JP6249840B2 - 二重構造エキゾーストマニホールド - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの排気ガス経路部材である二重構造エキゾーストマニホールドに関する。
近年、環境問題の観点から排気ガスの規制が厳しくなり、燃費やエンジンの燃焼効率をより向上させるため、排気ガス温度を上昇させる傾向にある。
また、エンジン始動の際の排気ガス浄化性能の効率化を目的として、内管と外管とを備え、これら内管と外管との間に空隙が設けられた二重構造エキゾーストマニホールドが搭載されることがある(例えば、特許文献1ないし3参照。)。
この種の二重構造エキゾーストマニホールドの内管は、単構造エキゾーストマニホールドより薄肉化される傾向にある。
そのため、通常、単構造エキゾーストマニホールドには熱膨張係数の小さいフェライト系ステンレス鋼が用いられるが、二重構造エキゾーストマニホールドの内管には、フェライト系ステンレス鋼より加工性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼が用いられる。
特開平11−93654号公報 特開平8−334017号公報 特開平8−334018号公報
二重構造エキゾーストマニホールドは、それぞれプレス成形された内管と外管とを隅肉溶接により溶着して製造されることが多い。
しかしながら、二重構造エキゾーストマニホールドの内管は、通常の単構造エキゾーストマニホールドより薄肉であるため、溶接における入熱量の制御が非常に難しく、特に溶接継手部にて、高温割れや延性低下割れ等の溶接欠陥が発生する可能性がある。
また、エキゾーストマニホールドは、排気ガスが流入して高温に曝される使用環境であるため、二重構造の場合には特に内管の高温強度を向上させる必要がある。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、溶接欠陥が発生しにくく、かつ、内管の高温強度が良好な二重構造エキゾーストマニホールドを提供することを目的とする。
請求項1に記載された二重構造エキゾーストマニホールドは、外管と、この外管より内側に位置しオーステナイト系ステンレス鋼にて形成された内管とを備え、これら外管と内管とが溶接継手部で溶接された二重構造エキゾーストマニホールドであって、溶接継手部は、外管の母材部と、内管の母材部と、これら外管と内管とが溶着している溶着部と、外管の母材部および内管の母材部と溶着部との境界であるボンド部とを有し、内管の母材部成分は、C:0.08質量%以下、Si:1.0質量%以上5.0質量%以下、Mn:3.0質量%以下、P:0.08質量%以下、S:0.02質量%以下、Cr:10.0質量%以上30.0質量%以下、Ni:7.0質量%以上18.0質量%以下およびN:0.25質量%以下を含有するとともに、Yおよび希土類元素の少なくとも1種を合計0.01質量%以上0.1質量%以下で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物にて構成され、溶着部成分は、C:0.08質量%以下、Si:0.5質量%以上3.0質量%以下、Mn:2.0質量%以下、P:0.08質量%以下、S:0.02質量%以下、Cr:10.0質量%以上30.0質量%以下、Ni:7.0質量%以上18.0質量%以下およびN:0.20質量%以下を含有するとともに、Yおよび希土類元素の少なくとも1種を合計0.005質量%以上0.1質量%以下で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物にて構成され、内管におけるボンド部から溶着部側へ200μmの範囲は、δフェライト量が体積率で3.0%以上であり、前記母材部成分よりCr、Si、Ni、PおよびSが合計で6.0質量%以上濃化した異相の体積率が2.0%以下であるものである。
請求項2に記載された二重構造エキゾーストマニホールドは、請求項1記載の二重構造エキゾーストマニホールドにおいて、内管の母材部成分は、Al、Nb、Ti、ZrおよびVの少なくとも1種を合計1.0質量%以下で含有し、溶着部成分は、Al、Nb、Ti、ZrおよびVの少なくとも1種を合計0.8質量%以下で含有するものである。
請求項3に記載された二重構造エキゾーストマニホールドは、請求項1または2記載の二重構造エキゾーストマニホールドにおいて、内管の母材部成分は、MoおよびCuの少なくとも1種を4.0質量%以下で含有し、溶着部成分は、MoおよびCuの少なくとも1種を3.0質量%以下で含有するものである。
請求項4に記載された二重構造エキゾーストマニホールドは、請求項1ないし3いずれか一記載の二重構造エキゾーストマニホールドにおいて、内管の母材部成分は、Bを0.01質量%以下で含有し、溶着部成分は、Bを0.008質量%以下で含有するものである。
本発明によれば、母材部成分および溶着部成分の各元素の含有量が所定の範囲で制御されているとともに、内管のボンド部から溶着部側へ200μmの範囲において、δフェライト量が体積率で3.0%以上であり、異相の体積率が2.0%以下であるため、溶接欠陥が発生しにくくでき、かつ、内管の良好な高温強度を確保できる。
本実施例および比較例におけるREMの含有量と割れ発生率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施の形態の構成について詳細に説明する。
二重構造エキゾーストマニホールドは、外管と、この外管より内側に間隙を介して配置された内管とを備える。これら外管と内管とは、溶接ワイヤ等の溶接棒を用いて溶接継手部にて溶接されて互いに固定されている。
すなわち、二重構造エキゾーストマニホールドは、外管の一部と内管の一部とが溶接継手部にて溶接されて、外管と内管との間に中空の断熱層が配置された状態にて固定されている。
また、このように外管と内管とが溶接された溶接継手部は、外管の母材部と、内管の母材部と、外管と内管とが溶着している溶着部と、外管の母材部および内管の母材部と溶着部との境界であるボンド部とを有する構成となる。
そして、二重構造エキゾーストマニホールドは、自動車等のエンジンの下流に設置され、エンジンからの排気ガスが流入することにより、例えば850〜900℃の高温に曝される。そのため、特に、流入する排気ガスに曝される内管の高温強度が重要である。
また、内管は、外管より薄肉であり、溶接における入熱量の制御が非常に難しいため、例えば高温割れや延性低下割れ等の溶接欠陥が発生しにくいようにすることが重要である。
そこで、内管は、フェライト系ステンレス鋼より加工性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼にて形成され、具体的には下記の通り成分設計されている。
内管の母材部成分は、0.08質量%以下のC(炭素)、1.0質量%以上5.0質量%以下のSi(ケイ素)、3.0質量%以下のMn(マンガン)、0.08質量%以下のP(リン)、0.02質量%以下のS(硫黄)、10.0質量%以上30.0質量%以下のCr(クロム)、7.0質量%以上18.0質量%以下のNi(ニッケル)、および、0.25質量%以下のN(窒素)を含有するとともに、Y(イットリウム)およびREM(希土類元素)の少なくとも1種を合計0.01質量%以上0.1質量%以下で含有し、残部がFe(鉄)および不可避的不純物にて構成されている。
また、溶着部の成分は、0.08質量%以下のC、0.5質量%以上3.0質量%以下のSi、2.0質量%以下のMn、0.08質量%以下のP、0.02質量%以下のS、10.0質量%以上30.0質量%以下のCr、7.0質量%以上18.0質量%以下のNi、および、0.20質量%以下のNを含有するとともに、Yおよび希土類元素の少なくとも1種を合計0.005質量%以上0.1質量%以下で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物にて構成されている。
Cは、オーステナイト系ステンレス鋼の高温強度の向上に有効であるが、0.08質量%を超えて過剰に含有させると、使用中にCr炭化物を形成して靭性が劣化する可能性があるとともに、耐高温酸化性の向上に有効な固溶Cr量が減少する可能性がある。したがって、内管の母材部および溶着部におけるCの含有量は、0.08質量%以下(無添加を含まず。)とする。
Siは、高温酸化特性の向上に非常に有効であり、内管の母材部において1.0質量%以上含有させ、溶着部において0.5質量%以上含有させることにより、850〜900℃の温度域でSi濃化被膜をCr酸化物の内側に形成させ、耐スケール剥離性の向上に寄与する。一方、Siを、内管の母材部において5.0質量%を超えて過剰に含有させ、溶着部において3.0質量%を超えて過剰に含有させると、σ脆化感受性を高め、使用中にσ脆化を誘発する可能性がある。したがって、内管の母材部におけるSiの含有量は、1.0質量%以上5.0質量%以下とする。また、溶着部におけるSiの含有量は、0.5質量%以上3.0質量%以下とする。
Mnは、オーステナイト相安定化元素であり、主としてδ相バランスを調整する作用を奏するが、内管の母材部において3.0質量%を超えて過剰に含有させ、溶着部において2.0質量%を超えて過剰に含有させると、耐高温酸化性の低下を招いてしまう可能性がある。したがって、内管の母材部におけるMnの含有量は3.0質量%以下(無添加を含まず。)とし、溶着部におけるMnの含有量は2.0質量%以下(無添加を含まず。)とする。
Pは、0.08質量%を超えて含有させるとオーステナイト系ステンレス鋼の熱間加工性を低下させる可能性があるため、可能な限り含有量を低減することが好ましい。したがって、内管の母材部および溶着部におけるPの含有量は0.08質量%以下とする。
Sは、Pと同様に0.02質量%を超えて含有させるとオーステナイト系ステンレス鋼の熱間加工性を低下させる可能性があるため、可能な限り含有量を低減することが好ましい。したがって、内管の母材部および溶着部におけるSの含有量は0.02質量%以下とする。
Crは、高温でのスケール生成を抑制し、高温酸化特性の向上に有効な元素であり、このような作用を奏するには10.0質量%以上含有させる必要がある。一方、Crを30.0質量%を超えて過剰に含有させると、σ脆化を誘発する可能性がある。したがって、内管の母材部および溶着部におけるCrの含有量は10.0質量%以上30.0質量%以下とする。
Niは、オーステナイト相安定化元素であり、主としてδ相バランスを調整するために含有させるが、このような作用を奏するには、7.0質量%以上含有させる必要がある。一方、Niを18.0質量%を超えて過剰に含有させると、耐高温酸化性の低下を招いてしまう可能性がある。したがって、内管の母材部および溶着部におけるNiの含有量は7.0質量%以上18.0質量%以下とする。
Nは、固溶強化により高温強度を向上させる元素であるが、内管の母材部において0.25質量%を超えて過剰に含有させ、溶着部において0.20質量%を超えて過剰に含有させると、Cr窒化物の形成により、靭性を低下させる可能性がある。したがって、内管の母材部にけるNの含有量は0.25質量%以下(無添加を含まず。)とし、溶着部におけるNの含有量は0.20質量%以下(無添加を含まず。)とする。
YおよびREMは、耐高温酸化性の向上に有効な元素であり、このような作用を奏するには、内管の母材部においてYおよびREMの少なくとも1種を合計0.01質量%以上含有させ、溶着部においてYおよびREMの少なくとも1種を合計0.005質量%以上含有させる必要がある。一方、内管の母材部および溶着部において、YおよびREMの少なくとも1種を合計0.1質量%を超えて過剰に含有させると鋼の硬質化を招く可能性があり、また、原料コストも上昇してしまう。したがって、内管の母材においては、YおよびREMの少なくとも1種を合計0.01質量%以上0.1質量%以下で含有させ、溶着部においては、YおよびREMの少なくとも1種を0.005質量%以上0.1質量%以下で含有させる。
ここで、高Si含有鋼の溶接継手部では、溶着部の粘性が低いため、溶接の際に溶け込みを制御しにくく、また、Siが母材部の融点を低下させるとともに、溶着部の最終凝固部に低融点化元素としてのSiが濃化しやすい。
また、凝固速度が遅くなるほど溶着部の粒界に低融点化元素が濃化しやすく、低温まで粒界の液相部分が残存しやすくなる。
そして、溶着部の粒界が低温まで液相化する結果、粒界強度が低下し溶接の際の熱変形による高温割れ等の溶接欠陥が発生しやすい状態になってしまう。
また、二重構造エキゾーストマニホールドの内管の耐久性(高温強度および耐高温酸化性等)は、内管の母材部成分に比べて低融点化元素であるCr、Si、Ni、PおよびSが濃化した低融点化元素濃化部が存在することにより著しく低下する。より具体的に、溶接の際に、低融点化元素濃化部と鋼素地(母材部または溶着部)との界面に微小亀裂が存在しやすく、また、微小亀裂が存在しなくても界面強度そのものが弱く亀裂が発生しやすいため、耐久性が低くなると考えられる。
したがって、二重構造エキゾーストマニホールドに溶接欠陥が発生しにくくするとともに、二重構造エキゾーストマニホールドの耐久性を向上するには、内管の母材部成分や溶着部成分の調整により低融点化元素濃化部の存在比率を低下させることが重要である。
そこで、ボンド部から溶着部側へ200μmの範囲において、低融点化元素であるCr、Si、Ni、PおよびSを内管の母材部成分より合計6.0質量%以上含有し低融点化元素が濃化した低融点化元素濃化部としての異相の存在比率が、体積率で2%以下となるように、内管の母材部成分や溶着部成分を上記範囲内で調整する。
また、異相の存在比率は、溶着部のδフェライト相と密接に関係しており、δフェライト相が多いほど異相の存在比率が低下する。
そこで、ボンド部から溶着部側へ200μmの範囲において、δフェライト量が体積率で3.0%以上にすることにより、異相の存在比率が低下して耐久性が向上する。
なお、δフェライト量が多量になると、δ相がσ相となり耐久性が低下するため、ボンド部から溶着部側へ200μmの範囲におけるδフェライト量は、体積率で10%以下であることが好ましい。
さらに、溶接棒の心線として308系や309系等のSi含有量が比較的低い溶接心線を用いた場合、ボンド部から溶着部側へ200μmの範囲では、溶着部の他の領域よりもSiの存在比率が高くなり、溶接欠陥の発生を招いてしまう。このSi濃化現象は、母材のSi強度を低減すれば抑制可能であるが、溶接継手部の耐高温酸化性が低下してしまう。
そこで、母材のSi(Cr)を低減させずに溶接欠陥の発生を抑制する方法としては、低融点化元素であるPおよびSの含有量を極めて低く抑える方法が挙げられる。しかし、製造コストの大幅な上昇を招くため、工業的に幅広く適用しにくい。
また、PやSを固定化するためYおよびREMを添加する方法も知られているが、YおよびREMの添加だけでは、溶接条件によっては割れが発生してしまい、溶接欠陥の発生を完全に防止できない。
そこで、内管の母材部成分および溶着部成分の各元素含有量を調整して、YおよびREMを所定の含有量で含有させるとともに、δフェライト相の体積率を3.0%以上とし、異相の体積率を2.0%以下にすることによって、ボンド部から溶着部側へ200μmの範囲における0.2%耐力を30MPa以上にして、高温強度を確保するとともに、溶接欠陥が発生しにくい構成となる。
また、必要に応じて、二重構造エキゾーストマニホールドの内管の母材部成分は、Al(アルミニウム)、Nb(ニオブ)、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)およびV(バナジウム)の少なくとも1種を合計1.0質量%以下で含有し、溶着部成分はAl、Nb、Ti、ZrおよびVの少なくとも1種を合計0.8質量%以下で含有することが好ましい。
Alは、強力なフェライト生成元素であり、δ相を安定化に有効である。また、Nb、Ti、ZrおよびVは、CやNと結合し高温強度を向上させる元素である。しかしながら、Al、Nb、Ti、ZrおよびVは、過剰に含有させると、低融点化につながる可能性がある。したがって、高温強度を向上する目的でAl、Nb、Ti、ZrおよびVを含有させる場合は、内管の母材部にはAl、Nb、Ti、ZrおよびVのうちの少なくとも1種を合計1.0質量%以下で含有させ、溶着部にはAl、Nb、Ti、ZrおよびVのうちの少なくとも1種を合計0.8質量%以下で含有させることが好ましい。
さらに、必要に応じて、二重構造エキゾーストマニホールドの内管の母材部成分はMo(モリブデン)およびCu(銅)の少なくとも1種を4.0質量%以下で含有し、溶着部成分はMoおよびCuの少なくとも1種を3.0質量%以下で含有することが好ましい。
Moは、フェライト生成元素であり、高温強度の向上に有効であるが、過剰に含有させるとσ脆化を招き、靭性が低下する可能性がある。
Cuは、オーステナイト生成元素であり、高温強度の向上に有用であるが、過剰に含有させると耐高温酸化性の低下を招く可能性がある。
したがって、高温強度の向上を目的としてMoおよびCuを含有させる場合は、内管の母材部にはMoおよびCuの少なくとも1種を4.0質量%以下で含有させ、溶着部にはMoおよびCuの少なくとも1種を3.0質量%以下で含有させることが好ましい。
また、必要に応じて、二重構造エキゾーストマニホールドの内管の母材部はB(ホウ素)を0.01質量%以下で含有し、溶着部はBを0.008質量%以下で含有することが好ましい。
Bは、溶接継手部の粒界強度を向上させるのに有効であるが、多量に含有させると熱間加工性が低下してしまう可能性がある。したがって、粒界強度の向上を目的としてBを含有させる場合は、内管の母材部には0.01質量%以下で含有させ、溶着部には0.008質量%以下で含有させることが好ましい。
そして、上記二重構造エキゾーストマニホールドによれば、内管の母材部成分および溶着部成分の各元素の含有量が所定の範囲で制御されているとともに、内管のボンド部から溶着部側へ200μmの範囲において、δフェライト量が体積率で3.0%以上であり、異相の体積率が2.0%以下であるため、溶接の際に粒界強度が低下しにくく溶接欠陥が発生しにくくできるとともに、内管の良好な高温強度を確保できる。
内管の母材部にAl、Nb、Ti、ZrおよびVのうちの少なくとも1種を合計1.0質量%以下で含有させ、溶着部にAl、Nb、Ti、ZrおよびVのうちの少なくとも1種を合計0.8質量%以下で含有させることにより、内管の高温強度を向上できる。
また、内管の母材部にMoおよびCuの少なくとも1種を4.0質量%以下で含有させ、溶着部にMoおよびCuの少なくとも1種を3.0質量%以下で含有させることにより、内観の高温強度を向上できる。
さらに、内管の母材部に0.01質量%以下のBを含有させ、溶着部に0.008質量%以下のBを含有させることにより、溶接継手部の粒界強度を向上できるため、溶接欠陥の発生を防止できる。
以下、本実施例および比較例について説明する。
表1に示す成分のオーステナイト系ステンレス鋼を溶製し、板厚0.8mmの冷延焼鈍板とした。また、各冷延焼鈍板から100×200mmの板状の供試材を切り出した。なお、表1では、REMは、YおよびREMおよび合計の含有量を示す。
Figure 0006249840
各鋼種の供試材を2枚重ね合わせて、電流120A、電圧14.4V、溶接心線308(φ1.2mm)、シールドガスAr+5%O、および、シールドガス流量10L/分の条件でMIG溶接を施した。
各鋼種で5つの検体を作製し評価数を5として、溶着部の裏面に割れが発生していたものを割れ判定とし割れの発生率を算出した。
各鋼種における、ボンド部から溶着部側へ200μmの範囲でのδフェライト量(体積率)、ボンド部から溶着部側へ200μmの範囲での異相の存在比率(体積率)、および、割れ発生率を表2に示す。
また、YおよびREMの合計の含有量と割れ発生率との関係を図1に示す。なお、図1では、YおよびREMの合計の含有量をREMと示す。
Figure 0006249840
表2および図1に示すように、本実施例である鋼種No.1ないし鋼種No.7のいずれも溶着部の裏面に割れが発生しておらず、溶接性に優れていた。
一方、YおよびREMの合計含有量が0.01質量%より低い構成であり、かつ、δフェライト相の体積率が3.0%未満で異相の体積率が2.0%より多い構成の比較例、または、YおよびREMの合計含有量が0.01質量%より低い構成であり、かつ、δフェライト相の体積率が3.0%以上であるが異相の体積率が2.0%より多い構成の比較例である鋼種No.8ないし鋼種No.12のいずれも溶接割れが発生しており、溶接性が不十分であった。

Claims (4)

  1. 外管と、この外管より内側に位置しオーステナイト系ステンレス鋼にて形成された内管とを備え、これら外管と内管とが溶接継手部で溶接された二重構造エキゾーストマニホールドであって、
    溶接継手部は、外管の母材部と、内管の母材部と、これら外管と内管とが溶着している溶着部と、外管の母材部および内管の母材部と溶着部との境界であるボンド部とを有し、
    内管の母材部成分は、C:0.08質量%以下、Si:1.0質量%以上5.0質量%以下、Mn:3.0質量%以下、P:0.08質量%以下、S:0.02質量%以下、Cr:10.0質量%以上30.0質量%以下、Ni:7.0質量%以上18.0質量%以下およびN:0.25質量%以下を含有するとともに、Yおよび希土類元素の少なくとも1種を合計0.01質量%以上0.1質量%以下で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物にて構成され、
    溶着部成分は、C:0.08質量%以下、Si:0.5質量%以上3.0質量%以下、Mn:2.0質量%以下、P:0.08質量%以下、S:0.02質量%以下、Cr:10.0質量%以上30.0質量%以下、Ni:7.0質量%以上18.0質量%以下およびN:0.20質量%以下を含有するとともに、Yおよび希土類元素の少なくとも1種を合計0.005質量%以上0.1質量%以下で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物にて構成され、
    内管におけるボンド部から溶着部側へ200μmの範囲は、δフェライト量が体積率で3.0%以上であり、前記母材部成分よりCr、Si、Ni、PおよびSが合計で6.0質量%以上濃化した異相の体積率が2.0%以下である
    ことを特徴とする二重構造エキゾーストマニホールド。
  2. 内管の母材部成分は、Al、Nb、Ti、ZrおよびVの少なくとも1種を合計1.0質量%以下で含有し、
    溶着部成分は、Al、Nb、Ti、ZrおよびVの少なくとも1種を合計0.8質量%以下で含有する
    ことを特徴とする請求項1記載の二重構造エキゾーストマニホールド。
  3. 内管の母材部成分は、MoおよびCuの少なくとも1種を4.0質量%以下で含有し、
    溶着部成分は、MoおよびCuの少なくとも1種を3.0質量%以下で含有する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の二重構造エキゾーストマニホールド。
  4. 内管の母材部成分は、Bを0.01質量%以下で含有し、
    溶着部成分は、Bを0.008質量%以下で含有する
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の二重構造エキゾーストマニホールド。
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