JP6244160B2 - 燃焼制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、予混合圧縮着火(PCCI)燃焼を行うエンジンの燃焼制御装置に関するものである。
予混合圧縮着火燃焼を行うエンジンの燃焼制御装置としては、例えば特許文献1に記載されているように、気筒の圧縮行程中期から後期にかけてインジェクタにより燃料を複数回に分けて噴射させることで、予めできるだけ均質な混合気を形成した上で自己着火により燃焼させるようにしたものが知られている。
特開2003−286879号公報
しかしながら、上記従来技術のように予混合圧縮着火燃焼を行う場合に、エンジンの燃焼室内への吸気圧が低下すると、適切な熱発生率波形(燃焼波形)が得られず、燃焼騒音の増大につながるという問題がある。
本発明の目的は、燃焼室内への吸気圧が低下したときの燃焼騒音の増大を抑制することができる燃焼制御装置を提供することである。
本発明は、予混合圧縮着火燃焼を行うエンジンの燃焼制御装置において、エンジンの燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、第1の燃料噴射を実施してから第2の燃料噴射を実施するように、燃料噴射弁を制御する噴射弁制御手段と、燃焼室内への吸気圧を検出する吸気圧検出手段とを備え、噴射弁制御手段は、第1の燃料噴射及び第2の燃料噴射の燃料噴射時期を決定する決定手段と、吸気圧検出手段により検出された吸気圧が基準圧力よりも低いときに、第1の燃料噴射の燃料噴射時期を進角する第1の噴射時期進角手段と、吸気圧検出手段により検出された吸気圧が基準圧力よりも低いときに、第2の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量が第1の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量よりも少なくなるように、第2の燃料噴射の燃料噴射時期を進角する第2の噴射時期進角手段とを有することを特徴とするものである。
エンジンの燃焼室内への吸気圧が低下すると、燃焼室内に吸入される空気量が少なくなるため、燃料噴射弁により燃焼室内に燃料を噴射したときに、燃焼室内の空燃比がリッチとなり、燃料と空気との予混合気の燃焼が緩慢化し、結果的に熱発生率波形(燃焼波形)が基準圧力時のものと大きく異なるようになる。そこで、本発明においては、燃焼室内への吸気圧が基準圧力よりも低いときには、第1の燃料噴射及びその後に実施される第2の燃料噴射の燃料噴射時期を進角すると共に、第2の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量を第1の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量よりも少なくすることにより、熱発生率波形を基準圧力時のものに近づけることができる。これにより、燃焼室内への吸気圧が低下したときの燃焼騒音の増大を抑制することができる。
好ましくは、第1の噴射時期進角手段は、第1の燃料噴射による着火時期が基準圧力時の着火時期と同等となるように、第1の燃料噴射の燃料噴射時期を進角する。この場合には、第1の燃料噴射による熱発生率波形が基準圧力時のものとほぼ一致するようになるため、燃焼騒音を確実に低減することができる。
また、好ましくは、第2の噴射時期進角手段は、第1の燃料噴射による燃焼時の音圧の最大値を第2の燃料噴射による燃焼時の音圧により低減させるように、第2の燃料噴射の燃料噴射時期を進角する。この場合には、第1の燃料噴射による燃焼時の音圧の最大値が低減するため、燃焼騒音を確実に低減することができる。
このとき、第2の噴射時期進角手段は、第1の燃料噴射による燃焼時の音圧が最大値となる周波数帯において当該音圧の圧力波を第2の燃料噴射による燃焼時の音圧の圧力波により相殺させるように、第2の燃料噴射の燃料噴射時期を進角するのが好ましい。この場合には、特定の周波数帯の音圧が低くなるため、特定の周波数帯の燃焼騒音を低減することができる。その結果、オーバーオール(全周波数帯)の燃焼騒音を低減することができる。
さらに、好ましくは、吸気圧検出手段により検出された吸気圧が基準圧力よりも低いときに、燃焼室内の空燃比を基準圧力時の空燃比に維持するように制御する空燃比制御手段を更に備える。この場合には、燃料と空気との予混合気の燃焼が適切に行われるため、スモーク、未燃分のHCやCOの増加を抑制することができる。
本発明によれば、燃焼室内への吸気圧が低下したときの燃焼騒音の増大を抑制することができる。これにより、優れた予混合圧縮着火燃焼を実現することが可能となる。
本発明に係る燃焼制御装置の一実施形態を備えたディーゼルエンジンを示す概略構成図である。 図1に示したECUにより実行される処理手順の詳細を示すフローチャートである。 1回目の燃料噴射による燃焼時の音圧の圧力波に2回目の燃料噴射による燃焼時の音圧の圧力波を干渉させる概念を示すグラフである。 熱発生率波形の一例を比較して示すグラフである。 音圧の周波数特性(スペクトル)の一例を比較して示すグラフである。 燃焼騒音の一例を比較して示すグラフである。
以下、本発明に係る燃焼制御装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る燃焼制御装置の一実施形態を備えたディーゼルエンジンを示す概略構成図である。同図において、本実施形態に係るディーゼルエンジン1は、4気筒直列ディーゼルエンジンである。ディーゼルエンジン1はエンジン本体2を備え、このエンジン本体2には4つのシリンダ3が設けられている。
各シリンダ3には、燃焼室4内に燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)5がそれぞれ配設されている。インジェクタ5は、噴射ノズル5aから放射状に燃料を噴射する。各インジェクタ5はコモンレール6に接続されており、コモンレール6に貯留された高圧燃料が各インジェクタ5に常時供給されている。
エンジン本体2には、燃焼室4内に空気を吸入するための吸気通路7がインテークマニホールド8を介して接続されている。また、エンジン本体2には、燃焼後の排気ガスを排出するための排気通路9がエキゾーストマニホールド10を介して接続されている。
吸気通路7には、上流側から下流側に向けてエアクリーナー11、ターボ過給機12のコンプレッサ13、インタークーラー14及びスロットルバルブ15が設けられている。排気通路9には、上流側から下流側に向けてターボ過給機12のタービン16及び触媒付きDPF17が設けられている。
また、ディーゼルエンジン1は、燃焼後の排気ガスの一部を排気再循環ガス(EGRガス)として燃焼室4内に還流する排気再循環(EGR)ユニット18を備えている。EGRユニット18は、吸気通路7とエキゾーストマニホールド10とを繋ぐように設けられ、EGRガスを還流するためのEGR通路19と、エキゾーストマニホールド10から吸気通路7へのEGRガスの還流量を調整するEGRバルブ20と、EGR通路19を通るEGRガスを冷却するEGRクーラ21と、このEGRクーラ21をバイパスするようにEGR通路19に接続されたバイパス通路22と、EGRガスの流路をEGRクーラ21側またはバイパス通路22側に切り替える切替弁23とを有している。
上記の各インジェクタ5、スロットルバルブ15、EGRバルブ20及び切替弁23は、電子制御ユニット(ECU)24によって制御される。ECU24には、クランク角センサ25、アクセル開度センサ26及び吸気圧センサ27が接続されている。
クランク角センサ25は、図示しないピストンが連結されるクランク軸の回転角度(クランク角)を検出することで、エンジン本体2の回転数(エンジン回転数)を検出するセンサである。アクセル開度センサ26は、エンジン本体2の負荷(エンジン負荷)としてアクセルペダルの踏込み角(アクセル開度)を検出するセンサである。吸気圧センサ27は、燃焼室4内に吸入される空気の圧力(燃焼室4内への吸気圧)を検出するセンサ(吸気圧検出手段)であり、例えば吸気通路7の下流側端部に取り付けられている。
ここで、インジェクタ5、スロットルバルブ15、EGRユニット18、ECU24及びセンサ25〜27は、本実施形態の燃焼制御装置28を構成している。燃焼制御装置28は、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程という1サイクル毎に、燃焼室4内に空気を吸入すると共に各インジェクタ5から燃焼室4内に燃料を複数回に分けて噴射(分割噴射)して、予混合圧縮着火燃焼を行うように制御する。
図2は、ECU24により実行される処理手順の詳細を示すフローチャートである。本処理は、センサ25〜27の検出信号を入力し、所定のステップを行い、インジェクタ5及びEGRバルブ20を制御する処理である。
同図において、まずクランク角センサ25により検出されたエンジン回転数とアクセル開度センサ26により検出されたアクセル開度(エンジン負荷)とに基づいて、1回目の燃料噴射(第1の燃料噴射)及びこの後に実施される2回目の燃料噴射(第2の燃料噴射)の燃料噴射量及び燃料噴射時期を決定する(手順S101)。ここで、1回目の燃料噴射及び2回目の燃料噴射は、予混合圧縮着火燃焼を行うためのメイン燃料噴射である。
続いて、吸気圧センサ27により検出された吸気圧が基準圧力(例えば大気圧)よりも低いかどうかを判断する(手順S102)。吸気圧が基準圧力よりも低いと判断されたときは、燃焼室4内の空燃比が基準圧力時に得られる空燃比に維持されるように、EGRバルブ20を制御する(手順S103)。
具体的には、燃焼室4内への吸気圧が下がると、燃焼室4内への吸入空気量が少なくなるため、EGRバルブ20を制御して吸気通路7へのEGRガスの還流量を減少させることで、燃焼室4内への吸入空気量を増加させるようにする。これにより、燃焼室4内において燃料と空気との予混合気の燃焼が適切に行われるようになるため、スモーク、未燃分のHCやCOを低減することができる。
続いて、手順S101で決定された1回目の燃料噴射の燃料噴射時期を進角させる(手順S104)。このとき、1回目の燃料噴射による予混合気の着火時期が基準圧力時に得られる予混合気の着火時期と同等となるように、1回目の燃料噴射の燃料噴射時期を進角させるのが望ましい。
続いて、手順S101で決定された2回目の燃料噴射の燃料噴射時期を進角させる(手順S105)。このとき、2回目の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量が1回目の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量よりも少なくなるように、2回目の燃料噴射の燃料噴射時期を進角させる。
具体的には、図3に示すように、1回目の燃料噴射による燃焼時の音圧の圧力波に2回目の燃料噴射による燃焼時の音圧の圧力波を干渉させることで、1回目の燃料噴射による燃焼時の音圧が最大値となる周波数帯において当該音圧の圧力波を2回目の燃料噴射による燃焼時の音圧の圧力波により相殺させる(打ち消す)ように、2回目の燃料噴射の燃料噴射時期を設定するのが望ましい。
例えば、1回目及び2回目の燃料噴射の燃料噴射量及び吸気圧に応じた最適な2回目の燃料噴射の燃料噴射時期のデータを噴射時期補正テーブルとして予め調べて用意しておき、その噴射時期補正テーブルを用いて2回目の燃料噴射の燃料噴射時期を設定する。
なお、図3においては、1点鎖線Lが1回目の燃料噴射による燃焼時の音圧の圧力波を示し、破線Mが2回目の燃料噴射による燃焼時の音圧の圧力波を示し、実線Nが両者の圧力波を干渉させたものを示している。
手順S105が実行された後、手順S101で決定された燃料噴射量及び手順S104で変更された燃料噴射時期に従って1回目の燃料噴射を実施するように、各インジェクタ5を制御する(手順S106)。そして、手順S101で決定された燃料噴射量及び手順S105で変更された燃料噴射時期に従って2回目の燃料噴射を実施するように、各インジェクタ5を制御する(手順S107)。
一方、手順S102で吸気圧が基準圧力よりも低くないと判断されたときは、手順S103〜S105を実行せず、手順S101で決定された燃料噴射量及び燃料噴射時期に従って1回目の燃料噴射を実施するように、各インジェクタ5を制御する(手順S106)。そして、手順S101で決定された燃料噴射量及び燃料噴射時期に従って2回目の燃料噴射を実施するように、各インジェクタ5を制御する(手順S107)。
以上において、ECU24は、第1の燃料噴射を実施してから第2の燃料噴射を実施するように、燃料噴射弁5を制御する噴射弁制御手段を構成する。EGRユニット18及びECU24は、吸気圧検出手段27により検出された吸気圧が基準圧力よりも低いときに、燃焼室4内の空燃比を基準圧力時の空燃比に維持するように制御する空燃比制御手段を構成する。
このとき、図2に示す手順S101,S102,S104〜S107が上記の噴射弁制御手段として機能し、同手順S102,S103が上記の空燃比制御手段の一部として機能する。より具体的には、手順S101は、第1の燃料噴射及び第2の燃料噴射の燃料噴射時期を決定する決定手段として機能する。手順S102,S104は、吸気圧検出手段27により検出された吸気圧が基準圧力よりも低いときに、第1の燃料噴射の燃料噴射時期を進角する第1の噴射時期進角手段として機能する。手順S102,S105は、吸気圧検出手段27により検出された吸気圧が基準圧力よりも低いときに、第2の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量が第1の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量よりも少なくなるように、第2の燃料噴射の燃料噴射時期を進角する第2の噴射時期進角手段として機能する。
ところで、大気圧の変化等で燃焼室4内への吸気圧が低くなると、燃焼室4内に吸入される空気量が少なくなるため、インジェクタ5により燃焼室4内に燃料を噴射したときに、燃料と空気との酸化反応が遅れるため、その時の熱発生率波形(燃焼波形)が基準圧力時に得られる熱発生率波形から大きくずれてしまい、基準圧力時と同様の予混合圧縮着火燃焼を実現することが困難となる。このような不具合を解決するためには、1回目の燃料噴射及び2回目の燃料噴射の燃料噴射時期を進角することが考えられる。しかし、1回目の燃料噴射及び2回目の燃料噴射の燃料噴射時期を同じ量だけ進角しても、その時に得られる熱発生率波形が基準圧力時に得られる熱発生率波形と一致せず、基準圧力時よりも燃焼騒音のレベルが高くなってしまう。
これに対し本実施形態では、燃焼室4内への吸気圧が基準圧力よりも低いときは、1回目の燃料噴射による予混合気の着火時期が基準圧力時に得られる予混合気の着火時期と同等となるように、1回目の燃料噴射の燃料噴射時期を進角すると共に、1回目の燃料噴射による燃焼時の音圧が最大値となる周波数帯において当該音圧の圧力波を2回目の燃料噴射による燃焼時の音圧の圧力波により相殺させるように、2回目の燃料噴射の燃料噴射時期を進角する。このようにする事で、2回目の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量が1回目の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量よりも少なくなり、基準圧力時とほぼ一致した熱発生率波形が得られるようになる。これにより、燃焼室4内への吸気圧が低下したときの燃焼騒音を低減することができる。
図4は、熱発生率波形の一例を比較して示したものである。図中、破線Pは、基準圧力時における熱発生率波形を示している。1点鎖線Qは、基準圧力よりも20kPa低いときに、1回目及び2回目の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量を等しくした従来制御における熱発生率波形を示している。実線Rは、基準圧力よりも20kPa低いときに、2回目の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量を1回目の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量よりも少なくした本制御における熱発生率波形を示している。なお、何れの場合も、エンジン回転数は1300rpmである。
ここで、従来制御及び本制御では、1回目のメイン燃料噴射の燃料噴射時期の進角量は、1回目の燃料噴射による予混合気の着火時期が基準圧力時に得られる予混合気の着火時期と同等となるような量である。これにより、図4から分かるように、従来制御及び本制御における熱発生率波形の最初のピークは、基準圧力時における熱発生率波形の最初のピークとほぼ一致している。
また、基準圧力時では、熱発生率波形の燃焼ピーク間隔(最初の燃焼ピークと2つ目の燃焼ピークとの間隔)はX(約4.0°CA≒0.51ms)である。従来制御では、熱発生率波形の燃焼ピーク間隔はX(約2.5°CA≒0.32ms)であり、基準圧力時における熱発生率波形の燃焼ピーク間隔に比べて短くなっている。一方、本制御では、2回目の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量を1回目の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量よりも少なくすることで、熱発生率波形の燃焼ピーク間隔はX(約3.5°CA≒0.45ms)となり、基準圧力時における熱発生率波形の燃焼ピーク間隔に近づいている。
図5は、燃焼室4内(筒内)で発生する音圧の周波数特性(スペクトル)の一例を比較して示したものである。図中、破線Pは、基準圧力時における周波数特性を示している。1点鎖線Qは、基準圧力よりも20kPa低いときに、1回目及び2回目の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量を等しくした従来制御における周波数特性を示している。実線Rは、基準圧力よりも20kPa低いときに、2回目の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量を1回目の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量よりも少なくした本制御における周波数特性を示している。なお、何れの場合も、エンジン回転数は1300rpmである。また、従来制御及び本制御において、1回目のメイン燃料噴射の燃料噴射時期の進角量は、図4に示すものと同様である。
従来制御では、燃焼騒音が相殺される周波数帯が基準圧力時のものと大きく異なっており、音圧の最大値が高くなっている。その結果、図6に示すように、基準圧力時に比べて燃焼騒音が高くなっている。
本制御では、1回目の燃料噴射による燃焼時の音圧が最大値となる周波数帯において当該音圧の圧力波を2回目の燃料噴射による燃焼時の音圧の圧力波により相殺させるように、2回目の燃料噴射の燃料噴射時期を進角している。これにより、燃焼騒音が相殺される周波数帯が低周波数側にシフトし、音圧の最大値が低下している。具体的には、図3に示すように、1回目の燃料噴射による燃焼時の音圧の圧力波に対して、2回目の燃料噴射による燃焼時の音圧の圧力波が例えば1/2周期ずれるように調整されている。これにより、オーバーオール(全周波数帯)の燃焼騒音を低減することができる。その結果、図6に示すように、燃焼騒音を基準圧力時と同等レベルに低下させることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、噴射時期補正テーブルを予め用意しておき、その噴射時期補正テーブルを用いて2回目の燃料噴射の燃料噴射時期を進角するようにしたが、特にその手法には限られない。例えば、燃焼室4内(筒内)の圧力を検出する筒内圧センサを設け、その筒内圧センサの検出値に基づいて、1回目の燃料噴射による燃焼時の音圧が最大値となる周波数帯を打ち消すような2回目の燃料噴射の燃料噴射時期を算出しても良い。
また、上記実施形態では、1回目の燃料噴射による燃焼時の音圧が最大値となる周波数帯において当該音圧の圧力波を2回目の燃料噴射による燃焼時の音圧の圧力波により相殺させるように、2回目の燃料噴射の燃料噴射時期を算出したが、特にその手法には限られない。例えば、1回目の燃料噴射による燃焼時の音圧が最大値となる周波数帯以外の周波数帯において当該音圧の圧力波を2回目の燃料噴射による燃焼時の音圧の圧力波により相殺させて、1回目の燃料噴射による燃焼時の音圧の最大値を低減させるように、2回目の燃料噴射の燃料噴射時期を算出しても、本実施形態の効果を発揮する。更に言えば、2回目の燃料噴射による燃焼時の音圧を用いて、1回目の燃料噴射による燃焼時の音圧の最大値を低減させるように、2回目の燃料噴射の燃料噴射時期を算出しても良い。
また、上記実施形態では、EGRバルブ20によりEGRガスの流量を調整することで、燃焼室4内の空燃比を基準圧力時の空燃比に維持するようにしたが、空燃比の制御方法としては特にそれには限られず、例えばターボ過給機の過給圧を調整するようにしても良い。
さらに、上記実施形態では、1サイクル毎に2回のメイン燃料噴射を実施しているが、1サイクル毎にメイン燃料噴射を3回以上実施しても良い。なお、メイン燃料噴射を3回以上実施する場合には、最後のメイン燃料噴射が第2の燃料噴射に相当し、その一つ前のメイン燃料噴射が第1の燃料噴射に相当する。
1…ディーゼルエンジン、4…燃焼室、5…インジェクタ(燃料噴射弁)、18…EGRユニット(空燃比制御手段)、24…ECU(噴射弁制御手段、決定手段、第1の噴射時期進角手段、第2の噴射時期進角手段、空燃比制御手段)、27…吸気圧センサ(吸気圧検出手段)、28…燃焼制御装置。

Claims (4)

  1. 予混合圧縮着火燃焼を行うエンジンの燃焼制御装置において、
    前記エンジンの燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、
    第1の燃料噴射を実施してから第2の燃料噴射を実施するように、前記燃料噴射弁を制御する噴射弁制御手段と、
    前記燃焼室内への吸気圧を検出する吸気圧検出手段と、
    前記エンジンの回転数を検出するセンサと、
    前記エンジンの負荷を検出するセンサとを備え、
    前記噴射弁制御手段は、
    前記第1の燃料噴射及び前記第2の燃料噴射の燃料噴射時期及び燃料噴射量を、前記エンジンの回転数と前記エンジンの負荷とに基づいて決定する決定手段と、
    前記吸気圧検出手段により検出された前記吸気圧が基準圧力よりも低いときに、前記第1の燃料噴射の燃料噴射時期を、前記決定手段により決定された前記第1の燃料噴射の燃料噴射時期よりも進角させた燃料噴射時期に変更する第1の噴射時期進角手段と、
    前記吸気圧検出手段により検出された前記吸気圧が前記基準圧力よりも低いときに、前記第2の燃料噴射の燃料噴射時期を、前記決定手段により決定された前記第2の燃料噴射の燃料噴射時期よりも進角させた燃料噴射時期に変更する第2の噴射時期進角手段とを有し、
    前記第1の噴射時期進角手段は、前記第1の燃料噴射による着火時期が前記基準圧力時の着火時期と同等となるように、前記第1の燃料噴射の燃料噴射時期を変更し、
    前記第2の噴射時期進角手段は、前記第1の燃料噴射による燃焼時の音圧が最大値となる周波数帯において当該音圧の圧力波を前記第2の燃料噴射による燃焼時の音圧の圧力波により相殺させることで、前記第1の燃料噴射による燃焼時の音圧の最大値を前記第2の燃料噴射による燃焼時の音圧により低減させるように、前記第2の燃料噴射の燃料噴射時期を変更し、
    前記第1の燃料噴射及び前記第2の燃料噴射は、予混合圧縮着火燃焼を行うためのメイン燃料噴射であり、
    前記噴射弁制御手段は、前記吸気圧検出手段により検出された前記吸気圧が前記基準圧力よりも低いときに、前記第1の噴射時期進角手段により変更された前記第1の燃料噴射の燃料噴射時期に従って前記第1の燃料噴射を実施し、その後前記第2の噴射時期進角手段により変更された前記第2の燃料噴射の燃料噴射時期に従って前記第2の燃料噴射を実施するように、前記燃料噴射弁を制御することを特徴とする燃焼制御装置。
  2. 前記第2の噴射時期進角手段は、熱発生率波形において、前記第1の噴射時期進角手段により変更された前記燃料噴射時期に従って実施される前記第1の燃料噴射による燃焼ピークと前記第2の燃料噴射による燃焼ピークとの間隔を、前記基準圧力時における前記第1の燃料噴射による燃焼ピークと前記第2の燃料噴射による燃焼ピークとの間隔に近付けるように、前記第1の噴射時期進角手段により変更された前記第1の燃料噴射の燃料噴射時期の進角量よりも少ない進角量で、前記第2の燃料噴射の燃料噴射時期を変更することを特徴とする請求項1記載の燃焼制御装置。
  3. 前記第2の噴射時期進角手段は、前記決定手段により決定された前記第1の燃料噴射及び前記第2の燃料噴射の燃料噴射量、及び前記吸気圧検出手段により検出された前記吸気圧に応じて、前記第2の燃料噴射の燃料噴射時期を変更することを特徴とする請求項1又は2記載の燃焼制御装置。
  4. 前記吸気圧検出手段により検出された前記吸気圧が前記基準圧力よりも低いときに、前記燃焼室内の空燃比を前記基準圧力時の空燃比に維持するように制御する空燃比制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の燃焼制御装置。
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