JP6255359B2 - インサート金具 - Google Patents
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Description
しかしながら、従来のインサート金具は、釘を用いてデッキプレートに固定する構造であるため、釘を均等に打ち付けないと、デッキプレートとの間に隙間ができ、コンクリートの打設時にその隙間から侵入した未硬化のコンクリート(ノロ)がネジ穴を塞いでしまうという不具合が生じていた。また、デッキプレートにネジ穴と連通させるための開口部を設けなければならず、作業効率が悪いという課題があった。
特許文献1に開示された考案は、雌ネジが形成された棒状の金属部と、この金属部の下方外周部に鍔状に形成された樹脂部とからなり、接着剤の塗布や両面接着テープの貼付などにより樹脂部の下面に接着層が形成されたことを特徴とする。
このような構造のインサート金具においては、デッキプレートに対して樹脂部の下面全体を均等に貼り付けることができるため、デッキプレートへの設置作業が容易であり、また、デッキプレートとの間に隙間が生じ難い。
特許文献2に開示されたインサート用ケーブル支持具は、平面上に載置可能であってケーブル等を吊り下げるための吊り下げ具が取り付けられた第1インサート部の上部へ逆アンカー状の第2のインサートが設置された構造となっている。そして、明細書には、その実施例として、第1インサート部をデッキプレートの上面へ接着テープ又は粘着テープにより定着させることが記載されている。
このような構造によれば、第1インサート部がコンクリートの打設時にも安定しており、動いて支障をきたすことがない。
なお、上述の構造において、「第2のフランジが円筒体の他端近傍の側面に設けられる」とは、「第2のフランジが円筒体の側面に設けられる」場合だけでなく、「第2のフランジが円筒体の端面に設けられる」場合も含まれることを意味している。
さらに、キャップを被せることによってブロック状磁石の磁力が吸着面に集中するという作用を有する。また、コンクリートスラブを施工した後にデッキプレートを取り外す際、ブロック状磁石がキャップに取り付けられた状態で回収されるため、回収時や接着剤の除去作業時に破損するおそれがない。
このような構造のインサート金具においては、請求項1に記載の発明の作用に加え、突起部がキャップの端面に係止することで、接着剤等を用いることなく、ブロック状磁石が保持されるという作用を有する。また、コンクリートスラブを施工した後、デッキプレートを取り外す際に、その上面に吸着しているブロック状磁石が下方に引っ張られることで、側壁が弾性変形してキャップの端面に係止していた突起部が外れ、ブロック状磁石がキャップと一緒にデッキプレートに吸着した状態で回収されるという作用を有する。
さらに、ブロック状磁石のデッキプレートに対する吸着力が強まるため、型枠内に流し込まれた未硬化のコンクリートに接触した場合でも、その位置がずれないように確実に固定できるという効果を奏する。また、ブロック状磁石を破損させることなく回収して、効率良く再利用することができる。
以下の説明では、インサート金具がネジ穴を有する金属製の円筒体が合成樹脂製の円筒体に内挿された構造を想定しているが、少なくともネジ穴の部分が金属製であれば良いため、例えば、全体を金属製とすることもできる。したがって、一端にフランジを有する金属製及び合成樹脂製の円筒体からなる構造は、円筒体の材質を特に区別することなく、両端にそれぞれフランジを有する円筒体と捉えることができる。そして、この場合にも以下に示す本発明の作用及び効果は同様に発揮される。
図1(a)は本実施例のインサート金具1aの外観斜視図であり、図1(b)は図1(a)においてインサート金具1aを矢印Aで示す方向に見た場合の図である。また、図1(c)は図1(a)におけるインサート金具1aのB−B線矢視断面図である。そして、図2及び図3はインサート金具1aの使用方法を説明するための図であり、これらの図におけるインサート金具1aの断面図は図1(c)に示したものと同じである。なお、図2及び図3では、コンクリートスラブについて、断面であることを示すハッチングを省略している。
接着層9は、エポキシ系の接着剤や粘着剤等の塗布や両面接着テープの貼付などによって形成される。また、シート状磁石6は、フェライト磁石やネオジム磁石の粉末が練り込まれたゴムがローラで薄く延ばされた後、電磁コイル等を用いて着磁されることにより製造される。なお、本実施例では、シート状磁石6の厚さを約1.5mmとし、開口部6aとフランジ5及び接着層9と併せた場合の厚さを約5mmとしている。
まず、図2(a)に示すように、インサート金具1aをデッキプレート7の上面7aの所定の箇所にシート状磁石6を当接させるようにして設置する。次に、図2(b)に示すように、予め練り混ぜられたコンクリートをデッキプレート7によって構成される型枠内に流し込み、その中にインサート金具1aを埋没させる。そして、打設したコンクリートが固化してコンクリートスラブ8が形成された後、図2(c)に示すように、デッキプレート7を取り外す。その結果、コンクリートスラブ8の下面8aによって天井面が形成され、円筒体2のネジ穴2aは、天井面に開口するシート状磁石6の開口部6a及び円筒体3の開口部3aを通して露出した状態となる。
まず、図3(a)に示すように、断熱材14に対し、インサート金具1aを設置すべき箇所を円柱状にくり抜いて開口部14aを形成し、この断熱材14をデッキプレート7の上面7aに載置する。なお、開口部14aは、その直径がフランジ5及びシート状磁石6の直径よりも大きく、かつ、その内周面とフランジ5及びシート状磁石6の外周面との隙間ができるだけ小さくなるように形成されている。
さらに、図3(c)に示すように、フランジ4を開口部15aに通し、上面15bが断熱材14の上面14bと面一になるように、スペーサ15を開口部14aの内部に設置する。そして、予め練り混ぜられたコンクリートを断熱材14によって構成される型枠内に流し込んで固化させ、コンクリートスラブ8を形成する。
図4(a)及び図4(b)に示すように、インサート金具1bは、インサート金具1aにおいて、シート状磁石6の直径をフランジ4の直径よりも大きくして、シート状磁石6がフランジ4の周囲からはみ出すように形成されたことを特徴とする。なお、フランジ5は円筒体3の端面ではなく、側面に設けられており、円筒体3の側面の一部がシート状磁石6の開口部6aに内挿されるとともに、円筒体3の開口部3aには、コンクリートスラブ8を形成する際に「ノロ(未硬化の状態のコンクリート)」の流入を防ぐためのヒダ16が設けられている。
インサート金具1a,1bを設置するデッキプレート7は、上面7aが略水平となるように設置されているため、デッキプレート7が構成する型枠内に流し込まれた未硬化のコンクリート17は、矢印Dで示すように移動し、まず、フランジ5やシート状磁石6の側面に到達する。その結果、インサート金具1a,1bは水平方向に押され、シート状磁石6の吸着面6bをデッキプレート7の上面7aに対して水平方向へずらそうとする「せん断力」が発生する。
このとき、フランジ5やシート状磁石6が厚いと、上記側面がコンクリート17と広い範囲で接触することになるため、シート状磁石6の吸着面6bに大きなせん断力が発生する。しかしながら、インサート金具1a,1bはフランジ5やシート状磁石6が薄いため、シート状磁石6の吸着面6bには大きなせん断力は発生しない。加えて、シート状磁石6は吸着面6bが広いため、そこに発生するせん断応力も小さくなる。
これに対し、デッキプレート7が水平に設置されている場合、上面7aに沿って移動するコンクリート17は、円筒体3に到達する前に、フランジ5やシート状磁石6に到達する。なお、インサート金具1a,1bでは、フランジ5やシート状磁石6が薄いため、コンクリート17はフランジ5やシート状磁石6を容易に乗り超えることができる。そして、フランジ5やシート状磁石6を乗り超える途中のコンクリート17によって、フランジ5やシート状磁石6は上方から押さえつけられる。その結果、コンクリート17が円筒体3の側面を押すことによって発生する上述のモーメントが弱められ、シート状磁石6の吸着面6bに発生する「引張応力」は小さくなる。
すなわち、インサート金具1a,1bにおいては、シート状磁石6の磁力によってデッキプレート7の上面7aに固定され、デッキプレート7に接着剤が付着することがないため、使用後にデッキプレート7を回収した際に、接着剤の除去作業を行う必要がない。したがって、デッキプレート7を安価に効率よく再利用することができる。
図6(a)はインサート金具1cの外観斜視図であり、図6(b)は図6(a)におけるE−E線矢視断面図である。また、図6(c)はインサート金具1cの使用方法を説明するための図であり、この図におけるインサート金具1cの断面図は図6(b)に示したものと同じである。なお、図1乃至図5に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、図6(c)では、コンクリートスラブについて、断面であることを示すハッチングを省略している。
なお、回収したブロック状磁石10の上面には接着剤が付着しているため、接着剤の除去作業を行う必要がある。ただし、回収したデッキプレート7のように、広範囲にわたって点在するように接着剤が付着しているわけではないため、上記作業は極めて容易に行うことができる。
図7(a)は本実施例のインサート金具1dの縦断面図であり、図7(b)はブロック状磁石10に取り付けられるキャップ12の外観斜視図である。また、図7(c)はインサート金具1dの使用方法を説明するための図であり、この図におけるインサート金具1dの断面図は図7(a)に示したものと同じである。なお、図1乃至図6に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。さらに、図7(c)では、コンクリートスラブについて、断面であることを示すハッチングを省略している。
このような構造のインサート金具1dにおいては、キャップ12を被せることによってブロック状磁石10の磁力が吸着面10aに集中するという作用を有する。したがって、インサート金具1dによれば、ブロック状磁石10のデッキプレート7の上面7aに対する吸着力が強まるため、型枠内に流し込まれた未硬化のコンクリートに接触した場合でも、その位置がずれないように確実に固定することができる。
図8(a)は本実施例のインサート金具1eの断面図であり、図8(b)は図8(a)におけるF方向矢視図である。また、図8(c)は図8(a)におけるG部の拡大図である。なお、図8(c)では、ブロック状磁石10とキャップ12について、断面であることを示すハッチングを省略している。また、図1乃至図7に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図8(a)及び図8(b)に示すように、本実施例のインサート金具1eは、実施例3のインサート金具1dにおいて、キャップ12の上面12aが接着層9を介してフランジ5の対向面5aに貼り付けられる代わりに、キャップ12の端面12bと係止可能に、側壁11の内周面11bに突起部13が設けられたことを特徴とする。すなわち、側壁11の内周面11bには、円筒体3の軸中心3bに向かって突出するように3つの突起部13が円周方向に沿って略等間隔に設けられている。
なお、インサート金具1eでは、接着層9がないため、ブロック状磁石10とともに回収されたキャップ12の上面12aには接着剤が付着していない。すなわち、インサート金具1eによれば、ブロック状磁石10を回収した際に、接着剤の除去作業を行う必要がない。したがって、デッキプレート7を回収した際に行われる清掃作業全体の費用を安くすることができる。
1b インサート金具
1c インサート金具
1d インサート金具
1e インサート金具
2 円筒体
2a ネジ穴
3 円筒体
3a 開口部
3b 軸中心
4 フランジ
5 フランジ
5a 対向面
6 シート状磁石
6a 開口部
6b 吸着面
7 デッキプレート
7a 上面
8 コンクリートスラブ
8a 下面
9 接着層
10 ブロック状磁石
10a 吸着面
11 側壁
11a 端面
11b 内周面
12 キャップ
12a 上面
12b 端面
13 突起部
13a 上面
13b 下面
14 断熱材
14a 開口部
14b 上面
15 スペーサ
15a 開口部
15b 上面
16 ヒダ
17 コンクリート
Claims (2)
- 構造物の床等にコンクリートスラブを施工する際に型枠として用いられた後、回収して再利用される鉄製のデッキプレートに設置されるインサート金具であって、
軸方向にネジ穴が形成された円筒体と、
前記ネジ穴に直交し、一端を閉塞するように前記円筒体に設けられる第1のフランジと、
この第1のフランジと平行に前記円筒体の他端近傍の側面に設けられる第2のフランジと、
この第2のフランジの前記デッキプレートの上面に対向する面に形成される接着層と、
この接着層を介して前記第2のフランジに接着されるブロック状磁石と、
このブロック状磁石の側面を囲繞するように前記デッキプレートの上面に対向する面に立設される側壁と、を備え、
この側壁は、前記デッキプレートの上面に当接する前記ブロック状磁石の吸着面に対し、その端面が面一になるように形成され、
前記吸着面を残して他の全ての面を覆うように前記ブロック状磁石に磁性材からなるキャップが取り付けられ、
このキャップは、前記ブロック状磁石の前記吸着面を露出させた状態で、その上面が前記接着層を介して前記第2のフランジに接着されることを特徴とするインサート金具。 - 前記側壁は合成樹脂によって成形され、
前記接着層が形成される代わりに、
前記側壁の内周面に対し、前記キャップの端面と係止可能に、かつ、前記円筒体の軸中心に向かって突出するように突起部が設けられ、
この突起部が前記キャップの前記端面に係止することにより、前記ブロック状磁石が着脱可能に前記側壁の内側に保持されることを特徴とする請求項1記載のインサート金具。
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