JP6252306B2 - ヘテロアセン誘導体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子材料への展開が可能な高性能な有機半導体材料の製造に繋がるヘテロアセン誘導体の新規な製造方法に関するものであり、特に触媒の添加量の調節によりヘテロアセン誘導体の選択的な製造が可能となるヘテロアセン誘導体の新規な製造方法に関するものである。
有機薄膜トランジスタに代表される有機半導体デバイスは、省エネルギー、低コスト及びフレキシブルといった無機半導体デバイスにはない特徴を有することから近年注目されている。この有機半導体デバイスは、有機半導体層、基板、絶縁層、電極等の数種類の材料から構成され、中でも電荷のキャリア移動を担う有機半導体層は該デバイスの中心的な役割を有している。そして、有機半導体デバイス性能は、この有機半導体層を構成する有機半導体材料のキャリア移動度により左右されることから、高キャリア移動度を与える有機半導体材料の出現が所望されている。
有機半導体層を作製する方法としては、高温真空下、有機材料を気化させて実施する真空蒸着法、有機材料を適当な溶媒に溶解させその溶液を塗布する塗布法等の方法が一般的に知られている。このうち、塗布法においては、高温高真空条件を要しない印刷技術を用いても実施することができるため、デバイス作製の大幅な製造コストの削減を図ることが期待でき、経済的に好ましいプロセスである。そして、このような塗布法に使用される有機半導体材料には、低分子系と高分子系のものがあるが、1.0cm/V・sを超えるキャリア移動度を得ることができる低分子系材料の方が好ましい。さらに室温で1.0重量%以上の溶解度を持ち、150℃以上の耐熱性も合わせ持つことがデバイス作製のプロセス上の観点から好ましい。しかし、高キャリア移動度、高溶解性、及び高耐熱性を兼ね合わせた低分子系の有機半導体材料は知られていないのが現状である。
現在、低分子系材料としては、ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]ペンタセン(例えば、非特許文献1参照。)、ジアルキル置換ベンゾチエノベンゾチオフェン(例えば、特許文献1参照。)、ジヘキシルジチエノベンゾジチオフェン(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)等が提案されている。
しかし、非特許文献1に記載されたビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]ペンタセンは、塗布膜の移動度が0.3から1.0cm/Vsであったものが、120℃の熱処理後、0.2cm/Vsへ低下するという問題があった。また、特許文献1に記載されたジアルキル置換ベンゾチエノベンゾチオフェンの場合も、130℃に熱処理するとトランジスタ動作が失われるという問題があった。さらに、特許文献2及び特許文献3に提案のジヘキシルジチエノベンゾジチオフェンは、ドロップキャスト法により0.1cm/V・sのキャリア移動度を示すが、室温での溶媒に対する溶解度が低いという問題があった。
このような課題を解決するものとしては、剛直なヘテロアセン縮合多環骨格を有し、その側鎖として酸素原子、硫黄原子、又はケイ素原子等のヘテロ原子を同一側鎖中に複数個含有する炭化水素基を有する低分子系有機半導体材料の開発が挙げられる。すなわち、一般に、剛直なヘテロアセン縮合多環骨格間での強固なπ−π相互作用に加え、ヘテロ原子含有炭化水素基側鎖の凝集効果により、良好なキャリア移動度及び高い耐熱性の発現、及びヘテロ原子含有炭化水素基側鎖の自由度により、高い溶解性の発現が可能となることが知られており、上記課題の解決のためには、当該材料の開発が好適である。そして、より好ましくはより高い溶解性の発現のため、ヘテロアセン縮合多環骨格上の各々の側鎖の種類、又は側鎖長が異なった結晶構造的に揺らぎを生じさせることができる、分子構造的に非対称な構造を有する有機半導体材料が望ましいものである。
しかし、分子構造的に非対称な構造を有する有機半導体材料を製造するためには、ヘテロアセン縮合多環骨格に段階的に一つずつ側鎖を導入する製造方法が必要となる。
再公表特許WO2008/047896号公報 特表2011/526588号公報 特開2012/209329号公報
ジャーナル オブ ポリマー サイエンス: パートB: ポリマー フィジックス、2006年、44巻、3631〜3641頁
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高いキャリア移動度を与えると共に、溶媒への溶解性及びトランジスタ素子の耐熱性に優れる有機半導体材料の製造に繋がるヘテロアセン誘導体を、効率よく選択的に製造する製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討の結果、特定の製造方法によりヘテロアセン誘導体を製造することで、高キャリア移動度で高耐熱性及び高溶解性な有機半導体材料の製造に繋がるヘテロアセン誘導体を、効率よく選択的に製造することができることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、下記に示されることを特徴とするヘテロアセン誘導体の製造方法に関するものである。
触媒としてルイス酸の存在下、下記一般式(1)で示されるヘテロアセンと、下記一般式(2)で示されるハロゲン化アシル化合物とのフリーデルクラフツアシル化反応を経て、下記一般式(3)又は下記一般式(4)で示されるヘテロアセン誘導体を選択的に製造することを特徴とする、ヘテロアセン誘導体の製造方法。
Figure 0006252306
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Figure 0006252306
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。Rは、、炭素数1〜20の炭化水素基を示す。T及びTは、それぞれ独立して硫黄原子、酸素原子又は下記一般式(5)で示される構造を示し、環Aは、酸素原子若しくは硫黄原子を含む置換又は未置換の縮合環を示す。ここで、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。Xはハロゲン原子(塩素、臭素、又はヨウ素)を示す。nは0〜20の整数を示す。)
Figure 0006252306
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の上記一般式(3)又は上記一般式(4)で示されるヘテロアセン誘導体は、少なくとも触媒としてルイス酸の存在下、上記一般式(1)で示されるヘテロアセンと、上記一般式(2)で示されるハロゲン化アシル化合物とのフリーデルクラフツアシル化反応を経て製造するものである。
ここで、本発明の上記一般式(3)又は上記一般式(4)で示されるヘテロアセン誘導体において、置換基R及びRにおける炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられ、その中でも特に高キャリア移動度、高溶解性及び高耐熱性を同時に満たした有機半導体材料を製造するのに好適なため、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基であることがさらに好ましい。
本発明の上記一般式(3)又は上記一般式(4)で示されるヘテロアセン誘導体において、置換基Rにおける炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられ、その中でも特に高キャリア移動度、高溶解性及び高耐熱性を同時に満たした有機半導体材料を製造するのに好適なため、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基であることがさらに好ましい。
本発明の上記一般式(3)又は上記一般式(4)で示されるヘテロアセン誘導体において、置換基R及びRにおける炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられ、その中でも特に高キャリア移動度、高溶解性及び高耐熱性を同時に満たした有機半導体材料を製造するのに好適なため、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基であることがさらに好ましい。
本発明の上記一般式(3)又は上記一般式(4)で示されるヘテロアセン誘導体において、高キャリア移動度、高溶解性及び高耐熱性を同時に満たした有機半導体材料を製造するのに好適なため、nが2以上10以下であることが好ましく、nが3以上6以下であることがさらに好ましい。
本発明の上記一般式(3)又は上記一般式(4)で示されるヘテロアセン誘導体において、環Aは、酸素原子若しくは硫黄原子を含む置換又は未置換の縮合環であり、この中でも、高キャリア移動度、高溶解性及び高耐熱性を同時に満たした有機半導体材料を製造するのに好適なため、環数が5以下の酸素原子又は硫黄原子を含む未置換の縮合環が好ましい。
本発明のヘテロアセン誘導体の製造方法は、上記一般式(3)ヘテロアセン誘導体又は上記一般式(4)のヘテロアセン誘導体のいずれか一方を選択的に製造することができることを特徴とする。
本発明のヘテロアセン誘導体の製造方法では、ルイス酸の添加量をハロゲン化アシル化合物1当量に対し1当量以下とすることで、上記一般式(3)のヘテロアセン誘導体を選択的に製造することができる。該フリーデルクラフツアシル化反応は、フリーデルクラフツアシル化反応を行うことができる条件であれば特に制限はないが、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トルエン等の溶媒中で行うことができる。ハロゲン化アシル化合物の使用量は、効率よく一般式(3)のヘテロアセン誘導体を採取できるため、ヘテロアセン(1)1当量に対し1〜5当量が好ましい。
一方、本発明のヘテロアセン誘導体の製造方法では、ルイス酸の添加量をハロゲン化アシル化合物1当量に対し1当量より多くすることで、上記一般式(4)のヘテロアセン誘導体を選択的に製造することができる。この場合において、より選択的にヘテロアセン誘導体(4)を製造するのに好適なため、ルイス酸の添加量はハロゲン化アシル化合物1当量に対し2当量以上とすることが好ましい。該フリーデルクラフツアシル化反応は、フリーデルクラフツアシル化反応を行うことができる条件であれば特に制限はないが、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トルエン等の溶媒中で行うことができる。ハロゲン化アシル化合物の使用量は、効率よくヘテロアセン誘導体(4)を採取できるため、ヘテロアセン(1)1当量に対し2〜10当量が好ましい。
該ルイス酸としては特に制限はないが、例えば、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化鉄、臭化鉄、塩化チタン、臭化チタン等が挙げられ、その中でも特に効率よく選択的に反応が進行するため、塩化アルミニウムが好ましい。
また、一般式(2)の該ハロゲン化アシル化合物は塩化物、臭化物又はヨウ化物であれば特に制限はないが、その中でも特に効率よく選択的に反応が進行するため、塩化物(一般式(2)におけるX=Cl)が好ましい。
さらに、本発明のヘテロアセン誘導体の製造方法により製造されたヘテロアセン誘導体は、カラムクロマトグラフィー等に供することにより精製することができ、その際の分離剤としては特に制限はないが、例えば、シリカゲル、アルミナ等を挙げることができ、溶媒としては特に制限はないが、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル等を挙げることができる。なお、純度を測定する際には液体クロマトグラフィーにより分析することにより測定することが可能である。
本発明のヘテロアセン誘導体の製造方法に用いられるヘテロアセンは一般式(1)で示されるものであり、その中でも高いキャリア移動度を得るため、以下の構造を有するヘテロアセンが好ましい。
Figure 0006252306
本発明の上記一般式(3)又は上記一般式(4)で示されるヘテロアセン誘導体の具体的例示としては、以下のものを挙げることができる。
Figure 0006252306
Figure 0006252306
そして、その中でも特に高キャリア移動度、高溶解性及び高耐熱性を同時に満たした有機半導体材料を製造するのに好適なため、2−メチルオキサリルジチエノベンゾジチオフェン、2−(メトキシカルボニル)アセチルジチエノベンゾジチオフェン、2−(3−メトキシカルボニル)プロパノイルジチエノベンゾジチオフェン、2−(4−メトキシカルボニル)ブタノイルジチエノベンゾジチオフェン、2−(5−メトキシカルボニル)ペンタノイルジチエノベンゾジチオフェン、2−メチルオキサリルジチエノベンゾジフラン、2−(メトキシカルボニル)アセチルジチエノベンゾジフラン、2−(3−メトキシカルボニル)プロパノイルジチエノベンゾジフラン、2−(4−メトキシカルボニル)ブタノイルジチエノベンゾジフラン、2−(5−メトキシカルボニル)ペンタノイルジチエノベンゾジフラン、2−メチルオキサリルジフロベンゾジフラン、2−(メトキシカルボニル)アセチルジフロベンゾジフラン、2−(3−メトキシカルボニル)プロパノイルジフロベンゾジフラン、2−(4−メトキシカルボニル)ブタノイルジフロベンゾジフラン、2−(5−メトキシカルボニル)ペンタノイルジフロベンゾジフラン、3−メチルオキサリルジベンゾチエノベンゾジチオフェン、3−(メトキシカルボニル)アセチルジベンゾチエノベンゾジチオフェン、3−(3−メトキシカルボニル)プロパノイルジベンゾチエノベンゾジチオフェン、3−(4−メトキシカルボニル)ブタノイルジベンゾチエノベンゾジチオフェン、3−(5−メトキシカルボニル)ペンタノイルジベンゾチエノベンゾジチオフェン、ビス(メチルオキサリル)ジチエノベンゾジチオフェン、ビス[(メトキシカルボニル)アセチル]ジチエノベンゾジチオフェン、ビス[(3−メトキシカルボニル)プロパノイル]ジチエノベンゾジチオフェン、ビス[(4−メトキシカルボニル)ブタノイル]ジチエノベンゾジチオフェン、ビス[(5−メトキシカルボニル)]ペンタノイルジチエノベンゾジチオフェン、ビス(メチルオキサリル)ジチエノベンゾジフラン、ビス[(メトキシカルボニル)アセチル]ジチエノベンゾジフラン、ビス[(3−メトキシカルボニル)プロパノイル]ジチエノベンゾジフラン、ビス[(4−メトキシカルボニル)ブタノイル]ジチエノベンゾジフラン、ビス[(5−メトキシカルボニル)]ペンタノイルジチエノベンゾジフラン、ビス(メチルオキサリル)ジフロベンゾジフラン、ビス[(メトキシカルボニル)アセチル]ジフロベンゾジフラン、ビス[(3−メトキシカルボニル)プロパノイル]ジフロベンゾジフラン、ビス[(4−メトキシカルボニル)ブタノイル]ジフロベンゾジフラン、ビス[(5−メトキシカルボニル)]ペンタノイルジフロベンゾジフラン、ビス(メチルオキサリル)ジベンゾチエノベンゾジチオフェン、ビス[(メトキシカルボニル)アセチル] ジベンゾチエノベンゾジチオフェン、ビス[(3−メトキシカルボニル)プロパノイル] ジベンゾチエノベンゾジチオフェン、ビス[(4−メトキシカルボニル)ブタノイル] ジベンゾチエノベンゾジチオフェン、ビス[(5−メトキシカルボニル)]ペンタノイルジベンゾチエノベンゾジチオフェンであることが好ましい。
本発明のヘテロアセン誘導体の製造方法で用いられる一般式(1)で示されるヘテロアセンは、如何なる方法により製造されたものであってもよい。そして、一般式(1)で示させるヘテロアセンの具体的な製造方法としては、例えば、以下のものを挙げることができる(ヘテロアセンの内、ジチエノベンゾチオフェン(一般式(7))、ジチエノベンゾフラン(一般式(10))、ジフロベンゾジフラン(一般式(13))、及びジベンゾチエノベンゾジチオフェン(一般式(15))の製造方法)。
該ヘテロアセンの内、R及びRが水素、T及びTが硫黄、環Aがベンゾジチオフェンである化合物、即ちジチエノベンゾジチオフェンの製造方法としては、該ジチエノベンゾジチオフェンを製造することが可能であれば如何なる製造方法を用いることも可能である。例えば、ジチエノベンゾジチオフェンを製造する場合、下記(A)〜(B)の工程を経る製造方法により製造することができる。
(A)工程;パラジウム触媒の存在下、3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体と1,2,4,5−テトラハロベンゼンから1,4−ジ(3−ハロチエニル)−2,5−ジハロベンゼン(下記一般式(6))を製造する方法。
(B)工程;硫化アルカリ金属塩の存在下、(A)工程により得られた1,4−ジ(3−ハロチエニル)−2,5−ジハロベンゼン(6)の分子内環化によりジチエノベンゾジチオフェン(下記一般式(7))を製造する工程。
具体的な製造方法を以下の反応スキーム1に示す。
Figure 0006252306
ここで、反応スキーム1における(A)工程は、パラジウム触媒の存在下、3−ブロモチオフェン−2−亜鉛誘導体と1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼンのクロスカップリングにより1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジフルオロベンゼン(6)を製造する工程である。
反応スキーム1における(B)工程は、硫化ナトリウムの存在下、(A)工程により得られた1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジフルオロベンゼン(6)の分子内環化によりジチエノベンゾジチオフェン(7)を製造する工程である。
ヘテロアセンの内、R及びRが水素、T及びTが酸素、環Aがベンゾジチオフェンである化合物、即ちジチエノベンゾジフランの製造方法としては、該ジチエノベンゾジフランを製造することが可能であれば如何なる製造方法を用いることも可能である。例えば、ジチエノベンゾジフランを製造する場合、下記(C)〜(E)の工程を経る製造方法により製造することができる。
(C)工程;パラジウム触媒の存在下、3−ブロモフラン−2−亜鉛誘導体と1,4−ジブロモ−2,5−ジハロベンゼンのパラジウム触媒クロスカップリングにより1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジハロベンゼン(下記一般式(8))を製造する工程。
(D)工程;(C)工程により得られた1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジハロベンゼン(8)と硫化ナトリウムを用いたモノ分子内環化反応によりブロモハロモノ環化物(下記一般式(9))を製造する工程。
(E)工程;(D)工程により得られたブロモハロモノ環化物(9)をn−ブチルリチウムによるジリチオ化/ビス(フェニルスルホニル)スルフィドによる二つ目の環を形成させる方法でジチエノベンゾジフラン(下記一般式(10))を製造する工程。
具体的な製造方法を以下の反応スキーム2に示す。
Figure 0006252306
ここで、反応スキーム2における(C)工程は、パラジウム触媒の存在下、3−ブロモフラン−2−亜鉛誘導体と1,4−ジブロモ−2,5−ジヨードベンゼンのクロスカップリングにより1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジブロモベンゼン(8)を製造する工程である。
反応スキーム2における(D)工程は、(C)工程により得られた1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジブロモベンゼン(8)と硫化ナトリウムを用いたモノ分子内環化反応によりジブロモモノ環化物(9)を製造する工程である。
反応スキーム2における(E)工程は、(D)工程により得られたジブロモモノ環化物(9)をn−ブチルリチウムによるジリチオ化/ビス(フェニルスルホニル)スルフィドによる環化反応に供し、ジチエノベンゾジフラン(10)を製造する工程である。
ヘテロアセンの内、R及びRが水素、T及びTが酸素、環Aがベンゾジフランである化合物、即ちジフロベンゾジフランの製造方法としては、該ジフロベンゾジフランを製造することが可能であれば如何なる製造方法を用いることも可能である。例えば、ジフロベンゾジフランを製造する場合、下記(F)〜(H)の工程を経る製造方法により製造することができる。
(F)工程;パラジウム触媒の存在下、3−ブロモフラン−2−亜鉛誘導体と1,4−ジブロモ−2,5−ジメトキシベンゼンにより1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジメトキシベンゼン(下記一般式(11))を製造する工程。
(G)工程;三臭化ホウ素の存在下、(F)工程により得られた1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジメトキシベンゼン(11)の脱メチル化により1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジヒドロキシベンゼン(下記一般式(12))を製造する工程。
(H)工程;パラジウム触媒の存在下、(G)工程により得られた1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジヒドロキシベンゼン(12)の分子内環化によりジフロベンゾジフラン(下記一般式(13))を製造する工程。
具体的な製造方法を以下の反応スキーム3に示す。
Figure 0006252306
ここで、反応スキーム3における(F)工程は、前述の反応スキーム2の(C)工程と同様の反応条件で実施することができ、1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジメトキシベンゼン(11)を製造する工程である。
反応スキーム3における(G)工程は、三臭化ホウ素の存在下、(F)工程により得られた1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジメトキシベンゼン(11)の脱メチル化により1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジヒドロキシベンゼン(12)を製造する工程である。
反応スキーム3における(H)工程は、パラジウム触媒の存在下、(G)工程により得られた1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジヒドロキシベンゼン(12)の分子内環化によりジフロベンゾジフラン(13)を製造する工程である。
なお、該環化反応は、例えば、ジャーナル オブ オルガニック ケミストリィー(米国)、2007年、72巻、5119−5128頁に記載してある方法を用いて実施することもできる。
ヘテロアセンの内、R及びRが水素、T及びTが一般式(5)で表されかつR及びRが水素、環Aがジチエノベンゾジチオフェンである化合物、即ちジベンゾチエノベンゾジチオフェンの製造方法としては、該ジベンゾチエノベンゾジチオフェンを製造することが可能であれば如何なる製造方法を用いることも可能である。例えば、ジベンゾチエノベンゾジチオフェンを製造する場合、下記(I)〜(J)の工程を経る製造方法により製造することができる。
(I)工程;パラジウム触媒の存在下、2、3−ジブロモベンゾチオフェン−2−亜鉛誘導体と1,4−ジブロモ−2,5−ジハロベンゼンのパラジウム触媒クロスカップリングにより1,4−ビス(3−ブロモベンゾチエニル)−2,5−ジハロベンゼン(下記一般式(14))を製造する工程。
(J)工程;(I)工程により得られた1,4−ビス(3−ブロモベンゾチエニル)−2,5−ジハロベンゼン(14)をsec−ブチルリチウムによるジリチオ化/ビス(フェニルスルホニル)スルフィドによる分子内環化によりジベンゾチエノベンゾジチオフェン(下記一般式(15))を製造する工程。
具体的な製造方法を以下の反応スキーム4に示す。
Figure 0006252306
ここで、反応スキーム4における(I)工程は、パラジウム触媒の存在下、2、3−ジブロモベンゾチオフェン−2−亜鉛誘導体と1,4−ジブロモ−2,5−ジヨードベンゼンのパラジウム触媒クロスカップリングにより1,4−ビス(3−ブロモベンゾチエニル)−2,5−ジブロモベンゼン(下記一般式(14))を製造する工程である。
反応スキーム4における(J)工程は、(I)工程により得られた1,4−ビス(3−ブロモベンゾチエニル)−2,5−ジブロモベンゼン(14)をsec−ブチルリチウムによるジリチオ化/ビス(フェニルスルホニル)スルフィドによる分子内環化によりジベンゾチエノベンゾジチオフェン(下記一般式(15))を製造する工程である。
本発明はヘテロアセン(1)からヘテロアセン誘導体を効率的かつ選択的に製造することを特徴とするものであって、本発明の製造方法により得られるヘテロアセン誘導体を用いて有機半導体材料の製造をする場合に、高いキャリア移動度を与えると共に、溶媒への溶解性及びトランジスタ素子の耐熱性に優れる有機半導体材料が製造されることを特徴とするものである。
例えば、本発明の製造方法により得られるR及びRが水素原子である上記一般式(3)のヘテロアセン誘導体の製造(下記(K)工程)を経て有機半導体材料を製造する場合、下記(K)〜(N)の工程を経る製造方法により、該有機半導体材料を製造することが可能である。
(K)工程;触媒としてルイス酸の存在下、ヘテロアセン(下記一般式(16))と第1のハロゲン化アシル化合物とのフリーデルクラフツアシル化反応により、ヘテロアセンのモノアシル体(ヘテロアセン誘導体、下記一般式(17))を製造する工程。
(L)工程;触媒としてルイス酸の存在下、(K)工程により得られたヘテロアセンのモノアシル体(17)と第2のハロゲン化アシル化合物とのフリーデルクラフツアシル化反応により、ヘテロアセンのジアシル体(下記一般式(18))を製造する工程。
(M)工程;(L)工程により得られたヘテロアセンのジアシル体(18)を還元反応に供し、ヘテロアセンのモノ(ヒドロキシアルキル)体(下記一般式(19))を製造する工程。
(N)工程;塩基存在下、(M)工程により得られたヘテロアセンのモノ(ヒドロキシアルキル)体(19)と、ヘテロ原子含有炭化水素ハロゲン化物又はヘテロ原子含有炭化水素トリフルオロメタンスルホナートとの反応により、有機半導体材料(下記一般式(20))を製造する工程。
具体的な製造方法を以下の反応スキーム5に示す。
Figure 0006252306
(ここで、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示す。Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示す。Rは、酸素原子、硫黄原子、又はケイ素原子等のヘテロ原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基を示す。T及びTは、それぞれ独立して硫黄原子、酸素原子又は上記一般式(5)で示される構造を示し、環Aは、酸素原子若しくは硫黄原子を含む置換又は未置換の縮合環を示す。ここで、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。Yは、ハロゲン原子(塩素、臭素、又はヨウ素)又はトリフルオロメタンスルホナートを示す。nは0〜20の整数で示される。)
ここで、反応スキーム5における(K)工程は、触媒として塩化アルミニウムの存在下、ヘテロアセン(16)と第1の塩化アシル化合物とのフリーデルクラフツアシル化反応により、ヘテロアセンのモノアシル体(ヘテロアセン誘導体、(17))を製造する工程である。
該第1の塩化アシル化合物としては、例えば、2−メチルオキサリルクロリド、(メトキシカルボニル)塩化アセチル、3−(メトキシカルボニル)塩化プロパノイル、4−(メトキシカルボニル)塩化ブタノイル、5−(メトキシカルボニル)塩化ペンタノイル、6−(メトキシカルボニル)塩化ヘキサノイル、7−(メトキシカルボニル)塩化ヘプタノイル、8−(メトキシカルボニル)塩化オクタノイル等を挙げることができる。該フリーデルクラフツアシル化反応は、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トルエン等の溶媒中で行うことができる。塩化アシル化合物の使用量は、効率よくヘテロアセンのモノアシル体(17)を採取できるため、ヘテロアセン(16)1当量に対し1〜5当量が好ましい。
反応スキーム5における(L)工程は、触媒として塩化アルミニウムの存在下、(K)工程により得られたヘテロアセンのモノアシル体(17)と第2の塩化アシル化合物とのフリーデルクラフツアシル化反応により、ヘテロアセンのジアシル体(18)を製造する工程である。
該第2の塩化アシル化合物としては、例えば、塩化ペンタノイル、塩化ヘキサノイル、塩化ヘプタノイル、塩化オクタノイル等を挙げることができる。
反応スキーム5における(M)工程は、(L)工程により得られたヘテロアセンのジアシル体(18)を還元反応に供し、ヘテロアセンのモノ(ヒドロキシアルキル)体(19)を製造する工程である。
ヘテロアセンのジアシル体の還元反応は、例えば、還元剤として水素化ホウ素ナトリウム/塩化アルミニウムを用いた反応等を挙げることができる。
反応スキーム5における(N)工程は、塩基存在下、(M)工程により得られたヘテロアセンのモノ(ヒドロキシアルキル)体(19)と、ヘテロ原子含有炭化水素ハロゲン化物又はヘテロ原子含有炭化水素トリフルオロメタンスルホナートとの反応により、有機半導体材料(20)を製造する工程である。
該塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、イミダゾール、2,6−ルチジン、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ノルマルブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等を挙げることができる。
該ヘテロ原子含有炭化水素ハロゲン化物としては、例えば、メトキシメチルクロリド、メトキシエチルクロリド、エトキシメチルクロリド、プロポキシメチルクロリド、メチルチオメチルクロリド、メチルチオエチルクロリド、エチルチオメチルクロリド、プロピルチオメチルクロリド、トリメチルシリルクロリド、トリエチルシリルクロリド、トリイソプロピルクロリド、ターシャリーブチルジメチルシリルクロリド、ターシャリーブチルジフェニルシリルクロリド等を挙げることができる。また、該ヘテロ原子含有炭化水素トリフルオロメタンスルホナートとしては、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート、トリエチルシリルトリフルオロメタンスルホナート、トリイソプロピルトリフルオロメタンスルホナート、ターシャリーブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート、ターシャリーブチルジフェニルシリルトリフルオロメタンスルホナート等を挙げることができる。
また、例えば、本発明の製造方法により得られるR及びRが水素原子である上記一般式(4)のヘテロアセン誘導体の製造(下記(O)工程)を経て有機半導体材料を製造する場合、下記(O)〜(Q)の工程を経る製造方法により、該有機半導体材料を製造することが可能である。
(O)工程;触媒としてルイス酸の存在下、ヘテロアセン(下記一般式(16))とハロゲン化アシル化合物とのフリーデルクラフツアシル化反応により、ヘテロアセンのジアシル体(ヘテロアセン誘導体、下記一般式(21))を製造する工程。
(P)工程;(O)工程により得られたヘテロアセンのジアシル体(21)を還元反応に供し、ヘテロアセンのジ(ヒドロキシアルキル)体(下記一般式(22))を製造する工程。
(Q)工程;塩基存在下、(P)工程により得られたヘテロアセンのジ(ヒドロキシアルキル)体(22)と、ヘテロ原子含有炭化水素ハロゲン化物又はヘテロ原子含有炭化水素トリフルオロメタンスルホナートとの反応により、有機半導体材料(下記一般式(23))を製造する工程。
具体的な製造方法を以下の反応スキーム6に示す。
Figure 0006252306
(ここで、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示す。Rは、酸素原子、硫黄原子、又はケイ素原子等のヘテロ原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基を示す。T及びTは、それぞれ独立して硫黄原子、酸素原子又は上記一般式(5)で示される構造を示し、環Aは、酸素原子若しくは硫黄原子を含む置換又は未置換の縮合環を示す。ここで、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。Yは、ハロゲン原子(塩素、臭素、又はヨウ素)又はトリフルオロメタンスルホナートを示す。nは0〜20の整数で示される。)
ここで、反応スキーム6における(O)工程は、触媒として塩化アルミニウムの存在下、ヘテロアセン(16)と塩化アシル化合物とのフリーデルクラフツアシル化反応により、ヘテロアセンのジアシル体(ヘテロアセン誘導体、(21))を製造する工程である。
該塩化アシル化合物としては、例えば、2−メチルオキサリルクロリド、(メトキシカルボニル)塩化アセチル、3−(メトキシカルボニル)塩化プロパノイル、4−(メトキシカルボニル)塩化ブタノイル、5−(メトキシカルボニル)塩化ペンタノイル、6−(メトキシカルボニル)塩化ヘキサノイル、7−(メトキシカルボニル)塩化ヘプタノイル、8−(メトキシカルボニル)塩化オクタノイル等を挙げることができる。該フリーデルクラフツアシル化反応は、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トルエン等の溶媒中で行うことができる。塩化アシル化合物の使用量は、効率よくヘテロアセンのジアシル体(21)を採取できるため、ヘテロアセン(16)1当量に対し2〜10当量が好ましい。
反応スキーム6における(P)工程は、ヘテロアセンのジアシル体(21)を還元反応に供し、ヘテロアセンのジ(ヒドロキシアルキル)体(22)を製造する工程である。
ヘテロアセンのジアシル体(21)の還元反応は、例えば、還元剤として水素化ホウ素ナトリウム/塩化アルミニウムを用いた反応等を挙げることができる。
反応スキーム6における(Q)工程は、塩基存在下、(P)工程により得られたヘテロアセンのジ(ヒドロキシアルキル)体(22)と、ヘテロ原子含有炭化水素ハロゲン化物又はヘテロ原子含有炭化水素トリフルオロメタンスルホナートとの反応により、有機半導体材料(23)を製造する工程である。
該塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、イミダゾール、2,6−ルチジン、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ノルマルブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等を挙げることができる。
該ヘテロ原子含有炭化水素ハロゲン化物としては、例えば、メトキシメチルクロリド、メトキシエチルクロリド、エトキシメチルクロリド、プロポキシメチルクロリド、メチルチオメチルクロリド、メチルチオエチルクロリド、エチルチオメチルクロリド、プロピルチオメチルクロリド、トリメチルシリルクロリド、トリエチルシリルクロリド、トリイソプロピルクロリド、ターシャリーブチルジメチルシリルクロリド、ターシャリーブチルジフェニルシリルクロリド等を挙げることができる。また、該ヘテロ原子含有炭化水素トリフルオロメタンスルホナートとしては、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート、トリエチルシリルトリフルオロメタンスルホナート、トリイソプロピルトリフルオロメタンスルホナート、ターシャリーブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート、ターシャリーブチルジフェニルシリルトリフルオロメタンスルホナート等を挙げることができる。
本発明の製造方法により得られるヘテロアセン誘導体を用いて得られる有機半導体材料は、溶媒に容易に溶解するため、ドロップキャスト等の方法等により製膜することで、高いキャリア移動度の期待できる有機半導体層を製造することができる。該有機半導体層は、電子ペーパー、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、ICタグ(RFIDタグ)用、圧力センサー等のトランジスタの有機半導体層用途;有機ELディスプレイ材料;有機半導体レーザー材料;有機薄膜太陽電池材料;フォトニック結晶材料等の電子材料に利用することができる。
本発明の新規なヘテロアセン誘導体の製造方法により、高いキャリア移動度を与えると共に、溶媒への溶解性及びトランジスタ素子の耐熱性に優れる有機半導体材料の製造が効率的かつ選択的に可能となり、有機薄膜トランジスタに代表される半導体デバイス材料を製造する上でその効果は極めて高いものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
生成物の同定にはH−NMR(日本電子製JEOL GSX−400(400MHz))、マススペクトル(島津製作所製、GCMS−QP2010 SE)、及び元素分析(パーキンエルマージャパン製、2400II)を用いた。また、生成物の純度測定には、液体クロマトグラフィー(LC)(東ソー製、LC−8020)を用いた。塩化アルミニウム、酸クロリド等の試薬類は、断りのない限り市販品を用いた。
実施例1 (2−(メトキシメトキシ)n−ヘキシル−7−n−ヘキシルジチエノベンゾジチオフェンの合成)
(2−(5−メトキシカルボニル)ペンタノイルジチエノベンゾジチオフェンの合成((K)工程、ヘテロアセン誘導体の合成))
Figure 0006252306
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコに塩化アルミニウム1324mg(9.9mmol)及びジクロロメタン(脱水グレード)50mlを添加した。その後、5−(メトキシカルボニル)塩化ペンタノイル1924mg(10.8mmol)を添加し、1時間攪拌した。得られた混合物に、ジチエノベンゾジチオフェン1000mg(3.3mmol)を添加し、22時間攪拌した。得られた混合物に水を添加することで反応を停止させ、ジクロロメタンを留去した。得られた固体を水、メタノール、ヘキサンにより洗浄し、2−(5−メトキシカルボニル)ペンタノイルジチエノベンゾジチオフェン1386mgを得た(収率95%)。
MS m/z: 445(M,100%)
(2−(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル−7−ヘキサノイルジチエノベンゾジチオフェンの合成((L)工程))
Figure 0006252306
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコに塩化アルミニウム709mg(5.3mmol)及びジクロロメタン(脱水グレード)45mlを添加した。その後、塩化ヘキサノイル409mg(3.0mmol)を添加し、1時間攪拌した。得られた混合物に、前工程で合成した2−(5−メトキシカルボニル)ペンタノイルジチエノベンゾジチオフェン675mg(1.5mmol)を添加し、48時間攪拌した。得られた混合物に水を添加することで反応を停止させ、ジクロロメタンを留去した。得られた固体を水、メタノール、ヘキサンにより洗浄し、2−(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル−7−ヘキサノイルジチエノベンゾジチオフェン804mgを得た(収率97%)。
MS m/z: 543(M,100%)
(2−(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル−7−n−ヘキシルジチエノベンゾジチオフェンの合成((M)工程))
Figure 0006252306
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコに塩化アルミニウム725mg(5.4mmol)及びテトラヒドロフラン(脱水グレード)50mlを添加した。その後、前工程で合成した2−(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル−7−ヘキサノイルジチエノベンゾジチオフェン785mg(1.5mmol)を添加し、0℃にて10分間攪拌した。得られた混合物に、水素化ホウ素ナトリウム612mg(16.2mmol)を添加し、還流下にて10時間攪拌した。得られた混合物に水を添加することで反応を停止させ、ジクロロメタンで抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮することで、2−(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル−7−n−ヘキシルジチエノベンゾジチオフェン723mgを得た(収率100%)。
MS m/z: 487(M,100%)
(2−(メトキシメトキシ)n−ヘキシル−7−n−ヘキシルジチエノベンゾジチオフェンの合成((N)工程))
Figure 0006252306
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコに前工程で合成した2−(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル−7−n−ヘキシルジチエノベンゾジチオフェン706mg(1.5mmol)とジクロロメタン(脱水グレード)50mlを添加した。その後、この混合物にジイソプロピルエチルアミン3804mg(29.4mmol)、及びメトキシメチルクロリド1950mg(24.2mmol)を添加し、277時間攪拌した。得られた混合物に水を添加することで反応を停止させ、ジクロロメタンで抽出後、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ジクロロメタン/ヘキサン)、さらに得られた濃縮物をトルエンから3回再結晶精製し、2−(メトキシメトキシ)n−ヘキシル−7−n−ヘキシルジチエノベンゾジチオフェンの薄黄色固体107mgを得た(収率14%)。
LC純度: 99.2%。
H−NMR(CDCl,25℃):δ=8.16(s, 2H),7.00(s,2H),4.62(s,2H),3.53(t,J=6.6Hz,2H),3.35(s,3H),2.95−2.92(m,4H),1.78−1.32(m,16H),0.90(t,J=7.1Hz,3H)。
MS m/z: 531(M,100%)。
元素分析: C;63.25,H;6.32。(理論値 C;63.35,H;6.46)
融点: 150℃
実施例2 (ビス[(メトキシメトキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成)
(ビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成((O)工程、ヘテロアセン誘導体の合成))
Figure 0006252306
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコに塩化アルミニウム1600mg(12.0mmol)及びジクロロメタン(脱水グレード)25mlを添加した。その後、5−(メトキシカルボニル)塩化ペンタノイル1072mg(6.0mmol)を添加し、1時間攪拌した。得られた混合物に、ジチエノベンゾジチオフェン605mg(2.0mmol)を添加し、150時間攪拌した。得られた混合物に水を添加することで反応を停止させ、ジクロロメタンを留去した。得られた固体を水、メタノール、ヘキサンにより洗浄し、ビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジチオフェン980mgを得た(収率84%)。
MS m/z: 587(M,100%)
(ビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成((P)工程))
Figure 0006252306
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコに塩化アルミニウム648mg(4.9mmol)及びテトラヒドロフラン(脱水グレード)70mlを添加した。その後、前工程で合成したビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジチオフェン950mg(1.6mmol)を添加し、0℃にて10分間攪拌した。得られた混合物に、水素化ホウ素ナトリウム735mg(19.4mmol)を添加し、還流下にて30時間攪拌した。得られた混合物に水を添加することで反応を停止させ、ジクロロメタンで抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮することで、ビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン371mgを得た(収率46%)。
MS m/z: 503(M,100%)。
(ビス[(メトキシメトキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成((Q)工程))
Figure 0006252306
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコに前工程で合成したビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン318mg(0.63mmol)とジクロロメタン(脱水グレード)50mlを添加した。その後、この混合物にジイソプロピルエチルアミン631mg(4.9mmol)、及びメトキシメチルクロリド300mg(3.7mmol)を添加し、122時間攪拌した。得られた混合物に水を添加することで反応を停止させ、ジクロロメタンで抽出後、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ジクロロメタン/ヘキサン)、さらに得られた濃縮物をトルエンから3回再結晶精製し、ビス[(メトキシメトキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン30mgを得た(収率8%)。
LC純度: 99.2%。
H−NMR(CDCl,25℃):δ=8.16(s, 2H),7.00(s,2H),4.62(s,4H),3.53(t,J=6.6Hz,4H),3.35(s,6H),2.94(t,J=6.6Hz,4H),1.95−1.30(m,16H)。
MS m/z: 591(M,100%)。
元素分析: C;60.95,H;6.32。(理論値 C;60.98,H;6.48)
液晶転移点: 94℃
融点: 147℃
高いキャリア移動度を与えると共に、溶媒への溶解性及びトランジスタ素子の耐熱性に優れる有機半導体材料の製造に繋がるヘテロアセン誘導体を、効率よく選択的に製造することができる。

Claims (3)

  1. 触媒としてルイス酸の存在下、下記一般式(1)で示されるヘテロアセンと、下記一般式(2)で示されるハロゲン化アシル化合物とのフリーデルクラフツアシル化反応を経て、下記一般式(3)又は下記一般式(4)で示されるヘテロアセン誘導体を選択的に製造することを特徴とするヘテロアセン誘導体の製造方法。
    Figure 0006252306
    Figure 0006252306
    Figure 0006252306
    Figure 0006252306
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示す。T及びTは、それぞれ独立して硫黄原子、酸素原子又は下記一般式(5)で示される構造を示し、環Aは、酸素原子若しくは硫黄原子を含む置換又は未置換の縮合環を示す。ここで、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。Xはハロゲン原子(塩素、臭素、又はヨウ素)を示す。nは0〜20の整数を示す。)
    Figure 0006252306
  2. ルイス酸の添加量を、ハロゲン化アシル化合物1当量に対し1当量以下とすることで、一般式(3)のヘテロアセン誘導体を選択的に製造することを特徴とする請求項1に記載のヘテロアセン誘導体の製造方法。
  3. ルイス酸の添加量を、ハロゲン化アシル化合物1当量に対し1当量より多くすることで、一般式(4)のヘテロアセン誘導体を選択的に製造することを特徴とする請求項1に記載のヘテロアセン誘導体の製造方法。
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