JP6252240B2 - 印刷システム、濃度補正方法及び補正要否判定プログラム - Google Patents
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Description
すなわち、ドットの種別毎に補正用のパターンを印刷し、それぞれの補正用のパターンについて濃度を測定する。そして、ドットの種別毎に、補正用のパターンの濃度と予め設定された基準値とを比較して、その差を求めて補正する。これにより、基準値からの濃度のずれが補正される。
本発明の印刷システムにおいて、前記コンピューターは、前記印刷画像の印刷解像度の種別に対応して、その印刷画像を形成するために用いるドットの組を異ならせているものであり、前記一部のドットの判定チャートは、印刷の際に設定される前記印刷解像度に対応するドットの組の判定パターンを含む。
以下、本発明に係る印刷システムの一実施形態について、図面に従って説明する。
図1に示すように、印刷システム1は、PC(personal computer)、携帯電話、携帯端末等のコンピューター10と、液体噴射装置としてのインクジェット式のプリンター11とを備える。
例えば、使用者が印刷を行う際にコンピューター10のインターフェイスに対して行う所定操作に基づいて、コンピューター10が印刷プログラムを実行する。
濃度補正プログラムは、画像データの補正が必要であるか否かについて判定する補正要否判定プログラムと、プリンター11から出力される濃度測定結果に基づいて印刷に係る画像データを補正する画像補正プログラムとを含む。
プリンター11は、コンピューター10から印刷用データを取得する。そして、プリンター11は、キャリッジ16及び記録用紙Pを所定の位置に移動し、インクカートリッジ20内のインクを各記録ヘッド21へと供給し、圧電素子を駆動して各記録ヘッド21から各インクを記録用紙Pに噴射する。この操作を繰り返すことにより記録用紙Pに、印刷用データに対応する印刷画像を形成する。
この印刷処理は、コンピューター10によって行われる。具体的には、コンピューター10が印刷プログラムを実行することで、印刷処理が実行されることになる。以下、コンピューター10が実行する各ステップについて説明する。
印刷設定データには、印刷において使用する記録用紙Pのサイズ、印刷に係る印刷画像の精細度を示す印刷解像度等の情報が含まれる。印刷解像度は、プリンター11を使用する使用者によって設定される設定値である。例えば、印刷解像度として、3種類の解像度が用意される(図3参照)。コンピューター10は、選択された印刷解像度によって、印刷画像を形成するために用いるドットの組を決定する。
この例では、720dpi×720dpi(dots per inch)の印刷解像度では、小ドットS1、中ドットM1、大ドットL1の組が用いられる。
2880dpi×1440dpiの印刷解像度では、小ドットS2が用いられる。すなわち、高印刷解像度の印刷では、中印刷解像度の印刷の際に用いられる小ドットS2のみを用いて印刷画像を形成する。
ステップS130では、コンピューター10は色変換処理を実行する。色変換処理では、ステップS120により処理された画像データについて、印刷可能な色により構成される画像データに変換する。例えば、RGBで構成される画像データを上記8色で構成される画像データに変換する。
図4に、上記ステップS140において用いられる補正階調テーブルの一例を示す。
補正階調テーブルは、ドットの種別毎及びインクの色毎に設けられる。図4には、所定のドット(例えば、中ドットM1)の各インクについて、その補正階調テーブルを示す。
ブラックでは、図4(a)のテーブルを参照して、画像データの階調値が149である画素に対して139が設定される。同様に、画像データの階調値が150である画素に対して140が設定される。階調値が151である画素に対して141が設定される。
ドット生成数テーブルは、印刷解像度の種別毎に構成されている。本実施形態の印刷システム1は、低印刷解像度用、中印刷解像度用、高印刷解像度用それぞれのドット生成数テーブルを有する。
具体的には、相対ドット数R1は、小ドットS1の相対液量とドット生成数との乗算値と、中ドットM1の相対液量とドット生成数との乗算値と、大ドットL1の相対液量とドット生成数との乗算値との和によって算出される。小ドットS1の相対液量は、大ドットL1の相対液量を1としたときの相対量であり、0よりも大きくかつ1よりも小さい値に設定される。中ドットM1の相対液量は、大ドットL1の相対液量を1としたときの相対量であり、小ドットS1の相対液量よりも大きくかつ1よりも小さい値に設定される。このようにして定義される相対ドット数R1は後述する濃度補正処理において用いられる。
図6の、実線は小ドットS1のドット生成数を示し、破線は中ドットM1のドット生成数を示し、一点鎖線は大ドットL1のドット生成数を示す。
この濃度補正処理は、コンピューター10によって行われる。具体的には、コンピューター10が濃度補正プログラムを実行することで、濃度補正処理が実行されることになる。下記のステップS210〜ステップS230の処理が補正要否判定プログラムに該当し、下記のステップS240〜ステップS280の処理が画像補正プログラムに該当する。
ステップS210では、コンピューター10は、プリンター11に所定の判定チャートを形成させる。
図8に示す判定チャートは、中ドットM1により形成される各色の判定パターンにより構成されている。
具体的には、階調値毎に、判定パターンの濃度(実測濃度)とその判定パターンに対応する基準値との差の絶対値を算出する。そして、階調値毎に、判定パターンについて、両者の差の絶対値が許容値以下にあるか否かを判定する。全ての階調値において、両者の差の絶対値が許容値以下にあるとき(図10参照。図10の2点鎖線LAによって囲まれる範囲内にあるとき)、その判定パターンが許容値以下である旨判定する。そして、各判定パターンについて、両者の差の絶対値が許容値以下にあるか否かを判定する。全ての判定パターンについて、両者の差の絶対値が許容値以下にあるとき、その判定チャートについて、基準値からの濃度のずれが許容範囲内である旨の判定をして、濃度補正処理を終了する。
補正チャートは、判定パターンの作成で用いたドット(中ドットM1)とは別の他のドットを用いて形成される。また、各チャートは、各色の補正パターンにより構成される。
図10に示す実線LRが実測濃度を示し、破線LBが基準線(各階調値の基準値により構成される線)を示す。実測濃度の線は、濃度測定器22の出力値を所定の換算式により換算して得られる。この換算式では、実測濃度が「0〜1」の範囲内の値をとるように、かつ濃度が高い程「0」に近づくように、また濃度が低い程「1」に近づくように、濃度測定器22の出力値を換算する。図10に示す2点鎖線LAは、各階調値の許容値(実測濃度と基準値との差の絶対値に対する許容値)により構成される線である。2点鎖線LAに囲まれる範囲は、各階調値において、判定パターンの濃度(実測濃度)と基準値との差の絶対値が許容値以下となる領域を示す。
階調値127に対する基準値が127(XD)として設定されている場合において、階調値127に対する実測濃度が127(XR)であるとき、127(XD)と127(XR)との差を補正するべく、実測濃度の曲線上において127(XD)に対応する階調値127(K)を取得する。そして、階調値127(K)を階調値127の補正階調値とする。
図11に示す各値は次のように定義される。
(a)t−Sd1(0)〜t−Sd1(255)は、小ドットS1に関する補正階調値を示す。
(b)t−Md1(0)〜t−Md1(255)は、中ドットM1に関する補正階調値を示す。
(c)t−Ld1(0)〜t−Ld1(255)は、大ドットL1に関する補正階調値を示す。図11のようなドットに関する補正階調値のテーブルは、各ドット、各色に対して作成される。
図12に、ブラックについて、小ドットS1、中ドットM1、大ドットL1の補正ドット生成数を示すテーブル(補正ドット生成数テーブル)を示す。図12に示すテーブルは、図11に示すテーブルに対応するものである。図11の階調値は上記換算式Xを用いて図12のドット生成数に換算される。同様に、図11のドットに関する補正階調値は、同じ換算式Xを用いて補正ドット生成数に換算される。換算式Xとしては、例えば、比例関数が用いられる。
(a)d−Sd1(0)〜d−Sd1(255)は、小ドットS1に関する補正ドット生成数を示す。
(b)d−Md1(0)〜d−Md1(255)は、中ドットM1に関する補正ドット生成数を示す。
(c)d−Ld1(0)〜d−Ld1(255)は、大ドットL1に関する補正ドット生成数を示す。このような補正ドット生成数テーブルは、各ドット、各色に対して作成される。
上記に示したように、画像データの階調値の低階調化処理のために、画像データの階調値は、各ドットのドット生成数の組に対応付けられている(図5参照)。画像データの階調値に関する補正階調値を導出する際は、この画像データの階調値に対応付けられているドット生成数を、上記ステップS270で導出した補正ドット生成数によって補正し、この補正値に基づいて補正階調値を導き出す。以下に、階調値160を例に挙げて、補正階調値の導出方法を説明する。
(a)小ドットS1のドット生成数Sd1(160)が1632である場合、1487に補正される。
(b)中ドットM1のドット生成数Md1(160)が1632である場合、1451に補正される。
(c)大ドットL1のドット生成数Ld1(160)が209である場合、203に補正される。
上記濃度補正処理では、補正階調テーブルに示すように、画像データの階調値の値を変更する。すなわち、補正階調テーブルの構成については補正しない。このため、この濃度補正処理では、各階調値における各ドットのドット生成数の割合(バランス)は維持される。
補正要否判定プログラムは、少なくとも次の第1手順〜第3手順を含む。
・第1手順では、補正要否判定プログラムは、制御部30を介して記録ヘッド21に、予め設定された一部のドットを用いて記録用紙Pに判定パターンを形成させる。
・第2手順では、補正要否判定プログラムは、制御部30を介して濃度測定器22に、判定パターンの濃度を測定させる。
・第3手順は、補正要否判定プログラムは、コンピューター10に、判定パターンの濃度測定結果に基づいて、判定パターンの濃度と基準値との差の絶対値が許容値以下であるか否かを判定させる。
(1)上記印刷システム1は、予め設定された一部のドットで判定チャートを形成して、判定チャートの濃度を濃度測定器22によって測定し、その濃度測定結果に基づいて印刷に係る画像データについての濃度補正の要否を判定する。
印刷画像の濃度(濃淡)が変化する一要因として、記録ヘッド21のノズルの長期にわたる使用によるノズルの目詰りやプリンター11の使用環境の変化(温度及び湿度等の環境変化)等が挙げられる。これらの要因により、記録ヘッド21のノズルから吐出されるインク滴の液量が変化し、印刷画像の濃度変化が生じる。印刷画像の濃度変化は、インク滴の液量の変化に帰着するものであるため、ドットの種別(大、中、小)に関係なく、またインクの色に関係なく、略一律に生じると考えられる。このため、一部のドットの判定パターンの濃度と基準値とのずれ(実測濃度と基準値との差の絶対値)が小さく、そのずれが許容範囲内であるときには、他のドットについても同様の結果になる可能性が高い。このような理由から、一部のドットに基づいて、画像データの濃度補正の要否についての判定が可能となっている。
この構成によれば、色の異なる複数種のドットを用いて印刷画像を形成する場合(所謂、カラー印刷)において、濃度補正に要する時間(平均時間)を短縮することができる。
第1工程(ステップS210に対応する工程)では、ドットサイズが異なる複数種のインク滴を記録用紙Pに噴射する記録ヘッド21により予め設定された一部のドットを用いて判定チャートを形成する。
第3工程(ステップS230に対応する工程)では、判定チャートの濃度と基準値との差の絶対値が許容値以下であるか否かを判定する。
第5工程(ステップS250に対応する工程)では、他のドットについての補正チャートの濃度を測定する。
このため、従来の方法、すなわち、印刷に係る画像データについて濃度補正を行う場合に各ドットについて補正パターンを形成し、各補正パターンの濃度を測定し、濃度測定結果に基づいて濃度補正を行う従来の方法に比べて、濃度補正に要する時間(平均時間)を短縮することができる。
この構成では、印刷に係る画像データについて濃度補正を行う前に、まず、コンピューター10に、一部のドットの判定チャートの濃度測定結果に基づいて、判定チャートの濃度と基準値との差の絶対値が許容値以下であるか否かを判定させる。
第1実施形態では、濃度補正処理において、濃度補正の要否を判定する際に用いる判定チャートは、各種のドットのうちの一部のドットで形成されるものである。これに対して、第2実施形態では、判定チャートを次のように構成される。
(1)上記印刷システム1において、判定チャートは、印刷の際に設定される印刷解像度に対応するドットの組について、その組の各ドットの判定パターンにより構成されている。
これは、小ドットS1と中ドットM1と大ドットL1とは液量が異なることから、プリンター11の長期(例えば、数か月または数年にわたる使用)には各ドットの液量の変化もそれぞれ異なるようになることを鑑み、選択された印刷解像度の印刷画像を形成する際に使用する全てのドットについて、その判定を行う。これにより、濃度補正の要否の判定の精度を向上させる。
なお、実施態様は上記に示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
Claims (7)
- 印刷に係る画像データに基づいて印刷用データを形成するコンピューターと、前記コンピューターから出力される前記印刷用データに基づいて媒体に印刷画像を形成する液体噴射装置とを備え、
前記液体噴射装置は、
ドットサイズが異なる複数種の液滴を媒体に噴射可能な液体噴射部と、前記液体噴射部から噴射された前記液滴により前記媒体に形成されたパターンの濃度を測定可能な濃度測定器とを備え、予め設定された一部のドットで少なくとも一つのパターンにより構成される判定チャートを前記液体噴射部が形成するとともに、前記濃度測定器が前記判定チャートにおける前記パターンの濃度を測定し、
前記コンピューターは、前記濃度測定器が前記判定チャートから得た濃度測定結果に基づいて前記画像データの濃度補正の要否を判定する
印刷システム。 - 前記液体噴射装置は、前記画像データについて濃度補正が必要である旨の判定結果に基づいて前記液体噴射部が前記一部のドットとは別の他のドットの補正チャートを媒体に形成し、これらの補正チャートの濃度を前記濃度測定器が測定し、その濃度測定結果を出力する
請求項1に記載の印刷システム。 - 前記液体噴射部は、前記媒体の搬送方向に対して交差する走査方向に移動するものであり、前記一部のドットの判定チャートの形成の際及び前記他のドットの補正チャートの形成の際、これらのチャートを構成する各パターンを前記走査方向に沿うように形成する
請求項2に記載の印刷システム。 - 前記液体噴射部は、ドットサイズ及び色の異なる複数種の液滴を噴出するものであり、
前記一部のドットの判定チャートは各色の判定パターンを含み、
前記他のドットの補正チャートは、各ドットについて各色の補正パターンを含む
請求項2または請求項3に記載の印刷システム。 - 前記コンピューターは、前記印刷画像の印刷解像度の種別に対応して、その印刷画像を形成するために用いるドットの組を異ならせているものであり、
前記一部のドットの判定チャートは、印刷の際に設定される前記印刷解像度に対応するドットの組の判定パターンを含む
請求項1〜4のいずれか一項に記載の印刷システム。 - ドットサイズが異なる複数種の液滴を媒体に噴射する液体噴射部により予め設定された一部のドットを用いて判定チャートを形成する工程と、
前記判定チャートの濃度を測定する工程と、
前記判定チャートの濃度と基準値との差の絶対値が許容値以下であるか否かを判定する工程と、
前記判定チャートの濃度と前記基準値との差の絶対値が前記許容値よりも大きいとき、前記他のドットについて補正チャートを形成する工程と、
前記他のドットについての前記補正チャートの濃度を測定する工程と、
前記一部のドットの前記判定チャートに係る濃度測定結果と前記他のドットの前記補正チャートに係る濃度測定結果に基づいて、印刷に係る画像データを補正する工程とを含む
濃度補正方法。 - 印刷に係る画像データに基づいて印刷用データを形成するコンピューターと、前記コンピューターから出力される前記印刷用データに基づいて媒体に印刷画像を形成する液体噴射装置とを備え、前記液体噴射装置は、ドットサイズが異なる複数種の液滴を媒体に噴射可能な液体噴射部と、前記液体噴射部から噴射された前記液滴により前記媒体に形成されたパターンの濃度を測定可能な濃度測定器とを有する印刷システムに組み込まれ、
前記印刷システムの液体噴射部に、予め設定された一部のドットを用いて媒体に判定チャートを形成させる手順と、
前記印刷システムの前記濃度測定器に、前記判定チャートの濃度を測定させる手順と、
前記印刷システムの前記コンピューターに、前記判定チャートの濃度測定結果に基づいて、前記判定チャートの濃度と基準値との差の絶対値が許容値以下であるか否かを判定させる手順とを含む
補正要否判定プログラム。
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