以下には、図面を参照して、この発明の一実施形態に係る景品読取機1について具体的に説明する。景品読取機1は、物品(ここでは景品)を繰り出して収納する装置(物品繰出収納装置)でもある。
景品読取機1に関し、パチンコ店等の遊技施設で遊技客に払い出された景品を交換してくれる景品交換所という施設が、遊技施設とは別にあり、景品読取機1は、この景品交換所内に設置されている。ちなみに、ここで言う景品とは、菓子や煙草といった一般景品ではなく、所定の金銭価値を有する物体(有価物)が内蔵された特殊景品のことである。この景品は、一般的に、1〜3mm程度の厚みを有する略長方形状をなす樹脂製のカードである。この景品には、前述した有価物が内蔵されており、たとえば、200円、1000円、2000円、5000円といった金種に応じた複数(ここでは4つ)の種類が存在する。景品については、以降でさらに詳しく説明する。
景品読取機1の運用として、景品交換所の係員は、遊技客から受け取った景品を、景品読取機1にセットする。その後、景品読取機1の動作が開始されて、セットされた景品が1枚ずつ景品読取機1内に取り込まれ、真偽や金種についての識別を受けた後に、グループ毎にまとめられる。景品読取機1での識別結果(遊技客から受け取った景品の内訳)は、景品読取機1に対して通信可能に接続された出金機(図示せず)に出力され、出金機から、遊技客の景品に相当する現金が、先ほどの遊技客に出金される。以上が、景品の換金に関する一連の流れである。なお、景品交換所には、景品の在庫データを管理する景品管理機(図示せず)が設けられていて、景品読取機1での識別結果が景品管理機に出力されることで、景品管理機における在庫データが更新されてもよい。なお、景品管理機は、景品読取機1と一体型であってもよい。
図1は、この発明の一実施形態に係る景品読取機1を正面側から見た斜視図である。なお、以下では、図1において正面側(図1に紙面手前側)から見たときの景品読取機1の左右上下前後の方向を基準として、景品読取機1およびその構成部品の向きを特定することにする。ここで、左右方向と景品読取機1の幅方向とは同じであり、上下方向と垂直方向とは同じである。そして、前後方向(景品読取機1の奥行き方向)および左右方向(幅方向)は、水平方向に含まれている。
図1を参照して、景品読取機1は、幅方向にやや長手の直方体形状である。景品読取機1の外郭をなす部分を本体2ということにすると、本体2では、右側約3分の2の領域に、操作部3と、プリンタ部4と、搬送部5と、識別部6(識別手段)と、表示部7とが設けられていて、左側約3分の1の領域に、収納部8が設けられている。
操作部3は、景品交換所の係員によって操作(押下)される部分であり、たとえば、本体2の正面における上下方向略中央の右端部に設けられている。操作部3は、景品読取機1の動作を開始させるために操作される開始スイッチ9と、景品読取機1の動作を停止させるために操作される停止スイッチ10とを含んでおり、開始スイッチ9と停止スイッチ10とは左右に並んで配置されている。
プリンタ部4は、本体2の上面における幅方向略中央に設けられている。プリンタ部4は、景品読取機1での処理内容を、紙の伝票としてジャーナル出力することができる。
搬送部5は、係員が遊技客から受け取った景品を1枚ずつ繰り出して景品読取機1内で搬送する構成であり、詳しくは、後述する。搬送部5に関し、本体2の正面右上の角(コーナー)部分は、正面側および上側の両方から切り欠くように凹状にえぐられていて、この凹状部分(周辺部分も含む)は、景品が上下に積層した状態でセットされ、当該景品を本体2内に繰り出すための繰出部11となっている。なお、景品の積層方向(上下方向)は、各景品の厚さ方向と一致している。
識別部6は、搬送部5の繰出部11から繰り出された景品の真偽や金種を識別する部分であり、詳しくは、後述する。
表示部7は、本体2の正面において、前述した右側約3分の2の領域の略下半分を占めていて、幅方向に長手の長方形状をなす液晶のタッチパネルである。表示部7には、景品読取機1における必要な情報が表示される。表示部7における表示内容については、以降で詳しく説明する。
収納部8は、搬送部5での搬送を終えた景品が収納される収納庫71を有しており、詳しくは、後述する。
図2は、景品読取機1の電気的な構成を示すブロック図である。
次に、図2を参照しながら、景品読取機1の電気的な構成について説明する。
景品読取機1は、その動作を制御する制御部15(真偽判別手段、金種判別手段、表裏判別手段、識別手段、制御手段、間隔調整手段、切替手段、速度調整手段)を含んでいる。制御部15は、CPUやROMやRAM等によって構成されている。景品読取機1において、制御部15には、前述した操作部3、プリンタ部4、搬送部5、識別部6、表示部7および収納部8のそれぞれと、記憶部16とが電気的に接続されている。記憶部16は、様々な情報を記憶している。
以下では、搬送部5、識別部6および収納部8のそれぞれの詳細について、この順番で説明する。
図3は、景品読取機1の搬送部5を抜き出して示した斜視図である。図4は、搬送部5に含まれるベルト22を抜き出して示した斜視図である。図3および図4の姿勢は、図1の景品読取機1の姿勢と同じである。
図3を参照して、搬送部5は、前述した本体2に固定されたフレーム20と、前述した繰出部11と、回転軸21と、(無端状の)搬送体としてのベルト22と、駆動モータ23とを主に含んでいる。
フレーム20は、正面から見て、幅方向に長手で前後方向にやや薄いボックス状であり、その前面および下面の全域が開放されている。すなわち、フレーム20は、上壁20Aと、左壁20Bと、右壁20Cと、後壁20Dとを一体的に有している。
上壁20Aは、幅方向に細長く上下に薄い板状をなしている。上壁20Aの前後方向寸法は、長方形の景品における短手方向寸法よりもある程度大きい。左壁20Bは、幅方向に薄い板状をなしており、上壁20Aの左端から下方へ延びている。右壁20Cは、幅方向に薄い板状をなしており、上壁20Aの右端から下方へ延びている。後壁20Dは、前後方向に薄い板状であり、左壁20Bおよび右壁20Cの後端間に架設されているとともに、上壁20Aの後端に接続されている。なお、上壁20A、左壁20B、右壁20Cおよび後壁20Dのそれぞれにおいて、必要に応じて、肉抜き穴(左壁20Bを参照)を形成してもよい。
そして、上壁20Aの幅方向略中央には、幅方向に薄く上方へ延びる第1縦壁24が接続されている。第1縦壁24の下端と、上壁20Aの上面との間には、景品1枚がちょうど通過できる程度の隙間25が形成されている。つまり、隙間25の上下方向寸法は、景品1枚の厚さより少し大きく、隙間25の前後方向寸法は、景品1枚の短手方向寸法より少し大きい。また、上壁20Aの後端の略右半分には、前後方向に薄く上方へ延びる第2縦壁26が接続されている。第1縦壁24の後端と第2縦壁26の左端とは、上下方向におけるほぼ全域に亘って接続されており、平面視で、第1縦壁24および第2縦壁26の全体が、略L字をなしている。また、上壁20Aの右端部には、ガイド部27が取り付けられている。ガイド部27は、中空のボックス状をなしていて、第1縦壁24に対して右側から対向配置されている。ガイド部27において第1縦壁24に対向する左側面をガイド面27Aということにすると、ガイド面27Aは、上方へ略垂直に延びた後に、第1縦壁24から離れるように右上側へ傾斜している。
上壁20Aの略右側部分、第1縦壁24、ガイド部27および第2縦壁26、ならびにこれらによって囲まれた部分が、前述した繰出部11を構成している。そして、上壁20Aの上面において、第1縦壁24およびガイド部27によって幅方向から挟まれ、第2縦壁26によって後側から仕切られた部分は、繰出部11において景品が上下に積層した状態でセットされるセット部28である。セット部28では、景品の長手方向が景品読取機1の幅方向に沿うように、最大で30枚の景品がセットされる。ガイド部27において傾斜したガイド面27Aが景品をセット部28に導くので、セット部28に景品を円滑にセットできる。
セット部28では、セットされた景品の前側部分の真下に位置する部分に、幅方向全域に亘ってセット部28を切り欠く切り欠き29が形成されている。切り欠き29は、幅方向に延びる溝状である。ガイド部27のガイド面27Aの下端部において、切り欠き29と前後方向で同じ位置にある部分には、切り欠き30が形成されている。切り欠き30は、切り欠き29と連通しているとともに、ガイド部27の内外を連通させている。
上壁20Aの上面において、第1縦壁24よりも左側の領域(「略左半分領域」ということにする)には、一対のガイドレール31が設けられている。各ガイドレール31は、当該略左半分領域のほぼ全域(幅方向における全域)に亘るように、幅方向に細長く延びている。一対のガイドレール31は、前後方向に間隔を隔てて平行に延びている。一対のガイドレール31のうち、前側のガイドレール31Aは、上壁20Aの上面の前端部に対して、景品1枚の厚さ分の隙間を隔てて対向している。一対のガイドレール31のうち、後側のガイドレール31Bは、上壁20Aの上面の後端部に対して、景品1枚の厚さ分の隙間を隔てて対向している。景品読取機1において、当該略左半分領域における上壁20Aの上面から、一対のガイドレール31までのスペースを搬送路32ということにする。搬送路32は、景品1枚の厚さとほぼ同じ厚さで幅方向に水平に延びる帯状空間である。また、搬送路32を下から区画する面(つまり、上壁20Aの上面)を、搬送面32Aということにする。搬送面32Aは、水平方向に沿って平坦であり、幅方向に延びている。
搬送路32は、前述した隙間25を介してセット部28に連通しており、セット部28から水平な状態で左側へ延びている。搬送路32は、セット部28にセットされた景品を、セット部28にセットされたときと同じ姿勢のまま、搬送面32Aに載置された状態で左側へ搬送することができる。搬送路32を搬送中の景品では、前後の端部の真上にガイドレール31が位置しているので、搬送路32において、景品は、浮き上がることなく搬送される。なお、セット部28の景品が各ガイドレール31に引っ掛かることなく円滑に搬送路32に受け渡されるように、各ガイドレール31の下端面の右端部には、右上側へ延びるガイド面31Cが形成されている。
また、当該略左半分領域における上壁20Aにおいて、平面視で一対のガイドレール31の間に位置する領域には、上壁20Aを厚さ方向(上下方向)に切り欠く切り欠き33が形成されている。上壁20Aの下側には、前述した識別部6が組み付けられていて、切り欠き33から搬送路32内に露出されている。
回転軸21は、前後方向に延びる軸状体であって、全部で4本設けられている。これらの回転軸21は、正面視で離散配置された状態で、フレーム20によって回転可能に支持されている。以下では、4つの回転軸21のそれぞれを、回転軸21A、回転軸21B、回転軸21Cおよび回転軸21Dというように区別することがある。回転軸21Aは、フレーム20における左上の角に配置されている。回転軸21Aの後端部は、フレーム20の後壁20Dよりも後側へはみ出している。回転軸21Bは、フレーム20における左下の角から少し右側の位置に配置されている。回転軸21Cは、フレーム20における右下の角から少し上側の位置に配置されている。回転軸21Dは、フレーム20における右上の角に配置されている。各回転軸21では、前後方向においてセット部28の切り欠き29と同じ位置に、プーリー34が一体回転可能に取り付けられている。プーリー34は、回転軸21に対して外嵌される円環であって、プーリー34の軸方向両端部には、周方向全域に亘って径方向外側へ張り出したフランジ34Aが一体的に設けられている(回転軸21A,21Cのプーリー34を参照)。
図4も参照して、ベルト22は、無端状をなす環状ベルト(いわゆるエンドレスベルト)であり、ゴム等の弾性体で形成されている。ベルト22を、その周方向Rと直交する平坦面に沿って切断したときの断面は、景品読取機1の前後方向に沿って細長い長方形状をなしている。そして、ベルト22の外周面22Aには、複数(ここでは7つ)の突起35が、周方向Rに沿って一定の間隔で設けられている。各突起35は、ベルト22の断面の長手方向(景品読取機1の前後方向)に沿って細長い略直方体のブロック形状であって、ベルト22に一体形成されている。各突起35の長手方向寸法Lは、ベルト22の断面の長手方向寸法とほぼ同じである。各突起35のベルト22の外周面22Aからの突出量Sは、景品(図4において符号40を付したもの)の1枚の厚さTとほぼ同じである。また、ベルト22において周方向Rに隣り合う2つの突起35の間隔Pは、景品40の1つの寸法(長手方向寸法Q)よりも所定以上(数mm程度)大きい。
このようなベルト22は、図3に示すように、4つの回転軸21のプーリー34に対して、所定のテンションがかかった状態で掛け回されている。この状態のベルト22は、フレーム20内に配置されている。ベルト22において各プーリー34に掛かった部分は、曲り角Cになっている。図3では、回転軸21AおよびBにおけるベルト22の曲り角Cが図示されている。
ベルト22は、回転軸21Aにおける曲り角Cではプーリー34の外周面に沿って湾曲し、その後、右下側へ延びて回転軸21Bのプーリー34に掛かっている。ベルト22は、回転軸21Bにおける曲り角Cではプーリー34の外周面に沿って湾曲し、その後、右上側へ延びて回転軸21Cのプーリー34に掛かっている。ベルト22は、回転軸21Cにおける曲り角C(図示せず)ではプーリー34の外周面に沿って湾曲し、その後、上方へ略垂直に延びて回転軸21Dのプーリー34に掛かっている。ベルト22は、回転軸21Dにおける曲り角C(図示せず)ではプーリー34の外周面に沿って湾曲し、その後、水平に沿って左側へ延びて回転軸21Aのプーリー34に掛かっている。
ここで、回転軸21Aにおけるベルト22の曲り角Cは、収納部8(詳しくは、収納庫71)に右側から隣接して配置されている。また、ベルト22は、フレーム20の上壁20Aの略右半分領域(第1縦壁24より右側の領域)では、繰出部11におけるセット部28の切り欠き29から露出されていて、上壁20Aの略左半分領域では、搬送路32の前端部に配置されている。このように4つの回転軸21のプーリー34に掛け回されたベルト22は、繰出部11、搬送路32および収納部8(収納庫71)を巡るように設けられている。
また、各回転軸21のプーリー34における一対のフランジ34Aの間に配置されることで、ベルト22は、前後方向において位置決めされている。そのため、ベルト22は、周方向Rにおけるどの部分においても、セット部28の切り欠き29と前後方向で同じ位置にある。
なお、ベルト22において周方向Rに隣り合ういずれか2つの突起35がセット部28を左右方向からちょうど挟む位置にあるとき、この状態で静止しているベルト22は、待機位置にある。フレーム20の右壁20Cには、ベルト22が待機状態にあるか否かを検知するセンサ37が設けられている。前述した2つの突起35のうちセット部28の右側(厳密には、ガイド部27の切り欠き30)に位置する突起35があり、この突起35に対して(後述する正回転方向における上流側から)隣り合う別の突起35が存在するのだが、センサ37の検知範囲に当該別の突起35が常に位置していると、センサ37は、ベルト22が待機状態にあることを検知する。
駆動モータ23は、フレーム20内において後壁20Dに固定されている。駆動モータ23の出力軸(図示せず)と、回転軸21Aの後端部とには、タイミングベルト36が掛け回されている。駆動モータ23が電力を受けて駆動されると、駆動モータ23の駆動力がタイミングベルト36を介して回転軸21Aに伝達され、回転軸21Aが軸周りに回転する。これにより、ベルト22は、4つの回転軸21のプーリー34に掛け回された状態で周回移動する。図3における正面視で反時計回りの方向が、ベルト22の正回転方向(通常の周回移動方向)であり、時計回りの方向が、ベルト22の逆回転方向である。なお、ベルト22は、前述したように周方向Rにおけるどの部分においても切り欠き29と前後方向で同じ位置にあるので、周回移動しているときに、周方向Rにおけるどこかの部分が前後にぶれることはない。駆動モータ23の駆動(換言すればベルト22の周回移動)は、制御部15(図2参照)によって制御される。具体的には、駆動モータ23は、ステッピングモータであり、係員が遊技客から受け取った景品40をセット部28にセットしてから開始スイッチ9(図1参照)を押下すると、制御部15は、駆動モータ23のステップ角等の制御を行うことで、ベルト22の周回移動を開始させる。
ベルト22が正回転方向に周回移動しているとき、ベルト22の外周面22Aの各突起35は、正回転方向に沿って周回移動する。この際、各突起35は、フレーム20の上壁20A(つまり、回転軸21Aと回転軸21Dとの間の領域)においては、セット部28の切り欠き29と搬送路32の前端部とを、この順で、水平方向に沿って左側へ通過する。そのため、繰出部11のセット部28に積層状態でセットされた景品40(図4参照)のうち最下位の景品40は、その右端縁の前端部が、右側からやってきた突起35に引っ掛けられることで、左側へ動かされる。これにより、当該景品40は、右端縁に引っ掛かっている突起35と、この突起35に対して(ベルト22の正回転方向における)下流側から隣り合う別の突起35との間に挟まれた状態で、繰出部11から繰り出される。つまり、このような突起35を有するベルト22は、繰出部11のセット部28にセットされた景品40を突起35で繰り出す繰出手段を構成している。なお、ベルト22を周回移動させる駆動モータ23や制御部15を繰出手段の一部とみなしてもよい。
このように繰出部11から繰り出された景品40は、ベルト22の周回移動に伴って、第1縦壁24の下方の隙間25を通過し、水平方向(搬送面32A)に沿って搬送路32を左側へ搬送される。そして、当該景品40は、回転軸21A(回転軸21Aにおけるベルト22の曲り角C)まで到達すると、搬送路32を通過したことになり、今まで引っ掛かっていた突起35によって左側へ押し出されることによって、左側にある収納部8の収納庫71に投げ入れられる。このようにして、セット部28に積層状態でセットされた景品40が、最下位の景品40から順に、1枚ずつ繰り出されて搬送路32を通過し、収納部8(収納庫71)に投げ入れられる。つまり、周回移動するベルト22は、その曲り角Cにおいて景品40を収納庫71に投げ入れるようにすることで、当該曲り角Cに隣接して配置された収納庫71へと当該景品40を確実に受け渡すことができる。
以上のように、ベルト22は、周回移動することによって、繰出部11の景品40を、突起35で引っ掛けて繰り出し、搬送路32経由で収納部8(収納庫71)まで搬送する。よって、この景品読取機1では、繰出部11での景品40の繰り出しと、繰り出された景品40の搬送路32における搬送と、搬送路32を通過した景品40の収納庫71への収納とを、周回移動する同一(1本)のベルト22だけで達成できる。よって、繰り出し、搬送および収納のために、このベルト22と、ベルト22を周回移動させる共通の駆動モータ23(図3参照)とがあれば済むので、その分、コスト低下および小型化を図ることができる。
また、このように同一のベルト22で景品40の繰り出し、搬送および収納を行う場合には、繰出部11と搬送路32との間や、搬送路32と収納庫71との間で、景品40を円滑に受け渡すことができる。また、繰出部11と搬送路32とのつなぎ目や、搬送路32と収納庫71とのつなぎ目を極力抹消すること(狭くすること)もできる。よって、当該つなぎ目におけるジャム(景品40の詰り)の発生を抑制することができるで、景品40の繰出収納に係る品質向上を図ることができる。
また、前述したように、ベルト22において隣り合う突起35の間隔Pは、景品40の1つの寸法(長手方向寸法Q)より所定以上大きい(図4参照)。よって、セット部28にセットされたいずれも景品40も、隣り合う突起35の間に確実に順次入り込めるので、ベルト22は、複数の景品40の繰り出し、搬送および収納を連続して行うことができる。よって、景品40の繰出収納に係る品質向上を一層図ることができる。
以上のように繰出部11から繰り出された景品40は、搬送路32で搬送されている途中に、識別部6による識別を受ける。
図5は、景品40の構成を示す模式図である。次に、図5を参照しながら景品40について詳説する。景品40は、本体41と、有価物42と、ICタグ43と、ホログラム44とを主に含んでいる。
本体41は、略長方形をなす樹脂製のカードであり、景品40の外郭をなしている。本体41の厚さ方向における一方側の外面が、景品40の表面40Aであり、他方側の外面が景品40の裏面40Bである(図4参照)。この実施形態では、本体41の外面(つまり、景品40の外面でもある)の色が、景品40の金種毎に異なっている。具体的に、景品40の外面の色は、200円の金種では緑色であり、1000円の金種では青色であり、2000円の金種では黄色であり、5000円の金種では赤色である。そのため、景品40の外面の色によって、景品の金種を目視で区別することができる。
有価物42は、たとえば貴金属(金や銀等)のチップであり、景品40の外面から目視可能となるように本体41に埋め込まれている。ちなみに、景品40では、有価物42を本体41から取り出そうとする不正を防止できる構造となっている(詳しくは、後述する)。
ICタグ43には、景品40の金種に関する情報や、個々の景品40に割り当てられた識別情報(遊技施設の店コードや連番)等が記憶されている。ICタグ43は、本体41に埋め込まれている。
ホログラム44は、見方(見る角度)によって色が変わる色彩可変ホログラムである。ホログラム44は、たとえば四角いシール状をなしていて、景品40の表面40Aに貼り付けられている。図4に示すように、ホログラム44は、たとえば、略長方形状の本体41の表面40Aにおいて、短手方向においては中央に配置されているものの、長手方向においては一端部または他端部に配置されている。ホログラム44が表面40Aの短手方向中央に配置されていることから、景品40がセット部28(図3参照)にどのような向きでセットされたとしても、ホログラム44は、ベルト22から前後方向にずれている。そのため、景品40が識別部6による識別を受けるときに、景品40のホログラム44がベルト22の裏に隠れることはない。
この景品読取機1では、景品40において外部から見える位置にホログラム44が貼り付けられ(つまり景品40から本物のホログラム44を読み取ることができ)、ICタグ43から金種の情報を読み取ることができると、当該景品40が本物(正常)であると判別される。一方、景品読取機1では、ホログラム44を読み取ることができなかった景品40、および、ICタグ43から金種の情報を読み取ることができなかった景品40は偽物と判別される。
図6は、景品読取機1において識別部6が景品40を識別する様子を図解的に示す模式図である。図7は、識別部6における読取部52の斜視図である。図8は、読取部52の内部構造の斜視図である。
次に、図6〜図8を参照しながら、識別部6について詳説する。
図6では、繰出部11のセット部28にセットされた最下位の景品40(つまり、これから搬送路32に進入しようとする景品40)が図示されている。図6において左側へ向けて水平に延びる黒い太線矢印は、搬送路32での景品40の搬送方向Xを示している。搬送方向Xと景品40の長手方向とは一致している。
識別部6は、搬送路32の上方に配置される上側識別ブロック50と、搬送路32の下方に配置される下側識別ブロック51とを含んでいる。前述したように識別部6において上壁20Aの切り欠き33から搬送路32内に露出されている部分は、下側識別ブロック51である(図3参照)。
上側識別ブロック50および下側識別ブロック51のそれぞれは、繰出部11から繰り出された景品40からホログラム44を読み取る読取部52を1つずつ含んでいる。そのため、上側識別ブロック50および下側識別ブロック51の全体で見ると、読取部52は、搬送路32に対して、前述した搬送方向Xに交差(厳密には、直交)する上下方向における両側に配置されるように一対設けられていることになる。また、この実施形態では、一対の読取部52は、搬送方向Xにおいて同じ位置(同位相の位置)に配置されていて、搬送路32を挟んで対向配置されている。このように一対の読取部52を対向配置しておけば、表裏のどちらか(ここでは、表面40A)にしかホログラム44が設けられていない景品40が、表裏の向きが不明な状態で搬送されてきても、景品40の両側に位置する一対の読取部52のどちらかが、必ず景品40からホログラム44を読み取ることができる。
各読取部52は、ケーシング53と、投光手段としてのLED発光部54と、複数(ここでは2つ)のカラーセンサ55とを含んでいる。
ケーシング53は、ボックス状であり、LED発光部54およびカラーセンサ55を収容している(図7も参照)。ケーシング53において搬送路32を臨む面(図7の場合は上面である)には、LED発光部54およびカラーセンサ55を搬送路32側へ露出させる開口53Aが形成されている。
LED発光部54は、ケーシング53の開口53Aから、搬送方向Xにおける上流側(右側)へ向けて、搬送面32A(水平方向)に対して傾斜する方向(細い実線矢印参照)へ光(たとえば白色光)を投光する発光部品である。ここで、紙幣等の紙とは異なり、景品40には、ある程度の厚みがあるので、一対の読取部52のそれぞれにおけるLED発光部54からの光が景品40を透過しない。よって、一対の読取部52は、前述したように搬送路32での景品40の搬送方向Xにおける同じ位置において搬送路32を挟むように対向配置されていても、景品40からのホログラム44の読み取りを互いに邪魔し合うことがない。
カラーセンサ55は、投光された物体の外面における反射光を受光することによって、当該外面の色を読み取るセンサである。レイアウトの一例として、各読取部52において、2つのカラーセンサ55は、搬送方向XにおいてLED発光部54よりも上流側(右側)に配置されている。各読取部52における2つのカラーセンサ55を、カラーセンサ55Aとカラーセンサ55Bとに区別する。カラーセンサ55Aは、搬送面32A(搬送路32)を垂直方向に沿って(上側識別ブロック50の場合は真上からであり、下側識別ブロック51の場合は真下から)臨んでいる。一方、カラーセンサ55Bは、搬送面32A(搬送路32)を、搬送面32Aに対して傾斜する方向に沿って搬送方向Xにおける上流側から(上側識別ブロック50の場合は右上側からであり、下側識別ブロック51の場合は右下側から)臨んでいる。具体的に、各読取部52では、カラーセンサ55Aにおいて物体(検知対象)からの反射光を受光する面(受光面58)とカラーセンサ55Bの受光面58とは、正面視において直交するように配置されている。なお、以上に説明した各読取部52における各カラーセンサ55およびLED発光部54のレイアウトはあくまで一例であり、別の構成(たとえば、下側識別ブロック51の読取部52において、2つのカラーセンサ55がLED発光部54よりも下流側に配置される構成)もあり得る。
各読取部52において、LED発光部54および2つのカラーセンサ55は、ケーシング53に収容された基板56に接続されている(図8参照)。
また、下側識別ブロック51において、読取部52よりも左側(搬送方向Xにおける下流側)には、ICリーダライタ57が設けられている。ICリーダライタ57は、景品40のICタグ43と無線通信することによって、当該ICタグ43に記憶された情報を読み取ることができる。
繰出部11から繰り出されて搬送路32に進入した景品40の左端部(景品40の長手方向における一端部であって、搬送方向Xにおける下流側の端部でもある)が、搬送方向Xにおいて読取部52と同じ位置(厳密には、LED発光部54からの光が当たる位置)まで到達すると、制御部15(図2参照)は、ベルト22の周回移動を一時停止させる。これにより、景品40が停止する。このときの搬送方向Xにおける景品40の位置を、第1停止位置ということにする。なお、景品40の搬送方向Xにおける両側には、当該景品40を挟むようにベルト22の突起35が位置しているので、ベルト22の周回移動の一時停止に応じて、景品40は、行き過ぎることなく第1停止位置で速やかに停止する。
繰り出された景品40が第1停止位置で停止すると、上側識別ブロック50のLED発光部54から当該景品40の上面(表面40Aおよび裏面40Bの一方)に投光され、下側識別ブロック51のLED発光部54から景品40の下面(表面40Aおよび裏面40Bの他方)に投光される。
景品40の上面に投光された光は、当該上面で上向きに反射する反射光となり、上側識別ブロック50の2つのカラーセンサ55のそれぞれの受光面58に受光される。ここでの反射光の向きは、カラーセンサ55Aに受光される反射光(1点鎖線矢印)と、カラーセンサ55Bに受光される反射光(2点鎖線矢印)とで異なる。つまり、上側識別ブロック50の2つのカラーセンサ55は、LED発光部54によって投光された景品40の上面の色を、別々の角度から読み取る。
景品40の下面に投光された光は、当該下面で下向きに反射する反射光となり、下側識別ブロック51の2つのカラーセンサ55のそれぞれの受光面58に受光される。ここでの反射光の向きは、カラーセンサ55Aに受光される反射光(1点鎖線矢印)と、カラーセンサ55Bに受光される反射光(2点鎖線矢印)とで異なる。つまり、下側識別ブロック51の2つのカラーセンサ55は、LED発光部54によって投光された景品40の下面の色を、別々の角度から読み取る。
ここで、景品40の左端部にホログラム44が位置していれば、上側識別ブロック50および下側識別ブロック51のいずれかにおけるLED発光部54によって投光された光は、ホログラム44で反射する。そして、上側識別ブロック50および下側識別ブロック51の当該いずれかにおける2つのカラーセンサ55が、LED発光部54によって投光された景品40におけるホログラム44の色を別々の角度から読み取る。ただし、図6の場合、景品40の左端部でなく、右端部(景品40の長手方向における他端部であって、搬送方向Xにおける上流側の端部でもある)にホログラム44が位置している。そのため、上側識別ブロック50および下側識別ブロック51のどちらの読取部52も、第1停止位置の景品40からホログラム44を読み取ることができない。
第1停止位置の景品40からホログラム44を読み取ることができなかった場合、制御部15は、ベルト22の周回移動を再開する。そして、景品40の右端部が、搬送方向Xにおいて読取部52と同じ位置(LED発光部54からの光が当たる位置)まで到達すると、制御部15は、ベルト22の周回移動を再度一時停止させる。これにより、景品40は、第1停止位置よりも搬送方向Xにおいて少し下流側へずれた位置で停止する。このときの搬送方向Xにおける景品40の位置を、第2停止位置ということにする。このときも、景品40の搬送方向Xにおける両側に位置する(ベルト22の)突起35のおかげで、景品40は、行き過ぎることなく第2停止位置で速やかに停止する。なお、第1停止位置で景品40からホログラム44を読み取ることができた場合にも、当該景品40を第2停止位置で停めてホログラム44を読み取るようにしてもよい。
景品40が第2停止位置で停止すると、上側識別ブロック50のLED発光部54から景品40の上面へ再び投光され、下側識別ブロック51のLED発光部54から景品40の下面へ再び投光される。
景品40の上面に投光された光は、当該上面で上向きに反射する反射光となり、上側識別ブロック50の2つのカラーセンサ55のそれぞれに受光され、当該2つのカラーセンサ55は、LED発光部54によって投光された景品40の上面の色を、別々の角度から読み取る。
景品40の下面に投光された光は、当該下面で下向きに反射する反射光となり、下側識別ブロック51の2つのカラーセンサ55のそれぞれに受光され、当該2つのカラーセンサ55は、LED発光部54によって投光された景品40の下面の色を、別々の角度から読み取る。
図6の場合、景品40の上面が表面40Aであり、表面40Aの右端部にホログラム44が位置しているので、景品40の上面側に位置する上側識別ブロック50の読取部52が、第2停止位置の景品40からホログラム44を読み取ることができる。この際、上側識別ブロック50の2つのカラーセンサ55は、ホログラム44の色を別々の角度から読み取る。
ホログラム44は、前述したように見方によって色が変わる。よって、今回のように上側識別ブロック50の2つのカラーセンサ55がホログラム44の色を別々の角度から読み取る場合、たとえば、カラーセンサ55Aがホログラム44から赤色を読み取るのに対し、カラーセンサ55Bがホログラム44から緑色を読み取る。各カラーセンサ55がホログラム44から読み取った色は、制御部15に送信される。制御部15は、識別部6(上側識別ブロック50または下側識別ブロック51)の2つカラーセンサ55のそれぞれが読み取ったホログラム44の色の違い(厳密には、ホログラム44からの反射光における色彩RGBデータの違い)から、搬送路32上の景品40におけるホログラム44の真偽(換言すれば、景品40自体の真偽)を判別(つまり識別)する。具体的に、上側識別ブロック50または下側識別ブロック51において、カラーセンサ55Aがホログラム44からの赤色を読み取ったのに対し、カラーセンサ55Bがホログラム44からの緑色を読み取ったのであれば、読取部52は景品40から本物のホログラム44を読み取れたことになり、制御部15は、当該ホログラム44を本物と判別する。逆に、カラーセンサ55Aおよびカラーセンサ55Bがホログラム44からの同じ色を読み取ったり、カラーセンサ55Aがホログラム44からの赤色以外の色を読み取ったり、カラーセンサ55Bがホログラム44からの緑色以外の色を読み取ったりすると、読取部52は景品40から本物のホログラム44を読み取れたことにならず、制御部15は、ホログラム44を偽物と判別する。
なお、図6の場合では、上側識別ブロック50の読取部52だけが景品40からホログラム44を読み取れることにより、制御部15は、ホログラム44(景品40)の真偽の判別だけでなく、当該景品40の表裏の向きを把握することもできる。つまり、上下一対の読取部52(上側識別ブロック50の読取部52および下側識別ブロック51の読取部52)のどちらが搬送路32上の景品40からホログラム44を読み取ったかに応じて、制御部15は、当該景品40の表裏を判別することができる。そのため、景品40の表裏を反転させる機構が景品読取機1に設けられていれば、識別を終えた景品40を、その表裏を揃えて収納庫71に収納することができる。
以上のようにいずれかの読取部52が第2停止位置の景品40からホログラム44を読み取ることができた場合、制御部15は、ベルト22の周回移動を再開する。そして、景品40のICタグ43が搬送方向Xにおいて下側識別ブロック51のICリーダライタ57とほぼ同じ位置まで到達すると、制御部15は、ベルト22の周回移動を再度一時停止させる。これにより、景品40は、第2停止位置よりも搬送方向Xにおいて少し下流側へずれた位置で停止する。このときの搬送方向Xにおける景品40の位置を、第3停止位置ということにする。このときも、景品40の搬送方向Xにおける両側に位置する(ベルト22の)突起35のおかげで、景品40は、行き過ぎずに第3停止位置で速やかに停止する。
なお、どちらかの読取部52が第1停止位置の景品40からホログラム44を読み取ることができた場合には、制御部15は、ベルト22の周回移動を再開した後、景品40を第2停止位置で停止させることなくベルト22の周回移動を継続し、景品40が第3停止位置にくると、ベルト22の周回移動を一時停止させる。
ICリーダライタ57は、第3停止位置で停止している景品40のICタグ43に記憶された情報(特に、景品40の金種の情報)を読み取ることができる。この情報は、制御部15(図2参照)に送られるので、制御部15は、この情報に基づいて、当該景品40の金種を判別する。
そして、制御部15は、以上のように第1停止位置または第2停止位置で景品40のホログラム44を本物と判別し、かつ、ICリーダライタ57が第3停止位置の当該景品40のICタグ43から読み取った情報に基づいて当該景品40の金種を判別した場合のみ、当該景品40を本物(正常景品)と判別する。逆に、ホログラム44を本物と判別できなかったり、金種を判別できなかったりした景品40については、制御部15は、当該景品40を偽物(リジェクト景品)と判別する。ちなみに、制御部15は、第1停止位置または第2停止位置で景品40のホログラム44を本物と判別できなければ、金種の判別を問わずに、当該景品40を偽物と判別してもよい。いずれにせよ、制御部15は、上下の読取部52のいずれかが搬送路32上の景品40から本物のホログラム44を読み取れたか否かによって当該景品40の真偽を自動判別(自動識別)する。よって、景品読取機1では、ホログラム44を用いて景品40のセキュリティ向上を図ることができる。特に、ホログラム44が色彩可変ホログラムであるので、各カラーセンサ55が読み取ったホログラム44の色が、それぞれに違うので、制御部15は、複数のカラーセンサ55のそれぞれが読み取ったホログラム44の色の違いから、景品40の真偽を正確に判別することができる。
なお、制御部15は、景品40の真偽を1枚ずつ判別することによって、正常景品40およびリジェクト景品40のそれぞれを計数することができる。さらに、制御部15は、正常景品40については、金種毎に計数することもできる。
また、繰り出されて搬送される景品40が、前述したように第1〜第3停止位置で停止することから、制御部15は、景品40が繰り出し途中および/または搬送途中にある場合において、ベルト22の周回移動を停止させている。このようにベルト22の周回移動を一旦停止して、制御部15が、静止状態の(移動中でない)景品40を識別部6で識別するようにすれば、景品40の識別精度の向上を図ることもできる。
ここで、制御部15は、必要に応じて、ベルト22の周回移動を停止させるだけでなく、ベルト22の周回方向を逆転させてもよい。また、制御部15は、繰出部11における景品40の繰り出し不良および/または制御部15(識別部6)による景品40の識別不良が発生した場合に、ベルト22の周回移動を停止したり、ベルト22の周回方向を逆転させたりしてもよい。これにより、たとえば、繰り出し不良(セット部28と搬送路32とのつなぎ目での景品40のジャム等)の発生時には、ベルト22の周回移動を停止させて搬送途中の景品40を取出し、繰出部11にセットし直すことができる。一方、識別不良(識別部6が景品40から必要な情報を読み取れないこと)の発生時には、ベルト22の周回方向を逆転させることで、1つ前の景品40を搬送していた突起35により、識別不良があった景品40を制御部15の識別領域(第1〜第3停止位置のいずれか)まで戻して再識別することができる。よって、不具合発生時において使い勝手の向上を図ることができる。
そして、以上のように第3停止位置における景品40の真偽の判別(金種の判別)が完了すると、制御部15は、ベルト22の周回移動を再開する。その結果、真偽の判別を受けた景品40は、前述したように、回転軸21Aにおけるベルト22の曲り角Cまで到達すると、ベルト22の突起35(景品40に上流側から引っ掛かっている突起35)によって左側へ押し出されることによって、左側にある収納部8の収納庫71に投げ入れられる。
以上の説明では、ホログラム44が1種類だけ存在し、どの金種の景品40であっても、カラーセンサ55Aが当該ホログラム44から赤色を読み取って、カラーセンサ55Bが当該ホログラム44から緑色を読み取ったのであれば、ホログラム44を本物と判別するようになっている。これに対し、ホログラム44の種類が、景品40の金種に応じて複数存在してもよい。
たとえば、図9のテーブル60に示すように、カラーセンサ55A(図9では、単に「カラーセンサA」としている。図10も同様)によって赤色が読み取られて、カラーセンサ55B(図9では、単に「カラーセンサB」としている。図10も同様)によって緑色が読み取られるホログラム44が付いた景品40を、5000円の金種の景品40としてもよい。また、カラーセンサ55Aによって黄色が読み取られてカラーセンサ55Bによって青色が読み取られるホログラム44が付いた景品40を、2000円の金種の景品40としてもよい。また、カラーセンサ55Aによって緑色が読み取られてカラーセンサ55Bによって青色が読み取られるホログラム44が付いた景品40を、1000円の金種の景品40としてもよい。また、カラーセンサ55Aによって青色が読み取られてカラーセンサ55Bによって黒色が読み取られるホログラム44が付いた景品40を、200円の金種の景品40としてもよい。
このようにどの金種の景品40のホログラム44においてカラーセンサ55Aが何色を読み取ってカラーセンサ55Bが何色を読み取るかは、テーブル60にまとめられていて、このテーブル60は、記憶部16(図2参照)に記憶されている。制御部15は、景品40のホログラム44からカラーセンサ55Aが読み取った色と、カラーセンサ55Bが読み取った色とに基づいて、このテーブル60から、当該景品40の真偽と金種とを判別する。たとえば、図9のテーブル60の場合には、景品40のホログラム44からカラーセンサ55Aが読み取った色が赤色であり、カラーセンサ55Bが読み取った色が緑色であれば、制御部15は、この景品40が、5000円の金種についての本物の景品40(正常景品40)であると判別する。このように読取部52のカラーセンサ55によるホログラム44の読取結果によって制御部15が景品40の金種を判別すれば、ICタグ43がなくても、景品40の金種判別が可能となる。つまり、景品読取機1では、景品40の金種に応じて複数種類設けられたホログラム44によって、景品40の真偽を判別するだけでなく、景品40の金種を判別することもできる。
また、前述したように景品40の外面(ホログラム44以外の部分)の色は、金種毎に異なっている(200円の金種:緑色、1000円の金種:青色、2000円の金種:黄色、5000円の金種:赤色)。そして、上側識別ブロック50および下側識別ブロック51のそれぞれにおいて、カラーセンサ55Aおよびカラーセンサ55Bが景品40の外面から読み取る色は、図10に示すように、金種毎にテーブル61にまとめられていて、このテーブル61は、記憶部16(図2参照)に記憶されている。制御部15は、カラーセンサ55Aおよびカラーセンサ55Bが景品40の外面から同じ色を読み取った場合に、テーブル61を参照して、この色から、当該景品40の金種を判別することもできる。たとえば、図10の場合には、カラーセンサ55Aおよびカラーセンサ55Bのそれぞれが景品40の外面から読み取った色がいずれも赤色であれば、制御部15は、この景品40が、5000円の金種の景品40であると判別する。なお、景品40の真偽は、前述したように1種類(景品40の金種を問わず共通)のホログラム44からカラーセンサ55Aおよびカラーセンサ55Bが読み取る色によって判別される。
ただし、景品40では、表面40Aおよび裏面40Bのどちらか一方の色が単色であって他方に模様等が入っていることがある。その場合には、ホログラム44の位置に基づいて表面40Aおよび裏面40Bのどちらか一方(単色である外面)を先立って把握しておいてから、当該一方から読み取った色によって、当該景品40の金種を判別するとよい。
以上で説明した識別部6では、各読取部52を構成するカラーセンサ55の数は、2つに限らず、3つ以上であってもよく、その場合、それぞれのカラーセンサ55は、それぞれに異なる角度でホログラム44の色を読み取る。そうすれば、ホログラム44の識別をさらに高精度で行うことができる。
また、景品40に設けたICタグ43から情報を読み取る構成の代わりに、景品40に設けたバーコード(図示せず)を、識別部6(この場合、バーコードリーダを備える)で読み取る構成を用いることができる。もちろん、ICタグ43とバーコードとを併用しても構わない。
また、以上で説明した識別部6は、今回の景品読取機1に限らず、ICタグ43やホログラム44等の判別部が内蔵された媒体を識別する装置(遊技施設で遊技客に景品40を払い出す景品払出機等)にも適用できる。たとえば、今回の景品読取機1に、収納部8から景品40を払い出す機能を設ければ、景品読取機1は、景品払出機にもなる。
次に、識別部6による識別を受けた景品40の収納先となる収納部8について詳説する。
図11は、景品読取機1の収納部8を抜き出して示した斜視図であって、ステージ76がリジェクト景品抜取位置にある状態を示している。図12は、ステージ76が正常景品集積位置にある状態を示している。図11および図12の姿勢は、図1の景品読取機1の姿勢と同じである。
図11に示す収納部8は、図1における外側の化粧カバー70が取り除かれた状態で示されている。収納部8は、前述した収納庫71と、駆動モータ72(間隔調整手段、切替手段)とを主に含んでいる。
収納庫71は、搬送路32を通過した景品40を収納するものであり、1台の景品読取機1において、1つだけ設けられている。よって、景品読取機1の小型化を図ることができる。
収納庫71は、縦長の中空体であり、左壁73と、右壁74と、後壁75と、ステージ76とを含んでいる。
左壁73および右壁74は、ともに左右方向に薄く上下に長い長方形の板状であって、左右に間隔を隔てて対向配置されている。右壁74は、収納庫71において搬送部5に対して左側から隣接する部分であって、右壁74において搬送路32と上下方向で一致する位置には、貫通孔74Aが形成されている。貫通孔74Aは、搬送路32を通過した景品40を余裕をもって通過させる大きさを有していて、右壁47の上下方向略中央に位置している。後壁75は、前後方向に薄く上下に長い長方形の板状であって、左壁73および右壁74の後端縁間に架設されている。後壁75の右側には、後壁75の上下方向におけるほぼ全域に亘って上下に延びるガイド溝75Aが形成されている。ガイド溝75Aは、後壁75を厚さ方向(前後方向)に貫通している。左壁73と右壁74と後壁75とによって囲まれた縦長直方体状の空間は、収納庫71の内部空間77である。内部空間77は、右壁74の前端縁と後壁75の前端縁との間から、前方(景品読取機1の正面)へ開放(露出)されている。また、内部空間77は、右壁74の貫通孔74Aを介して搬送路32に連通している(図6参照)。
ステージ76は、上下に薄い板状であり、平面視において内部空間77内にちょうど収まる略矩形状をなしている。ステージ76は、複数(ここでは2つ)設けられている。これらのステージ76は、上下に間隔を隔てた状態で内部空間77内に収容されている。2つのステージ76のうち、下側のステージ76を下側ステージ76Aといい、上側のステージ76を上側ステージ76Bということにする。内部空間77(厳密には、上側ステージ76Bよりも上側の領域)は、下側ステージ76Aおよび上側ステージ76Bによって上下2つの収納エリア79に区切られている。具体的には、2つの収納エリア79のうち、一方は、下側ステージ76Aと上側ステージ76Bとの間の(相対的に下側に位置する)下側収納エリア79Aであり、他方は、上側ステージ76B(下側収納エリア79A)よりも上側に位置する上側収納エリア79Bである。搬送路32における景品40の搬送方向Xは、前述したように水平方向であることから(図6参照)、上下2つの収納エリア79は、当該搬送方向Xに対する交差方向(厳密には直交方向)である上下方向に内部空間77をステージ76で区切ることによって構成されていて、上下方向に並んで隣接配置されている。そのため、収納エリア79を搬送方向X(幅方向)に並べて配置する場合に比べて、当該搬送方向Xにおける景品読取機1の小型化を図ることができる。また、収納エリア79およびステージ76が、それぞれ2つ設けられていることから、収納エリア79およびステージ76が同数設けられていることが分かる。
また、各ステージ76の後端縁の右端部には、ガイド溝75Aに挿通される挿通部78が設けられている。ここで、景品読取機1では、後壁75の後面に、前述した駆動モータ72と、変換機構80(間隔調整手段、切替手段)とが設けられている。駆動モータ72は、電力を受けて駆動されることによって、回転力を発生させる。変換機構80は、上下に延びる周回軌跡に沿って周回移動するベルト81を含んでいる。ベルト81は、駆動モータ72の出力軸に連結されていて、駆動モータ72の回転力を受けて周回移動する。ベルト81には、各ステージ76の挿通部78が連結されている。そのため、ベルト81の周回移動に応じて、両方のステージ76が、隣り合うステージ76の上下の間隔を維持した状態(つまり、一体となった状態)で、上昇したり、下降したりする。つまり、変換機構80は、駆動モータ72が発生させた回転を、両方のステージ76の上下移動に変換する機構である。駆動モータ72の駆動は、制御部15(図2参照)によって制御される。具体的には、駆動モータ72は、ステッピングモータであり、制御部15は、駆動モータ72のステップ角等の制御を行うことで、ベルト81の周回移動量(ステージ76の上下の移動量)を制御する。
ここで、図11に示すように下側ステージ76Aが内部空間77のほぼ最下位(厳密には、景品40の数枚分の厚みだけ最下位から上方の位置)にあって上側ステージ76Bが内部空間77の上下方向略中央にあるとき、両方のステージ76の上下方向の位置を「リジェクト景品抜取位置」と呼ぶことにする。
図6を参照して、リジェクト景品抜取位置にある両方のステージ76のうち、上側ステージ76Bの上面が、右壁74の貫通孔74Aを介して搬送路32の搬送面32Aと略面一になり、搬送面32Aに対して僅かな隙間を隔てて左から連続している。このとき、収納庫71の上側ステージ76Bの上面と、搬送路32の搬送面32Aと、繰出部11のセット部28とが、水平方向に延びる同一直線Yに沿って配置されている。ただし、厳密には、若干のずれがあってもよいので、上側ステージ76Bの上面と、搬送路32の搬送面32Aと、繰出部11のセット部28とは、同一直線Yにほぼ沿うように配置されていればよい。このようにすれば、繰出部11から収納庫71までの景品40の移動距離をほぼ最短にすることができるので、景品読取機1の小型化を一層図ることができる。
そして、図11に示すように各ステージ76がリジェクト景品抜取位置にある状態で駆動モータ72を駆動させると、両方のステージ76が内部空間77内で上昇する。図12に示すように上限まで上昇したときの両方のステージ76の上下方向の位置を「正常景品集積位置」と呼ぶことにする。正常景品集積位置にある下側ステージ76Aは、内部空間77の上下方向略中央にあり、正常景品集積位置にある上側ステージ76Bは、内部空間77のほぼ最上位にある。ただし、このときの上側収納エリア79Bには、数枚分の景品40を収容できる程度の余裕がある。
図6を参照して、正常景品集積位置にある両方のステージ76のうち、下側ステージ76Aの上面が、右壁74の貫通孔74Aを介して搬送路32の搬送面32Aと略面一になり、搬送面32Aに対して僅かな隙間を隔てて左から連続している。このとき、リジェクト景品抜取位置の場合と同様に、収納庫71の下側ステージ76Aの上面と、搬送路32の搬送面32Aと、繰出部11のセット部28とが、水平方向に延びる同一直線Yに(ほぼ)沿って配置されている。そのため、繰出部11から収納庫71までの景品40の移動距離をほぼ最短にすることができるので、景品読取機1の小型化を一層図ることができる。
図12に示すように各ステージ76が正常景品集積位置にある状態で制御部15が駆動モータ72を逆駆動させると、図11に示すように、両方のステージ76がリジェクト景品抜取位置まで下降する。なお、待機状態(ホームポジション)のステージ76は、リジェクト景品抜取位置にある。
識別部6での識別の結果、本物と判別された景品40(正常景品40)の収納先は、下側収納エリア79Aである。識別部6での識別の結果、偽物と判別されてリジェクトされる景品40(リジェクト景品40)の収納先は、上側収納エリア79Bである。景品読取機1のセット部28にセットされる景品40では、ほとんどが正常景品40であることから、正常景品40は、多数派であり、リジェクト景品40は、少数派である。
制御部15は、駆動モータ72および変換機構80でステージ76を上下させることによって、2つの収納エリア79のうち、各景品40(正常景品40およびリジェクト景品40のそれぞれ)の収納先となる収納エリア79を切り替えることができる。
具体的には、制御部15は、識別部6での景品40(第3停止位置にある)の識別に応じて、当該景品40を本物と判別した場合、前述したようにベルト22の周回移動を再開するのに前後して、ステージ76をリジェクト景品抜取位置から正常景品集積位置(図12参照)まで上昇させる。すると、下側収納エリア79Aの底をなす下側ステージ76Aの上面が、搬送路32の搬送面32Aとつながるので(図6参照)、周回移動が再開されたベルト22の突起35によって、当該景品40が左側へ押されて下側収納エリア79Aへ投げ入れされ、下側ステージ76Aの上面に載置される。これにより、下側収納エリア79Aへの正常景品40の収納が達成される。
ちなみに、すでに下側収納エリア79Aに正常景品40が収納された状態で、後続の正常景品40を下側収納エリア79Aに収納する場合がある。この場合には、制御部15は、駆動モータ72を制御して、下側収納エリア79Aに既に収納された正常景品40のうち最上位の正常景品40の上面が搬送面32Aと略面一になるまで、ステージ76を景品40の1枚の厚みだけ下降させる。この状態でベルト22の周回移動が再開されると、ベルト22の突起35によって、後続の正常景品40が左側へ押されて下側収納エリア79Aへ投げ入れされ、下側ステージ76Aにおける最上位の正常景品40に対して上から積層される。これにより、下側収納エリア79Aへの後続の正常景品40の収納が達成される。後続の正常景品40の収納に先立って、下側収納エリア79Aに既に収納された最上位の正常景品40の上面が搬送面32Aと略面一になっていることから、最上位の正常景品40に対する後続の正常景品40の落下距離を小さく抑えることができるので、最上位の正常景品40に対して後続の正常景品40をきれいに積層することができる。
以上のように、既に下側収納エリア79Aに正常景品40が収納された状態で、後続の正常景品40を下側収納エリア79Aに収納する場合には、両方のステージ76が元の正常景品集積位置から徐々に下がっていく。下側収納エリア79Aには、最大で21枚の正常景品40を上下に積層した状態で収納することができる。
一方、制御部15は、識別部6での景品40(第3停止位置にある)の識別に応じて、当該景品40を偽物と判別した場合、前述したようにベルト22の周回移動を再開するのに前後して、ステージ76をリジェクト景品抜取位置(図11参照)まで下降させる。ちなみに、既にステージ76がリジェクト景品抜取位置にあれば、制御部15は、ステージ76を移動させない。ステージ76がリジェクト景品抜取位置にある状態では、上側収納エリア79Bの底をなす上側ステージ76Bの上面が、搬送路32の搬送面32Aとつながっているので(図6参照)、周回移動が再開されたベルト22の突起35によって、当該景品40が左側へ押されて上側収納エリア79Bへ投げ入れされ、上側ステージ76Bの上面に載置される。これにより、上側収納エリア79Bへのリジェクト景品40の収納が達成される。
ちなみに、すでに上側収納エリア79Bにリジェクト景品40が収納された状態で、後続のリジェクト景品40を上側収納エリア79Bに収納する場合がある。この場合には、正常景品40について説明したのと同様に、制御部15は、駆動モータ72を制御して、上側収納エリア79Bに既に収納された最上位のリジェクト景品40の上面が搬送面32Aと略面一になるまで、ステージ76を若干(景品40の一枚の厚み分)下降させる。この状態でベルト22の周回移動が再開されると、ベルト22の突起35によって、後続のリジェクト景品40が左側へ押されて上側収納エリア79Bへ投げ入れされ、上側ステージ76Bにおける最上位のリジェクト景品40に対して上から積層される。これにより、上側収納エリア79Bへの後続のリジェクト景品40の収納が達成される。よって、すでに上側収納エリア79Bにリジェクト景品40が収納された状態で、後続のリジェクト景品40を上側収納エリア79Bに収納する場合には、両方のステージ76が元のリジェクト景品抜取位置から徐々に下がっていく。上側収納エリア79Bには、最大で3枚のリジェクト景品40を積層状態で収納することができる。なお、各ステージ76がリジェクト景品抜取位置にあるとき、前述したように下側ステージ76Aが内部空間77の最下位から景品40の数枚分(前述した3枚分)の厚みだけ上方の位置ある。つまり、リジェクト景品抜取位置の下側ステージ76Aは、景品40の数枚分の厚みだけさらに下降できる。よって、両方のステージ76(特に下側ステージ76A)が元のリジェクト景品抜取位置から下がることで、上側収納エリア79Bに3枚のリジェクト景品40を確実に収納できる。
また、制御部15は、ある景品40を本物と判別した後に、次の景品40を偽物と判別すると、または、次の景品40の識別が不要であると判断すると、先行の正常景品40が下側収納エリア79Aに収納されたことに応じて、両方のステージ76を今までの正常景品集積位置からリジェクト景品抜取位置へと切り替える。これにより、後続のリジェクト景品40は、上側収納エリア79Bに収納される。このリジェクト景品40に続いて、制御部15が次の景品40を本物と判別すると、制御部15は、両方のステージ76を今までのリジェクト景品抜取位置から正常景品集積位置へと切り替える。これにより、正常景品40およびリジェクト景品40のそれぞれを、該当する収納エリア79に振り分けることができる。
そして、セット部28にセットされた全ての景品40が各収納エリア79に振り分けらえると、制御部15は、ステージ67をリジェクト景品抜取位置まで戻す。その後、各収納エリア79の景品40は、係員によって回収される。各収納エリア79からの景品40の回収を終えた係員が、停止スイッチ10(図1参照)を押下すると、景品読取機1では、セット部28にセットされた景品40の繰出、判別、振分および収納という一連の処理が完了したことになる。なお、制御部15は、先ほどまで下側収納エリア79Aに収納されていた正常景品40の金種毎の枚数(計数結果)や買取額といった情報(リジェクト景品が存在する場合については、その旨も)を表示部7(図1参照)に表示させたり、当該換金額分の出金を行うように(前述した)出金機に対して出金指示を出したりしてもよい。また、リジェクト景品を収納する収納エリア79が満杯(3枚)になった場合、景品読取機1が自動停止するようにしてもよい。この場合、想定以上のリジェクト景品が発生したのであるから、再度景品40の読み取りを行うために景品読取機1を止めるのである。
以上のように、景品読取機1では、収納庫71を、正常景品40用の下側収納エリア79Aと、リジェクト景品40用の上側収納エリア79Bとによる上下2段構成としている。これにより、景品読取機1全体の幅方向寸法(ワイド寸法)を小さくすることができる。そして、景品読取機1では、真偽の判別を受けて搬送路32を通過した景品40を、収納エリア79毎(下側収納エリア79Aまたは上側収納エリア79B)に振り分けて収納するようにしている。各収納エリア79への景品40の振り分けは、ステージ76の上下移動だけで達成できる。すなわち、各収納エリア79と搬送路32との相対位置を変化させるだけのシンプルな構成で、各収納エリア79と搬送路32とを選択的に接続させて、(搬送路32を通過した)景品40を収納エリア79毎に振り分けて収納できる。このように各収納エリア79と搬送路32との相対位置を変化させるだけで景品40を収納エリア79毎に振り分けて収納できることから、各収納エリア79へ景品40を振り分ける構成の簡略化を図ることができるので、景品読取機1ではコスト低下を図ることができる。
さらに、下側収納エリア79Aと上側収納エリア79Bとを近接配置しているので、各収納エリア79への景品40の振分のためのステージ76の上下の移動距離を短く抑えることができる。よって、各収納エリア79へ景品40を迅速に振り分けることができる。
また、収納庫71では、下側収納エリア79Aに多数派の正常景品40を収納し、上側収納エリア79Bに少数派のリジェクト景品40を収納している。この場合、逆の構成(上側収納エリア79Bに多数派の景品40を収納し、下側収納エリア79Aに少数派の景品40を収納する頭でっかちな構成)に比べて、収納庫71の内部空間77を上下方向において有効利用できるので、収納庫71の上下方向の寸法を小さく抑えることができる。よって、景品読取機1の小型化を一層図ることができる。
また、制御部15は、前述した駆動モータ23(図3参照)の駆動を制御することによって、ベルト22の周回速度を調整できる。ベルト22の周回速度は、搬送路32における景品40の搬送速度に等しい。この場合、制御部15は、搬送路32を景品40が通過するまでに収納エリア79の切り替えが完了するように、搬送路32における景品40の搬送速度を調整することができる。具体的には、搬送路32における景品40の位置を検知するセンサ(図示せず)を設けておく。そして、このセンサの検知結果に応じて、制御部15は、当該景品40が搬送路32を通過して収納庫71の貫通孔74Aに差し掛かるタイミング(「通過タイミング」ということにする)と、当該景品40の収納先となる収納エリア79が搬送路32とつながるタイミング(「切替タイミング」ということにする)とを予測して比較する。切替タイミングが通過タイミングより遅れることが判明した場合、制御部15は、ベルト22の周回移動を停止させたり、ベルト22の周回速度を遅らせたりする。
このように搬送路32における景品40の搬送速度が調整されることによって、搬送路32を景品40が通過するまでに収納エリア79の切り替えを必ず完了させることができるので、搬送路32を通過した景品40を、収納先として切り替えられた収納エリア79に確実に振り分けることができる。
図13は、変形例に係る収納部8の正面図である。
なお、図11および図12の収納庫71では、ステージ76が2つ設けられていて、収納庫71の内部空間77が2つの収納エリア79に区切られていたが、図13に示すように、ステージ76の数と収納エリア79の数は、任意に変更可能である。前述したようにステージ76は収納エリア79の底をなすので、ステージ76と収納エリア79とは、前述したように同数設けられている。また、ステージ76および収納エリア79のそれぞれは、複数設けられている。図13では、4つのステージ76が上下に間隔を隔てて設けられていて、4つの収納エリア79が上下に並んで設けられている。この場合、最上位の収納エリア79には、リジェクト景品40を収納し、下3つの収納エリア79には、正常景品40を金種毎に分けて収納してもよい。
また、前述した変換機構80がステージ76毎に設けられていて、各ステージ76が単独で上下に移動することができてもよい。この場合、変換機構80全体(駆動モータ72や制御部15も含む)は、上下方向(前述した搬送方向Xに対する交差方向)に隣り合うステージ76の間隔を調整する間隔調整手段として機能する。ここでの間隔調整手段によって、景品読取機1の運用として、各収納エリア79が収納予定枚数の景品40をちょうど収納できる広さとなるように、隣り合うステージ76の間隔(つまり、各収納エリア79の上下の寸法であり、各収納エリア79における景品40の収納可能枚数でもある)をソフト設定によって任意に調整できる。このように各収納エリア79の広さを景品40の収納予定枚数に応じて調整することによって、収納庫71の内部空間77を有効利用できるので、収納庫71の交差(上下)方向の寸法を小さく抑えることができる。よって、景品読取機1の小型化を一層図ることができる。
図14〜図17は、景品読取機1の表示部7における表示内容の一例を示す図である。
次に、図14〜図17を参照して、表示部7について詳説する。表示部7は、前述したように本体2の正面における右側約3分の2の領域の略下半分を占めていることから、比較的大きい(図1参照)。また、表示部7は、正面視において、搬送部5(繰出部11および搬送路32)および収納部8に囲まれている(図1参照)。よって、表示部7では、その大きさおよびレイアウトを有効利用した表示が可能である。
たとえば、リジェクト景品40が収納される上側収納エリア79B(ここでは、「リジェクト収納庫」ということにする)に収納可能上限枚数(前述した3枚)までリジェクト景品40が収納されたか否かを検知するセンサ(「リジェクト収納庫残留検知センサ」といい、図示せず)が設けられている。なお、同様のセンサが、下側収納エリア79Aにおける正常景品40の枚数を検知するために別途設けられていてもよい。
リジェクト収納庫に上限までリジェクト景品40が収納されると、リジェクト収納庫残留検知センサが異常状態になる。これに応じて、制御部15は、係員にエラー解除(リジェクト景品40の抜き取り)を促すためのガイダンスとして、図14に示すように、表示部7に、矢印85と、イラスト86と、メッセージ87とを表示する。矢印85は、表示部7の左上の角に位置する大きな黒塗りの矢印である。矢印85は、対象となるリジェクト収納庫の現物を指している。そのため、係員は、矢印85が指すリジェクト収納庫の現物に目を向けて、実際にリジェクト収納庫に上限までリジェクト景品40が収納されていることを認識できる。
また、イラスト86は、景品読取機1を模式的に示したものであり、イラスト86では、対象となるリジェクト収納庫に該当する箇所が、図14ではドットで示されているように強調表示されている。また、イラスト86には、リジェクト収納庫に該当する箇所を指すミニ矢印88も表示されている。よって、係員は、イラスト86を見ることによっても、リジェクト収納庫に上限までリジェクト景品40が収納されていることを認識できる。なお、このイラスト86は、表示部7において矢印85(換言すれば、リジェクト収納庫の現物)に極力近い位置に表示されていると、係員に強く報知できる。
メッセージ87は、表示部7において、矢印85およびイラスト86以外の余った領域に表示されている。メッセージ87は、エラーの種類を示す見出し(図14では、「!リジェクト収納庫残留検知センサ異常」)や、係員へのエラー解除の方法(見出しの下の各文章)や、エラー解除に関連して係員に操作させるタッチキー89等を含んでいる。係員がエラー解除を完了させると、表示部7には、矢印85、イラスト86およびメッセージ87が表示されなくなる。
また、別の例として、景品読取機1の右下部分に異常が発生した場合には、制御部15は、係員にエラー解除を促すためのガイダンスとして、図15に示すように、表示部7に、矢印85と、イラスト86と、メッセージ87とを表示する。矢印85は、対象となる部分(景品読取機1の右下部分)の現物を指している。そのため、係員は、矢印85が指す景品読取機1の右下部分に異常が発生したことを実際に目視で確認できる。
また、イラスト86では、対象となる部分に該当する箇所が、図15では黒丸で示されているように強調表示されている。また、イラスト86には、当該部分に該当する箇所を指すミニ矢印88も表示されている。よって、係員は、イラスト86を見ることによっても、景品読取機1の右下部分に異常が発生したことを認識できる。なお、この場合においても、イラスト86は、表示部7において矢印85(景品読取機1の右下部分)に極力近い位置に表示されていることが好ましい。さらに、表示部7において、矢印85およびイラスト86以外の余った領域に表示されたメッセージ87は、エラーの種類を示す見出し(図15では、「!開始SW(スイッチ)異常」)や、係員へのエラー解除の方法(見出しの下の各文章)や、タッチキー89等を含んでいる。係員がエラー解除を完了させると、表示部7には、矢印85、イラスト86およびメッセージ87が表示されなくなる。
また、景品読取機1における通常の運用操作のガイダンスが、図16に示すように表示部7に表示されてもよい。
たとえば、収納庫71(ここでは、下側収納エリア79Aとする)に景品40が残ったままの状態で、係員によって追加の景品40がセット部28(図3参照)にセットされると、制御部15は、収納庫71からの景品40の抜き取りを促すために、図16に示すように、表示部7に、矢印85と、イラスト86と、メッセージ87とを表示する。矢印85は、下側収納エリア79Aの現物を指している。図16のイラスト86では、対象となる下側収納エリア79Aに該当する箇所が、ドットで強調表示されている。メッセージ87は、追加の景品40をセットする前に収納庫71から景品40の抜き取りを促す内容となっている。
また、リジェクト(詳しくはジャム)が発生した場合には、景品40の再識別(再計数)を促す旨のガイダンスが、図17に示すように表示部7に表示されてもよい。
リジェクトが発生すると、制御部15は、図17に示すように、表示部7に、矢印85と、イラスト86と、メッセージ87とを表示する。矢印85は、再識別の対象となる景品40が存在する部分(各収納エリア79およびセット部28)の現物を1つずつ指すように複数表示されている。図17のイラスト86では、再識別の対象となる景品40が存在する部分に該当する箇所が、ドットで強調表示されている。メッセージ87は、各収納エリア79およびセット部28から景品40を抜き取ってから再度セットし直すことを促す内容となっている。係員が景品40を抜き取ると、抜き取りが完了した部分から、当該部分を指す矢印85が表示部7から順次消えていく。そして、全ての矢印85が消えるのと同時に、表示部7からイラスト86とメッセージ87とが消える。
また、以上で説明した表示部7でのガイダンス表示に関し、表示態様は任意に変更可能である。たとえば、前述した矢印85を強調表示したいのであれば、矢印85を特大にし、かつ、目立つ色(たとえば赤色)で表示すればよい。また、緊急度がそれほど高くないレベル(たとえば警告レベル)であれば、矢印85を、赤色ほど目立たない色(たとえば黄色に近い色)で表示すれば、係員は、緊急度を矢印85の色によって把握できる。また、前述したような運用操作のガイダンス(つまり、通常のオペレーションの手伝いレベル)であれば、矢印85を、たとえば蛍光色の緑色で表示することによって、通常のガイドであることを係員に強調してもよい。このように矢印85の色を状況に応じて変更できる設定があってもよい。なお、必要に応じて、矢印85を点灯表示させる以外に、点滅表示させてもよい。また、矢印85の色を変える以外に、表示部7における背景色を変更しても構わない。
次に、景品40において、有価物42を本体41から取り出そうとする不正を防止できる構造について、図18〜図25を参照しながら説明する。
景品40は、前述した本体41、有価物42、ICタグ43およびホログラム44を含んでいる。なお、以下では、ホログラム44についての説明および図示(図18〜図25での図示)を省略する。
図18を参照して、本体41は、ケース90と、中板91と、蓋92とを含んでいる。
ケース90は、所定の厚み(景品40全体の厚みに相当する)を有する長方形の板状であって、厚さ方向における一方の側面には、凹部93が形成されている。凹部93は、第1凹部94と、第1凹部94の底面94Aからさらに窪む第2凹部95と、第2凹部95の底面95Aからさらに窪む第3凹部96とで構成されている。ケース90の厚み方向から見て、第1凹部94、第2凹部95および第3凹部96の輪郭は、ケース90の輪郭と相似する長方形状であって、この順番で徐々に小さくなっている。ケース90の厚み方向から見て、第1凹部94の底面94Aは、第2凹部95を取り囲む長方形の額縁形状であり、第2凹部95の底面95Aは、第3凹部96を取り囲む長方形の額縁形状であり、第3凹部96の底面96Aは、第2凹部95の底面95Aに取り囲まれる長方形状である。ケース90において凹部93が形成された側とは反対側の側面(図18における下面)が、景品40における前述した裏面40Bである。
中板91は、第2凹部95の深さとほぼ同じ厚さを有する長方形の板状であり、厚さ方向から見たときの中板91の輪郭は、第2凹部95の輪郭とほぼ一致している。中板91の中央位置(重心位置)には、有価物42をちょうど収容することができる大きさの貫通孔91Aが形成されている。
蓋92は、第1凹部94の深さとほぼ同じ厚さを有する長方形の板状であり、厚さ方向から見たときの蓋92の輪郭は、第1凹部94の輪郭とほぼ一致している。蓋92全体は、透明または半透明である。
そして、前述したICタグ43は、第3凹部96の深さとほぼ同じ厚さを有する長方形の板状であり、厚さ方向から見たときのICタグ43の輪郭は、第3凹部96の輪郭とほぼ一致している。図20および図21を参照して、ICタグ43は、本体97と、アンテナ部98と、ICチップ99とを含んでいる。
本体97は、ICタグ43の外郭をなす長方形の基板であって、その外周縁(長辺および短辺のそれぞれ)の全域には、複数のスリット100が等間隔で形成されている。各スリット100は、本体97の外周縁から内側へ向けて、本体97を厚さ方向に切り込んでいる。また、本体97の中央位置(重心位置)には、本体97を厚さ方向に切り込む2つのスリット101が形成されている。各スリット101は、略U字形状であり、一対のスリット101は、互いに離れる方向へ膨出するように配置されている。これらのスリット101は、互いにつながっていない。
なお、図20および図21のそれぞれにおける本体97の上面を、本体97の表面97Aといい、本体97の下面を、本体97の裏面97Bということにする。
アンテナ部98は、ICタグ43が景品読取機1のICリーダライタ57と通信するためのワイヤである。アンテナ部98は、本体97の表面97Aに設けられる表面側アンテナ部98A(図20における実線部分)と、本体97の裏面97Bに設けられる裏面側アンテナ部98B(図20における破線部分)とを主に含んでいる。
表面側アンテナ部98Aは、本体97の表面97Aにおいて外周縁(スリット100が形成された部分)よりも内側(本体97の中央位置側)に配置されていて、本体97の長辺および短辺に沿う螺旋状(コイル状)になっていて、本体97の中央位置(一対のスリット101に囲まれた部分)まで延びている。裏面側アンテナ部98Bは、表面側アンテナ部98Aにおいて本体97の外周縁側にある一端部98Cと、本体97の中央位置にある他端部98Dとをつなぐように延びている。
図21を参照して、本体97において一端部98Cおよび他端部98Dのそれぞれと一致する部分には、本体97を貫通する複数のスルーホール(ビアホール)102が形成されている。表面側アンテナ部98Aの一端部98Cと裏面側アンテナ部98Bとは、一端部98Cにおけるスルーホール102(厳密には、スルーホール102に充填された導電性材料)によって電気的に接続されている。また、表面側アンテナ部98Aの他端部98Dと裏面側アンテナ部98Bとは、他端部98Dにおけるスルーホール102(厳密には、スルーホール102に充填された導電性材料)によって電気的に接続されている。これにより、アンテナ部98では、表面側アンテナ部98Aと裏面側アンテナ部98Bとの通電性が確保されている。
ICチップ99は、ICタグ43において実際に情報を記憶する部分であり、アンテナ部98(ここでは、表面側アンテナ部98A)の途中に介在されている。
このような本体97の表面97Aおよび裏面97Bの全域は、強い粘着性を有する粘着材103によってコーティングされている。粘着材103は、表面97Aでは、表面97Aだけでなく、表面側アンテナ部98AおよびICチップ99も覆っていて、裏面97Bでは、裏面97Bだけでなく、裏面側アンテナ部98Bも覆っている。また、本体97の各スリット100は、表面97Aおよび裏面97Bの粘着材103も切り込んでおり、本体97の各スリット101は、表面97Aの粘着材103も切り込んでいる。
図18の姿勢を基準として、このようなICタグ43は、本体97の表面97Aが上を向いた状態で、ケース90の第3凹部96に嵌め込まれる。ICタグ43では、本体97の裏面97Bが、第3凹部96の底面96Aに、粘着材103(図21参照)や強力両面テープ(底面96Aに設けられている、図示せず)によって固定される。これにより、ICタグ43は、第3凹部96内において外れ不能に固定される。
次いで、中板91が、ケース90の第2凹部95に嵌め込まれる。中板91は、第2凹部95の底面95Aに対して、底面95Aに設けられた強力両面テープ(図示せず)によって固定される。これにより、中板91は、第2凹部95内において外れ不能に固定される。中板91が第2凹部95内で固定された状態では、中板91の中央位置にある貫通孔91Aと、ICタグ43の本体97の中央位置(一対のスリット101で囲まれた部分)とは、ケース90の厚さ方向から見て一致している。前述した有価物42は、中板91の貫通孔91Aに収容されつつ、本体97の表面97A(厳密には、表面97Aの粘着材103であり、図21参照)に固定されている。
最後に、蓋92が、ケース90の第1凹部94に嵌め込まれる。蓋92は、第1凹部94の底面94Aに対して、超音波溶着によって固定される。これにより、蓋92は、ケース90の外側から中板91および有価物42を覆った状態で、第1凹部94内において外れ不能に固定される。また、蓋92と中板91とは超音波溶着によって互いに固定される。
以上により、図19に示すように景品40が完成する。なお、図19における蓋92の上面は、景品40の前述した表面40Aとなっている。蓋92がケース90の凹部93を表面40A側から塞いでいるので、中板91、有価物42およびICタグ43は凹部93内で密封されている。
この景品40では、ICタグ43が、本体97においてスリット100および101(図18参照)という脆弱部を有することから、脆弱性を有するICタグ(脆弱性ICタグ)となっている。
図22(a)に示すようにケース90から、蓋92、中板91およびICタグ43を分離し、図22(b)に示すように中板91からICタグ43を剥がして有価物42を抜き取ろうとする不正行為が考えられる。この場合、有価物42を抜き取った後に、景品40を元の状態に戻して、有価物42のない景品40を換金してもらおうという不正の意図がある。
ただし、中板91からICタグ43を剥がそうとすると、ICタグ43は、図23(a)に示す元の状態(ICタグ43を剥がす前の状態)から、図23(b)に示すように、本体97がいずれかのスリット100を起点として破れてアンテナ部98(図20参照)が途中で破断してしまった状態になる。これでは、アンテナ部98が機能できないことから、ICタグ43が景品読取機1のICリーダライタ57と通信することは不可能である。よって、有価物42が抜き取られた後に元の状態に戻された景品40は、景品読取機1において偽物と判別される。
図22に示すように景品40の裏面40Bから有価物42を取ろうとする不正とは異なり、図24(a)に示すように蓋92において中板91の貫通孔91Aと重なる部分に穴104を開けて、図24(b)に示すように穴104を介して景品40の表面40Aから有価物42を取ろうとする不正も考えられる。この場合も、有価物42を抜き取った後に、景品40を元の状態に戻して、有価物42のない景品40を換金してもらおうという不正の意図がある。
ただし、図25(a)に示す元の状態(有価物42を抜き取る前の状態)のICタグ43から、当該ICタグ43の本体97の表面97Aに固定された有価物42を引き剥がそうとすると、図25(b)に示すように、本体97において有価物42が付いている部分(本体97の中央部分97C)が、スリット101を境界として本体97から分離し、有価物42と共に引き抜かれてしまう。これでは、本体97が中央位置で破れてアンテナ部98が途中で破断してしまった状態になる。この場合も、アンテナ部98が機能できないことから、ICタグ43が景品読取機1のICリーダライタ57と通信することは不可能である。よって、有価物42が抜き取られた後に元の状態に戻された景品40は、景品読取機1において偽物と判別される。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、この景品読取機1において景品40を繰り出して搬送し、収納する構成は、景品40以外の物品(カード等)を取り扱う装置にも適用可能である。
また、景品40において、ICタグ43のICチップの代わりに、二次元バーコードを用いてもよく、その場合は、二次元バーコードの読み取りによって金種判定を行う。
また、前述した実施形態において景品40を搬送する無端状の搬送体は、ベルト22であったが、ベルト22の代わりに、チェーンを用いることもできる。
また、複数の収納エリア79の並びは、上下でなく、前後であってもよい。また、景品40を搬送する向きや集積する向きは、適宜変更してもよい。
また、前述したように、制御部15は、読取部52の各カラーセンサ55が景品40のホログラム44から所定の異なる色を読み取れた場合(前述した実施形態では、カラーセンサ55Aが赤色を読み取り、かつ、カラーセンサ55Bが緑色を読み取った場合)に、読取部52が本物のホログラム44を読み取れたとする。そして、制御部15は、読取部52が景品40から(本物の)ホログラム44を読み取れたか否かによって当該景品40の真偽を判別するようになっている。これに代え、制御部15は、各カラーセンサ55がホログラム44から色(厳密には、異なる色)を読み取りさえすれば、読取部52がホログラム44を読み取れたと判断し、その後、当該色(つまり、読取部52の各カラーセンサ55が景品40から読み取ったホログラム44の情報)に基づいて、当該景品40の真偽を判別してもよい。たとえば、カラーセンサ55Aがホログラム44から青色を読み取り、カラーセンサ55Bが当該ホログラム44から黄色を読み取った場合には、制御部15は、読取部52が景品40からホログラム44をとりあえず読み取れたと判断する。その後、制御部15は、カラーセンサ55Aが読み取った青色が(本来読み取るべき)赤色でなく、カラーセンサ55Bが読み取った黄色が(本来読み取るべき)緑色でないことから、当該ホログラム44が付いた景品40を偽物と判別する。