JP6244325B2 - 鞍乗り型車両の導風構造 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、走行風を車体内方へ導く導風面の形成自由度を高めるとともに、製造・組み付けを容易にし、コストを低減することが可能な鞍乗り型車両の導風構造を提供することにある。
また、上記構成において、前記折り返し部(65)は、正面視で前記アッパーフェンダー(61)の前部と重なるように配置されても良い。
また、上記構成において、前記アッパーフェンダー(61)の下縁に前記折り返し部(65)を折り返すためのヒンジ部(65a)が設けられるようにしても良い。
また、上記構成において、前記導風面(65c)の裏面に、前記内壁面(61y)に向けて延びるリブ(65j)が形成されていても良い。
また、上記構成において、前記アッパーフェンダー(61)は、前記内壁面(61y)に、前記折り返し部(65)の前記係止部(65b)に係止される被係止部(61z)を備え、前記アッパーフェンダー(61)の後部の車幅方向外側に重なるように車体前部を側方から覆うサイドフェンダー(64)が配置され、前記被係止部(61z)が、前記サイドフェンダー(64)の車幅方向内側に設けられるようにしても良い。
また、折り返し部は、正面視でアッパーフェンダーの前部と重なるように配置されるので、車体前方からの走行風をアッパーフェンダーの前部で整流し、アッパーフェンダーの下方からアッパーフェンダーの内側に入り込む走行風を折り返し部で整流することができる。また、折り返し部がアッパーフェンダーの前部と重なるため、折り返し部が外部から見えにくくなり、外観性を向上させることができる。
また、折り返し部は、その下端に水抜き穴が形成されるので、折り返し部内に入り込んだ雨水等を水抜き穴からを抜くことができる。
また、アッパーフェンダーは、内側面に、折り返し部の係止部に係止される被係止部を備え、アッパーフェンダーの後部の車幅方向外側に重なるように車体前部を側方から覆うサイドフェンダーが配置され、被係止部が、サイドフェンダーの車幅方向内側に設けられるので、被係止部がサイドフェンダーにより側方から覆われ、アッパーフェンダーの外側面に沿って流れる走行風が被係止部で乱されることがなく、整流効果を高めることができる。また、被係止部がサイドフェンダーで覆われるので、外観性を向上させることができる。
図1は、本発明に係る導風構造を備える自動二輪車10の左側面図である。
自動二輪車10は、車体フレーム11の前端部にフロントフォーク12を介して前輪13が支持され、車体フレーム11の下部にスイングアーム14を介して後輪16が支持され、車体フレーム11の上部にシート17が支持された鞍乗り型車両である。
車体フレーム11は、ヘッドパイプ21、メインフレーム22、左右一対のセンターフレーム23、ダウンフレーム24、左右一対のロアフレーム26、左右一対のシートレール27、左右一対のサブシートフレーム28を備える。
センターフレーム23、ダウンフレーム24及びロアフレーム26にはエンジン33が支持されている。
フロントフォーク12は、ヘッドパイプ21に操舵可能に支持され、上端部にバーハンドル34が取付けられ、下端部に車軸36を介して前輪13が支持されている。スイングアーム14は、その前端部が左右のピボットプレート37にピボット軸38を介して揺動可能に支持され、後端部に車軸41を介して後輪16が支持されている。
シリンダ部45を構成するシリンダヘッド48の後部には吸気装置(不図示)が接続され、シリンダヘッド48の前部には排気装置51が接続されている。排気装置51は、シリンダヘッド48の前部から後方に延びる排気管52と、排気管52の後端部に接続されたマフラ53とから構成される。
車体フレーム11は、車体カバー部材60によって覆われている。車体カバー部材60は、アッパーフェンダー61、ロアフェンダー62、カバー部材63、左右一対のシュラウド64、左右一対のボディサイドカバー66、左右一対のリヤサイドカバー67、左右一対のリヤサイドロアカバー68、リヤフェンダー69等から構成される。
カバー部材63は、アッパーフェンダー61の上方に位置するヘッドライト72の全周を覆うカバー部材であり、アッパーフェンダー61とカウルステーとで支持される。シュラウド64は、上部でアッパーフェンダー61の側方及び側部の上方を覆うフロントシュラウド74と、フロントシュラウド74の後方に配置されたリヤシュラウド75とから構成され、車体前部を側方から覆っている。
図中の符号81は変速機46の出力軸46aに取付けられたドライブスプロケット、82は後輪16に取付けられたドリブンスプロケット、83はドライブスプロケット81とドリブンスプロケット82とに掛け渡されたチェーン、84は運転者用ステップ、86は同乗者用ステップ、87はサイドスタンドである。
アッパーフェンダー61は、カバー部材63と左右のシュラウド64(詳しくは、フロントシュラウド74)とに挟まれて、正面視略V字状に露出している。アッパーフェンダー61の両側部には、左右一対のフロントウインカ91,91が取付けられる。
アッパーフェンダー61と左右のシュラウド64,64とは、それぞれの前縁によって車体前方に開口する開口部93を形成している。開口部93からは、フロントフォーク12を構成する左右一対のフォークチューブ94,94が突出している。
カバー部材63は、ヘッドライト72の輪郭全体を囲うとともに上方に延びてメーター(不図示)の前方を覆うメーターバイザーを兼ねるフロントバイザー96と、フロントバイザー96の左右両側に取付けられた一対のバイザーガーニッシュ97,97とから構成される。
左右のフロントシュラウド74,74は、その上部(前後方向に延びるように上部に設けられた上部延出部74a,74aを含む部分)がアッパーフェンダー61の側部下部を構成する側縁部61g,61gを前方、上方及び側方から覆っている。
図3(A)に示すように、アッパーフェンダー61は、後方へ向かうにつれて次第に車幅方向に広がる左右一対の前後延出部61c,61cと、左右の前後延出部61c,61cのそれぞれの前部を接続する前部接続部61dとが一体成形されている。
前後延出部61cは、略直線状に延びる段部61eを後部に備え、段部61eを境にして、上方の後上部61fと、下方の側縁部61gとに分けられる。
後上部61fには、フロントウインカ91(図2参照)が取付けられるウインカ取付穴61hと、カウルステー(不図示)によって支持されるカウルステー被支持部61jとが設けられる。
前部接続部61dは、車体フレーム11(図1参照)側に設けられたカウルステー(不図示)に支持される。前後延出部61c,61cの後端部61n,61nは、燃料タンク31(図1参照)に取付ける際のボルトを通すボルト挿通穴61pが開けられている。
左右の側縁部61g,61gの内側には、アッパーフェンダー61の下方を流れる走行風の向きを車体下方且つ車幅方向中央側へ導く導風面65c,65cが設けられている。
図4(A)に示すように、アッパーフェンダー61は、左右の前後延出部61c,61cの後端部61n,61nが車幅方向内側に屈曲し、後端部61n,61nに設けられたボルト挿通穴61p,61pがより車幅方向内側に配置されて、後端部61n,61nが燃料タンク31に取付けやすくなっている。
カウルステー被支持部61jには、アッパーフェンダー61をカウルステー(不図示)に締結するためのボルトを通す複数のボルト挿通穴61t,61t,61u,61uが開けられている。
前部接続部61dには、その中央部に前後に長軸が延びる長穴61wが開けられている。長穴61wは、ヘッドライト72(図2参照)の光軸が一定の方向に向くようにヘッドライト72が上下方向に揺動しないようにヘッドライト72を固定するボルトを通す部分である。ヘッドライト72の光軸の調整は、長穴61wに挿入されたボルトを緩めた状態で行われる。
アッパーフェンダー61の側縁部61gには、その内壁面61y側から車幅方向内側に突出する折り返し部65が一体に形成されている。
折り返し部65は、製造時には、側縁部61gの下方に位置する。折り返し部65の側縁部61gへの付根部には、折り曲げが可能なヒンジ部65aが設けられ、ヒンジ部65aによって、折り返し部65が、側縁部61gの下方から車幅方向内側へ折り返される。
折り返し部65は、側縁部61gに形成された一対の前後方向に並んだ矩形の被係止穴61z,61zにそれぞれ係止する一対の係止鉤部65b,65bと、車体前方からの走行風を下方斜め後方且つ車幅方向中央側へ導く導風面65cとを備える。
折り返し部65は、図2及び図3(B)に示したように、側縁部61gの前突出壁部61kの内側、即ちアッパーフェンダー61の内側に配置され、更に、シュラウド64(詳しくは、フロントシュラウド74)の内側に配置されるために、車体前方及び車体側方からは見えない。
折り返し部65のヒンジ部65aは、前後方向に延びるように形成されている。
折り返し部65は、その後部下部に、ヒンジ部65aから車幅方向内側に延びる底壁65dを備え、底壁65dに複数の長穴状の水抜き穴65eが形成されている。水抜き穴65eは、折り返し部65の内側に流れ込んだ雨水を排出する役目をする。
導風面65cは、底壁65dの下面65fに連続して設けられ、側縁部61gの内壁面61yに沿って配置されている。導風面65cは、ボルト挿通穴61uの車幅方向外側に位置する。
上記したように、導風面65cを側縁部61gの内壁面61yに沿わせることで、内壁面61yに沿って流れる走行風を導風面65cで効果的に導風することができる。
係止鉤部65b,65bは、側縁部61gの被係止穴61z,61z(図5参照)に係止した状態では、側縁部61gの外側面61g1から外側方に突出している。
係止鉤部65bは、外側に係止リブが形成され、被係止穴61zに係止リブが係ることにより係止が可能となる。従って、その他の締結部材は不要である。
折り返し部65は、その前部に車幅方向内側に膨出するように形成された膨出壁65gと、膨出壁65gの後縁に一体に接続されて略鉛直面を形成する鉛直壁65hとを備える。膨出壁65gは、略前後方向且つ略鉛直に延びる中央壁65g1と、中央壁65g1の前後に配置されるとともに中央壁65g1の前後縁から車幅方向外側へ斜めに延びる前傾斜壁65g2及び後傾斜壁65g3とから形成される。また、膨出壁65gは、上記の中央壁65g1、前傾斜壁65g2、後傾斜壁65g3の各表面に隣接するように導風面65c(図6参照)が形成されている。膨出壁65gの外側面には、側縁部61gに向かって車幅方向に延びる複数の内リブ65jが形成されている。このような複数の内リブ65jによって膨出壁65g、ひいては折り返し部65の全体の剛性を高めることができ、走行風が導風面65cやその周囲の折り返し部65に当たることにより発生する音や振動を抑制することができる。
図8に示すように、製造直後の折り返し部65は、左右の前後延出部61cの側縁部61gにおける前突出壁部61kの下端部から下方に延出している。この状態から車幅方向内側に折り返されて、図5〜図7に示された最終形状となる。
折り返し部65の付根部には前後方向に延びるヒンジ部65aが形成されている。
アッパーフェンダー61は、折り曲げ可能な軟質の樹脂製である。
図10に示すように、側縁部61gの前突出壁部61kの下端部には、外側方に略水平に突出するように形成された側方突出部61g2を一体に備え、側方突出部61g2の側端部に一体にヒンジ部65aが形成されている。
ヒンジ部65aから略水平に折り返し部65の底壁65dが延びている。導風面65cは、鉛直方向に対して傾斜し、内リブ65jの内端面65kは略鉛直方向に延びている。
ヒンジ部65aは、側縁部61gの側方突出部61g2と折り返し部65の底壁65dとの間に薄肉に形成された部分であり、上側に設けられた断面半円弧状の円弧溝65mと、下側に設けられた断面コ字状の矩形溝65nとの間に挟まれて形成される。円弧溝65m及び矩形溝65nは、上下方向で重なるように形成され、それぞれ前後方向に延びている。
矩形溝65nは、円弧溝65mよりも浅く形成されているので、折り返し部65を下側へ折り曲げる方が、折り曲げたときに、ヒンジ部65aにおける側方突出部61g2の端部とヒンジ部65aにおける底壁65dの端部とが干渉しにくくなる。即ち、上側に折り曲げるよりも下側に折り曲げた方が、折り曲げ角度を大きくすることができる。
ヒンジ部65aは、上記した円弧溝65mや矩形溝65nに限らない。要は、ヒンジ部65aが形成される部分の両面の少なくとも一方の面に溝が形成されて薄肉部が形成されていれば良い。
図12は、折り返し部65の折り返し要領を示す作用図である。
折り返し部65を、想像線で示した状態(図10に示した状態)からヒンジ部65aを回転中心として矢印で示すように時計回りに回動させる、即ち折り返す。このときの回動については、折り返し部65の底壁65dの下側の面65pが、前突出壁部61kの側方突出部61g2の下端面61g3(図11も参照)に当たるまで行う。回動角度は、略180°である。
このように、折り返し部65の折り返しは、折り返し部65を側縁部61gの車幅方向外側から車幅方向内側へ単に回動させるだけの工程なので、この工程を簡単に且つ短時間で完了させることができる。
この構成によれば、アッパーフェンダー61の内側を流れる走行風を導風面65cで車体内方へ導くことが可能になる。アッパーフェンダー61を折り返し、係止鉤部65bを内壁面61yに係止することで、折り返し部65が固定されて最終形状に形成されるため、導風面65cを、凹ますことができない部位にも設けることが可能になり、導風面65cの形成自由度を高めることができるとともに、特別な形状や製造方法を採用する必要がないために、製造・組み付けが容易で、コストを低減することができる。
また、図2、図3(B)及び図12に示したように、折り返し部65は、正面視でアッパーフェンダー61の前部と重なるように配置されるので、車体前方からの走行風をアッパーフェンダー61の前部で整流し、アッパーフェンダー61の下方からアッパーフェンダー61の内側に入り込む走行風を折り返し部65で整流することができる。また、折り返し部65がアッパーフェンダー61の前部と重なるため、折り返し部65が外部から見えにくくなり、外観性を向上させることができる。
また、図6に示したように、折り返し部65は、その下端に水抜き穴65eが形成されるので、折り返し部65内に入り込んだ雨水を水抜き穴65eからを抜くことができる。
また、図7に示したように、導風面65cの裏面に、内壁面61yに向けて延びるリブとしての内リブ65jが形成されているので、導風面65cを含む折り返し部65の剛性を向上させることができる。
本発明は、自動二輪車10に適用する場合に限らず、自動二輪車10以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。
13 前輪
61 アッパーフェンダー
61g 側縁部(側壁)
61y 内壁面
61z 被係止穴(被係止部)
64 シュラウド(サイドフェンダー)
65 折り返し部
65a ヒンジ部
65b 係止鉤部(係止部)
65c 導風面
65e 水抜き穴
65j 内リブ(リブ)
Claims (7)
- 前輪(13)から上方に離れた位置に取付けられるアッパーフェンダー(61)を備え、前記アッパーフェンダー(61)の内壁面(61y)に車体内方へ走行風を導く導風面(65c)を有する鞍乗り型車両の導風構造において、
前記アッパーフェンダー(61)は、折り返すことで前記導風面(65c)を形成する折り返し部(65)を備え、前記折り返し部(65)は、前記導風面(65c)と、前記アッパーフェンダー(61)の前記内壁面(61y)へ係止するための係止部(65b)とが設けられることを特徴とする鞍乗り型車両の導風構造。 - 側面視で、前記導風面(65c)の後端部は、前記導風面(65c)の前端部よりも下方に形成されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両の導風構造。
- 前記折り返し部(65)は、正面視で前記アッパーフェンダー(61)の前部と重なるように配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両の導風構造。
- 前記アッパーフェンダー(61)の下縁に前記折り返し部(65)を折り返すためのヒンジ部(65a)が設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の導風構造。
- 前記折り返し部(65)は、その下端に水抜き穴(65e)が形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の導風構造。
- 前記導風面(65c)の裏面に、前記内壁面(61y)に向けて延びるリブ(65j)が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の導風構造。
- 前記アッパーフェンダー(61)は、前記内壁面(61y)に、前記折り返し部(65)の前記係止部(65b)に係止される被係止部(61z)を備え、前記アッパーフェンダー(61)の後部の車幅方向外側に重なるように車体前部を側方から覆うサイドフェンダー(64)が配置され、前記被係止部(61z)が、前記サイドフェンダー(64)の車幅方向内側に設けられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の導風構造。
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