以下には、図面を参照して、この発明の一実施形態に係る物品取扱装置1について具体的に説明する。物品取扱装置1で取り扱われる物品の一例として、以下では、パチンコ店等の遊技施設で遊技客に払い出された特殊賞品を挙げる。
特殊賞品とは、菓子や煙草といった一般賞品ではなく、所定の金銭価値を有する金等の有価物が内蔵された物品のことである。特殊賞品は、一般的に、1〜3mm程度の厚みを有する略長方形状をなす樹脂製のカードである。特殊賞品には、内蔵された有価物の価値に応じて、たとえば、200円、1000円、2000円、5000円といった金種毎に複数の種類が存在する。
このような物品を交換してくれる交換所という施設が、遊技施設とは別にあり、物品取扱装置1は、一例として、交換所内に設置されている。この場合における物品取扱装置1は、物品を繰り出して当該物品から所定の情報を読み取った後に当該物品を所定の振分先に振り分けて収納する物品読取装置である。物品取扱装置1の具体的な運用として、交換所の係員は、遊技客から受け取った物品を、物品取扱装置1にセットする。その後、物品取扱装置1の動作が開始されて、セットされた物品は、1枚ずつ物品取扱装置1内に取り込まれ、真偽および種類といった物品自身の属性についての判別を受けた後に、グループ毎にまとめられる。物品取扱装置1での判別結果、つまり物品取扱装置1にセットされた物品の内訳は、物品取扱装置1に対して通信可能に接続された出金機(図示せず)に出力され、出金機から、遊技客の物品の価値に応じた現金と当該物品とが交換される。以上が、交換所における物品と現金の交換に関する一連の流れである。なお、現金と交換された物品は、物品を遊技施設に納入する問屋によって買い取られる。
図1は、物品取扱装置1を正面側から見た斜視図である。なお、以下では、図1において紙面手前側に相当する正面側から見たときにおける物品取扱装置1の左右上下前後の方向を基準として、物品取扱装置1およびその構成部品の向きを特定する。ここで、左右方向と物品取扱装置1の幅方向とは同じであり、上下方向と垂直方向とは同じである。そして、物品取扱装置1の奥行き方向に相当する前後方向と、左右方向つまり幅方向とは、水平方向に含まれる。
図1を参照して、物品取扱装置1は、幅方向にやや長手の直方体形状である。物品取扱装置1の外郭をなす部分を本体2ということにすると、本体2では、右側約3分の2の領域に、操作部3と、プリンタ部4と、搬送部5と、読取部6と、表示部7とが設けられていて、左側約3分の1の領域に、収納部8が設けられている。
操作部3は、交換所の係員によって操作される部分であり、たとえば、本体2の正面における上下方向略中央に設けられている。操作部3は、物品取扱装置1の動作を開始させるために押下操作される開始スイッチ9と、物品取扱装置1の動作を停止させるために押下操作される停止スイッチ10とを含んでおり、開始スイッチ9と停止スイッチ10とは左右方向に並んで配置されている。プリンタ部4は、本体2の上面における幅方向略中央に設けられている。プリンタ部4は、物品取扱装置1での処理内容を、紙の伝票として本体2の上面の出力口2Aからジャーナル出力することができる。
搬送部5は、係員が遊技客から受け取った物品を1枚ずつ繰り出して物品取扱装置1内で搬送するための構成である。搬送部5に関し、本体2の正面右上のコーナー部分は、正面側および上側の両方から切り欠くように凹状にえぐられていて、この凹状部分および周辺部分は、物品が上下方向に積層した状態でセットされ、当該物品を本体2内に繰り出すための繰出部11となっている。なお、物品の積層方向である上下方向は、各物品の厚さ方向と一致している。読取部6は、搬送部5の繰出部11から繰り出された物品から、種類および真偽等を判別するための情報を読み取る部分である。
表示部7は、本体2の正面において、前述した右側約3分の2の領域の略下半分を占めていて、幅方向に長手の長方形状をなす液晶のタッチパネルである。表示部7には、物品取扱装置1における必要な情報が表示される。収納部8は、搬送部5での搬送を終えた物品が収納される収納庫12を有している。
図2は、物品取扱装置1の電気的な構成を示すブロック図である。次に、図2を参照しながら、物品取扱装置1の電気的な構成について説明する。物品取扱装置1は、判別手段の一例として物品取扱装置1の動作を制御する制御部15を含んでいる。制御部15は、CPUやROMやRAM等によって構成されている。物品取扱装置1において、制御部15には、前述した操作部3、プリンタ部4、搬送部5、読取部6、表示部7および収納部8のそれぞれと、記憶部16とが電気的に接続されている。記憶部16は、様々な情報を記憶している。以下では、搬送部5、読取部6および収納部8のそれぞれの詳細について、この順番で説明する。
図3は、搬送部5を抜き出して示した斜視図である。図3の姿勢は、図1の物品取扱装置1の姿勢と同じである。図3を参照して、搬送部5は、本体2に固定されたフレーム20と、前述した繰出部11と、回転軸21と、搬送手段の一例としてのベルト22と、駆動モータ23とを主に含んでいる。
フレーム20は、正面から見て、幅方向に長手で前後方向にやや薄いボックス状であり、その前面および下面の全域が開放されている。すなわち、フレーム20は、上壁20Aと、左壁20Bと、右壁20Cと、後壁20Dとを一体的に有している。上壁20Aは、幅方向に細長く上下方向に薄い板状をなしている。上壁20Aの前後方向寸法は、前述した物品における短手方向寸法よりもある程度大きい。左壁20Bは、幅方向に薄い板状をなしており、上壁20Aの左端から下側へ延びている。右壁20Cは、幅方向に薄い板状をなしており、上壁20Aの右端から下側へ延びている。後壁20Dは、前後方向に薄い板状であり、左壁20Bおよび右壁20Cの後端間に架設されているとともに、上壁20Aの後端に接続されている。
上壁20Aの幅方向略中央には、幅方向に薄く上側へ延びる第1縦壁24が接続されている。第1縦壁24の下端と、上壁20Aの上面との間には、物品1枚がちょうど通過できる程度の隙間25が形成されている。つまり、隙間25の上下方向寸法は、物品1枚の厚さより少し大きく、隙間25の前後方向寸法は、物品1枚の短手方向寸法より少し大きい。また、上壁20Aの後端の略右半分には、前後方向に薄く上側へ延びる第2縦壁26が接続されている。第1縦壁24の後端と第2縦壁26の左端とは、上下方向におけるほぼ全域に亘って接続されており、平面視で、第1縦壁24および第2縦壁26の全体が、略L字をなしている。上壁20Aの右端部には、ガイド部27が取り付けられている。ガイド部27は、中空のボックス状をなしていて、第1縦壁24に対して右側から対向配置されている。ガイド部27において第1縦壁24に対向する左側面をガイド面27Aということにすると、ガイド面27Aは、上側へ略垂直に延びた後に、第1縦壁24から離れるように右上側へ傾斜している。
上壁20Aの略右側部分、第1縦壁24、ガイド部27および第2縦壁26、ならびにこれらによって囲まれた部分が、前述した繰出部11を構成している。上壁20Aの上面において、第1縦壁24およびガイド部27によって幅方向から挟まれ、第2縦壁26によって後側から仕切られた部分は、繰出部11において物品が上下方向に積層した状態でセットされるセット部28である。セット部28では、物品の長手方向が物品取扱装置1の幅方向に沿うように、最大で30枚の物品がセットされる。ガイド部27において傾斜したガイド面27Aが物品をセット部28に導くので、セット部28に物品を円滑にセットできる。
セット部28では、セットされた物品の前側部分の真下に位置する部分に、幅方向全域に亘ってセット部28を切り欠く切り欠き29が形成されている。切り欠き29は、幅方向に延びる溝状である。ガイド部27のガイド面27Aの下端部において、切り欠き29と前後方向で同じ位置にある部分には、切り欠き30が形成されている。切り欠き30は、切り欠き29と連通しているとともに、ガイド部27の内外を連通させている。
上壁20Aの上面において、第1縦壁24よりも左側に位置する略左半分領域には、前後一対のガイドレール31が設けられている。各ガイドレール31は、当該略左半分領域の幅方向における全域に亘るように幅方向に細長く延びている。一対のガイドレール31のうち、前側のガイドレール31Aは、上壁20Aの上面の前端部に対して、物品1枚の厚さ分の隙間を隔てて上側から対向している。一対のガイドレール31のうち、後側のガイドレール31Bは、上壁20Aの上面の後端部に対して、物品1枚の厚さ分の隙間を隔てて上側から対向している。物品取扱装置1において、上壁20Aの上面の略左半分領域から一対のガイドレール31までの上下のスペースを搬送路32ということにする。搬送路32は、物品1枚の厚さとほぼ同じ厚さで幅方向に水平に延びる帯状空間である。上壁20Aにおいて搬送路32を下から区画する上面を、搬送面32Aということにする。搬送面32Aは、水平方向に沿って平坦であり、幅方向に延びている。
搬送路32は、前述した隙間25を介してセット部28に連通しており、セット部28から水平な状態で左側へ延びている。搬送路32は、セット部28にセットされた物品を、セット部28にセットされたときと同じ姿勢のまま、搬送面32Aに載置された状態で左側へ搬送することができる。物品の搬送方向Xは、物品の長手方向と一致する。搬送路32を搬送中の物品では、前後の端部の真上にガイドレール31が位置しているので、搬送路32において、物品は、浮き上がることなく搬送される。なお、セット部28の物品が各ガイドレール31に引っ掛かることなく円滑に搬送路32に受け渡されるように、各ガイドレール31の下端面の右端部には、右上側へ延びるガイド面31Cが形成されている。
上壁20Aにおいて平面視で一対のガイドレール31の間に位置する領域には、上壁20Aを上下方向に切り欠く切り欠き33が形成されている。上壁20Aの下側には、前述した読取部6が組み付けられていて、切り欠き33から搬送路32内に露出されている。
回転軸21は、前後方向に延びる軸状体であって、全部で4本設けられている。これらの回転軸21は、正面視で離散配置された状態で、フレーム20によって回転可能に支持されている。以下では、4つの回転軸21のそれぞれを、回転軸21A、回転軸21B、回転軸21Cおよび回転軸21Dというように区別することがある。回転軸21Aは、フレーム20における左上のコーナーに配置されている。回転軸21Aの後端部は、フレーム20の後壁20Dよりも後側へはみ出している。回転軸21Bは、フレーム20における左下のコーナーから少し右側の位置に配置されている。回転軸21Cは、フレーム20における右下のコーナーから少し上側の位置に配置されている。回転軸21Dは、フレーム20における右上のコーナーに配置されている。各回転軸21では、前後方向においてセット部28の切り欠き29と同じ位置に、プーリー34が一体回転可能に取り付けられている。プーリー34は、回転軸21に対して外嵌される円環であって、プーリー34の軸方向両端部には、周方向全域に亘って径方向外側へ張り出したフランジ34Aが一体的に設けられている。
図4は、ベルト22を抜き出して示した斜視図である。図4の姿勢は、図1および図3での物品取扱装置1の姿勢と同じである。図4も参照して、ベルト22は、無端状をなす環状ベルト(いわゆるエンドレスベルト)であり、ゴム等の弾性体で形成されている。ベルト22を、その周方向Rと直交する平坦面に沿って切断したときの断面は、物品取扱装置1の前後方向に沿って細長い長方形状をなしている。ベルト22の外周面22Aには、複数(ここでは7つ)の係合部35が、周方向Rに沿って一定の間隔で設けられている。各係合部35は、ベルト22の断面の長手方向に沿って細長い略直方体の突起であって、ベルト22に一体形成されている。各係合部35の長手方向寸法Lは、ベルト22の断面の長手方向寸法とほぼ同じである。各係合部35のベルト22の外周面22Aからの突出量Sは、図4で図示された物品40の1枚の厚さTとほぼ同じである。ベルト22において周方向Rに隣り合う2つの係合部35の間隔Pは、1つの物品40の長手方向寸法Qよりも数mm程度大きい。
ベルト22は、図3に示すように、フレーム20内において、4つの回転軸21のプーリー34に対して、所定のテンションがかかった状態で掛け回されている。ベルト22において各プーリー34に掛かった部分は、曲り角Cになっている。図3では、回転軸21AおよびBにおけるベルト22の曲り角Cが図示されている。
ベルト22は、回転軸21Aにおける曲り角Cではプーリー34の外周面に沿って湾曲し、その後、右下側へ延びて回転軸21Bのプーリー34に掛かっている。ベルト22は、回転軸21Bにおける曲り角Cではプーリー34の外周面に沿って湾曲し、その後、右上側へ延びて回転軸21Cのプーリー34に掛かっている。ベルト22は、回転軸21Cにおける曲り角C(図示せず)ではプーリー34の外周面に沿って湾曲し、その後、上側へ略垂直に延びて回転軸21Dのプーリー34に掛かっている。ベルト22は、回転軸21Dにおける曲り角C(図示せず)ではプーリー34の外周面に沿って湾曲し、その後、水平に沿って左側へ延びて回転軸21Aのプーリー34に掛かっている。
回転軸21Aにおけるベルト22の曲り角Cは、収納部8の収納庫12に右側から隣接して配置されている。ベルト22は、フレーム20の上壁20Aにおいて第1縦壁24よりも右側に位置する略右半分領域では、繰出部11におけるセット部28の切り欠き29から露出されていて、上壁20Aの略左半分領域では、搬送路32の前端部に配置されている。4つの回転軸21のプーリー34に掛け回されたベルト22は、繰出部11、搬送路32および収納庫12を巡るように設けられている。ベルト22は、各回転軸21のプーリー34における一対のフランジ34Aの間に配置されることによって、前後方向において位置決めされている。そのため、ベルト22は、周方向Rにおけるどの部分においても、セット部28の切り欠き29と前後方向で同じ位置にある。
駆動モータ23は、フレーム20内において後壁20Dに固定されている。駆動モータ23の出力軸(図示せず)と、回転軸21Aの後端部とには、タイミングベルト36が掛け回されている。駆動モータ23が電力を受けて駆動されると、駆動モータ23の駆動力がタイミングベルト36を介して回転軸21Aに伝達され、回転軸21Aが軸周りに回転する。これにより、ベルト22は、4つの回転軸21のプーリー34に掛け回された状態で周回移動する。図3における正面視で反時計回りの方向が、ベルト22の正回転方向であり、時計回りの方向が、ベルト22の逆回転方向である。正回転方向が、ベルト22の通常の周回移動方向である。なお、ベルト22は、前述したように周方向Rにおけるどの部分においても切り欠き29と前後方向で同じ位置にあるので、周回移動しているときに、周方向Rにおけるどこかの部分が前後にぶれることはない。
駆動モータ23の駆動、つまりベルト22の周回移動は、制御部15(図2参照)によって制御される。具体的には、駆動モータ23は、ステッピングモータであり、係員が遊技客から受け取った物品40をセット部28にセットしてから開始スイッチ9(図1参照)を押下操作すると、制御部15は、駆動モータ23のステップ角等の制御を行うことで、ベルト22の周回移動を開始させる。制御部15は、ベルト22の周回速度や周回移動方向も制御できる。
ベルト22が正回転方向に周回移動しているとき、ベルト22の外周面22Aの各係合部35は、正回転方向に沿って周回移動する。この際、各係合部35は、フレーム20の上壁20A、つまり回転軸21Aと回転軸21Dとの間の領域においては、セット部28の切り欠き29と搬送路32の前端部とを、この順で、水平方向に沿って左側へ通過する。ここでの左側は、物品40の搬送方向Xにおける下流側である。繰出部11のセット部28に積層状態でセットされた物品40(図4参照)のうち最下位の物品40は、その右端縁の前端部が、搬送方向Xにおける上流側である右側からやってきて左側へ進む係合部35に係合されることで、左側へ進められる。これにより、当該物品40は、その右端縁に引っ掛かっている係合部35と、この係合部35に対して正回転方向における下流側から隣り合う別の係合部35との間に挟まれた状態で、セット部28から繰り出されて搬送される。
セット部28から繰り出された物品40は、ベルト22の周回移動に伴って、第1縦壁24の下側の隙間25を通過し、搬送面32Aに沿って搬送路32を左側へ水平に搬送される。なお、前述したように隙間25は、物品1枚がちょうど通過できる程度の大きさなので、セット部28で待機する他の物品40まで繰り出されて搬送路32まで搬送されることが規制される。そして、搬送路32を左側へ搬送される物品40は、回転軸21Aにおけるベルト22の曲り角Cまで到達すると、搬送路32を通過したことになり、搬送方向Xにおける上流側から今まで引っ掛かっていた係合部35によって左側へ押し出されることによって、左側にある収納部8の収納庫12に投げ入れられる。このようにして、セット部28に積層状態でセットされた物品40が、最下位の物品40から順に、1枚ずつ繰り出されて搬送路32を通過し、収納庫12に投げ入れられる。
以上のように、ベルト22は、周回移動することによって、物品40を係合部35で引っ掛けてセット部28から1つずつ繰り出して搬送路32経由で収納部8の収納庫12まで搬送する。
ベルト22において周方向Rに隣り合ういずれか2つの係合部35がセット部28を左右方向からちょうど挟む位置にあるとき、この状態で静止しているベルト22は、セット部28における最下位の物品40を直ちに繰り出せる待機位置にある。また、ベルト22が待機位置にあるときに、セット部28にセットされて2つの係合部35の間に位置する最下位の物品40は、ベルト22による繰り出しが可能な繰出位置にある。フレーム20の右壁20Cには、ベルト22が待機位置にあるか否かを検知する位置センサ37が設けられている。
図4では、待機位置にあるベルト22と繰出位置にある物品40とが図示されている。繰出位置にある物品40を挟んだ2つの係合部35のうちの一方は、セット部28の右側、厳密には、ガイド部27内における切り欠き30の近傍に位置する係合部35Aである。この状態のベルト22では、係合部35Aに対してベルト22の正回転方向における上流側から隣り合う別の係合部35Bが存在する。位置センサ37は、LED等から構成されて検知光を発光する発光素子37Aと、発光素子37Aに対して前後方向から対向する受光素子37Bとを備えている。
ベルト22が待機位置にない場合には、係合部35Bが発光素子37Aと受光素子37Bとの間に位置せず、発光素子37Aに発光された検知光が受光素子37Bによって受けられる。ベルト22が待機位置にある場合には、係合部35Bが発光素子37Aと受光素子37Bとの間に位置して検知光を遮断するので、検知光が受光素子37Bによって受けられない。これにより、位置センサ37は、ベルト22が待機位置にあることを検知する。位置センサ37と制御部15とは電気的に接続されており、位置センサ37による検知結果は、制御部15に出力される。なお、ここでは係合部35Aおよび係合部35Bを挙げて待機位置について説明したが、ベルト22におけるいずれか1つの係合部35が発光素子37Aと受光素子37Bとの間に位置して検知光を遮断していれば、このときのベルト22は、待機位置にある。
次に、物品40について詳説する。物品40は、収容体41と、有価物42と、ICタグ43とを主に含む。収容体41は、略長方形をなす樹脂製のカードであり、物品40の外郭をなしている。図4では、物品40の長手方向は、ベルト22の周方向Rと物品取扱装置1の幅方向と一致しており、物品40の短手方向は、物品取扱装置1の前後方向と一致している。収容体41の厚さ方向における一方側の外面が、物品40の表面40Aであり、他方側の外面が物品40の裏面40Bである。物品40の金種を目視で区別できるように、収容体41の外面の色が物品40の種類毎に異なっていてもよい。
物品40の表面40Aには、物品40の長手方向において長手となった長方形状の識別領域40Cが形成されている。識別領域40Cの全域には、表面40Aにおける他の領域と目視で区別するために、箔が設けられてもよい。識別領域40Cは、表面40Aにおいて、物品40の短手方向における中央部に配置されているものの、物品40の長手方向における一方側または他方側に偏った位置に配置されている。
有価物42は、たとえば金等の貴金属で構成されたチップであり、物品40の外面から目視可能となるように識別領域40Cにおいて収容体41に収容されている。有価物42は、識別領域40Cの長手方向における中央部に配置されている。識別領域40Cには、識別マーク44が付されている。識別マーク44は、物品40の短手方向に延びる複数の筋状マーク44Aによって構成されている。それぞれの筋状マーク44Aは、凸状または凹状に形成された微細なコードである。筋状マーク44Aは、この実施形態では10個存在し、物品40の長手方向に沿って並んでおり、そのうちの一部(ここでは中央の3つ)の筋状マーク44Aは、有価物42に直接付されている。
識別マーク44では、それぞれの筋状マーク44Aに個別の識別番号が割り当てられていて、それぞれの筋状マーク44Aには、割り当てられた識別番号を特定するための特定情報が設けられている。特定情報は、暗号化されたデータであってもよいし、筋状マーク44A自身の凹凸の大きさであってもよい。各筋状マーク44Aに割り当てられた識別番号を、10個の筋状マーク44Aの並ぶ順番で組み合わせたものは、識別マーク44全体に割り当てられた第1識別情報である。1番目〜10番目という10個の識別番号によって構成された第1識別情報は、物品40の種類毎に異なるので、第1識別情報によって、物品40の真偽を識別するとともに物品40の種類も識別できる。つまり、第1識別情報には、物品40の種類を特定するための種類情報が含まれる。前述したように識別マーク44における一部の筋状マーク44Aが有価物42に直接付されているので、第1識別情報は、有価物42に付されている。これにより、第1識別情報によって、有価物42自体の真偽も識別できる。つまり、第1識別情報により、識別マーク44が付された物品40が、本物の金で構成された有価物42を内蔵した所定の種類の本物の物品40であることが証明される。本物の物品40に対して物品40の種類毎に設定された第1識別情報は、記憶部16(図2参照)に予め記憶されている。
ICタグ43には、物品40の種類を特定するための種類情報や、個々の物品40に割り当てられた個別情報(たとえば、ICタグを構成するICチップの製造番号であるIDm)等が記憶されている。以下では、識別マーク44から読み取られる第1識別情報と区別するために、ICタグ43に記憶された情報(特に種類情報)を第2識別情報という。ICタグ43は、収容体41に埋め込まれているので、第2識別情報は、収容体41に付されている。第2識別情報により、ICタグ43を内蔵した物品40が、所定の種類の本物の物品40であることが証明される。本物の物品40に対して物品40の種類毎に設定された第2識別情報は、記憶部16(図2参照)に予め記憶されている。
なお、前述したように識別領域40Cが物品40の短手方向における中央部に配置されていることから、物品40がセット部28(図3参照)にどのような向きでセットされたとしても、識別領域40Cにおける識別マーク44は、ベルト22から前後方向にずれている。そのため、物品40の識別マーク44が読取部6による読取を受けるときに、識別マーク44がベルト22の裏に隠れることはない。
図5は、物品取扱装置1において読取部6が物品40から情報を読み取る様子を図解的に示す模式図である。次に、図5を参照しながら、読取部6について詳説する。図5では、繰出部11のセット部28にセットされた最下位の物品40が図示されている。図5において左側へ向けて水平に延びる黒い太線矢印は、搬送路32での物品40の搬送方向Xの下流側を示している。
読取部6は、搬送路32の上側に配置される上側読取ブロック50と、搬送路32の下側に配置される下側読取ブロック51とを含んでいる。前述したように読取部6において上壁20Aの切り欠き33から搬送路32内に露出されている部分は、下側読取ブロック51である(図3参照)。上側読取ブロック50および下側読取ブロック51のそれぞれは、第1読取手段の一例としての読取センサ52を1つずつ含む。そのため、上側読取ブロック50および下側読取ブロック51の全体で見ると、読取センサ52は、搬送路32に対して、前述した搬送方向Xに交差(厳密には、直交)する上下方向における両側に配置されるように一対設けられていて、一対の読取センサ52は、搬送路32を挟んで対向している。
それぞれの読取センサ52は、搬送路32に向けて投光する発光素子53と、搬送路32からの反射光を受光する受光素子54と、発光素子53および受光素子54が実装されたセンサ基板55とを含む。下側読取ブロック51において、読取センサ52よりも左側、つまり搬送方向Xにおける下流側には、第2読取手段の一例としてのICリーダライタ57が設けられている。ICリーダライタ57は、物品40の収容体41におけるICタグ43と無線通信することによって、ICタグ43に記憶された第2識別情報を電子的に読み取ることができる。
繰出部11から繰り出されて搬送路32に進入した物品40の左端部が、搬送方向Xにおいて読取センサ52と同じ位置に差し掛かると、一対の読取センサ52の発光素子53からの光が、物品40に照射される。ただし、一対の読取センサ52のうち物品40の表面40Aに臨む位置にある読取センサ52でのみ、発光素子53からの光が、表面40Aの識別マーク44に照射される。図5の場合、物品40の上面が表面40Aであるので、物品40の上面側に位置する上側読取ブロック50の読取センサ52の発光素子53からの光だけが、表面40Aの識別マーク44に照射される。
搬送路32で引き続き搬送される物品40の移動に伴って、発光素子53からの光は、識別マーク44において搬送方向Xに並ぶ10個の筋状マーク44Aに対して、左側の筋状マーク44Aから順に照射される。これにより、筋状マーク44Aで反射した光は、左端の筋状マーク44Aから順に、受光素子54によって受光される。
物品40の表面40Aに臨む位置にある読取センサ52では、センサ基板55が、受光素子54によって受光された光から、それぞれの筋状マーク44Aに設けられた特定情報を読み取り、これら特定情報から、それぞれの筋状マーク44Aに割り当てられた識別番号を、左側の筋状マーク44Aから順に特定する。そして、センサ基板55に設けられた処理回路(図示せず)は、特定した識別番号を、特定した順番で組み合わせることによって、ベルト22によってセット部28から繰り出されて搬送される物品40から、識別マーク44に割り当てられた第1識別情報を読み取る。このように、第1識別情報は、光学的に読み取り可能な情報であって、電子的に読み取り可能な第2識別情報とは、異なる形式で読み取られる。センサ基板55が物品40から読み取った第1識別情報は、制御部15に送られ、当該物品40の種類および真偽の判別に用いられる。
一対の読取センサ52が搬送路32を挟んで上下に対向配置されるので、表面40Aにしか識別マーク44が設けられていない物品40が、表裏の向きが不明な状態で搬送されてきても、物品40の両側に位置する一対の読取センサ52のどちらかが、必ず物品40の識別マーク44から第1識別情報を読み取ることができる。また、紙幣等の紙とは異なり、物品40には、ある程度の厚みがあるので、一対の読取センサ52のそれぞれにおける発光素子53からの光が物品40を透過しない。よって、一対の読取センサ52は、搬送路32の物品40を挟むように対向配置されていても、物品40の識別マーク44からの第1識別情報の読み取りを互いに邪魔し合うことがない。
なお、図5の場合では、上側読取ブロック50の読取センサ52だけが物品40の識別マーク44から第1識別情報を読み取れることにより、制御部15は、物品40の種類および真偽の判別だけでなく、当該物品40の表裏の向きを判別することもできる。つまり、上下一対の読取センサ52のどちらが搬送路32上の物品40の識別マーク44から第1識別情報を読み取ったかに応じて、制御部15は、当該物品40の表裏を判別することができる。そのため、物品40の表裏を反転させる機構が物品取扱装置1に設けられていれば、第1識別情報の読み取りを終えた物品40を、その表裏を揃えて収納庫12に収納することができる。
そして、物品40のICタグ43が搬送方向Xにおいて下側読取ブロック51のICリーダライタ57とほぼ同じ位置まで到達すると、制御部15は、ベルト22の周回移動を停止させる。この際、ベルト22において物品40の搬送方向Xにおける両側に位置する係合部35のおかげで、物品40は、行き過ぎずに速やかに停止できる。ICリーダライタ57は、搬送途中で一時停止している物品40のICタグ43に記憶された第2識別情報を読み取ることができる。読み取られた第2識別情報は、制御部15(図2参照)に送られる。なお、搬送方向XにおいてICリーダライタ57とICタグ43とが多少ずれていても、ICリーダライタ57は、無線通信によってICタグ43から第2識別情報を読み取ることができる。
制御部15は、読取センサ52およびICリーダライタ57による読取結果に基づいて、物品40の種類および真偽を判別する。種類および真偽を判別する手順については、追って詳しく説明する。なお、制御部15は、物品40の真偽を1枚ずつ判別することによって、物品40の本物および偽物のそれぞれを計数することができる。さらに、制御部15は、本物の物品40については、種類毎に計数することもできる。
物品40の種類および真偽の判別が完了すると、制御部15は、ベルト22の周回移動を再開する。その結果、種類および真偽の判別を受けた物品40は、回転軸21Aにおけるベルト22の曲り角Cまで到達すると、ベルト22において物品40に上流側から引っ掛かっている係合部35によって左側へ押し出されることによって、左側にある収納部8の収納庫12に投げ入れられる。
次に、読取部6による読み取りを受けた物品40の収納先となる収納部8について詳説する。図6および図7は、収納部8を抜き出して示した斜視図である。図6および図7の姿勢は、図1の物品取扱装置1の姿勢と同じであり、収納部8は、図1における外側の化粧カバー70が取り除かれた状態で示されている。収納部8は、前述した収納庫12と、駆動モータ72とを主に含んでいる。収納庫12は、搬送路32を通過した物品40を収納する縦長の中空体であり、左壁73と、右壁74と、後壁75と、ステージ76とを含んでいる。
左壁73および右壁74は、ともに左右方向に薄く上下方向に長い長方形の板状であって、左右方向に間隔を隔てて対向配置されている。右壁74は、収納庫12において搬送部5に対して左側から隣接する部分であって、右壁74において搬送路32と上下方向で一致する位置には、貫通孔74Aが形成されている。貫通孔74Aは、搬送路32を通過した物品40を余裕をもって通過させる大きさを有していて、右壁47の上下方向略中央に位置している。後壁75は、前後方向に薄く上下方向に長い長方形の板状であって、左壁73および右壁74の後端縁間に架設されている。後壁75の右側には、後壁75の上下方向におけるほぼ全域に亘って上下方向に延びるガイド溝75Aが形成されている。ガイド溝75Aは、後壁75を前後方向に貫通している。左壁73と右壁74と後壁75とによって囲まれた縦長直方体状の空間は、収納庫12の内部空間77である。内部空間77は、右壁74の前端縁と後壁75の前端縁との間から、前側へ開放されている。また、内部空間77は、右壁74の貫通孔74Aを介して搬送路32に連通している。
ステージ76は、上下方向に薄い板状であり、平面視において内部空間77内にちょうど収まる略矩形状をなしている。ステージ76は、複数(ここでは2つ)設けられている。これらのステージ76は、上下方向に間隔を隔てた状態で内部空間77内に収容されている。2つのステージ76のうち、下側のステージ76を下側ステージ76Aといい、上側のステージ76を上側ステージ76Bということにする。内部空間77において上側ステージ76Bよりも上側の領域は、下側ステージ76Aおよび上側ステージ76Bによって上下2つの収納エリア79に区切られている。具体的には、2つの収納エリア79のうち、一方は、下側ステージ76Aと上側ステージ76Bとの間の下側収納エリア79Aであり、他方は、上側ステージ76Bよりも上側に位置する上側収納エリア79Bである。
各ステージ76の後端縁の右端部には、ガイド溝75Aに挿通される挿通部78が設けられている。物品取扱装置1では、後壁75の後面に、前述した駆動モータ72と、変換機構80とが設けられている。駆動モータ72は、電力を受けて駆動されることによって、回転力を発生させる。変換機構80は、上下に延びる周回軌跡に沿って周回移動するベルト81を含んでいる。ベルト81は、駆動モータ72の出力軸に連結されていて、駆動モータ72の回転力を受けて周回移動する。ベルト81には、各ステージ76の挿通部78が連結されている。そのため、ベルト81の周回移動に応じて、両方のステージ76が、隣り合うステージ76の上下方向の間隔を維持した状態で、上昇したり、下降したりする。つまり、変換機構80は、駆動モータ72が発生させた回転を、両方のステージ76の上下移動に変換する機構である。駆動モータ72の駆動は、制御部15(図2参照)によって制御される。具体的には、駆動モータ72は、ステッピングモータであり、制御部15は、駆動モータ72のステップ角等の制御を行うことで、ベルト81の周回移動量つまりステージ76の上下方向の移動量を制御する。
図6に示すように下側ステージ76Aが内部空間77のほぼ最下位、厳密には、物品40の数枚分の厚みだけ最下位から上側の位置にあって上側ステージ76Bが内部空間77の上下方向略中央にあるとき、両方のステージ76の上下方向の位置を「リジェクト位置」という。図5を参照して、リジェクト位置にある両方のステージ76のうち、上側ステージ76Bの上面が、右壁74の貫通孔74Aを介して搬送路32の搬送面32Aと略面一になり、搬送面32Aに対して僅かな隙間を隔てて左側から連続している。このとき、収納庫12の上側ステージ76Bの上面と、搬送路32の搬送面32Aと、繰出部11のセット部28とが、水平方向に沿って略面一に配置されている。
図6に示すように各ステージ76がリジェクト位置にある状態で駆動モータ72を駆動させると、両方のステージ76が内部空間77内で上昇する。図7に示すように上限まで上昇したときの両方のステージ76の上下方向の位置を「回収位置」という。回収位置にある下側ステージ76Aは、内部空間77の上下方向略中央にあり、回収位置にある上側ステージ76Bは、内部空間77のほぼ最上位にある。ただし、このときの上側収納エリア79Bには、数枚分の物品40を収容できる程度の余裕がある。
図5を参照して、回収位置にある両方のステージ76のうち、下側ステージ76Aの上面が、右壁74の貫通孔74Aを介して搬送路32の搬送面32Aと略面一になり、搬送面32Aに対して僅かな隙間を隔てて左から連続している。このとき、リジェクト位置の場合と同様に、収納庫12の下側ステージ76Aの上面と、搬送路32の搬送面32Aと、繰出部11のセット部28とが、水平方向に沿って略面一に配置されている。
図7に示すように各ステージ76が回収位置にある状態で制御部15が駆動モータ72を逆駆動させると、図6に示すように、両方のステージ76がリジェクト位置まで下降する。なお、待機状態のステージ76は、リジェクト位置にある。
制御部15によって本物と判別された物品40の振分先は、下側収納エリア79Aである。一方、制御部15によって偽物と判別された物品40の振分先は、上側収納エリア79Bである。前述したように読取部6によって物品40から読み取られた第1識別情報および第2識別情報に応じて物品40の真偽が判別されるので、下側収納エリア79Aおよび上側収納エリア79Bは、当該第1識別情報および第2識別情報に応じた振分先である。制御部15は、駆動モータ72および変換機構80でステージ76を上下させることによって、2つの収納エリア79のうち、物品40の本物および偽物のそれぞれの収納先となる収納エリア79を切り替えることができる。
具体的には、制御部15は、物品40を本物と判別した場合、前述したようにベルト22の周回移動を再開するのに前後して、ステージ76をリジェクト位置から回収位置(図7参照)まで上昇させる。すると、下側収納エリア79Aの底をなす下側ステージ76Aの上面が、搬送路32の搬送面32Aとつながるので(図5参照)、周回移動が再開されたベルト22の係合部35によって、当該物品40が左側へ押されて下側収納エリア79Aへ投げ入れられ、下側ステージ76Aの上面に載置される。これにより、下側収納エリア79Aへの本物の物品40の収納が達成される。
ちなみに、すでに下側収納エリア79Aに物品40が収納された状態で、後続の物品40を下側収納エリア79Aに収納する場合がある。この場合には、制御部15は、駆動モータ72を制御して、下側収納エリア79Aに既に収納された物品40のうち最上位の物品40の上面が搬送面32Aと略面一になるまで、ステージ76を物品40の1枚の厚みだけ下降させる。この状態でベルト22の周回移動が再開されると、ベルト22の係合部35によって、後続の物品40が左側へ押されて下側収納エリア79Aへ投げ入れされ、下側ステージ76Aにおける最上位の物品40に対して上側から積層される。このように既に下側収納エリア79Aに物品40が収納された状態で、後続の物品40を下側収納エリア79Aに収納する場合には、両方のステージ76が元の回収位置から徐々に下がっていく。下側収納エリア79Aには、最大で21枚の物品40を上下方向に積層した状態で収納することができる。
一方、制御部15は、物品40を偽物と判別した場合、前述したようにベルト22の周回移動を再開するのに前後して、ステージ76をリジェクト位置(図6参照)まで下降させる。ちなみに、既にステージ76がリジェクト位置にあれば、制御部15は、ステージ76を移動させない。ステージ76がリジェクト位置にある状態では、上側収納エリア79Bの底をなす上側ステージ76Bの上面が、搬送路32の搬送面32Aとつながっているので(図5参照)、周回移動が再開されたベルト22の係合部35によって、当該物品40が左側へ押されて上側収納エリア79Bへ投げ入れられ、上側ステージ76Bの上面に載置される。これにより、上側収納エリア79Bへの物品40のリジェクトが達成される。
ちなみに、すでに上側収納エリア79Bに物品40が収納された状態で、後続の物品40を上側収納エリア79Bに収納する場合がある。この場合には、下側収納エリア79Aへの物品40の収納について説明したのと同様に、制御部15は、駆動モータ72を制御して、上側収納エリア79Bに既に収納された最上位の物品40の上面が搬送面32Aと略面一になるまで、物品40の一枚の厚み分だけステージ76を若干下降させる。この状態でベルト22の周回移動が再開されると、ベルト22の係合部35によって、後続の物品40が左側へ押されて上側収納エリア79Bへ投げ入れされ、上側ステージ76Bにおける最上位の物品40に対して上から積層される。これにより、上側収納エリア79Bへの後続の物品40の収納が達成される。よって、すでに上側収納エリア79Bに物品40が収納された状態で、後続の物品40を上側収納エリア79Bに収納する場合には、両方のステージ76が元のリジェクト位置から徐々に下がっていく。上側収納エリア79Bには、最大で3枚の物品40を積層状態で収納することができる。
また、制御部15は、ある物品40を本物と判別した後に、次の物品40を偽物と判別すると、先行の物品40が下側収納エリア79Aに収納されたことに応じて、両方のステージ76を今までの回収位置からリジェクト位置へと切り替える。これにより、偽物と判別された後続の物品40は、上側収納エリア79Bに収納される。この物品40に続いて、制御部15が次の物品40を本物と判別すると、制御部15は、両方のステージ76を今までのリジェクト位置から回収位置へと切り替える。これにより、本物と判別された次の物品40は、下側収納エリア79Aに収納される。このように、制御部15は、読取部6によって第1識別情報や第2識別情報が読み取られた物品40の本物および偽物のそれぞれを、下側収納エリア79Aおよび上側収納エリア79Bのうち該当する振分先へ振り分けることができる。
これらのステージ76と、ステージ76を昇降させるための変換機構80等の構成と、前述したベルト22と、ベルト22を周回移動させるための駆動モータ23等の構成と、制御部15とは、物品40を搬送する搬送手段の一例である。ステージ76の存在によって、当該搬送手段は、判別された物品40の真偽により当該物品40の搬送先を異ならせるように構成されている。そのため、判別後の物品40を真偽という属性毎に振り分けることができる。これにより、各収納エリア79における振分後の物品40を属性毎に処理(チェック等)することができるので、利便性の向上を図れる。もちろん、物品40における別の属性である種類毎に物品40を振り分けてもよい。収納エリア79が多数存在すれば、物品40を本物と偽物とに振り分けて収納するだけでなく、本物の物品40を種類毎に振り分けて収納したり、偽物の物品40を種類毎に振り分けて収納したりすることができる。
そして、セット部28にセットされた全ての物品40がいずれかの収納エリア79に振り分けられると、制御部15は、ステージ67をリジェクト位置まで戻す。その後、各収納エリア79の物品40は、係員によって回収される。各収納エリア79からの物品40の回収を終えた係員が、停止スイッチ10(図1参照)を押下操作すると、物品取扱装置1では、セット部28にセットされた物品40を繰り出して判別した後に振り分けるという一連の繰出振分処理が完了したことになる。なお、制御部15は、先ほどまで下側収納エリア79Aに収納されていた本物の物品40の種類毎の枚数や価値といった情報や、偽物の物品40が上側収納エリア79Bに存在する旨を表示部7(図1参照)に表示させたり、当該価値分の現金を出金するように出金機に対して指示を出したりしてもよい。
次に、図8のフローチャートを参照して、以上の繰出振分処理では、制御部15が、ベルト22を周回移動させることによって、セット部28にセットされた物品40を1枚ずつ繰り出して搬送する(ステップS1)。そして、制御部15は、搬送途中の物品40について真偽を判別する(ステップS2)。その結果、制御部15は、当該物品40を本物と判別した場合には(ステップS3でYES)、当該物品40を、現金と交換できる交換可能物品として計数加算して、下側収納エリア79Aに振り分けて回収する(ステップS4)。
一方、制御部15は、当該物品40を偽物と判別した場合には(ステップS3でNO)、当該物品40を、上側収納エリア79Bにリジェクトする(ステップS5)。そして、制御部15は、セット部28に物品40が残っている場合には(ステップS6でYES)、残った物品40についてステップS1〜S5の処理を繰り返し、セット部28の物品40が無くなった場合には(ステップS6でNO)、繰出振分処理が終了する。繰出振分処理の終了に伴い、制御部15は、前述した出金機(図示せず)に対して、交換可能物品の価値に応じた現金を出力するように指示を出力する。
次に、図9のフローチャートを参照して、前述したステップS2において物品40の真偽を判別する手順について、詳しく説明する。真偽判別処理として、制御部15は、まず、同一の物品40から第1識別情報および第2識別情報の両方を読み取ることができたか否かを確認する(ステップS11)。第1識別情報および第2識別情報の両方を読み取ることができた場合には(ステップS11でYES)、制御部15は、読み取られた第1識別情報および第2識別情報のそれぞれが、記憶部16において正しい識別情報として予め記憶された第1識別情報および第2識別情報のいずれかと一致するか否かを確認する(ステップS12)。つまり、ステップS12では、制御部15は、物品40から読み取られた第1識別情報および第2識別情報のそれぞれの正否を判別する。
読み取られた第1識別情報および第2識別情報のそれぞれが正しい場合には(ステップS12でYES)、制御部15は、読取センサ52によって当該物品40の識別マーク44から読み取られた第1識別情報から得られる種類情報と、当該物品40のICタグ43から読み取られた第2識別情報から得られる種類情報とを比較する(ステップS13)。
当該第1識別情報から得られる種類情報と、当該第2識別情報から得られる種類情報とが対応するものである場合に(ステップS13でYES)、制御部15は、当該物品40が所定の種類の本物であるとして、当該物品40の正当性を肯定判別する(ステップS14)。具体的には、当該第1識別情報から得られる種類情報に基づいて特定される物品40の種類と、当該第2識別情報から得られる種類情報に基づいて特定される同一の物品40の種類とが一致する場合には(ステップS13でYES)、制御部15は、この物品40の種類を判別するとともに、この物品40が当該種類の本物であると判別する(ステップS14)。
一方、同一の物品40から第1識別情報および第2識別情報のいずれかを読み取ることができなかった場合や(ステップS11でNO)、これらの第1識別情報および第2識別情報のいずれかが正しくなかった場合や(ステップS12でNO)、当該第1識別情報と当該第2識別情報とで種類情報同士が対応しなかった場合には(ステップS13でNO)、当該物品40は、制御部15によって偽物と判別される(ステップS15)。
制御部15は、このような真偽判別処理に基づいてセット部28における全ての物品40を振り分けて繰出振分処理を終了した場合には、今回の繰出振分処理の結果を表示部7(図1参照)に表示してもよい。具体的に、本物と判別された物品40の枚数、つまり、前述した交換可能物品の計数結果と、偽物と判別されたものの第1読取情報だけが正しかった物品40の枚数と、偽物と判別されたものの第2読取情報だけが正しかった物品40の枚数とが別々に集計されて、表示部7において係員に対して目視可能に表示される。
以上のように、物品40における実質的な中身である有価物42に付された第1識別情報と、物品40の収容体41に付された第2識別情報とを用いた2段階の読取結果に基づいて当該物品40の属性が正確に判別される。つまり、個々の物品40における種類および真偽という属性が、第1識別情報と第2識別情報とに基いてダブルチェックされる。これにより、物品40の属性の判別精度の向上を図れる。特に、有価物42が入れ替えられることによって偽造された物品40では、第1識別情報から得られる種類情報と第2識別情報から得られる種類情報とが対応しないので(ステップS13でNO)、このような物品40の正当性が誤って肯定判別されることを防止できる。そのため、物品40の属性の判別精度の一層の向上を図れる。これにより、有価物42の入れ替え等の不正を防止できる。
さらに、異なる形式で読み取られる第1識別情報および第2識別情報を用いた種類情報についての別々の読取結果に基づいて、当該物品40の属性が一層正確に判別されるので、物品40の属性の判別精度の一層の向上を図れる。
第1識別情報が付された識別マーク44と、第2識別情報が付されたICタグ43との両方が設けられた物品40では、真偽についてのセキュリティレベルが相対的に高い。物品40が統一されていない過渡期の段階では、同じ種類の物品40であっても、ICタグ43および識別マーク44の両方が設けられた物品40の他に、ICタグ43および識別マーク44の一方が省略された物品40が存在する場合がある。この場合には、ICタグ43および識別マーク44の一方が省略されたものの実際には本物である物品40が、セキュリティレベルが低いだけで偽物と判別される虞がある。そこで、偽物と判別されてステップS5でリジェクトされた物品40については、その真偽が、係員の目視等によってあらためて確認されてもよい。つまり、ICタグ43および識別マーク44の両方が設けられた物品40や、ICタグ43および識別マーク44の一方だけが設けられた物品40というようにセキュリティレベルの異なる物品40が混在する場合には、偽物と判別された物品40であっても、それぞれのセキュリティレベルに応じて真偽を再判別すればよい。
また、ICタグ43および識別マーク44の両方が設けられた同じ種類の物品40であっても、物品40における有価物42や識別マーク44についての製造元の違いによって、有価物42において製造元等を示す刻印や、有価物42における貴金属の配合や、識別マーク44における筋状マーク44Aの配列パターン等が異なる場合がある。つまり、同じ種類の物品40であっても、有価物42と、有価物42に付される識別マーク44とのそれぞれが、製造元によって異なる場合がある。通常の場合、1つの遊技施設で運用される種類毎の物品40の製造元は同じであるが、別の遊技施設で運用される製造元の異なる本物の物品40が交換所に持ち込まれて物品取扱装置1において偽物と判別されると、この物品40を持ち込んだ遊技客が迷惑を被る虞がある。かといって、製造元の異なる物品40同士を区別しないまま問屋に買い取ってもらい、問屋がこれらの物品40を区別せずに色々な遊技施設に納入すると、製造元の異なる物品40が各遊技施設に混入して、製造元毎の物品40の流通量が変わってしまう虞がある。
そこで、有価物42および識別マーク44に着目して、図10のフローチャートに示すような変形例に係る真偽判別処理を実施してもよい。変形例に係る真偽判別処理は、単独で実施されてもよいし、図9での真偽判別処理と並行して実施されてもよい。図10での真偽判別処理に関連して、読取部6は、有価物42における貴金属が有する磁気を検出する磁気センサ(図示せず)を備えている。磁気センサ(図示せず)による磁気の検出結果は、制御部15に送られる。記憶部16には、正しい貴金属で構成された有価物42に固有の磁気特性が予め記憶されている。制御部15は、磁気センサ(図示せず)によって検出された磁気と、記憶部16に記憶された磁気特性とが一致するか否かを確認することによって、当該有価物42の正否をチェックする。
変形例に係る真偽判別処理として、制御部15は、まず、物品40の識別マーク44から読み取った第1識別情報が、記憶部16において予め記憶された第1識別情報と一致するか否かを確認することによって当該識別マーク44の正否をチェックする(ステップS21)。当該識別マーク44が正しかった場合には(ステップS21でYES)、制御部15は、同一の物品40の有価物42の磁気についての磁気センサ(図示せず)による検出結果に基づいて、前述したように有価物42の正否をチェックする(ステップS22)。有価物42が正しかった場合には、制御部15は、当該物品40を、想定される製造元によって製造された本物と判別する(ステップS23)。このような物品40は、物品取扱装置1が設置された交換所の近隣の遊技施設で獲得された通常の物品40である。
識別マーク44が正しかったものの(ステップS21でYES)、貴金属の配合が異なる等によって有価物42が正しくないと判断される物品40が存在する。この場合には(ステップS22でNO)、制御部15は、このような物品40の取り扱いについての特例があるか否かを確認する(ステップS24)。特例は、予め任意に設定されて記憶部16に記憶されている。このような物品40は、有価物42が偽造された偽物かもしれないし、有価物42の製造元が違うだけの本物であって、近隣の遊技施設とは別の遊技施設で獲得された物品40が持ち込まれただけかもしれない。このように真偽の判別が難しい物品40を本物とみなす特例があれば(ステップS24でYES)、制御部15は、個別処理として、この物品40を、前述した交換可能物品として計数加算するものの、ステップS23で本物と判別された物品40と区別するために、上側収納エリア79B等に振り分ける(ステップS25)。このような特例がなければ(ステップS24でNO)、制御部15は、当該物品40を、偽物と判別する(ステップS26)。
一方、今回の物品40の識別マーク44が正しくなかった場合にも(ステップS21でNO)、制御部15は、この物品40における有価物42の正否をチェックする(ステップS27)。有価物42が正しくなかった場合には(ステップS27でNO)、当該物品40では識別マーク44および有価物42の両方が偽造された可能性が高いので、制御部15は、当該物品40を偽物と判別する(ステップS26)。
識別マーク44が正しくなかったものの(ステップS21でNO)、有価物42が正しい物品40が存在する場合には(ステップS27でYES)、制御部15は、このような物品40の取り扱いについての特例があるか否かを確認する(ステップS24)。このような物品40は、識別マーク44が偽造された偽物かもしれない。または、製造元の違い等によって識別マーク44についてのセキュリティ認証方法が違うだけの本物であって、近隣の遊技施設とは別の遊技施設で獲得された物品40が持ち込まれただけかもしれない。このように真偽の判別が難しい物品40を本物とみなす特例があれば(ステップS24でYES)、制御部15は、個別処理として、この物品40を、前述した交換可能物品として計数加算するものの、ステップS23で本物と判別された物品40と区別するために、上側収納エリア79B等に振り分ける(ステップS25)。このような特例がなければ(ステップS24でNO)、制御部15は、当該物品40を、偽物と判別する(ステップS26)。
特例により、個別処理で本物とみなされた物品40の真偽は、係員の目視等によって追って再確認される。この物品40が近隣の遊技施設とは別の遊技施設で流通すべき物品40である場合には、その旨とともに当該物品40が問屋に買い取られるので、問屋では、この物品40を色々な遊技施設に混入しないように、当該別の遊技施設に対応する流通ルートに戻すことができる。これにより、物品40の流通量や流通ルートの調整が可能になる。なお、物品40の流通を管理する管理センター83(後述する図17参照)が存在する場合には、別の遊技施設で流通すべき物品40が持ち込まれた交換所から、当該物品40についての情報が管理センター83に通知されてもよい。管理センター83では、通知された情報に基づいて流通ルート毎における物品40の流通量等の分析が行われ、その分析結果が、遊技施設や問屋等に対して通知されてもよい。
そして、この変形例に係る真偽判別処理では、種類が同じものの製造元が異なる物品40の真偽も的確に判別できるので、物品40の真偽に係るセキュリティの向上を図れる。
次に、物品40の識別マーク44からの第1識別情報の読み取りについて、さらに詳しく説明する。前述したように、物品40の種類毎の第1識別情報は、記憶部16(図2参照)に記憶されている。具体的には、物品40の種類毎の第1識別情報が登録されたテーブル85およびテーブル86が記憶部16に記憶されている。
図11は、テーブル85の内容を示す図であり、図12は、テーブル86の内容を示す図である。たとえば、物品40にA、B…という複数の種類があるとする。それぞれ種類の本物の物品40において、識別マーク44を構成する10個の筋状マーク44Aのそれぞれに割り当てられた識別番号を筋状マーク44Aの並び方向における一方側から並べたものが、図11のテーブル85に登録された正順の第1識別情報である。一方、識別番号を筋状マーク44Aの並び方向における他方側から並べたものが、図12のテーブル86に登録された逆順の第1識別情報である。図11を参照して、Aという種類の物品40では、それぞれの筋状マーク44Aの識別番号が当該一方側から順に、8、1、7、5、4、6、7、5、0、9であり、正順の第1識別情報は、8175467509である。しかし、同じAという種類の物品40であっても、当該他方側から見ると、筋状マーク44Aの識別番号は、図12に示すように、9,0、5、7、6、4、5、7、1、8であり、逆順の第1識別情報は、9057645718である。
読取部6が物品40から読み取った第1識別情報が8175467509または9057645718であれば、制御部15は、この物品40を種類Aの本物であると判別する。しかし、識別マーク44に汚れ等が付着することによって、第1識別情報の読み取りの際に、以下の文字化け異常、欠損異常および余剰異常という3パターンの読み取り異常が発生することが想定される。
文字化け異常とは、識別番号の一部が文字化けして読み取られることである。具体的には、正順の第1識別情報が8175467509であるのに対し、物品40の識別マーク44から読み取られた正順の第1識別情報が8275467509であって、正順における2番目の識別番号(本来は「1」)が文字化けしているような場合である。
欠損異常とは、読み取られた第1識別情報において一部の識別番号が欠けていることである。具体的には、正順の第1識別情報が8175467509であるのに対し、物品40の識別マーク44から読み取られた正順の第1識別情報が817546759であって、正順における9番目の識別番号が欠損しているような場合である。
余剰異常とは、読み取られた第1識別情報に余剰な識別番号が混じっていることである。具体的には、正順の第1識別情報が8175467509であるのに対し、物品40の識別マーク44から読み取られた正順の第1識別情報が81275467509であって、正順における3番目に余計な識別番号(ここでは「2」)が入っていて、この識別番号以降の識別番号が1つずつずれているような場合である。
前述したように、物品40の表面40Aだけに設けられた識別マーク44からの第1識別情報の読み取りは、上下一対の読取センサ52によって行われる。そのため、物品40が本物である場合には、一対の読取センサ52における一方は、識別マーク44から第1識別情報を読み取れるが、他方は、識別マーク44から何も情報を読み取れないはずである。ここで、汚れ等によって第1識別情報のうち識別番号の1つだけが正しく読み取れない物品40は、実際には本物である。このような物品40の場合には、一対の読取センサ52における一方は、識別マーク44から一部だけが不完全な第1識別情報を読み取り、他方は、識別マーク44から何も情報を読み取れない。
制御部15は、一方の読取センサ52から一部だけ不完全な第1識別情報が送られ、他方の読取センサ52から何も情報が送られない場合に限り、今回の物品40を、本物として救済できる可能性がある物品40であると判断する。そして、制御部15は、一部だけ不完全な第1識別情報に文字化け異常、欠損異常および余剰異常のいずれかの原因が生じていないか否かを確認し、この確認結果に基づいて当該物品40の真偽を最終的に判別する。識別番号の1つだけが文字化けしている場合は、この第1識別情報が読み取られた物品40は本物である可能性が高いので文字化け異常のチェックをOKとする。識別番号の1つだけが欠損している場合は、この識別番号が読み取られた物品40は本物である可能性が高いので欠損異常のチェックをOKとする。余剰な識別番号が1つだけ存在している場合は、この識別番号が読み取られた物品40は本物である可能性が高いので余剰異常のチェックをOKとする。つまり、汚れ等によって第1識別情報のうち識別番号の1つだけが正しく読み取れない物品40については、偽物としてリジェクトとするのでなく、本物として救済する。
具体的には、図13のフローチャートに示すように、制御部15は、第1識別情報が送られてくると、まず、物品40の種類毎の正順の第1識別情報について文字化け異常をチェックする(ステップS31)。2つ以上の識別番号が文字化けしていることによって文字化け異常チェックがNGであれば(ステップS32でNO)、制御部15は、物品40の種類毎の逆順の第1識別情報について文字化け異常をチェックする(ステップS33)。
逆順の第1識別情報でも文字化け異常チェックがNGであれば(ステップS34でNO)、制御部15は、物品40の種類毎の正順の第1識別情報について欠損異常をチェックする(ステップS35)。2つ以上の識別番号が欠損していることによって欠損異常チェックがNGであれば(ステップS36でNO)、制御部15は、物品40の種類毎の逆順の第1識別情報について欠損異常をチェックする(ステップS37)。逆順の第1識別情報でも欠損異常チェックがNGであれば(ステップS38でNO)、制御部15は、物品40の種類毎の正順の第1識別情報について余剰異常をチェックする(ステップS39)。2つ以上の識別番号が余剰に存在することによって余剰異常チェックがNGであれば(ステップS40でNO)、制御部15は、物品40の種類毎の逆順の第1識別情報について余剰異常をチェックする(ステップS41)。逆順の第1識別情報でも余剰異常チェックがNGであれば(ステップS42でNO)、制御部15は、今回第1識別情報が読み取られた物品40を偽物と判別して、上側収納エリア79Bにリジェクトする(ステップS43)。一方、文字化け異常、欠損異常および余剰異常のいずれかのチェックが早い段階でOKであれば(ステップS32、S34、S36、S38、S40またはS42でYES)、制御部15は、今回第1識別情報が読み取られた物品40において異常があった識別番号を特定したうえで、この物品40を本物と判別して、下側収納エリア79Aに回収する(ステップS44)。
次に、ステップS31およびS33での文字化け異常チェックの内容について、図14のフローチャートを参照して説明する。まず、制御部15は、変数iを1にリセットし、変数kを0(零)にリセットする(ステップS51)。変数iは、第1識別情報における正順または逆順での識別番号の順番である。変数kは、物品40から読み取られた第1識別情報において文字化けした識別番号の数である。なお、今回の文字化け異常チェックは、一対の読取センサ52における一方だけが識別マーク44から第1識別情報を読み取って、当該第1識別情報における一部が不完全であることが前提なので、文字化け異常チェックにおいて最終的に得られる変数kは、少なくとも0より大きい。このことは、後述する欠損異常チェックおよび余剰異常チェックでの変数kにおいても当てはまる。
ステップS51の直後では、変数iが10を超えていないので(ステップS52でYES)、制御部15は、物品40から読み取られた第1識別情報(「読取第1識別情報」という)と、テーブル85または86に記憶された物品40の種類毎の第1識別情報(「基準第1識別情報」という)とで、i番目の識別番号同士が一致するか否かを確認する(ステップS53)。具体的に、ステップS21の直後では、制御部15は、読取第1識別情報と基準第1識別情報とで1番目の識別番号同士が一致するか否かを確認する。i番目の識別番号同士が一致すると(ステップS53でYES)、制御部15は、変数iだけをインクリメント(+1)する(ステップS54)。そして、変数iが10を超えるまでの間(ステップS52でYES)、制御部15は、読取第1識別情報と基準第1識別情報とで同じ順番にある識別番号同士が一致するか否かを1番目から10番目まで確認する(ステップS53)。その際、読取第1識別情報と基準第1識別情報とで同じ順番なのに識別番号同士が一致しないことを確認すると(ステップS53でNO)、制御部15は、その都度、変数kをインクリメント(+1)する(ステップS55)。
そして、読取第1識別情報と基準第1識別情報とで10番目の識別番号同士が一致するか否かを確認した場合には(ステップS52でNO)、制御部15は、現時点の変数kの値を確認する(ステップS56)。読取第1識別情報と基準第1識別情報とで1番目から10番目までのいずれか1つの識別番号だけが一致しなかった場合には、変数kは1である。変数kが1である場合には(ステップS56でYES)、制御部15は、文字化け異常のチェックがOKであると判断する(ステップS57)。なお、変数kが1である場合には、読取第1識別情報の中で基準第1識別情報と一致しなかった1つの識別番号を正しい識別番号へと補正してもよい。一方、変数kが2以上である場合には(ステップS56でNO)、制御部15は、文字化け異常のチェックがNGであると判断する(ステップS58)。
次に、ステップS35およびS37での欠損異常チェックの内容について、図15のフローチャートを参照して説明する。まず、制御部15は、変数iを1にリセットし、変数jおよびkのそれぞれを0(零)にリセットする(ステップS61)。変数iは、送られてきた第1識別情報における正順または逆順での識別番号の順番である。変数kは、欠損した識別番号の数である。
ステップS61の直後では、変数iが10を超えていないので(ステップS62でYES)、制御部15は、読取第1識別情報におけるi番目の識別番号が、基準第1識別情報におけるi+j番目の識別番号と一致するか否かを確認する(ステップS63)。具体的に、ステップS61の直後では、変数iが1で変数jが0なので、制御部15は、読取第1識別情報と基準第1識別情報とで1番目の識別番号同士が一致するか否かを確認する。読取第1識別情報と基準第1識別情報とで同じ順番における識別番号同士が一致すると(ステップS63でYES)、制御部15は、変数iだけをインクリメント(+1)する(ステップS64)。そして、変数jが0であれば、変数iが10を超えるまでの間(ステップS62でYES)、制御部15は、読取第1識別情報と基準第1識別情報とで同じ順番にある識別番号同士が一致するか否かを1番目から10番目まで確認する(ステップS63)。
ただし、ステップS33において、読取第1識別情報と基準第1識別情報とで識別番号同士が一致しないことを確認すると(ステップS63でNO)、制御部15は、その都度、変数kをインクリメント(+1)する(ステップS65)。この場合、欠損異常により、読取第1識別情報における識別番号の順番が前へ1つずれている可能性がある。そこで、制御部15は、現時点での変数iと現時点での変数jとの合計が10を超えていないことを前提として(ステップS66でYES)、変数iおよびjのそれぞれをインクリメント(+1)する(ステップS67)。
すると、次のステップS63では、読取第1識別情報における現時点でのi番目の識別番号が、基準第1識別情報におけるi+j番目(ここでのjは1以上)の識別番号と一致するか否かが確認される。つまり、読取第1識別情報におけるi番目の識別番号と、基準第1識別情報においてi番目から現時点の変数jだけ後にずれた順番の識別番号との一致が確認される。そして、変数iが10を超えるまでの間(ステップS62でYES)、制御部15は、読取第1識別情報と基準第1識別情報とで識別番号同士が一致しない場合には(ステップS63でNO)、その都度、変数i、jおよびkのそれぞれをインクリメントする(ステップS65およびS67)。
そして、変数iが10に到達することによって読取第1識別情報における全ての識別番号と基準第1識別情報の識別番号との対比が完了した場合には(ステップS62でNO)、制御部15は、現時点の変数kの値を確認する(ステップS68)。なお、現時点での変数iと現時点での変数jとの合計が10に到達している場合にも(ステップS66でNO)、読取第1識別情報における全ての識別番号と基準第1識別情報の識別番号との対比が完了しているので、制御部15は、現時点の変数kの値を確認する(ステップS68)。読取第1識別情報において1番目から10番目までのいずれか1つの識別番号だけが欠けていた場合には、変数kは1である。変数kが1である場合には(ステップS68でYES)、制御部15は、欠損異常チェックがOKであると判断する(ステップS69)。この場合には、読取第1識別情報において、欠損していた1つの識別番号を追加することによって当該読取第1識別情報を補正してもよい。一方、変数kが2以上である場合には(ステップS68でNO)、制御部15は、欠損異常チェックがNGであると判断する(ステップS70)。
次に、ステップS39およびS41での余剰異常チェックの内容について、図16のフローチャートを参照して説明する。まず、制御部15は、変数iを1にリセットし、変数jおよびkのそれぞれを0(零)にリセットする(ステップS81)。変数iは、第1識別情報における正順または逆順での識別番号の順番である。変数kは、余剰な識別番号の数である。
ステップS81の直後では、変数iが10を超えていないので(ステップS82でYES)、制御部15は、読取第1識別情報のi番目の識別番号が、基準第1識別情報におけるi−j番目の識別番号と一致するか否かを確認する(ステップS83)。具体的に、ステップS81の直後では、変数iが1で変数jが0なので、制御部15は、読取第1識別情報と基準第1識別情報とで1番目の識別番号同士が一致するか否かを確認する。識別番号同士が一致すると(ステップS83でYES)、制御部15は、変数iだけをインクリメント(+1)する(ステップS84)。そして、変数jが0であれば、変数iが10を超えるまでの間(ステップS82でYES)、制御部15は、読取第1識別情報と基準第1識別情報とで同じ順番にある識別番号同士が一致するか否かを1番目から10番目まで確認する(ステップS83)。
ただし、ステップS83において、読取第1識別情報と基準第1識別情報とで識別番号同士が一致しないことを確認すると(ステップS83でNO)、制御部15は、その都度、変数i、jおよびkのそれぞれをインクリメント(+1)する(ステップS85)。この場合、余剰異常により、読取第1識別情報における識別番号の順番が後へ1つずれている可能性がある。
変数i、jおよびkのそれぞれをインクリメントした直後のステップS83では、読取第1識別情報における現時点でのi番目の識別番号が、基準第1識別情報におけるi−j番目(ここでのjは1以上)の識別番号と一致するか否かが確認される。つまり、読取第1識別情報におけるi番目の識別番号と、基準第1識別情報においてi番目から現時点の変数jだけ前にずれた順番の識別番号との一致が確認される。そして、変数iが10を超えるまでの間(ステップS82でYES)、制御部15は、読取第1識別情報と基準第1識別情報とで識別番号同士が一致しない場合には(ステップS83でNO)、その都度、変数i、jおよびkのそれぞれをインクリメントする(ステップS85)。
そして、変数iが10に到達することによって読取第1識別情報における全ての識別番号と基準第1識別情報の識別番号との対比が完了した場合には(ステップS82でNO)、制御部15は、現時点の変数kの値を確認する(ステップS86)。読取第1識別情報において余剰な識別番号が1つだけ存在する場合には、変数kは1である。変数kが1である場合には(ステップS86でYES)、制御部15は、余剰異常チェックがOKであると判断する(ステップS87)。この場合には、読取第1識別情報において、余剰な1つの識別番号を削除することによって当該読取第1識別情報を補正してもよい。一方、変数kが2以上である場合には(ステップS86でNO)、制御部15は、余剰異常チェックがNGであると判断する(ステップS88)。
以上のように、制御部15は、ステップS31、S33、S35、S37、S39およびS41により、それぞれの物品40から第1識別情報を正しく読み取れない原因を特定する特定手段として機能する。そして、原因が特定された物品40のうち、第1識別情報の一部だけが読み取れない物品40であれば、制御部15は、救済手段として、当該物品40を本物として救済し、必要に応じて、当該物品40における第1識別情報を補正して、補正後の第1識別情報を当該物品40の本来の第1識別情報とみなす。なお、前述の説明では、変数kが1よりも大きければ、そのときの物品40の異常チェックをNGとしているが、異常チェックをNGとする基準は、任意に変更できる。そのため、たとえば、変数kが1や2では、異常チェックをOKとし、変数kが3よりも大きければ、異常チェックをNGとしてもよい。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、この物品取扱装置1において、識別マーク44のついた物品40を繰り出して搬送し、振り分ける構成は、前述した物品読取装置以外の装置にも適用可能である。特に、以上で説明した読取部6は、今回の物品取扱装置1に限らず、ICタグ43や識別マーク44が内蔵された媒体を識別する装置、たとえば、遊技施設で遊技客に物品40を賞品として払い出す賞品払出機にも適用できる。具体的に、今回の物品取扱装置1に、収納部8から物品40を払い出す機能を設ければ、物品取扱装置1は、賞品払出機になる。もちろん、この機能があってもなくても、物品取扱装置1は、たとえば遊技施設において物品40を保管する物品保管機として用いることができる。
図17は、物品保管機とした場合における変形例に係る物品取扱装置1を含む物品取扱システム90を示す模式図である。物品取扱システム90は、通い箱91と、変形例に係る物品取扱装置1Aと、前述した管理センター83と、管理装置89とを含む。
通い箱91は、物品40を問屋から遊技施設へ納入する際に物品40を収納する箱である。通い箱91には、最大でたとえば100個の物品40を収納できる。問屋では、遊技移設に納入する物品40が、種類毎かつ所定枚数毎にまとまった状態で通い箱91に収納される。所定枚数毎の物品40は、カセット92にまとめられた状態で通い箱91に収納されてもよい。通い箱91には、ICチップ等で構成されたメモリ部93が設けられている。物品40が収納された状態の通い箱91では、通い箱91内の全ての物品40についての前述した種類情報および個別情報が、物品40毎の物品情報として、図18に示すようにテーブル94にまとめられてメモリ部93に記憶されている。なお、テーブル94には、通い箱91自体を特定するためのIDが記憶されてもよい。
物品取扱装置1Aは、筐体95を含む。筐体95には、通い箱91が上側からセットされるたとえば凹状のセット部95Aと、筐体95内からリジェクトされる物品を保留するリジェクト部95Bとが設けられている。筐体95内には、種類毎の物品40が配置される複数のレーン96が区画されている。筐体95内には、セット部95Aにセットされた通い箱91のメモリ部93に記憶されたデータを読み取り可能なリーダライタ97と、通い箱91から物品40を繰り出してレーン96やリジェクト部95Bに振り分ける繰出振分機構98と、前述した読取部6および制御部15とが設けられている。繰出振分機構98は、前述した搬送手段に相当する。
管理装置89は、遊技施設内における物品40を管理する装置であり、LAN(Local Area Network)等のネットワーク99を介して、物品取扱装置1Aと通信可能に接続されている。管理装置89は、公衆回線100等を介して遊技施設の外の管理センター83と通信可能に接続されている。
問屋では、通い箱91に物品40を収納する段階において、物品40のチェックが行なわれるが、このチェックは、物品40の厚みや色といった外観上についての簡易なチェックであり、有価物42の偽造までは詳しくチェックすることは困難である。また、物品40が、問屋から遊技施設に納入されて物品取扱装置1Aに装填されるまでの間に、通い箱91から引き抜かれて、偽物と差し替えられるような不正が想定されるので、問屋で通い箱91に収納された物品40と、この通い箱91から物品取扱装置1Aに受け渡された物品40とが全て一致しているか否かをチェックする必要がある。
そこで、物品取扱装置1Aでは、物品40が収納された状態の通い箱91がセット部95Aに対して上側からセットされると、リーダライタ97は、この通い箱91のメモリ部93に記憶されたテーブル94の内容を読み取り、制御部15に送る。これにより、制御部15は、テーブル94の内容、つまり、この通い箱91に収納された全ての物品40の種類情報および個別情報を取得する。その後、制御部15は、繰出振分機構98を駆動させ、繰出振分機構98は、この通い箱91から物品40を繰り出す。物品40は、1つずつ繰り出されてもよいし、カセット92毎にまとまって繰り出されてもよい。物品40の繰り出しの際、読取部6が、それぞれの物品40から第1識別情報および第2識別情報を読み取って制御部15に送る。
制御部15は、読取部6によってそれぞれの物品40から読み取られた第1識別情報および第2識別情報から得られる種類情報および個別情報(つまり、前述した物品情報)を、テーブル94の内容と照合する。テーブル94の中に同一の物品情報があれば、制御部15は、第1識別情報および第2識別情報が先程読み取られた物品40を、問屋で通い箱91に収納された正規の物品40であると判別する。さらに、制御部15は、第1識別情報および第2識別情報に基づいて当該物品40の正偽も判別する。本物と判別された物品40は、繰出振分機構98によって、白抜き矢印で示すように、該当するレーン96に振り分けられる。偽物と判別された物品40は、黒抜き矢印で示すように、リジェクト部95Bにリジェクトされ、係員によってリジェクト部95Bから回収される。
テーブル94の中に同一の物品情報がなければ、制御部15は、第1識別情報および第2識別情報が先程読み取られた物品40を、納入途中で差し替えられた非正規の物品40であると判別する。制御部15は、非正規の物品40についても真偽を判別してもよいが、大概の非正規品は偽物であると思われる。非正規の物品40は、設定により、黒抜き矢印で示すように、リジェクト部95Bや、筐体95に設けられた払出口(図示せず)にリジェクトされる。これにより、問屋で通い箱91に収納された時点の物品40と、この通い箱91から物品取扱装置1Aに装填された時点の物品40との整合性を確認できる。
そして、通い箱91内の全ての物品40が繰り出されて振り分けられると、各物品40がテーブル94に登録されたものであるか否かについての情報と、各物品40の真偽の判定結果とが、問屋から遊技施設への物品40の納入情報として、管理装置89や管理センター83に通知されてもよい。納入情報には、正規および非正規のそれぞれの物品40についての種類毎の総数等が含まれてもよい。
このように、正規品とされる物品40の中から偽物を見つけ出してリジェクトするだけでなく、通い箱91内の正規品と差し替えられた非正規品もリジェクトできるので、物品40に係るセキュリティの向上を図れる。ただし、同じ問屋において通い箱91に収納された物品40が別の通い箱91に入れ替えられることが想定される。そのため、通い箱91から物品取扱装置1Aに収納される物品40の物品情報が当該通い箱91のテーブル94の中に存在しなくても、当該物品40が同じ問屋から納入されたものであれば、当該物品40を正規品であると判定してもよい。
また、前述した実施形態において物品40を搬送する無端状の搬送体は、ベルト22であったが、ベルト22の代わりに、チェーンを用いることもできる。
また、複数の収納エリア79の並びは、上下方向でなく、前後方向であってもよい。また、物品40を搬送する向きや集積する向きは、適宜変更してもよい。
また、前述した実施形態では、読取部6が第1識別情報や第2識別情報を制御部15に送信して、制御部15がこれらの情報に基づいて物品40の真偽および種類を判別するが、判別自体は読取部6によって実施されて、その判別結果が制御部15に送信されてもよい。
また、物品40では、識別マーク44と同様の構成の識別マークが、ICタグ43の代わりに収容体41に設けられてもよい。この場合、有価物42に設けられた識別マーク44と、収容体41に設けられた識別マークとで、筋状マーク44Aの配列パターン等を異ならせることによって、識別マーク44から読み取られる第1読取情報と、収容体41の識別マークから読み取られる第2読取情報とで、読み取るための形式を異ならせておくことが好ましい。