JP6251005B2 - マットレス - Google Patents
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Description
弾性発泡構造体を用いたマットレスで寝たとき、体圧分散のみならず良好な身体支持特性で寝姿勢を保ち、肩や腰への負担が掛りにくく、寝返りしやすい寝具を提供する。
したがって、敷寝具には変形の小さな領域から、変形の大きい領域までの敷き寝具の圧縮特性を調べることが重要である。
また、側臥位姿勢では、肩部(肩甲骨)と腰部(腰骨)が当たる部分などに大きな力が加わり、この部位での寝具の変形が大きく、寝具の体圧分散と身体支持性との違いが敷き寝具の違いとなる。
低反発ウレタンは柔らかく、身体が沈み込みやすく、体圧分散はよいが寝返りしにくい。一方、寝具が硬すぎると、寝返りはしやすくなるが就寝状態では臀部の体圧が高くなりすぎる。
したがって、敷き寝具には適度な硬さと沈み込みが求められることになる。
これは荷重を受けたとき、その部分が沈み込むと同時に荷重を受けた部分の周囲の部分を引き込むことにより周囲の部分も変形し、該部の伸張弾性力が荷重部分の圧縮弾性力に影響を及ぼし、荷重部分の見掛上の圧縮弾性力が大きくなるからで、これは、材料の表面張力によるものであり、荷重拡散度と呼ばれ、この傾向は繊維ワタなどより、ウレタン発泡体などが特に大きい。
図1Aは木綿の場合、図1Bはウレタンフォームの場合を示す。詰物に力を加えた場合(力方向の変位一定)、力の影響が、力と直角方向にどの程度広がるかという度合を、荷重拡散度と表現する。例えば木綿ふとん綿とウレタンフォームを比較した場合、木綿は図1Aのような、ウレタンフォームは図1Bのような挙動を示す。
しかし、荷重拡散度は繊維ワタに比べて大きく、表面に凹凸を付与させたりスリットを入れることで荷重依存性を低減させて、さらには凹凸形状の大きさや材料の硬さを変えることで、様々な敷き寝具用マットレスが提案されている。
その一例として、基板の上に、複数の柱部分や溝部分を配列させるマットが提案されている(特許文献1参照)。また、平板の片面に凹凸形状を付与させたマットが提案(特許文献2参照)されている。
更に、複数の凹凸を有するクッション体を該クッション体の上側と下側に配された溝を作り、溝と溝で囲まれたブロックを形成させることで体圧分散と身体支持性(寝姿勢保持)に優れたクッション体が提供されている(特許文献3)。
そこで、寝具用のウレタンフォームなどの加工品には、製造面の容易さから、プロファイル加工品が広く使われている(特許文献4)。
かかる手段で得られるプロファイル形状は、一枚の基板の片面に、たて方向・よこ方向に突起部および凹部が交互に列設され、かつ、斜め方向に隣接する突起部間の緩やかな鞍部(浅い凹部)が形成された複数の凹凸を有するマットレスが得られる。
プロファイル形状において、上部から寝具の厚さ方向にスリットを入れると体圧分散性は良くなるが、スリットがなくなる部分からは体圧分散性は低下し、身体支持性が増し、体圧は急に高くなるという欠点がある。
プロファイル形状を有するマットレスの厚さは、寝具に用いる場合、4cm〜12cm程度の厚さで用いられており、これ以上厚みのあるベッド用マットレスなどでは、基板部の厚さを積層させるなどの手段で厚みをだしている。
したがって、プロファイルの形状の凹凸部の一山の大きさ(ブロック)は、幅と高さが高々2〜6cm程度の大きさであり、マットレス高さの20〜50%程度の高さで、あとの50〜80%が基板部ということになる。
変形の大きい領域では、個々の凹凸ブロックは身体の重みで押し潰され、基板部ですべての体重を受けることになり、基板部の身体支持性が重要になり、発泡体材料の硬さ・比重などの影響を受ける。プロファイル形状の基板部は平板状であり、この部分にまで変形が及ぶと圧縮力(体圧)は急激に高くなる。
高変形領域でもブロック(塊)が押しつぶされない大きさとしては、マットレス基板部に、5〜15cm角程度の大きさのブロック塊を設けることが望ましい。
凹凸面上部から基板を貫通させるスリットは基板部を分割することになり体圧分散には有効に働くことになる。しかし、スリットが他のスリットと交差したり連結したりすることで、基板部がバラバラに別れてしまうことになり、スリットは基板部には間欠的に配する必要がある。
プロファイル形状を有するマットレスは、基板面の上に凹凸突起部が配されており、基板部に通気性孔を設ける工夫として、凹凸構造の凹部に貫通孔を配する手段が提案されている(特許文献5)。
しかし、体圧分散や身体保持性までは考慮されておらず何の記述も見られない。ただ、通気性を向上させるための通気孔を設ける手段に過ぎない。
本発明マットレス1は、弾性発泡体樹脂よりなる基板2(図3,図4に図示)の一面を突起部3と深い凹部4とを交互に直線状に経緯方向に並列配置した凹凸面5とし、裏面6は平面としたプロファイル加工による基礎形状をなしている。そして、1つの深い凹部4を四方から取り囲む4つの突起部3においては斜めに隣接する突起部3,3間に鞍状に浅く沈んだ鞍部7を形成している。
一つの深い凹部4に入れる切込み溝8は、プロファイルマットレスの斜線L(右上がりL1、L2、左上がりL3、L4)に沿って配する切込み溝8がよい。プロファイルマットレスのたて方向、よこ方向に合わせた切込み溝8を配することは、寝具を折りたたむ場合、切込み溝8の方向と寝具の折り畳み方向が一致して、切込み溝8に応力が集中し裂けやすく耐久性の点で不安定であり、切込み溝8の方向は、たて方向・よこ方向に対し斜め方向に配するとよい。
また、切込み溝の断面の短辺Dは1〜7mm程度が良好である。
カッターで切込み溝の短辺に1mm以下のスリットを入れるだけでも体圧分散性の効果はみられるが、スリット端部から裂けやすく、H/Dは大きければ、隣接する突起同士は区切られ、個々のブロックとして独立してくるが、H/Dが大きくなりすぎると裂けやすくなる。また、H/D=1は正方形断面、または円断面であるが、円断面の方が外力は円周に均一にかかることになり、径が小さすぎると応力が集中して裂けやすくなる。したがって、H/Dとしては1〜30程度、好ましくはH/D=1〜7程度がよい。
図5は、本発明マットレス1の深い凹部4に配する切込み溝8(8a,8b)の入れ方と、配置例を模式的に説明する平面図である。マットレス1の突起部3と深い凹部4は平面視経方向、緯方向に、交互に並列配置されており、切込み溝8(8a,8b)は深い凹部4の中央部に配され、スリット状切込み溝8aの場合は太い斜め線で、管状の溝8bの場合は黒丸でそれぞれ表示している。
図5Aに図示する如く、切込み溝配置列L上の深い凹部4に切込み溝8(8a)が入れられる。但し、経緯の方向の異なる切込み溝配置列Lが交差する点上の深い凹部4には切込み溝8aを配しない例を示すが限定するものではない。そして、切込み溝8(8a)により取り囲まれた突起部3と、切込み溝8を有しない複数個の深い凹部4との集合体により一点鎖線で囲われたブロック塊ユニット9が形成される。したがって、切込み溝8の配置により、形成されるブロック塊ユニット9の大きさは変化させ得ることになる。
ブロック塊ユニットの大きさ(平面視では面積)は、切込み溝8の配置により変えることができる。切込み溝8はスリット状切込み溝8aと管状の溝8bの2種の形式が存在する。
図6Aに示すブロック塊ユニット9aは、突起部3に隣接する4つの深い凹部4には、切込み溝8の列Lの延長線で互いに交差するように、方向を異ならせた切込み溝8aが配されており、1つの突起部3に隣接する4つの深い凹部4すべてに切込み溝8aが配されている。したがって、切込み溝8aに囲まれたブロック塊ユニット9の中に1つの突起部3がある。
図6Bに示すブロック塊ユニット9bは、切込み溝を有しない1つの深い凹部4が4つの突起部3に囲まれ、更にそれらが8つの深い凹部4に囲まれてなる。したがって、ブロック塊ユニット9bの中には、1つの切込み溝を有しない深い凹部4と4つの突起部3がある。
図6Cは、切込み溝を管状8b(平面視では●で示す)とした例であり、切込み溝8配置は図5Aと同じで、管状の切込み溝8bに囲まれたブロック塊ユニット9の中には、4つの切込み溝のない深い凹部4と9つの突起部3がある。
隣接する突起と突起との間隔(ピッチ寸法)が、経方向54mm×緯方向52mmであり、厚さが90mmの発泡ポリウレタン製プロファイルマットレスの深い凹部に、長さH=14.4mm、巾D=4.6mm(H/D=3.1)の切込み溝を入れた本発明マットレスに、体重・身長・体型の異なる3名の男女を被験者として、仰臥位、側臥位で寝た時の体圧とマットレスの沈み込みを調べた。切込み溝の配置としては、ブロック塊の形状は9個の突起が、その周囲に配された切込み溝を有する深い凹部で囲まれているタイプである。
仰臥位での本発明マットレスの体圧分散性は、切込み溝を有しない比較品に比べて特に体圧が大きい臀部において顕著である。また、側臥位では臀部と肩部の体圧が集中しているが、臀部に着目すると本発面品の体圧が分散されていることが表1により明らかである。
言い換えれば、高変形領域での硬さが柔らかいということになる。
JISK6400-2 D法では、ウレタンフォームの圧縮硬さ評価は、200mmφの円板で試料の厚さの25%圧縮した時の応力(ニュートンN)を用いている。
本発明のマットレスにおいては、低荷重領域として30%圧縮時応力、高荷重領域として70%圧縮時応力により、プロファイルマットレスを圧縮硬さと寝返り性を評価した。
なお、実験1、実験2の切込み溝はスリットであり、幅20mm、2mm厚さの先の尖ったナイフでマットレスの深い凹部の所定の位置から基板部を貫通するスリット形状を設けた。
スリットの幅(長辺H)は20mmであり、力が加わらないときは、スリットの短辺Dは口が閉じられているが、突起部側から圧縮により力が加わると開口し、切込み溝の効果を発揮することになる。実験3の切込み溝形状は8mmφの円形形状である。
切込み溝の配置によりブロック塊の大きさは異なり、実験1では、一つの突起部の周りが全て切込み溝で囲まれている配置(図6B)であり、ブロック塊面積は29cm2である。実験2の切込み溝配置は(図5A)であり、ブロック塊の大きさはプロファイル突起9個を含む大きさで260cm2である。また。実験3は実験2と同じ配列であり、突起9個分が切込み溝で囲まれ260cm2の面積を有するブロック塊のマットレスである。
ブロック塊が大きくなると30%圧縮時応力の変化よりも、70%圧縮時応力の変化の方が大きく体圧は高い。また切込み溝(スリット)の配置によりブロック塊が小さくなると70%圧縮応力も小さくなり寝返り性も悪くなっている。
寝返りしやすさは寝具寝心地の要因であり、マットレスに横たわり仰臥位5秒→(寝返り)→側臥位5秒→(寝返り)→仰臥位5秒→・・・を10回繰り返して主観評価した。
評価は5段階で通常のプロファイルふとんが約4級、低反発ウレタンマットレスが約2級であった。切込み溝によりブロック塊が小さくなると寝返りし難くなるので、ある程度のブロック塊の大きさが求められる。
表2において、70%変形時の圧縮応力が300Nより低くなると寝返り性が悪くなる。
即ち、寝返り性はプロファイルマットレスの70%変形時の圧縮応力が250〜400N程度、好ましくは300〜350N程度が良好であり、250N以下では柔らかすぎて沈み込みすぎ、体重の重い部分(臀部など)の変形が大きく、腰を痛めることにもなるし、寝返りもし難くなる。一方、70%変形時の圧縮応力が400Nを超えるとマットレスとして硬すぎ、体圧分散性はよくない。
ウレタンフォームの硬度を大きくすることで、沈み込み変形を抑えることは可能であるが、同じ硬さのウレタンフォームでもプロファイル形状の深い凹部から裏面に開口する切込み溝の形状、配列方法を変えることで高変形領域での体圧を調整することが可能となる。
2 基板
3 突起部
4 深い凹部
5 凹凸部
6 裏面
7 浅い鞍部
8 切込み溝
8a スリット状切込み溝
8b 管状の溝
9,9a,9b,9c ブロック塊ユニット
L1 第1の深い凹部の列
L2 第2の深い凹部の列
L3 第3の深い凹部の列
L4 第4の深い凹部の列
L 切込み溝配置列
Claims (6)
- 弾性発泡構造体を備えたマットレスであって、
前記弾性発泡構造体が、弾性発泡体材料よりなる基板(2)の一面に、突起部(3)と、深い凹部(4)とを交互に直線状に経緯方向に並列配置し、かつ、1つの深い凹部(4)を囲む4つの突起部(3)では斜めに隣接する突起部間に浅い鞍部が形成されたものであり、
深い凹部(4)が斜めに列設されている第1の深い凹部の列(L1)と、前記列(L1)に並行し、かつ、適宜の数の深い凹部(4)の間隔を置いて配された第2の深い凹部(4)の列(L2)と、及び、前記列(L1,L2)に交差する、適宜数の深い凹部4の間隔を有する深い凹部の第3,第4の列(L3,L4)とを、切込み溝配置列(L)とし、
前記切込み溝配置列(L)による前記深い凹部の列(L1,L2,L3,L4)で囲まれて形成されるブロック塊ユニット(9)とし、
前記切込み溝配置列(L)を構成する深い凹部(4)に、深い凹部(4)の底から基板裏面まで貫通する切込み溝(8)を備えてなり、
前記ブロック塊ユニット(9)において、
前記第1の深い凹部の列(L1)に設けられた切込み溝(8)のなす列と、前記第3の深い凹部の列(L3)に設けられた切込み溝(8)のなす列と、及び前記第4の深い凹部の列(L4)に設けられた切込み溝(8)のなす列とが、互いの延長線上で交差するように切込み溝(8)が配置されてなるとともに、
前記第2の深い凹部の列(L2)に設けられた切込み溝(8)のなす列と、前記第3の深い凹部の列(L3)に設けられた切込み溝(8)のなす列と、及び前記第4の深い凹部の列(L4)に設けられた切込み溝(8)のなす列とが、互いの延長線上で交差するように切込み溝(8)が配置されてなることを特徴とする、マットレス。』 - 前記切込み溝(8)を有しない一個又は複数個の深い凹部(4)と、複数個の突起部(3)とを備えてなる、請求項1に記載のマットレス。
- 前記ブロック塊ユニット(9)において、前記突起部(3)が4個から16個含まれてなるものであり、又は、
前記切込み溝(8)が、スリット形状及び/又は管形状であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のマットレス。 - 1つの深い凹部4に配する1つの切り込み溝(8)は、前記切込み溝(8)の断面形状が矩形及び/又は円形形状で長さ(長辺:H)方向を平面視深い凹部の列の線と同方向及び/又は交差する方向に向けて設けられていることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のマットレス。
- 切込み溝(8)の断面形状が矩形形状であり、
該矩形の長さ(長辺:H)が5〜20mmであり、かつ、
該切込み溝断面の短辺(D)が1〜7mmであることを特徴とする、請求項4に記載のマットレス。 - 切込み溝(8)は、その外径が4〜10mmφの円形断面状の管であることを特徴とする、請求項4又は5に記載のマットレス。
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