JP6421429B2 - ヘテロアセン誘導体、有機半導体層、及び有機薄膜トランジスタ - Google Patents

ヘテロアセン誘導体、有機半導体層、及び有機薄膜トランジスタ Download PDF

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Description

本発明は、有機半導体材料等の電子材料への展開が可能な新規なヘテロアセン誘導体、これを用いた有機半導体層及び有機薄膜トランジスタに関するものであり、特に溶媒への溶解性に優れることから容易に製膜用の有機半導体溶液への展開が可能となる新規なヘテロアセン誘導体、これを用いた有機半導体層及び有機薄膜トランジスタに関するものである。
有機薄膜トランジスタに代表される有機半導体デバイスは、省エネルギー、低コスト及びフレキシブルといった無機半導体デバイスにはない特徴を有することから近年注目されている。この有機半導体デバイスは、有機半導体層、基板、絶縁層、電極等の数種類の材料から構成され、中でも電荷のキャリア移動を担う有機半導体層は該デバイスの中心的な役割を有している。そして、有機半導体デバイス性能は、この有機半導体層を構成する有機半導体材料のキャリア移動度により左右されることから、高キャリア移動度を与える有機半導体材料の出現が所望されている。
有機半導体層を作製する方法としては、高温真空下、有機材料を気化させて実施する真空蒸着法、有機材料を適当な溶媒に溶解させその溶液を塗布する塗布法等の方法が一般的に知られている。このうち塗布法においては、高温高真空条件を要しない印刷技術を用いても実施することができるため、デバイス作製の大幅な製造コストの削減を図ることが期待でき、経済的に好ましいプロセスである。そして、このような塗布法に使用される有機半導体材料には、低分子系と高分子系のものがあるが、1.0cm/V・sを超えるキャリア移動度を得ることができる低分子系材料の方が好ましい。さらに室温で1.0重量%以上の溶解度を持ち、150℃以上の耐熱性も合わせ持つことがデバイス作製のプロセス上の観点から好ましい。しかし、高キャリア移動度、高溶解性、及び高耐熱性を兼ね合わせた低分子系の有機半導体材料は知られていないのが現状である。
現在、低分子系材料としては、ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]ペンタセン(例えば、非特許文献1参照。)、ジアルキル置換ベンゾチエノベンゾチオフェン(例えば、特許文献1参照。)、ジヘキシルジチエノベンゾジチオフェン(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)等が提案されている。
しかし、非特許文献1に記載されたビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]ペンタセンは、塗布膜の移動度が0.3から1.0cm/Vsであったものが、120℃の熱処理後、0.2cm/Vsへ低下するという問題があった。また、特許文献1に記載されたジアルキル置換ベンゾチエノベンゾチオフェンの場合も、130℃に熱処理するとトランジスタ動作が失われるという問題があった。さらに、特許文献2及び特許文献3に提案のジヘキシルジチエノベンゾジチオフェンは、ドロップキャスト法により0.1cm/V・sのキャリア移動度を示すが、室温での溶媒に対する溶解度が低いという問題があった。
再公表特許WO2008/047896号公報 特表2011/526588号公報 特開2012/209329号公報
ジャーナル オブ ポリマー サイエンス: パートB: ポリマー フィジックス、2006年、44巻、3631〜3641頁
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高キャリア移動度で高耐熱性及び高溶解性を持つ新規な塗布型の有機半導体材料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討の結果、新規なヘテロアセン誘導体を用いることにより、高キャリア移動度を与えると共に、高溶解性及び高耐熱性を持つ有機薄膜トランジスタが得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で示されることを特徴とするヘテロアセン誘導体、有機半導体層、及びそれを用いてなる有機薄膜トランジスタに関するものである。
Figure 0006421429
(式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又はケイ素を含む炭素数1〜20の炭化水素基を示す。T〜Tは、それぞれ独立して硫黄原子又は酸素原子を示す。nは2〜20の整数、mは1〜10の整数を示す。)
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のヘテロアセン誘導体は上記一般式(1)で示される誘導体であり、置換基R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20のアルコキシ基、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又はケイ素を含む炭素数1〜20の炭化水素基を示す。また、T〜Tは、それぞれ独立して硫黄原子又は酸素原子を示す。nは2〜20の整数、mは1〜10の整数を示す。
本発明のヘテロアセン誘導体は、高キャリア移動度、高溶解性及び高耐熱性を同時に満たすのに好適なため、下記一般式(2)が好ましい。また、より良好なキャリア移動度の発現のため、下記一般式(3)で示されるジチエノベンゾジチオフェン(T〜Tが硫黄原子)が特に好ましい。
Figure 0006421429
Figure 0006421429
本発明のヘテロアセン誘導体は、下記一般式(4)で示されるヘテロアセン骨格の2位及び7位のアルキル側鎖上にシロキシ基を含有する側鎖を有することを特徴とする。
Figure 0006421429
本発明のヘテロアセン誘導体は、剛直なヘテロアセン縮合多環骨格間での強固なπ−π相互作用により良好なキャリア移動度及び高い耐熱性の発現、並びに側鎖中に含まれるケイ素原子により、高い溶解性の発現が可能となる。耐熱性及び溶解性の向上という通常相反する性質の向上が、側鎖へのシロキシ基の導入により可能となる。
本発明のヘテロアセン誘導体において、高キャリア移動度、高溶解性及び高耐熱性を同時に満たすのに好適なため、ヘテロアセン骨格の2位又は7位の1つのアルキル側鎖中に含有するケイ素原子は3個以下(mが3以下)であることが好ましく、また1つのアルキル側鎖中に含有するケイ素原子が2個(mが2)であることがさらに好ましく、1つのアルキル側鎖中に含有するケイ素原子が1個(mが1)である下記一般式(5)で示される誘導体が特に好ましい。また、高キャリア移動度、高溶解性及び高耐熱性を同時に満たすのに好適なため、nが12以下であることが好ましく、nが8以下であることがさらに好ましい。しかし、nが1であるとき、溶解性が低下するという問題が生じる。
Figure 0006421429
本発明のヘテロアセン誘導体において、置換基R及びRにおける炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の脂肪族炭化水素基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の芳香族炭化水素基が挙げられ、その中でも特に高耐熱性及び高溶解性であることから、炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、フェニル基であることがさらに好ましい。
本発明のヘテロアセン誘導体において、置換基R及びRにおける炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブチロキシ基、t−ブチロキシ基、イソブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−ヘプトキシ基、n−オクトキシ基、2−エチルヘキソキシ基、シクロヘキソキシ基、シクロオクトキシ基等の脂肪族炭化水素系アルコキシ基、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等の芳香族炭化水素系アルコキシ基が挙げられ、その中でも特に高耐熱性及び高溶解性であることから、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、フェノキシ基であることがさらに好ましい。
本発明のヘテロアセン誘導体において、置換基R及びRにおける炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の脂肪族炭化水素基が挙げられ、その中でも特に高耐熱性及び高溶解性であることから、炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基であることがさらに好ましい。
本発明のヘテロアセン誘導体において、置換基R及びRにおける炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の脂肪族炭化水素基が挙げられ、その中でも特に高耐熱性及び高溶解性であることから、炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基であることがさらに好ましい。
本発明のヘテロアセン誘導体において、置換基R及びRにおけるケイ素を含む炭素数1〜20の炭化水素基としては、特に高耐熱性及び高溶解性であることから、(トリメチルシリル)エチニル基、(トリエチルシリル)エチニル基、(トリイソプロピルシリル)エチニル基、(トリターシャリーブチルシリル)エチニル基、(ジフェニルターシャリーブチルシリル)エチニル基、(トリフェニルシリル)エチニル基等であることが好ましく、(トリエチルシリル)エチニル基、(トリイソプロピルシリル)エチニル基がさらに好ましい。
本発明のヘテロアセン誘導体の具体的例示としては、以下のものを挙げることができる。
Figure 0006421429
Figure 0006421429
Figure 0006421429
そして、本発明のヘテロアセン誘導体は、高キャリア移動度、高溶解性及び高耐熱性を同時に満たすのに好適なため、ビス[2−(トリイソプロピルシロキシ)エチル]ジチエノベンゾジチオフェン、ビス[3−(トリイソプロピルシロキシ)n−プロピル]ジチエノベンゾジチオフェン、ビス[4−(トリイソプロピルシロキシ)n−ブチル]ジチエノベンゾジチオフェン、ビス[5−(トリイソプロピルシロキシ)n−ペンチル]ジチエノベンゾジチオフェン、ビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン、ビス[2−(トリエチルシロキシ)エチル]ジチエノベンゾジチオフェン、ビス[3−(トリエチルシロキシ)n−プロピル]ジチエノベンゾジチオフェン、ビス[4−(トリエチルシロキシ)n−ブチル]ジチエノベンゾジチオフェン、ビス[5−(トリエチルシロキシ)n−ペンチル]ジチエノベンゾジチオフェン、ビス[6−(トリエチルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン、ビス[6−(ターシャリーブチルジメチルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン、ビス[2−(トリイソプロピルシロキシ)エチル]ジチエノベンゾジフラン、ビス[3−(トリイソプロピルシロキシ)n−プロピル]ジチエノベンゾジフラン、ビス[4−(トリイソプロピルシロキシ)n−ブチル]ジチエノベンゾジフラン、ビス[5−(トリイソプロピルシロキシ)n−ペンチル]ジチエノベンゾジフラン、ビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジフラン、ビス[2−(トリエチルシロキシ)エチル]ジチエノベンゾジフラン、ビス[3−(トリエチルシロキシ)n−プロピル]ジチエノベンゾジフラン、ビス[4−(トリエチルシロキシ)n−ブチル]ジチエノベンゾジフラン、ビス[5−(トリエチルシロキシ)n−ペンチル]ジチエノベンゾジフラン、ビス[6−(トリエチルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジフラン、ビス[6−(ターシャリーブチルジメチルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジフラン、ビス[2−(トリイソプロピルシロキシ)エチル]ジフロベンゾジフラン、ビス[3−(トリイソプロピルシロキシ)n−プロピル]ジフロベンゾジフラン、ビス[4−(トリイソプロピルシロキシ)n−ブチル]ジフロベンゾジフラン、ビス[5−(トリイソプロピルシロキシ)n−ペンチル]ジフロベンゾジフラン、ビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジフロベンゾジフラン、ビス[2−(トリエチルシロキシ)エチル]ジフロベンゾジフラン、ビス[3−(トリエチルシロキシ)n−プロピル]ジフロベンゾジフラン、ビス[4−(トリエチルシロキシ)n−ブチル]ジフロベンゾジフラン、ビス[5−(トリエチルシロキシ)n−ペンチル]ジフロベンゾジフラン、ビス[6−(トリエチルシロキシ)n−ヘキシル]ジフロベンゾジフラン、ビス[6−(ターシャリーブチルジメチルシロキシ)n−ヘキシル]ジフロベンゾジフランであることが好ましい。
本発明のヘテロアセン誘導体の製造方法としては、該ヘテロアセン誘導体を製造することが可能であれば如何なる製造方法を用いることも可能である。置換基R及びRが炭素数1〜20の炭化水素基、R3〜R6が水素原子である一般式(1)のヘテロアセン誘導体を製造する場合、下記(A)〜(C)の工程を経る製造方法により、ヘテロアセン誘導体を製造することが可能である。
(A)工程;触媒として塩化アルミニウムの存在下、ヘテロアセン(下記一般式(6))と塩化アシル化合物とのフリーデルクラフツアシル化反応により、ヘテロアセンのジアシル体(下記一般式(7))を製造する工程。
(B)工程;(A)工程により得られたヘテロアセンのジアシル体(7)を還元反応に供し、ヘテロアセンのジ(ヒドロキシアルキル)体(下記一般式(8))を製造する工程。
(C)工程;塩基存在下、(B)工程により得られたヘテロアセンのジ(ヒドロキシアルキル)体(8)と、シリルハライド又はシリルトリフルオロメタンスルホナートとの反応により、ヘテロアセン誘導体(下記一般式(9))を製造する工程。
具体的な製造方法を以下の反応スキーム1に示す。
Figure 0006421429
(ここで、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、T〜Tはそれぞれ独立して硫黄原子又は酸素原子、Xはハロゲン又はトリフルオロメタンスルホナート、aは0〜18の整数、bは0〜9の整数を示す。)
ここで、反応スキーム1における(A)工程は、触媒として塩化アルミニウムの存在下、ヘテロアセン(6)と塩化アシル化合物とのフリーデルクラフツアシル化反応により、ヘテロアセンのジアシル体(7)を製造する工程である。
該塩化アシル化合物としては、例えば、2−メチルオキサリルクロリド、(メトキシカルボニル)塩化アセチル、3−(メトキシカルボニル)塩化プロパノイル、4−(メトキシカルボニル)塩化ブタノイル、5−(メトキシカルボニル)塩化ペンタノイル、6−(メトキシカルボニル)塩化ヘキサノイル、7−(メトキシカルボニル)塩化ヘプタノイル、8−(メトキシカルボニル)塩化オクタノイル等を挙げることができる。該フリーデルクラフツアシル化反応は、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トルエン等の溶媒中で行うことができる。塩化アシル化合物の使用量は、効率よくヘテロアセンのジアシル体(7)を採取できるため、ヘテロアセン(6)1当量に対し2〜10当量が好ましい。塩化アルミニウムの使用量は、より選択的にヘテロアセンのジアシル体(7)を採取できるため、塩化アシル化合物1当量に対し2当量以上が好ましい。
反応スキーム1における(B)工程は、ヘテロアセンのジアシル体(7)を還元反応に供し、ヘテロアセンのジ(ヒドロキシアルキル)体(8)を製造する工程である。
ヘテロアセンのジアシル体(7)の還元反応は、例えば、還元剤として水素化ホウ素ナトリウム/塩化アルミニウムを用いた反応等が挙げられる。
反応スキーム1における(C)工程は、塩基存在下、(B)工程により得られたヘテロアセンのジ(ヒドロキシアルキル)体(8)と、シリルハライド又はシリルトリフルオロメタンスルホナートとの反応により、ヘテロアセン誘導体(9)を製造する工程である。
該シリルハライド又はシリルトリフルオロメタンスルホナートは、例えば、トリメチルシリルクロリド、トリエチルシリルクロリド、トリイソプロピルシリルクロリド、ターシャリーブチルジメチルシリルクロリド、ターシャリーブチルジフェニルクロリド、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート、トリエチルシリルトリフルオロメタンスルホナート、トリイソプロピルトリフルオロメタンスルホナート、ターシャリーブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート、ターシャリーブチルジフェニルシリルトリフルオロメタンスルホナート等を挙げることができる。該塩基としては、イミダゾール、2,6−ルチジン、水素化ナトリウム、水素化カリウム、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等を挙げることができる。
さらに、製造したヘテロアセン誘導体は、カラムクロマトグラフィー等に供することにより精製することができ、その際の分離剤としては、例えば、シリカゲル、アルミナ等を挙げることができ、溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム等を挙げることができる。
また、製造したヘテロアセン誘導体は、さらに再結晶により精製しても良い。再結晶の回数を増やすことで純度を向上させることができる。再結晶に用いる溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等を挙げることができ、これらの任意の割合の混合物であってもよい。再結晶法としては、加熱によりヘテロアセン誘導体の溶液を調製し、該溶液を冷却することでヘテロアセン誘導体の結晶を析出させ単離する。なお、純度を測定する際には液体クロマトグラフィーにより分析することにより測定することが可能である。
本発明のヘテロアセン誘導体の製造の(A)工程で用いられるヘテロアセンは、如何なる方法により製造されたものであってもよい。そして、(A)工程で用いられるヘテロアセンの具体的な製造方法としては、例えば、以下のものを挙げることができる(ヘテロアセンの内、ジチエノベンゾチオフェン(一般式(11))、ジチエノベンゾジフラン(一般式(14))及びジフロベンゾジフラン(一般式(17))の製造方法)。
ヘテロアセンの内、T〜Tが硫黄である化合物、即ちジチエノベンゾジチオフェンの製造方法としては、該ジチエノベンゾジチオフェンを製造することが可能であれば如何なる製造方法を用いることも可能である。例えば、ジチエノベンゾジチオフェンを製造する場合、下記(D)〜(E)の工程を経る製造方法により製造することができる。
(D)工程;パラジウム触媒の存在下、3−ハロチオフェン−2−亜鉛誘導体と1,2,4,5−テトラハロベンゼンから1,4−ジ(3−ハロチエニル)−2,5−ジハロベンゼン(下記一般式(10))を製造する方法。
(E)工程;硫化アルカリ金属塩の存在下、(D)工程により得られた1,4−ジ(3−ハロチエニル)−2,5−ジハロベンゼン(10)の分子内環化によりジチエノベンゾジチオフェン(下記一般式(11))を製造する工程。
具体的な製造方法を以下の反応スキーム2に示す。
Figure 0006421429
ここで、反応スキーム2における(D)工程は、パラジウム触媒の存在下、3−ブロモチオフェン−2−亜鉛誘導体と1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼンのクロスカップリングにより1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジフルオロベンゼン(10)を製造する工程である。
反応スキーム2における(E)工程は、硫化ナトリウムの存在下、(D)工程により得られた1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジフルオロベンゼン(10)の分子内環化によりジチエノベンゾジチオフェン(11)を製造する工程である。
ヘテロアセンの内、T及びTが酸素、ならびにT及びTが硫黄である化合物、即ちジチエノベンゾジフランの製造方法としては、該ジチエノベンゾジフランを製造することが可能であれば如何なる製造方法を用いることも可能である。例えば、ジチエノベンゾジフランを製造する場合、下記(F)〜(H)の工程を経る製造方法により製造することができる。
(F)工程;パラジウム触媒の存在下、3−ブロモフラン−2−亜鉛誘導体と1,4−ジブロモ−2,5−ジハロベンゼンのパラジウム触媒クロスカップリングにより1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジハロベンゼン(下記一般式(12))を製造する工程。
(G)工程;(F)工程により得られた1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジハロベンゼン(12)と硫化ナトリウムを用いたモノ分子内環化反応によりブロモハロモノ環化物(下記一般式(13))を製造する工程。
(H)工程;(G)工程により得られたブロモハロモノ環化物(13)をn−ブチルリチウムによるジリチオ化/ビス(フェニルスルホニル)スルフィドによる二つ目の環を形成させる方法でジチエノベンゾジフラン(下記一般式(14))を製造する工程。
具体的な製造方法を以下の反応スキーム3に示す。
Figure 0006421429
ここで、反応スキーム3における(F)工程は、パラジウム触媒の存在下、3−ブロモフラン−2−亜鉛誘導体と1,4−ジブロモ−2,5−ジヨードベンゼンのクロスカップリングにより1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジブロモベンゼン(12)を製造する工程である。
反応スキーム3における(G)工程は、(F)工程により得られた1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジブロモベンゼン(12)と硫化ナトリウムを用いたモノ分子内環化反応によりジブロモモノ環化物(13)を製造する工程である。
反応スキーム3における(H)工程は、(G)工程により得られたジブロモモノ環化物(13)をn−ブチルリチウムによるジリチオ化/ビス(フェニルスルホニル)スルフィドによる環化反応に供し、ジチエノベンゾジフラン(14)を製造する工程である。
ヘテロアセンの内、T〜Tが酸素である化合物、即ちジフロベンゾジフランの製造方法としては、該ジフロベンゾジフランを製造することが可能であれば如何なる製造方法を用いることも可能である。例えば、ジフロベンゾジフランを製造する場合、下記(I)〜(K)の工程を経る製造方法により製造することができる。
(I)工程;パラジウム触媒の存在下、3−ブロモフラン−2−亜鉛誘導体と1,4−ジブロモ−2,5−ジメトキシベンゼンにより1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジメトキシベンゼン(下記一般式(15))を製造する工程。
(J)工程;三臭化ホウ素の存在下、(I)工程により得られた1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジメトキシベンゼン(15)の脱メチル化により1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジヒドロキシベンゼン(下記一般式(16))を製造する工程。
(K)工程;パラジウム触媒の存在下、(J)工程により得られた1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジヒドロキシベンゼン(16)の分子内環化によりジフロベンゾジフラン(下記一般式(17))を製造する工程。
具体的な製造方法を以下の反応スキーム4に示す。
Figure 0006421429
ここで、反応スキーム4における(I)工程は、前述の反応スキーム3の(F)工程と同様の反応条件で実施することができ、1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジメトキシベンゼン(15)を製造する工程である。
反応スキーム4における(J)工程は、三臭化ホウ素の存在下、(I)工程により得られた1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジメトキシベンゼン(15)の脱メチル化により1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジヒドロキシベンゼン(16)を製造する工程である。
反応スキーム4における(K)工程は、パラジウム触媒の存在下、(J)工程により得られた1,4−ジ(3−ブロモフリル)−2,5−ジヒドロキシベンゼン(16)の分子内環化により置換基R及びRが水素であるジフロノベンゾジフラン(17)を製造する工程である。
なお、該環化反応は、例えば、ジャーナル オブ オルガニック ケミストリィー(米国)、2007年、72巻、5119−5128頁に記載してある方法を用いて実施することもできる。
本発明の有機半導体層形成用溶液は、前記ヘテロアセン誘導体及び溶媒を含むものであり、該溶液中におけるヘテロアセン誘導体の濃度は、ドロップキャスト法、特にインクジェット法又はスリットコート法による製膜に適したものとなることから、室温で溶媒に対し1.0重量%以上の溶解度を示すものであることが好ましい。
用いる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、オクチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、インダン、テトラリン、アニソール、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、1,2−ジメチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール等の炭素数7〜14の芳香族炭化水素溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン等の炭素数6〜14の脂肪族炭化水素溶媒;o−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン等の炭素数1〜7のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノールアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコール系溶媒等が挙げられ、中でも高沸点の溶液を得ることが可能となることから、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、3,4−ジメチルアニソール等の炭素数7〜14の芳香族炭化水素溶媒であることが好ましく、トルエン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、3,4−ジメチルアニソールであることがさらに好ましい。ここで、室温とは、一般的に常温とも称されるものであり、例えば、20〜26℃の温度を挙げることができる。
本発明において、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体を、上記に挙げた溶媒である液状媒体中に溶解又は分散することにより、有機半導体層形成用溶液を調製することができる。このとき、該有機半導体形成用溶液の具体的調製方法としては、上記に挙げた溶媒と一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体を混合し、加熱・攪拌することが挙げられる。
該溶液は、該ヘテロアセン誘導体自体が適度の凝集性を有することから比較的に低温で調製することが可能、且つ耐酸化性があることから、塗布法による有機薄膜の製造に好適に適用できる。即ち、雰囲気から空気を除く必要がないことから、塗布工程を簡略化することができる。さらに該溶液は、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリビニルナフタレン、エチレン−ノルボルネンコポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリトリアリールアミン、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ジメチルトリアリールアミン)等のポリマーをバインダーとして存在させることもできる。これらのポリマーバインダーの濃度は、優れたキャリア移動度発現のため、0.1〜10.0重量%であることが好ましく、該溶液は、優れた塗布性を有することから、0.5〜50mPa・sの範囲の粘度にあることが好ましい。
本発明の有機半導体層形成用溶液に含まれるヘテロアセン誘導体は、高いキャリア移動度を与えることから有機半導体材料としての優れた特徴を有すると共に、溶媒への高い溶解性を有することから、ヘテロアセン誘導体を含有する有機半導体層形成用溶液をドロップキャスト法、特にインクジェット法等の方法により容易に効率よく、有機半導体層を形成することが可能となる。
本発明のヘテロアセン誘導体を用いて有機半導体層とする際には、例えば、スピンコート、キャストコート、インクジェット、スリットコート等のドロップキャスト法;ブレードコート;ディップコート;スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等の印刷法等の方法を用いることが可能であり、中でも容易に効率よく有機半導体層とすることが可能となることから、スピンコート、キャストコート、インクジェット等のドロップキャスト法であることが好ましく、インクジェットであることがさらに好ましい。また、その際の有機半導体層の膜厚に制限はなく、優れたキャリア移動度発現のため、好ましくは1nm〜1μm、さらに好ましくは10nm〜300nmである。また、複数のヘテロアセン誘導体を混合して有機半導体層を形成してもよい。
また、本発明のヘテロアセン誘導体を含む有機半導体層は塗布乾燥後、40〜200℃にアニール処理することも可能である。
有機薄膜トランジスタは、基板上に、ソース電極及びドレイン電極を付設した有機半導体層とゲート電極とを絶縁層を介し積層することにより得られており、該有機半導体層に本発明のヘテロアセン誘導体を用いた有機半導体層を採用することにより、有機薄膜トランジスタとすることが可能である。
図1に一般的な有機薄膜トランジスタの断面形状による構造を示す。ここで、(A)は、ボトムゲート−トップコンタクト型、(B)は、ボトムゲート−ボトムコンタクト型、(C)は、トップゲート−トップコンタクト型、(D)は、トップゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタであり、1は有機半導体層、2は基板、3はゲート電極、4はゲート絶縁層、5はソース電極、6はドレイン電極を示し、本発明のヘテロアセン誘導体を用いた有機半導体層は、いずれの有機薄膜トランジスタにも適用することが可能である。
そして、基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリ(ジエチルフマレート)、ポリ(ジイソプロピルマレエート)、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、セルローストリアセテート等のプラスチック基板;ガラス、石英、酸化アルミニウム、シリコン、ハイドープシリコン、酸化シリコン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物等の無機材料基板;金、銅、クロム、チタン、アルミニウム等の金属基板等を挙げることができる。なお、ハイドープシリコンを基板に用いた場合、その基板はゲート電極を兼ねることができる。
ゲート電極としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ハイドープシリコン、スズ酸化物、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、クロム、チタン、タンタル、クロム、グラフェン、カーボンナノチューブ等の無機材料;ドープされた導電性高分子(例えば、PEDOT−PSS)等の有機材料等を挙げることができる。
ゲート絶縁層としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウム、チタン酸ビスマス等の無機材料基板;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリ(ジエチルフマレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリシクロペンタン、ポリシクロヘキサン、ポリシクロヘキサン−エチレン共重合体、ポリフッ素化シクロペンタン、ポリフッ素化シクロヘキサン、ポリフッ素化シクロヘキサン−エチレン共重合体等のプラスチック材料等を挙げることができる。また、これらのゲート絶縁層の表面は、例えば、オクタデシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、デシルトリメトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、β−フェネチルトリクロロシラン、β−フェネチルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン等のシラン類;オクタデシルホスホン酸、デシルホスホン酸、オクチルホスホン酸等のホスホン酸類;ヘキサメチルジシラザン等のシリルアミン類で修飾処理したものであっても使用することができる。一般的にゲート絶縁層の表面処理を行うことにより、有機半導体材料の結晶粒径の増大及び分子配向の向上のため、キャリア移動度及び電流オン・オフ比の向上、並びに閾値電圧の低下という好ましい結果が得られる。
ソース電極及びドレイン電極の材料としては、ゲート電極と同様の材料を用いることができ、ゲート電極の材料と同じであっても異なっていてもよく、異種材料を積層してもよい。また、キャリアの注入効率を上げるために、これらの電極材料に表面処理を実施することもできる。表面処理を実施する際の表面処理剤としては、例えば、ベンゼンチオール、ペンタフルオロベンゼンチオール等を挙げることができる。
本発明のヘテロアセン誘導体は、電子ペーパー、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、ICタグ(RFIDタグ)用、圧力センサー等のトランジスタの有機半導体層用途;有機ELディスプレイ材料;有機半導体レーザー材料;有機薄膜太陽電池材料;フォトニック結晶材料等の電子材料等に利用することができる。
本発明の新規なヘテロアセン誘導体は、高いキャリア移動度を与えると共に、高耐熱性及び高溶解性を持つ塗布型の有機半導体材料であり、本発明によりこれまでの課題を解決する新規な有機半導体材料を提供することが可能となり、有機薄膜トランジスタに代表される半導体デバイス材料としてその効果は極めて高いものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
生成物の同定にはH−NMRスペクトル(日本電子製JEOL GSX−400(400MHz))、マススペクトル(島津製作所製、GCMS−QP2010 SE)、及び元素分析(パーキンエルマージャパン製、2400II)を用いた。また、生成物の純度測定には、液体クロマトグラフィー(LC)(東ソー製、LC−8020)を用いた。塩化アルミニウム、酸クロリド等の試薬類は、断りのない限り市販品を用いた。
実施例1 (ビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成)
Figure 0006421429
(ビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成((A)工程))
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコに塩化アルミニウム1600mg(12.0mmol)及びジクロロメタン(脱水グレード)25mlを添加した。その後、5−(メトキシカルボニル)塩化ペンタノイル1072mg(6.0mmol)を添加し、1時間攪拌した。得られた混合物に、ジチエノベンゾジチオフェン605mg(2.0mmol)を添加し、150時間攪拌した。得られた混合物に水を添加することで反応を停止させ、ジクロロメタンを留去した。得られた固体を水、メタノール、ヘキサンにより洗浄し、ビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジチオフェン980mgを得た(収率84%)。
MS m/z: 587(M,100%)
(ビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成((B)工程))
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコに塩化アルミニウム937mg(7.0mmol)及びテトラヒドロフラン(脱水グレード)70mlを添加した。その後、前工程で合成したビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジチオフェン950mg(1.6mmol)を添加し、0℃にて10分間攪拌した。得られた混合物に、水素化ホウ素ナトリウム1010mg(26.7mmol)を添加し、還流下にて32時間攪拌した。得られた混合物に水を添加することで反応を停止させ、ジクロロメタンで抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮することで、ビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン371mgを得た(収率46%)。
MS m/z: 503(M,100%)。
(ビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成((C)工程))
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコに前工程で合成したビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン350mg(0.70mmol)とジクロロメタン(脱水グレード)50mlを添加した。その後、この混合物にイミダゾール572mg(8.4mmol)、及びトリイソプロピルシリルクロリド1080mg(5.6mmol)を添加し、室温にて60時間攪拌した。得られた混合物を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン)で精製した。さらに得られた濃縮物をトルエン/ヘキサンから1回、その後さらにトルエンから2回再結晶精製し、ビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン90mgを得た(収率16%)。
LC純度: 99.2%。
H−NMR(CDCl,25℃):δ=8.16(s, 2H),7.02(s,2H),3.68(t,J=6.6Hz,4H),2.94(t,J=7.6Hz,4H),1.84−1.72(m,4H),1.62−1.52(m,4H),1.48−1.38(m,8H),1.14−1.00(m,42H)。
MS m/z: 815(M,100%)。
元素分析: C;64.95,H;8.41。(理論値 C;64.81,H;8.65)
実施例2 (ビス[2−(トリイソプロピルシロキシ)エチル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成)
Figure 0006421429
(ビス(2−メチルオキサリル)ジチエノベンゾジチオフェンの合成((A)工程))
実施例1の(A)工程において、5−(メトキシカルボニル)塩化ペンタノイルの代わりに2−メチルオキサリルクロリドを使用、反応時間を120時間とした以外は、実施例1の(A)工程と同様の操作を繰り返してビス(2−メチルオキサリル)ジチエノベンゾジチオフェン892mgを得た(収率94%)。
MS m/z: 475(M,100%)。
(ビス[(2−ヒドロキシ)エチル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成((B)工程))
実施例1の(B)工程において、ビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジチオフェン950mg(1.6mmol)の代わりにビス(2−メチルオキサリル)ジチエノベンゾジチオフェン850mg(1.8mmol)を使用、反応時間を18時間とした以外は、実施例1の(B)工程と同様の操作を繰り返してビス[(2−ヒドロキシ)エチル]ジチエノベンゾジチオフェン373mgを得た(収率53%)。
MS m/z: 391(M,100%)。
(ビス[2−(トリイソプロピルシロキシ)エチル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成((C)工程))
実施例1の(C)工程においてビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン350mg(0.70mmol)の代わりにビス[(2−ヒドロキシ)エチル]ジチエノベンゾジチオフェン350mg(0.90mmol)を使用、反応時間を50時間とした以外は、実施例1の(C)工程と同様の操作を繰り返してビス[2−(トリイソプロピルシロキシ)エチル]ジチエノベンゾジチオフェン110mgを得た(収率17%)。
LC純度: 99.3%。
MS m/z: 703(M,100%)。
元素分析: C;61.50,H;7.64。(理論値 C;61.48,H;7.74)
実施例3 (ビス[6−(トリエチルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成)
Figure 0006421429
(ビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成((A)工程))
実施例1の(A)工程と同様の操作を繰り返してビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジチオフェン1050mgを得た(収率90%)。
MS m/z: 587(M,100%)。
(ビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成((B)工程))
実施例1の(B)工程において、反応時間を20時間とした以外は、実施例1の(B)工程と同様の操作を繰り返してビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン408mgを得た(収率50%)。
MS m/z: 503(M,100%)。
(ビス[6−(トリエチルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成((C)工程))
実施例1の(C)工程において、トリイソプロピルシリルクロリドの代わりにトリエチルシリルクロリドを使用、反応時間を55時間とした以外は、実施例1の(C)工程と同様の操作を繰り返してビス[6−(トリエチルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン82mgを得た(収率16%)。
LC純度: 99.2%。
MS m/z: 731(M,100%)。
元素分析: C;62.45,H;8.10。(理論値 C;62.41,H;7.99)
実施例4 (ビス[6−(ターシャリーブチルジメチルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成)
Figure 0006421429
(ビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成((A)工程))
実施例1の(A)工程において、反応時間を100時間とした以外は、実施例1の(A)工程と同様の操作を繰り返してビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジチオフェン1080mgを得た(収率92%)。
MS m/z: 587(M,100%)。
(ビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成((B)工程))
実施例1の(B)工程において、ビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジチオフェンの仕込量を1000mg(1.7mmol)、反応時間を20時間とした以外は、実施例1の(B)工程と同様の操作を繰り返してビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン397mgを得た(収率46%)。
MS m/z: 503(M,100%)。
(ビス[6−(ターシャリーブチルジメチルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの合成((C)工程))
実施例1の(C)工程において、トリイソプロピルシリルクロリドの代わりにターシャリーブチルジメチルシリルクロリドを使用、反応時間を76時間とした以外は、実施例1の(C)工程と同様の操作を繰り返してビス[6−(ターシャリーブチルジメチルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン121mgを得た(収率24%)。
LC純度: 99.4%。
MS m/z: 731(M,100%)。
元素分析: C;62.39,H;7.89。(理論値 C;62.41,H;7.99)
実施例5 (ビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジフランの合成)
Figure 0006421429
(ビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジフランの合成((A)工程))
実施例1の(A)工程において、ジチエノベンゾジチオフェン605mg(2.0mmol)の代わりに、ジチエノベンゾジフラン541mg(2.0mmol)を使用、反応時間を100時間とした以外は、実施例1の(A)工程と同様の操作を繰り返してビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジフラン887mgを得た(収率80%)。
MS m/z: 555(M,100%)。
(ビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジフランの合成((B)工程))
実施例1の(B)工程において、ビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジチオフェン950mg(1.6mmol)の代わりに、ビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジフラン850mg(1.5mmol)を使用、反応時間を28時間とした以外は、実施例1の(B)工程と同様の操作を繰り返してビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジフラン308mgを得た(収率43%)。
MS m/z: 471(M,100%)。
(ビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジフランの合成((C)工程))
実施例1の(C)工程において、ビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン350mg(0.70mmol)の代わりに、ビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジフラン300mg(0.64mmol)、反応時間を47時間とした以外は、実施例1の(C)工程と同様の操作を繰り返してビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジフラン101mgを得た(収率20%)。
LC純度: 99.1%。
MS m/z: 783(M,100%)。
元素分析: C;67.59,H;9.10。(理論値 C;67.47,H;9.01)
実施例6 (ビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジフロベンゾジフランの合成)
Figure 0006421429
(ビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジフロベンゾジフランの合成((A)工程))
実施例1の(A)工程において、ジチエノベンゾジチオフェン605mg(2.0mmol)の代わりに、ジフロベンゾジフラン476mg(2.0mmol)を使用、反応時間を98時間とした以外は、実施例1の(A)工程と同様の操作を繰り返してビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジフロベンゾジフラン920mgを得た(収率88%)。
MS m/z: 523(M,100%)。
(ビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジフロベンゾジフランの合成((B)工程))
実施例1の(B)工程において、ビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジチエノベンゾジチオフェン950mg(1.6mmol)の代わりに、ビス[(5−メトキシカルボニル)ペンタノイル]ジフロベンゾジフラン900mg(1.7mmol)を使用、反応時間を25時間とした以外は、実施例1の(B)工程と同様の操作を繰り返してビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジフロベンゾジフラン430mgを得た(収率57%)。
MS m/z: 439(M,100%)。
(ビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジフロベンゾジフランの合成((C)工程))
実施例1の(C)工程において、ビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン350mg(0.70mmol)の代わりに、ビス[(6−ヒドロキシ)n−ヘキシル]ジフロベンゾジフラン400mg(0.91mmol)、反応時間を68時間とした以外は、実施例1の(C)工程と同様の操作を繰り返してビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジフロベンゾジフラン98mgを得た(収率14%)。
LC純度: 99.3%。
MS m/z: 751(M,100%)。
元素分析: C;70.40,H;9.47。(理論値 C;70.35,H;9.39)
実施例7
実施例1で合成したビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン9.4mg及びトルエン617mgを添加し、50℃に加熱溶解後、室温下(25℃)で放置した。25℃で10時間後も溶液状態を維持していることを確認した(ビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの濃度は1.5重量%)。
実施例1で合成したビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェン2.8mg及びトルエン1400mgを添加し、50℃に加熱溶解後、室温下(25℃)に放冷し、ドロップキャスト有機半導体層形成用溶液を調製した(0.20重量%無色溶液)。
そして、空気下、直径2インチのヒ素でn型にハイドープしたシリコン基板(抵抗値;0.004Ω、表面に200nmのシリコン酸化膜付き)上に、得られたドロップキャスト有機半導体層形成用溶液(0.20重量%無色溶液)0.5mlをマイクロシリンジに充填しドロップキャストした。室温下(25℃)で自然乾燥し、膜厚100nmのビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの有機半導体層を作製した。
該有機半導体層にチャネル長20μm、チャネル幅500μmのシャドウマスクを置き、金を真空蒸着することでソース/ドレイン電極対を形成し、ボトムゲート−トップコンタクト型のp型有機薄膜トランジスタを作製した。
作製した有機薄膜トランジスタの電気物性を半導体パラメーターアナライザー(ケースレー製、4200SCS)を用いて、ドレイン電圧(Vd=−50V)で、ゲート電圧(Vg)を+10〜−70Vまで1V刻みで走査し、伝達特性の評価を行った。正孔のキャリア移動度は1.2cm/V・sであった。さらにこの有機薄膜トランジスタを130℃で15分間アニール処理した後の電気物性を測定したところ、正孔のキャリア移動度は1.1cm/V・sであり、熱処理による性能の低下は見られなかった。
実施例8
実施例7でビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの代わりに実施例2で合成したビス[2−(トリイソプロピルシロキシ)エチル]ジチエノベンゾジチオフェンを使用した以外は実施例7と同様の操作を繰り返して、評価を行った。有機半導体溶液は、25℃で10時間後も溶液状態を維持していることを確認した(ビス[2−(トリイソプロピルシロキシ)エチル]ジチエノベンゾジチオフェンの濃度は1.5重量%)。
実施例7と同様にして作製した有機薄膜トランジスタにおける正孔のキャリア移動度は1.0cm/V・sであった。さらにこの有機薄膜トランジスタを130℃で15分間アニール処理した後の電気物性を測定したところ、正孔のキャリア移動度は0.98cm/V・sであり、熱処理による性能の低下は見られなかった。
実施例9
実施例7でビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの代わりに実施例3で合成したビス[6−(トリエチルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンを使用した以外は実施例7と同様の操作を繰り返して、評価を行った。有機半導体溶液は、25℃で10時間後も溶液状態を維持していることを確認した(ビス[6−(トリエチルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの濃度は1.5重量%)。
実施例7と同様にして作製した有機薄膜トランジスタにおける正孔のキャリア移動度は1.1cm/V・sであった。さらにこの有機薄膜トランジスタを130℃で15分間アニール処理した後の電気物性を測定したところ、正孔のキャリア移動度は1.0cm/V・sであり、熱処理による性能の低下は見られなかった。
実施例10
実施例7でビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの代わりに実施例4で合成したビス[6−(ターシャリーブチルジメチルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンを使用した以外は実施例7と同様の操作を繰り返して、評価を行った。有機半導体溶液は、25℃で10時間後も溶液状態を維持していることを確認した(ビス[6−(ターシャリーブチルジメチルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの濃度は1.5重量%)。
実施例7と同様にして作製した有機薄膜トランジスタにおける正孔のキャリア移動度は1.3cm/V・sであった。さらにこの有機薄膜トランジスタを130℃で15分間アニール処理した後の電気物性を測定したところ、正孔のキャリア移動度は1.3cm/V・sであり、熱処理による性能の低下は見られなかった。
実施例11
実施例7でビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの代わりに実施例5で合成したビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジフランを使用した以外は実施例7と同様の操作を繰り返して、評価を行った。有機半導体溶液は、25℃で10時間後も溶液状態を維持していることを確認した(ビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジフランの濃度は1.5重量%)。
実施例7と同様にして作製した有機薄膜トランジスタにおける正孔のキャリア移動度は1.2cm/V・sであった。さらにこの有機薄膜トランジスタを130℃で15分間アニール処理した後の電気物性を測定したところ、正孔のキャリア移動度は1.2cm/V・sであり、熱処理による性能の低下は見られなかった。
実施例12
実施例7でビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジチエノベンゾジチオフェンの代わりに実施例6で合成したビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジフロベンゾジフランを使用した以外は実施例7と同様の操作を繰り返して、評価を行った。有機半導体溶液は、25℃で10時間後も溶液状態を維持していることを確認した(ビス[6−(トリイソプロピルシロキシ)n−ヘキシル]ジフロベンゾジフランの濃度は1.5重量%)。
実施例7と同様にして作製した有機薄膜トランジスタにおける正孔のキャリア移動度は1.0cm/V・sであった。さらにこの有機薄膜トランジスタを130℃で15分間アニール処理した後の電気物性を測定したところ、正孔のキャリア移動度は0.92cm/V・sであり、熱処理による性能の低下は見られなかった。
比較例1 (ジn−オクチルベンゾチエノベンゾチオフェン)
ジn−オクチルベンゾチエノベンゾチオフェン12.2mg及びトルエン801mgを添加し、50℃に加熱溶解後、室温下(25℃)で放置した。25℃で10時間後も溶液状態を維持していることを確認した(ジn−オクチルベンゾチエノベンゾチオフェンの濃度は1.5重量%)。
そして、実施例7と同様の方法で、膜厚51nmのジn−オクチルベンゾチエノベンゾチオフェンの有機半導体層を作製し、さらにボトムゲート−トップコンタクト型のp型有機薄膜トランジスタを作製した。正孔のキャリア移動度は0.17cm/V・sであった。さらにこの有機薄膜トランジスタを130℃で15分間アニール処理した後の電気物性を測定した。しかしトランジスタ動作を得ることはできず、耐熱性に劣る材料であった。
比較例2 (6,13−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]ペンタセン)
6,13−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]ペンタセン11.8mg及びトルエン775mgを添加し、50℃に加熱溶解後、室温下(25℃)で放置した。25℃で10時間後も溶液状態を維持していることを確認した(6,13−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]ペンタセンの濃度は1.5重量%)。
そして、実施例7と同様の方法で、膜厚60nmの6,13−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]ペンタセンの有機半導体層を作製し、さらにボトムゲート−トップコンタクト型のp型有機薄膜トランジスタを作製した。正孔のキャリア移動度は0.052cm/V・sであり、キャリア移動度に劣るものであった。
本発明の新規なヘテロアセン誘導体は、高いキャリア移動度を与えると共に、溶媒への溶解性及びトランジスタ素子の耐熱性に優れることから、有機薄膜トランジスタに代表される半導体デバイス材料としての適用が期待できる。
:有機薄膜トランジスタの断面形状による構造を示す図である。
(A):ボトムゲート−トップコンタクト型有機薄膜トランジスタ
(B):ボトムゲート−ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ
(C):トップゲート−トップコンタクト型有機薄膜トランジスタ
(D):トップゲート−ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ
1:有機半導体層
2:基板
3:ゲート電極
4:ゲート絶縁層
5:ソース電極
6:ドレイン電極

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体を1種類以上含むことを特徴とする有機半導体層。
    Figure 0006421429
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基を示す。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又はケイ素を含む炭素数1〜20の炭化水素基を示す。T〜Tは、それぞれ独立して硫黄原子又は酸素原子を示す。nは2〜20の整数、mは1〜10の整数を示す。)
  2. 前記一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体が、下記一般式(2)で示されることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体層。
    Figure 0006421429
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。T〜Tは、それぞれ独立して硫黄原子又は酸素原子を示す。nは2〜20の整数、mは1〜10の整数を示す。)
  3. 前記一般式(1)又は一般式(2)で示されるヘテロアセン誘導体が、下記一般式(3)で示されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機半導体層。
    Figure 0006421429
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。nは2〜20の整数、mは1〜10の整数を示す。)
  4. 基材上に、ソース電極及びドレイン電極を付設した請求項1〜請求項3のいずれかに記載の有機半導体層とゲート電極とを、絶縁層を介して積層したものであることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
  5. 請求項4に記載の有機薄膜トランジスタを含むことを特徴とする半導体デバイス。
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