JP6251829B2 - アルミニウム表面処理材料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用部材に好適に使用することができるアルミニウム表面処理材料およびその製造方法に関する。
周知の通り、従来から、自動車、船舶、航空機あるいは車両等の輸送機、機械、電気製品、建築、構造物、光学機器、器物の部材や部品用として、各種アルミニウム合金材が、合金毎の各特性に応じて汎用されている。そして、近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車用部材の軽量化による燃費の向上が追求されていることから、従来使用されていた鉄鋼材料に代わって、比重が鉄の約1/3であり、優れたエネルギー吸収性を有するアルミニウム合金材の自動車用部材への使用が増加している。
また、自動車用部材として用いられるアルミニウム合金材には、接着性、耐食性等が要求される。特許文献1には、アルミニウム合金基材の耐食性を向上させる方法として、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、1,2−ビス−(トリエトキシシリル)エタンおよび溶剤を含有する処理溶液をアルミニウム合金基材に塗布した後、溶剤を除去することによりアルミニウム合金基材に耐食コーティングを施し、さらに40〜180℃で耐食コーティングを硬化させて皮膜を形成する方法が記載されている。また、特許文献2には、アルミニウム合金材料の腐蝕保護のための方法として、水ガラス、シランを添加した水性組成物をアルミニウム合金材料に塗布して皮膜を形成する方法が記載されている。
特許第4589364号公報 特表2014−502287号公報
自動車用部材としては、皮膜を形成したアルミニウム合金材に他のアルミニウム合金材を接着剤で接着した接合部材が用いられる。特許文献1に記載された耐食性を向上させる方法では、接合部材が水分、酸素および塩化物イオン等が浸透してくる高温湿潤環境に長期間曝露されると、アルミニウム合金材と接着剤との界面の劣化が進み、接着強度が低下したり、アルミニウム合金の腐食が促進されたりして、十分な接着耐久性が得られないという問題がある。
また、特許文献2に記載された腐蝕保護のための方法では、アルミニウム合金材料の耐食性を向上させることを目的としているため、水性組成物中の水ガラスおよびシラン化合物の濃度が高く、アルミニウム合金材料に形成される皮膜が肉厚となる。そのため、皮膜自身の機械的強度が低く、張力や応力に対して脆くなる。その結果、接合体が高温湿潤環境に長期間曝露されると、接着強度が低下して、十分な接着耐久性が得られないという問題がある。
本発明は、前記問題を解決するものであり、高温湿潤環境に長期間曝露されても、接着剤で他の部材と接着した接合部材として使用した際に、高い接着耐久性が維持されるアルミニウム表面処理材料およびその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係るアルミニウム表面処理材料は、Al−Mg系合金またはAl−Mg−Si系合金からなる基材と、前記基材の表面に形成されたSiおよびCを含有する皮膜と、を備え、前記皮膜の皮膜量がSi換算で0.8〜18mg/mであり、前記皮膜の表面に含有されているCの元素濃度を[C]、Siの元素濃度を[Si]とした場合における濃度比を示す[C]/[Si]が4.0以下であることとする。また、本発明に係るアルミニウム表面処理材料は、前記基材が板材からなることが好ましい。
前記アルミニウム表面処理材料によれば、基材の表面に形成されたSiおよびCを含有する皮膜が、所定の皮膜量、および、所定の濃度比を示す[C]/[Si]を有することによって、基材と皮膜とが強固に結合される。そのため、皮膜の表面に塗布された接着剤で他の部材と接着した際にも、接着強度が大きくなると共に、皮膜と接着剤との界面で界面破壊、いわゆる接着破壊が発生することが抑制される。
本発明に係るアルミニウム表面処理材料の製造方法は、Al−Mg系合金またはAl−Mg−Si系合金からなる基材の表面にシラン化合物を含有する処理液を塗布量がSi換算で0.8〜18mg/mになるように塗布する塗布工程と、を含むこととする。
さらに、前記処理液が塗布された前記基材に対し、前記基材の炉内時間で示される焼付け時間が10秒以上、かつ、炉内における前記基材の最高到達温度で示される焼付け温度が80℃以上である焼付けを行う焼付け工程、または、前記基材に塗布された処理液を皮膜とすべく乾燥させる乾燥工程と、乾燥させた前記皮膜を0〜80℃の水で水洗する水洗工程と、を含むこととする。
このような手順によれば、所定の塗布工程と焼付け工程、または、所定の塗布工程と乾燥工程と水洗工程を行うことで、基材の表面に形成される皮膜がSiおよびCを含有することとなるので、基材と皮膜とが強固に結合される。そのため、皮膜の表面に塗布された接着剤で他の部材と接着した際にも、接着強度が大きくなると共に、皮膜と接着剤との界面で接着破壊が発生することが抑制される。
本発明に係るアルミニウム表面処理材料およびその製造方法は、高温湿潤環境に長期間曝露されても、接着剤で他の部材と接着した接合部材として使用した際に、高い接着耐久性が維持される。
本発明に係るアルミニウム表面処理材料の構成を示す断面図である。 本発明に係るアルミニウム表面処理材料の第1の製造方法を示す工程フローである。 本発明に係るアルミニウム表面処理材料の第2の製造方法を示す工程フローである。 焼付け工程における焼付け温度および焼付け時間、または、乾燥工程における乾燥温度および乾燥時間を説明する模式図である。 接着耐久性試験に用いる接着試験体の断面図である。 図5に示す接着試験体の平面図である。
≪アルミニウム表面処理材料≫
以下、本発明に係るアルミニウム表面処理材料について説明する。
図1に示すように、アルミニウム表面処理材料10は、基材1と、この基材1の表面に形成された皮膜2と、を備える。
基材1は、Al−Mg系合金またはAl−Mg−Si系合金からなり、その形状は板材であることが好ましいが、棒状部材等の形状であってもよい。Al−Mg系合金は、JIS規格で5000系合金として規定された5182合金、5154合金が好ましい。Al−Mg−Si系合金としては、JIS規格で6000系合金として規定された6016合金、6022合金が好ましい。
そして、5182合金は、Si:0.20質量%以下、Fe:0.35質量%以下、Cu:0.15質量%以下、Mn:0.20〜0.50質量%、Mg:4.0〜5.0質量%、Cr:0.10質量%以下、Zn:0.25質量%以下、Ti:0.10質量%以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金である。また、5154合金は、Si:0.25質量%以下、Fe:0.40質量%以下、Cu:0.10質量%以下、Mn:0.10質量%以下、Mg:3.1〜3.9質量%、Cr:0.15〜0.35質量%、Zn:0.20質量%以下、Ti:0.20質量%以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金である。
6016合金は、Si:1.0〜1.5質量%、Fe:0.50質量%以下、Cu:0.20質量%以下、Mn:0.20質量%以下、Mg:0.25〜0.6質量%、Cr:0.10質量%以下、Zn:0.20質量%以下、Ti:0.15質量%以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金である。また、6022合金は、Si:0.8〜1.5質量%、Fe:0.05〜0.20質量%、Cu:0.01〜0.11質量%、Mn:0.02〜0.10質量%、Mg:0.45〜0.7質量%、Cr:0.10質量%以下、Zn:0.25質量%以下、Ti:0.15質量%以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金である。
ここで、基材1の表面とは、図示しないが他の部材と接着剤で接着されて接合部材を作製する際に、接着剤が塗布される表面であって、基材1の表面の少なくとも一面を意味し、基材1が板材であるときは、いわゆる表面、裏面の一方または両方を示している。
皮膜2は、SiおよびCを含有し、基材1に対する皮膜量がSi換算で0.8〜18mg/mであり、好ましくはその下限値が1mg/m、その上限値が4mg/mである。皮膜量がSi換算で0.8mg/m未満では、アルミニウム表面処理材料10における皮膜2の皮膜量が不足する。その結果、アルミニウム表面処理材料10を接着剤で他の部材と接着した図示しない接合部材として使用した際に、皮膜2と接着剤との界面で接着破壊が生じやすくなり、接着耐久性の向上効果が不十分となる。皮膜量がSi換算で18mg/mを超えると、皮膜2の内部での破壊を生じやすくなり、接着耐久性が低下する。
皮膜2の皮膜量は、後記するアルミニウム表面処理材料10の製造過程における塗布工程でのシラン化合物を含有する処理液の塗布量によって制御する。
皮膜2の皮膜量の測定方法としては、例えば、蛍光X線によって測定することができる。具体的には、蛍光X線によって塗布前後の基材1の表面のSi量を定量し、その差を皮膜2の皮膜量とする。また、測定方法は、蛍光X線と同精度を持つ測定方法であれば、蛍光X線に限定されるものではない。
皮膜2は、皮膜2の表面に含有されているCの元素濃度を[C]、Siの元素濃度を[Si]とした場合における濃度比を示す[C]/[Si]が4.0以下である。 [C]/[Si]が4.0を超えると、アルミニウム表面処理材料10を接合部材として使用した際に、皮膜2と接着剤との界面で接着破壊が生じやすくなり、接着耐久性の向上効果が不十分となる。[C]/[Si]の好ましい上限値は3.0である。[C]/[Si]の好ましい下限値は0.1である。
皮膜2の[C]/[Si]は、後記するアルミニウム表面処理材料10の製造過程における焼付け工程での焼付け温度、すなわち基材1の最高到達温度を80℃以上とすること、または、任意の最高到達温度で乾燥した基材1を0〜80℃の水で水洗すること、により4.0以下に制御できる。
皮膜2の[C]/[Si]の測定方法は、例えば、焼付け直後または水洗直後のアルミニウム表面処理材料10の最表面のCの原子%濃度とSiの原子%濃度とをX線光電子分光(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)で測定することで求めることができる。X線光電子分光の測定条件は、例えば、線源にアルミニウムKαを用い、データ収集時間(Dwell):100ms、パスエネルギ(pass):30eV、エッチングなしの条件で測定することができる。それぞれの元素の換算量は、ピーク強度に基いて定量することができる。また、測定方法は、X線光電子分光と同精度を持つ測定方法であれば、X線光電子分光に限定されるものではない。
≪アルミニウム表面処理材料の製造方法≫
次に、本発明に係るアルミニウム表面処理材料の製造方法について、図面を参照して説明する。なお、アルミニウム表面処理材料10の構成については、図1を参照する。
図2に示すように、アルミニウム表面処理材料10の第1の製造方法は、塗布工程S1と、焼付け工程S2と、を含むものである。以下、各工程について説明する。
<塗布工程>
塗布工程S1は、Al−Mg系合金またはAl−Mg−Si系合金からなる基材1の表面にシラン化合物を含有する処理液を塗布する工程である。
なお、基材1は従来公知の方法で作製される。例えば、基材1が板材である場合には、所定の組成を有するアルミニウム合金を連続鋳造により溶解鋳造して鋳塊を製造し、製造された鋳塊に均質化熱処理を施す。次に、均質化熱処理された鋳塊に、熱間圧延、冷間圧延を行い、また、必要に応じて焼鈍を行って、基材1を作製する。
塗布工程S1における処理液の塗布量は、Si換算で0.8〜18mg/mであり、好ましくはその下限値が1mg/m、その上限値が4mg/mである。塗布量がSi換算で0.8mg/m未満では、アルミニウム表面処理材料10における皮膜2の皮膜量が不足する。その結果、アルミニウム表面処理材料10を接合部材として使用した際に、皮膜2と接着剤との界面で接着破壊が生じやすくなり、接着耐久性の向上効果が不十分となる。塗布量がSi換算で18mg/mを超えると、皮膜2の内部での破壊を生じやすくなる。その結果、皮膜2と接着剤との界面で接着破壊が生じやすくなり、接着耐久性が低下する。
塗布工程S1における処理液のSi換算での塗布量は、処理液におけるシラン化合物の濃度と、塗布する液量によって制御される。なお、本発明では、処理液におけるシラン化合物の濃度としては、例えば10〜500ppmの濃度を使用し、塗布する液量としては、例えば10〜100mL/mとする。
処理液の塗布量の測定方法としては、例えば、蛍光X線によって測定することができる。具体的には、蛍光X線によって塗布前後の基材1の表面のSi量を定量し、その差を処理液の塗布量とする。また、測定方法は、蛍光X線と同精度を持つ測定方法であれば、蛍光X線に限定されるものではない。
処理液は、シラン化合物をアルコール、酢酸等とともに水に加えた溶液からなる。シラン化合物としては、例えば、市販のシランカップリング剤が用いられ、シランカップリング剤としては、ビス(トリメトキシシリル)エタン、アミノプロピルトリエトキシラン等が用いられる。
処理液の塗布装置としては、従来公知の装置が用いられ、板材の基材1にあっては、例えば、バーコータ、ロールコータ等を用いることができる。
<焼付け工程>
焼付け工程S2は、処理液が塗布された基材1を、所定の焼付け時間および焼付け温度で焼付けを行い、基材1の表面にSiおよびCを含有し所定の皮膜量および濃度比([C]/[Si])を有する皮膜2を形成する工程である。
(焼付け時間)
焼付け時間は、図4に示すように、基材1の炉内時間であって、基材1がオーブン炉の入口側から出口側まで移動するのに要する時間、すなわち板材の基材1にあってはオーブン炉を通板するのに要する時間である。
焼付け時間は、炉内時間で10秒以上であり、好ましくはその下限値が20秒、その上限値が60秒、より好ましくはその上限値が50秒である。その間、オーブン炉の炉内温度はほぼ一定であることが好ましい。焼付け時間が炉内時間で10秒未満では、塗布された処理液の乾燥が不十分となり、基材1の表面に処理液が残存する。その結果、十分な接着耐久性を有する皮膜2を形成できない。なお、焼付け時間が炉内時間で60秒を超えると、処理液の乾燥が過剰となりランニングコストが上がる。
(焼付け温度)
焼付け温度は、図4に示すように、オーブン炉内における基材1の最高到達温度である。通常、基材1は、オーブン炉の出口側で最高温度に達する。
焼付け温度は、基材1の最高到達温度で80℃以上であり、好ましくはその下限値が135℃、好ましくは上限値が200℃、より好ましくはその上限値が170℃である。焼付け温度が、基材1の最高到達温度で80℃未満では、皮膜2の表面でC成分が偏析して[C]/[Si]が4.0を超えるため、接着耐久性の向上効果が低い。また、基材1の焼付け温度が最高到達温度で200℃を超えると、形成される皮膜2の内部での破壊を促進しやすくなるとともに、ランニングコストが上がる。
焼付け温度は、オーブン炉の炉内温度、すなわち、オーブン炉の雰囲気温度と、焼付け時間で制御される。オーブン炉の雰囲気温度は、焼付け時間を考慮して、基材1の最高到達温度で示される焼付け温度よりも20〜150℃の範囲で高く設定することが好ましい。
なお、塗布された処理液の焼付けに使用される炉は、オーブン炉に限定されず、基材1を所定の最高到達温度に加熱できれば、他の炉を使用してもよい。
図3に示すように、アルミニウム表面処理材料10の第2の製造方法は、塗布工程S1と、第1の乾燥工程S11と、水洗工程S12と、を含むものである。また、水洗工程後に第2の乾燥工程を含んでもよい。以下、各工程について説明する。なお、塗布工程S1については、前記した第1の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
<第1の乾燥工程S11>
第1の乾燥工程S11は、処理液が塗布された基材1を、所定の乾燥時間および乾燥温度で乾燥し、基材1の表面にSiおよびCを含有する皮膜2を形成する工程である。
(乾燥時間)
乾燥時間は、図4に示すように、基材1の炉内時間であって、基材1がオーブン炉の入口側から出口側まで移動するのに要する時間、すなわち板材の基材1にあってはオーブン炉を通板するのに要する時間である。
乾燥時間は、塗布面が乾燥する任意の時間であるが、好ましくはその下限値が10秒、より好ましくはその下限値が20秒であり、その上限値が60秒、より好ましくはその上限値が50秒である。その間、オーブン炉の炉内温度はほぼ一定であることが好ましい。乾燥時間が炉内時間で10秒未満では、塗布された処理液の乾燥が不十分となりやすく、基材1の表面に処理液が残存する。その結果、十分な接着耐久性を有する皮膜2を形成できない。なお、乾燥時間が炉内時間で60秒を超えると、処理液の乾燥が過剰となりランニングコストが上がる。
(乾燥温度)
乾燥温度は、図4に示すように、オーブン炉内における基材1の最高到達温度である。通常、基材1は、オーブン炉の出口側で最高温度に達する。
乾燥温度は、塗布面が乾燥する任意の温度であるが、好ましくは40℃以上、好ましくは80℃未満である。乾燥温度が、基材1の最高到達温度で40℃未満では、塗布された処理液の乾燥が不十分となりやすく、基材1の表面に処理液が残存する。その結果、十分な接着耐久性を有する皮膜2を形成できない。また、基材1の乾燥温度が最高到達温度で80℃以上であると、乾燥が過剰となりランニングコストが上がる。
乾燥温度は、オーブン炉の炉内温度、すなわち、オーブン炉の雰囲気温度と、乾燥時間で制御される。オーブン炉の雰囲気温度は、乾燥時間を考慮して、基材1の最高到達温度で示される乾燥温度よりも20〜150℃の範囲で高く設定することが好ましい。
なお、塗布された処理液の乾燥に使用される炉は、オーブン炉に限定されず、基材1の塗布面を乾燥できれば、他の炉を使用してもよい。
<水洗工程>
水洗工程S12は、乾燥工程S11において乾燥した基材1を0〜80℃の水で水洗し、所定の皮膜量および濃度比([C]/[Si])を有する皮膜2を形成する工程である。
そして、水洗工程S12においては、乾燥工程S11の後の皮膜2の表面に偏析したC成分が水によって洗い流される。ここで、C成分は、シランカップリング剤の溶解および安定化のために用いられる酢酸等に由来する成分である。その結果、基材1の表面に形成された皮膜2の[C]/[Si]が4.0以下となり、優れた接着耐久性を発揮することとなる。
水洗工程S12における水洗処理は、皮膜2の表面に水洗処理を施すことができる処理であればよく、例えば、基材1の上下に配置された噴射ノズルから噴射される水によって皮膜2を洗浄する処理であってもよく、浸漬槽に貯められた水に基材1を潜らせるといった処理であってもよい。
水洗工程S12で使用する水の温度は、0〜80℃である。水の温度が0℃未満であると、水が凝固して皮膜2を洗浄することができない。一方、水の温度が80℃を超えると、皮膜2の表面に偏析するC成分の除去の効果が飽和する。
なお、水洗工程S12における水洗処理の時間については、特に限定されないが、2〜120秒であればよい。
<第2の乾燥工程>
第2の乾燥工程は、水洗工程において水洗された皮膜2を乾燥する工程である。また、乾燥装置または乾燥条件については、従来公知の装置または条件が用いられる。
本発明に係るアルミニウム表面処理材料の製造方法は、以上説明したとおりであるが、前記塗布工程、焼付け工程、乾燥工程および水洗工程に悪影響を与えない範囲において、塗布工程、焼付け工程、乾燥工程および水洗工程以外の他の工程をさらに含んでもよい。例えば、塗布工程前に基材の表面を酸等で洗浄する酸洗工程、焼付け工程後、または、水洗工程後にアルミニウム表面処理材料10の表面にプレス油を塗布する油塗布工程等を含んでもよい。
次に、本発明に係るアルミニウム表面処理材料およびその製造方法について、本発明の要件を満たす実施例と、本発明の要件を満たさない比較例とを対比させて具体的に説明する。
まず、JIS規定の5182合金、5154合金を用いて、厚さが1.2mmのAl−Mg系合金基材を作製した。また、JIS規定の6016合金、6022合金を用いて、厚さが1.0mmのAl−Mg−Si系合金基材を作製した。酸洗浄後に水洗したAl−Mg系合金基材およびAl−Mg−Si系合金基材の表面に対して、市販のシランカップリング剤のサーフコートCM1706(日本ペイント・サーフケミカルズ株式会社製)をSi換算で50〜200ppmに希釈した処理液をAl−Mg系合金基材およびAl−Mg−Si系合金基材の片面に塗布した。また、塗布量は、Si換算で測定算出し、その結果を表1に記載した。なお、塗布量の測定には、蛍光X線を用いた。
次に、表1に示す焼付け条件で焼付けを行うことで、皮膜が形成されたアルミニウム表面処理材料(供試材No.1〜10、16〜22)を作製した。また、表1に示す乾燥条件および水洗条件で乾燥・水洗を行うことで、皮膜が形成されたアルミニウム表面処理材料(供試材No.11〜15)を作製した。次に、Al−Mg系合金基材およびAl−Mg−Si系合金基材の表面に形成された皮膜の皮膜量を、Si換算で測定算出し、その結果を表1に記載した。なお、皮膜量の測定には、蛍光X線を用いた。また、皮膜の[C]/[Si]を測定算出し、その結果を表1に記載した。なお、[C]/[Si]の測定には、X線光電子分光を用いた。
作製した供試材から、図5、図6に示すような試験片を2枚切り出し、下側試験片31の皮膜側と上側試験片33の皮膜側とを接着剤32を介して接合した接着試験体34を作製した。この接着試験体34を用いて、以下の接着耐久性試験を行った。接着試験体34の具体的な作製方法は、次のとおりである。
図5、図6に示すように、25mm×100mmの下側試験片31と上側試験片33とを、熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤32によりラップ長13mm(接着面積:25mm×13mm)となるように重ね合わせ貼り付けた。このとき、接着剤32の厚さが250μmとなるようにガラスビーズ(粒径250μm)を接着剤32に添加して調節した。その後、170℃×20分で焼付、硬化させた。その後、室温で24時間静置して接着試験体34とした。
(接着耐久性試験)
作製した接着試験体34を中性塩水中に14日間浸漬した後、下側および上側試験片31、33の未接着の部位を掴み、13mm/minの速度でせん断引張り試験を行った。そして、接着試験体34の破壊形態の観察および接着強度の算出を以下の手順で行い、接着耐久性を評価した。なお、各接着試験体34は3本ずつ作製し、以下の凝集破壊率および接着強度は3本の平均値とした。
また、接着試験体34を中性塩水中に一定期間浸漬させることで、高温湿潤環境に長期間曝露された状態を疑似的に創り出した。
(接着耐久性試験:接着強度)
引張り試験時に得られた応力−ひずみ線図から、破断時の最大応力を接着面積で除した値を接着強度とした。その結果を表1に示す。
(接着耐久性試験:破壊形態)
JIS K 6866:1999に準拠して、引張り試験後の接着試験体34の剥離状態を観察し、接着剤32の内部での破壊を凝集破壊、下側試験片31と接着剤32との界面、および、上側試験片33と接着剤32との界面での破壊を接着破壊とし、下式(1)で破壊形態の指標としての凝集破壊率を算出した。
凝集破壊率(%)=100−{(下側試験片31の接着破壊面積/下側試験片31の接着面積)×100+(上側試験片33の接着破壊面積/上側試験片33の接着面積)×100)}・・・(1)
また、破壊形態の評価基準は、凝集破壊率が80%未満を不良「×」、80%以上を良好「○」とした。その結果を表1に示す。
Figure 0006251829
表1に示すように、実施例である供試材(No.1〜15)で作製した接着試験体(No.1〜15)は、破壊形態が良好となるとともに、接着強度も高い値となった。
一方、比較例である供試材(No.16〜21)で作製した接着試験体(No.16〜21)は、破壊形態が不良となるとともに、接着試験体(No.1〜15)と比較して接着強度が低い値となった。なお、供試材(No.16、17)は、塗布量が所定範囲を満足しないため、皮膜量が所定範囲を満足しなかった。供試材(No.18〜21)は、焼付け温度が下限値未満であるため、皮膜の[C]/[Si]が上限値を超えた。
また、比較例である供試材(No.22)は、焼付け時間が下限値未満であるため、処理液の乾燥が不十分で、Al−Mg系合金基材の表面に処理液が残存し、皮膜が形成されなかった。したがって、供試材(No.22)では、皮膜の皮膜量および[C]/[Si]の測定、接着耐久性試験を行わなかった。
以上、本発明に係るアルミニウム表面処理材料およびその製造方法について、実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて改変・変更等することができることはいうまでもない。
1 基材
2 皮膜
10 アルミニウム表面処理材料
S1 塗布工程
S2 焼付け工程
S11 乾燥工程
S12 水洗工程

Claims (4)

  1. Al−Mg系合金またはAl−Mg−Si系合金からなる基材と、前記基材の表面に形成されたSiおよびCを含有する皮膜と、を備え、
    前記皮膜の皮膜量がSi換算で0.8〜18mg/mであり、
    前記皮膜の表面に含有されているCの元素濃度を[C]、Siの元素濃度を[Si]とした場合における濃度比を示す[C]/[Si]が4.0以下であることを特徴とするアルミニウム表面処理材料。
  2. 前記基材が板材からなることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム表面処理材料。
  3. Al−Mg系合金またはAl−Mg−Si系合金からなる基材の表面にシラン化合物を含有する処理液を塗布量がSi換算で0.8〜18mg/mになるように塗布する塗布工程と、
    前記処理液が塗布された前記基材に対し、前記基材の炉内時間で示される焼付け時間が10秒以上、かつ、炉内における前記基材の最高到達温度で示される焼付け温度が80℃以上である焼付けを行う焼付け工程と、を含むことを特徴とするアルミニウム表面処理材料の製造方法。
  4. Al−Mg系合金またはAl−Mg−Si系合金からなる基材の表面にシラン化合物を含有する処理液を塗布量がSi換算で0.8〜18mg/mになるように塗布する塗布工程と、
    前記基材に塗布された処理液を皮膜とすべく乾燥させる乾燥工程と、乾燥させた前記皮膜を0〜80℃の水で水洗する水洗工程と、を含むことを特徴とするアルミニウム表面処理材料の製造方法。
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