JP6399956B2 - ヘテロアセン誘導体、その製造方法、有機半導体層、及び有機薄膜トランジスタ - Google Patents

ヘテロアセン誘導体、その製造方法、有機半導体層、及び有機薄膜トランジスタ Download PDF

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Description

本発明は、有機半導体材料等の電子材料への展開が可能な新規なヘテロアセン誘導体、これを用いた有機半導体層及び有機薄膜トランジスタに関するものであり、特に溶媒への溶解性に優れることから容易に製膜用の有機半導体溶液の調製が可能となる新規なヘテロアセン誘導体、これを用いた有機半導体層及び有機薄膜トランジスタに関するものである。
有機薄膜トランジスタに代表される有機半導体デバイスは、省エネルギー、低コスト及びフレキシブルといった無機半導体デバイスにはない特徴を有することから近年注目されている。この有機半導体デバイスは、有機半導体層、基板、絶縁層、電極等の数種類の材料から構成され、中でも電荷のキャリア移動を担う有機半導体層は該デバイスの中心的な役割を有している。有機半導体デバイス性能は、この有機半導体層を構成する有機半導体材料のキャリア移動度により左右されることから、高キャリア移動度を与える有機半導体材料の出現が望まれている。
有機半導体層を作製する方法としては、高温真空下、有機半導体材料を気化させて実施する真空蒸着法、有機半導体材料を適当な溶媒に溶解させその溶液を塗布する塗布法等の方法が一般的に知られている。このうち、塗布法においては、高温高真空条件を要しない印刷技術を用いても実施することができるため、デバイス作製の大幅な製造コストの削減を図ることが期待でき、経済的に好ましいプロセスである。
このような塗布法に使用される有機半導体材料としては、高いキャリア移動度、及びデバイス作製のプロセス上の観点から、室温で1.0重量%以上の溶解度と、150℃以上の耐熱性も合わせ持つものであることが好ましい。しかし、高キャリア移動度、高溶解性、及び高耐熱性を兼ね合わせた低分子系の有機半導体材料は知られていないのが現状である。
現在、低分子系材料としては、ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]ペンタセン(例えば、非特許文献1参照。)、ジアルキル置換ベンゾチエノベンゾチオフェン(例えば、特許文献1参照。)、ジヘキシルジチエノベンゾジチオフェン(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)等が提案されている。
しかし、非特許文献1に記載されたビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]ペンタセンは、塗布膜の移動度が0.3から1.0cm/Vsであったものが、120℃の熱処理後、0.2cm/Vsへ低下するという問題があった。また、特許文献1に記載されたジアルキル置換ベンゾチエノベンゾチオフェンの場合も、130℃に熱処理するとトランジスタ動作が失われるという問題があった。さらに、特許文献2及び特許文献3に提案のジヘキシルジチエノベンゾジチオフェンは、ドロップキャスト法により0.1cm/V・sの移動度を示すが、室温での溶媒に対する溶解度に課題を有する。
再公表特許WO2008/047896号公報 特表2011/526588号公報 特開2012/209329号公報
ジャーナル オブ ポリマー サイエンス: パートB: ポリマー フィジックス、2006年、44巻、3631〜3641頁
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高キャリア移動度で高
耐熱性及び高溶解性を持つ新規な塗布型の有機半導体材料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討の結果、新規なヘテロアセン誘導体を
用いることにより、高キャリア移動度を与えると共に、高溶解性及び高耐熱性を持つ有機
薄膜トランジスタが得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で示されることを特徴とするヘテロアセン誘導体、その製造方法、有機半導体層、及びそれを用いてなる有機薄膜トランジスタに関するものである。
Figure 0006399956
(式中、置換基R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示す。置換基R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。置換基R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又はケイ素を含む炭素数1〜20のアルキニル基を示す。T〜Tは、それぞれ独立して硫黄原子又は酸素原子を示し、X及びXは、それぞれ独立して酸素原子又は硫黄原子を示す。n及びn’は各々独立に0〜10のいずれかの整数を示し、m及びm’は各々独立に0〜10のいずれかの整数を示す。但し、mが0のとき、nは1を示し、m’が0のとき、n’は1を示す。A及びA’は各々独立にメチレン基又はカルボニル基を示す。但し、nが0のとき、Aはカルボニル基を示し、n’が0のとき、A’はカルボニル基を示す。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のヘテロアセン誘導体は、高キャリア移動度、高溶解性及び高耐熱性を同時に満たすのに好適なため、下記一般式(2)が好ましい。また、より良好なキャリア移動度の発現のため、下記一般式(3)で示されるジチエノベンゾジチオフェンがさらに好ましい。
Figure 0006399956
(式中、置換基R及びR、T、T、T、T、X、X、A、A’、m、m’、n及びn’は、一般式(1)で示される置換基、及び記号と同意議を示す)。
Figure 0006399956
(式中、置換基R及びR、A、A’、m、m’、n及びn’は、一般式(1)で示される置換基、及び記号と同意議を示す)。
本発明のヘテロアセン誘導体は、剛直なヘテロアセン縮合多環骨格間での強固なπ−π相互作用に加え、酸素原子又は硫黄原子含有アルキル側鎖の凝集効果により、良好なキャリア移動度及び高い耐熱性の発現が可能となり、かつ、酸素原子又は硫黄原子含有アルキル側鎖の自由度により、高い溶解性の発現が可能となる。すなわち、本発明では、耐熱性及び溶解性の向上という通常相反する性質の向上が、側鎖へのヘテロ原子の導入により可能となるものである。
本発明のヘテロアセン誘導体において、高耐熱性及び高溶解性であることから、ヘテロアセン骨格の2位若しくは7位の1つのアルキル側鎖中に含有される酸素原子又は硫黄原子は3個以下(n及びn’が2以下)であることが好ましく、また1つのアルキル側鎖中に含有する酸素原子または硫黄原子が2個(n及びn’が1)であることがさらに好ましく、1つのアルキル側鎖中に含有する酸素原子が2個(n及びn’が1)である誘導体が特に好ましい。ここで、高耐熱性及び高溶解性であることから、m及びm’が3以下であることが好ましく、m及びm’が2以下であることがさらに好ましい。
本発明のヘテロアセン誘導体において、置換基R及びRで表される炭素数1〜20のアルキル基は直鎖状、分岐状又は環状アルキル基のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられ、その中でも特に高耐熱性及び高溶解性であることから、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基であることがさらに好ましい。
本発明のヘテロアセン誘導体において、置換基R及びRで表される炭素数1〜20のアルキル基は直鎖状、分岐状又は環状アルキル基のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられ、その中でも特に高耐熱性及び高溶解性であることから、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基であることがさらに好ましい。
本発明のヘテロアセン誘導体において、置換基R及びRで表される炭素数1〜20のアルキニル基は直鎖状、分岐状又は環状アルキニル基のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられ、その中でも特に高耐熱性及び高溶解性であることから、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基であることがさらに好ましい。
本発明のヘテロアセン誘導体において、置換基R及びRで表されるケイ素を含む炭素数1〜20のアルキニル基としては直鎖状、分岐状又は環状アルキニル基のいずれでもよく、特に高耐熱性及び高溶解性であることから、(トリメチルシリル)エチニル基、(トリエチルシリル)エチニル基、(トリイソプロピルシリル)エチニル基、(トリターシャリーブチルシリル)エチニル基、(ジフェニルターシャリーブチルシリル)エチニル基、(トリフェニルシリル)エチニル基等であることが好ましく、(トリエチルシリル)エチニル基、(トリイソプロピルシリル)エチニル基であることがさらに好ましい。
本発明のヘテロアセン誘導体の具体的例示としては、以下のものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0006399956
Figure 0006399956
Figure 0006399956
そして、本発明のヘテロアセン誘導体は、高キャリア移動度、高溶解性及び高耐熱性を同時に満たすのに好適なため、2,7−ビス[(メトキシメトキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン、2,7−ビス[(メトキシエトキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン、2,7−ビス[(メトキシプロポキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン、2,7−ビス[(メトキシブトキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン、2,7−ビス[(メトキシヘキソキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン、2,7−ビス[(エトキシメトキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン、2,7−ビス[(プロポキシメトキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン、2,7−ビス[(ブトキシメトキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン、2,7−ビス[(メトキシメトキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジフラン、2,7−ビス[(メトキシエトキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジフラン、2,7−ビス[(メトキシプロポキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジフラン、2,7−ビス[(メトキシブトキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジフラン、2,7−ビス[(メトキシヘキソキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジフラン、2,7−ビス[(エトキシメトキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジフラン、2,7−ビス[(プロポキシメトキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジフラン、2,7−ビス[(ブトキシメトキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジフラン、2,7−ビス[(メトキシメトキシ)メチル]ジフロ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジフラン、2,7−ビス[(メトキシエトキシ)メチル]ジフロ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジフラン、2,7−ビス[(メトキシプロポキシ)メチル]ジフロ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジフラン、2,7−ビス[(メトキシブトキシ)メチル]ジフロ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジフラン、2,7−ビス[(メトキシヘキソキシ)メチル]ジフロ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジフラン、2,7−ビス[(エトキシメトキシ)メチル]ジフロ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジフラン、2,7−ビス[(n−プロポキシメトキシ)メチル]ジフロ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジフラン、2,7−ビス[(ブトキシメトキシ)メチル]ジフロ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジフランが好ましい。
本発明の製造方法を以下の反応スキーム1に示す。
Figure 0006399956
(式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示す。T〜Tは、それぞれ独立して硫黄原子又は酸素原子を示す。X及びXは、それぞれ独立して酸素原子又は硫黄原子を示す。nは1〜10のいずれかの整数を示し、mは0〜10のいずれかの整数を示す。但し、mが0のとき、nは1を示す。Aはメチレン基又はカルボニル基を示す。但し、nが0のとき、Aはカルボニル基を示す。)
の具体例としてはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、フッ素原子等が挙げられ、反応性が良い点で臭素原子、塩素原子を用いることがさらに好ましい。
ここで、反応スキーム1における(A)工程は、ヘテロアセン(4)をアルキルリチウム試薬と反応させ、2,7位をジリチオ化し、次いでジメチルホルムアミド又はジメチルチオホルムアミドとの反応させることで、ジホルミル体(5)を製造する工程である。
(A)工程で用いられる一般式(4)で示されるヘテロアセンは、如何なる方法により製造されたものであってもよい。該ヘテロアセンの具体的な製造方法としては、T〜Tがすべて硫黄原子であるものについては、例えば、特開2012−188400号公報に記載されている方法、TとTが酸素原子、TとTが硫黄原子であるものについては、例えば、特開2015−38044号公報に記載されている方法、TとTが硫黄原子、TとTが酸素原子であるものについては、例えば、特開2014−139146号公報に記載されている方法を利用することができる。
(A)工程に用いるアルキルリチウム試薬としては、例えば、ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、メチルリチウム等を例示することができる。中でも反応性が良い点で、ブチルリチウムが好ましい。アルキルリチウム試薬の使用量は、リチオ化の収率向上のため、ヘテロアセン(4)に対し0.9から20当量が好ましい。ヘテロアセン(4)とアルキルリチウム試薬との反応は有機溶媒中で実施することができ、該有機溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、メチル−tert−ブチルエーテル等を例示することができる。ヘテロアセン(4)とアルキルリチウム試薬との反応は−90℃〜10℃の温度範囲から適宜選択された温度で実施することが好ましい。(A)工程においてジメチルホルムアミドを反応させる際の反応温度は、収率が良い点で、−90℃〜30℃の温度範囲から適宜選択された反応温度で実施することが好ましい。用いるジメチルホルムアミドの当量に特に制限は無いが、ジホルミル体(5)の収率が良い点で、ヘテロアセン(4)に対して0.9〜20当量の範囲から選択された当量を用いることが好ましい。
反応スキーム1における(B)工程は、ジホルミル体(5)を還元剤と反応させ、ジ(ヒドロキシアルキル)体(6)を製造する工程である。(B)工程に用いることのできる還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド等を例示することができる。中でも、ジ(ヒドロキシアルキル)体(6)の収率が良い点で、水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。(B)工程に用いる還元剤の使用量に特に制限は無いが、収率が良い点で、ジホルミル体(5)に対し0.9〜20当量を用いることが好ましい。(B)工程は溶媒中で実施してもよく、該溶媒としてはTHF、メチル−tert−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、メタノール等を例示することができ、収率が良い点で、THFが好ましい。(B)工程を実施する反応温度に特に制限は無いが、−30℃〜100℃の温度範囲から適宜選択された温度で実施することが好ましい。
反応スキーム1における(C)工程は、塩基存在下、(B)工程により得られたジ(ヒドロキシアルキル)体(6)と、一般式(7)で示される酸素原子又は硫黄原子含有ハロゲン化アルキルとを反応させ、本発明のヘテロアセン誘導体(8)を製造する工程である。
(C)工程に用いることのできる塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムエトキシド、水素化ジイソブチルアルミニウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等を挙げることができ、収率が良い点で水素化ナトリウム、N,N−ジイソプロピルエチルアミンが好ましい。塩基の使用量に特に制限は無いが、収率が良い点で、ジ(ヒドロキシアルキル)体(6)に対し0.9から30当量が好ましい。
(C)工程に用いることのできる酸素原子又は硫黄原子含有ハロゲン化アルキルとしては、例えば、メトキシエチルブロミド、メトキシメチルクロリド、メトキシエチルクロリド、エトキシメチルクロリド、プロポキシメチルクロリド、メチルチオメチルクロリド、メチルチオエチルクロリド、エチルチオメチルクロリド、プロピルチオメチルクロリド、塩化プロピオニル、塩化ブチリル、塩化ヘキサノイル等を挙げることができる。用いる酸素原子又は硫黄原子含有アルキルクロリドの量に特に制限は無いが、収率が良い点で、ジ(ヒドロキシアルキル)体(6)に対し0.9から20当量を用いることが好ましい。
(C)工程は溶媒中で実施してもよい。該溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタンなどを挙げることができる。
(C)工程で得られたヘテロアセン誘導体(8)は、カラムクロマトグラフィー、再結晶、昇華等、当業者の良く知る方法で精製することができ、同一又は異なる精製法を繰り返し行うことで、ヘテロアセン誘導体(8)の純度を向上させることができる。
カラムクロマトグラフィーによる精製に用いることのできる分離剤としては、例えば、シリカゲル、アルミナ等を挙げることができる。また、カラムクロマトグラフィーによる精製に用いることのできる溶離液としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム等を挙げることができる。
再結晶による精製に用いることのできる溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等を挙げることができ、これらの任意の割合で混合して用いてもよい。再結晶の方法に特に制限は無いが、ヘテロアセン誘導体(8)の純度が良い点で、ヘテロアセン誘導体(8)に溶媒を加えた後、加熱によりこれを溶解させ、その後、該溶液を冷却することでヘテロアセン誘導体(8)の結晶を析出させ単離する方法が好ましい。なお、ヘテロアセン誘導体(8)の純度は液体クロマトグラフィーにより分析することにより測定することができる。
本発明の有機半導体層形成用溶液は、前記ヘテロアセン誘導体及び溶媒を含むものであり、該溶液中におけるヘテロアセン誘導体の濃度は、ドロップキャスト法、インクジェット法、スリットコート法等による製膜に適したものとなることから、室温で溶媒に対し1.0重量%以上の溶解度を示すものであることが好ましい。ここで、室温とは、一般的に常温とも称されるものであり、例えば、20〜26℃の温度を挙げることができる。
用いる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、オクチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、インダン、テトラリン、アニソール、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、1,2−ジメチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール等の炭素数7〜14の芳香族炭化水素溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン等の炭素数6〜14の脂肪族炭化水素溶媒;o−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン等の炭素数1〜7のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノールアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチル−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコール系溶媒等が挙げられ、中でも高沸点の溶液を得ることが可能となることから、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、3,4−ジメチルアニソール等の炭素数7〜14の芳香族炭化水素溶媒であることが好ましく、トルエン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、3,4−ジメチルアニソールであることがさらに好ましい。
本発明において、一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体を、上記に挙げた溶媒である液状媒体中に溶解又は分散することにより、有機半導体層形成用溶液を調製することができる。このとき、該有機半導体形成用溶液の具体的調製方法としては、上記に挙げた溶媒と一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体を混合し、加熱・攪拌することが挙げられる。
該溶液は、該ヘテロアセン誘導体自体が適度の凝集性を有することから比較的に低温で調製することが可能、且つ耐酸化性があることから、塗布法による有機薄膜の製造に好適である。即ち、雰囲気から空気を除く必要がないことから、塗布工程を簡略化することができる。さらに該溶液には、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリビニルナフタレン、エチレン−ノルボルネンコポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリトリアリールアミン、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ジメチルトリアリールアミン)等のポリマーをバインダーとして存在させることもできる。これらのポリマーバインダーの濃度は、優れたキャリア移動度発現のため、0.1〜10.0重量%であることが好ましい。また、該溶液は、優れた塗布性を有することから、0.5〜50mPa・sの範囲の粘度にあることが好ましい。
本発明の有機半導体層形成用溶液に含まれるヘテロアセン誘導体は、高いキャリア移動度を与えることから有機半導体材料としての優れた特徴を有すると共に、溶媒への高い溶解性を有することから、ヘテロアセン誘導体を含有する有機半導体層形成用溶液をドロップキャスト法、インクジェット法等の方法により容易に効率よく、有機半導体層を形成することが可能となる。
本発明のヘテロアセン誘導体を用いて有機半導体層とする際には、例えば、スピンコート、キャストコート、インクジェット、スリットコート等のドロップキャスト法;ブレードコート;ディップコート;スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等の印刷法等の方法を用いることが可能であり、中でも容易に効率よく有機半導体層とすることが可能となることから、スピンコート、キャストコート、インクジェット等のドロップキャスト法であることが好ましく、インクジェットであることがさらに好ましい。また、その際の有機半導体層の膜厚に制限はなく、優れたキャリア移動度発現のため、好ましくは1nm〜1μm、さらに好ましくは10nm〜300nmである。また、複数のヘテロアセン誘導体を混合して有機半導体層を形成してもよい。
また、本発明のヘテロアセン誘導体を含む有機半導体層は塗布乾燥後、40〜200℃にアニール処理することも可能である。
本発明のヘテロアセン誘導体を含む有機半導体層は有機薄膜トランジスタに用いることができる。すなわち、一般に有機薄膜トランジスタは、基板上に、ソース電極及びドレイン電極を付設した有機半導体層とゲート電極とを絶縁層を介し積層することにより得られているものであるところ、該有機半導体層に本発明のヘテロアセン誘導体を用いた有機半導体層を採用することにより、有機薄膜トランジスタとすることが可能である。
図1に一般的な有機薄膜トランジスタの断面形状による構造を示す。ここで、(A)は、ボトムゲート−トップコンタクト型、(B)は、ボトムゲート−ボトムコンタクト型、(C)は、トップゲート−トップコンタクト型、(D)は、トップゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタであり、1は有機半導体層、2は基板、3はゲート電極、4はゲート絶縁層、5はソース電極、6はドレイン電極を示し、本発明のヘテロアセン誘導体を用いた有機半導体層は、いずれの有機薄膜トランジスタにも適用することが可能である。
そして、基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリ(ジエチルフマレート)、ポリ(ジイソプロピルマレエート)、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、セルローストリアセテート等のプラスチック基板;ガラス、石英、酸化アルミニウム、シリコン、ハイドープシリコン、酸化シリコン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物等の無機材料基板;金、銅、クロム、チタン、アルミニウム等の金属基板等を挙げることができる。なお、ハイドープシリコンを基板に用いた場合、その基板はゲート電極を兼ねることができる。
ゲート電極としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ハイドープシリコン、スズ酸化物、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、クロム、チタン、タンタル、クロム、グラフェン、カーボンナノチューブ等の無機材料;ドープされた導電性高分子(例えば、PEDOT−PSS)等の有機材料等を挙げることができる。
ゲート絶縁層としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウム、チタン酸ビスマス等の無機材料基板;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリ(ジエチルフマレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリシクロペンタン、ポリシクロヘキサン、ポリシクロヘキサン−エチレン共重合体、ポリフッ素化シクロペンタン、ポリフッ素化シクロヘキサン、ポリフッ素化シクロヘキサン−エチレン共重合体等のプラスチック材料等を挙げることができる。また、これらのゲート絶縁層の表面は、例えば、オクタデシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、デシルトリメトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、β−フェネチルトリクロロシラン、β−フェネチルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン等のシラン類;オクタデシルホスホン酸、デシルホスホン酸、オクチルホスホン酸等のホスホン酸類;ヘキサメチルジシラザン等のシリルアミン類で修飾処理したものであっても使用することができる。一般的にゲート絶縁層の表面処理を行うことにより、有機半導体材料の結晶粒径の増大及び分子配向の向上のため、キャリア移動度及び電流オン・オフ比の向上、並びに閾値電圧の低下という好ましい結果が得られる。
ソース電極及びドレイン電極の材料としては、ゲート電極と同様の材料を用いることができ、ゲート電極の材料と同じであっても異なっていてもよく、異種材料を積層してもよい。また、キャリアの注入効率を上げるために、これらの電極材料に表面処理を実施することもできる。表面処理を実施する際の表面処理剤としては、例えば、ベンゼンチオール、ペンタフルオロベンゼンチオール等を挙げることができる。
本発明のヘテロアセン誘導体は、電子ペーパー、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、ICタグ(RFIDタグ)用、圧力センサー等のトランジスタの有機半導体層用途;有機ELディスプレイ材料;有機半導体レーザー材料;有機薄膜太陽電池材料;フォトニック結晶材料等の電子材料等に利用することができる。
本発明の新規なヘテロアセン誘導体は、高いキャリア移動度を与えると共に、高耐熱性及び高溶解性を持つ塗布型の有機半導体材料であり、本発明によりこれまでの課題を解決する新規な有機半導体材料を提供することが可能となり、有機薄膜トランジスタに代表される半導体デバイス材料としてその効果は極めて高いものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
生成物の同定にはH−NMRスペクトル(日本電子製JEOL GSX−400(400MHz))、マススペクトル(島津製作所製、GCMS−QP2010 SE)、及び元素分析(パーキンエルマージャパン製、2400II)を用いた。また、生成物の純度測定には、液体クロマトグラフィー(LC)(東ソー製、LC−8020)を用いた。塩化アルミニウム、酸クロリド等の試薬類は、断りのない限り市販品を用いた。
実施例1 (2,7−ビス[(2−メトキシエチルオキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェンの合成)
Figure 0006399956
ジホルミルジチエノベンゾジチオフェンの合成((A)工程))
窒素雰囲気下、300ml三口フラスコにジチエノベンゾジチオフェン605mg(2.0mmol)を添加し、テトラヒドロフラン(脱水グレード)80mlを添加した。この懸濁液を氷冷し、1.60M ブチルリチウム(12.5ml、7.8mmol)を滴下した後、ジメチルホルムアミド3.1ml(40mmol)を添加し、室温にして1.5時間攪拌した。その後再度氷冷し、1N−塩酸80mlを加え攪拌。その後、残渣を水及びメタノールで洗浄した。採取した固体を40℃下4時間乾燥しジホルミルジチエノベンゾジチオフェン716mgを得た。
MS m/z: 358(M,100%)
HNMR(DMSO−d6、60℃):δ=10.08(s,2H),8.96(s,2H),8.50(s,2H)
ジ(ヒドロキシメチル)ジチエノベンゾジチオフェンの合成((B)工程)
窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに前工程で合成したジホルミルジチエノベンゾジチオフェン716mg(2.0mmol)を取り、テトラヒドロフラン/メタノール(144ml/16ml)混合溶媒に溶解した。15分間室温で攪拌した後、水素化ホウ素ナトリウム884mg(23.4mmol)を投入し、室温で6時間攪拌した。その後、水を添加し反応を停止した。反応停止後、沸分を減圧留去し、残渣に1N塩酸40mlを加えた。固体を濾過し、メタノール、ジクロロメタン、ヘキサンで順次洗浄した。採取した固体を40℃で3時間減圧乾燥し、ジヒドロキシジチエノベンゾジチオフェン714mgを得た(収率:88%)
MS m/z: 362(M,100%)
HNMR(DMSO−d6、60℃):δ=8.58(s, 2H),7.40(s,2H),5.86(t,J=5.9Hz,2H),4.78(d,J=5.4Hz,4H)
ビス[(メトキシエトキシ)メチル]ジチエノベンゾジチオフェン((C)工程)
窒素雰囲気下、100ml三口フラスコに前工程で合成したジ(ヒドロキシメチル)ジチエノベンゾジチオフェン350mg(0.97mmol)とジメチルホルムアミド18mlを添加した。氷冷下、水素化ナトリウム799mg(20mmol)を加え、室温で1時間攪拌、その後再度氷冷しメトキシエチルブロミド2022mg(14.5mmol)を滴下し室温で20時間攪拌した。氷冷し、メタノール5ml、水15mlを添加した。その後、ジクロロメタンで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム水溶液で乾燥後、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル105g、展開溶媒;ジクロロメタン/酢酸エチル(10/1))、及び再結晶精製(溶媒;トルエン)で精製し、ビス[(メトキシエトキシ)メチル]ジチエノベンゾジチオフェンを95mg得た(収率:20.5%)。
LC純度: 95.8%。
MS m/z: 478(M,100%)
H−NMR(CDCl,25℃):δ=8.24(s, 2H),7.24(s,2H),4.84(s,4H),3.71(t,J=4.9Hz,4H),3.59(t,J=5.6Hz,4H),3.41(s,6H)
実施例2 (2,7−ビス[(メトキシメトキシ)メチル]ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェンの合成)
Figure 0006399956
実施例1において、(C)工程におけるジヒドロキシジチエノベンゾジチオフェンの量を318mg(0.88mmol)に、メトキシエチルブロミドをメトキシメチルクロリドとした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返してビス[(メトキシメトキシ)メチル]ジチエノベンゾジチオフェン60mgを得た(収率15.2%)。
LC純度: 93.3%。
MS m/z: 450(M,100%)。
HNMR(CDCl、25℃):δ=8.24(s, 2H),7.24(s,2H),4.87(s,4H),4.79(s,4H),3.51(s,3H)
実施例3(2,7−ジ(ブチリルオキシメチル)ジチエノ[2,3−d;2’,3’−d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェンの合成)
Figure 0006399956
実施例1において、(C)工程におけるジ(ヒドロキシメチル)ジチエノベンゾジチオフェンの量を42mg(0.116mmol)に、ジメチルホルムアミドをジクロロメタンに、水素化ナトリウムをN,N−ジイソプロピルエチルアミンに、メトキシエチルブロミドを塩化ブチリルとした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返してビス[(ブチリルオキシ)メチル]ジチエノベンゾジチオフェン10mgを得た(収率17.0%)。
LC純度: 96.5%。
MS m/z: 502(M,100%)。
H−NMR(CDCl,25℃):δ=8.25(s, 2H),7.33(s,2H),5.37(s,4H),2.36(t,J=7.3Hz,4H),1.69(sext,J=4.9Hz,4H),0.96(t,J=4.9Hz,6H)
実施例4
実施例1で合成したビス[(メトキシエトキシ)メチル]ジチエノベンゾジチオフェン5.0mg及びトルエン617mgを添加し、50℃に加熱溶解後、室温下(25℃)で放置した。25℃で10時間後も溶液状態を維持していることを確認した(ビス[(メトキシエトキシ)メチル]ジチエノベンゾジチオフェンの濃度は0.8重量%)。
実施例1で合成したビス[(メトキシエトキシ)メチル]ジチエノベンゾジチオフェン2.8mg及びトルエン1400mgを添加し、50℃に加熱溶解後、室温下(25℃)に放冷し、ドロップキャスト有機半導体層形成用溶液を調製した(0.20重量%無色溶液)。
そして、空気下、直径2インチのヒ素でn型にハイドープしたシリコン基板(抵抗値;0.001〜0.004Ω、表面に200nmのシリコン酸化膜付き)上に、得られたドロップキャスト有機半導体層形成用溶液0.5mlをマイクロシリンジに充填しドロップキャストした。室温下(25℃)で自然乾燥し、膜厚100nmのビス[(メトキシエトキシ)メチル]ジチエノベンゾジチオフェンの有機半導体層を作製した。
該有機半導体層にチャネル長20μm、チャネル幅500μmのシャドウマスクを置き、金を真空蒸着することでソース/ドレイン電極対を形成し、ボトムゲート−トップコンタクト型のp型有機薄膜トランジスタを作製した。
作製した有機薄膜トランジスタの電気物性を半導体パラメーターアナライザー(ケースレー製、4200SCS)を用いて、ドレイン電圧(Vd=−50V)で、ゲート電圧(Vg)を+10〜−70Vまで1V刻みで走査し、伝達特性の評価を行った。正孔のキャリア移動度は0.5cm/V・sであった。さらにこの有機薄膜トランジスタを130℃で15分間アニール処理した後の電気物性を測定したところ、正孔のキャリア移動度は0.5cm/V・sであり、熱処理による性能の低下は見られなかった。
実施例5
実施例4でビス[(メトキシエトキシ)メチル]ジチエノベンゾジチオフェンの代わりに実施例2で合成したビス[(メトキシメトキシ)メチル]ジチエノベンゾジチオフェンを使用した以外は実施例4と同様の操作を繰り返して、評価を行った。有機半導体溶液は、25℃で10時間後も溶液状態を維持していることを確認した(ビス[(メトキシメトキシ)メチル]ジチエノベンゾジチオフェンの濃度は1.5重量%)。
実施例4と同様にして作製した有機薄膜トランジスタにおける正孔のキャリア移動度は0.4cm/V・sであった。さらにこの有機薄膜トランジスタを130℃で15分間アニール処理した後の電気物性を測定したところ、正孔のキャリア移動度は0.4cm/V・sであり、熱処理による性能の低下は見られなかった。
実施例6
実施例4でビス[(メトキシエトキシ)メチル]ジチエノベンゾジチオフェンの代わりに実施例3で合成したビス[(ブチリルオキシ)メチル]ジチエノベンゾジチオフェンを使用した以外は実施例4と同様の操作を繰り返して、評価を行った。有機半導体溶液は、25℃で10時間後も溶液状態を維持していることを確認した(ビス[(メトキシメトキシ)メチル]ジチエノベンゾジチオフェンの濃度は1.5重量%)。
実施例4と同様にして作製した有機薄膜トランジスタにおける正孔のキャリア移動度は0.3cm/V・sであった。さらにこの有機薄膜トランジスタを130℃で15分間アニール処理した後の電気物性を測定したところ、正孔のキャリア移動度は0.3cm/V・sであり、熱処理による性能の低下は見られなかった。
比較例1 (ジオクチルベンゾチエノベンゾチオフェン)
ジオクチルベンゾチエノベンゾチオフェン6.5mg及びトルエン801mgを添加し、50℃に加熱溶解後、室温下(25℃)で放置した。25℃で10時間後も溶液状態を維持していることを確認した(ジオクチルベンゾチエノベンゾチオフェンの濃度は0.8重量%)。
そして、実施例4と同様の方法で、膜厚51nmのジオクチルベンゾチエノベンゾチオフェンの有機半導体層を作製し、さらにボトムゲート−トップコンタクト型のp型有機薄膜トランジスタを作製した。正孔のキャリア移動度は0.17cm/V・sであった。さらにこの有機薄膜トランジスタを130℃で15分間アニール処理した後の電気物性を測定した。しかしトランジスタ動作を得ることはできず、耐熱性に劣る材料であった。
比較例2 (6,13−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]ペンタセン)
6,13−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]ペンタセン11.8mg及びトルエン775mgを添加し、50℃に加熱溶解後、室温下(25℃)で放置した。25℃で10時間後も溶液状態を維持していることを確認した(6,13−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]ペンタセンの濃度は1.5重量%)。
そして、実施例4と同様の方法で、膜厚60nmの6,13−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]ペンタセンの有機半導体層を作製し、さらにボトムゲート−トップコンタクト型のp型有機薄膜トランジスタを作製した。正孔のキャリア移動度は0.052cm/V・sであり、キャリア移動度に劣るものであった。
本発明の新規なヘテロアセン誘導体は、高いキャリア移動度を与えると共に、溶媒への溶解性及びトランジスタ素子の耐熱性に優れることから有機薄膜トランジスタに代表される半導体デバイス材料としての適用が期待できる。
;有機薄膜トランジスタの断面形状による構造を示す図である。
(A):ボトムゲート−トップコンタクト型有機薄膜トランジスタ
(B):ボトムゲート−ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ
(C):トップゲート−トップコンタクト型有機薄膜トランジスタ
(D):トップゲート−ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ
1:有機半導体層
2:基板
3:ゲート電極
4:ゲート絶縁層
5:ソース電極
6:ドレイン電極

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体。
    Figure 0006399956
    (式中、置換基R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示す。置換基R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。置換基R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキニル基、又はケイ素を含む炭素数1〜20のアルキニル基を示す。T〜Tは、それぞれ独立して硫黄原子又は酸素原子を示し、X及びXは、それぞれ独立して酸素原子又は硫黄原子を示す。n及びn’はそれぞれ独立して0〜10のいずれかの整数を示し、m及びm’はそれぞれ独立して0〜10のいずれかの整数を示す。但し、mが0のとき、nは1を示し、m’が0のとき、n’は1を示す。A及びA’はそれぞれ独立してメチレン基又はカルボニル基を示す。但し、nが0のとき、Aはカルボニル基を示し、n’が0のとき、A’はカルボニル基を示す。)
  2. n、n’、m及びm’が0〜2の整数である請求項1に記載のヘテロアセン誘導体。
  3. 前記一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体が、下記一般式(2)で示されることを特徴とする請求項1に記載のヘテロアセン誘導体。
    Figure 0006399956

    (式中、置換基R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示す。T〜Tは、それぞれ独立して硫黄原子又は酸素原子を示し、X及びXは、それぞれ独立して酸素原子又は硫黄原子を示す。n及びn’はそれぞれ独立して0〜10のいずれかの整数を示し、m及びm’はそれぞれ独立して0〜10のいずれかの整数を示す。但し、mが0のとき、nは1を示し、m’が0のとき、n’は1を示す。A及びA’はそれぞれ独立してメチレン基又はカルボニル基を示す。但し、nが0のとき、Aはカルボニル基を示し、n’が0のとき、A’はカルボニル基を示す。)
  4. 前記一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体が、下記一般式(3)で示されることを特徴とする請求項1に記載のヘテロアセン誘導体。
    Figure 0006399956

    (式中、置換基R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示す。n及びn’は各々独立に0〜10のいずれかの整数を示し、m及びm’は各々独立に0〜10のいずれかの整数を示す。但し、mが0のとき、nは1を示し、m’が0のとき、n’は1を示す。A及びA’はそれぞれ独立してメチレン基又はカルボニル基を示す。但し、nが0のとき、Aはカルボニル基を示し、n’が0のとき、A’はカルボニル基を示す。)
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のヘテロアセン誘導体を、液状媒体中に溶解又は分散することで得られることを特徴とする有機半導体層形成用液。
  6. ヘテロアセン誘導体の含有量が、0.01〜10重量%である請求項5に記載の有機半導体層形成用液。
  7. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のヘテロアセン誘導体を1種類以上含むことを特徴とする有機半導体層。
  8. 基材上に、ソース電極及びドレイン電極を付設した請求項7に記載の有機半導体層とゲート電極とを、絶縁層を介して積層したものであることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
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