JP6249400B2 - 新規dnaポリメラーゼ - Google Patents

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Description

本発明は、新規なDNAポリメラーゼに関する。本発明のDNAポリメラーゼは、特にPCRのために有用である。
DNAポリメラーゼは、試験管の中で鋳型となるDNA鎖に添って新しくDNA鎖を合成することができる酵素であり、その反応には鋳型DNAの他にプライマーとなるオリゴヌクレオチドと4種のデオキシヌクレオチド(dATP、dGTP、dCTP、dTTP)があれば、新しくDNA鎖が合成される。DNAポリメラーゼは塩基配列決定やPCRをはじめとする数多くの操作に利用されている。
PCR法にとっては、耐熱性という性質は必須のものであるし、塩基配列決定においても現在では耐熱性DNAポリメラーゼを利用したサイクルシークエンス法が標準になっている。耐熱性の酵素を得るためには、通常、好熱性微生物の産生する酵素を調べる。好熱性細菌の中でも特に80℃以上を増殖至適温度とするものは超好熱性と呼ばれ、耐熱性酵素の優れた資源となる。PCRで汎用されるTaq DNAポリメラーゼ(「Taqポリメラーゼ」ということもある。)は、好熱性真正細菌Thermus aquaticusから単離された。
DNAポリメラーゼは、アミノ酸配列の類似性から、ファミリーA、B、C、D、E、X及びYの7つのグループに分けられている。同じファミリーの酵素は、基本的にはよく似た性質を有している。実用的に利用されているのはファミリーA、Bに属する酵素である。
ファミリーAの酵素は、基質としてのジデオキシヌクレオチドの認識性に優れ、塩基配列決定のために最も適している。そのため、シークエンスキットとして現在市販されているものに含まれているのは、すべてファミリーAに属する酵素であり、真正好熱細菌由来のものが利用されている。PCRにはファミリーA及びBの酵素が、目的に応じて使い分けられている。
ファミリーBの酵素はジデオキシヌクレオチドの取込みが悪いために塩基配列決定には適さないが、鋳型鎖の配列に従ってDNA鎖合成を行う時の正確性に関わる3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を有しており、この活性を有しないTaqポリメラーゼなどのファミリーAの酵素よりも増幅時の間違いが少ない。ファミリーBの酵素として製品化されているのは、超好熱性アーキア由来のものである。より正確なPCRを行いたい場合にはファミリーBの酵素を用いればよく、長鎖DNAを増幅したい場合は、伸長性がよく、DNA合成効率のよいファミリーAの酵素を選択することができる。
現在までにPCR酵素として広く利用されている二種類のThermus属由来のDNAポリメラーゼを比較すると、Taq DNAポリメラーゼには弱い逆転写活性しかないが、Thermusthermophilus由来のTth DNAポリメラーゼ(Tthポリメラーゼ)は顕著に強い逆転写活性を有する。Tthポリメラーゼのこの性質は、一本の反応チューブで、一種類の酵素のみでmRNAから逆転写してcDNAを合成し、続いて増幅を行うという、簡便なRT-PCR技術に利用されている。この酵素は至適温度が高いので、逆転写反応を高温(60℃付近)で行うことができ、立体構造を形成しやすいRNAの逆転写にも有効である一方で、数kbに及ぶような長いcDNAの合成には適していない。
PCRは世界中に普及し、日常的に利用されている遺伝子解析技術である。したがって、さらに便利で使い易く、信頼性のあるDNAポリメラーゼが望まれ、また鋳型や、伸長性、迅速性、正確性等の目的に応じ、種々のDNAを適切に増幅することができる様々なDNAポリメラーゼの提供が望まれている。
これまで、Taqポリメラーゼの改変に関しては、ファミリーAのDNAポリメラーゼに高度に保存されているアミノ酸配列であって活性部位を含む部分をもとにプライマーを設計し、温泉土壌サンプルを鋳型とするPCR反応で得られた遺伝子断片を、野生型Taqポリメラーゼ遺伝子の相当する部分と入れ換えることにより、Taqポリメラーゼより伸長活性の高いキメラDNAポリメラーゼを得たとの報告がある(特許文献1及び2)。さらにメタゲノム解析やDNAポリメラーゼの立体構造情報をもとに、Taqポリメラーゼのアミノ酸配列中の742位のグルタミン酸と743位のアラニンの電荷の総和を増加するような変異を導入し、プライマー伸長活性、鋳型DNAにアニーリングしたプライマーに対する結合活性及びPCR性能の少なくとも1つがTaqポリメラーゼよりも高い改変Taqポリメラーゼを得たとの報告がある(特許文献3)。
特開2006-101791号公報 特開2006-204267号公報 特許4193997号公報
本発明者らはTaqポリメラーゼとTthポリメラーゼとのアミノ酸配列同一性(約80%)と逆転写活性に関する性質の違いに着目し、両者の配列を詳細に比較した。しかしながら、それだけでは両者の性質の違いがどこに依存するのかは予想が付き難かった。
一方、本発明者らは、各地の温泉土壌試料を採取し、そこから直接DNAを分離して、それ(メタゲノム)を基に、その中に含まれる様々な種類の生物が持つDNAポリメラーゼ遺伝子の一部をPCR法で増幅し、Taqポリメラーゼ遺伝子の相同な領域と試験管内で組換えることでキメラ酵素を作成するという手法を用いて、多種多様な生物由来DNAポリメラーゼの性質を,キメラTaqポリメラーゼの性質として反映させる実験結果を蓄積している。当然メタゲノムから獲得する遺伝子は、全長配列を含んでいることが理想であるが、環境中からメタゲノムDNAを調製すると、往々にして断片化していたり、損傷を受けていたりするので、完全長での遺伝子の獲得は非常に困難な作業である。したがって、メタゲノム中からDNAポリメラーゼの活性に大きな影響を与えている活性中心やその周辺の領域をコードする遺伝子部分を獲得し、Taqポリメラーゼ遺伝子の相同な領域と組換えて、キメラ酵素遺伝子とすることで,獲得した遺伝子断片がDNAポリメラーゼの基本的な性質に直接影響を与えると考えられる実験系を構築した。
このようにして作製した多くのキメラTaqポリメラーゼの活性測定の結果を照らし合わせ、また野生型Taqポリメラーゼに組換えたメタゲノムDNA由来の遺伝子断片の配列を比較することで、系統樹を作成した(本出願には含まれていない。)。そして、キメラTaqポリメラーゼの活性を変化させた要因を予測した結果、野生型Taqポリメラーゼと比較して逆転写活性が顕著に強いキメラTaqポリメラーゼ8-16、18-7、1-8、3-7が見つかった。
そこでまず、8-16、Taqポリメラーゼ、Tthポリメラーゼの配列比較を行うと、8-16とTthポリメラーゼで共通し、Taqポリメラーゼとは異なるアミノ酸残基は見つからなかった。しかし、TaqポリメラーゼとTthポリメラーゼの間で異なるアミノ酸残基十個のうち、この三種類のポリメラーゼの間で性質がまったく異なるアミノ酸残基が三箇所あった。そこで、このアミノ酸残基に注目して変異を導入することとした。
次に18-7とTaqポリメラーゼ、Tthポリメラーゼの配列比較により、逆転写活性を有する18-7とTthポリメラーゼでは共通し、Taqポリメラーゼとは一致しないアミノ酸残基を探すと四箇所のアミノ酸残基が見つかった。その中でも18-7とTthポリメラーゼの持つアミノ酸残基とTaqポリメラーゼの持つアミノ酸残基の性質が大きく異なるものが一箇所あり,このアミノ酸残基に変異を導入することにした。
さらに、1-8、3-7に関しては、強いプライマー伸長活性と逆転写活性を示すのに対して、殆ど同じ配列を有するが極端に活性が弱いキメラ酵素1-20が存在した。この酵素1-20を含めて、1-8、3-7との三者の配列で完全に一致しない二箇所のアミノ酸のうち、活性が大きく異なる1-20だけが共通しない一箇所を選んで変異を導入することにした。
このような戦略で作製した部位特異的変異Taqポリメラーゼ及びTthポリメラーゼの変異体を、野生型の酵素と比較した。まず、変異体の、DNAを鋳型とするヌクレオチド取り込み活性を測定したところ、野生型Taqポリメラーゼの比活性値を100%としたとき、変異体それぞれの相対活性は、基本的にはDNAポリメラーゼとしての活性に大きな変化はないことが確認された。次いで、これらの酵素について、RNAを鋳型とするヌクレオチド取り込みアッセイによる逆転写活性を測定したところ、野生型のTthポリメラーゼに比べて1.4倍の逆転写活性を有する変異型Taqポリメラーゼ(Taq R651E)、また1.7倍の逆転写活性を有する変異型Tthポリメラーゼ(Tth P653E)を見出した。なお、配列の比較をした結果、Tthポリメラーゼの653番アミノ酸は、Taqポリメラーゼの651番アミノ酸と対応するアミノ酸であることが明らかになった(図1参照)。このように本発明者らは、極めて有用だと考えられる性質を有する変異体DNAポリメラーゼを創製し、本発明を完成した。
本発明は、以下を提供する:
[1] 下記(a)〜(c)のいずれか一である、DNAポリメラーゼ:
(a)配列番号:12のアミノ酸配列において、651番のアルギニン残基を、側鎖が負電荷を有するアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列、または好熱性真正細菌由来のファミリーAに属するDNAポリメラーゼのアミノ酸配列において、配列番号:12の651番に対応するアミノ酸残基を、側鎖が負電荷を有するアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列、からなる、DNAポリメラーゼ;
(b)(a)に記載のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列において、(a)において置換されたアミノ酸残基以外の1〜9個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなるDNAポリメラーゼ;及び
(c)(a)に記載のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列と、少なくとも95%同一のアミノ酸配列であるが、(a)において置換されたアミノ酸残基は(a)のアミノ酸残基と同一である配列からなる、DNAポリメラーゼ;
[2] 好熱性真正細菌由来のファミリーAに属するDNAポリメラーゼが、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)由来のDNAポリメラーゼまたはサーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)由来のDNAポリメラーゼからなる群から選択される、請求項1に記載のDNAポリメラーゼ;
[3] (a)のDNA ポリメラーゼが、下記(a1):
(a1)配列番号:12のアミノ酸配列において、651番のアルギニン残基を、側鎖が負電荷を有するアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなる、DNAポリメラーゼ;
である、[1]または[2]に記載のDNAポリメラーゼ;
[4](a1)のDNAポリメラーゼが、配列番号:20のアミノ酸配列からなる、[3]に記載のDNAポリメラーゼ;
[5] (b)または(c)のDNAポリメラーゼが、16.0×103U/mg以上の逆転写活性を有する、[3]または[4]に記載のDNAポリメラーゼ;
[6] 下記(A1)〜(D1)のいずれか一である、ポリヌクレオチド:
(A1)配列番号:19のヌクレオチド配列からなる、ポリヌクレオチド;
(B1)[3]記載のDNAポリメラーゼをコードするヌクレオチド配列からなる、ポリヌクレオチド;
(C1)配列番号:19のヌクレオチド配列と相補的な配列からなるポリヌクレオチドに、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、DNAポリメラーゼをコードする、ポリヌクレオチド;及び
(D1)配列番号:19のヌクレオチド配列と少なくとも95%同一である配列からなるDNAポリメラーゼをコードする、ポリヌクレオチド;
[7] (C1)または(D1)のDNAポリメラーゼが、16.0×103U/mg以上の逆転写活性を有する、[6]に記載のポリヌクレオチド;
[8] (a)のDNA ポリメラーゼが、下記(a2):
(a2)配列番号:14のアミノ酸配列において、653番のプロリン残基を、側鎖が負電荷を有するアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなる、DNAポリメラーゼ;
である、[1]または[2]に記載のDNAポリメラーゼ;
[9](a2)のDNAポリメラーゼが、配列番号:22のアミノ酸配列からなる、[8]記載のDNAポリメラーゼ;
[10] (b)または(c)のDNAポリメラーゼが、16.0×103U/mg以上の逆転写活性を有する、[8]または[9]に記載のDNAポリメラーゼ;
[11] 下記(A2)〜(D2)のいずれか一である、ポリヌクレオチド:
(A2)配列番号:21のヌクレオチド配列からなる、ポリヌクレオチド;
(B2)[8]記載のDNAポリメラーゼをコードするヌクレオチド配列からなる、ポリヌクレオチド;
(C2)配列番号:21のヌクレオチド配列と相補的な配列からなるポリヌクレオチドに、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、DNAポリメラーゼをコードする、ポリヌクレオチド;及び
(D2)配列番号:21のヌクレオチド配列と少なくとも95%同一である配列からなるDNAポリメラーゼをコードする、ポリヌクレオチド;
[12] (C2)または(D2)のDNAポリメラーゼが、16.0×103U/mg以上の逆転写活性を有する、[11]に記載のポリヌクレオチド;
[13] 下記(a3)〜(c3)のいずれか一である、DNAポリメラーゼ:
(a3)配列番号:12のアミノ酸配列において、117番のグルタミン酸残基、119番のアスパラギン酸残基、142番のアスパラギン酸残基及び144番のアスパラギン酸残基から選択される一以上を、非極性の脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなる、DNAポリメラーゼ;
(b3)(a3)に記載のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列において、1〜9個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列であるが、(a3)に記載のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列の117番、119番、142番及び144番から選択される一以上に対応するアミノ酸残基は同一であるアミノ酸配列からなるDNAポリメラーゼ;及び
(c3)(a3)に記載のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列と、少なくとも95%同一のアミノ酸配列であるが、(a3)に記載のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列の117番、119番、142番及び144番から選択される一以上に対応するアミノ酸残基は同一であるアミノ酸配列からなるDNAポリメラーゼ;
[14] (a3)のDNAポリメラーゼが、配列番号:16のアミノ酸配列からなる、[13]記載のDNAポリメラーゼ;
[15] (b3)または(c3)のDNAポリメラーゼが、4.00 kb/U・min以上のDNAを鋳型としたプライマー伸長活性を有する、[13]または[14]に記載のDNAポリメラーゼ;
[16] 下記(A3)〜(D3)のいずれか一である、ポリヌクレオチド:
(A3)配列番号:15のヌクレオチド配列からなる、ポリヌクレオチド;
(B3)[13]記載のDNAポリメラーゼをコードするヌクレオチド配列からなる、ポリヌクレオチド;
(C3)配列番号:15のヌクレオチド配列と相補的な配列からなるポリヌクレオチドに、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、DNAポリメラーゼをコードする、ポリヌクレオチド;及び
(D3)配列番号:15のヌクレオチド配列と少なくとも95%同一である配列からなるDNAポリメラーゼをコードする、ポリヌクレオチド;
[17] (C3)または(D3)のDNAポリメラーゼが、4.00 kb/U・min以上のDNAを鋳型としたプライマー伸長活性を有する、[16]に記載のポリヌクレオチド;
[18] 下記(a4)〜(c4)のいずれか一である、DNAポリメラーゼ:
(a4)配列番号:12のアミノ酸配列において、117番のグルタミン酸残基、119番のアスパラギン酸残基、142番のアスパラギン酸残基及び144番のアスパラギン酸残基から選択される一以上並びに742番のグルタミン酸残基を、非極性の脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなる、DNAポリメラーゼ;
(b4)(a4)に記載のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列において、1〜9個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列であるが、(a4)に記載のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列の117番、119番、142番及び144番から選択される一以上並びに742番に対応するアミノ酸残基は同一であるアミノ酸配列からなるDNAポリメラーゼ;及び
(c4)(a4)に記載のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列と、少なくとも95%同一のアミノ酸配列であるが、(a4)に記載のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列の117番、119番、142番及び144番から選択される一以上並びに742番に対応するアミノ酸残基は同一であるアミノ酸配列からなるDNAポリメラーゼ;
[19] (a4)のDNAポリメラーゼが、配列番号:18のアミノ酸配列からなる、[18記載のDNAポリメラーゼ;
[20] (b4)または(c4)のDNAポリメラーゼが、4.00 kb/U・min以上のDNAを鋳型としたプライマー伸長活性を有する、[18]または[19]に記載のDNAポリメラーゼ;
[21] 下記(A4)〜(D4)のいずれか一である、ポリヌクレオチド:
(A4)配列番号:17のヌクレオチド配列からなる、ポリヌクレオチド;
(B4)[18]記載のDNAポリメラーゼをコードするヌクレオチド配列からなる、ポリヌクレオチド;
(C4)配列番号:17のヌクレオチド配列と相補的な配列からなるポリヌクレオチドに、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、DNAポリメラーゼをコードする、ポリヌクレオチド;及び
(D4)配列番号:17のヌクレオチド配列と少なくとも95%同一である配列からなるDNAポリメラーゼをコードする、ポリヌクレオチド;
[22] (C4)または(D4)のDNAポリメラーゼが、4.00 kb/U・min以上のDNAを鋳型としたプライマー伸長活性を有する、[21]に記載のポリヌクレオチド;
[23] [7]、[12]、[17]および[22]のいずれか1項記載のポリヌクレオチドを含む、組換えベクター;
[24] [23]に記載の組換えベクターを含む、形質転換体;そして
[25] [24]に記載の形質転換体を培養する工程を含む、[1]〜[5]、[8]〜[10]、[13]〜[15]、および[18]〜[20]のいずれか1項記載のDNAポリメラーゼを製造する方法。
図1−1は、Taq DNAポリメラーゼとTth DNAポリメラーゼのアミノ酸配列を比較し、アラインメントに表示した図である。▽は、Taq DNAポリメラーゼの651番アミノ酸とTth DNAポリメラーゼの653番アミノ酸とが、対応していることを示す。 図1−2は、Taq DNAポリメラーゼとTth DNAポリメラーゼのアミノ酸配列を比較し、アラインメントに表示した図である。▼は、Taq DNAポリメラーゼの651番アミノ酸を示す。 図1−3は、Taq DNAポリメラーゼとTth DNAポリメラーゼのアミノ酸配列を比較し、アラインメントに表示した図である。▼は、Taq DNAポリメラーゼの651番アミノ酸を示す。 図2は、Taq DNAポリメラーゼ変異体の精製に関する、SDS-PAGEゲルの写真である。SDS-PAGEでの分析によって、調製したTaq DNAポリメラーゼ変異体それぞれの純度を確認した(実施例1参照)。 図3は、ヌクレオチド取り込みアッセイによる酵素活性測定の実例を示したグラフである(実施例2参照)。この実験の条件では、Taqの活性は、3.9×105U/mgであった。 図4は、プライマー伸長速度を求めるためのグラフの例である。酵素量一定でプライマー伸長反応のタイムコースをとり、直線に乗る領域で、単位時間あたりの伸長鎖長をアルカリアガロース電気泳動法により測定して伸長速度を求めることができる(実施例2参照)。この実験の条件では、Taq 4.67 kb/min/U、Taq'(Taq変異体)6.67 kg/min/U、キメラA(Taqの一部を、メタゲノムから得られた相同な領域と組換えたキメラ)11.20 kb/min/Uであった。 図5は、プライマー伸長速度を比較するための、アルカリアガロース電気泳動ゲルの写真である。 図6は、配列番号:12のTaq WTアミノ酸配列、及び配列番号:11のTaq WTヌクレオチド配列を示した図である。 図7は、配列番号:14のTth WTアミノ酸配列、及び配列番号:13のTth WTヌクレオチド配列を示した図である。 図8は、配列番号:16のTaq Exo-のアミノ酸配列、及び配列番号:15のTaq Exo-のヌクレオチド配列を示した図である。 図9は、配列番号:18のTaq Exo- + E742Aのアミノ酸配列、及び配列番号:17のTaq Exo- + E742Aのヌクレオチド配列を示した図である。 図10は、配列番号:20のTaq R651Eアミノ酸配列、及び配列番号:19のTaq R651Eヌクレオチド配列を示した図である。 図11は、配列番号:22のTth P653Eアミノ酸配列、及び配列番号:21のTth P653Eヌクレオチド配列を示した図である。
[定義等]
本発明「DNAポリメラーゼ」というときは、特に記載した場合を除き、デオキシリボヌクレオシド三リン酸を基質として、鋳型核酸(DNA又はRNA)と相補的なDNA鎖を伸長する活性を有するタンパク質をいう。本発明において「Taqポリメラーゼ」又は「Taq DNAポリメラーゼ」というときは、特に記載した場合を除き、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)由来のDNAポリメラーゼをいう。このアミノ酸配列及びヌクレオチド配列は、配列番号:12及び11として、本明細書の一部である配列表に示されている。本発明で「Tthポリメラーゼ」又は「Tth DNAポリメラーゼ」というときは、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)由来のDNAポリメラーゼをいう。このアミノ酸配列及びヌクレオチド配列は、配列番号:14及び13として、本明細書の一部である配列表に示されている。
DNAポリメラーゼ活性:
本発明でDNAポリメラーゼに関し、「活性」というときは、転写活性と、プライマー伸長活性とを含む。
転写活性には、DNAを鋳型とする転写活性と、RNAを鋳型とする転写活性とが含まれる。転写活性は、当業者にはよく知られているように、基質であるデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)の取り込み活性として測定することができる。より具体的には、仔牛胸腺DNAやサケ精子DNAなどをDNase Iで部分的に消化して、二本鎖DNAにニックやギャップを生じさせたものを鋳型とし、一方、基質となるdNTPに放射性同位体で標識されたものを混合しておき、対象となるDNAポリメラーゼを作用させ、ニックトランスレーションによるニック部分に、またはプライマー伸長活性によりギャップ部分にヌクレオチドが取り込まれる量、放射活性を指標に測定することができる。この方法はヌクレオチド取り込みアッセイと呼ばれ、DNAポリメラーゼ活性を測定するための標準的な方法でもある。
本発明で「転写活性」又は「DNAポリメラーゼとしての基本活性」というときは、特に記載した場合を除き、DNAを鋳型とした場合のdNTPの取り込み活性をいう。本発明で「転写活性」又は「DNAポリメラーゼとしての基本活性」について数値で表わすときは、特に記載した場合を除き、DNAポリメラーゼが72℃で30分間に10 nmolsのヌクレオチドを取り込む酵素量を1 unit(U)として定義し、比活性(タンパク質量あたりの活性)として表わした値であり、単位は、U/mg等である。その測定のための条件は、特に記載した場合を除き、本明細書の実施例に記載したものである。
本発明で「逆転写活性」というときは、特に記載した場合を除き、RNAを鋳型とした場合のdNTPの取り込み活性をいう。本発明で「逆転写活性」について数値で表わすときは、特に記載した場合を除き、DNAポリメラーゼが72℃で30分間に10 nmolsのヌクレオチドを取り込む酵素量を1 unit(U)として定義し、比活性(タンパク質量あたりの活性)として表わした値であり、単位は、U/mg等である。その測定のための条件は、特に記載した場合を除き、本明細書の実施例に記載したものである。
本発明で「プライマー伸長活性」というときは、特に記載した場合を除き、DNA又はRNAを鋳型として、基質dNTPに対象となるDNAポリメラーゼを作用させた場合に単位時間当たりに伸長した鎖長をいい、単位はkb/U/min、bp/pmol/min等とすることができる。その測定のための条件は、特に記載した場合を除き、本明細書の実施例に記載したものである。
本発明のDNAポリメラーゼ:
本発明は、新規DNAポリメラーゼ、すなわち、好熱性真正細菌由来のファミリーAに属するDNAポリメラーゼの変異体、特に、Thermus aquaticusのポリメラーゼ(Taqポリメラーゼ)の特定の変異体またはそのホモログの変異体を提供する。
ここで、「好熱性真正細菌」というときは、至適生育温度が45℃以上、または60℃以上の真正細菌のことを示し、例えば、Thermus aquaticusThermus thermophilus等のサーマス(Thermus)属の細菌、Thermotogamaritima等のサーモトーガ(Thermotoga)属の細菌、Aquifex aeolicus等のアクイフェックス(Aquifex)属の細菌、及びThermodesulfobacteriumcommune等のサーモデスルフォバクテリウム(Thermodesulfobacterium)属の細菌が挙げられる。好ましくは、ThermusaquaticusThermus thermophilusが挙げられる。
したがって、本発明のDNAポリメラーゼとしては、Thermus aquaticus由来のDNAポリメラーゼ(Taqポリメラーゼ)の変異体、またはサーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)由来のDNAポリメラーゼ(Tthポリメラーゼ)の変異体を始め、他の好熱性真正細菌由来のファミリーAに属するDNAポリメラーゼであって、Taqポリメラーゼの変異部位と配列比較上対応するアミノ酸が変異した変異体、を提供することが好ましい。
たとえば、Thermus aquaticus由来のDNAポリメラーゼ(Taqポリメラーゼ)のアミノ酸配列と、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)由来のDNAポリメラーゼ(Tthポリメラーゼ)のアミノ酸配列とを比較し、アラインメントを作成した場合、Taqポリメラーゼの651番アミノ酸と、Tthポリメラーゼの653番アミノ酸は、対応するアミノ酸であることが明らかになった(図1)。
本発明者らは、キメラTaqポリメラーゼに関する検討結果から、高いプライマー伸長活性と逆転写活性を示す2つのキメラ酵素と、それらと殆ど同じ配列を有するが極端に活性が低い他のキメラ酵素を見出しており、それらの配列間で、活性が低いものだけが共通しない一箇所を選んで変異を導入することにより、野生型のTthポリメラーゼに比べて1.4倍の逆転写活性を有する変異型Taqポリメラーゼ(Taq R651E)、また1.7倍の逆転写活性を有する変異型Tthポリメラーゼ(Tth P653E)を見出した。
したがって、本発明は、第一の態様において、好熱性真正細菌由来のファミリーAに属するDNAポリメラーゼのアミノ酸配列において、それぞれの対応する1個のアミノ酸残基を、側鎖が負電荷を有するアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなる、DNAポリメラーゼを、提供する(第一の態様について上記[1]および[2]を参照)。より具体的には、配列番号:12のアミノ酸配列において、651番のアルギニン残基を、側鎖が負電荷を有するアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列、または好熱性真正細菌由来のファミリーAに属するDNAポリメラーゼのアミノ酸配列において、配列番号:12の651番に対応するアミノ酸残基を、側鎖が負電荷を有するアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列、からなる、DNAポリメラーゼを、提供する(第一の態様について上記[1]および[2]を参照)。さらに具体的には、本発明は、変異体Taq R651E及びそのホモログ、またはTth P653E及びそのホモログ、から構成されるDNAポリメラーゼを提供することができる(第一の態様について、変異体Taq R651Eについては上記[3]〜[7]を、そしてTth P653Eについては上記[8]〜[12]を、それぞれ参照)。
Taq R651Eのアミノ酸配列及びそれをコードするヌクレオチド配列は、本明細書の一部である配列表の、配列番号:20及び19に示した。Tth P653Eのアミノ酸配列及びそれをコードするヌクレオチド配列は、本明細書の一部である配列表の、配列番号:22及び21に示した。
本願発明の第一の態様におけるDNAポリメラーゼは、逆転写活性が野生型のDNAポリメラーゼより向上することを特徴とする。具体的には、変異体TaqR651E及びそのホモログの逆転写活性は、5.00×103 U/mg以上であり、好ましくは10.0×103 U/mg以上であり、より好ましくは15.0×103 U/mg以上であり、さらに好ましくは20.0×103 U/mg以上である。一方、変異体Tth P653E及びそのホモログの逆転写活性は、16.0×103 U/mg以上であり、好ましくは18.0×103 U/mg以上であり、より好ましくは20.0×103 U/mg以上である。
本発明者らはさらに、Taqポリメラーゼを改変して、より優れたPCR酵素を創製することを目的に、鋭意検討し、Taqポリメラーゼに付随する5'-3'キソヌクレアーゼ活性にとって重要と予想されるアミノ酸残基を4カ所同時に変換した変異体Taq Exo-(E117A、D119A、D142A、D144A)が野生型Taqポリメラーゼに比べてDNAを鋳型としたプライマー伸長活性において優れていることを見出した。したがって、本発明は、第二の態様において、変異体Taq Exo-及びそのホモログ、それらをコードするポリペプチド及びそのホモログを提供する(第二の態様について、上記[13]〜[17]を参照)。
Taq Exo-のアミノ酸配列及びそれをコードするヌクレオチド配列は、本明細書の一部である配列表の、配列番号:16及び15に示した。
Taq Exo-においては、配列番号:12のアミノ酸配列において、117番のグルタミン酸、119番のアスパラギン酸、142番のアスパラギン酸及び144番のアスパラギン酸のすべてが置換されているが、これらから選択される1つ以上、好ましくは2つ、より好ましくは3つが、それぞれ独立に、非極性の脂肪族側鎖を有するアミノ酸、好ましくはグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びプロリンからなる群から選択されるアミノ酸、より好ましくはアラニンに置換されているアミノ酸配列を有するホモログもまた、本願発明の範囲である。
本発明の第二の態様における変異体Taq Exo-及びそのホモログの、DNAを鋳型としたプライマー伸長活性は、4.00 kb/U・min以上、好ましくは8.00 kb/U・min以上、より好ましくは9.00 kb/U・min以上、さらに好ましくは14.0 kb/U・min以上であるである。
本発明者らはまた、Taq Exo-変異体に前掲特許文献3の変異を合わせると、伸長活性がさらに増すことも見出した。したがって、本発明は、第三の態様において、変異体Taq Exo- + E742A及びそのホモログ、それらをコードするポリペプチド及びそのホモログを提供する(第三の態様について、上記[18]〜[22]を参照)。
Taq Exo- + E742Aのアミノ酸配列及びそれをコードするヌクレオチド配列は、本明細書の一部である配列表の、配列番号:18及び17に示した。
Taq Exo- + E742Aにおいては、配列番号:12のアミノ酸配列において、117番のグルタミン酸、119番のアスパラギン酸、142番のアスパラギン酸及び144番のアスパラギン酸、並びに742番のグルタミン酸のすべてが置換されているが、これらから選択される一以上、好ましくは2つ、より好ましくは3つ、さらに好ましくは4つが、それぞれ独立に、非極性の脂肪族側鎖を有するアミノ酸、好ましくはグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びプロリンからなる群から選択されるアミノ酸、より好ましくはアラニンに置換されているアミノ酸配列を有するホモログもまた、本願発明の範囲である。
本発明の第三の態様における変異体Taq Exo- + E742A及びそのホモログの、DNAを鋳型としたプライマー伸長活性は、4.00 kb/U・min以上、好ましくは8.00 kb/U・min以上、より好ましくは9.00 kb/U・min以上、さらに好ましくは14.0 kb/U・min以上であるである。
上述したような本発明のいずれの変異体にも、N末端側から連続する複数のアミノ酸残基から構成されるエキソヌクレアーゼ活性を有する領域を欠失したものが含まれる。欠失していてもよいN末端側領域は、当業者であれば適宜設計できるが、変異型Taqポリメラーゼの場合、典型的には、配列番号:12のアミノ酸配列において1〜233番の部分、1〜293番の部分、または1〜302番の部分であり、変異型Tthポリメラーゼの場合、典型的には、Taqの1〜233番に相当する、配列番号:14のアミノ酸配列における1〜237番の部分である。それぞれの場合において、上記の領域の範囲内で、上述した欠失よりも短いアミノ酸残基数の領域が欠失しているものも、本発明の変異体DNAポリメラーゼに含まれる。
また、本発明で「1〜9個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加された」というときの置換等されるアミノ酸の個数は、そのアミノ酸配列を有するタンパク質(DNAポリメラーゼ)が所望の機能を有する限り特に限定されないが、1〜9個又は1〜4個程度であるか、同一又は性質の似たアミノ酸配列をコードするような置換等であれば、さらに多くの個数の置換等がありうる。このようなアミノ酸配列を有するタンパク質を獲得するための手段は、当業者にはよく知られている。
アミノ酸の置換等は、静電的な変化をもたらさないような置換等、例えば、電荷及び/又は極性の似たアミノ酸への置換であってもよい。このような置換には、例えば、生理的pH(7.0)付近で側鎖(R基と表現されることもある。)が非極性の脂肪族側鎖を有するアミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びプロリン等)どうしの置換、極性の非電荷型側鎖を有するアミノ酸(セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン及びグルタミン等)どうしの置換、生理的pH付近で側鎖が正電荷を有するアミノ酸(リシン、アルギニン、及びヒスチジン等)どうしの置換、側鎖が負電荷を有するアミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸等)どうしの置換、極性アミノ酸どうしの置換、非極性アミノ酸どうしの置換がある。
本発明においては、たとえば、上述した第一の態様〜第三の態様に含まれる変異体DNAポリメラーゼの他、野生型Taqポリメラーゼ(配列番号:12)あるいは野生型Tthポリメラーゼ(配列番号:14)の661番アミノ酸、664番アミノ酸、674番アミノ酸などに、上述したような特徴を有するアミノ酸どうしの置換を有するものなどが、好ましいDNAポリメラーゼとして含まれる。具体的には、野生型Taq(配列番号:12)の661番アミノ酸であるアルギニン残基がグルタミン酸残基に置換された変異体、664番アミノ酸であるチロシン残基がアルギニン残基に置換された変異体、674番アミノ酸であるセリン残基がアルギニン残基に置換された変異体、などが、好ましいDNAポリメラーゼに含まれる(図5を参照)。
本発明でいうストリンジェントな条件は、当業者であれば、基準となるポリヌクレオチドの長さ等の情報を基に、適宜決定することが可能である。当業者は、ストリンジェントな条件として、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001)に示された条件を参照することができる。ストリンジェントな条件は、例えば、約40〜50℃での、約50%ホルムアミド、2×SSC〜6×SSC(又は約42℃での約50%ホルムアミド中の、Stark's solution等の、他の同様のハイブリダイゼーション溶液)のハイブリダイゼーション条件をいう。このとき、5×SSC、0.5% SDS、1.0 mM EDTA(pH8.0)の前洗浄溶液、及び/又は約60℃、0.5×SSC、0.1% SDSの洗浄条件を適用してもよい。ストリンジェントな条件は、より好ましくは、約40〜50℃での、約50%ホルムアミド、2×SSC〜6×SSC(又は約42℃での約50%ホルムアミド中の、Stark's solution等の、他の同様のハイブリダイゼーション溶液)のハイブリダイゼーション条件に加えて、約68℃、0.2×SSC、0.1%SDSの洗浄を伴う。
本発明で、アミノ酸配列に関し、同一性が高いというときは、特に記載した場合を除き、少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、最も好ましくは97%以上の配列の同一性を指す。本発明で、ヌクレオチド配列に関し、同一性が高いというときは、特に記載した場合を除き、少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、最も好ましくは97%以上の配列の同一性を指す。ポリヌクレオチド配列又はアミノ酸配列の同一性に関する検索・解析は、当業者には周知のアルゴリズム又はプログラム(例えば、BLASTN、BLASTP、BLASTX、ClustalW)により行うことができる。プログラムを用いる場合のパラメーターは、当業者であれば適切に設定することができ、また各プログラムのデフォルトパラメーターを用いてもよい。これらの解析方法の具体的な手法もまた、当業者には周知である。
アミノ酸配列においても、ヌクレオチド配列においても、本明細書では、意図した機能発揮のために重要な位置が説明されている。したがって、当業者であれば、そのような重要な位置を除く部分について配列を適宜変化させた種々の変異体を設計し、調製し、使用することができる。そのような変異体もまた、本発明の範囲に含まれうる。
本発明のDNAポリメラーゼは、当業者にはよく知られた方法によって、製造することができる。組換えベクターを作製する際には、まず、目的とするタンパク質のコード領域を含む適当な長さのDNA断片を調製する。目的とするタンパク質のコード領域のヌクレオチド配列において、宿主細胞における発現に最適なコドンとなるように、ヌクレオチドを置換してもよい。次いで、上記DNA断片を適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入して組換えベクターを作製する。上記DNA断片は、その機能が発揮されるようにベクターに組み込まれることが必要であり、ベクターは、プロモーターの他、エンハンサー等のシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー(例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子)、リボソーム結合配列(SD配列)等を含有することができる。目的とするタンパク質を生産し得る形質転換体は、組換えベクターを適当な宿主細胞に導入することにより得ることができる。
発現ベクターとしては、宿主細胞において自立複製が可能なものであれば特に限定されず、例えば、プラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター等を使用することができる。プラスミドベクターとしては、例えば、大腸菌由来のプラスミド(例えば、pRSET、pBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19)、枯草菌由来のプラスミド(例えば、pUB110、pTP5)、酵母由来のプラスミド(例えば、YEp13、YEp24、YCp50)を使用することができ、ファージベクターとしては、例えば、λファージ(例えば、Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP)等を使用することができ、ウイルスベクターとしては、例えば、レトロウイルス、ワクシニアウイルス等の動物ウイルス、バキュロウイルス等の昆虫ウイルスを使用することができる。
宿主細胞としては、目的とするタンパク質をコードするDNAを発現し得る限り、原核細胞、酵母、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞等のいずれを使用してもよい。また、動物個体、植物個体、カイコ虫体等を使用してもよい。
細菌を宿主細胞とする場合、例えば、エッシェリヒア・コリ(Escherichia coli)等のエシェリヒア属、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバチルス属、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス属、リゾビウム・メリロティ(Rhizobium meliloti)等のリゾビウム属に属する細菌を宿主細胞として使用することができる。具体的には、Escherichia coli BL21、Escherichia coli XL1-Blue、Escherichia coli XL2-Blue、Escherichia coli DH1、Escherichia coli K12、Escherichia coli JM109、Escherichia coli HB101等の大腸菌、Bacillus subtilis MI 114、Bacillus subtilis 207-21等の枯草菌を宿主細胞として使用することができる。この場合のプロモーターは、大腸菌等の細菌中で発現できるものであれば特に限定されず、例えば、trpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター等の大腸菌やファージ等に由来するプロモーターを使用することができる。また、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーターも使用することができる。酵母を宿主細胞とする場合、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)等を宿主細胞として使用することができる。この場合のプロモーターは、酵母中で発現できるものであれば特に限定されず、例えば、gal1プロモーター、gal10プロモーター、ヒートショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、AOX1プロモーター等を使用することができる。昆虫細胞を宿主とする場合には、Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞、Trichoplusia niの卵巣細胞、カイコ卵巣由来の培養細胞等を宿主細胞として使用することができる。Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞としてはSf9、Sf21等、Trichoplusia niの卵巣細胞としてはHigh 5、BTI-TN-5B1-4(インビトロジェン社製)等、カイコ卵巣由来の培養細胞としてはBombyx mori N4等を使用することができる。
組換えベクターの宿主への導入方法としては、宿主にDNAを導入し得る方法であれば特に限定されず、例えば、カルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等を使用することができる。昆虫細胞への組換えベクターの導入方法は、昆虫細胞にDNAを導入し得る限り特に限定されず、例えば、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法等を使用することができる。
目的とするタンパク質をコードするDNAを組み込んだ組換えベクターを導入した形質転換体を培養する。形質転換体の培養は、宿主細胞の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
形質転換体の培養物より目的とするタンパク質を採取することにより、目的とするタンパク質が得られる。ここで、「培養物」には、培養上清、培養細胞、培養菌体、細胞又は菌体の破砕物のいずれもが含まれる。
目的とするタンパク質が形質転換体の細胞内に蓄積される場合には、培養物を遠心分離することにより、培養物中の細胞を集め、該細胞を洗浄した後に細胞を破砕して、目的とするタンパク質を抽出する。目的とするタンパク質が形質転換体の細胞外に分泌される場合には、培養上清をそのまま使用するか、遠心分離等により培養上清から細胞又は菌体を除去する。得られたタンパク質は、溶媒抽出法、硫安等による塩析法脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロース、イオン交換クロマトグラフィー法、疎水性クロマトグラフィー法、ゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法等により精製することができる。
本発明の変異体は、DNA増幅(特に、PCR)を行う際に有用であり、DNA増幅(特に、PCR)用キットの構成要素として使用することができる。DNA増幅(特に、PCR)用キットは、本発明の改変Taqポリメラーゼ又はその断片以外に、DNA増幅(特に、PCR)を行うために必要な試薬(例えば、4種類のdNTPs、Mg2+、バッファー、添加剤など)、容器、装置等を含むことができる。本発明のDNA増幅方法及びキットは、DNA配列決定、遺伝子診断、親子鑑定や犯罪捜査における個体識別、品種判定、体質調査のためのSNP(一塩基多型)解析、遺跡調査など幅広い用途に適している。
〔実施例1:変異体の作製〕
1. 変異の導入:
Taqポリメラーゼのアミノ酸置換変異体を作製するため、目的の位置に変異が入るように配列を設計したプライマーと、Taqポリメラーゼ遺伝子が挿入された発現用プラスミドを鋳型として、PCR反応によるプライマー依存的な部位特異的変異の導入を行った。Taqポリメラーゼの部位特異的変異の導入には、以下に示すプライマーを用いた。それぞれの変異体作成におけるアミノ酸置換部位を下線で示した。
PCR反応液50μl(20 ng pTV-Taq plasmid DNA、0.5μM各プライマーセット、0.2 mM dNTP、1 U Pyrobest DNA polymerase(TAKARA Bio)をPyrobest用buffer中で98℃で10秒間,初期変性を行い,16サイクル(98℃10秒,55℃30秒,72℃8分)の条件でPCRを行った。得られたPCR産物に5 Uの制限酵素DpnIを加え,37℃で2時間保温した。その後反応液を大腸菌JM109株に導入して培養し、次項のようにして、得られた形質転換体クローンからプラスミドを抽出して、目的の位置に変異が入っていることを確認した。
2. プラスミドの調製と塩基配列の確認:
プラスミド中の薬剤耐性遺伝子をマーカーとして、大腸菌の形質転換体をアンピシリンを50μg/ml含んだLBプレート培地上に撒いて,37℃,15時間培養して選択した。生育したコロニーを50μg/mlのアンピシリンを含んだLB液体培地4 mlに植菌し,37℃,15時間培養した。集菌した菌体から、QIAprep spin Miniprep kit(QIAGEN)を用いて、kitのプロトコルに従ってプラスミドを抽出した。得られたプラスミドDNAを鋳型にして、DTCS Quick Start Master Mix(Beckman Coulter)を用いてジデオキシ反応を行い、マルチキャピラリーDNA解析システムCEQ2000XL(BECKMAN COULTER)を用いて塩基配列を確認した。
本研究で作製した新規DNAポリメラーゼの一覧を下表に示す。
3. DNAポリメラーゼの発現、及び精製:
野生型、及び変異型のTaqポリメラーゼの産生は,それぞれの遺伝子がpTV-118Nベクターに組込まれたプラスミドを用いて,JM109株を標準的な手法により形質転換し,その形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含んだLB 液体培地500 mlで37℃,24時間培養する条件で行った。野生型,及び変異型のTthポリメラーゼはpET-3Cを発現ベクターとし,BL21(DE3)codonPlus-RIPL株(Stratagene)を標準的な手法によって形質転換して,アンピシリンを50μg/ml,クロラムフェニコールを33μg/ml含んだ500 mlのLB培地で37℃,24時間培養する条件で行った。その後,6,000 rpmで15分間,遠心分離することで集菌した菌体を1 mMのPMSFを含むBuffer A(50 mM Tris-HCl pH 8.0、0.1mM EDTA、0.5 mM DTT、10% Glycerol)25 mlに懸濁し、超音波破砕して,14,500 rpm,15分間遠心分離して、細胞粗抽出液を得た。この粗抽出液を80℃で20〜30分間静置して耐熱性のないタンパク質を変性させ,14,500 rpmで15分間の遠心分離によって上清に耐熱性画分を得た。この画分に、氷上で0.15%濃度になるようにポリエチレンイミンを加え、沈殿物(核酸)を14,500 rpm,15分間の遠心分離によってを除いた。続いて、上清に対して氷上で80%飽和になるように硫酸アンモニウムを加えて1時間以上撹拌して塩析した。14,500 rpm,15分間遠心分離にかけ、タンパク質を沈殿させ、その沈殿を0.8 Mの硫酸アンモニウムを含んだBuffer Aに懸濁した後、AKTA Explorer(GE Healthcare)を用いてHi Trap Phenylカラム(5 ml)に供してクロマトグラフィーを行った。試料を供した後、硫酸アンモニウムの濃度を1 Mから0 Mまで勾配させ,さらにカラム内に超純水を通す事で目的の酵素を溶出させた。この画分を回収し,Hi Trap Heparinカラム(1 ml)に供した。溶出は,Buffer Aに溶解させた塩化ナトリウムの濃度を0 Mから800 mMの濃度勾配で行った。得られた目的酵素は、SDS-PAGEでの分析によってそれぞれの純度を確認した。
〔実施例2:変異体の評価〕
1. 転写活性:
精製された各酵素のDNAポリメラーゼとしての基本活性を求めるために、世界標準となっている方法を用いた。すなわち、DNA鋳型鎖上でデオキシリボヌクレオチドを取り込む活性の強さを測定し、単位タンパク質量あたりの活性をユニットで計算した。ヌクレオチド取り込み反応は、反応液中は,0.2 mg/ml活性化DNA(これは仔牛胸腺DNAをDNase Iで処理して二本鎖DNAに、部分的にニックやギャップを入れたもの),0.2 mM dNTP,440 nM [3H]-dTTP,50 mM Tris-HCl(pH 8.0),1.5 mM MgCl2、50 mM KCl,0.1% TritonX-100,100μg/ml BSA、1 nM DNAポリメラーゼを加え、72℃で反応させた後、10μlをDE81ペーパーにスポットした。10分間風乾した後,5%リン酸水素二ナトリウム水溶液で未反応のヌクレオチドを洗い落とした。洗浄は10分間,3回行った.DE81ペーパーを乾燥させた後,液体シンチレーションカウンターによって放射線量を測定することにより、DNAポリメラーゼ活性によって、活性化DNA中に取り込まれた[3H]-dTMP量を計算し、酵素活性(unit)を求めた。1 unitはDNAポリメラーゼが72℃で30分間に10 nmolsのヌクレオチドを取り込む酵素量として定義し、それぞれの酵素について比活性を算出した。
2. 伸長活性(伸長速度):
得られた比活性の値を基に、単位unitあたりのプライマー伸長活性を求めた。プライマー伸長反応は、M13ファージ一本鎖DNA(7 kb)に32Pで放射標識したオリゴヌクレオチドをアニーリングさせたもの(primed DNA)を基質として用いた。反応液10μl(5 nM M13 primed DNA、0.2 mM dNTP、50 mM Tris-HCl(pH 8.0)、1.5 mM MgCl、50 mM KCl、0.1%TritonX-100、100μg/ml BSA)を72℃で5分間反応させた後,2.5μlの6×Loading buffer(300 nM NaOH、6 mM EDTA、18%Ficol 400、0.15%BCG、0.25%XC)を加えて反応を停止させた。反応産物をアルカリ条件下でのアガロースゲル電気泳動(50 mM NaOH、1mM EDTA中1%濃度でアガロースゲルを作製)に供して分離し、泳動後オートラジオグラフィーで産物を検出した(イメージアナライザーFLA-5000(FUJIFILM)を使用した)。
得られた像から、サイズマーカーと比較して、反応産物の鎖長を求め、単位時間(1分)あたりに得られる合成産物の鎖長を計算した。その結果、野生型のTaqポリメラーゼが3.89 kb/minであるのに対して、Taq E742A(前掲特許文献3、特許4193997号参照)が10.7 kb/min、5’-3’エキソヌクレアーゼ活性残基を部位特異的に置換した変異体Exo-が9.17 kb/min、さらにTaq E742AにExo-を掛け合わせたものExo- + E742Aでは15.4 kb/minであった。
3. 逆転写活性:
DNAポリメラーゼがRNA鋳型鎖上でデオキシリボヌクレオチドを取り込む活性の強さを,精製した各DNAポリメラーゼで測定した。反応は,20 ng/μl Poly(rA)・p(dT),10μM dTTP,440 nM [3H]-dTTP,50 mM Tris-HCl、pH 8.0,1 mM MnCl、50 mM KCl,0.1%TritonX-100,100μg/ml BSAを含む溶液に、DNAポリメラーゼを加え、60℃で10分間反応させ,10μlをDE81ペーパーにスポットした。風乾後,5%リン酸水素二ナトリウム水溶液未反応のヌクレオチドを洗い落とした。洗浄は10分間,3回行った.DE81ペーパーを乾燥させた後,液体シンチレーションカウンターによって放射線量を測定することにより、DNAポリメラーゼ活性によって、Poly(rA)・p(dT)中に取り込まれた[3H]-dTMP量を計算し、酵素活性(unit)を求めた。1 unitはDNAポリメラーゼが72℃で30分間に10 nmolsのヌクレオチドを取り込む酵素量として定義し、それぞれの酵素について比活性を算出した。
まず、強い逆転写活性を持つTthポリメラーゼをポジティブコントロールとして用いるべく調製した。発明者らによって精製されたTthポリメラーゼは1.54×104 U/mgの逆転写活性を示し、一方、同様に発明者らによって精製された野生型のTaqDNAポリメラーゼの逆転写活性は0.42×104 U/mg(本実験においてはTthポリメラーゼの27%の相対活性)であることが明らかとなった。
同じ条件を用いて、本発明で作製した変異体の逆転写活性を、ヌクレオチド取り込み活性により測定した結果、Taq R651Eが2.09×104U/mg、Tth P653Eが2.54×104U/mgであった。この結果は、野生型Tthポリメラーゼが持つ逆転写活性を1とした時に、Taq R651E、Tth P653Eはそれぞれ1.36倍、1.65倍の活性を示したことになる。
変異Taqポリメラーゼの性質を下記の表にまとめる。
配列番号:1 PCRプライマーTaq117119A-F
配列番号:2 PCRプライマーTaq117119A-R
配列番号:3 PCRプライマーTaq142144A-F
配列番号:4 PCRプライマーTaq142144A-R
配列番号:5 PCRプライマーE742A-F
配列番号:6 PCRプライマーE742A-R
配列番号:7 PCRプライマーR651E-F
配列番号:8 PCRプライマーR651E-R
配列番号:9 PCRプライマーP653E-F
配列番号:10 PCRプライマーP653E-R
配列番号:11 Taq WTヌクレオチド配列
配列番号:12 Taq WTアミノ酸配列
配列番号:13 Tth WTヌクレオチド配列
配列番号:14 Tth WTアミノ酸配列
配列番号:15 Taq Exo-のヌクレオチド配列
配列番号:16 Taq Exo- のアミノ酸配列
配列番号:17 Taq Exo- + E742A のヌクレオチド配列
配列番号:18 Taq Exo- + E742A のアミノ酸配列
配列番号:19 Taq R651Eヌクレオチド配列
配列番号:20 Taq R651Eアミノ酸配列
配列番号:21 Tth P653Eヌクレオチド配列
配列番号:22 Tth P653Eアミノ酸配列

Claims (8)

  1. 下記(a)〜(c)のいずれか一である、DNAポリメラーゼ:
    (a)配列番号:12のアミノ酸配列において、651番のアルギニン残基を、グルタミン酸残基に置換したアミノ酸配列からなる、DNAポリメラーゼ;
    (b)(a)に記載のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列において、(a)において置換されたアミノ酸残基以外の1〜9個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなるDNAポリメラーゼ;及び
    (c)(a)に記載のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列と、少なくとも95%同一のアミノ酸配列であるが、(a)において置換されたアミノ酸残基は(a)のアミノ酸残基と同一である配列からなり、逆転写活性を有する、DNAポリメラーゼ。
  2. (a)配列番号:12のアミノ酸配列において、651番のアルギニン残基を、グルタミン酸残基に置換したアミノ酸配列からなる、DNAポリメラーゼ;
    である、請求項1に記載のDNAポリメラーゼ。
  3. (a)のDNAポリメラーゼが、配列番号:20のアミノ酸配列からなる、請求項2に記載のDNAポリメラーゼ。
  4. (b)または(c)のDNAポリメラーゼが、16.0×10U/mg以上の逆転写活性を有する、請求項1に記載のDNAポリメラーゼ。
  5. 下記(A1)〜(D1)のいずれか一である、ポリヌクレオチド:
    (A1)配列番号:19のヌクレオチド配列からなる、ポリヌクレオチド;
    (B1)請求項3記載のDNAポリメラーゼをコードするヌクレオチド配列からなる、ポリヌクレオチド;
    (C1)配列番号:19のヌクレオチド配列と相補的な配列からなるポリヌクレオチドに、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするが、配列番号19がコードするアミノ酸配列の651番に対応するアミノ酸残基をコードする部分はグルタミン酸残基をコードする配列であるポリヌクレオチドであって、DNAポリメラーゼをコードする、前記ポリヌクレオチド;及び
    (D1)配列番号:19のヌクレオチド配列と少なくとも95%同一である配列からなるが、配列番号19がコードするアミノ酸配列の651番に対応するアミノ酸残基をコードする部分はグルタミン酸残基をコードする配列である、DNAポリメラーゼをコードするポリヌクレオチド;
    ここで、(C1)または(D1)のDNAポリメラーゼは、16.0×10U/mg以上の逆転写活性を有する。
  6. 請求項5に記載のポリヌクレオチドを含む、組換えベクター。
  7. 請求項6に記載の組換えベクターを含む、形質転換体。
  8. 請求項7に記載の形質転換体を培養する工程を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載のDNAポリメラーゼを製造する方法。
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