JP6253429B2 - 衝突イベントの数値的シミュレーションにおいて低次有限要素および二次有限要素を有する接触面定義を生成する方法およびシステム - Google Patents

衝突イベントの数値的シミュレーションにおいて低次有限要素および二次有限要素を有する接触面定義を生成する方法およびシステム Download PDF

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Description

本発明は、コンピュータ支援工学解析に関し、特に衝突イベントの数値的シミュレーションにおいて用いられる製品を表す有限要素モデルにおける線形の低次有限要素と二次有限要素とが混在する接触面定義を生成する方法およびシステムに関する。
コンピュータ支援工学(CAE)が、多くのタスクにおいてエンジニアを支援するために用いられている。例えば、構造体あるいは製品設計の手順において、CAE解析、特に有限要素解析法(FEA)が、種々の荷重条件(例えば、静的あるいは動的な荷重条件)下での応答(例えば応力、変位など)を評価するために、よく用いられている。
FEAは、三次元の非線形の構造設計および解析など複雑な製品あるいはシステム(例えば車、飛行機など)に関連する工学問題をシミュレートする(つまり、モデル化して解く)ために、産業において広く用いられているコンピュータ化された方法である。FEAの名前は、想定されている対象の幾何学的配置(ジオメトリ)を特定する方法に由来する。幾何学的配置は、要素とノードとによって定義される。多くのタイプの要素(エレメント)があり、体積あるいは連続体に対応する中実(ソリッド)要素、面に対応する外殻(シェル)要素あるいは板状(プレート)要素と、一次元の構造物に対応する梁状(ビーム)要素あるいは骨組構造物(トラス)要素がある。最も興味深いシミュレーションのうちの一つは、FEAモデルの二つ以上の位置と位置との間の接触に関連するものである。
二つ以上の物体の衝突(例えば自動車の衝突、シートメタル成型など)のイベントにおいて、接触シミュレーションが通常用いられている。そのようなイベントを数値的にシミュレートするために、従来技術アプローチでは、面−面接触(サーフェス・トゥー・サーフェス・コンタクト)と呼ばれる技術が用いられている。有限要素モデルの多くは、外面が三角形もしくは四角形のいずれかによって表現される二次元の3ノードもしくは4ノードの低次シェル要素またはソリッド要素から構成されているからである。面−面接触シミュレーションを実行するために、有限要素解析モデルにどのような面を含めるべきかをユーザが特定する必要がある。ある環境においては、衝突イベントの際に各接触面は折れ曲がったり、接触面自体と接触したりすることも有り得る。ユーザ入力を簡単にするために、そのような状況(自己接触)に対する最近のアプローチは、例えば自動車衝突シミュレーションにおいて一般的に実行されているように、単一自己接触面定義にすべての面を含める(つまり、車両全体を単一自己接触面として指定する)ことである。
計算効率向上のため、有限要素解析モデルは、非二次低次有限要素(つまりコーナーノードのみによって定義される有限要素、例えば、図1に示す3ノードの三角形要素101、4ノードの四角形要素102、4ノードの四面体要素103、8ノードの六面体要素104)から構成される。高速コンピュータシステムの登場により、一部のユーザには、有限要素モデルに二次有限要素(つまり図2Aおよび図2Bに示す、単なるコーナーノード以外によっても定義される有限要素202、204、205、252、256)を含めることが望まれている。しかしながら、接触面を定義する従来のアプローチは、性能を大きく低下させずには二次有限要素に対応できない。接触処理が現実的な数値的シミュレーションにおける要素およびノードの処理とほとんど同じくらいコストがかかるので、コンピュータ稼働時間を低減するために、接触を可能な限り確実に最適化するよう多くの人員や年数が費やされてきた。接触点を見つけ出す閉形式解(クローズド・フォーム・ソリューション)が低次セグメントに対して用いられており、効率を向上するために、同じタイプのセグメントは一緒に処理される。接触点を見つけ出すための正確でロバストな閉形式解は、二次有限要素には利用できず、したがって、接触点は反復解となる。このような反復解は、衝突シミュレーションにおいて見られるような過酷な荷重により面が大きく変形する場合に限っては、ロバストとはならない。同じ接触面定義内に低次接触面セグメントと高次接触面セグメント(つまり線形有限要素および二次有限要素)の両方を含めた場合には、異なるセグメントタイプ間の相互作用が生じることになり、コンピュータソフトウェアにおける特別な分岐が必要となり、結局、計算効率を台無しにする。分岐では、例えば1)接触における低次の3ノードセグメントと4ノードセグメント、2)接触における二次6ノードセグメントと8ノードセグメント、および3)接触における低次のセグメントと二次セグメントの調査が必要となる。
さらに、境界面力データベースは、接触面にわたる面圧力および剪断応力の分布を表示する。このデータベースは、複数のソフトウェア製品における後処理のために、ユーザによって定義された時間間隔で記述されるが、こうしたソフトウェア製品はデータ再現時に二次接触面を扱う機能を現在のところ欠いている。このため、接触応力の分布の視覚化を可能にするためには、現在のデータベースをそれの現在の形式に保存しておくことは避けられない。
したがって、衝突イベントの数値的シミュレーションにおいて用いられる有限要素モデルにおける二次有限要素と線形の低次有限要素とが混在する接触面定義を生成する方法およびシステムが望まれよう。
衝突イベントを数値的にシミュレートするために用いられる有限要素解析(FEA)モデルにおいて二次有限要素を含む接触面定義を生成する方法およびシステムを提供する。本発明の一の側面では、衝突イベントの時間進行シミュレーションにおいて用いられる製品を表す有限要素解析モデルを、FEAアプリケーションモジュールがインストールされたコンピュータシステムにおいて、受け取る。FEAモデルは、線形要素および二次要素を含む一以上の有限要素グループごとに組織化される。各グループは、製品の部品の一つを表すよう指定され、部品識別子(ID)によって特定される。さらに、FEAモデルは、衝突イベントによる部品間の接触を検出するよう、一以上の接触面定義を用いて構成される。
二次有限要素(QFE)を有する一以上のグループが決定される(つまり、検出され、特定される)。各決定グループに、新しいグループが生成される。各決定グループに基づいて、新しいグループに固有の部品IDが関連付けられる。一セットの予め定義された規則に従って新しいグループに対する接触セグメントが生成され、各決定グループにおけるQFEに関連する一以上の幾何学的形状がさらに分割される。QFEの要素特性が新しいグループに割り当てられ、接触面定義は各決定グループを新しいグループで置き換えることにより更新される。最後に、更新された接触面定義とともにFEAモデルを用いて時間進行シミュレーションを行うことにより、製品のシミュレートされた構造挙動を取得する。
本発明は、従来技術アプローチと比べて、追加ユーザ入力を必要としない。FEAモデル全体が接触面定義に含まれるか、あるいは、FEAモデルの一部が接触面定義において部品ID(つまりグループ)をリストすることにより指定される。各接触面定義における各二次有限要素に対して接触セグメントが、自動的に生成される。さらに、本発明は、解析が完了した後でもシミュレーション結果を再現できるように、衝突イベントの現実的な数値的シミュレーションにおいて二次有限要素の使用を可能にする。さらに、本発明は、時間進行シミュレーションの中にではなく、着手時に変更しているので、したがって、本発明は非常に効率的となる。
本発明の他の目的、特徴および利点は、添付した図面を参照し、以下の本発明の実施の形態の詳細な説明を考察することによって明らかとなろう。
本発明のこれらおよび他の特徴、面および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲および添付した図面を考慮してより理解されよう。図面は次の通りである。
衝突イベントを数値的にシミュレートするために用いられる種々の例示的な非二次低次の有限要素を示す図である。 本発明の実施形態にかかる衝突イベントの時間進行シミュレーションにおいて用いられる種々の例示的な二次有限要素を示す図である。 本発明の実施形態にかかる衝突イベントの時間進行シミュレーションにおいて用いられる種々の例示的な二次有限要素を示す図である。 本発明の実施形態にかかる衝突イベントにおける製品の構造挙動を数値的にシミュレートする例示的なプロセスを示すフローチャートである。 本発明の実施形態にかかるグループに組織化された第一の例示的なFEA要素を示す概略図である。 本発明の実施形態にかかるグループに組織化された第二の例示的なFEA要素を示す概略図である。 二つの接触面を含んでいる例示的なFEAモデルを示す概略図である。 一つの接触面のみを含んでいる例示的なFEAモデルを示す概略図である。 本発明の実施形態にかかる、各二次有限要素に関連する幾何学的形状から接触セグメントを生成する種々の例示的な分割法を示す図である。 本発明の実施形態にかかる、各二次有限要素に関連する幾何学的形状から接触セグメントを生成する種々の例示的な分割法を示す図である。 本発明の実施形態にかかる、各二次有限要素に関連する幾何学的形状から接触セグメントを生成する種々の例示的な分割法を示す図である。 本発明の実施形態にかかる、各二次有限要素に関連する幾何学的形状から接触セグメントを生成する種々の例示的な分割法を示す図である。 本発明の実施形態にかかる、二次有限要素(大きい有限要素)と線形の低次有限要素(小さい有限要素)との両方を有する、変形していない当初の構成の、例示的なFEAモデルを示す図である。 図7AのFEAモデルの、衝突イベントによって変形した構造を示す図である。 3ノード接触セグメントが二次有限要素から生成される、変形していない構成の図7AのFEAモデルの例示的な接触セグメントを示す図である。 図7AのFEAモデルの変形した構成を接触セグメントを用いて示す図である。 本発明のある実施形態を実現可能である例示的なコンピュータシステムの主要な部品を示す機能図である。
図1A〜図1Dをまず参照して、例示的な低次の有限要素、すなわち線形の有限要素101〜104を説明する。有限要素101は3ノード接触セグメントを有する。また、有限要素102は4ノード接触セグメントを有する。同様に、有限要素103は四つの3ノード接触セグメント(つまり四面体の外面)を有しており、また、有限要素104は六つの4ノード接触セグメント(つまり六面体の外面)を有する。3ノード接触セグメントは三角形を有する。また、4ノード接触セグメントは四角形を有する。
種々の例示的な二次2D有限要素を図2Aに示す。例示的な二次2D有限要素は、単なるコーナーノード以外のノードも有する。例えば、6ノード三角形要素202は、三つのコーナーノード212(黒丸で示す)と、三つの辺中間ノード222(白丸で示す)と、を有する。8ノード四角形要素204は四つのコーナーノード214と、四つの辺中間ノード224と、を有する。9ノード四角形要素206は、コーナー216および辺中間ノード226に加えて、中心ノード236(白ダイヤ形で示す)を有する。
図2Bに、二つの例示的な三次元の(3D)二次有限要素を示す。10ノード四面体要素252は、四つのコーナーノード262(黒丸)と、六つの辺中間ノード272(白丸)と、を有する。20ノード六面体要素254は、八つのコーナーノード264(黒丸)と、12の辺中間ノード274(白丸)と、を有する。各2D要素は幾何学的形状(例えば三角形、四角形など)を面の形状として有するが、各2D要素のこのような幾何学的形状を3D要素の外側境界の表面すなわち面として用いることもできることは当業者には理解されよう。
次に図3の、本発明の実施形態にかかる衝突イベントにおける製品の構造挙動を数値的にシミュレートする例示的なプロセス300を示すフローチャートを参照して、例示的なプロセスを説明する。プロセス300は、好ましくはソフトウェアで実行される。
ステップ302において、コンピュータシステム(例えば図9におけるコンピュータシステム900)において、製品(例えば自動車、トラック、オートバイ、飛行機など)を表す有限要素解析(FEA)モデルを受け取ることによって、プロセス300がスタートする。FEAモデルは、時間進行シミュレーションにおける衝突イベントにおける製品の構造挙動を取得するために用いられる。コンピュータシステムには、有限要素解析アプリケーションモジュールがインストールされる。
FEAモデルは、複数のグループの有限要素に組織化される。各グループは、製品の部品のうちの一つを表す。各グループには部品識別子(ID)が割り当てられる。図4Aおよび図4Bに、グループに組織化された二つの例示的なFEAモデル410,420を示す。わかりやすく例示するために、例示的なFEAモデルを二次元(2D)で示す。FEAモデルを2D有限要素または3D有限要素を用いて三次元(3D)とできることは当業者には理解されよう。第一FEAモデル410は、五つのグループ411a〜411eを用いて組織化される。第二FEAモデル420は、部品IDとして“ID1”,“ID2”,・・・,“IDn”で印付けられたn個のグループを有する。実質的に同じ有限要素をグループ化することによって、要素特性の定義を簡単化できる利点が得られる。個々の有限要素の特性を指定する代わりに、一グループの有限要素に特性を割り当てることができる。また、部品IDは、一グループの有限要素を製品(例えばフェンダー、フード、トランクなど)における物理的な部品と関連付けることができる。
さらに、FEAモデルは、衝突イベントによる部品間の接触を検出するよう、時間進行シミュレーションにおいて用いられる一以上の接触面定義を用いて構成される。各接触面定義は、少なくとも一つのグループのリストを有する。接触面定義の例を図5A〜図5Bに示す。
図5Aは、二つの接触面501〜502を有する例示的なFEAモデルを示している(二つの点線楕円がFEAモデルに含まれているグループを示している)。第一接触面501に対する接触面定義には、部品IDとしての“ID2”,“ID3”,“ID4”,“ID6”を用いた四つのグループが含まれる。第二接触面502に対する接触面定義には、部品IDとしての“ID1”,“ID5”を用いた二つのグループが含まれる。図5Bに示す第二の例では、部品IDとして“ID1”,“ID2”,・・・,“IDn”を用いたn個のグループを有する一つの接触面520のみを示す。部品間の接触が二つの接触面501,502の間で生じ得る。あるいは、接触は一つの接触面内の要素間でも生じ得る。一つの接点面520の場合には、接触面を一般に単一自己接触面(シングル・セルフ・コンタクト・サーフェス)という。一のインプリメンテーションにおいて、接触面定義においてグループが定義されない場合、デフォルトによって、FEAモデルにおけるすべてグループが一の接点面定義に含まれる。
図3を参照して、ステップ304において、二次有限要素(例えば図2A〜図2Bに示す種々の例示的な二次有限要素)を有する各グループが決定される、すなわち特定される。ステップ306において、各決定グループに新しいグループが生成される。その後、ステップ308において、各決定グループから導出された固有の部品IDを、新しいグループと関連付ける。固有の部品IDは、新しいグループを既存のグループと区別するために用いられる。固有の部品IDの生成は、例えば、接頭部(プレフィクス)または接尾部(ポストフィクス)を各決定グループの部品IDに追加することによって行う。次に、ステップ310において、一セットの予め定義された規則に従って新しいグループに対する接触セグメント(つまり3ノード接触セグメントまたは4ノード接触セグメント)が生成され、各決定グループにおける二次有限要素に関連する一以上の幾何学的形状がさらに分割される。
一セットの予め定義された規則は、以下の例示的な分割法を少なくとも含むことができる。第一の例示的な分割法を図6A〜図6Bに示す。辺中間ノード622を有する6ノード三角形要素602の辺中間ノードが接続されて、四つの接触セグメント642が生成される。8ノード四角形要素604は、辺中間ノード624を接続することにより、五つの接触セグメント644へとさらに分割される。
図6Cに、第二分割法を示す。9ノード四角形要素606は、辺中間ノードを互いに接続することと、それぞれの辺中間ノード626を中心ノード636に接続することと、により、8つの接触セグメント646へとさらに分割される。図6Dに、第三分割法を示す。第三分割法では、同じく9ノード四角形要素606が、辺中間ノード626のそれぞれを中心ノード636に接続することによって、四つの接触セグメント666へとさらに分割される。3Dの二次有限要素の各面が2D要素とほぼ同様であるので、図6A〜図6Dに示した例示的な分割法を3Dの二次有限要素の各面にも適用できることは当業者には理解されよう。
ステップ312において、二次有限要素の要素特性が新しいグループに割り当てられる。限定するものはないが、要素特性には、ヤング率、ポアソン比、および厚さなどが含まれる。ステップ314において、接触面定義が、二次有限要素を含んでいる各グループを新しいグループで置き換えることにより、更新される。
最後に、ステップ316において、衝突イベントにおける製品の数値的にシミュレートされた構造挙動(例えば自動車衝突シミュレーション)が、接触面定義とともに有限要素解析モデルを用いて取得される。そして、プロセス300は、終了する。
以下に、プロセス300のステップ304〜314を例示する。接触処理に含まれる部品(つまりグループ)が、各接触面定義を用いて記憶される。接触面定義においてグループが定義されていない場合、デフォルトによって、FEAモデルにおけるすべてグループが一の接点面定義に含まれる。
部品リストにわたってループが実行される。n個の部品があると仮定して、識別子(ID)であるID1,ID2,ID3,・・・,IDnを有するn個の部品にわたってループが実行される。各部品識別子IDk(kは1からnまで)の処理に関して、接触における処理を行うか否かを調査する。接触における処理を行う場合であって、かつ、その部品が二次有限要素から構成されている場合、固有の部品IDとしてのIDkNEWを有する新しい部品が生成される。この新しい部品は、一セットの予め定義された規則に基づいて3ノードセグメントや4ノードセグメントで外部二次面を覆われる。この部品IDに弾性特性(つまり、ヤング率やポアソン比)を、新しい部品によって覆われる二次セグメントの構成モデルに基づいて、割り当てる。二次面厚さに基づいて、新しい部品IDに厚さを割り当てる。最後に、接触に関する部品リスト内においては、IDkをIDkNEWで置き換えて、接触処理から部品IDkの二次セグメントを効果的に取り除くことができる。
本発明を例示するために、衝突イベントの時間進行シミュレーションにおいて押し潰れる中空の角柱を表現する例示的なFEAモデルを、図7A〜図7Bおよび図8A〜図8Bに示す。
図7Aに、変形していない当初の構成700における例示的なFEAモデルを示す。第一FEAモデルは、線形の低次(小さい)有限要素と、二次(大きい)有限要素と、の両方を有する。低密度メッシュ710は二次有限要素を表しており、高密度メッシュ720は線形の低次有限要素を表している。
衝突イベントの後の変形した構成750を、図7Bに示す。図から、衝突イベントにおいて角柱が押し潰されて、時間進行シミュレーションにおいて有限要素間の接触が検出されることがわかる。
図8Aおよび図8Bはそれぞれ、図7Aおよび図7Bの同じ構成の有限要素に代わって接触セグメントが用いられている図である。二次有限要素は3ノード接触セグメント810で置き換えられる。線形の低次有限要素は、図6Cに示す分割法に従って4ノード接触セグメント820によって表される。
一の側面において、本発明は、ここに説明した機能を実行可能な一つ以上のコンピュータシステムに対してなされたものである。コンピュータシステム900の一例を、図9に示す。コンピュータシステム900は、プロセッサ904など一つ以上のプロセッサを有する。プロセッサ904は、コンピュータシステム内部通信バス902に接続されている。種々のソフトウェアの実施形態を、この例示的なコンピュータシステムの点から説明する。この説明を読むと、いかにして、他のコンピュータシステムおよび/またはコンピューターアーキテクチャーを用いて、本発明を実行するかが、関連する技術分野に習熟している者には明らかになるであろう。
コンピュータシステム900は、また、メインメモリ908好ましくはランダムアクセスメモリ(RAM)を有しており、そして二次メモリ910を有することもできる。二次メモリ910は、例えば、一つ以上のハードディスクドライブ912、および/またはフレキシブルディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブなどを表わす一つ以上のリムーバブルストレージドライブ914を有することができる。リムーバブルストレージドライブ914は、よく知られている方法で、リムーバブルストレージユニット718を読み取りおよび/またはリムーバブルストレージユニット918に書き込む。リムーバブルストレージユニット918は、リムーバブルストレージドライブ914によって読み取り・書き込みされるフレキシブルディスク、磁気テープ、光ディスクなどを表わす。以下にわかるように、リムーバブルストレージユニット918は、コンピュータソフトウェアおよび/またはデータを内部に記憶しているコンピュータ可読媒体を有している。
代替的な実施形態において、二次メモリ910は、コンピュータプログラムあるいは他の命令をコンピュータシステム900にロードすることを可能にする他の同様な手段を有することもできる。そのような手段は、例えば、リムーバブルストレージユニット922とインタフェース920とを有することができる。そのようなものの例には、プログラムカートリッジおよびカートリッジのインタフェース(ビデオゲーム機に見られるようなものなど)と、リムーバブルメモリチップ(消去可能なプログラマブルROM(EPROM)、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュメモリ、あるいはPROMなど)および関連するソケットと、ソフトウェアおよびデータをリムーバブルストレージユニット922からコンピュータシステム900に転送することを可能にする他のリムーバブルストレージユニット922およびインタフェース920と、が含まれ得る。一般に、コンピュータシステム900は、プロセススケジューリング、メモリ管理、ネットワーキングおよびI/Oサービスなどのタスクを行なうオペレーティングシステム(OS)ソフトウェアによって、制御され連係される。
通信用インタフェース924も、また、バス902に接続することができる。通信用インタフェース924は、ソフトウェアおよびデータをコンピュータシステム900と外部装置との間で転送することを可能にする。通信用インタフェース924の例には、モデム、ネットワークインタフェイス(イーサネット(登録商標)・カードなど)、コミュニケーションポート、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)スロットおよびカードなど、が含まれ得る。
コンピュータ900は、専用のセットの規則(つまりプロトコル)に基づいて、データネットワーク上の他の演算装置と通信する。一般的なプロトコルのうちの一つは、インターネットにおいて一般に用いられているTCP/IP(伝送コントロール・プロトコル/インターネット・プロトコル)である。一般に、通信インタフェース924は、データファイルをデータネットワーク上で伝達される小さいパケットへのアセンブリングを管理し、あるいは受信したパケット元のデータファイルへと再アセンブルする。さらに、通信インタフェース924は、正しい宛先に届くようそれぞれのパケットのアドレス部分に対処し、あるいはコンピュータ900が宛先となっているパケットを他に向かわせることなく受信する。
この書類において、「コンピュータが記録可能な記憶媒体」、「コンピュータが記録可能な媒体」および「コンピュータ可読媒体」という用語は、リムーバブルストレージドライブ914および/またはハードディスクドライブ912に組み込まれたハードディスクなどの媒体を概ね意味して用いられている。これらのコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステム900にソフトウェアを提供する手段である。本発明は、このようなコンピュータプログラム製品に対してなされたものである。
コンピュータシステム900は、また、コンピュータシステム900をアクセスモニタ、キーボード、マウス、プリンタ、スキャナ、プロッタなどに提供する入出力(I/O)インタフェース930を有することができる。
コンピュータプログラム(コンピュータ制御ロジックともいう)は、メインメモリ908および/または二次メモリ910にアプリケーションモジュール906として記憶される。コンピュータプログラムを、通信用インタフェース924を介して受け取ることもできる。このようなコンピュータプログラムが実行された時、コンピュータプログラムによって、コンピュータシステム900がここに説明した本発明の特徴を実行することが可能になる。詳細には、コンピュータプログラムが実行された時、コンピュータプログラムによって、プロセッサ904が本発明の特徴を実行することが可能になる。したがって、このようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステム900のコントローラを表わしている。
ソフトウェアを用いて発明が実行される実施形態において、ソフトウェアをコンピュータプログラム製品に記憶でき、リムーバブルストレージドライブ914、ハードドライブ912あるいは通信用インタフェース924を用いてコンピュータシステム900へとロードすることができる。アプリケーションモジュール906は、プロセッサ904によって実行された時、アプリケーションモジュールによって、プロセッサ904がここに説明した本発明の機能を実行する。
所望のタスクを達成するために、I/Oインタフェース930を介したユーザ入力によってあるいはよることなしに、一つ以上のプロセッサ904によって実行することができる一つ以上のアプリケーションモジュール906を、メインメモリ908に、ロードすることもできる。動作においては、少なくとも一つのプロセッサ904がアプリケーションモジュール906のうちの一つが実行されると、結果が演算されて二次メモリ910(つまりハードディスクドライブ912)に記憶される。時間進行工学シミュレーションの状況(例えば衝突の結果など)が、テキスト表現あるいはグラフィック表現で、I/Oインタフェース930を介してユーザに報告される。
本発明を具体的な実施形態を参照しながら説明したが、これらの実施形態は単なる例示であって、本発明を限定するものではない。開示した例示的な実施形態に対する種々の変更あるいは変形を、当業者は思いつくであろう。例えば、バケットソーティングアルゴリズム(bucket sorting algorithm)を用いるグローバル検索(global searching)スキームを説明し示したが、他の同等な手法を同じことを達成するために用いることができる。例示的な分割法を図6A〜図6Dに示したが、他の等価な法を、例えば面をコーナーノードと中心ノードとを接続することによりさらに分割する方法を用いて、同じことを達成できる。最後に、図6Cに示す分割法を中空の角柱の例示的なFEAモデルに用いることを示した。他の分割法を、例えば図6Dに示す分割法を用いて、同じことを達成できる。つまり、発明の範囲は、ここで開示した具体的で例示的な実施形態に限定されず、当業者が容易に想到するあらゆる変更が、本願の精神および認識範囲そして添付の特許請求の範囲の権利範囲に含まれる。
101〜104 低次有限要素
202〜206 二次2D有限要素
212〜216 コーナーノード
222〜226 辺中間ノード
236 中心ノード
252〜254 二次3D有限要素
262〜264 コーナーノード
272〜274 辺中間ノード
410 FEAモデル
411a〜411d グループ
420 FEAモデル
501 第一接触面
502 第二接触面
520 接触面
602 三角形要素
604〜606 四角形要素
622〜626 辺中間ノード
636 中心ノード
642〜646 接触セグメント
666 接触セグメント
700 当初の構成
710 二次有限要素
720 低次有限要素
750 変形した構成
810 3ノード接触セグメント
820 4ノード接触セグメント
902 バス
904 プロセッサ
906 モジュール
908 メインメモリ(RAM)
910 二次メモリ
912 ハードディスクドライブ
914 リムーバブルストレージドライブ
918 リムーバブルストレージユニット
920 インタフェース
924 通信インタフェース
930 I/Oインタフェース

Claims (16)

  1. 衝突イベントにおける製品の構造挙動を数値的にシミュレートする方法であって、
    有限要素解析(FEA)アプリケーションモジュールがインストールされたコンピュータシステムにおいて、衝突イベントの時間進行シミュレーションにおいて用いられる製品を表すFEAモデルを受け取るステップであって、前記FEAモデルは一以上の有限要素グループに組織化され、各グループは部品識別子(ID)によって識別されるとともに前記製品の部品の一つを表しており、前記FEAモデルは一以上の接触面定義を用いて構成されており、前記接触面定義のそれぞれは少なくとも一の前記グループを備えているステップと、
    前記グループのうちのどの一以上の前記グループが二次有限要素を含んでいるかを決定するステップと、
    各決定グループに新しいグループを生成するステップと、
    前記各決定グループの部品IDに基づいて前記新しく生成されたグループに固有の部品IDを関連付けるステップと、
    前記各決定グループにおける前記二次有限要素に関連する一以上の幾何学的形状をさらに分割するよう、一セットの予め定義された規則に従って前記新しく生成されたグループに対する接触セグメントを生成するステップと、
    前記各決定グループにおける前記二次有限要素の特性に基づいて前記新しく生成されたグループに要素特性を割り当てるステップと、
    前記各決定グループを前記新しく生成されたグループで置き換えることにより前記接触面定義を更新するステップと、
    前記衝突イベントによる前記部品間の接触を検出するよう、前記更新された接触面定義とともに前記FEAモデルを用いて、前記コンピュータシステムにおいて前記時間進行シミュレーションを行うことにより、前記製品のシミュレートされた構造挙動を取得するステップと、
    を備える方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記接触セグメントのそれぞれは三角形または四角形の面を備える方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、前記二次有限要素のそれぞれはコーナーノードに加えて追加ノードを備える方法。
  4. 請求項3に記載の方法であって、前記追加ノードには二つのコーナーノード間の辺の中間に位置する辺中間ノードが含まれる方法。
  5. 請求項4に記載の方法であって、前記一セットの予め定義された規則には、隣接する二つの辺中間ノードを接続することにより前記二次有限要素のそれぞれの前記面をさらに分割することが含まれる方法。
  6. 請求項3に記載の方法であって、前記追加ノードには、前記二次要素のそれぞれの中心に位置する中心ノードがさらに含まれる方法。
  7. 請求項6に記載の方法であって、前記一セットの予め定義された規則には、前記辺中間ノードのそれぞれを前記中心ノードと接続することにより前記二次有限要素のそれぞれの前記面をさらに分割することが含まれる方法。
  8. 請求項1に記載の方法であって、前記固有の部品IDは、接頭部または接尾部を前記各決定グループの部品IDに追加することによって生成される方法。
  9. 衝突イベントにおける製品の構造挙動を数値的にシミュレートするシステムであって、
    有限要素解析法アプリケーションモジュールに関するコンピュータ可読コードを記憶しているメインメモリと、
    前記メインメモリに連結される少なくとも1つのプロセッサであって、該少なくとも1つのプロセッサが前記メインメモリ内の前記コンピュータ可読コードを実行して、前記有限要素解析法アプリケーションモジュールに、方法に基づいてオペレーションを実行させるシステムであって、該方法が、
    衝突イベントの時間進行シミュレーションにおいて用いられる製品を表すFEAモデルを受け取るステップであって、前記FEAモデルは一以上の有限要素グループに組織化され、各グループは部品識別子(ID)によって識別されるとともに前記製品の部品の一つを表しており、前記FEAモデルは一以上の接触面定義を用いて構成されており、前記接触面定義のそれぞれは少なくとも一の前記グループを備えているステップと、
    前記グループのうちのどの一以上前記グループが二次有限要素を含んでいるかを決定するステップと、
    各決定グループに新しいグループを生成するステップと、
    前記各決定グループの部品IDに基づいて前記新しく生成されたグループに固有の部品IDを関連付けるステップと、
    前記各決定グループにおける前記二次有限要素に関連する一以上の幾何学的形状をさらに分割するよう、一セットの予め定義された規則に従って前記新しく生成されたグループに対する接触セグメントを生成するステップと、
    前記各決定グループにおける前記二次有限要素の特性に基づいて前記新しく生成されたグループに要素特性を割り当てるステップと、
    前記各決定グループを前記新しく生成されたグループで置き換えることにより前記接触面定義を更新するステップと、
    前記衝突イベントによる前記部品間の接触を検出するよう、更新された前記接触面定義とともに前記FEAモデルを用いて前記時間進行シミュレーションを行うことにより、前記製品のシミュレートされた構造挙動を取得するステップと、
    を備えるシステム。
  10. 請求項9に記載のシステムであって、前記二次有限要素のそれぞれはコーナーノードに加えて追加ノードを備えるシステム。
  11. 請求項10に記載のシステムであって、前記追加ノードには二つのコーナーノード間の辺の中間に位置する辺中間ノードが含まれ、前記一セットの予め定義された規則には、隣接する二つの辺中間ノードを接続することにより前記二次有限要素のそれぞれの前記面をさらに分割することが含まれるシステム。
  12. 請求項10に記載のシステムであって、前記追加ノードには、前記二次要素のそれぞれの中心に位置する中心ノードがさらに含まれ、前記一セットの予め定義された規則には、前記辺中間ノードのそれぞれを前記中心ノードと接続することにより前記二次有限要素のそれぞれの前記面をさらに分割することが含まれるシステム。
  13. 方法に基づいて、衝突イベントにおける製品の構造挙動を数値的にシミュレートする命令を備えるコンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体であって、該方法が、
    有限要素解析(FEA)アプリケーションモジュールがインストールされたコンピュータシステムにおいて、衝突イベントの時間進行シミュレーションにおいて用いられる製品を表すFEAモデルを受け取るステップであって、前記FEAモデルは、一以上の有限要素グループに組織化され、各グループは部品識別子(ID)によって識別されるとともに前記製品の部品の一つを表しており、前記FEAモデルは一以上の接触面定義を用いて構成されており、前記接触面定義のそれぞれは少なくとも一の前記グループを備えているステップと、
    前記グループのうちのどの一以上グループが二次有限要素を含んでいるかを決定するステップと、
    各決定グループに新しいグループを生成するステップと、
    前記各決定グループの部品IDに基づいて前記新しく生成されたグループに固有の部品IDを関連付けるステップと、
    前記各決定グループにおける二次有限要素に関連する一以上の幾何学的形状をさらに分割するよう、一セットの予め定義された規則に従って前記新しく生成されたグループに対する接触セグメントを生成するステップと、
    前記各決定グループにおける前記二次有限要素の特性に基づいて前記新しく生成されたグループに要素特性を割り当てるステップと、
    前記各決定グループを前記新しく生成されたグループで置き換えることにより接触面定義を更新するステップと、
    衝突イベントによる部品間の接触を検出するよう、前記更新された接触面定義とともに前記FEAモデルを用いて、前記コンピュータシステムにおいて時間進行シミュレーションを行うことにより、製品のシミュレートされた構造挙動を取得するステップと、
    を備えるコンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体。
  14. 請求項13に記載のコンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体であって、前記二次有限要素のそれぞれはコーナーノードに加えて追加ノードを備えるコンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体。
  15. 請求項14に記載のコンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体であって、前記追加ノードには二つのコーナーノード間の辺の中間に位置する辺中間ノードが含まれ、前記一セットの予め定義された規則には、隣接する二つの辺中間ノードを接続することにより前記二次有限要素のそれぞれの前記面をさらに分割することが含まれるコンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体。
  16. 請求項14に記載のコンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体であって、前記追加ノードには、前記二次要素のそれぞれの中心に位置する中心ノードがさらに含まれ、前記一セットの予め定義された規則には、前記辺中間ノードのそれぞれを前記中心ノードと接続することにより前記二次有限要素のそれぞれの前記面をさらに分割することが含まれるコンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体。
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