JP2009053050A - ボルト、ボルトの軸力測定装置、およびボルトの締付装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸力を容易に測定することができるボルト、およびボルトの締付装置を提供する。
【解決手段】ボルトは、ボルト頭部101、フランジ103、ボルト胴部105、およびボルトねじ部107から構成される。ボルト頭部の中心からボルト軸方向に、ボルトねじ部107に向けて穴111が形成される。穴111の底に近い位置には、機械的ひずみに応じた発光強度を示す応力発光体115が塗布される。穴111の入口には、外部からのゴミや液体の侵入を防ぐための透明窓部材113が設けられている。ボルトの締付装置は、ボルト頭部101に係合することができるソケット203と、ソケット203の内部に設けられ、応力発光体115からの光を検出する発光強度計測装置205と、発光強度計測装置205からの検出信号に応じて、ボルトが適切な軸力となるように締め付け指示を出力する演算部207とを備える。
【選択図】図3
【解決手段】ボルトは、ボルト頭部101、フランジ103、ボルト胴部105、およびボルトねじ部107から構成される。ボルト頭部の中心からボルト軸方向に、ボルトねじ部107に向けて穴111が形成される。穴111の底に近い位置には、機械的ひずみに応じた発光強度を示す応力発光体115が塗布される。穴111の入口には、外部からのゴミや液体の侵入を防ぐための透明窓部材113が設けられている。ボルトの締付装置は、ボルト頭部101に係合することができるソケット203と、ソケット203の内部に設けられ、応力発光体115からの光を検出する発光強度計測装置205と、発光強度計測装置205からの検出信号に応じて、ボルトが適切な軸力となるように締め付け指示を出力する演算部207とを備える。
【選択図】図3
Description
この発明はボルト、ボルトの軸力測定装置、およびボルトの締付装置に関し、特に軸力を容易に測定することを可能とするボルト、ボルトの軸力測定装置、およびボルトの締付装置に関する。
ボルトは、2つの対象物を固定するために用いられる。ボルトおよび対象物の破損や、ボルトの緩みを防ぐため、ボルト締付け時には、ボルトの軸力を適切な値とする必要がある。一般に、ボルト締付け時に、締付けトルクを測定することで、ボルトの固定力を管理することが行なわれている。
下記特許文献1には、ワッシャやボルトの軸などに応力発光体を塗布し、応力発光体からの発光強度を測定することで、ワッシャやボルトが対象物を固定している力を測定する技術が開示されている。
特開2006−275796号公報
しかしながら、締付けトルクを測定しても、実際にどれだけの軸力でボルトが締付けられたかを正確に測定することはできないという問題があった。締付けトルクは、ボルトとそれが螺合する物体との間の摩擦力により変化するためである。
また、上記特許文献1の技術を採用し、応力発光体を塗布したワッシャを用いた場合、以下の問題点がある。
ボルトに設けられたフランジが傘状である場合、締付け開始時に、ワッシャには先ずフランジの外周部分が接する。この外周部分においてワッシャに加えられる応力は非常に大きくなる。これにより、締付け開始時に、応力発光体は急激に発光する。ボルトを締付けるに従い、ボルトとワッシャとの接触は、線当たりから面当たりに変化する。
また、ボルトのフランジ面が平坦である場合、締付け時にワッシャにかかる力は、ボルト軸に遠い部分よりもボルト軸に近い部分で大きくなる。このように、ボルト締付け時にワッシャに加えられる力は、場所により異なるため、発光強度から正確な軸力を測定することは難しい。
また、ボルトの軸に応力発光体を塗布した場合、発光をボルトの横から計測するための構造が必要になる。この点に関し、上記特許文献1の図3(c)に示されるように、ワッシャに切り欠き部を形成することで、ボルト軸に塗布された応力発光体からの光が、当該切り欠き部を通過して外部まで達するようにすることが考えられる。
しかしながら、このように切り欠き部を形成したワッシャは、ボルトの締付け力を不均一に分散させるものであり、また構造的に弱いため、好ましいものではない。
また、応力発光体からの光を観察できるように、ワッシャの側面に穴を形成することが考えられる。しかしこの場合は、穴を形成するためにワッシャを厚くする必要が生じ、機械設計の制約が大きくなるという問題がある。
さらにこのようにワッシャに切り欠き部や穴を形成する場合において、発光強度の計測器の位置が固定されているときには、ワッシャの開口部(切り欠き部や穴)の位置決めを行なう必要が生じてくる。また、ボルト頭部を回してボルトを締付けるとき、ボルト胴部も回転するので、応力発光体をボルト胴部の全周に塗布しなければならない。または、応力発光体をボルト胴部の一部分に塗布する場合、ワッシャ開口部の位置と応力発光体の位置とを位置決めした上で、ボルト頭部を固定して、ナットを回して締め付ける必要がある。いずれにせよ、締め付けのために余分な配慮、工数、仕組みが必要となり、現実的ではない。
さらに、ボルトを締めるときには、摩擦によりボルトにねじり力が加わる。このねじり力で応力発光体が発光するため、正確に軸力を検出できないという問題があった。
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、軸力を容易に測定することができるボルト、ボルトの軸力測定装置、およびボルトの締付装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、ボルトには、ボルト頭部からボルトねじ部に向かう方向、またはボルトねじ部からボルト頭部に向かう方向に穴が形成される。ボルトの、穴を介して発光強度を測定できる位置には、機械的ひずみに応じた発光強度を示す応力発光体が備えられる。
この発明によると、ボルトが備える応力発光体が機械的ひずみに応じた発光強度を示す。その発光強度は、穴を介して測定することができる。応力発光体の発光量を測定することで、ボルトに加えられる軸力を容易に測定できるという効果がある。
好ましくは穴は、ボルト頭部からボルト軸方向に向かってボルト胴部まで形成された穴である。応力発光体は、穴の内側に塗布される。または、応力発光体は、ボルト胴部の外周に供えられ、穴は、ボルト頭部からボルト胴部の応力発光体に向けて続く穴である。
この場合、ボルト胴部にかかる軸力をボルト頭部の方向から、正確に測定できるという効果がある。
好ましくはボルトは、穴を塞ぐ、光を透過させることができる部材をさらに備える。
この場合、外部からのゴミや液体の穴への侵入を防ぐことができる。また、穴を塞ぐ部材として光を透過させることができる部材を用いることで、応力発光体からの光の測定を妨げることがないという効果がある。
この発明の他の局面に従うと、ボルトの軸力測定装置は、応力発光体の発光強度をボルトの穴から測定する測定部を備える。
この発明によると、ボルトに形成された穴から応力発光体の発光強度を測定することで、ボルトに加えられる軸力を容易に測定できるボルトの軸力測定装置を提供できるという効果がある。
好ましくは軸力測定装置は、測定された発光強度からボルトの軸力を演算する演算部をさらに備える。
この場合、軸力を容易に示すことができるという効果がある。
好ましくは軸力測定装置は、測定部の測定結果に基づいて、使用者に締付終了を通知する通知部をさらに備える。
この場合、締付終了を使用者に通知でき、軸力を適切な状態にすることができるという効果がある。
好ましくは測定部は、穴から応力発光体の発光強度を測定するときに、外部の光を遮光する遮光部材を備える。
この場合、外部からの光により応力発光体の発光量の測定誤差が生じることを防ぐことができるという効果がある。
この発明のさらに他の局面に従うと、ボルトの締付装置は、上述のいずれかに記載のボルトの軸力測定装置を備えたボルトの締付装置である。ボルトの締付装置は、ボルトに係合可能な係合部材と、係合部材を介してボルトを締付ける締付部と、測定部の測定結果に基づいて締付部の締付け力を制御する制御手段とを備える。
この発明によると、ボルトに形成された穴から応力発光体の発光強度を測定することで、ボルトに加えられる軸力を調節して締付けを行なうボルトの締付装置を提供できるという効果がある。
以下、本発明の実施の形態におけるボルト、ボルトの軸力測定装置、およびボルトの締付装置などについて説明する。
[ボルトについて]
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるボルトの斜視図であり、図2は、図1のボルトをボルト軸を含む面で切った断面図である。
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるボルトの斜視図であり、図2は、図1のボルトをボルト軸を含む面で切った断面図である。
図を参照してボルト100は、締付け時に締付装置のソケットなどに係合することができるボルト頭部101と、フランジ103と、雄ねじが形成されたボルトねじ部107と、ボルトねじ部107とボルト頭部101とを結ぶ、ねじ部が形成されていないボルト胴部105とから構成される。本実施の形態において、ボルト100の全長は50mm、ボルト頭部の二面幅は14mm、ボルト胴部の直径は10mmのサイズである。
ボルト頭部101の中心からボルト軸方向に、ボルトねじ部107に向けて直径2mm程度の穴111が形成されている。穴111の深さは、フランジ面よりも深く、ボルトねじ部107を貫通しない程度とすることが望ましい。好ましくは、穴111の底はボルト胴部105内に位置することが望ましい。さらに好ましくは、穴111の底は、フランジ面から5mm程度の深さから、ボルト胴部105の中央あたりに位置させることが望ましい。
穴111の底に近い位置には、機械的ひずみに応じた発光強度を示す応力発光体115が塗布されている。なお、応力発光体115は、穴底および穴の側面の少なくとも一部に塗布されていればよく、穴内部の全面に塗布されていてもよい。さらに、塗布部分においては、応力発光体115の塗布がしやすいように表面加工を行なってもよい。
応力発光体115の素材としては、たとえば、スピネル構造、コランダム構造、βアルミナ構造を持つ発光物質や、ケイ酸塩、欠陥制御型アルミン酸塩などを用いることができる。また応力発光体115は、樹脂との複合材料であってもよい。
さらに、応力発光体115からの光は穴内で反射しながら外部に到達するため、穴111の側面には光を反射させやすくするためのめっき(亜鉛めっきなど)が施されていることが望ましい。
穴111の入口には、外部からのゴミや液体(油分、水など)の侵入を防ぐために穴を塞ぐ、透明窓部材(蓋)113が設けられている。透明窓部材113は、ガラスや、ポリカーボネートなどのプラスチックで構成することができる。透明窓部材113は、ボルト頭部の段差を設けた加工面に接着剤で固定される。
[ボルトの締付装置について]
図3は、図1および2に示されるボルトの締付装置の構成を示す図である。
図3は、図1および2に示されるボルトの締付装置の構成を示す図である。
図中、ハッチングで示される部分が、図1および2で示されるボルトである。ボルトの締付装置は、ボルト頭部101に係合することができるソケット203と、ソケット203の内部に設けられ、応力発光体115からの光を透明窓部材113を介して検出する発光強度計測装置(ここではフォトンカウンタ205)と、フォトンカウンタ205からの検出信号に応じて締付け指示を出力する演算部207と、演算部207に接続される、軸力と発光強度との相関を記憶する記憶部209と、演算部207に接続される、規定軸力を記憶する記憶部211と、締付け指示に基づいてソケット203を用いてボルトの締付けを行なう自動締付け装置201とから構成される。
なお、発光強度計測装置としては、フォトダイオードなどを用いることとしてもよい。
ソケット203は、ボルト頭部101と係合する凹部を備えている。凹部は、ボルト頭部101と係合したとき、ボルト頭部101を完全に覆うように構成される。ソケット203がボルト頭部101に係合すると、フランジ103とソケット203の先端部とが接触し、ソケットの凹部内に外部から光が入射することが防がれる。これにより、応力発光体115からの光をフォトンカウンタ205で正確に捉えることができる。
なお、フランジ103とソケット203の先端部との間に、外部からの光が侵入する隙間ができないように、ソケット203の先端部であって、フランジと接触する部分に、クッション部材(ウレタン、スポンジ、ゴムなど)を設けることが望ましい。
演算部207は、ソケット203がボルト頭部101に係合した状態で、ボルト締付け前(応力発光体115に応力が加わる前)のフォトンカウンタ205の検出値を、バックグラウンド発光強度として記憶する。
また、演算部207には、ソケット203がボルト頭部101に係合した状態で、ボルト締付け中(応力発光体115に応力が加わっている間)のフォトンカウンタ205の検出値が、リアルタイム発光強度として入力される。
リアルタイム発光強度からバックグラウンド発光強度を減算することで、応力発光体115の発光量が検出される。
図4は、実験により得られたフォトンカウンタ205の検出値(発光強度:Intensity)と、ボルトに加えられる軸力(Force)との関係を示す図である。
図4の横軸は実験開始からの経過時間(秒)を示し、ここでは実験開始後0.75秒が経過した時点でボルトの締付け(軸力の増加)が開始され、実験開始後1.2秒が経過した時点で締付けが完了した例を示している。
図に示されるように、軸力の増加と共に応力発光体115の発光強度が増加し、軸力の増加が終了した時点で、発光強度は減少に向かう。これにより、発光強度の測定を行なうことにより、軸力を制御することが可能となることがわかる。
図5は、ボルトの締付装置の制御方法を説明するための図である。
図に示されるように締付けが開始される前の発光強度をバックグラウンド発光強度として記憶し、締付け中の発光強度をリアルタイム発光強度とする。リアルタイム発光強度からバックグラウンド発光強度を減算したものを軸力による応力発光体115の発光強度として演算する。
締付け開始(時刻T1)後、軸力による発光強度が所定値になったときに、締付け完了(時刻T2)とする。これにより、軸力は図5中の点線で示される増加を見せ、最終的に目標軸力とすることができる。
図6は、ボルトの締付装置の制御方法を示すフローチャートである。
図に示されるように、ステップS101でバックグラウンドの発光強度(A)が測定される。ステップS103で締付けを開始し、その時のリアルタイム発光強度(B)が測定される。
ステップS105で、(B)から(A)を減算することで、軸力による発光強度(C)が算出される。
ステップS107で、(C)に基づき、軸力と発光強度との相関記憶部209から対応する軸力を読出し(または算出し)、軸力を推定する。ステップS109で、規定軸力記憶部211から規定の軸力を読出し、規定の軸力となったかを判定し、NOであればステップS103に戻って締付けを継続する。ステップS109でYESとなれば、ボルトの締付けを終了する。
[手動軸力レンチについて]
なお、上記説明したボルトの軸力測定装置を手動レンチに組み込むこととしてもよい。
なお、上記説明したボルトの軸力測定装置を手動レンチに組み込むこととしてもよい。
図7は、手動軸力レンチの平面図であり、図8は側面図である。
ここでは、図1および2に示されるボルトが基材Sに締付けられる状態を示している。
手動軸力レンチは、ボルト頭部101と係合するソケット315と、ソケット内部に設けられる発光強度計測装置317と、レンチの柄319と、グリップ部301と、軸力表示装置303と、表示ランプ305と、スピーカ307と、選択スイッチ309と、演算装置311と、記憶装置313とを備えている。
手動軸力レンチを使用する前に、予め発光強度と軸力との関係を検定し、この関係と目標軸力とを記憶装置313に記憶させておく。また、複数の締付け仕様を記憶装置313に記憶させておいてもよい。この場合、作業者は測定前に該当する締付け仕様を選択スイッチ309で選ぶ。
作業者はソケット315にボルト頭部101を係合させ、グリップ301を持って手でボルトの締付けを始める。演算装置311は、発光強度計測装置317が計測した発光強度から軸力を推定する。時々の軸力の値は、軸力表示装置303に表示される。
目標軸力に達すると、表示ランプ305の点灯とスピーカ307の音により、軸力が目標値に達したこと(締付完了)が通知される。これにより、作業者は締付けを完了する。
[ボルトの第1の変形例]
図9は、図2に示されるボルト断面図の第1の変形例を示す図である。
図9は、図2に示されるボルト断面図の第1の変形例を示す図である。
この変形例においては、ボルトの軸方向に形成される穴が、ボルトねじ部107の先端部からボルト頭部101の方向に形成されている。穴の底は、ボルト胴部105の途中に位置する。穴を覆うように透明樹脂からなる透明窓部材113が設けられているのは、図1および2に示されるボルトと同様である。
本変形例においては、ボルトにナットを係合させ、ナットを装置や工具で締付けるときに、ナット側から発光体115の発光強度を測定し、それに基づいてボルトの軸力を推定することができる。
ナットを締付ける装置や工具は、図3や図7および8に示される構成と同様のものとすることができる。
[ボルトの第2の変形例]
図10は、図2に示されるボルト断面図の第2の変形例を示す図であり、図11は、図10のボルトを“A”方向から見た外観を示す図であり、図12は、図11のB−B’端面図である。
図10は、図2に示されるボルト断面図の第2の変形例を示す図であり、図11は、図10のボルトを“A”方向から見た外観を示す図であり、図12は、図11のB−B’端面図である。
この変形例においては、ボルト頭部の表面からボルトねじ部に向かう方向に穴111が斜め方向に形成されている。穴111は、光をボルト頂部に導く通路となる。また、ボルト胴部105の一部を切り欠いて平面151が作られている。平面151に、応力発光体115のシートが貼り付けられる。
本変形例においても上記実施の形態と同様に、ソケット内部に設置された発光強度計測器で穴111を介して応力発光体115の発光強度を計測し、軸力を推定する。
なお締付け時に、ボルトねじ部107は、滑りやすい状態にしておくことが望ましい(オイルを塗布するなど)。ボルトねじ部107が滑りやすいとき、ねじ面摩擦係数が小さく、ボルトのねじりも小さい。このため、応力による発光は、ほとんどがボルト胴部の引張によるひずみ(すなわち軸力)によるものとみなすことができる。このため本変形例においても、発光強度から精度よく軸力を推定することができる。
また、ボルト胴部外周の一部を切り欠き平面にすることで、あらかじめ作成された応力発光材のシートを貼りやすくすることができる。また、本変形例においては、応力発光部材からの光をボルト頭部に導く通路が形成されているため、その通路の付近に応力発光部材を設ければよく、ボルト胴部に応力発光材をはちまき状に全周コーティングする必要がない。なお、上記切り欠きは、本発明を実施するために必ずしも必要ではない。例えば、ボルトの(胴部などの)外周面の少なくとも一部に応力発光体を設け、その応力発光体の発光強度をボルトに設けられた穴から測定することとしてもよい。この場合、応力発光体を設ける面は平面ではなく曲面となる。あらかじめ作成された応力発光材のシートを当該曲面に貼ることでボルトを製造してもよいし、当該曲面に応力発光体を塗布することでボルトを製造してもよい。
ボルト頂部に透明の材料113で蓋をして、通路へのほこり、水分、油分の侵入を防止することも、上記実施の形態と同様である。
図13は、第2の変形例におけるボルトの締付けを行なう状態を示す図である。
ここではめねじが形成された基材Sにボルトを締付けている状態を示している。このとき、基材Sの穴の側壁と、ボルト胴部105の一部を切り欠いて形成された平面151と、フランジ103とにより囲まれる小室に、応力発光体115が位置することになる。これにより、応力発光体115からの光を漏らすことなく、かつ外部の光の影響を受けにくい暗室に近い状態で、発光強度を計測することができる。
[ボルトの第3の変形例]
図14は、図2に示されるボルト断面図の第3の変形例を示す図である。
図14は、図2に示されるボルト断面図の第3の変形例を示す図である。
この変形例においては、第2の変形例と同様に、ボルト胴部105の一部を切り欠いて平面151が作られている。平面151に、応力発光体115のシートが貼り付けられる。ボルト頭部の表面からボルトねじ部に向かう方向に穴111が形成されているが、穴はボルト軸に略平行な穴である。
このような構成でも、ボルト頭部から応力発光体の発光強度を測定することができる。
[実施の形態における効果]
上記実施の形態によると、ボルトの頭部(またはねじ部の端部)に穴を形成し、その穴から発光強度を測定できる位置に応力発光体が設けられる。応力発光体は、それが張り付いている部分の歪の大きさに応じて発光する。このため、ボルト頭部にソケットなどを係合させた状態(またはねじ部のナットにソケットなどを係合させた状態)で、穴から応力発光体の発光強度を容易に測定することができ、それに基づき応力を推定できるという効果がある。また、非接触かつ配線を必要とすることなく応力の検知が可能である。
上記実施の形態によると、ボルトの頭部(またはねじ部の端部)に穴を形成し、その穴から発光強度を測定できる位置に応力発光体が設けられる。応力発光体は、それが張り付いている部分の歪の大きさに応じて発光する。このため、ボルト頭部にソケットなどを係合させた状態(またはねじ部のナットにソケットなどを係合させた状態)で、穴から応力発光体の発光強度を容易に測定することができ、それに基づき応力を推定できるという効果がある。また、非接触かつ配線を必要とすることなく応力の検知が可能である。
特に、ソケットの内側上部に発光強度計測装置(センサ)を含ませ、ソケットとセンサとを一体化させることで、作業を容易にさせるだけではなく、外部からの光をある程度遮断し、暗室に近い一定の条件の下で発光強度を計測できるという効果がある。
また、従来の技術においてボルト胴部に発光体を塗布した場合、発光体は引張力と共に、ねじりの影響を受ける。ねじりの大小は、軸力とは無関係なので、発光強度から軸力だけを推定することはできない。これに対して、図2および9に示されるように、応力発光体をボルト軸心近くに塗布すると、応力発光体には引張応力のみ作用し、ねじり応力による影響を受けない。このため、ボルトの軸力に基づく発光のみを測定できるという効果がある。
また、従来の技術のようにワッシャに発光体を塗布しても、座面面圧は不安定でかつ不均一に分布することが多い。このため、圧縮応力から軸力を推定することは難しいという問題があった。また、従来の技術においてボルト胴部に発光体を塗布した場合、光を被締結物体の外側に導く必要があり、開口部を持った厚いワッシャを挿入するなどの工夫が必要になるという問題があった。本実施の形態ではこのような問題を解決できるという効果がある。さらに本実施の形態によると、ワッシャの切り欠き部や穴の位置決めが不要となる。
また、ボルト頭部を回転させてボルトの締付けを行なう場合、ボルト胴部はボルト頭部と共に回転する。このため、ボルトの側方から応力発光体の発光強度を測定する場合には、ボルト胴部の全周に応力発光体を塗布する必要がある。しかしながら本実施の形態では、穴を介して応力発光体の発光強度をボルト頭部またはねじ部の端部から測定することができるため、ボルト胴部の全周に応力発光体を塗布する必要がなくなる。特に高価な応力発光体を用いるときに、応力発光体の使用量を少なくすることができるため、ボルトのコストを低下させることができる。
[その他]
なお、第2および3の変形例においても、図9と同様に、ボルトねじ部から発光強度を測定できるように、ボルト頭部に繋がる穴に代えて、ボルトねじ部に繋がる穴を形成してもよい。
なお、第2および3の変形例においても、図9と同様に、ボルトねじ部から発光強度を測定できるように、ボルト頭部に繋がる穴に代えて、ボルトねじ部に繋がる穴を形成してもよい。
なお、上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 ボルト、101 ボルト頭部、103 フランジ、105 ボルト胴部、107 ボルトねじ部、111 穴、113 透明窓部材、115 応力発光体、201 自動締付け装置、203 ソケット、205 フォトンカウンタ、207 演算部、209 相関記憶部、211 規定軸力記憶部、301 グリップ部、303 軸力表示装置、305 表示ランプ、307 スピーカ、309 選択スイッチ、311 演算装置、313 記憶装置、315 ソケット、317 発光強度計測装置。
Claims (9)
- ボルト頭部からボルトねじ部に向かう方向、またはボルトねじ部からボルト頭部に向かう方向に穴が形成されており、
前記穴を介して発光強度を測定できる位置に、機械的ひずみに応じた発光強度を示す応力発光体を備えた、ボルト。 - 前記穴は、ボルト頭部からボルト軸方向に向かってボルト胴部まで形成された穴であり、
前記応力発光体は、前記穴の内側に塗布される、請求項1に記載のボルト。 - 前記応力発光体は、ボルト胴部の外周に供えられ、
前記穴は、前記ボルト頭部から前記ボルト胴部の応力発光体に向けて続く穴である、請求項1または2に記載のボルト。 - 前記穴を塞ぐ、光を透過させることができる部材をさらに備えた、請求項1から3のいずれかに記載のボルト。
- ボルトの軸力測定装置であって、
前記ボルトは、ボルト頭部からボルトねじ部に向かう方向、またはボルトねじ部からボルト頭部に向かう方向に穴が形成されており、前記穴を介して発光強度を測定できる位置に、機械的ひずみに応じた発光強度を示す応力発光体を備え、
前記応力発光体の発光強度を、前記穴から測定する測定部を備えた、ボルトの軸力測定装置。 - 前記測定された発光強度から前記ボルトの軸力を演算する演算部をさらに備えた、請求項5に記載のボルトの軸力測定装置。
- 前記測定部の測定結果に基づいて、使用者に締付終了を通知する通知部をさらに備えた、請求項5または6に記載のボルトの軸力測定装置。
- 前記測定部は、前記穴から前記応力発光体の発光強度を測定するときに、外部の光を遮光する遮光部材を備える、請求項5から7のいずれかに記載のボルトの軸力測定装置。
- 請求項5から8のいずれかに記載のボルトの軸力測定装置を備えたボルトの締付装置であって、
前記ボルトに係合可能な係合部材と、
前記係合部材を介して前記ボルトを締付ける締付部と、
前記測定部の測定結果に基づいて前記締付部の締付け力を制御する制御手段とを備えた、ボルトの締付装置。
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-
2007
- 2007-08-27 JP JP2007220190A patent/JP2009053050A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP6246965B1 (ja) * | 2017-04-21 | 2017-12-13 | パルステック工業株式会社 | X線回折測定装置を用いた軸力評価方法 |
JP2018179920A (ja) * | 2017-04-21 | 2018-11-15 | パルステック工業株式会社 | X線回折測定装置を用いた軸力評価方法 |
US10190618B2 (en) | 2017-06-22 | 2019-01-29 | Caterpillar Inc. | Track bolt |
JP2020190431A (ja) * | 2019-05-20 | 2020-11-26 | 株式会社島津製作所 | 応力発光データ処理装置、応力発光データ処理方法、応力発光測定装置および応力発光試験システム |
JP7282307B2 (ja) | 2019-05-20 | 2023-05-29 | 株式会社島津製作所 | 応力発光データ処理装置、応力発光データ処理方法、応力発光測定装置および応力発光試験システム |
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