両12に与えられる駆動力を示す信号及び駆動力によって車体に発生したサスペンションストローク、ピッチ角、ロール角の変化を示す信号は、ノッチフィルタ制御ブロック(FC)26に入力される。ノッチフィルタ制御ブロック26は、ノッチフィルタ24のノッチ周波数を可変に制御する。詳細には、ノッチフィルタ制御ブロック26は、車体の振動、特にそのピッチング振動やローリング振動との対応関係に基づいて、指令駆動力の周波数に対する車体のピッチング振動やローリング振動の振幅の分布を求める。そして、ノッチフィルタ制御ブロック26は、車体のピッチング振動やローリング振動の振幅を最大限に抑制するようにノッチ周波数を制御する。
例えば、ノッチフィルタ制御ブロック26は、車両の種々の運転状態について車両に与えられる駆動力に対する車体の応答運動をフーリエ変換の手法により周波数解析する。そして、ノッチフィルタ制御ブロック26は、指令駆動力の周波数に対する車体のピッチング振動やローリング振動の振幅の分布を算出し、それらの振幅を最大限に抑制するようにノッチ周波数を制御する。
この場合、ノッチフィルタ制御ブロック26に入力される車体のピッチングやローリングを示す信号は、図1において破線のブロック28にて示されている如きローパスフィルタによりローパスフィルタ処理されてよい。ローパスフィルタ処理が行われれば、アクセル開度や操舵角の如き操縦操作量の変化に伴って共振により発生し易い1〜2Hz程度の比較的低い周波数の車体振動を効率的に抽出し、これによりノッチ周波数をより的確に制御することができる。
なお、ノッチフィルタ24のノッチ周波数の制御自体は、本発明の要旨ではないので、車体のピッチング振動やローリング振動が効果的に低減されるよう、車体の共振周波数に対応する値に演算される限り、任意の要領にて演算されてよい。例えば、他の制御要領として、本願出願人の出願にかかる特開2007−237879号公報の段落[0036]〜[0038]に記載された要領がある。
ノッチフィルタ24は、ノッチフィルタ制御ブロック26によりそのノッチ周波数が制御されると共に、そのノッチ度、すなわちノッチ周波数の成分の減衰度合が運転者の要求駆動力の増減、従って運転者の要求が加速であるか減速であるかに応じて制御される。この場合、運転者の要求駆動力の増減は、アクセル開度の増減に基づいて判定されてよい。なお、運転者の要求が加速であるか減速であるかに基づくノッチ度の制御は本発明の要旨ではないので、任意の要領にて演算されてよく、またノッチ度は一定の値であってもよい。
図3はノッチフィルタ24の周波数特性を示しており、Fnはノッチ周波数である。図3より解る如く、ノッチ度Nは周波数特性におけるV字形切欠きの深さであり、ノッチ度が高いほどノッチ周波数における運転者の要求駆動力の減衰度合が高くなる。
図2に示されている如く、運転者の要求駆動力が増大する際に機能するオーバーラン保護ブロック30は、許容上限値演算ブロック30Aと、最小値選択ブロック30Bとを含んでいる。許容上限値演算ブロック30Aには、要求駆動力演算ブロック20より運転者の要求駆動力Fdreqを示す信号が入力され、最小値選択ブロック30Bには、ノッチフィルタ24よりフィルタ処理によって補正された要求駆動力(指令駆動力)Fdfilを示す信号が入力される。許容上限値演算ブロック30Aは、指令駆動力の減少率の大きさを許容減小率以上に制限するための減少率制限値として許容上限値Fdmaxを演算する。最小値選択ブロック30Bは、許容上限値Fdmax及び指令駆動力Fdfilのうちの小さい方の値を補正後の要求駆動力(指令駆動力)Fdfilaとすることにより指令駆動力を制限し、制限後の指令駆動力として駆動力制御ブロック22へ出力する。
図4は、オーバーラン保護ブロック30による指令駆動力の制限のルーチンの一例を示すフローチャートである。なお、図4に示されたフローチャートによる制御は、図には示されていないイグニッションスイッチがオンに切り替えられることにより開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。また、図4に示されたフローチャートの説明においては、このフローチャートによる制御を単に制御と指称する。これらのことは、後述の他のフローチャートについても同様である。
ステップ10においては、要求駆動力が増大から減少へ変化したか否かの判別が行われる。そして、否定判別が行われたときには、制御はステップ40へ進む。これに対し、肯定判別が行われたときには、ステップ20において、要求駆動力が増大から減少へ変化したときの要求駆動力をFdreq0として、許容上限値FdmaxがFdreq0から微小な正の値αを減算した値(Fdreq0−α)に設定される。なお、値αは定数であってよく、また0であってよいが、要求駆動力が増大から減少へ変化するときの要求駆動力の変化率の大きさが大きいほど大きくなるよう、可変設定されることが好ましい。
ステップ30においては、要求駆動力が増大から減少へ変化したときの要求駆動力Fdreq0の大きさが大きいほど許容減少率RFddecaの大きさが大きくなるよう、要求駆動力Fdreq0の大きさに基づいて許容減少率RFddecaが演算される。なお、許容減少率RFddecaは正の値である。
ステップ40においては、要求駆動力Fdreqが許容上限値Fdmaxよりも大きいか否かの判別が行われる。そして、肯定判別が行われたときには、ステップ50において、許容上限値Fdmaxが要求駆動力Fdreqに設定される。これに対し、否定判別が行われたときには、ステップ60において、許容上限値Fdmaxが前回の許容上限値Fdmaxfから許容減少率RFddecaと図4に示されたフローチャートのサイクルタイムΔtとの積を減算した値Fdmaxf−RFddeca・Δtに設定される。よって、後述の図5に示されている如く、許容上限値Fdmaxの減少率の大きさが許容減少率RFddecaに制限される。
ステップ70においては、許容上限値Fdmax及び指令駆動力Fdfilのうちの小さい方の値が補正後の要求駆動力(指令駆動力)Fdfilaとされ、指令駆動力Fdfilaを示す信号が駆動力制御ブロック22へ出力される。よって、駆動装置16は指令駆動力Fdfilaに基づいて制御される。
ステップ80においては、要求駆動力の減少が終了したか否かの判別が行われる。そして、否定判別が行われたときには、制御はステップ10へ戻り、肯定判別が行われたときには、制御が終了する。
図5は、第一の実施形態による指令駆動力の制限の一例を示すグラフである。図5において、A〜Cは以下の領域を示している。
A:許容上限値Fdmax≦要求駆動力Fdreqで、許容上限値Fdmaxが要求駆動力Fdreqに設定される領域。
B:許容上限値Fdmax>要求駆動力Fdreqで、許容上限値Fdmaxを許容減少率RFddecにて低下させる領域。
C:許容上限値Fdmax及び指令駆動力Fdfilのうちの小さい方の値が選択され、補正後の要求駆動力Fdfilaとされる領域。
以上の説明より解る如く、要求駆動力演算ブロック20、駆動力制御ブロック22、オーバーラン保護ブロック30は、それぞれ本発明の要求駆動力演算装置、駆動力制御装置、指令駆動力制限装置として機能する。また、これらのブロック及びノッチフィルタ24の機能は、電子制御装置18による制御により達成される。例えば、各機能は、電子制御装置18を構成するマイクロコンピュータの如き演算制御装置により制御プログラムに従って達成される。なお、これらのことは、後述の第一の修正例や他の実施形態においても同様である。
図5において、領域Cとして示されている如く、要求駆動力が増大から減少へ変化した後にノッチフィルタ24のフィルタ処理によって不適切な指令駆動力Fdfilが出力されても、指令駆動力は補正後の要求駆動力Fdfilaになるよう制限される。よって、要求駆動力Fdreqが減少する過程において、要求駆動力に対する指令駆動力の乖離の程度が過大になることを防止することができる。
特に、第一の実施形態においては、許容減少率RFddecaは、ステップ30において、要求駆動力が増大から減少へ変化したときの要求駆動力Fdreq0の大きさが大きいほど大きさが大きくなるよう、演算される。よって、増大から減少へ変化したときの要求駆動力Fdreqの大きさが小さい場合に指令駆動力Fdfilに対す制限が過剰になることを回避しつつ、増大から減少へ変化したときの要求駆動力の大きさが大きい場合に、許容減少率RFddecaを大きくすることができる。従って、増大から減少へ変化したときの要求駆動力の大きさが大きい状況において、補正後の要求駆動力Fdfilaの低下に要する時間が長くなることを防止することができる。
[第一の修正例]
図6は、第一の修正例において運転者の要求駆動力が増大する際に機能するノッチフィルタ及びオーバーラン保護ブロックを示す図2と同様のブロック図である。なお、この第一の修正例においては、運転者の要求駆動力が減少する際には、第一の実施形態と同様の制御が行われる。
図6と図2との比較より解る如く、図2における許容上限値演算ブロック30A及び最小値選択ブロック30Bが、それぞれ許容下限値演算ブロック30C及び最大値選択ブロック30Dに置き換えられている。許容下限値演算ブロック30Cは、指令駆動力の増大率の大きさを許容増大率以上に制限するための増大率制限値として許容下限値Fdminを演算する。最大値選択ブロック30Dは、許容下限値Fdmin及び指令駆動力Fdfilのうちの大きい方の値を補正後の要求駆動力(指令駆動力)Fdfilaとすることにより指令駆動力を制限し、制限後の指令駆動力として駆動力制御ブロック22へ出力する。
図7は、オーバーラン保護ブロック30による指令駆動力の制限のルーチンの一例を示す図4と同様のフローチャートである。
ステップ110においては、要求駆動力が減少から増大へ変化したか否かの判別が行われる。そして、否定判別が行われたときには、制御はステップ140へ進む。これに対し、肯定判別が行われたときには、ステップ120において、要求駆動力が減少から増大へ変化した要求駆動力をFdreq0として、許容下限値FdminがFdreq0に微小な正の値βを加算した値(Fdreq0+β)に設定される。なお、値βは定数であってよく、また0であってよいが、要求駆動力が減少から増大へ変化するときの要求駆動力の変化率の大きさが大きいほど大きくなるよう、可変設定されることが好ましい。
ステップ130においては、要求駆動力が減少から増大少へ変化したときの要求駆動力Fdreq0の大きさが大きいほど許容増大率RFdincaの大きさが大きくなるよう、要求駆動力Fdreq0の大きさに基づいて許容増大率RFdincaが演算される。なお、許容増大率RFdincaも正の値である。
ステップ140においては、要求駆動力Fdreqが許容下限値Fdminよりも小さいか否かの判別が行われる。そして、肯定判別が行われたときには、ステップ150において、許容下限値Fdminが要求駆動力Fdreqに設定される。これに対し、否定判別が行われたときには、ステップ160において、許容下限値Fdminが前回の許容下限値Fdminfに許容増大率RFdinca及び図7に示されたフローチャートのサイクルタイムΔtの積を加算した値Fdminf+RFdinca・Δtに設定される。よって、後述の図8に示されている如く、許容下限値Fdminの増大率の大きさが許容増大率RFdincaに制限される。
ステップ170においては、許容下限値Fdmin及び指令駆動力Fdfilのうちの大きい方の値が補正後の要求駆動力(指令駆動力)Fdfilaとされ、指令駆動力Fdfilaを示す信号が駆動力制御ブロック22へ出力される。よって、駆動装置16は指令駆動力Fdfilaに基づいて制御される。
ステップ180においては、要求駆動力の増大が終了したか否かの判別が行われる。そして、否定判別が行われたときには、制御はステップ110へ戻り、肯定判別が行われたときには、制御が終了する。
図8は、第一の修正例による指令駆動力の制限の一例を示すグラフである。図8において、A及びBは第一の実施形態の場合と同一の領域を示し、D及びEはそれぞれ下記の領域を示している。
D:許容下限値Fdmin≧要求駆動力Fdreqで、許容下限値Fdminが要求駆動力Fdreqに設定される領域。
E:許容下限値Fdmin<要求駆動力Fdreqで、許容下限値Fdminを許容増大率RFdincにて上昇させる領域。
図8より解る如く、第一の修正例によれば、要求駆動力が減少から増大へ変化した後にノッチフィルタ24のフィルタ処理によって不適切な指令駆動力Fdfilが出力されても、指令駆動力は補正後の要求駆動力Fdfilaになるよう制限される。よって、要求駆動力Fdreqが増大する過程においても、要求駆動力に対する指令駆動力の乖離の程度が過大になることを防止することができる。
[第二の実施形態]
図9及び図10は、本発明による車両の車体振動制御装置の第二の実施形態において、それぞれ運転者の要求駆動力が減少する際及び増大する際に実行される指令駆動力の制限のルーチンを示すフローチャートである。
なお、この第二の実施形態においては、制限値は、運転者の要求駆動力Fdreqからの指令駆動力Fdfilの乖離量の大きさ(|Fdfil−Fdreq|)を許容乖離量以下に制限するための制限値である。そして、乖離量の大きさが許容乖離量よりも大きいときには、乖離量の大きさが許容乖離量になるように指令駆動力の大きさが制限される。
図9に示されたフローチャートのステップ210においては、要求駆動力Fdreqが減少する際の許容乖離量ΔFddeca(正の値)が演算される。この場合、許容乖離量ΔFddecaは、要求駆動力の減少率の大きさが大きいほど大きくなるよう、要求駆動力の減少率の大きさに基づいて演算される。なお、要求駆動力の減少率は、前回の要求駆動力Fdreqfと現在の要求駆動力Fdreqとの差であってよい。
ステップ220においては、指令駆動力Fdfilと要求駆動力Fdreqとの差Fdfil−Fdreqが求められることにより、要求駆動力からの指令駆動力の乖離量ΔFddecが演算される。
ステップ230においては、乖離量ΔFddecが許容乖離量ΔFddecaよりも大きいか否かの判別が行われる。そして、否定判別が行われたときには制御はステップ250へ進み、肯定判別が行われたときには、ステップ240において、要求駆動力Fdreqと許容乖離量ΔFddecaとの和Fdreq+ΔFddecaが補正後の要求駆動力(指令駆動力)Fdfilaとされる。
ステップ250においては、要求駆動力の減少が終了したか否かの判別が行われる。そして、否定判別が行われたときには、制御はステップ210へ戻り、肯定判別が行われたときには、制御が終了する。
図10に示されたフローチャートのステップ310においては、要求駆動力Fdreqが増大する際の許容乖離量ΔFdinca(正の値)が演算される。この場合、許容乖離量ΔFdincaは、要求駆動力の増大率の大きさが大きいほど大きくなるよう、要求駆動力の増大率の大きさに基づいて演算される。
ステップ320においては要求駆動力Fdreqと指令駆動力Fdfilとの差Fdreq−Fdfilが求められることにより、要求駆動力からの指令駆動力の乖離量ΔFdincが演算される。
ステップ330においては、乖離量ΔFdincが許容乖離量ΔFdincaよりも大きいか否かの判別が行われる。そして、否定判別が行われたときには制御はステップ350へ進み、肯定判別が行われたときには、ステップ340において、要求駆動力Fdreqから許容乖離量ΔFdincaを減算した値Fdreq−ΔFdincaが補正後の要求駆動力(指令駆動力)Fdfilaとされる。
ステップ350においては、要求駆動力の増大が終了したか否かの判別が行われる。そして、否定判別が行われたときには、制御はステップ310へ戻り、肯定判別が行われたときには、制御が終了する。
図11は、第二の実施形態による指令駆動力の制限の一例を示すグラフである。なお、図11において、破線は、要求駆動力が減少する際に乖離量ΔFddecが許容乖離量ΔFddeca以下になるよう指令駆動力を制限するための上限制限値の線を示している。また、一点鎖線は、要求駆動力が増大する際に乖離量ΔFdincが許容乖離量ΔFdinca以上になるよう指令駆動力を制限するための下限制限値の線を示している。図11に示されている如く、指令駆動力は、要求駆動力が減少する際には乖離量ΔFddecが許容乖離量ΔFddeca以下になるよう制限され、要求駆動力が増大する際には乖離量ΔFdincが許容乖離量ΔFdinca以下になるよう制限される。
従って、第二の実施形態においても、要求駆動力が増大から減少へ変化した後にノッチフィルタ24のフィルタ処理によって不適切な指令駆動力Fdfilが出力されても、指令駆動力は補正後の要求駆動力Fdfilaになるよう制限される。よって、第一の実施形態の場合と同様に、要求駆動力Fdreqが減少する過程において、要求駆動力に対する指令駆動力の乖離の程度が過大になることを防止することができる。
また、第二の実施形態によれば、要求駆動力が減少から増大へ変化した後にノッチフィルタ24のフィルタ処理によって不適切な指令駆動力Fdfilが出力されても、指令駆動力は補正後の要求駆動力Fdfilaになるよう制限される。よって、第一の修正例の場合と同様に、要求駆動力Fdreqが増大する過程においても、要求駆動力に対する指令駆動力の乖離の程度が過大になることを防止することができる。
一般に、指令駆動力Fdfilの乖離量の大きさは、要求駆動力Fdreqが減少し始める状況においては小さく、要求駆動力の減少率の大きさが大きくなるにつれて大きくなる。よって、許容乖離値ΔFddecaが一定である場合には、要求駆動力が減少し始める状況においては、指令駆動力は許容乖離量に基づく制限を受けないが、要求駆動力が減少する過程において指令駆動力は許容乖離量に基づく制限を受けるようになる。そして、許容乖離量に基づく制限の度合は、要求駆動力の減少率の大きさが大きくなるにつれて大きくなる。
特に、第二の実施形態においては、許容乖離量ΔFddecaは、ステップ210において、要求駆動力の減少率の大きさが大きいほど大きくなるよう、要求駆動力の減少率の大きさに基づいて演算される。よって、運転者の要求駆動力Fdreqの減少率の大きさが大きいほど、許容乖離量に基づく指令駆動力の制限が緩和される。従って、許容乖離量ΔFddecaが一定である場合に比して、運転者の要求駆動力の減少率の大きさが増大する過程において、指令駆動力の減少率の大きさが急激に増大する虞れ及びこれに起因して運転者が違和感を覚える虞れを低減することができる。なお、これと同様の作用効果は、運転者の要求駆動力が増大する場合にも得られる。
[第三の実施形態]
図12及び図13は、本発明による車両の車体振動制御装置の第三の実施形態において、それぞれ運転者の要求駆動力が減少する際及び増大する際に実行される指令駆動力の制限のルーチンを示すフローチャートである。
なお、この第三の実施形態においては、制限値は、運転者の要求駆動力Fdreqに対する指令駆動力Fdfilの比である乖離の比を許容の比以下に制限するための制限値である。そして、乖離の比が許容の比よりも大きいときには、乖離の比が許容の非になるように指令駆動力の大きさが制限される。
図12に示されたフローチャートのステップ410においては、要求駆動力Fdreqが減少する際の許容の比PFddeca(正の値)が演算される。この場合、許容の比PFddecaは、要求駆動力の大きさが小さいほど大きくなるよう、要求駆動力の大きさに基づいて演算される。
ステップ420においては、要求駆動力Fdreqに対する指令駆動力Fdfilの比Fdfil/Fdreqが求められることにより、要求駆動力に対する指令駆動力の乖離の比PFddecが演算される。
ステップ430においては、乖離の比PFddecが許容の比PFddecaよりも大きいか否かの判別が行われる。そして、否定判別が行われたときには制御はステップ450へ進み、肯定判別が行われたときには、ステップ440において、要求駆動力Fdreqと許容の比PFddecaとの積Fdreq・PFddecaが補正後の要求駆動力(指令駆動力)Fdfilaとされる。
ステップ450においては、要求駆動力の減少が終了したか否かの判別が行われる。そして、否定判別が行われたときには、制御はステップ410へ戻り、肯定判別が行われたときには、制御が終了する。
図13に示されたフローチャートのステップ510においては、要求駆動力Fdreqが増大する際の許容の比PFdinca(正の値)が演算される。この場合、許容の比PFdincaも、要求駆動力の大きさが小さいほど大きくなるよう、要求駆動力の大きさに基づいて演算される。
ステップ520においては、指令駆動力Fdfilに対する要求駆動力Fdreqの比Fdreq/Fdfilが求められることにより、指令駆動力に対する要求駆動力の乖離の比PFdincが演算される。
ステップ530においては、乖離の比PFdincが許容の比PFdincaよりも小さいか否かの判別が行われる。そして、否定判別が行われたときには制御はステップ550へ進み、肯定判別が行われたときには、ステップ540において、要求駆動力Fdreqを許容の比PFdincaにて除算した値が補正後の要求駆動力(指令駆動力)Fdfilaとされる。
ステップ550においては、要求駆動力の増大が終了したか否かの判別が行われる。そして、否定判別が行われたときには、制御はステップ510へ戻り、肯定判別が行われたときには、制御が終了する。
図14は、第三の実施形態による指令駆動力の制限の一例を示すグラフである。なお、図14において、破線は、要求駆動力が減少する際に乖離の比PFddecが許容の比PFddeca以下になるよう指令駆動力を制限するための上限制限値の線を示している。また、一点鎖線は、要求駆動力が増大する際に乖離の比PFdincが許容の比PFdinca以上になるよう指令駆動力を制限するための下限制限値の線を示している。図14に示されている如く、指令駆動力は、要求駆動力が減少する際には乖離の比PFddecが許容の比PFddeca以下になるよう制限され、要求駆動力が増大する際には乖離の比PFdincが許容の比PFdinca以上になるよう制限される。
従って、第三の実施形態においても、要求駆動力が増大から減少へ変化した後又は減少から増大へ変化した後に、ノッチフィルタ24のフィルタ処理によって不適切な指令駆動力Fdfilが出力されても、指令駆動力は補正後の要求駆動力Fdfilaになるよう制限される。よって、第一の実施形態の場合と同様に、要求駆動力Fdreqが減少する過程及び増大する過程の何れにおいても、要求駆動力に対する指令駆動力の乖離の程度が過大になることを防止することができる。
一般に、指令駆動力Fdfilの乖離の比が許容の比率PFddeca以下に制限される場合には、運転者の要求駆動力Fdreqに対する指令駆動力の乖離の許容量は、要求駆動力が減少し小さくなるにつれて小さくなる。よって、許容の比PFddecaが一定である場合には、要求駆動力が減少し始める状況においては、指令駆動力は上限制限値に基づく制限を受けないが、要求駆動力が減少する過程において指令駆動力は上限制限値に基づく制限を受けるようになる。そして、許容の比に基づく制限の度合は、要求駆動力が減少するにつれて大きくなる。なお、要求駆動力が増大する場合には、許容の比に基づく制限の度合は、要求駆動力が増大するにつれて小さくなる。
特に、第三の実施形態においては、許容の比PFddecaは、ステップ410において、要求駆動力の大きさが小さいほど大きくなるよう、要求駆動力の大きさに基づいて演算される。よって、運転者の要求駆動力の大きさが小さいほど、許容の比に基づく指令駆動力の制限が緩和される。従って、第二の実施形態の場合と同様に、運転者の要求駆動力が減少する過程において、指令駆動力の減少率が急激に増大する虞れ及びこれに起因して運転者が違和感を覚える虞れを低減することができる。なお、これと同様の作用効果は、運転者の要求駆動力が増大する場合にも得られる。
以上においては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば、上述の第一の実施形態及び第一の修正例においては、許容減少率RFddecaは、要求駆動力が増大から減少へ変化したときの要求駆動力Fdreq0の大きさが大きいほど大きくなるよう、可変設定される。同様に、第一の修正例においては、許容増大率RFdincaは、要求駆動力が減少から増大少へ変化したときの要求駆動力Fdreq0の大きさが大きいほど許容増大率RFdincaの大きさが大きくなるよう、可変設定される。しかし、許容減少率RFddecaや許容増大率RFdincaは一定の値であってもよい。
また、上述の第二の実施形態においては、許容乖離量ΔFddecaは、要求駆動力の減少率が高いほど大きくなるよう、可変設定され、許容乖離量値ΔFdincaは、要求駆動力の増大率が高いほど大きくなるよう、可変設定される。しかし、許容乖離量ΔFddecaやΔFdincaも一定の値であってもよい。
また、上述の第三の実施形態においては、許容の比PFddeca及びPFdincaは、要求駆動力の大きさが小さいほど大きくなるよう、可変設定される。しかし、これらの許容の比も一定の値であってもよい。
また、上述の第二の実施形態においては、要求駆動力Fdreqが増大する際に、許容乖離量ΔFdincaによって指令駆動力が制限される。また、第三の実施形態においては、要求駆動力Fdreqが増大する際の許容の比PFdincaによって指令駆動力が制限される。しかし、これらの実施形態に於いて、要求駆動力Fdreqが増大する際における指令駆動力の制限が省略されてもよい。
また、上述の各実施形態においては、運転者の要求駆動力はアクセル開度に基づいて推定されるようになっているが、運転者の要求駆動力は車速及びアクセル開度に基づいて図15に示されたマップより演算されるよう修正されてもよい。なお、図15において、高開度及び低開度とはそれぞれアクセル開度が大きいこと及びアクセル開度が小さいことを意味している。
また、上述の各実施形態においては、駆動装置16は、エンジン及びトランスミッションの組合せであり、指令駆動力等に基づいて演算される目標スロットル開度及び目標減速比を示す信号が駆動装置16へ出力されるようになっている。しかし、本発明の車体振動制御装置がハイブリッドシステム搭載車に適用される場合には、指令駆動力等に基づいてエンジン及び電動発電機の出力が制御されてよい。また、本発明の車体振動制御装置が電気自動車に適用される場合には、指令駆動力等に基づいて電動発電機の出力が制御されてよい。
特に、本発明の車体振動制御装置がハイブリッドシステム搭載車や電気自動車に適用される場合には、電動発電機のトルクは回転数の増大と共に低下するので、ノッチ度は車速が高いほど小さくなるよう設定されてよい。
また、上述の各実施形態においては、車両は後輪駆動車であるが、本発明の車体振動制御装置は前輪駆動車四輪駆動車に適用されてもよい。