JP2015105041A - 車両の車体振動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】運転者の駆動要求を満たしつつ車体振動を効果的に抑制すること。【解決手段】運転者の要求駆動力演算装置20と、車両12に駆動力を付与する駆動装置16と、指令駆動力に基づいて駆動装置を制御する駆動力制御装置22と、要求駆動力を示す信号を受信し、車体の振動の周波数成分が低減されるよう要求駆動力を示す信号を処理し、処理後の信号を駆動力制御装置へ指令駆動力を示す信号として出力するノッチフィルタ24とを有する車両の車体振動制御装置10であって、運転者の要求駆動力が増加しているか否かに基づいてノッチフィルタのノッチ度を可変設定するノッチフィルタ制御装置26を有する。【選択図】図1
Description
本発明は、自動車等の車両の車体振動制御装置に係り、更に詳細には車両の駆動力の変動に起因する車体の振動を抑制する車体振動制御装置に係る。
自動車等の車両はエンジンの如き駆動装置が発生する駆動力により走行する。駆動装置が発生する駆動力が変動すると、車体は車輪に対し相対的に車両前後方向及び上下方向の荷重を受けるため、車体のピッチング振動が発生する。よって、駆動装置に対する指令駆動力を適宜に制御することにより、車体のピッチング振動を低減することが既に提案されている。
例えば、本願出願人と同一の出願人の出願にかかる下記の特許文献1には、上記思想に基づく車体振動制御装置が記載されている。この車体振動制御装置は、運転者の要求駆動力を演算する要求駆動力演算装置と、車両に駆動力を付与する駆動装置と、指令駆動力に基づいて駆動装置を制御する駆動力制御装置と、要求駆動力演算装置より要求駆動力を示す信号を受信し、ノッチ周波数が車体の振動の周波数成分を低減するための値に設定されたノッチフィルタであって、上記信号をフィルタ処理し、処理後の信号を前記駆動力制御装置へ指令駆動力を示す信号として出力するノッチフィルタとを有している。
この種の車体振動制御装置によれば、運転者の要求駆動力を示す信号がノッチフィルタにて処理され、車体の振動の周波数成分が低減された指令駆動力にて駆動装置が制御されるので、車体のピッチング振動を低減することができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
ノッチフィルタが車体の振動を抑制する効果は、フィルタのノッチ度、すなわちノッチ周波数の成分を低減する度合によって異なる。ノッチ度が高い値に設定されると、車体の振動抑制効果は高くなるが、駆動装置へ出力される指令駆動力の変化が低減され、要求駆動力に対する指令駆動力の遅れが大きくなる。そのため、ノッチフィルタのノッチ度は、できるだけ振動抑制効果を高くしつつ、要求駆動力に対する実際の駆動力の遅れが過大にならないよう、予め一定の値に設定される。
ノッチフィルタが車体の振動を抑制する効果は、フィルタのノッチ度、すなわちノッチ周波数の成分を低減する度合によって異なる。ノッチ度が高い値に設定されると、車体の振動抑制効果は高くなるが、駆動装置へ出力される指令駆動力の変化が低減され、要求駆動力に対する指令駆動力の遅れが大きくなる。そのため、ノッチフィルタのノッチ度は、できるだけ振動抑制効果を高くしつつ、要求駆動力に対する実際の駆動力の遅れが過大にならないよう、予め一定の値に設定される。
しかし、運転者の要求駆動力が同一であっても、要求駆動力が増加しているか減少しているかによって、換言すれば運転者の要求が加速であるか減速であるかによって、ノッチフィルタのノッチ度の最適値が異なる。
すなわち、駆動装置には応答遅れがあるため、運転者の要求が加速であるときには、実際の駆動力の増大変化は運転者の駆動力の増大操作よりも遅れ、その遅れは要求駆動力の変化率が高いほど大きい。これに対し、運転者の要求が減速であるときには、エンジンブレーキや車両の走行抵抗は運転者による駆動力の低減操作とほぼ同時作用するので、運転者による駆動力の低減操作に対する実際の駆動力の減少変化の遅れは小さい。よって、ノッチフィルタのノッチ度は、運転者の要求駆動力が増加しているか否かによって異なる値に設定されることが好ましい。一般に、高車速域では、要求駆動力が増加しているときのノッチ度は、要求駆動力が減少しているときのノッチ度よりも小さいことが好ましい。逆に、低車速域では、要求駆動力が増加しているときのノッチ度は、要求駆動力が減少しているときのノッチ度よりも大きいことが好ましい。
なお、上記特許文献1に記載された車体振動制御装置においては、できるだけ運転者の駆動要求を満たしつつ、できるだけ車体の振動が低減されるよう、ノッチ周波数は、車速、エンジン回転数、減速比などに応じて可変設定される。しかし、車速などに応じてノッチ周波数を可変設定することによってはノッチ度を最適化することはできない。
本発明は、運転者の要求駆動力を示す信号をノッチフィルタにて処理し、車体の振動の周波数成分が低減された指令駆動力にて駆動装置を制御する従来の車体振動制御装置における上述の如き問題に鑑みてなされたものである。そして本発明の主要な課題は、運転者の要求駆動力が増加しているか否かに応じてノッチ度を異なる値に設定し、これにより運転者の要求が加速及び減速の何れの場合にも、できるだけ運転者の駆動要求を満たしつつ車体振動をできるだけ効果的に抑制することである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
上述の主要な課題は、本発明によれば、運転者の要求駆動力を演算する要求駆動力演算装置と、車両に駆動力を付与する駆動装置と、指令駆動力に基づいて前記駆動装置を制御する駆動力制御装置と、前記要求駆動力演算装置より要求駆動力を示す信号を受信し、ノッチ周波数が車体の振動の周波数成分を低減するための値に設定されたノッチフィルタであって、前記信号をフィルタ処理し、処理後の信号を前記駆動力制御装置へ指令駆動力を示す信号として出力するノッチフィルタとを有する車両の車体振動制御装置において、前記車体振動制御装置は、運転者の要求駆動力が増加しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて前記ノッチフィルタのノッチ度を可変設定するノッチフィルタ制御装置を有することを特徴とする車両の車体振動制御装置によって達成される。
上述の主要な課題は、本発明によれば、運転者の要求駆動力を演算する要求駆動力演算装置と、車両に駆動力を付与する駆動装置と、指令駆動力に基づいて前記駆動装置を制御する駆動力制御装置と、前記要求駆動力演算装置より要求駆動力を示す信号を受信し、ノッチ周波数が車体の振動の周波数成分を低減するための値に設定されたノッチフィルタであって、前記信号をフィルタ処理し、処理後の信号を前記駆動力制御装置へ指令駆動力を示す信号として出力するノッチフィルタとを有する車両の車体振動制御装置において、前記車体振動制御装置は、運転者の要求駆動力が増加しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて前記ノッチフィルタのノッチ度を可変設定するノッチフィルタ制御装置を有することを特徴とする車両の車体振動制御装置によって達成される。
上記の構成によれば、ノッチ周波数が車体の振動の周波数成分を低減するための値に設定されたノッチフィルタにて要求駆動力を示す信号が処理され、処理後の信号が駆動力制御装置へ指令駆動力を示す信号として出力される。そして、ノッチフィルタ制御装置により、運転者の要求駆動力が増加しているか否かが判定され、その判定結果に基づいてノッチフィルタのノッチ度が可変設定される。
よって、運転者の要求駆動力が増加しているか否かに応じて、ノッチフィルタのノッチ度を最適な値に設定することができる。従って、ノッチフィルタのノッチ度が一定の値である場合に比して、運転者の要求が加速である場合及び減速である場合の何れについても、ノッチ度の過不足なく運転者の要求駆動力を示す信号をノッチフィルタにて処理することができる。換言すれば、ノッチ度が低過ぎることに起因して車体の振動抑制効果が不足したり、逆に車体の振動抑制効果が過大になって、要求駆動力に対する実際の駆動力の遅れが過大になったりする虞れを低減することができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、前記ノッチフィルタ制御装置は、運転者の要求駆動力が増加も減少もしていないと判定したときには、前記ノッチフィルタのノッチ度を、運転者の要求駆動力が増加していると判定したときのノッチ度及び運転者の要求駆動力が減少していると判定したときのノッチ度の何れか一方と同一の値に設定するようになっていてよい。
一般に、運転者の要求駆動力が増加も減少もしていないときには、車両の駆動力は実質的に変化しないので、車両の駆動力の変動により車体が加振されることはなく、要求駆動力を示す信号がノッチフィルタによって処理される必要もない。よって、運転者の要求駆動力が増加も減少もしていないときには、ノッチフィルタのノッチ度は任意の値であってよい。従って、ノッチ度は、運転者の要求駆動力が増加も減少していないと判定されたときには、要求駆動力がしている場合の適値及び要求駆動力が減少している場合の適値の何れであってもよい。
上記の構成によれば、運転者の要求駆動力が増加も減少もしていないと判定されたときには、ノッチフィルタのノッチ度は、運転者の要求駆動力が増加していると判定したときのノッチ度及び運転者の要求駆動力が減少していると判定したときのノッチ度の何れか一方と同一の値に設定される。従って、要求駆動力が増加も減少もしていないときには、要求駆動力が増加している場合の適値及び要求駆動力が減少している場合の適値の何れとも異なる値に設定される場合に比して、ノッチ度の制御を単純化することができる。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明による車両の車体振動制御装置10の一つの実施形態を示すブロック図である。図1において、車体振動制御装置10は、車両12に搭載されており、車体(VB)14と、駆動輪に駆動トルクを付与することにより車両12に駆動力を付与する駆動装置(DU)16と、駆動装置16を制御する電子制御装置(ECU)18とを含んでいる。なお、図示の実施形態に於いては、駆動装置16は、エンジン及びトランスミッション(自動変速機、無段変速機又はデュアルクラッチトランスミッション)の組合せであるが、ハイブリッドシステム、電動機の如き他の駆動装置であってもよい。また、電子制御装置18は、例えばマイクロコンピュータの如く演算機能及び記憶機能を備えた任意の電子制御装置であってよい。
電子制御装置18は、運転者の要求駆動力を演算する要求駆動力演算ブロック(PC)20と、駆動力を制御するための信号を駆動装置16へ出力する駆動力制御ブロック(DC)22とを含んでいる。要求駆動力演算ブロック20には、運転者の操縦操作量であるアクセル開度及び操舵角を示す信号が入力され、車両の運転状態を示すパラメータである車速及びトランスミッションの減速比を示す信号が入力される。要求駆動力演算ブロック20は、アクセル開度、操舵角、車速、変速比、或いはそれらに加えて他の任意の駆動力演算用入力パラメータに基づいて運転者の要求駆動力を演算する。
運転者の要求駆動力を示す信号は、ノッチフィルタ(NF)24に入力される。ノッチフィルタ24は、要求駆動力を示す信号に含まれる周波数成分のうち、ノッチ周波数の成分の伝送を抑制または遮断することにより、ノッチ周波数の成分を低減する。この場合、ノッチ周波数は基本的には車体の共振周波数に設定される。ノッチフィルタ24によって処理されることにより補正された要求駆動力(指令駆動力)を示す信号は、駆動力制御ブロック22に入力される。
駆動力制御ブロック22は、電子式燃料噴射装置(EFI)用制御部22A及び電子式トランスミッション(ECT)用制御部22Bを含んでいる。そして、駆動力制御ブロック22は、指令駆動力、車速、エンジン回転数、減速比等のパラメータに基づいて、目標スロットル開度及び目標減速比を決定し、それらを示す信号を駆動装置16へ出力する。
駆動装置16は、エンジンが目標スロットル開度に基づいて制御され、またトランスミッションが目標減速比に基づいて制御されることにより、車体14を含む車両12に指令駆動力に対応する駆動力を付与する。車両12に駆動力が付与され駆動力が変動すると、車両の車体14が振動する。特に、車体のピッチング振動やローリング振動の如き振動は、サスペンションストローク、ピッチ角、ロール角の変化となって現れる。
駆動装置16により車両12に与えられる駆動力を示す信号及び駆動力の変動によって車体14に発生したサスペンションストローク、ピッチ角、ロール角の変化を示す信号は、ノッチフィルタ制御ブロック(FC)26に入力される。ノッチフィルタ制御ブロック26には、車速及びアクセル開度を示す信号も入力される。ノッチフィルタ制御ブロック26は、ノッチフィルタ24のノッチ周波数を可変に制御する。詳細には、ノッチフィルタ制御ブロック26は、車体14の振動、特にそのピッチング振動やローリング振動との対応関係に基づいて、指令駆動力の周波数に対する車体のピッチング振動やローリング振動の振幅の分布を求める。そして、ノッチフィルタ制御ブロック26は、車体のピッチング振動やローリング振動の振幅を最大限に抑制するようにノッチ周波数を制御する。
例えば、ノッチフィルタ制御ブロック26は、車両の種々の運転状態について車両に与えられる駆動力に対する車体の応答運動をフーリエ変換の手法により周波数解析する。そして、ノッチフィルタ制御ブロック26は、指令駆動力の周波数に対する車体のピッチング振動やローリング振動の振幅の分布を算出し、それらの振幅を最大限に抑制するようにノッチ周波数を制御する。
この場合、ノッチフィルタ制御ブロック26に入力される車体のピッチングやローリングを示す信号は、図1において破線のブロック28にて示されている如きローパスフィルタによりローパスフィルタ処理されてよい。ローパスフィルタ処理が行われれば、アクセル開度や操舵角の如き操縦操作量の変化に伴って共振により発生し易い1〜2Hz程度の比較的低い周波数の車体振動を効率的に抽出し、これによりノッチ周波数をより的確に制御することができる。
なお、ノッチフィルタ24のノッチ周波数の制御自体は、本発明の要旨ではないので、車体のピッチング振動やローリング振動が効果的に低減されるよう、例えば車体の共振周波数に対応する値に演算される限り、任意の要領にて演算されてよい。例えば、他の制御要領として、本願出願人の出願にかかる特開2007−237879号公報の段落[0036]〜[0038]に記載された要領がある。
ノッチフィルタ24は、ノッチフィルタ制御ブロック26によりそのノッチ周波数が制御されると共に、そのノッチ度、すなわちノッチ周波数の成分の減衰度合が運転者の要求駆動力の増減、従って運転者の要求が加速であるか減速であるかに応じて制御される。この場合、ノッチ度が大きいほど、ノッチ周波数の成分がより大きく減衰され、より小さい値になる。なお、運転者の要求駆動力の増減は、アクセル開度が増加しているか否かに基づいて判定されてよい。
図2は、ノッチフィルタ制御ブロック26によるノッチ度の制御のルーチンを示すフローチャートである。なお、図2に示されたフローチャートによる制御は、図には示されていないイグニッションスイッチがオンに切り替えられことにより開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
ステップ10においては、今回のアクセル開度が前回のアクセル開度未満であるか否かの判別、すなわち運転者の要求駆動力が減少しているか否かの判別が行われる。そして、肯定判別が行われたときにはステップ30へ進み、否定判別が行われたときにはステップ20へ進む。なお、この判定に供されるアクセル開度は、アクセル開度を検出する装置により検出され、ローパスフィルタ処理された値であってよい。
ステップ20においては、運転者の要求が加速(定速を含む)であると判定されると共に、ノッチフィルタ24のノッチ度Nが加速のノッチ度Naccに設定される。
ステップ30においては、運転者の要求が減速であると判定されると共に、ノッチフィルタ24のノッチ度Nが減速のノッチ度Ndecに設定される。なお、ノッチ度Nacc及びNdecの大小関係は車両の仕様や走行状態によって異なるが、図3に示されている如く、一般的には加速のノッチ度Naccは減速のノッチ度Ndecよりも小さい。なお、図3はノッチフィルタ24の周波数特性を示しており、Fnはノッチ周波数である。図3より解る如く、ノッチ度Nは周波数特性におけるV字形切欠きの深さであり、ノッチ度が高いほどノッチ周波数における運転者の要求駆動力の減衰度合が高くなる。
また、ノッチ度が高くなると、車体の振動を抑制する効果が増大するが、駆動力に関する運転者の要求が満たされなくなる虞れがある。しかし、車速が高いほど、エンジン回転数が高いほど、変速比が高いほど、ノッチフィルタ24による駆動力の補正が車両の駆動状態の変化に及ぼす影響は小さくなる。よって、ノッチフィルタ24のノッチ度は、車速が高いほど、エンジン回転数が高いほど、変速比が高いほど、高くなるように、車速、エンジン回転数、変速比の少なくとも一つに応じて制御されるようになっていてよい。
例えば、下記の表1は、運転者の要求が加速であるか減速であるかに加えて、車速に応じて制御される場合のノッチ度を示している。表1において、ノッチ度の値は、加速の場合には減速の場合に比して小さく、また車速が高いほど大きい。なお、表1における〜により示される各範囲は、それぞれ下限値を含む。
また、アクセル開度が高いほど、運転者の駆動要求が高くなると考えられる。よって、ノッチフィルタ24のノッチ度は、アクセル開度が高いほど、低くなるように、アクセル開度に応じて制御されるようになっていてよい。
例えば、下記の表2は、運転者の要求が加速であるか減速であるかに加えて、車速及びアクセル開度に応じて制御される場合のノッチ度を示している。表2において、ノッチ度の値は、加速の場合には減速の場合に比して小さく、車速が高いほど大きく、アクセル開度が高いほど小さい。なお、表2における〜により示される各範囲は、それぞれ下限値を含み、アクセル開度の単位は%である。
なお、以上の説明より解る如く、要求駆動力演算ブロック20、駆動力制御ブロック22、ノッチフィルタ制御ブロック26は、それぞれ本発明の要求駆動力演算装置、駆動力制御装置、ノッチフィルタ制御装置として機能する。また、これらのブロック及びノッチフィルタ24の機能は、電子制御装置18による制御により達成される。例えば、各機能は、電子制御装置18を構成するマイクロコンピュータの如き演算制御装置により制御プログラムに従って達成される。
上述の実施形態によれば、ノッチフィルタ制御ブロック26によりアクセル開度の変化に基づいて運転者の要求が減速であるか否かの判別が行われる。そして、運転者の要求が加速(定速を含む)であると判定されると、ノッチフィルタ24のノッチ度Nが加速のノッチ度Naccに設定され、運転者の要求が減速であると判定されると共に、ノッチフィルタ24のノッチ度Nが減速のノッチ度Ndecに設定される。
よって、運転者の要求駆動力が増加しているか減少しているかに応じて、ノッチフィルタのノッチ度をそれぞれに適した値に可変設定することができる。従って、ノッチフィルタのノッチ度が一定の値である従来の車体振動制御装置の場合に比して、運転者の要求が加速である場合及び減速である場合の何れについても、ノッチ度の過不足なく運転者の要求駆動力を示す信号をノッチフィルタにて処理することができる。
換言すれば、ノッチ度が低過ぎることに起因して車体の振動抑制効果が不足したり、逆に車体の振動抑制効果が過大になって、要求駆動力に対する実際の駆動力の遅れが過大になったりする虞れを低減することができる。従って、運転者の要求駆動力が増加している場合及び減少している場合の何れについても、運転者の駆動力要求をできるだけ満たしつつできるだけ高い振動抑制効果が得られるよう、車両の駆動力を制御することができる。
特に、上述の実施形態は後輪駆動車に適用されているので、運転者の駆動力要求をできるだけ満たしつつ、要求駆動力が増加する際のノーズリフトをできるだけ効果的に低減し、要求駆動力が減少する際のノーズダイブをできるだけ効果的に低減することができる。
また、上述の実施形態によれば、運転者の要求が減速であるか否かの判別が行われ、運転者の要求が減速ではないと判定されると、ノッチフィルタ24のノッチ度Nが加速のノッチ度Naccに設定されるようになっている。
よって、要求駆動力が減少していないと判定されると、要求駆動力が増加しているか否かが判別され、要求駆動力が増減していないときには、要求駆動力の増加時及び減少時の値とは異なる値に設定される場合に比して、ノッチ度の制御を単純化することができる。
以上においては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば、上述の実施形態においては、減速のノッチ度Ndecは加速のノッチ度Naccよりも大きい値に設定されるようになっている。しかし、加速のノッチ度Nacc及び減速のノッチ度Ndecの大小関係は、車両の仕様や走行状態によって異なるので、本発明の車体振動制御装置が適用される車両の仕様や走行状態によって適宜に設定されてよい。
また、上述の実施形態においては、ステップ10において、今回のアクセル開度が前回のアクセル開度未満であるか否かの判別が行われるようになっている。しかし、例えば前回のアクセル開度が今回のアクセル開度未満であるか否かの判別、すなわち運転者の要求駆動力が増大しているか否かの判別が行われるよう修正されてもよい。その場合には、肯定判別が行われたときに制御はステップ20へ進み、否定判別が行われたときに制御はステップ30へ進む。
また、上述の実施形態においては、運転者の要求駆動力が増大も減少もしていないと判定されたときには、ノッチ度は加速のノッチ度Naccに設定されるようになっている。しかし、運転者の要求駆動力が増大も減少もしていないと判定されたときには、ノッチ度が減速のノッチ度Ndecに設定されるよう修正されてもよい。
また、上述の実施形態においては、運転者の要求駆動力はアクセル開度に基づいて推定されるようになっているが、運転者の要求駆動力は車速及びアクセル開度に基づいて図4に示されたマップより演算されるよう修正されてもよい。なお、図4において、高開度及び低開度とはそれぞれアクセル開度が大きいこと及びアクセル開度が小さいことを意味している。
また、上述の実施形態においては、駆動装置16は、エンジン及びトランスミッションの組合せであり、指令駆動力等に基づいて演算される目標スロットル開度及び目標減速比を示す信号が駆動装置16へ出力されるようになっている。しかし、本発明の車体振動制御装置がハイブリッドシステム搭載車に適用される場合には、指令駆動力等に基づいてエンジン及び電動発電機の出力が制御されてよい。また、本発明の車体振動制御装置が電気自動車に適用される場合には、指令駆動力等に基づいて電動発電機の出力が制御されてよい。
特に、本発明の車体振動制御装置がハイブリッドシステム搭載車や電気自動車に適用される場合には、電動発電機のトルクは回転数の増大と共に低下するので、上記表2及び表3に示されたノッチ度は、車速が高いほど小さくなるよう設定されてよい。
また、上述の実施形態においては、車両は後輪駆動車であるが、本発明の車体振動制御装置は前輪駆動車四輪駆動車に適用されてもよい。
10…車体振動制御装置、12…車両、14…車体、16…駆動装置、18…電子制御装置、20…要求駆動力演算ブロック、22…駆動力制御ブロック、24…ノッチフィルタ、26…ノッチフィルタ制御ブロック、28…ローパスフィルタ
Claims (2)
- 運転者の要求駆動力を演算する要求駆動力演算装置と、車両に駆動力を付与する駆動装置と、指令駆動力に基づいて前記駆動装置を制御する駆動力制御装置と、前記要求駆動力演算装置より要求駆動力を示す信号を受信し、ノッチ周波数が車体の振動の周波数成分を低減するための値に設定されたノッチフィルタであって、前記信号をフィルタ処理し、処理後の信号を前記駆動力制御装置へ指令駆動力を示す信号として出力するノッチフィルタとを有する車両の車体振動制御装置において、
前記車体振動制御装置は、運転者の要求駆動力が増加しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて前記ノッチフィルタのノッチ度を可変設定するノッチフィルタ制御装置を有する
ことを特徴とする車両の車体振動制御装置。 - 請求項1に記載の車両の車体振動制御装置において、前記ノッチフィルタ制御装置は、運転者の要求駆動力が増加も減少もしていないと判定したときには、前記ノッチフィルタのノッチ度を、運転者の要求駆動力が増加していると判定したときのノッチ度及び運転者の要求駆動力が減少していると判定したときのノッチ度の何れか一方と同一の値に設定することを特徴とする車両の車体振動制御装置。
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