JP6254469B2 - 土留め壁用鋼製部材および該土留め壁用鋼製部材を用いた合成構造壁 - Google Patents

土留め壁用鋼製部材および該土留め壁用鋼製部材を用いた合成構造壁 Download PDF

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本発明は、土留め壁に用いられる土留め壁用鋼製部材、及び該土留め壁用鋼製部材によって形成された鋼製土留め壁とその片側に形成される鉄筋コンクリート壁とを一体化して形成される合成構造壁に関するものである。
鋼矢板等の鋼製土留め壁を仮設山留めとして地盤を掘削し、鋼製土留め壁にずれ止め部材を設けて鉄筋コンクリート壁と一体化させる方法は、従来から行われている(例えば、特許文献1参照)。
ずれ止め部材としては、頭付きスタッドが一般的であり、この頭付きスタッドは、鋼矢板を打設して形成された鋼製土留め壁の片側の地盤を掘削後、鋼製土留め壁に現場溶接されるのが一般的である。
また、ずれ止め部材の現場作業の省力化を目的として、土留め壁を形成する鋼矢板に予め孔あき鋼板ジベルを取り付けておき、鋼矢板を地盤に打設する方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。
特開昭50-158110号公報 特開2002-13134号公報
ずれ止め部材として頭付きスタッドを用いて現場溶接する方法には以下の問題がある。
地下壁や擁壁を構築する工事現場では、作業スペースが狭い中、足場を組んで溶接作業を行うため、施工が困難であり、品質管理も難しい。また、工程が天候に左右され、工期が長くなる恐れがある。
また、鋼製土留め壁とコンクリートとの定着を、鋼矢板に予め取り付けた孔あき鋼板ジベルを用いて行う方法の場合には以下の問題がある。
孔あき鋼板ジベルは、帯状鋼板に所定の間隔で開口部を設けたものであり、開口部の面積が大きいほどずれ止め部材としての性能が高くなる。
しかしながら、孔あき鋼板ジベルを鋼製土留め壁の構造部材としてみた場合、開口部によりその断面剛性が低下するため、開口部を大きくすると断面剛性の低下が懸念される。
また、開口部により剛性が低下するため、打設時における変形の原因となるおそれがある。
このように、断面剛性の向上とコンクリートの定着を共に満たすことが難しいという問題がある。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、現場溶接作業を廃して施工性を高めるとともに、鋼製土留め壁の断面性能を高め、かつ十分なコンクリート定着性能を発揮することができる土留め壁用鋼製部材及び該土留め壁用鋼製部材を用いて形成される合成構造壁を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る土留め壁用鋼製部材は、鋼製矢板を地盤に打設した鋼製土留め壁とその片面に形成される鉄筋コンクリート壁とを一体化して形成される合成壁構造に用いる土留め壁用鋼製部材であって、
軸方向断面においてT形状部を含むと共に前記鋼製矢板の軸方向に延びる鋼製部材を、前記鋼製矢板における前記鉄筋コンクリート壁を形成する側の外面に、前記T形状部のフランジ部が所定の隙間を介して前記鋼製矢板に対向するように取り付け、かつ前記鋼製部材及び/又は前記鋼製矢板にずれ止め機能を付加してなることを特徴とするものである。
(2)また、本発明に係る土留め壁用鋼製部材は、鋼製矢板を地盤に打設した鋼製土留め壁とその片面に形成される鉄筋コンクリート壁とを一体化して形成される合成壁構造に用いる土留め壁用鋼製部材であって、
軸方向断面においてT形状部を含むと共に前記鋼製矢板の軸方向に延びる鋼製部材を、前記鋼製矢板における前記鉄筋コンクリート壁を形成する側の外面に、前記T形状部のフランジ部が所定の隙間を介して前記鋼製矢板に対向するように取り付け、かつ前記T形状部及び/又は前記鋼製矢板における前記T形状部のフランジ部と鋼製矢板で囲まれる空間に面する位置にずれ止め機能を付加してなることを特徴とするものである。
(3)また、本発明に係る土留め壁用鋼製部材は、鋼製矢板を地盤に打設した鋼製土留め壁とその片面に形成される鉄筋コンクリート壁とを一体化して形成される合成壁構造に用いる土留め壁用鋼製部材であって、
軸方向断面においてT形状部を含むと共に前記鋼製矢板の軸方向に延びる鋼製部材を、前記鋼製矢板における前記鉄筋コンクリート壁を形成する側の外面に、前記T形状部のフランジ部が所定の隙間を介して前記鋼製矢板に対向するように取り付け、かつ前記鋼製矢板における前記T形状部のフランジ部と鋼製矢板で囲まれる空間に面する位置にずれ止め機能を付加してなることを特徴とするものである。
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記鋼製部材におけるT形状部のウェブ部に鉄筋を挿通するための貫通孔を設けたことを特徴とするものである。
(5)また、本発明に係る合成構造壁は、上記(1)乃至(3)いずれかに記載の土留め壁用鋼製部材によって形成された土留め壁と、該土留め壁における前記鋼製部材を取り付けた面に形成される鉄筋コンクリート壁とが、前記鋼製部材及び前記ずれ止め部材を介して一体化されていることを特徴とするものである。
(6)また、本発明に係る合成構造壁は、上記(4)に記載の土留め壁用鋼製部材によって形成された土留め壁と、該土留め壁における前記鋼製部材を取り付けた面に形成される鉄筋コンクリート壁とが、前記鋼製部材、前記ずれ止め部材及び前記鋼製部材の前記貫通孔に挿通した水平方向補強筋を介して一体化されていることを特徴とするものである。
本発明に係る土留め壁用鋼製部材においては、軸方向断面においてT形状部を含むと共に前記鋼製矢板の軸方向に延びる鋼製部材を、前記鋼製矢板における前記鉄筋コンクリート壁を形成する側の外面に、前記T形状部のフランジ部が所定の隙間を介して前記鋼製矢板に対向するように取り付け、かつ前記T形状部及び/又は前記鋼製矢板における前記T形状部のフランジ部と鋼製矢板で囲まれる空間に面する位置にずれ止め機能を付加してなることにより、鋼製部材やずれ止め機能の付加を予め工場で施工できるので、現場溶接作業が不要となるとともに、仮設山留め時の鋼製土留め壁の断面剛性を大きくすることが出来るようになった。
また、T形状部を有する鋼製部材は鉛直方向に連続した部材であるため、孔あき鋼板ジベルと比較して断面欠損が無く地盤への打設時に変形や損傷が少ない。
さらに、T形状部を鉄筋コンクリート壁に内包されるように配置するとともに、鋼製矢板及び/またはT形状部にずれ止め機能を付加したことにより、合成構造壁を構築する際に鋼製土留め壁と鉄筋コンクリートとの十分な一体化が達成できた。
本発明の一実施の形態に係る土留め壁用鋼製部材の説明図である。 本発明の一実施の形態に係る合成構造壁の説明図である。 本発明の土留め壁用鋼製部材及び合成構造壁の他の態様の説明図である(その1)。 本発明の土留め壁用鋼製部材及び合成構造壁の他の態様の説明図である(その2)。 本発明の一実施の形態に係る土留め壁用鋼製部材のT形状部を有する鋼製部材の取付態様の説明図である。 本発明の一実施の形態に係る土留め壁用鋼製部材のずれ止め部材の取付態様の説明図である(その1)。 本発明の一実施の形態に係る土留め壁用鋼製部材のずれ止め部材の取付態様の説明図である(その2)。 本発明の一実施の形態に係る土留め壁用鋼製部材のずれ止め部材の取付態様の説明図である(その3)。 本発明の土留め壁用鋼製部材及び合成構造壁の他の態様の説明図である(その3)。 本発明の効果を確認した実施例1における本発明例の説明図である。 本発明の効果を確認した実施例1における比較例の説明図である。 本発明の効果を確認した実施例2における試験体(発明例)の説明図である(その1)。 本発明の効果を確認した実施例2における試験体(発明例)の説明図である(その2)。 本発明の効果を確認した実施例2における試験体のずれ止め部材の取付位置の説明図である。 本発明の効果を確認した実施例2における試験体(比較例)の説明図である(その1)。 本発明の効果を確認した実施例2における試験体(比較例)の説明図である(その2)。 本発明の効果を確認した実施例3における試験体(発明例)の説明図である(その1)。 本発明の効果を確認した実施例3における試験体(発明例)の説明図である(その2)。
本実施の形態に係る土留め壁用鋼製部材1は、図1に示すように、鋼製矢板3を地盤に打設した鋼製土留め壁とその片面に形成される鉄筋コンクリート壁とを一体化して形成される合成壁構造に用いるものであって、軸方向断面においてT形状部を含むと共に鋼製矢板3の軸方向に延びる鋼製部材5を、鋼製矢板3における鉄筋コンクリート壁を形成する側の外面に、T形状部のフランジ部5aが所定の隙間を介して鋼製矢板3に対向するように取り付け、かつ鋼製部材5及び/又は鋼製矢板3にずれ止め機能として、ずれ止め部材7を取り付けてなるものである。
土留め壁用鋼製部材1は、図2に示すように、地盤に打設されて鋼製土留め壁9を形成し、この鋼製土留め壁9における鋼製部材5を取り付けた側の地盤が掘削され、鋼製部材5及び前記ずれ止め部材7を覆う鉄筋コンクリート壁11が鋼製土留め壁9に一体化されて合成構造壁13が形成される。
以下、各構成を詳細に説明する。
<鋼製矢板>
鋼製矢板3の例として、図1、図2においてはハット形鋼矢板を用いる例を示しているが、本発明はこれに限られるものではなく、例えばU形鋼矢板、組合せ鋼矢板、鋼管矢板等他の断面形状の鋼製矢板3でもよい。
図3は直線鋼矢板15aとH形鋼15bを組み合わせた組合せ鋼矢板15を用いた例を、また図4には鋼管矢板17を用いた例をそれぞれ示している。
なお、いずれの断面の鋼製矢板3を用いた場合であっても、T形状部を含む鋼製部材5は、これが鉄筋コンクリート壁11に内包されるように、鉄筋コンクリート壁11が形成される側に取り付ける。
<鋼製部材>
鋼製部材5は、軸方向断面においてT形状部を含むと共に鋼製矢板3の軸方向に延びる形状を有している。
鋼製部材5の具体例としては、圧延によって形成されるT形鋼、H形鋼が挙げられる。また、既存のH形鋼のウェブ部を切断して形成(CT形鋼)してもよいし、あるいは、厚板をT形に組み合わせて溶接したものでもよい。
鋼製部材5は、鋼製矢板3における鉄筋コンクリート壁11を形成する側の外面に、T形状部のフランジ部5aが所定の隙間を介して鋼製矢板3に対向するように予め溶接等によって取り付けられている。
鋼製部材5がT形鋼のように軸方向断面がT形状の場合には、鋼製部材5はそのウェブ部を鋼製矢板3に溶接することで鋼製矢板3に取り付けられる。他方、鋼製部材5がH形鋼のように軸方向断面がH形状の場合には、鋼製部材5は片方のフランジを鋼製矢板3に溶接等によって固定することで鋼製矢板3に取り付けられる。
鋼製部材5の鋼製矢板3に対する取り付け位置は、図1に示すように、ハット断面鋼矢板の場合には鋼矢板ウェブ外面の中央に取り付けてもよいし、あるいは図5に示すように、鋼矢板ウェブ外面の中央からずれた位置に取り付けてもよい。
また、鋼製部材5は、鋼製矢板3の全長に亘って取り付けても良いが、鉄筋コンクリート壁11と一体化させる必要が無い部分については、取り付けなくても良い。
いずれに取り付けても、鋼製部材5は、鋼製土留め壁9の中立軸から最外縁部に位置するため、鋼製土留め壁9の断面剛性増加に有効に作用する。
T形状部の大きさは、鉄筋コンクリート壁11を形成する際の定着用鉄筋取付けの作業性、および定着効果を考慮し、高さH(図1参照)が50mm以上、フランジ幅W(図1参照)が100mm以上とするのが望ましい。
なお、鋼製部材5としては、T形状部が大きくなるほど断面性能(強度および剛性)は増すが、施工上の制約から、T形状部のフランジ幅Wは鋼製矢板3全幅より小さくする必要がある。
鉄筋コンクリート壁11と一体化した場合、T形状部のフランジ位置が鉄筋コンクリート壁11の中心軸の位置を大きく越えると合成壁効果が小さくなることから、T形状部の高さHは、鉄筋コンクリート壁高さWH(図2参照)の半分以下となることが望ましい。
また、T形状部のフランジ幅Wが大きく、高さHが小さく、フランジ板厚が大きいほどコンクリートの拘束効果が高まり、ずれ止め部材7の付着力も増加する。しかし高さHが小さいと断面剛性増加の観点からは不利となり、また高さHとフランジ幅Wの比が小さくなりすぎるとコンクリートがまわりこみにくいという問題も生じることから、高さH/フランジ幅Wは0.5以上とするのが望ましい。
ハット形鋼矢板用の既存油圧圧入施工機械を用いて施工を行う場合は、T形状部の高さHを110mm程度以内、フランジ幅Wを210mm程度以内とする必要があり、施工上の余裕度を考慮すると、高さHを100mm程度、フランジ幅Wを200mm程度とするのが適当である。
<ずれ止め機能>
ずれ止め機能を付加する態様としては、ずれ止め部材7を取り付ける態様や、鋼製矢板3や鋼製部材5に凹凸部を形成する態様がある。以下においては、ずれ止め部材7を取り付ける態様(図6〜8参照)について説明する。
ずれ止め部材7は、鋼製部材5及び/又は鋼製矢板3に取り付けられる。コンクリートの定着力(付着力)を効率よく発揮する観点では、T形状部のフランジ部5aと鋼製矢板3で囲まれる空間(図6の斜線で囲まれる領域)では閉塞効果により、ずれ止め部材7とコンクリートとの付着力が高まることから、この領域に面する位置にずれ止め部材7を配置するのが最適となる(図6参照)。前記領域に面する位置としては、鋼製矢板3におけるT形状部のフランジ部5aに対向する面、T形状部のウェブ部5bの面、T形状部のフランジ部5aの内面が該当する。
なお、鋼製矢板3のウェブ部は、T形状部のウェブ部5bおよびフランジ部5aに比べて剛性が高いことから、より高い閉塞効果があり、付着力が最も高まるので当該部位にずれ止め部材7を取り付けるのがより好ましい(図7参照)。
ただし、図7に示す片方のずれ止め部材7のように、T形状部のウェブ部5b付け根近くに配置した場合、隙間に土砂が目詰まりして除去しにくくなることもあるため留意する必要がある。
なお、鋼製部材5としてH形鋼を用いた場合、T形状部のフランジ部5aと鋼製矢板3で囲まれる空間(図6の斜線で囲まれる領域)に面する位置には鋼製矢板3は存在しないことになるので、この場合において、図7と同等のずれ止め材取付態様としては、H形鋼における鋼製矢板3に固定したフランジ部の内側にずれ止め材を取り付ける態様となる。
また、上記以外の部位、すなわち鋼製矢板3における鉄筋コンクリート形成側の面(地盤掘削側の面)(鋼製矢板3がハット断面鋼矢板の場合には、鋼矢板ウェブ外面(地盤掘削側の面)や鋼矢板フランジ外面(地盤掘削側の面))、T形状部のフランジ外面に取り付けても(図8参照)、一定の定着力は発揮されるので、施工性などを重視して、最適な箇所を選べばよい。
ずれ止め部材7として、図7、図8等においては異形鉄筋を用いたものを示しているが、コンクリートとの付着がとれるものであれば代替することは可能である。異形鉄筋の他に、例えば、縞状の突起を有する鋼板(チェッカーリブ含む)、波型鋼板、外面突起付き鋼管などが考えられる。
ずれ止め部材7として、異形鉄筋を用いる場合は、鋼製矢板3の打設前にあらかじめ鋼製矢板3又は鋼製部材5のT形状部に溶接しておいてもよいし、鋼製土留め壁9を形成した後、山留め内の土砂を掘削した後に取り付けてもよい。
異形鉄筋本数は、単数でも複数本でもよいが、本数を多くするなどして付着力を大きくしていくと、コンクリートが先にせん断破壊するため、接合部のせん断耐力は頭打ちとなる。従って異形鉄筋(ずれ止め部材7)の付着力は、コンクリートのせん断耐力と同等程度とするのが合理的である。
特に、T形状部のフランジ部5aと鋼製矢板3で囲まれる空間(図6の斜線で囲まれる領域)にずれ止め部材7を取り付けた場合、この領域でコンクリートが先にせん断破壊するため、ずれ止め部材7の付着力は、図6の斜線で囲まれる領域のコンクリートのせん断耐力と同等程度とするのが合理的である。
鉄筋サイズや鉄筋コンクリート壁11のコンクリート強度にもよるが、通常は、バランスを考慮し、T形状部のウェブ部5bを中心とする両サイドに1本ずつ配置し、合計で2本程度とするのが効率がよい。
なお、図9に示すように、鋼製部材5におけるT形状部のウェブ部5bに鉄筋を挿通するための貫通孔5cを設け、鉄筋コンクリート壁11を形成する際に、貫通孔5cに水平方向補強筋19を配筋するようにしてもよい。
このようにすることで、鋼製土留め壁9と鉄筋コンクリート壁11との一体性がより強化される。
また、水平方向補強筋19を配置する手間がかかるものの、鉄筋コンクリート壁11の主鉄筋21の被り厚を小さくできる効果や、通常2列の主鉄筋配列を1列にすることが可能となる効果が得られる(図9参照)。
T形状部のウェブ部5bに設ける貫通孔5cは工場などであらかじめ施工しておくのが望ましいが、現地で作業が可能であれば、鋼製矢板3を打設し、地盤を掘削した後、現場で孔あけ加工を施工するようにしてもよい。
壁面延長方向(水平方向)補強筋は、一般的にD13からD41程度の異形鉄筋を壁深度方向に100〜400mm程度のピッチで配置すれば、鋼製土留め壁9と鉄筋コンクリート壁11との定着性(一体性)が有効に強化され、合成壁の変形性能が向上することを発明者は実験などにより確認した。
なお、配置ピッチをさらに小さくして密配筋にすれば、定着性(一体性)が高まると考えられるが、100mmより小さくなると、施工が困難になることに加え、T形状部のウェブ部5bの貫通孔5cの間隔が小さくなることから、断面欠損によるT形状部の強度低下が懸念される。
また、異形鉄筋サイズ(径)が大きくなるほど、定着性(一体性)が高まると考えられるが、例えばD51の異形鉄筋を使用した場合、T形状部のウェブ部5bの貫通孔径は70mm程度以上が必要となり、断面欠損によるT形状部の強度低下が懸念される。そのため、水平方向補強金はD41以下のものが好ましい。
図10は、壁高が7mの地下壁に本発明を適用した場合の一実施例であり、鋼製矢板3にT形鋼(200×100、L=10.0m)からなる鋼製部材5を取り付けてなる合成構造壁13を示す断面図である。また図11は同じ条件でずれ止め部材に頭付きスタッド23(φ16-L150、40本(2列)/枚)を用いた場合の比較例を示す断面図である。いずれも鋼矢板はハット形鋼矢板25Hであるが、仮設山留め時において比較例は切梁が3段必要になるのに対し、本発明を適用した実施例の場合は鋼製土留め壁9の断面剛性が大きいため、切梁は2段でも発生応力は許容値内におさまった。
頭付きスタッド23を現場で溶接する工程が不要なだけでなく、切梁段数が減ったことにより地盤掘削時の作業効率が向上し、全体で工程を30%短縮が可能となる。なお、ずれ止め部材7に孔あき鋼板ジベルを用いた場合も、頭付きスタッド23の溶接工程は不要だが、切梁段数は3段必要である。
本発明による鋼製土留めと鉄筋コンクリート壁11の一体性向上を実証するために押し抜き載荷試験を行ったので以下これについて説明する。
図12、図13は第1試験体25の説明図であり、図12は第1試験体25を平面視した状態を示し、図13は第1試験体25を図12の矢印の方向から見た状態を示している。
第1試験体25は、図12に示すように鋼製矢板3として2枚のハット形鋼矢板を対向配置して継手部を連結して用いた。
実験ケースとしては、ハット形鋼矢板にT形状部を有する鋼製部材5としてのT形鋼(200×100mm)を取り付けた上で、ずれ止め部材7としての異形鉄筋の取り付け位置、本数、サイズをパラメータとした図14に示す7ケース(T-1〜T-7、鉄筋取り付け位置は図14参照)の他、比較例として、T形鋼(200×100mm)のみとした第2試験体27のケース(T-0、図15参照)、および頭付きスタッド23(φ22、図16参照)を用いた第3試験体29のケース(S-0)を実施した。
なお、鉄筋取り付け位置を具体的に説明すると、図14(1)はハット形鋼矢板のウェブ部におけるT形鋼のフランジ部とハット形鋼矢板で囲まれる空間に面する位置、図14(2)はT形鋼のウェブ部の両面、図14(3)はT形鋼のフランジ部の内面、図14(4)はハット形鋼矢板のウェブ部両端部(T形鋼のフランジ部とハット形鋼矢板で囲まれる空間の外)、図14(5)はT形鋼のフランジ部の外面である。
試験条件および試験結果(T形鋼のみのケースT-0の定着強度で基準化)を表1に示す。
<ずれ止め用鉄筋取り付け位置の影響について>
T-1〜T-7のいずれのケースでも、定着強度は、T形鋼のみのケース(T-0)を大きく上回るとともに、頭付きスタッド23を用いたケース(S-0)に対しても同等以上の値を示した。
また、T形鋼のフランジ部とハット形鋼矢板で囲まれる空間に面する位置に異形鉄筋を取り付けたT-1〜T-3、T-6、T-7の定着強度は、T形鋼のみのケース(T-0)、頭付きスタッド23を用いたケース(S-0)を上回るとともに、T-4、T-5に対しても上回る値を示した。
また、T形鋼のフランジ部とハット形鋼矢板で囲まれる空間に面する位置のうちハット断面鋼矢板のウェブ部に異形鉄筋を取り付けたT-1、T-6、T-7の定着強度は、T-2、T-3よりもさらに高い値となった。
上記の結果から、ずれ止め部材7を取り付ける位置としては、T形鋼のフランジ部とハット形鋼矢板で囲まれる空間に面する位置が好ましく、さらに上記空間に面する位置のうちハット形鋼矢板のフランジ部がより好ましい。
<ずれ止め用の異形鉄筋サイズの影響について>
図14(1)で示す取り付け位置に、各々サイズの異なる鉄筋を取り付けたT-1、T-6、T-7の3ケースについて見ると、D19鉄筋を用いたT-6ケースは、D16鉄筋を用いたT-1ケースの定着強度を若干上回った。しかし、さらに鉄筋サイズを大きくしたD29鉄筋のT-7ケースの定着強度は、T-6ケースと同程度であった。
T-6、T-7の両ケースでは、ずれ止め用鉄筋の付着力が限界に達する前に、T形鋼フランジ先端からハット形鋼矢板ウェブ付け根にかけて、コンクリートが先にせん断破壊したため、接合部のせん断耐力は頭打ちの状況となったことによる。
図9に示したT形状部のウェブ部5bに貫通孔5cを設け、該貫通孔5cに水平方向補強筋19を取り付ける場合において、水平方向補強筋19の鉄筋コンクリート壁11の一体性向上を実証すると共に、水平方向補強筋19の配筋ピッチ、サイズの影響を調査する押し抜き載荷実験を行ったので、以下これについて説明する。
図17、図18は第4試験体31の説明図であり、図17は第4試験体31を平面視した状態を示し、図18は第4試験体31を図17の矢印の方向から見た状態を示している。
第4試験体31は、実施例2と同様に鋼製矢板3として2枚のハット形鋼矢板を対向配置して継手部を連結して用いた。
実験ケースとしては、ハット形鋼矢板にT形鋼(200×100mm)およびずれ止め用の異形鉄筋を取り付けた上で、壁面延長方向(水平方向)補強筋の配置ピッチ100〜500mm、サイズD13〜D41をパラメータとした7ケース(TR-1〜TR-7)を実施した。
試験条件および試験結果(T形鋼のみのケースT-0の定着強度で基準化)を表2に示す。
なお、表2には、表1に示したT-0、T-1、S-1も合わせて記載している。
<壁面延長方向補強筋の配置ピッチについて>
本発明例における壁面延長方向補強筋を取り付けた7ケース中、配置ピッチを500mm(配置本数1本)としたTR-4を除く6ケースで、壁面延長方向補強筋を取り付けないケースT-1の定着強度を上回っており、配置ピッチを100〜400mmとすれば、鉄筋コンクリート壁11の一体性を向上させる効果があることが確認できた。
また、TR-1〜TR-4の定着強度を比較すると、配置ピッチを小さくするごとに定着強度が高まる傾向が確認できた。ただし、配置ピッチを小さくしすぎると、配筋施工の難化、T形鋼ウェブ断面欠損によるT形鋼の強度低下が懸念されることは前述のとおりである。
<壁面延長方向補強筋のサイズについて>
本発明例におけるTR-3、TR-5〜TR-7の4ケースでは、壁面延長方向補強筋の配置ピッチを400mm(配置本数2本)で同一とした上で、鉄筋のサイズ(径)をD13〜D41に変えて実験を行っている。その結果、鉄筋のサイズ(径)に対応して、定着強度が高まることが確認できた。ただし、鉄筋サイズが大きくなると、それに応じてT形鋼ウェブ部の貫通孔径も大きくなることから、T形鋼ウェブ断面欠損によるT形鋼の強度低下が懸念されることは前述のとおりである。
1 土留め壁用鋼製部材
3 鋼製矢板
5 鋼製部材
5a フランジ部
5b ウェブ部
5c 貫通孔
7 ずれ止め部材
9 鋼製土留め壁
11 鉄筋コンクリート壁
13 合成構造壁
15 組合せ鋼矢板
15a 直線鋼矢板
15b H形鋼
17 鋼管矢板
19 水平方向補強筋
21 主鉄筋
23 頭付きスタッド
25 第1試験体
27 第2試験体
29 第3試験体
31 第4試験体

Claims (6)

  1. 鋼製矢板を地盤に打設した鋼製土留め壁とその片面に形成される鉄筋コンクリート壁とを一体化して形成される合成壁構造に用いる土留め壁用鋼製部材であって、
    軸方向断面においてT形状部を含むと共に前記鋼製矢板の軸方向に延びる鋼製部材を、前記鋼製矢板における前記鉄筋コンクリート壁を形成する側の外面に、前記T形状部のフランジ部が所定の隙間を介して前記鋼製矢板に対向するように取り付け、かつ前記T形状部及び/又は前記鋼製矢板における前記T形状部のフランジ部と鋼製矢板で囲まれる空間に面する位置にずれ止め機能を付加されており、
    前記T形状部の高さは、前記鉄筋コンクリート壁の高さの半分以下であることを特徴とする土留め壁用鋼製部材。
  2. 前記ずれ止め機能は、前記鋼製矢板における前記T形状部のフランジ部と鋼製矢板で囲まれる空間に面する位置に付加されていることを特徴とする請求項1記載の土留め壁用鋼製部材。
  3. 前記鋼製矢板は、ハット形鋼矢板、U形鋼矢板又は鋼管矢板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の土留め壁用鋼製部材。
  4. 前記鋼製部材におけるT形状部のウェブ部に鉄筋を挿通するための貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の土留め壁用鋼製部材。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載の土留め壁用鋼製部材によって形成された土留め壁と、該土留め壁における前記鋼製部材を取り付けた面に形成される鉄筋コンクリート壁とが、前記鋼製部材及び前記ずれ止め機能を介して一体化されていることを特徴とする合成構造壁。
  6. 請求項4に記載の土留め壁用鋼製部材によって形成された土留め壁と、該土留め壁における前記鋼製部材を取り付けた面に形成される鉄筋コンクリート壁とが、前記鋼製部材、前記ずれ止め機能及び前記鋼製部材の前記貫通孔に挿通した水平方向補強筋を介して一体化されていることを特徴とする合成構造壁。
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