JP6247165B2 - 排気浄化装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、排気流路における触媒の上流側及び下流側のそれぞれに、阻害部としての装入材が設けられた排気浄化装置が記載されている。装入材は、排気流路の断面全域を遮る大きさの概略円錐状の本体部と、本体部の外縁部から触媒側に向かって延びる案内部と、案内部の先端側から排気流路内側に向かって延びるフランジ部と、を備える。本体部の中央部は丸みをもった形状であり、その外周部には複数の貫通孔が形成されている。なお、特許文献1には、触媒の下流側には装入材を設けなくてもよいことが記載されている。換言すれば、特許文献1に記載の構成において、触媒の上流側の装入材は必須である。
[第1実施形態]
図1(A)、図1(B)及び図2に示す排気浄化装置1は、自動車の内燃機関(例えばガソリンエンジン)から排出された排ガスを浄化するための装置である。図2における矢印は、排ガスの流れる方向を示す。
流路部材2は、内燃機関から排出された排ガスを自動車の外部へ導くための排気流路の一部を形成する。流路部材2は、上流側から順に、第1の管部2Aと、第2の管部2Bと、第3の管部2Cと、第4の管部2Dと、第5の管部2Eと、を備える。なお、これらは説明の便宜上の区分である。流路部材2を構成する部品の区分は、特に限定されない。
第3の管部2Cは、その中心軸5が第1の管部2Aの中心軸4と一致しない直線状の円管部である。中心軸4と中心軸5とは、平行でなく、この例では互いに交差する。第3の管部2Cは、第1の管部2Aの内径よりも外径が大きい円柱状の触媒3を収容するために、第1の管部2Aよりも内径が大きく形成されている。第1の管部2Aと第3の管部2Cとは、排気流路の内径を徐々に拡大するための拡径流路を形成する円管部である第2の管部2Bによって、なだらかに連結されている。
図3、図4(A)、図4(B)、図4(C)、図4(D)及び図5に示すように、阻害部材10は、阻害部11と、支持部12と、を備える。この例では、阻害部11及び支持部12は、一枚の金属板から一体的に形成されている。
<条件評価項目>
条件評価項目は、次の[1]〜[5]の5つである(図7参照)。なお、条件評価項目に触媒の直径を含めていないのは、触媒の直径が排ガスの流れに与える影響が小さいからである。
[2]阻害部の径
[3]触媒下流側端面から阻害部端部までの距離
[4]触媒の軸方向に沿った阻害部の長さ
[5]触媒下流の縮径流路の長さ
<計算条件>
・入口条件
流量:0.148[kg/s]
・出口条件
大気開放(標準圧101325[Pa])
・触媒抵抗
α(慣性抵抗係数[kg/m4]):29.21
β(粘性抵抗係数[kg/m3s]):244.16
・触媒の直径:φ190[mm]
・触媒の軸方向に沿った長さ:100[mm]
・拡径流路の上流側及び縮径流路の下流側の各パイプの形状
外径φ60.5[mm],厚み1.5[mm],長さ400[mm]
・触媒の下流側であって縮径流路の上流側には阻害部材を格納するためのストレート部を30[mm]確保する。
<実験計画>
上記[1]〜[5]の条件評価項目のそれぞれについて、次のように3種類の値(いずれも単位はミリメートル)を設定した。したがって、[1]〜[5]の組合せは3の5乗とおり(243とおり)となるが、実験計画法により図8に示す27とおりに絞り、これら27とおりのそれぞれについて一様度を求めた。
[2]75,90,105
[3]5,10,15
[4]10,25,40
[5]122,152,182
<解析結果>
図9に示すように、式の確からしさを示す「R*^2」の値は0.97、予想のばらつきを示す残差標準偏差は0.005、となった。なお、偏回帰係数は、モデル式の係数である。
[1]については、値が大きいほど一様度が良好になるが、効果が少ない。同様に、値が大きいほど差圧が低くなるが、適当な長さで飽和する。したがって、[1]の値は、前述した3つの値の中では、60[mm]が適切である。
[3]については、10[mm]よりもやや低い値で一様度が最も高くなる。一方、差圧は、[3]の値が大きいほど低くなる。一様度と差圧との両立を考慮すると、[3]の値は、前述した3つの値の中では、10[mm]が適切である。
(1)排気浄化装置1において、阻害部11は、排気流路における触媒3の上流側及び下流側のうち下流側にのみ設けられる。したがって、排気浄化装置1は、排気流路における触媒3の上流側に阻害部が設けられた構成と比較して、触媒3へ流入する排ガスの温度低下を抑制することができる。すなわち、触媒3の上流側に阻害部が設けられた構成では、その阻害部により排ガスの熱が奪われ、触媒3へ流入する排ガスの温度が低下してしまう。これに対し、排気浄化装置1は、触媒3の上流側に阻害部が設けられていないため、触媒3の上流側での排ガスの温度低下を抑制することができる。
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であり、前述した阻害部材10に代えて、図13、図14(A)、図14(B)、図14(C)及び図14(D)に示す阻害部材20が用いられる点で相違する。
阻害部21は、第1実施形態の凹部111と同一形状の凹部211を備える。
連結部221,222,223,224は、第1実施形態の連結部121,122,123,124と対比すると、形状が異なる。具体的には、連結部221,222,223,224は、阻害部21の円周方向及び固定部225の円周方向のそれぞれにおいて等間隔に位置するように、S字状に形成されている。つまり、第2実施形態の阻害部材20は、連結部221,222,223,224はS字状である点で、第1実施形態の阻害部材10と相違する。その他の構成は同様であるため、説明を省略する。
[第3実施形態]
第3実施形態は、触媒3の中心軸に沿った方向から触媒3の上流側へ排ガスが供給される構成を前提とする。例えば、第1の管部2Aが第5の管部2Eと同軸に配置され、第2の管部2Bが第4の管部2Dと同様の形状(第3の管部2Cを挟んで対称に向かい合った形状)である構成が前提とされる。第3実施形態では、前述した阻害部材10に代えて、図15、図16(A)、図16(B)及び図16(C)に示す阻害部材30が用いられる。
阻害部31は、第1実施形態の凹部111と同一形状の凹部311を備える。
固定部325は、第1実施形態の固定部125と同一形状である。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
上記各実施形態の排気流路は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、第1の管部2Aと第5の管部2Eとは、内径が異なっていてもよい。また例えば、第3の管部2Cと第5の管部2Eとは、中心軸が一致していなくてもよい。また例えば、排気流路の断面形状は、円形状に限定されるものではなく、例えば楕円形状又は多角形状などであってもよい。
Claims (10)
- 排気流路に設けられた触媒と、
前記排気流路において排ガスの流れの一部を阻害することによって、前記触媒へ流入する排ガスの流速分布の偏りを軽減する阻害部と、
前記触媒に対する所定の位置に前記阻害部を支持する支持部と、
を備え、
前記阻害部は、前記排気流路における前記触媒の上流側及び下流側のうち下流側にのみ設けられ、かつ、貫通孔の形成されていない容器状の凹部を備え、
前記支持部は、前記凹部が前記触媒の下流側端面における一部と対向する位置に前記阻害部を支持する、排気浄化装置。 - 請求項1に記載の排気浄化装置であって、
前記阻害部の外縁部には、前記触媒側へ立ち上がるように屈曲した端部が形成されている、排気浄化装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の排気浄化装置であって、
前記凹部を形成する面における外縁部には、残りの面と比較して、前記触媒の中心軸に沿った直線に対する角度が小さい立ち上がり面が形成されている、排気浄化装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の排気浄化装置であって、
前記阻害部及び前記支持部は、一枚の金属板から一体的に形成され、
前記支持部は、
前記排気流路に固定される固定部と、
前記固定部と前記阻害部とを連結する連結部と、
を備える排気浄化装置。 - 請求項4に記載の排気浄化装置であって、
前記阻害部の外縁部には、第1の端部と、前記第1の端部と比較して前記触媒の下流側端面からの距離が長い第2の端部と、が形成され、
前記連結部は、前記固定部と前記阻害部における前記第2の端部とを連結する、排気浄化装置。 - 請求項5に記載の排気浄化装置であって、
前記第1の端部と前記第2の端部との間には切欠きが形成されている、排気浄化装置。 - 請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の排気浄化装置であって、
前記連結部は、前記阻害部よりも前記触媒側に突出しない形状である、排気浄化装置。 - 請求項4から請求項7までのいずれか1項に記載の排気浄化装置であって、
前記固定部は、前記阻害部よりも前記触媒側に突出しない形状である、排気浄化装置。 - 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の排気浄化装置であって、
前記排気流路は、前記触媒の中心軸に沿った方向とは異なる方向から前記触媒の上流側へ排ガスを供給し、
前記支持部は、前記凹部が前記触媒の下流側端面における一部であって中心からずれた部分と対向する位置に前記阻害部を支持する、排気浄化装置。 - 請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の排気浄化装置であって、
前記支持部は、前記触媒の下流側端面と前記凹部との最短距離が1〜14[mm]の範囲内となる位置に前記阻害部を支持する、排気浄化装置。
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