JP6250948B2 - 繊維製品 - Google Patents
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Description
一方、最近では、織物の着用快適性を向上させるため、織物にストレッチ性を付加することが求められている。
ダウンプルーフ性とストレッチ性とは相反する性質であり、両者を兼備した織物はこれまであまり提案されていない。
ただし、経カバーファクター(経CF)および緯カバーファクター(緯CF)は下記式により定義される。
経CF=(DWp/1.1)1/2×MWp
緯CF=(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。]
その際、前記糸条がインターレース加工を施された交絡糸であることが好ましい。また、前記糸条において、単糸繊度が4dtex以下の繊維が含まれることが好ましい。また、前記糸条に異型断面糸が含まれることが好ましい。また、前記複合糸がポリエステル繊維で構成されることが好ましい。その際、前記ポリエステル繊維に艶消し剤が0.2重量%以上含まれることが好ましい。
ここで、前記糸条としては、単独糸でもよいし複合糸でもよい。かかる複合糸としては、互いにポリマー種、熱収縮率、仮撚数、単繊維繊度、総繊度、フィラメント数などが異なる複数の糸からなる複合糸が例示される。特に、2種以上の仮撚捲縮加工糸で構成されかつ30T/m以下(好ましくは10T/m以下、特に好ましくは0T/m)のトルクを有する複合糸であると、ダウンプルーフ性とストレッチ性とが両立しやすく好ましい。特に、前記複合糸が、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とで構成されることが好ましい。例えば、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向の仮撚捲縮加工糸とを合糸する際、トルクの方向が異なること以外は同じトルクを有する2種の仮撚捲縮加工糸を使用することにより、複合糸をノントルク(0T/mのトルク)とすることが可能となる。
その際、交絡(インターレース)の個数は特に制限はないが、ストレッチ性を損なわないために30〜90個/m(より好ましくは50〜90個)の範囲内であることが好ましい。該個数が90個/mよりも大きいとストレッチ性が損なわれるおそれがある。逆に、該個数が30個/mよりも小さいとの集束性が不十分となり、製織性が損なわれるおそれがある。なお、交絡処理(インターレース加工)は通常のインターレースノズルを用いて処理したものでよい。
前記糸条において、総繊度、フィラメント数としては優れたダウンプルーフ性を得る上で、それぞれ総繊度20〜220dtex(より好ましくは20〜50dtex)、フィラメント数50〜300本(より好ましくは100〜300本)の範囲内であることが好ましい。
前記糸条を構成する繊維としては、特に制限はないが、ポリエステルからなるポリエステル系繊維が好ましい。かかるポリエステルとしては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素数2〜6のアルキレングリコール、すなわちエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種のグリコール、特に好ましくはエチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルが例示される。
経CF=(DWp/1.1)1/2×MWp
緯CF=(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。]
かかる織物には、本発明の目的が損なわれない範囲内であれば、常法の染色仕上げ加工、吸水加工、撥水加工、起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
かくして得られた低通気度織物には、前記のような糸条が含まれるので、ダウンプルーフ性だけでなくストレッチ性にも優れる。その際、織物において、経方向または緯方向の伸度が10%以上(より好ましくは10〜30%)であることが好ましい。
かかる繊維製品は前記の低通気度織物を用いているので、ダウンプルーフ性だけでなくストレッチ性にも優れる。
試料(捲縮糸)約70cmを横に張り、中央部に0.18mN×表示テックス(2mg/de)の初荷重を吊るした後、両端を引揃える。
糸は残留トルクにより回転しはじめるが初荷重が静止するまでそのままの状態で持ち、撚糸を得る。こうして得た撚糸を17.64mN×表示テックス(0.2g/de)の荷重下で25cm長の撚数を検撚器で測定する。得られた撚数(T/25cm)を4倍にトルク(T/m)を算出する。
交絡糸を8.82mN×表示テックス(0.1g/de)の荷重下で1mの長さをとり、除重後、室温で24時放縮後の結節点の数を読み取り、個/mで表示する。
供試糸条を、周長が1.125mの検尺機のまわりに巻きつけてかせを調製した。前記かせを、スケール板の吊り釘に懸垂して、その下部分に6gの初荷重を付加し、さらに600gの荷重を付加したときのかせの長さL0を測定する。その後、直ちに、前記かせから荷重を除き、スケール板の吊り釘から外し、このかせを沸騰水中に30分間浸漬して、捲縮を発現させる。沸騰水処理後のかせを沸騰水から取り出し、かせに含まれる水分をろ紙により吸収除去し、室温において24時間風乾する。この風乾されたかせを、スケール板の吊り釘に懸垂し、その下部分に、600gの荷重をかけ、1分後にかせの長さL1aを測定し、その後かせから荷重を外し、1分後にかせの長さL2aを測定する。供試フィラメント糸条の捲縮率(CP)を、下記式により算出する。
CP(%)=((L1a−L2a)/L0)×100
JIS L 1096 8.16 B法にて、織物の緯方向の伸度を計測する。
日本羽毛製品協同組合(日羽協)のタンブルドライ法にてダウンプルーフ性能を計測する。
下記式により算出する。
艶消し剤の含有率(%)=添加する艶消し剤質量(gr)/艶消し剤添加前のポリマー質量(gr)×100
経糸用として、艶消し剤(二酸化チタン)を0.3重量%含みそれ以外の無機微粒子を含まないポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント56dtex/144fil(帝人フロンティア(株)製)を無撚にて121本/2.54cmの密度で整経した。
一方、緯糸用として、通常のポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%)を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条35dtex/72fil(単糸繊維の断面形状:丸断面)を得た。
次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(S方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行った。
また、前記ポリエステル糸条を用いて延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(Z方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行った。
次いで、前述の整経をした経糸と、前記複合糸を緯糸として用いて、緯密度142本/2.54cmにて製織した。得られた生機を常法の染色加工方法にて、経165本/2.54cm、緯152本/2.54cmの仕上げ密度にて織物を得た。該織物に撥水加工を施した後、ついで、カレンダー加工を施した。得られた織物のカバーファクターは経1166、緯961であった。なお、防水用コーティング加工およびラミネート加工はともに施さなかった。
得られた織物において、織物の緯方向の伸度は17.5%、通気度は0.39cc/sec/cm2で、ダウンプルーフ性は合格レベルであった。
経糸用として、艶消し剤(二酸化チタン)を0.3重量%含みそれ以外の無機微粒子を含まないポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント39dtex/144fil(帝人フロンティア(株)製)を無撚にて145本/2.54cmの密度で整経した。
一方、緯糸用として、捲縮率18%のポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%)33dtex/72filを用い、前述の整経をした経糸に、緯密度152本/2.54cmにて製織した。得られた生機を公知の染色加工方法にて、経181本/2.54cm、緯161本/2.54cmの仕上げ密度にて織物を得た。該織物に撥水加工を施した後、ついで、カレンダー加工を施した。得られた織物のカバーファクターは経1072、緯882であった。なお、防水用コーティング加工およびラミネート加工はともに施さなかった。
得られた織物において、織物の緯方向の伸度は12.5%、通気度は0.42cc/sec/cm2で、ダウンプルーフ性は合格レベルであった。
経糸用として、艶消し剤(二酸化チタン)を0.3重量%含みそれ以外の無機微粒子を含まないポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント56dtex/144fil(帝人フロンティア(株)製)を無撚にて121本/2.54cmの密度で整経した。
一方、緯糸用として、通常のポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%)を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条35dtex/72fil(単糸繊維の断面形状:丸断面)を得た。
次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数1800T/m(S方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行った。
また、前記ポリエステル糸条を用いて延伸倍率1.6倍、仮撚数1800T/m(Z方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行った。
次いで、前述の整経をした経糸に、該複合糸を緯糸として用いて、緯密度142本/2.54cmにて製織した。得られた生機を公知の染色加工方法にて、経160本/2.54cm、緯152本/2.54cmの仕上げ密度にて織物を得た。該織物に撥水加工を施した後、ついで、カレンダー加工を施した。得られた織物のカバーファクターは経1130、緯961であった。なお、防水用コーティング加工およびラミネート加工はともに施さなかった。
得られた織物において、織物の緯方向の伸度は6.5%、通気度は0.52cc/sec/cm2で、ダウンプルーフ性は合格レベルであった。
経糸用として、艶消し剤(二酸化チタン)を0.3重量%含みそれ以外の無機微粒子を含まないポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント39dtex/144fil(帝人フロンティア(株)製)を無撚にて145本/2.54cmの密度で整経した、一方で、緯糸用として、捲縮率9%のポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%)を33dtex/72fil用い、前述の整経をした経糸に、緯密度152本/2.54cmにて製織した。得られた生機を公知の染色加工方法にて、経172本/2.54cm、緯161本/2.54cmの仕上げ密度にて織物を得た。該織物に撥水加工を施した後、ついで、カレンダー加工を施した。得られた織物のカバーファクターは経1019、緯882であった。なお、防水用コーティング加工およびラミネート加工はともに施さなかった。
得られた織物において、織物の緯方向の伸度は7.2%、通気度は0.65cc/sec/cm2で、ダウンプルーフ性は合格レベルであった。
経糸用として、艶消し剤(二酸化チタン)を0.3重量%含みそれ以外の無機微粒子を含まないポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント56dtex/144fil(帝人フロンティア(株)製)を無撚にて103本/2.54cmの密度で整経した。
一方、緯糸用として、通常のポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%)を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条35dtex/72fil(単糸繊維の断面形状:丸断面)を得た。
次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数1800T/m(S方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行った。
また、前記ポリエステル糸条を用いて延伸倍率1.6倍、仮撚数1800T/m(Z方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行った。
次いで、前述の整経をした経糸に、該複合糸を緯糸として用いて、緯密度135本/2.54cmにて製織した。得られた生機を公知の染色加工方法にて、経154本/2.54cm、緯146本/2.54cmの仕上げ密度にて織物を得た。該織物に撥水加工を施した後、ついで、カレンダー加工を施した。得られた織物のカバーファクターは経954、緯923であった。なお、防水用コーティング加工およびラミネート加工はともに施さなかった。
得られた織物において、織物の緯方向の伸度は10.2%、通気度は1.21cc/sec/cm2で、ダウンプルーフ性は不合格レベルであった。
経糸用として、艶消し剤(二酸化チタン)を0.3重量%含みそれ以外の無機微粒子を含まないポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント39dtex/144fil(帝人フロンティア(株)製)を無撚にて123本/2.54cmの密度で整経した。
一方で、緯糸用として、捲縮率9%のポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%)を33dtex/72fil用い、前述の整経をした経糸とを用い、緯密度144本/2.54cmにて製織した。得られた生機を公知の染色加工方法にて、経165本/2.54cm、緯155本/2.54cmの仕上げ密度にて織物を得た。得られた織物のカバーファクターは経976、緯849であった。なお、防水用コーティング加工およびラミネート加工はともに施さなかった。
得られた織物において、織物の緯方向の伸度率は10.9%、通気度は1.50cc/sec/cm2で、ダウンプルーフ性は不合格レベルであった。
Claims (9)
- 通気度が0.39cc/sec/cm2以下の低通気度織物であって、捲縮率が10%以上、かつ2種以上の仮撚捲縮加工糸で構成されかつ30T/m以下のトルクを有し、かつS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とで構成される複合糸からなる糸条を含み、かつ織物において、経カバーファクターが800〜1500かつ緯カバーファクター700〜1200の範囲内であり、かつ経方向または緯方向の伸度が17.5%以上であることを特徴とする低通気度織物を用いてなる、ダウンウエア、ダウンジャケットからなる群より選択される繊維製品。
ただし、経カバーファクター(経CF)および緯カバーファクター(緯CF)は下記式により定義される。
経CF=(DWp/1.1)1/2×MWp
緯CF=(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。] - 前記糸条がインターレース加工を施された交絡糸である、請求項1に記載の繊維製品。
- 前記糸条において、単糸繊度が4dtex以下の繊維が含まれる、請求項1または請求項2に記載の繊維製品。
- 前記糸条に異型断面糸が含まれる、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維製品。
- 前記複合糸がポリエステル繊維で構成される、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維製品。
- 前記ポリエステル繊維に艶消し剤が0.2重量%以上含まれる、請求項5に記載の繊維製品。
- 前記糸条が織物の緯糸に配されている、請求項1〜6のいずれかに記載の繊維製品。
- 織物が平織組織を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の繊維製品。
- 織物において、防水用コーティング加工またはラミネート加工が施されていない、請求項1〜8のいずれかに記載の繊維製品。
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