JP6244606B2 - 熱交換器の補修方法 - Google Patents
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Description
熱回収部として機能する熱交換器のフィンチューブには、フライアッシュによる目詰まり・磨耗や、ショットクリーニングによる磨耗が生じるため、点検を実施して必要に応じて管を封止したり、交換したりしている。また、消耗した伝熱管が多数に及ぶ場合には、チューブバンドルごと交換したりしている(例えば特許文献1参照)。
また、再加熱部として機能する熱交換器のフィンチューブについても、排ガス中のミストなどが原因となって、スケール固着による目詰まりや腐食が生じるため、同様の処置を実施している(例えば特許文献2参照)。
本発明の熱交換器の補修方法は、第一ヘッダと、第二ヘッダと、これらを接続する複数の伝熱管と、該複数の伝熱管を支持するサポートと、前記複数の伝熱管及び前記サポートを覆うケーシングと、を有するチューブバンドルを複数備え、排煙処理装置において排ガスとの熱交換を行う熱交換器の補修方法であって、前記複数のチューブバンドルのうち、少なくとも一つのチューブバンドルを前記熱交換器から取り外すバンドル取外工程と、該バンドル取外工程で取り外した前記チューブバンドルにおける複数の伝熱管のうち、少なくとも一部の伝熱管を修理するバンドル修理工程と、該バンドル修理工程で修理した前記チューブバンドルを、前記熱交換器における他のチューブバンドルと置き換えるバンドル置換工程と、前記複数のチューブバンドルとは別に交換用チューブバンドルを用意する交換用バンドル用意工程と、前記バンドル取外工程にて取り外されたチューブバンドルと前記交換用チューブバンドルと置き換える交換用バンドル置換工程と、を有し、前記バンドル修理工程は、全ての前記伝熱管の肉厚測定を行う工程と、排ガス対向面の肉厚が一定値以下の前記伝熱管を交換する工程と、を含み、前記バンドル取外工程で取り外した前記チューブバンドルは、次のバンドル取外工程までに修理され、次のバンドル置換工程において交換用チューブバンドルとして使用されることを特徴とする。
また、現地工事における点検を省略してメンテナンスを行うことが可能となるため、現地工事作業時間を短縮することができる。
また、バンドル修理工程の際、第一ヘッダ、第二ヘッダ、サポート、及びケーシングが流用されるため、修理時のコストを低減することができる。
また、取り外されたチューブバンドルを次回の置き換えの際の交換用チューブバンドルとすることを繰り返すことによって、チューブバンドルをリサイクルしつつ全てのチューブバンドルを補修することができる。
また、取り外されたチューブバンドルの修理時間を十分に確保することができるとともに、作業の危険性を減らすことができる。
また、取り外されたチューブバンドルが修理されて交換用チューブバンドルが準備された段階でこのチューブバンドルを予備チューブバンドルとし、不慮の交換があった場合でも直ちに対応することができる。
上記構成によれば、伝熱管の再利用が可能となるため、修理時のコストを低減することができる。
本実施形態の熱交換器の補修方法は、火力発電所の石炭焚きボイラから排出される排ガスの処理に用いられる排煙処理装置に設けられた熱交換器の補修に用いられる。
図1に示すように、火力発電所50は、燃料を燃焼させるボイラ51から排出される排ガスGを処理する排煙処理装置52を有している。
また、電動機により駆動される通風機を設けて、適宜排ガスGを昇圧する構成としてもよい。
図2に示すように、熱交換器1は、伝熱管2を束ねた集合体であるチューブバンドル4を複数収納するバンドル収納ダクト3を有している。伝熱管2は、チューブバンドル4を介して熱交換器1の所定位置に配置されるようになっている。
箱部5の他方の開口には、ダクト入口6及び拡張部7と略同形状のダクト出口8と縮小部9とが設けられている。
排ガスGの流通方向に隣合う伝熱管2は、排ガスGの流通方向及び伝熱管2の長手方向に直交する方向にオフセットして配置されている。即ち、排ガスGの流通方向から視て、排ガスGの流通方向に隣り合う段の伝熱管2が重ならないように配置されている。
サポート13は、複数の伝熱管2をケーシング11内に保持するための部材である。サポート13は、例えば、伝熱管2が挿通する複数の孔が形成された板部材によって形成することができる。
本実施形態の熱交換器の補修方法は、フィンチューブのフィン20が飛来する高濃度の煤塵によって磨耗したり、鋼球散布装置の鋼球によって磨耗したりすることによって生じる補修に用いられる方法である。また、いうまでもなく本補修方法は、再加熱部1bの腐食などによって生じる補修についても用いられる。
本実施形態の熱交換器の補修方法による補修は、熱交換器1内の全てのチューブバンドル4に対して行われるが、複数回の作業(本実施形態では第一の作業〜第六の作業の6回の作業)に分けて実施される。即ち、全てのチューブバンドル4は、一度の作業で補修されるわけではない。
作業と作業の間隔や、一度の作業において補修されるチューブバンドル4の数量はこれに限ることはない。例えば、第一の作業と第二の作業との間隔を1年とし、一度の作業において補修されるチューブバンドル4の数量を1としてもよい。
図5は、本実施形態の12個のチューブバンドル4の配置を説明する概略図である。図5に示すように、複数のチューブバンドル4は、A1〜F1の6つのチューブバンドル4からなる第一チューブバンドル系列12aと、A2〜F2の6つのチューブバンドル4からなる第二チューブバンドル系列12bと、を有している。第一チューブバンドル系列12aは、排ガスGの流通方向からみて上流側の系列であり、熱回収部1aにおいては、第一チューブバンドル系列12aが高温側の系列となる。なお、図5,図6,図8,図9において、ドットのハッチングが掛けられているチューブバンドル4が、本実施形態の熱交換器の補修において、交換されていないチューブバンドル4である。
図示しないが、再加熱部1bとして機能する熱交換器1の場合、下流側のチューブバンドル系列12bが高温側の系列となる。
まず、作業に先立って、熱交換器1に設置されている複数のチューブバンドル4とは別に交換用チューブバンドルユニット23を用意する。交換用チューブバンドルユニット23は、磨耗のないフィンチューブを用いた伝熱管2を有するチューブバンドル4から構成されている。
図6に示すように、第一の作業において、まず、熱交換器1内部の全てのチューブバンドル4のうち4つのチューブバンドル4からなるユニットを取り外す。取り外すチューブバンドル4の位置は特に問わないが、本実施形態では、2系列のチューブバンドル4のうち、中央の2×2のユニットを取り外す。なお、バンドル取外工程において、チューブバンドル4を構成する伝熱管2の点検は行う必要はない。即ち、作業者は、伝熱管2の肉厚測定などを行うことなく、取り外すチューブバンドル4を決定する。
また、バンドル取外工程において取り外されるチューブバンドル4を、測定結果に応じて決定してもよい。例えば、各々のチューブバンドル4の第一ヘッダ15に接続された一段目の伝熱管2のみ肉厚を測定し、測定結果に基づいて交換するチューブバンドル4を決定してもよい。
次に、バンドル取外工程にて取り外されたユニットと、交換用バンドル用意工程にて用意されたユニット(交換用チューブバンドルユニット23)とを、置き換える。即ち、熱交換器1に設置されている複数のチューブバンドル4のうち、4つのチューブバンドル4が補修される。
以上のように、バンドル取外工程、バンドル置換工程の二つの工程によって、第一の作業が完了する。
第一の作業の完了後、バンドル取外工程にて取り外されたユニットは、工場に搬送されて修理(リサイクル)される。この修理作業は、第一の作業の次の第二の作業までに完了させる。修理作業は現場(火力発電所)で実施されることはなく、工場のような作業スペースにて実施される。
まず、チューブバンドル4の全ての伝熱管2に対して、肉厚測定を行う。具体的には、水浸UT検査方法を用いて、伝熱管2の肉厚点検を行う。水浸UTは、伝熱管2内に水を浸し、超音波プローブを伝熱管2内に挿入して検査する方法である。
伝熱管2の交換にあたっては、チューブバンドル4のケーシング11及びUベント21を切断する。即ち、ケーシング11を切断することにより、ケーシング11の内部の伝熱管2にアクセス可能な状態とし、Uベント21を切断することにより、伝熱管2を挿抜可能な状態とする。
伝熱管2の交換及び反転が完了した後、Uベント21、及びケーシング11を復旧させる。
以上の工程によって、チューブバンドル4が修理され、次の作業の際の交換用チューブバンドルユニット23として保管される。
(バンドル置換作業)
図8に示すように、第二の作業においては、第一の作業のバンドル取外工程において取り外されたユニットとは異なる、他のユニット(E1,E2,F1,F2)と、交換用チューブバンドルユニット23Bとを置き換える。即ち、E,Fのユニットを取り外した後、第一の作業にて取り外され、バンドル修理工程にて修理された交換用チューブバンドルユニット23Bを取り付ける。換言すれば、このバンドル置換工程において使用される交換用チューブバンドルユニット23Bは、新規に製造されたものではなく、再生品(リサイクル品)である。
第二の作業のバンドル置換工程にて取り外されたユニットのチューブバンドル4を修理する。修理方法は、前述したバンドル修理工程と同様である。このバンドル修理工程も次の作業である第三の作業までに完了させる。
図9に示すように、第三の作業においては、第一の作業及び第二作業にて交換されなかったA1,A2,B1,B2の4つのチューブバンドル4からなるユニットを、第二の作業にて取り外したユニットを修理したことによって得られた交換用チューブバンドルユニット23Cと交換する。
第一の作業〜第三の作業によって、全てのチューブバンドル4が交換される。
第三の作業の2年後に、次の第四の作業を行う。第四の作業においては、第一の作業にて補修されたC,Dのチューブバンドル4のユニットのうち、高温側のチューブバンドルC1,D1のみを補修する。即ち、排ガスに対して最も上流側の最上流系列と、排ガスに対して最も下流側の最下流系列と、を有する複数の系列から構成されているチューブバンドル4のユニットにおいて、より高温となる第一チューブバンドル系列12aのチューブバンドル4のみを交換する。交換の際は、2×2の交換用チューブバンドルユニット23のうち2つを使用する。
取り外された2つのチューブバンドル4は、工場にて修理された後、交換用チューブバンドルユニット23として保管される。
なお、高温側バンドル置換工程は、必ずしも実施する必要はない。即ち、第四の作業〜第六の作業をすることなく、第一の作業〜第三の作業にて熱交換器1の補修作業を完了させてもよい。
また、現地工事における点検を省略してメンテナンスを行うことが可能となるため、現地工事作業時間を短縮することができる。
また、バンドル修理工程の際、第一ヘッダ15、第二ヘッダ16、サポート13、及びケーシング11が流用されるため、修理時のコストを低減することができる。
また、取り外されたチューブバンドル4の修理時間を十分に確保することができるとともに、作業の危険性を減らすことができる。また、工場にチューブバンドル4を持ち込むことにより、機械加工ができるために、全ての伝熱管2が更新可能となる。
また、取り外されたチューブバンドル4が修理されて交換用チューブバンドルユニット23が準備された段階でこのチューブバンドル4を予備チューブバンドルとし、不慮の交換があった場合でも直ちに対応することができる。
1a 熱回収部
1b 再加熱部
2 伝熱管
3 バンドル収納ダクト
4 チューブバンドル
5 箱部
6 ダクト入口
7 拡張部
8 ダクト出口
9 縮小部
11 ケーシング
12(12a,12b) チューブバンドル系列
13 サポート
15 第一ヘッダ
16 第二ヘッダ
17 長側面
18 短側面
19 開口面
20 フィン
21 Uベント
23,23B,23C 交換用チューブバンドルユニット
50 火力発電所
51 ボイラ
52 排煙処理装置
53 電気集塵機
54 脱硫装置
55 循環ポンプ
56 循環配管
57 煙突
D 減肉部
G 排ガス
Claims (3)
- 第一ヘッダと、第二ヘッダと、これらを接続する複数の伝熱管と、該複数の伝熱管を支持するサポートと、前記複数の伝熱管及び前記サポートを覆うケーシングと、を有するチューブバンドルを複数備え、排煙処理装置において排ガスとの熱交換を行う熱交換器の補修方法であって、
前記複数のチューブバンドルのうち、少なくとも一つのチューブバンドルを前記熱交換器から取り外すバンドル取外工程と、
該バンドル取外工程で取り外した前記チューブバンドルにおける複数の伝熱管のうち、少なくとも一部の伝熱管を修理するバンドル修理工程と、
該バンドル修理工程で修理した前記チューブバンドルを、前記熱交換器における他のチューブバンドルと置き換えるバンドル置換工程と、
前記複数のチューブバンドルとは別に交換用チューブバンドルを用意する交換用バンドル用意工程と、
前記バンドル取外工程にて取り外されたチューブバンドルと前記交換用チューブバンドルと置き換える交換用バンドル置換工程と、を有し、
前記バンドル修理工程は、
全ての前記伝熱管の肉厚測定を行う工程と、
排ガス対向面の肉厚が一定値以下の前記伝熱管を交換する工程と、を含み、
前記バンドル取外工程で取り外した前記チューブバンドルは、次のバンドル取外工程までに修理され、次のバンドル置換工程において交換用チューブバンドルとして使用されることを特徴とする熱交換器の補修方法。 - 前記バンドル修理工程において、前記伝熱管における排ガス上流側と下流側とを交換するように、前記伝熱管を180°反転させることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の補修方法。
- 前記複数のチューブバンドルは、排ガスに対して最も上流側の最上流系列と、排ガスに対して最も下流側の最下流系列と、を有する複数の系列から構成されており、
前記バンドル置換工程において、前記最上流系列と前記最下流系列のうち、より高温となるチューブバンドルの置換頻度を、より低温となるチューブバンドルの置換頻度よりも高くすることを特徴とする請求項2に記載の熱交換器の補修方法。
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