JP6248582B2 - 円筒形ターゲットの製造方法及びその製造に用いるホットプレス用モールド - Google Patents
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Description
この特許文献2の記載の方法では円柱状の焼結体が得られることから、この焼結体の中心部分をくり抜く等の切削加工を施すことにより、所定形状の円筒形ターゲットに形成することができるが、予めプレスモールド内の中心部分にモールド芯棒を配置しておくことにより、後加工を施すことなく円筒形ターゲットを形成することもできる。
そして、このようにして形成された円筒形ターゲットは、バッキングチューブに接合され、その状態でスパッタリング装置において使用される。
この場合、下部芯棒の熱膨張係数が原料粉末の熱膨張係数と同等以上とされていることから、焼結後の冷却時において、円筒形ターゲットが冷却に伴って収縮しても、円筒形ターゲットに割れやクラック等が発生することがなく、また、円筒形ターゲットを下部芯棒から容易に離型させることができる。
下部芯棒の熱膨張係数が原料粉末の熱膨張係数の95%以上であれば、焼結後の冷却時において、円筒形ターゲットと下部芯棒との体積変化に差が生じても、金属(下部芯棒)の変形能力によって割れやクラック等を発生させることなく円筒形ターゲットを製造することができる。
また、下部芯棒の熱膨張係数を原料粉末の熱膨張係数よりも大きくした場合には、焼結後の冷却時において下部芯棒が円筒形ターゲットよりも大きく収縮するので、円筒形ターゲットとの間に隙間を形成することができ、容易に離型させることが可能となる。
下部芯棒の周囲まで円滑に押圧部材を配置することができ、スリーブと下部芯棒との間で原料粉末を押圧状態とすることができる。したがって、押圧部材の圧力を確実に原料粉末に加えることができるので、密度の高い円筒形ターゲットを製造することができる。
押圧部材と上部芯棒との間でスリーブと下部芯棒との間のリング状の空間部の上方を確実に閉塞しつつ、スリーブと下部芯棒との間で原料粉末を押圧状態とすることができる。
下部芯棒が上部芯棒より僅かに拡径したとしても、押圧部材の面取り部により下部芯棒との干渉を防止できるので、原料粉末を確実に押圧することができ、またモールドの破損を防止することができる。
本実施形態のホットプレス用モールド100は、図1から図5に示すように、筒状のスリーブ1と、スリーブ1の外側に配置されてスリーブ1を保持する外枠2と、スリーブ1内部の中央に配置された円柱状の芯棒3と、これらスリーブ1と芯棒3との底面を支えるベースプレート4と、ベースプレート4との間に原料粉末7aを挟んで押圧する押圧部材5とを備える。
内側スリーブ11の内周面11aは、図1に示すように、作製する焼結体の大きさに合わせて設けられており、外周面11bは、内周面11aを拡径した円弧面に設けられている。そして、外側スリーブ12の内周面12aは、内側スリーブ11の外周面11bと係合可能に設けられ、外周面12bは、下方に向けて拡径するように、垂直方向に対して傾斜した斜面に設けられている。
また、外側スリーブ12の外側に配置される外枠2の内周面21aは、外側スリーブ12の外周面12bの傾斜角度に沿って傾斜した斜面に設けられており、外側スリーブ12を介して内側スリーブ11の各円弧板状セグメントを筒状に保持する。
なお、本実施形態のホットプレス用モールド100においては、図2に示すように、内側スリーブ11及び外側スリーブ12が、それぞれ4個の円弧板状セグメントにより構成されている。
そして、上部芯棒31はスリーブ1と同一材料により形成され、下部芯棒32は原料粉末7aと同等以上の熱膨張係数を有する金属により形成される。なお、下部芯棒32は、原料粉末7aの熱膨張係数の95%以上の熱膨張係数を有する金属により形成しておくことが望ましい。
本実施形態のホットプレス用モールド100においては、例えば、上部芯棒31がカーボングラファイト(熱膨張係数3.8×10−6/K〜6.0×10−6/K)により形成され、下部芯棒32がステンレス(SUS:熱膨張係数16.7×10−6/K)により形成される。そして、下部芯棒32の最大径は、常温時及び原料粉末7aの焼結時のいずれにおいても、上部芯棒31の最大径以下となるように形成されている。
本実施形態においては、原料粉末7aとして、TiO2粉(熱膨張係数:8.7×10−6/K〜10×10−6/K)を用いる。
まず、図1に示すように、原料粉末7aを内側スリーブ11と芯棒3との間に形成される空間部6内に投入し、原料粉末7aを充填した状態でスペーサ51により空間部6の上部を閉鎖する。
次に、パンチ52によって押圧力を加える前に、真空容器(図示略)内で加熱を開始する。この際、図3に示すように、下部芯棒32は、他のモールド部材を形成するカーボングラファイトよりも熱膨張係数の大きなSUSにより形成されているので、他のモールド部材よりも大きく膨張して、二点鎖線で示す常温時の状態から実線で示す状態に変化する。
なお、図示は省略するが、加熱は、ホットプレス用モールド100の周囲に配置された加熱用のヒーターにより行われる。
すなわち、図7に示すように、スペーサ51の下端部の開口部に、その内周縁部を、例えば45°の傾斜面で切欠きしてなる面取り部51aを設けておくことで、焼結時における下部芯棒32の最大径が、上部芯棒31の最大径より僅かに拡径したとしても、スペーサ51の面取り部51aにより、スペーサ51と下部芯棒32との干渉を避けることができる。したがって、パンチ52の圧力を確実に焼結体に加えることができ、またモールド同士の干渉による破損を防止することができる。なお、面取り部51aは、焼結時における下部芯棒32の最大径(熱膨張量)を見込んで、それよりも大きく切欠いて設けられる。
例えば、原料粉末7aとしてCu‐Ga合金(熱膨張係数:16×10−6/K〜20×10−6/K)を用い、下部芯棒32の金属をCu(熱膨張係数:16×10−6/K)として、原料粉末7aの熱膨張係数と同等以上の金属により下部芯棒32を形成した場合においても、円筒形ターゲットに割れやクラック等を生じさせることなく円筒形ターゲットを製造することができる。
11 内側スリーブ
12 外側スリーブ
2 外枠
3 芯棒
31 上部芯棒
32 下部芯棒
4 ベースプレート
5 押圧部材
51 スペーサ
51a 面取り部
52 パンチ
6 空間部
7a 原料粉末
7b 円筒形ターゲット
91 連結ピン
100 ホットプレス用モールド
Claims (6)
- 垂直方向に沿う筒状に形成されたスリーブと、該スリーブ内部の中央に配置された芯棒と、該芯棒に係合して前記スリーブと前記芯棒とにより形成されるリング状の空間部に挿入可能に設けられた押圧部材とを備えるホットプレス用モールドを用い、原料粉末を前記空間部内に投入して前記押圧部材で垂直方向に押圧した状態で焼結させることにより円筒形ターゲットを製造する円筒形ターゲットの製造方法であって、前記スリーブ及び前記押圧部材をカーボン又はセラミックスにより形成するとともに、前記芯棒をカーボン又はセラミックスからなる上部芯棒と、熱膨張係数が前記原料粉末と同等以上の金属からなる下部芯棒とにより形成しておき、前記空間部内に投入した前記原料粉末を、前記押圧部材によって前記スリーブと前記下部芯棒との間で押圧した状態で焼結させて、前記円筒形ターゲットを製造することを特徴とする円筒形ターゲットの製造方法。
- 前記下部芯棒の熱膨張係数が前記原料粉末の熱膨張係数の95%以上であることを特徴とする請求項1記載の円筒形ターゲットの製造方法。
- 前記原料粉末の焼結時における前記下部芯棒の最大径が、前記上部芯棒の最大径以下とされることを特徴とする請求項1又は2に記載の円筒形ターゲットの製造方法。
- 前記押圧部材は、前記原料粉末の押圧時に、前記上部芯棒と前記下部芯棒との境界面に跨って配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の円筒形ターゲットの製造方法。
- 前記押圧部材の下端部の開口部に面取り部が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の円筒形ターゲットの製造方法。
- 垂直方向に沿う筒状に形成されたスリーブと、該スリーブ内部の中央に配置された芯棒と、該芯棒に係合して前記スリーブと前記芯棒とにより形成されるリング状の空間部に挿入可能に設けられた押圧部材とを備え、原料粉末を前記空間部内に投入して前記押圧部材で垂直方向に押圧した状態で焼結させることにより円筒形ターゲットを製造するためのホットプレス用モールドであって、
前記スリーブ及び前記押圧部材がカーボン又はセラミックスにより形成されるとともに、前記芯棒がカーボン又はセラミックスからなる上部芯棒と、熱膨張係数が前記原料粉末と同等以上の金属からなる下部芯棒とにより形成されることを特徴とするホットプレス用モールド。
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