JP6246965B1 - X線回折測定装置を用いた軸力評価方法 - Google Patents

X線回折測定装置を用いた軸力評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 X線回折測定装置を用いて締結の軸力を評価する方法において、従来よりさらに精度よく軸力を評価することができる方法を提供する。【解決手段】 この方法は、X線を締結を行っているボルトSの頭部の中心に照射してイメージングプレート15に回折環を形成する撮像ステップと、撮像された回折環の形状を検出して残留応力を算出する残留応力算出ステップと、算出された残留応力からボルトSの締結における軸力を評価する評価ステップとから構成される。【選択図】図2

Description

本発明は、ねじ又はボルトの締め込みの力(以下、軸力という)の評価を、測定対象物にX線を照射し、発生する回折X線により撮像面にX線回折環を撮像するX線回折測定装置を用いて行う方法に関する。
ねじ又はボルトを用いて対象物を締結したときの軸力を評価する方法には様々な方法があるが、締結作業とは独立して軸力の評価を行うことができる方法として、以下の特許文献1に示されるようにX線回折測定装置を用いる方法がある。この方法は、締結の際にねじ又はボルトの頭部と対象物との間にブロックを入れ、このブロック側面にX線を照射して発生する回折X線により撮像面にX線回折環(以下、回折環という)を撮像し、この回折環の形状から残留垂直応力を算出し、得られた残留垂直応力及び予め得られている残留垂直応力と軸力との関係から軸力を評価するものである。この方法は、ねじ又はボルトによる締結を行ったままで軸力を評価することができ、定期的にX線回折測定装置を用いてブロックの側面の残留垂直応力を測定すれば軸力の経時変化を得ることができるので、橋梁やプラント等における締結の軸力を評価するのに有効である。また、残留垂直応力は常温であれば温度等の影響を大きく受けないので別のパラメータを測定する必要がなく、作業効率が悪くならず軸力を評価することができるという利点もある。
特開2015−215343号公報
しかしながら、特許文献1に示される軸力評価方法は、ブロックの側面の位置により残留垂直応力が異なることが多く、軸力を精度よく評価することができないという問題がある。この問題は、ブロックの中心軸に平行に軸力がかからない場合、顕著に現れる。本発明はこの問題を解消するためなされたもので、その目的は、対象物にX線を照射して撮像面に回折環を撮像するX線回折測定装置を用いて軸力の評価を行う方法において、作業効率は特許文献1に示される方法と同等のまま、特許文献1に示される方法よりさらに精度よく軸力を評価することができる方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、対象とする測定対象物に向けてX線を出射するX線出射器と、X線出射器から測定対象物に向けてX線が照射された際、測定対象物にて発生した回折X線を、X線出射器から出射されるX線の光軸に対して垂直に交差する撮像面にて受光し、撮像面に回折X線の像である回折環を形成する回折環形成手段とを備えたX線回折測定装置を用いた、ねじ又はボルトの締結における軸力の評価方法において、X線出射器から出射されるX線を評価対象のねじ又はボルトの頭部の中心に照射し、撮像面に回折環を形成する撮像ステップと、撮像ステップにおいて撮像面に撮像された回折環の形状を検出し、残留応力または残留応力に相当する値を算出する残留応力算出ステップと、残留応力算出ステップにおいて算出された値から、ねじ又はボルトの締結における軸力を評価する評価ステップとからなるねじ又はボルトの締結における軸力の評価方法としたことにある。
発明者は様々なねじ又はボルトにより締結を行い、ねじ又はボルトの頭部の残留応力をX線照射により回折環を形成するX線回折測定装置を用いて測定した結果、中心点を通るラインにおける各点の残留応力は、中心点付近をピークにした放物曲線のように変化していることを確認した。また、ねじ又はボルトにより締結を行ったときの軸力をロードセルのような軸力を精度よく測定できるもので測定し、軸力を変化させながら、ねじ又はボルトの頭部の中心の残留応力を該X線回折測定装置を用いて測定した結果、残留応力と軸力とは高い相関関係があることを確認した。よって、本発明によれば、締結を行った後ねじ又はボルトの頭部の中心の残留応力または残留応力に相当する値をX線回折測定装置を用いて測定すれば、この値から精度よく軸力を評価することができる。また、ねじ又はボルトの種類ごとに頭部の中心位置の残留応力または残留応力に相当する値と軸力との関係を予め求めておけば、X線回折測定装置を用いて測定した値をこの関係に当てはめることで、軸力を値として評価することができる。
また、本発明の他の特徴は、X線回折測定装置は、X線出射器からX線が出射されていない状態で、X線出射器から出射されるX線と光軸を同一にした平行光である可視光を測定対象物に出射する可視光出射器と、X線出射器、回折環形成検出手段及び可視光出射器を内部に配置した筐体とを備え、撮像ステップの前に、評価対象のねじ又はボルトの頭部に、頭部の平面形状と略同一形状で中心位置が描かれたフィルムを頭部の平面に合うように置くフィルムセットステップと、可視光出射器から可視光を出射させ、可視光の照射点位置とフィルムの中心位置とを比較しながら、評価対象のねじ又はボルトに対する筐体の位置及び姿勢を調整する位置姿勢調整ステップとを行うようにしたことにある。
これによれば、位置姿勢調整ステップにて可視光出射器から出射される可視光の照射点がフィルムの中心位置に合致するよう、X線回折測定装置の筐体の位置及び姿勢を調整した後撮像ステップを行えば、精度よくねじ又はボルトの頭部の中心にX線を照射して残留応力を測定することができるので、精度よく軸力を評価することができる。また、中心周りの複数の点にX線を照射して複数回残留応力を測定する場合は、測定点が偏らないようにすることができ、残留応力の平均値の精度をよくすることができる。
また、本発明の他の特徴は、X線回折測定装置は、可視光出射器から出射される可視光の照射箇所付近を結像レンズと撮像器を備えたカメラ機能により撮影し撮影画像を表示する撮影手段であって、X線出射器から出射されるX線の光軸と撮像面に撮像される回折環において回転角度を0とするラインとが含まれる平面が撮像器と交差する箇所を、撮影画像上に撮影画像とは独立してラインで表示する撮影手段を備え、フィルムセットステップにて使用するフィルムは、中心位置を通るラインが描かれたものであり、位置姿勢調整ステップは、撮影手段により撮影画像上に独立して表示されるラインの位置とフィルムに描かれたラインの位置とを比較しながら、筐体の位置及び姿勢を調整することも行うようにしたことにある。
これによれば、位置姿勢調整ステップにて撮影画像上に独立して表示されるラインの位置がフィルムに描かれたラインの位置に合致するよう、X線回折測定装置の筐体の位置及び姿勢を調整した後撮像ステップを行えば、ねじ又はボルトの頭部の定まった方向の残留応力を測定することができるので、さらに精度よく軸力を評価することができる。また、フィルムに描かれた中心位置を通るラインを中心位置で交差する複数のラインにし、位置姿勢調整ステップにて、撮影画像上に独立して表示されるラインの位置をそれぞれのラインと合致させて複数回撮像ステップを行えば、ねじ又はボルトの頭部における複数の定まった方向の残留応力を測定することができ、残留応力の平均値の精度をさらによくすることができる。
本発明を実行するうえで使用するX線回折測定装置を含むX線回折測定システムを示す全体概略図である。 図1のX線回折測定装置の拡大図である。 図2のX線回折測定装置におけるX線が通過する部分を拡大して示す部分断面図である。 図3のプレート部分の拡大斜視図である。 ねじ又はボルト頭部にセットする硬質フィルムの平面を示した図である X線回折測定装置のカメラ機能で撮影した撮影画像を示す図である。 ねじ又はボルトの頭部の中心を含むラインにおける残留垂直応力の変化曲線を示す図である。 軸力と残留垂直応力との関係を求めるときの、軸力の測定方法を示した図である。 軸力と残留垂直応力との関係を示した図である。 ねじ又はボルトの頭部の測定箇所を電解研磨する装置の概略図である。 ねじ又はボルトの頭部にセットする別の硬質フィルムの平面を示した図である。
本発明を実行するうえで使用するX線回折測定装置を含むX線回折測定システムの構成について図1乃至図4を用いて説明する。ただし、このX線回折測定システムが、先行技術文献の特許文献1に示されているX線回折測定システムと異なっている点は、LED光源44が取り付けられたユニットの配置のみであり、それ以外の構成は同一である。よって、特許文献1に示されているX線回折測定システムで既に説明されている箇所は、簡略的に説明するにとどめる。
このX線回折測定システムは、締結の軸力を評価するねじ又はボルトがある場所まで運搬されてセットされるものである。以下、ねじ又はボルトは単にボルトSと記載するが、これは頭部がありねじ込んで締結を行うものであればどのようなものでも該当する。ボルトSは鉄等の金属であるが、X線回折測定が可能であればどのような材質の金属でもよい。
図1及び図2に示すよう、X線回折測定装置は、筐体50内に、X線出射器10、イメージングプレート15を取り付けるテーブル16、テーブル16を回転及び移動させるテーブル駆動機構20及び回折環を検出するレーザ検出装置30等を備えている。そして、X線回折測定システムは、このX線回折測定装置とともに、アーム式移動装置(図示しない)、コンピュータ装置90及び高電圧電源95を備える。筐体50内には、コンピュータ装置90に接続されて作動制御したり、検出信号を入力したりするための各種回路も内蔵されており、図1において筐体50外に示された2点鎖線で囲われた各種回路は、筐体50内の2点鎖線内に納められている。
筐体50は、略直方体状に形成されるとともに、底面壁50a、前面壁50b、後面壁50e、上面壁50f、側面壁(図示せず)、及び底面壁50aと前面壁50bの角部を紙面の表側から裏側に向けて切り欠くように設けた切欠き部壁50cと繋ぎ壁50dを有するように形成されている。切欠き部壁50cは底面壁50aに垂直な平板と平行な平板とからなり、繋ぎ壁50dは側面壁と垂直であり底面壁50aと所定の角度を有している。この所定の角度は、例えば30〜45度である。側面壁の1つには、支持アーム51に接続される接続部(図示せず)が設けられており、接続部は図1及び図2の紙面の垂直周りに回転可能になっている。支持アーム51はアーム式移動装置の先端であり、アーム式移動装置を操作することにより、筐体50(X線回折測定装置)を任意の位置と姿勢にすることができる。すなわち、図1及び図2においては、ボルトSの頭部が水平な場合で示されているが、ボルトSの頭部が鉛直方向に平行な場合であっても、ボルトSの頭部にX線が照射されるよう筐体50の位置と姿勢を調整することができる。
X線出射器10は、筐体50内の上部にて図示左右方向に延設されて筐体50に固定されており、高電圧電源95からの高電圧の供給を受け、X線を図示下方向に出射する。X線制御回路71は、コントローラ91から指令が入力すると、X線出射器10から一定強度のX線が出射されるように、X線出射器10に高電圧電源95から供給される駆動電流及び駆動電圧を制御する。また、X線出射器10は、図示しない冷却装置を備えていて、X線制御回路71は、この冷却装置に供給される駆動信号も制御する。
テーブル駆動機構20は、筐体50に固定され、X線出射器10の下方にて移動ステージ21を備えている。移動ステージ21は、テーブル駆動機構20における対向する1対の板状のガイド25,25により挟まれていて、テーブル駆動機構20に固定されたフィードモータ22、スクリューロッド23及び軸受部24により、出射X線の光軸が含まれる筐体50の側面壁に平行な平面内であって、出射X線の光軸に垂直な方向に移動する。フィードモータ22内には、エンコーダ22aが組み込まれており、エンコーダ22aはフィードモータ22が所定の微小回転角度だけ回転するたびに、ハイレベルとローレベルとに交互に切り替わるパルス列信号を位置検出回路72及びフィードモータ制御回路73へ出力する。
位置検出回路72及びフィードモータ制御回路73は、コントローラ91からの指令により作動する。測定開始直後において、フィードモータ制御回路73は、移動ステージ21をフィードモータ22側へ移動させるようフィードモータ22に駆動信号を出力し、位置検出回路72は、移動ステージ21が移動限界位置に達して、エンコーダ22aからパルス列信号が入力されなくなると、駆動信号停止を意味する信号をフィードモータ制御回路73に出力し、カウント値を「0」に設定する。フィードモータ制御回路73は、これにより駆動信号の出力を停止する。この移動限界位置が移動ステージ21の原点位置となり、位置検出回路72は、以後、移動ステージ21が移動するごとにエンコーダ22aからのパルス列信号をカウントし、移動方向によりカウント値を加算または減算して移動限界位置からの移動距離xを位置信号として出力する。フィードモータ制御回路73は、コントローラ91から移動ステージ21の移動先位置を入力すると、位置検出回路72から入力する位置信号が入力した移動先位置に等しくなるまで、フィードモータ22を正転又は逆転駆動する。また、フィードモータ制御回路73は、コントローラ91から移動ステージ21の移動速度を入力すると、エンコーダ22aから入力したパルス列信号の単位時間当たりのパルス数を用いて、移動ステージ21の移動速度を計算し、計算した移動速度が入力した移動速度になるようにフィードモータ22を駆動する。
一対のガイド25,25の上端は、板状の上壁26によって連結されており、上壁26には貫通孔26aが設けられていて、貫通孔26aの中心位置はX線出射器10の出射口11の中心位置に対向しており、出射X線は、出射口11及び貫通孔26aを介してテーブル駆動機構20内に入射する。後述するイメージングプレート15が回折環撮像位置にある状態(図1乃至図3の状態)において、移動ステージ21の貫通孔26aと対向する位置には、図3に拡大して示すように、貫通孔21aが形成されている。移動ステージ21には、出射口11及び貫通孔26a,21aの中心軸線位置を回転中心とするスピンドルモータ27が組み付けられており、スピンドルモータ27の出力軸27aは円筒状で断面円形の貫通孔27a1を有する。スピンドルモータ27の出力軸27aの反対側には、貫通孔27bが設けられ、貫通孔27bの内周面上には、貫通孔27bの一部の内径を小さくするための円筒状の通路部材28が固定されている。
また、スピンドルモータ27内にはエンコーダ27cが組み込まれ、エンコーダ27cは、スピンドルモータ27が所定の微小回転角度だけ回転する度に、ハイレベルとローレベルとに交互に切り替わるパルス列信号を、スピンドルモータ制御回路74及び回転角度検出回路75へ出力する。さらに、エンコーダ27cは、スピンドルモータ27が1回転するごとに、所定の短い期間だけローレベルからハイレベルに切り替わるインデックス信号を、コントローラ91及び回転角度検出回路75に出力する。
スピンドルモータ制御回路74は、コントローラ91から回転速度を入力すると、エンコーダ27cから入力するパルス列信号の単位時間当たりのパルス数から計算される回転速度が、入力した回転速度になるように、駆動信号をスピンドルモータ27に出力する。回転角度検出回路75は、エンコーダ27cから入力するパルス列信号のパルス数をカウントし、そのカウント値から回転角度θpを計算してコントローラ91に出力する。また、回転角度検出回路75は、エンコーダ27cからインデックス信号を入力すると、カウント値をリセットして「0」にする。これが回転角度0°の位置である。なお、イメージングプレート15の回転角度0°の位置とは、後述するレーザ検出装置30からのレーザ照射によりイメージングプレート15に形成された回折環を読み取る際、インデックス信号を入力した時点でレーザ光が照射されている位置である。この位置はイメージングプレート15の各半径位置においてあるためラインである。
テーブル16は、円形状であり、スピンドルモータ27の出力軸27aの先端部に固定されている。テーブル16は、下面中央部から下方へ突出した突出部17を有し、突出部17の外周面には、ねじ山が形成されている。テーブル16の下面にはイメージングプレート15が取付けられる。イメージングプレート15の中心部には貫通孔15aが設けられていて、この貫通孔15aに突出部17を通し、突出部17の外周面上にナット状の固定具18をねじ込むことにより、イメージングプレート15が、固定具18とテーブル16の間に挟まれて固定される。固定具18は、円筒状の部材で、内周面に、突出部17のねじ山に対応するねじ山が形成されている。
テーブル16、突出部17及び固定具18にも貫通孔16a,17a,18aがそれぞれ設けられており、貫通孔18aの内径は通路部材28の内径と同じである。すなわち、出射X線は、貫通孔26a,21a,通路部材28,貫通孔27b,27a1,16a,17a,18aを介して出射され、通路部材28の内径及び貫通孔18aの内径は小さいので、貫通孔18aから出射されるX線は貫通孔27a1の軸線に平行な平行光となり、筐体50の円形孔50c1から出射される。
イメージングプレート15は、移動ステージ21、スピンドルモータ27及びテーブル16と共に、回折環撮像位置へ移動し、また、後述する撮像した回折環を読み取る回折環読取り領域、及び回折環を消去する回折環消去領域へ移動する。この移動において、イメージングプレート15の中心軸は、出射X線の光軸とイメージングプレート15における回転角度0°の位置(ライン)とが成す平面内に保たれた状態で、出射X線の光軸に垂直な方向に移動する。
レーザ検出装置30は、回折環を撮像したイメージングプレート15にレーザ光を照射し、イメージングプレート15が発光した光の強度を検出する。レーザ検出装置30は、回折環撮像位置にあるイメージングプレート15からフィードモータ22側に充分離れており、測定対象物にて回折したX線がレーザ検出装置30によって遮られないようになっている。レーザ検出装置30は、レーザ光源31、コリメートレンズ32、反射鏡33、ダイクロイックミラー34、及び対物レンズ36等を備えた光ヘッドであり、光ディスクの記録再生に用いられるものと同様な構成である。 レーザ駆動回路77は、コントローラ91から指令が入力すると、フォトディテクタ42から入力する信号の強度が所定の強度になるようレーザ光源31に駆動信号を出力し。レーザ光源31からは一定強度のレーザ光が出射される。フォトディテクタ42は後述するダイクロイックミラー34で微量が反射し、集光レンズ41を介して受光したレーザ光の強度に相当する強度の信号を出力するが、ダイクロイックミラー34での反射の割合は一定であるので、出射したレーザ光の強度に相当する強度の信号を出力すると見なせる。コリメートレンズ32はレーザ光を平行光にし、反射鏡33はレーザ光を、ダイクロイックミラー34に向けて反射し、ダイクロイックミラー34は、入射したレーザ光の大半(例えば、95%)をそのまま透過させる。対物レンズ36は、レーザ光をイメージングプレート15の表面に集光させる。対物レンズ36には、フォーカスアクチュエータ37が組み付けられており。後述するフォーカスサーボにより、レーザ光の焦点は常にイメージングプレート15の表面に合致する。
集光されたレーザ光が、イメージングプレート15の回折環が撮像されている部分に照射すると、輝尽発光(Photo−Stimulated Luminesence)現象が生じ、回折環撮像時における回折X線の強度に応じた光が発生する。この輝尽発光により発生した光はレーザ光の波長よりも波長が短く、レーザ光の反射光と共に対物レンズ36を通過するが、ダイクロイックミラー34にて大部分が反射し、レーザ光の反射光は大部分が透過する。ダイクロイックミラー34で反射した光は、集光レンズ38、シリンドリカルレンズ39を介してフォトディテクタ40に入射する。フォトディテクタ40は、4つの同一正方形状の受光素子からなる4分割受光素子からなり、4つの受光信号(a,b,c,d)を増幅回路78に出力する。なお、シリンドリカルレンズ39は非点収差を生じさせるためにある。
増幅回路78は、入力した4つの受光信号(a,b,c,d)を増幅してフォーカスエラー信号生成回路79及びSUM信号生成回路80へ出力する。フォーカスエラー信号生成回路79は、非点収差法におけるフォーカスエラー信号を生成してフォーカスサーボ回路81へ出力する。フォーカスサーボ回路81は、コントローラ91により指令が入力すると作動開始し、入力したフォーカスエラー信号に基づいて、フォーカスサーボ信号を生成してドライブ回路82に出力する。ドライブ回路82は、入力したフォーカスサーボ信号に応じてフォーカスアクチュエータ37を駆動して、対物レンズ36をレーザ光の光軸方向に変位させ、これにより、レーザ光の焦点は常にイメージングプレート15の表面に合致する。
SUM信号生成回路80は、入力した4つの受光信号を合算してSUM信号を生成し、A/D変換器83に出力する。SUM信号の強度は、イメージングプレート15にて反射し、ダイクロイックミラー34で反射した微量のレーザ光の強度と輝尽発光により発生した光の強度を合わせた強度に相当するが、イメージングプレート15にて反射するレーザ光の強度はほぼ一定であるので、SUM信号の強度は、輝尽発光により発生した光の強度に相当する。すなわち、SUM信号の強度は、撮像された回折環における回折X線の強度に相当する。A/D変換器83は、コントローラ91から指令が入力すると、入力するSUM信号の瞬時値をデジタルデータに変換してコントローラ91に出力する。
また、対物レンズ36に隣接して、LED光源43が設けられている。LED光源43は、LED駆動回路84によって制御されて、可視光を発して、イメージングプレート15に撮像された回折環を消去する。LED駆動回路84は、コントローラ91から指令を入力すると、LED光源43に、所定の強度の可視光を発生させるための駆動信号を供給する。
また、X線回折測定装置は、LED光源44を有する。LED光源44は、図2乃至図4に示すように、移動ステージ21とテーブル駆動機構20の上壁26の下面との間に配置されたプレート45の一端部下面に固定されている。プレート45は、移動ステージ21内に固定されたモータ46の出力軸46aに固着されており、モータ46の回転により、上壁26の下面に平行な面内を回転する。移動ステージ21にはストッパ部材47a,47bが設けられており、ストッパ部材47aは、プレート45を図4のD1方向に回転させたとき、LED光源44が上壁26の貫通孔26a及び移動ステージ21の貫通孔21aに対向する位置(A位置)で静止するように、プレート45の回転を規制する。一方、ストッパ部材47bは、プレート45を図4のD2方向に回転させたとき、プレート45が上壁26の貫通孔26aと移動ステージ21の貫通孔21aとの間を遮断しない位置(B位置)で静止するように、プレート45の回転を規制する。言い換えれば、A位置は、プレート45が図2及び図3に示す状態にある位置であり、LED光源44から出射されるLED光がスピンドルモータ27の貫通孔27a1に設けた通路部材28の通路に入射する位置である。B位置は、X線出射器10から出射されるX線がプレート45によって遮られない位置である。LED光源44は、コントローラ91によって作動制御されるLED駆動回路85からの駆動信号によりLED光を出射する。LED光は拡散する可視光であるが、プレート45がA位置にあるとき、その一部は、出射X線と同様の経路で貫通孔18aから出射するので、出射X線と同様、貫通孔27a1の軸線に平行な平行光になる。
モータ46はエンコーダ46bを備えており、エンコーダ46bはモータ46が所定の微小回転角度だけ回転する度に、ハイレベルとローレベルとに交互に切り替わるパルス列信号を回転制御回路86に出力する。回転制御回路86は、コントローラ91から回転方向と回転開始の指令が入力されると、モータ46に駆動信号を出力し、モータ46を指示方向に回転させる。そして、エンコーダ46bからパルス列信号の入力が停止すると、駆動信号の出力を停止する。これにより、プレート45を、上述したA位置及びB位置までそれぞれ回転させることができる。
筐体50の切欠き部壁50cには結像レンズ48が設けられ、筐体50内部には撮像器49が設けられている。撮像器49は、CCD受光器又はCMOS受光器で構成され、各撮像素子ごとの受光強度に相当する強度の信号をセンサ信号取出回路87に出力する。結像レンズ48及び撮像器49は、イメージングプレート15に対して設定された位置にある測定対象物におけるLED光の照射点を中心とした領域の画像を撮像するデジタルカメラとして機能する。イメージングプレート15に対して設定された位置とは、測定対象物におけるX線及びLED光の照射点からイメージングプレート15までの垂直距離Lが、予め決められた設定距離となる位置である。この場合の結像レンズ48及び撮像器49による被写界深度は、前記照射点を中心とした前後の範囲で設定されている。センサ信号取出回路87は、撮像器49の各撮像素子ごとの信号強度データを、各撮像素子の位置(すなわち画素位置)が分かるデータと共にコントローラ91に出力する。
また、結像レンズ48の光軸は、X線出射器10から出射されるX線の光軸とイメージングプレート15の回転基準位置のラインを含む平面に含まれるとともに、結像レンズ48の光軸と照射されるX線及びLED光の光軸が交わる点は、イメージングプレート15から設定された距離にあるX線及びLED光の照射点であるように調整されている。さらに、X線及びLED光の測定対象物に対する入射角が設定値であるとき、結像レンズ48の光軸と測定対象物のX線及びLED光の照射点における法線方向とが成す角度は前記入射角度に等しい角度であるようにされている。したがって、測定対象物におけるX線及びLED光の照射点からイメージングプレート15までの距離が設定された距離にあり、X線及びLED光が測定対象物に設定された入射角で照射された場合には、結像レンズ48に入射するLED光の散乱光の光軸と反射光の光軸はいずれも結像レンズ48の光軸と一致するため、撮像器49におけるLED光の照射点と測定対象物で反射したLED光の受光点は同じ位置に生じる。測定対象物に照射されるLED光は平行光であるので、照射点において、LED光は散乱光と、略平行光のまま反射する反射光を発生させるが、散乱光のうち結像レンズ48に入射した光は撮像器49の位置で結像して照射点となり、結像レンズ48に入射した反射光は結像レンズ48により集光されて撮像器49で受光され受光点なる。よって、LED光の照射点からイメージングプレート15までの距離が設定された距離であり、LED光が測定対象物に設定された入射角で照射されたとき、撮像器49が出力する信号強度データから作成される撮影画像では、照射点の画像と受光点の画像が同じ位置に生じる。
コンピュータ装置90は、コントローラ91、入力装置92及び表示装置93からなる。コントローラ91は、CPU、ROM、RAM、大容量記憶装置などを備えたマイクロコンピュータを主要部とした電子制御装置であり、大容量記憶装置に記憶された各種プログラムを実行してX線回折測定装置の作動を制御する。入力装置92は、コントローラ91に接続されて、作業者により、各種パラメータ、作業指示などの入力のために利用される。表示装置93は、表示画面上に撮像器49から入力する信号強度データにより作成された撮影画像を表示するとともに、結像レンズ48の光軸が撮像器49と交差する箇所に相当する箇所に十字のマークを表示する。この十字のマークのクロス点は、LED光(出射X線)の照射点からイメージングプレート15までの距離が設定された距離であり、LED光(出射X線)が測定対象物に設定された入射角で照射されたとき、照射点の画像および受光点の画像が生じる位置である。また、この十字のマークの縦方向のライン(以下、Y軸ラインという)は、X線出射器10から出射されるX線の光軸とイメージングプレート15の回転基準位置のラインを含む平面が撮臓器49と交差するラインであり、受光点の画像がこのY軸ラインと合致すれば、残留垂直応力の測定方向はY軸ラインを測定対象物に投影した方向となる。さらに、表示装置93は、X線回折測定システムの各種の設定状況、作動状況及び測定結果などを表示する。高電圧電源95は、X線出射器10にX線出射のための高電圧及び電流を供給する。
次に、上記のように構成したX線回折測定装置を含むX線回折測定システムを用いて、ボルトSの締結の軸力を評価する具体的方法について説明する。作業者はX線回折測定システムを評価対象であるボルトSの近傍にセットし、アーム式移動装置を操作してX線回折測定装置(筐体50)をボルトSの近くまで移動させ、電源を投入してX線回折測定システムを作動させる。この後、位置姿勢調整工程、回折環撮像工程、回折環読取り工程、回折環消去工程,残留応力計算工程及び評価工程の順に作業、操作又は処理が行われるが、これらの工程で先行技術文献の特許文献1で既に詳細に説明されているものは、簡略的に説明するにとどめる。
位置姿勢調整工程は、ボルトSの頭部に対するX線回折測定装置(筐体50)の位置と姿勢を調整する工程である。作業者は、まず、ボルトSの頭部に図5に示す硬質フィルムFを角が合うように置き、アーム式移動装置を操作してX線回折測定装置(筐体50)の位置と姿勢を調整することで、おおよそでX線の照射点が硬質フィルムFに描かれた十字マークのクロス点に合致し、X線の入射方向をボルトSの頭部に投影した方向が硬質フィルムFに描かれた十字マークの決められたラインと合致するようにする。図5に示す硬質フィルムFに描かれた十字マークはクロス点が中心であり、ラインが角と角を結ぶライン及び角と角の中間同士を結ぶラインであり、上述したように合致させることでX線はボルトSの頭部の中心に照射され、残留垂直応力の測定方向はボルトSの頭部の決められた方向になる。なお、本実施形態ではボルトSは六角柱状の頭部としているため硬質フィルムFは六角形のものとしているが、ボルトSの頭部が別の形状であるときは、その形状に合った硬質フィルムFを使用する。
次に作業者は、入力装置92から位置姿勢の調整を行うことを入力する。この入力により、コントローラ91は、各回路に指令を出力し、イメージングプレート15を回折環撮像位置(図1乃至図3の状態)に移動させ、モータ46を駆動させてプレート45をA位置まで回転させ、LED光源44を点灯させる。これにより平行光であるLED光が筐体50の円形孔50c1から外部へ出射され、ボルトSの頭部に置かれた硬質フィルムFの十字マークのクロス点付近に照射される。さらに、コントローラ91は、撮像器49による撮像信号をセンサ信号取出回路87からコントローラ91に出力させ、この撮像信号から作成した撮影画像を表示装置93に表示させる。
この撮影画像は図6に示すものであり、十字マークのクロス点は表示装置93の画面の中心に位置し、Y軸ラインおよびX軸ラインは縦方向と横方向の中間位置にある。上述したように、十字マークのクロス点は、LED光の照射点からイメージングプレート15までの距離Lが設定値であるときに照射点が撮像される位置であると同時に、距離Lが設定値であり、LED光が測定対象物に設定された入射角で入射されるとき、受光点が撮像される位置である。また、受光点がY軸ライン上にあるとき、Y軸ラインを測定対象物に投影させた方向は残留垂直応力の測定方向である。
作業者は、表示装置93に表示される画像を見ながら、アーム式移動装置を操作して、X線回折測定装置(筐体50)の位置と姿勢を調整し、図6に示すようにLED光の照射点P1および受光点P2が画面上における十字マークのクロス点と合致するとともに、画面上における十字マークのラインと硬質フィルムFに描かれた十字マークのラインとが合致するようにする。このとき画面上のY軸ラインは硬質フィルムFに描かれた十字マークの決められたラインと合致するようにする。これにより、X線照射点からイメージングプレート15までの距離Lは設定値となり、X線が設定された入射角で入射し、X線照射点(残留応力の測定点)はボルトSの頭部の中心になり、残留応力の測定方向はボルトSの頭部の決められた方向になる。調整が完了すると、作業者は入力装置92から位置姿勢の調整終了を入力する。これにより、コントローラ91は、各回路に指令を出力し、LED光源44を消灯させ、撮像信号の出力を停止させ、モータ46を駆動させてプレート45をB位置まで回転させる。これにより、X線出射器10から出射されるX線が、移動ステージ21の貫通孔21aに入射され得る状態となる。
次の回折環撮像工程において、作業者はボルトSの頭部から硬質フィルムFを除き、入力装置92からボルトSの材質(例えば、鉄)を入力し、測定開始を入力する。これにより、コントローラ91は、スピンドルモータ制御回路74を制御して、イメージングプレート15を低速回転させ、エンコーダ27cからインデックス信号を入力した時点で、イメージングプレート15の回転を停止させる。これにより、回折環の読取り時において回転角度0°となる状態で、イメージングプレート15に回折環が撮像されるようになる。次に、コントローラ91は、X線制御回路71を制御してX線出射器10にX線の出射を開始させる。これにより、ボルトSの頭部におけるX線照射点で発生した回折X線により、イメージングプレート15に回折環が撮像されていく。そして、所定時間の経過後に、X線制御回路71を制御してX線出射器10にX線の出射を停止させる。
次にコントローラ91は、回折環読取り工程を実行する。コントローラ91は、フィードモータ制御回路73を制御して、イメージングプレート15を回折環読取り領域内の読取り開始位置へ移動させる。読取り開始位置とは、レーザ光の照射位置が回折環基準半径Roの円に対して若干だけ内側になるような位置である。回折環基準半径Roとは、測定対象物の残留応力が「0」であるときに、イメージングプレート15上に形成される回折環の半径であり、測定対象物におけるX線の回折角2Θm(Θmはブラッグ角)及びX線照射点からイメージングプレート15までの距離LからRo=L・tan(2Θm)の計算式で計算される。そして、X線の回折角2Θmは測定対象物の材質で決まり、距離Lは設定値に調整されているので、測定対象物の材質ごとに予め回折角2Θmを記憶しておけば、ボルトSの材質を入力することで回折環基準半径Roは計算できる。
次に、コントローラ91は、スピンドルモータ制御回路74を制御して、スピンドルモータ27を所定の回転速度で回転させ、レーザ駆動回路77を制御してレーザ検出装置30からレーザ光をイメージングプレート15に照射させ、フォーカスサーボ回路81を制御してフォーカスサーボを開始させる。さらに、回転角度検出回路75を制御して、スピンドルモータ27(イメージングプレート15)の回転角度θpの出力を開始させ、A/D変換器83を制御して、SUM信号の瞬時値Iのデータ出力を開始させ、フィードモータ制御回路73を制御してフィードモータ22を回転させ、イメージングプレート15を読取り開始位置から図1及び図2の右下方向へ一定速度で移動させる。これにより、レーザ光の照射位置は、相対的にイメージングプレート15上を螺旋状に回転し始める。その後、コントローラ91は、イメージングプレート15が所定の小さな角度だけ回転するごとに、A/D変換器83が出力するSUM信号の瞬時値Iのデータと、回転角度検出回路75が出力する回転角度θpのデータと位置検出回路72が出力する移動距離xのデータとを入力し、それぞれのデータを対応させて記憶する。なお、移動距離xはレーザ光照射位置の径方向距離r(半径値r)に変換したうえで記憶する。これにより、螺旋状に回転するレーザ光の照射位置に対応して、SUM信号の瞬時値I、回転角度θp及び半径値rを表すデータが所定回転角度ごとに順次記憶されていく。
SUM信号の瞬時値I、回転角度θp及び半径値rを表すデータの所定回転角度ごとの記憶動作と並行して、コントローラ91は、回転角度θpごとに半径値rに対するSUM信号の瞬時値Iの曲線を作成し、曲線のピークに対応した半径値rαとSUM信号強度値Iαを記憶する。これは回折環の回転角度αごとに半径方向における回折X線の強度分布を求め、回折X線の強度がピークとなる箇所の半径値rαと回折X線の強度に相当する強度Iαを求める処理である。そして、すべての回転角度θp(回転角度α)において半径値rαと強度Iαを取得し、検出するSUM信号の瞬時値Iが強度Iαに対して充分小さくなった時点で、データの記憶を終了する。これにより、回折環における回折X線の強度に相当する強度の分布が瞬時値I、回転角度θp及び半径値rのデータ群で、および回折環の形状が回転角度αごとの半径値rαで検出されたことになる。その後、コントローラ91は、各回路に指令を出力し、フォーカスサーボを停止させ、レーザ光の照射を停止させ、A/D変換器83と回転角度検出回路75の作動を停止させ、フィードモータ22の作動を停止させる。なおイメージングプレート15の回転は、継続されている。
次にコントローラ91は、回折環消去工程を実行する。コントローラ91は、フィードモータ制御回路73を制御してイメージングプレート15を回折環消去領域内の消去開始位置へ移動させる。このイメージングプレート15の消去開始位置とは、LED光源43から出力されるLED光の中心が回折環基準半径Roの円に対して前記読取り開始位置の場合よりもさらに内側になる位置である。次に、コントローラ91は、LED駆動回路84を制御してLED光源43によるLED光をイメージングプレート15に対して照射させ、フィードモータ制御回路73を制御して、イメージングプレート15が前記消去開始位置から消去終了位置まで図1及び図2の右下方向に一定速度で移動するよう、フィードモータ22を回転させる。消去終了位置とは、LED光の中心が回折環基準半径Roよりも前記消去開始位置と同じ程度の距離だけ外側となる位置である。これにより、LED光がイメージングプレート15上に螺旋状に照射され、撮像された回折環が消去される。
イメージングプレート15が消去終了位置になると、コントローラ91は、フィードモータ制御回路73を制御してイメージングプレート15の移動を停止させ、LED駆動回路84を制御してLED光の照射を停止させ、位置検出回路72の作動を停止させ、スピンドルモータ制御回路74を制御してスピンドルモータ27(イメージングプレート15)の回転を停止させる。
次にコントローラ91は、残留応力計算工程を実行する。これは、回折環の形状である回転角度αごとの半径値rαのデータ、X線照射点からイメージングプレート15までの距離LとX線の入射角の設定値、及びボルトSの材質(例えば鉄)において既知の値である回折角、ヤング率、ポアソン比等の定数を用いて、cosα法を用いた演算により残留垂直応力を計算する演算処理である。ただし、残留垂直応力を計算する演算は公知技術を用いたものであり、例えば特開2005−241308号公報の〔0026〕〜〔0044〕に詳細に説明されているので説明は省略する。計算が終了するとコントローラ91は残留垂直応力の値を表示装置93に表示する。
次の評価工程は表示装置93に表示されたボルトSの頭部中心の残留垂直応力を作業者が見て、締結の軸力を評価する工程である。ボルトSの頭部中心の残留垂直応力はボルトSによる締結の軸力と高い相関関係があるので、予めこの相関関係を得ておけば、作業者は表示された残留垂直応力から軸力が充分か不足しているか等の評価を行うことができる。以下、ボルトSの頭部中心の残留垂直応力が、ボルトSによる締結の軸力と高い相関関係があることを説明する。
発明者は、締結を行った複数のボルトSにおいて、図7に示すように頭部中心を含むラインにおける各点の残留垂直応力を上述したX線回折測定システムを用いて上述したように測定を行った。その結果、いずれのボルトSにおいても頭部の残留垂直応力は図7のグラフに示すように、中心付近がピークとなる放物曲線状に変化していることを確認した。残留垂直応力は頭部の周辺が0に近く、中心付近がマイナスの数値でピークとなっているが、これは残留垂直応力において圧縮の場合は数値がマイナスとなるためである。そして、発明者は図8に示すように、ボルトSで締結する物体M1と物体M2との間に、圧縮力(軸力)を電気信号に変換できるロードセル100を挟んでボルトSの締め込みを行い、ロードセルで検出される軸力ごとにボルトSにおける頭部の中心の残留垂直応力を上述したX線回折測定システムを用いて上述したように測定した。その結果、軸力と残留垂直応力には図9に示すように高い相関関係があることがわかった。よって、予めこの相関関係を得ておけば、ボルトSの頭部中心の残留垂直応力からボルトSによる締結の軸力を評価することができると言える。また、ボルトSの種類ごとに、軸力とボルトSにおける頭部中心の残留垂直応力との相関関係をテーブル又は変換式の形でコントローラ91のメモリに記憶しておき、測定した残留垂直応力をこの相関関係に当てはめて軸力の数値として表示装置93に表示するようにしてもよい。このようにすれば、軸力の数値で軸力を評価することができる。なお、図7及び図8においては、ボルトSの頭部は六角柱形状のもので示してあるが、発明者は、ボルトSの頭部が円柱形状や円錐台形状のものであっても、頭部の残留垂直応力の変化曲線及び軸力と残留垂直応力との相関関係は六角柱形状の場合と同様であることを確認している。
なお、上記実施形態では、評価対象のボルトSの頭部中心にそのままX線を照射してX線回折測定を行ったが、ボルトSによっては加工層が存在するためX線回折測定により得られる残留垂直応力が正しい値を示さないものがあり、表面を数百μm除去したうえでX線回折測定を行った方がよい場合がある。この場合は、ボルトSの頭部中心付近を電解研磨装置で電解研磨したうえで、上述したようにX線回折測定を行うようにする。電解研磨装置は例えば図10に示される装置であり、市場で流通している装置である。端的に説明すると、電解研磨装置は電解液2を入れたトーチ1と、2つの電極間に定電流を流す定電流装置6からなる。トーチ1の中には負極となる電極3が挿入されており、トーチ1の先端は電解液が浸透するマスク4でシールされており、ボルトSが正極になるよう、電極5がボルトSと導通している箇所に接続される。定電流装置6により電極3と電極5間にボルトSが正極となるよう通電が行われると、電解液2に接触しているボルトSの部分が電界液2中に溶け出す電解研磨がされる。電解液2は、市販されているものの中からボルトSの材質に適切なものを選択して使用すればよい。例えば、ボルトSが鉄やステンレスである場合、電界液2は、(株)日本科学エンジニアリング製のマイトスケーラー液SUS−4000Bを使用すればよい。なお、図11の電解研磨装置のトーチ1は、水平なボルトSの頭部を電解研磨する場合の構造であり、鉛直方向に平行なボルトSの頭部を電解研磨する場合は、電解液2が漏洩しないように供給口には逆止弁があり、新たな電解液2を供給する際は逆止弁に圧力をかけて供給口を開けるようになっている。
上記説明からも理解できるように、上記実施形態においては、対象とする測定対象物に向けてX線を出射するX線出射器10と、X線出射器10から測定対象物に向けてX線が照射された際、測定対象物にて発生した回折X線を、X線出射器10から出射されるX線の光軸に対して垂直に交差するイメージングプレート15にて受光し、イメージングプレート15に回折X線の像である回折環を形成する回折環形成機器とを備えたX線回折測定装置を用いた、ボルトSの締結における軸力の評価方法において、X線出射器10から出射されるX線を評価対象のボルトSの頭部の中心に照射し、イメージングプレート15に回折環を形成する回折環撮像工程と、回折環撮像工程においてイメージングプレート15に撮像された回折環の形状を検出し、残留垂直応力を算出する回折環読取り工程及び残留応力計算工程と、残留応力計算工程において算出された残留垂直応力から、ボルトSの締結における軸力を評価する評価工程とからなるボルトSの締結における軸力の評価方法としている。
上述したように、ボルトSの頭部中心の残留垂直応力と締結の軸力には高い相関関係があり、上記実施形態のように、締結を行った後ボルトSの頭部の中心の残留垂直応力をX線回折測定装置を用いて測定すれば、この値から精度よく軸力を評価することができる。また、ボルトSの種類ごとに頭部中心の残留垂直応力と軸力との関係を予め求めておけば、X線回折測定装置を用いて測定した残留垂直応力をこの関係に当てはめることで、軸力の数値で軸力を評価することができる。
また、上記実施形態においては、X線回折測定装置は、X線出射器10からX線が出射されていない状態で、X線出射器10から出射されるX線と光軸を同一にした平行光である可視光を測定対象物に出射するLED光源44、プレート45等からなるLED光出射器と、X線出射器10、回折環形成検出機器及びLED光出射器を内部に配置した筐体50とを備え、回折環撮像工程の前に、評価対象のボルトSの頭部に、頭部の平面形状と略同一形状で中心位置が描かれた硬質フィルムFを頭部の平面に合うように置き、LED光出射器からLED光を出射させ、LED光の照射点位置とフィルムの中心位置とを比較しながら、評価対象のボルトSに対する筐体50の位置及び姿勢を調整する位置姿勢調整工程を行うようにしている。
これによれば、位置姿勢調整工程にてLED光出射器から出射されるLED光の照射点がフィルムの中心位置に合致するよう、X線回折測定装置の筐体50の位置及び姿勢を調整した後回折環撮像工程を行えば、精度よくボルトSの頭部の中心にX線を照射して残留応力を測定することができるので、精度よく軸力を評価することができる。
また、本発明の他の特徴は、X線回折測定装置は、LED光出射器から出射されるLED光の照射箇所付近を結像レンズ48と撮像器49を備えたカメラ機能により撮影し撮影画像を表示する撮影機器であって、X線出射器10から出射されるX線の光軸とイメージングプレート15に撮像される回折環において回転角度を0とするラインとが含まれる平面が撮像器49と交差する箇所を、撮影画像上に撮影画像とは独立してY軸ラインで表示する撮影機器を備え、硬質フィルムFは中心位置を通るラインが描かれたものであり、位置姿勢調整工程は、撮影機器により撮影画像上に独立して表示されるY軸ラインの位置と硬質フィルムFに描かれたラインの位置とを比較しながら、筐体50の位置及び姿勢を調整することも行うようにしている。
これによれば、位置姿勢調整工程にて撮影画像上に表示されるY軸ラインの位置が硬質フィルムFに描かれたラインの位置に合致するよう、X線回折測定装置の筐体50の位置及び姿勢を調整した後回折環撮像工程を行えば、ボルトSの頭部の定まった方向の残留応力を測定することができるので、さらに精度よく軸力を評価することができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
上記実施形態ではボルトSの頭部に置く硬質フィルムFを十字マークが描かれたものにし、X線回折測定装置の筐体50の位置及び姿勢の調整が完了した後は、ボルトSの頭部から取り除いて回折環撮像工程を行うようにした。しかし、硬質フィルムFをボルトSの頭部に置いたまま回折環撮像工程を行いたいときは、図11に示すように十字マークのクロス点付近に円形の孔を開けた硬質フィルムF’を用いればよい。上記実施形態で示されているように、X線回折測定装置の筐体50の位置及び姿勢の調整においては、撮影画面上における十字マークのラインと硬質フィルムFに描かれた十字マークのラインとを合致させ、LED光の照射点および受光点を撮影画面上における十字マークのクロス点と合致させるのでこれでも、問題なく位置及び姿勢の調整を行うことができる。
また、上記実施形態ではボルトSの頭部の中心の1点だけX線回折測定により残留垂直応力を測定したが、中心付近の複数の点の残留垂直応力を測定して平均値を求めるようにしてもよい。このときは、図11に示すように十字マークのクロス点付近に円形の孔を開けた硬質フィルムF’を用い、LED光の照射点が円形の孔の外周と交差する各ラインの箇所寄りの位置になるようにして、それぞれX線回折測定により残留垂直応力を測定すればよい。これによれば、残留垂直応力の測定点が偏らないようにすることができるので、残留垂直応力の平均値の精度をよくすることができる。
また、上記実施形態ではボルトSの頭部の定められた1方向だけX線回折測定により残留垂直応力を測定したが、複数の方向の残留垂直応力を測定し、それぞれにおいて軸力を評価するようにしてもよい。このとき、それぞれの方向の残留垂直応力と軸力の相関関係を予め求めておき残留垂直応力を軸力に変換して平均値を求めるようにするとさらによい。このときも、図11に示すように十字マークのクロス点付近に円形の孔を開けた硬質フィルムF’を用い、硬質フィルムF’のそれぞれのラインと撮影画面上におけるY軸ラインとを合致させて、それぞれX線回折測定により残留垂直応力を測定すればよい。これによれば、複数の方向の残留垂直応力で軸力を評価することができるので、評価の精度をよくすることができる。なお、図11では硬質フィルムF’に描かれたラインは2つのみであるが、さらにラインを増やしてもよい。
また、上記実施形態及び上記変形例では硬質フィルムF,F’に描かれている模様を十字マークとしたが、ボルトSの頭部中心と定められた方向を示すことができれば、描かれている模様はどのようなものでもよい。例えば、中心にドットを描き、このドッドを通るラインを描いてもよい。
また、上記実施形態及び上記変形例ではボルトSに置くものを硬質フィルムF,F’としたが、厚さが薄く、ボルトSの頭部中心と定められた方向を示すことができれば、別のものを置いてもよい。例えば、上記実施形態と同様の模様が描かれた軟質フィルムをボルトSの頭部の平面形状と同じ形状の外枠に貼付したものを置いてもよい。
また、上記実施形態及び上記変形例ではボルトSに硬質フィルムF,F’を置いてX線回折測定装置の筐体50の位置及び姿勢を調整したが、ボルトSの頭部に中心と定められた方向がわかる模様があれば、ボルトSに硬質フィルムF,F’を置かずにX線回折測定装置の筐体50の位置及び姿勢を調整してもよい。
また、上記実施形態ではX線回折測定装置の筐体50の位置及び姿勢をアーム式移動装置を操作して調整したが、評価対象のボルトSにより締結された物体が移動可能なものであれば、該物体を移動させて、評価対象のボルトSに対するX線回折測定装置の筐体50の位置及び姿勢を調整するようにしてもよい。
また、上記実施形態ではX線照射により撮像された回折環の形状から残留垂直応力を求めるようにしたが、軸力を評価することが目的であるので、回折環の形状から求めるものは、残留垂直応力に相当する値であってもよい。例えば、cosα法により残留垂直応力を計算する途中で得られるcosα線図の傾きであってもよい。また、残留垂直応力と軸力との関係を予め求めて記憶しておく場合、軸力は力の単位の値でなく、軸力に相当する値であってもよい。
また、上記実施形態では硬質フィルムFの十字マークと撮影画面の十字マークが合致し、LED光の照射点及び受光点が撮影画面の十字マークのクロス点に合致するように、X線回折測定装置の位置及び姿勢を調整した。しかし、これに代えて硬質フィルムFの十字マークの残留応力の測定方向のラインのみを撮影画面のY軸ラインに合わせ、LED光の照射点が硬質フィルムFの十字マークのクロス点のみに合致するようX線回折測定装置の位置及び姿勢を調整するようにしてもよい。このとき、X線照射点からイメージングプレート15までの距離Lは、予めコントローラ91に距離Lと撮影画面におけるLED光照射点の位置との関係を記憶させておき、撮影画面におけるLED光照射点の位置をこのこの関係に当てはめて計算するようにすればよい。また、X線の入射角は、ステージ21を移動させたときのLED光照射点の位置から計算することができる。この技術は、特許第6048547号に詳細に記載されているのでそちらを参照する。距離L及びX線の入射角を求めることができれば、これらが設定値でなくても撮像した回折環の形状から残留垂直応力を計算することができる。
また、上記実施形態では、回折環を撮像し回折環を読取るX線回折測定装置を、イメージングプレート15に回折環を撮像し、レーザ検出装置30からレーザ光照射しながら走査して照射位置と光の強度検出を行う装置としたが、回折環を撮像し回折環を読取ることができるならば、どのような方式の装置でもよい。例えば、イメージングプレート15と同じ広さの平面を有するX線CCDを備え、X線出射器10からのX線照射の際、X線CCDの各画素が出力する電気信号により回折X線の強度分布を検出する装置でもよい。また、イメージングプレート15と同じ広さの平面を有するX線CCDの代わりに、微小サイズのX線CCDを位置を検出しながら走査し、X線CCDの各画素が出力する電気信号とX線CCDの走査位置から、回折X線の強度分布を検出する装置でもよい。また、X線CCDに替えてシンチレータから出た蛍光を、光電子増倍管(PMT)で検出するシンチレーションカウンタを用いる装置でもよい。
また、上記実施形態では、コントローラ91に残留垂直応力を演算して求めるプログラムがインストールされているとした。しかし、測定効率を重要視しなければ、X線回折測定装置は撮像した回折環を読取るまでにし、残留垂直応力の演算は別の装置で行うようにしてもよい。この場合、別の装置にX線回折像のデータを入力する方法としては、記録媒体を介する方法、ネット回線等を使用して転送する方法等、様々な方法が考えられる。また、さらに時間がかかってもよければ演算プログラムを使用せず、上記値の計算の一部またはすべてを手計算により行ってもよい。
また、上記実施形態では、X線回折測定装置を回折環を撮像し回折環を読取る機能を備えた装置とした。しかし、測定効率を重要視しなければ、X線回折測定装置は回折環を撮像するまでにし、回折環が撮像されたイメージングプレート15をX線回折測定装置から取り外して、回折環を読取る装置にセットし、回折環を読取るようにしてもよい。
また、上記実施形態では、プレート45、モータ46及びストッパ部材47aによりLED光源44をX線の光軸上に移動させて、LED光を測定対象物に照射する構造にした。しかし、これに代えて、出射X線と光軸を同一にした可視の平行光を照射することができれば、どのような構造にしてもよい。例えば、ビームスプリッタを出射X線の光軸上に配置し、LED光をビームスプリッタで反射させて出射X線と光軸を同一にして照射するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、スピンドルモータ27の貫通孔27bに内径の小さな通路部材28を設けるとともに、固定具18の貫通孔18a,18bの内径を小さくして、LED光源44から出射されたLED光から小さな断面径の平行光が得られるようにしたが、小さな断面径の可視の平行光が得られるならば、別の構造にしてもよい。例えば、可視光であるレーザ光を出射するレーザ光源の近くにコリメートレンズとエキスパンダーレンズを配置し、小さな断面径のレーザ光の光軸をスピンドルモータ27の出力軸27aの貫通孔27a1の中心軸線と一致させ、固定具18の貫通孔18a,18bに入射させるようにしてもよい。
10…X線出射器、15…イメージングプレート、15a,16a,17a,18a,21a,26a,27a1,27b…貫通孔、16…テーブル、18…固定具、20…テーブル駆動機構、21…移動ステージ、22…フィードモータ、23…スクリューロッド、27…スピンドルモータ、28…通路部材、30…レーザ検出装置、31…レーザ光源、36…対物レンズ、44…LED光源、45…プレート、46…モータ、47a,47b…ストッパ部材、48…結像レンズ、49…撮像器、50…筐体、50a…底面壁、50c…切欠き部壁、50d…繋ぎ壁、51…支持アーム、90…コンピュータ装置、91…コントローラ、92…入力装置、93…表示装置、95…高電圧電源 、100…ロードセル、S…ボルト、F,F’…硬質フィルム

Claims (3)

  1. 対象とする測定対象物に向けてX線を出射するX線出射器と、
    前記X線出射器から前記測定対象物に向けてX線が照射された際、前記測定対象物にて発生した回折X線を、前記X線出射器から出射されるX線の光軸に対して垂直に交差する撮像面にて受光し、前記撮像面に前記回折X線の像である回折環を形成する回折環形成手段とを備えたX線回折測定装置を用いた、ねじ又はボルトの締結における軸力の評価方法において、
    前記X線出射器から出射されるX線を評価対象のねじ又はボルトの頭部の中心に照射し、前記撮像面に回折環を形成する撮像ステップと、
    前記撮像ステップにおいて前記撮像面に撮像された回折環の形状を検出し、残留応力または前記残留応力に相当する値を算出する残留応力算出ステップと、
    前記残留応力算出ステップにおいて算出された値から、ねじ又はボルトの締結における軸力を評価する評価ステップとからなることを特徴とするねじ又はボルトの締結における軸力の評価方法。
  2. 請求項1に記載のねじ又はボルトの締結における軸力の評価方法において、
    前記X線回折測定装置は、
    前記X線出射器からX線が出射されていない状態で、前記X線出射器から出射されるX線と光軸を同一にした平行光である可視光を測定対象物に出射する可視光出射器と、
    前記X線出射器、回折環形成検出手段及び前記可視光出射器を内部に配置した筐体とを備え、
    前記撮像ステップの前に、
    評価対象のねじ又はボルトの頭部に、前記頭部の平面形状と略同一形状で中心位置が描かれたフィルムを前記頭部の平面に合うように置くフィルムセットステップと、
    前記可視光出射器から可視光を出射させ、前記可視光の照射点位置と前記フィルムの中心位置とを比較しながら、前記評価対象のねじ又はボルトに対する前記筐体の位置及び姿勢を調整する位置姿勢調整ステップとを行うことを特徴とするねじ又はボルトの締結における軸力の評価方法。
  3. 請求項2に記載のねじ又はボルトの締結における軸力の評価方法において、
    前記X線回折測定装置は、
    前記可視光出射器から出射される可視光の照射箇所付近を結像レンズと撮像器を備えたカメラ機能により撮影し撮影画像を表示する撮影手段であって、前記X線出射器から出射されるX線の光軸と前記撮像面に撮像される回折環において回転角度を0とするラインとが含まれる平面が前記撮像器と交差する箇所を、前記撮影画像上に前記撮影画像とは独立してラインで表示する撮影手段を備え、
    前記フィルムセットステップにて使用するフィルムは、中心位置を通るラインが描かれたものであり、
    前記位置姿勢調整ステップは、前記撮影手段により撮影画像上に独立して表示されるラインの位置と前記フィルムに描かれたラインの位置とを比較しながら、前記筐体の位置及び姿勢を調整することも行うことを特徴とするねじ又はボルトの締結における軸力の評価方法。
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