JP6242666B2 - 水素供給装置 - Google Patents

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Description

本発明は水素供給装置に関する。
従来、芳香族ハイドライドを脱水素化して水素を生成し、その水素を一旦バッファータンクに貯めてから、燃料電池に供給する水素供給装置が知られている(特許文献1参照)。
特許第4849775号公報
従来の水素供給装置では、水素をバッファータンクに貯めることに起因する種々の課題が生じることがある。本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、上述した課題を解決できる水素供給装置を提供することを目的とする。
本発明の水素供給装置は、有機ハイドライドを脱水素化し、水素及び芳香族化合物を生成する脱水素化ユニットと、前記脱水素化ユニットから排出された、前記芳香族化合物を含む物質を収容する芳香族化合物タンクと、前記水素化ユニットから排出された水素を収容する水素タンクと、前記水素タンクに収容された水素の一部、及び前記芳香族化合物タンクに収容された前記芳香族化合物を原料として前記有機ハイドライドを製造する有機ハイドライド製造ユニットと、を備えることを特徴とする。
本発明の水素供給装置は、有機ハイドライド製造ユニットにより、水素タンクに収容された水素の一部を使用して、有機ハイドライドを製造することができる。そのため、水素タンク内の水素量が過剰になることを抑制できる。
水素供給装置1の構成を表す説明図である。 水素供給装置1の電気的な構成を表すブロック図である。 水素供給装置1が実行する水素圧制御処理を表すフローチャートである。 液量センサ61を備えたトルエンタンク5の構成を表す説明図である。 水素供給装置1が実行する水素圧制御処理を表すフローチャートである。 タービン63及び発電機65の構成を表す説明図である。
本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
<第1の実施形態>
1.水素供給装置1の構成
水素供給装置1の構成を図1に基づき説明する。水素供給装置1は、燃料電池101が発生させる電力で駆動される車両(以下、自車両とする)に搭載され、その燃料電池101に水素を供給する。
水素供給装置1は、図1に示すように、MCHタンク3、トルエンタンク5、脱水素反応器7、気液分離器9、吸着器11、バッファータンク13、MCH製造ユニット15、ポンプ17、19、21、バルブ23、配管25、27、29、31、33、34、35、37、39、ヒーター41、及び空冷ファン43を備える。
MCHタンク3は、液体のメチルシクロヘキサン(MCH)を収容可能な金属製のタンクである。トルエンタンク5は、後述するように気液分離器9から送り出される、トルエン等を含む液体を収容可能な金属製のタンクである。MCHタンク3及びトルエンタンク5のうちの一方は自車両の右側に設置され、他方は自車両の左側に設置される。こうすることにより、自車両の左右方向における重量配分を適正化することができる。
脱水素反応器7は、MCHタンクから供給されるMCHの少なくとも一部を脱水素化し、気体の水素及び液体のトルエンを生成するユニットである。脱水素反応器7は、金属チューブ内に脱水素触媒が充填された構造を有する。
脱水素触媒としては、特許第4849775号公報に記載されたものを用いることができる。この脱水素触媒として、例えば、特定の物理性状を有する多孔性γ-アルミナ担体に、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、及びイリジウムから選ばれた1種又は2種以上の触媒金属と、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムを包含する周期律表の第1A族及び第2A族から選ばれた1種又は2種以上のアルカリ性金属とが担持された触媒を挙げることができ、特に好ましくは、触媒金属として白金が0.3重量%以上2.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以上1.0重量%以下の範囲で、また、アルカリ性金属としてカリウムが0.001重量%以上1.0重量%以下、好ましくは0.005重量%以上0.5重量%以下での範囲でそれぞれ担持された触媒である。
また、上記γ−アルミナ担体としては、表面積が150m2/g以上、細孔容積が0.55cm3/g以上、平均細孔径が90〜300Å、及び細孔径90〜300Åの占有率が60%以上の物理的性状を有するものが好ましい。
このような特定の物理的性状を有する多孔性γ-アルミナ担体は、例えば、特公平6−72005号公報に開示されている製造方法で得ることができる。すなわち、アルミニウム塩の中和により生成した水酸化アルミニウムのスラリーを濾過洗浄し、得られたアルミナヒドロゲルを脱水乾燥した後、400〜800℃で1〜6時間程度焼成することにより得ることができ、好ましくは、アルミナヒドロゲルのpH値をアルミナヒドロゲル溶解pH領域とベーマイトゲル沈殿pH領域との間で交互に変動させるとともに少なくともいずれか一方のpH領域から他方のpH領域へのpH変動に際してアルミナヒドロゲル形成物質を添加してアルミナヒドロゲルの結晶を成長させるpHスイング工程を経て得られたものであるのがよい。
脱水素反応器7での脱水素反応条件は、反応温度が250℃以上350℃以下、好ましくは290℃以上350℃以下であり、また、この脱水素反応器の反応領域を通過するMCHの液空間速度(LHSV)が1.0以上5.0以下、好ましくは2.0以上4.0以下である。
気液分離器9は、脱水素反応器7から排出される物質(水素主体の気体と、トルエン及び未反応のMCH主体の液体との混合物)を、気体と液体とに分離する。気液分離器9は、十分な管径を有するチューブから成るコイルであって、コイルの軸方向が鉛直となるように設置される。脱水素反応器7から排出された物質を気液分離器9に導入し、冷却することで、気体と液体とに分離することができる。分離された気体は吸着器11へ送られ、液体はトルエンタンク5に送られる。
吸着器11は、気液分離器9において分離された気体から、水素以外の不純物を吸着して除去する。吸着器11は、金属チューブ内に吸着剤を充填した構造を有する。吸着剤としては、例えば、ゼオライト、シリカ、シリカアルミナ、活性炭等を用いることができる。
バッファータンク13は、吸着器11において不純物を除去された気体(主として水素)を収容可能なタンクである。バッファータンク13は、充分な厚みを有する金属製のタンクであり、内容積は一定である。バッファータンク13に収容された水素が燃料電池101に供給される。
MCH製造ユニット15は、バッファータンク13に収容された水素の一部、及びトルエンタンク5に収容されたトルエンを原料としてMCHを製造するユニットである。すなわち、MCH製造ユニット15は、周知の方法でトルエンを水素化し、MCHを製造する。MCHの製造法の例としては、周知の水素付加装置において、Pt触媒の存在下、トルエンに水素を付加させる方法がある。
配管25はMCHタンク3と脱水素反応器7とを接続しており、ポンプ17は配管25の途中に設置されている。配管25及びポンプ17により、MCHタンク3内のMCHが脱水素反応器7に供給される。ポンプ17の単位時間当りの送液量は可変であり、後述するように、制御部51に制御される。
配管27は脱水素反応器7と気液分離器9とを接続している。配管29は気液分離器9と吸着器11とを接続している。配管31は、吸着器11とバッファータンク13とを接続している。配管31の途中には、ポンプ19が設けられている。
配管33はバッファータンク13内の水素を燃料電池101に供給する。配管34はバッファータンク13とMCH製造ユニット15とを接続しており、その途中に配管34を開閉可能なバルブ23が設けられている。バルブ23が開のとき、バッファータンク13内の水素は配管34を通り、MCH製造ユニット15に供給される。一方、バルブ23が閉のとき、配管34を水素が流れることはない。バルブ23は、後述するように、制御部51に制御される。配管35は気液分離器9から排出された液体をトルエンタンク5に送る。
配管37は、トルエンタンク5とMCH製造ユニット15と接続しており、その途中にポンプ21が設けられている。ポンプ21が駆動されているとき、トルエンタンク5内の液体が配管37を通り、MCH製造ユニット15に供給される。一方、ポンプ21が停止しているとき、配管37を液体が流れることはない。ポンプ21の駆動及び停止は、後述するように、制御部51に制御される。配管39は、MCH製造ユニット15とMCHタンク3とを接続している。MCH製造ユニット15で製造されたMCHは、配管39を通り、MCHタンク3に移送される。
ヒーター41は、脱水素反応器7を加熱し、脱水素反応に好適な温度まで昇温するヒーターである。ヒーター41は、脱水素反応器7の外周に巻かれた電熱線であり、後述する蓄電池103から電力を供給される。ヒーター41の発熱量は、後述するように、制御部51に制御される。
空冷ファン43は、脱水素反応器7に風を送り、その温度を下げるためのユニットである。空冷ファン43は後述する蓄電池103から電力を供給される。空冷ファン43のON/OFF、及び風量は、後述するように、制御部51に制御される。
なお、燃料電池101は、水素供給装置1から供給された水素と、空気(酸素)とを用いて電気化学反応を行い、電圧を発生させ、蓄電池103を充電する。蓄電池103は、自車両の動力源であるモータ105に電力を供給する。また、蓄電池103は上述したとおり、ヒーター41及び空冷ファン43に電力を供給する。
MCHは有機ハイドライドの一実施形態であり、脱水素反応器7は脱水素化ユニットの一実施形態であり、トルエンは芳香族化合物の一実施形態であり、トルエンタンク5は芳香族化合物タンクの一実施形態であり、バッファータンク13は水素タンクの一実施形態であり、MCH製造ユニット15は有機ハイドライド製造ユニットの一実施形態である。
また、水素圧センサ53は水素量検出ユニットの一実施形態であり、MCHタンク3は有機ハイドライドタンクの一実施形態であり、配管39は移送ユニットの一実施形態である。
2.水素供給装置1の電気的構成
水素供給装置1の電気的構成を図2に基づき説明する。水素供給装置1は、図2に示すように、センサ群45と、入力部47と、制御部51とを備える。センサ群45は、水素供給装置1における各部の情報を取得する複数のセンサの群である。センサ群45には、バッファータンク13内の圧力を検出する水素圧センサ53と、自車両の重量を検出する重量センサ55と、蓄電池103の充電残量を検出する残量センサ57と、自車両の外気における温度を検出する外気温センサ59とが含まれる。なお、重量センサ55は、自車両が平坦な場所で静止しているときのサスペンションの沈み込み量から、自車両の重量を算出する。
入力部47は、キーボード、タッチパネル、各種スイッチ等から構成され、ユーザが情報を入力可能な構成である。制御部51は、CPU、ROM、RAM等を備えた周知のコンピュータであり、センサ群45の検出結果、及び入力部47に入力された情報を取得する。また、制御部51は、自車両に搭載されたナビゲーションシステム107から情報を取得する。その情報には、自車両の走行予定道路における各種情報(道路の勾配、渋滞の有無や程度、道路の種類(一般道か高速道路か)等)が含まれる。制御部51は、センサ群45、入力部47、及びナビゲーションシステム107から取得した情報に基づき、ポンプ17、21、空冷ファン43、ヒーター41、バルブ23、水素供給装置1におけるその他の図示しないポンプやバルブ等を制御し、後述する処理を実行する。
3.水素供給装置1が実行する処理
(1)水素供給処理
予め、MCHタンク3にMCHを収容し、トルエンタンク5は空にしておく。ユーザが入力部47に対し、水素供給開始に対応する操作を行うと、制御部51は、ヒーター41により、脱水素反応器7の温度を、脱水素反応に好適な温度に昇温する。
次に、制御部51は、ポンプ17を駆動し、MCHタンク3内のMCHを、配管25を介して脱水素反応器7に供給する。脱水素反応器7では、MCHを原料とする脱水素反応が生じ、気体の水素と液体のトルエンとが生成する。また、一部のMCHは未反応のまま残存する。それらの物質は、配管27を経て、気液分離器9に送られる。
気液分離器9では、脱水素反応器7から送られた物質が、気体と液体とに分離される。分離された気体は配管29を経て吸着器11に送られる。また、分離された液体は配管35を経てトルエンタンク5に送られる。
吸着器11では、気液分離器9から送られた気体に含まれる、水素以外の不純物が吸着剤に吸着される。その後、気体(主として水素)は、ポンプ19及び配管31により、バッファータンク13に送られ、そこに収容される。
なお、バッファータンク13に収容された水素は、適宜、燃料電池101に供給される。燃料電池101は、バッファータンク13から供給された水素を用いて電圧を発生させ、蓄電池103を充電する。蓄電池103は繰り返し充放電が可能な2次電池である。蓄電池103に蓄えられた電力によりモータ105が駆動され、自車両は走行する。
(2)水素圧制御処理
制御部51は、水素供給処理の実行中、所定時間ごとに繰り返し、図3のフローチャートに示す水素圧制御処理を実行する。ステップ1では、水素圧センサ53を用いて、バッファータンク13内の圧力(水素圧力)を取得する。ステップ2では、前記ステップ1で取得した水素圧力が上限値Tを超えているか否かを判断する。上限値Tを超えている場合はステップ3に進み、超えていない場合はステップ5に進む。
ステップ3では、MCHの製造を開始する。すなわち、バルブ23を開として、バッファータンク13に収容された水素の一部をMCH製造ユニット15に供給するとともに、ポンプ21を駆動して、トルエンタンク5に収容されたトルエンをMCH製造ユニット15に供給する。MCH製造ユニット15は、供給された水素及びトルエンを原料としてMCHを製造し、製造したMCHをMCHタンク3に移送する。なお、既にMCHの製造が開始されていた場合は、MCHの製造を継続する。
ステップ4では、脱水素反応器7での水素の生成量を抑制する処理(以下、水素生成抑制処理とする)を実行する。具体的には、ヒーター41の発熱量を下げるとともに、空冷ファン43を始動し、脱水素反応器7の温度を、脱水素反応が遅くなる温度まで低下させる。また、ポンプ17の送液量を落とし、MCHの供給量及び供給圧力を低下させる。なお、既に水素生成抑制処理を実行中の場合は、それを継続する。
水素生成抑制処理において、空冷ファン43の風量は、外気温センサ59で検出した外気の温度に基づき、制御部51が決める。例えば、外気の温度が低い場合は、空冷ファン43の風量を小さくし、外気の温度が高い場合は、空冷ファン43の風量を大きくする。こうすることにより、外気の温度が変動しても、脱水素反応器7における温度のばらつきを抑制できる。
一方、前記ステップ2で否定判断した場合はステップ5に進み、前記ステップ1で取得した水素圧力が下限値T未満であるか否かを判断する。下限値T未満である場合はステップ6に進み、それ以外の場合はステップ8に進む。なお、下限値Tは上限値Tより小さい値である。
ステップ6では、MCHの製造を停止する。すなわち、バルブ23を閉として、バッファータンク13からMCH製造ユニット15への水素の供給を止めるとともに、ポンプ21を停止して、トルエンタンク5からMCH製造ユニット15へのトルエンの供給を止める。なお、既にMCHの製造が停止されていた場合は、その状態を継続する。
ステップ7では、脱水素反応器7での水素の生成量を増加させる処理(以下、水素生成増加処理とする)を実行する。具体的には、ヒーター41の発熱量を上げるとともに、空冷ファン43を停止し、脱水素反応器7の温度を、脱水素反応に好適な温度まで上げる。また、ポンプ17の送液量を増し、MCHの供給量及び供給圧力を増加させる。なお、既に水素生成増加処理を実行中の場合は、それを継続する。
一方、前記ステップ5で否定判断した場合はステップ8に進み、ナビゲーションシステム107から、自車両が走行する予定の道路の各種情報(道路の勾配等を含む)を取得する。
ステップ9では、重量センサ55を用いて、自車両の重量を取得する。
ステップ10では、前記ステップ8で取得した道路の情報、及び前記ステップ9で取得した自車両の重量に基づき、現在位置から所定の距離を走行するまでに消費する電力の予測量(以下、電力消費予測量Xとする)を算出する。
ステップ11では、残量センサ57を用いて、蓄電池103の充電残量Yを取得する。
ステップ12では、前記ステップ11で取得した充電残量Yが、前記ステップ10で算出した電力消費予測量Xより大きいか否かを判断する。大きい場合は本処理を終了する。このとき、MCHの製造の有無、水素生成抑制処理の実行の有無、水素生成増加処理の実行の有無については、現状を維持する。一方、充電残量Yが電力消費予測量X以下である場合は前記ステップ6に進み、MCHの製造を停止し、さらには、前記ステップ7において、水素生成増加処理を実行する。
4.水素供給装置1が奏する効果
(1)水素供給装置1は、バッファータンク13の圧力(すなわち、バッファータンク13内の水素量)が上限値Tを超えることを条件として、バッファータンク13内の水素を原料としてMCHを製造する。そのため、バッファータンク13の圧力が過度に上昇することを抑制できる。
(2)水素供給装置1は、バッファータンク13の圧力が上限値Tを超えることを条件として、水素生成抑制処理を実行する。そのため、バッファータンク13の圧力が過度に上昇することを抑制できる。
(3)水素供給装置1は、バッファータンク13の圧力が下限値T未満となった場合、MCHの製造を停止するとともに、水素生成増加処理を実行する。そのことにより、バッファータンク13内の水素が不足する事態が生じにくくなる。
(4)水素供給装置1は、自車両の重量及び道路の情報に基づき、電力消費予測量Xを算出する。そして、蓄電池103の充電残量Yが電力消費予測量X以下である場合、MCHの製造を停止するとともに、水素生成増加処理を実行する。そのことにより、バッファータンク13内の水素量を確保し、その水素を用いて燃料電池101を稼動し、充電残量Yを増加させることができる。
5.変形例
(1)水素供給装置1は、自車両の重量、道路の情報等に基づき、現時点から、将来のある時点までに消費する水素の予測量(以下、水素消費予測量とする)を算出することができる。そして、水素圧センサ53を用いて取得したその時点での水素量と、水素消費予測量と、脱水素反応器7における水素生成速度とから、将来のある時点におけるバッファータンク13内の水素残量(以下、将来水素残量とする)を予測することができる。
水素圧制御処理における前記ステップ2では、将来水素残量が上限値Tより大きいか否かを判断し、肯定判断の場合はステップ3に進み、否定判断の場合はステップ5に進むことができる。また、前記ステップ5では、将来水素残量が下限値T未満であるか否かを判断し、肯定判断の場合はステップ6に進み、否定判断の場合はステップ8に進むことができる。
(2)水素供給装置1は、MCH製造の開始及び停止、水素生成抑制処理の実行、水素生成増加処理の実行等を、入力部47に対するユーザの入力に応じて実行してもよい。
(3)自車両は、外気の流れを脱水素反応器7の周辺に導入するダクトを備え、水素供給装置1は、そのダクトを開閉する扉を備えていてもよい。この場合、水素供給装置1は、水素生成抑制処理の一部として、その扉を開とし、ダクトから導入された外気で脱水素反応器7を冷却する。また、水素供給装置1は、水素生成増加処理の一部として、その扉を閉とし、外気の導入を止め、脱水素反応器7の温度を上がりやすくする。
水素生成抑制処理において扉を開とするとき、扉の開き量を、外気温センサ59で検出した外気の温度に基づいて制御部51が決めてもよい。例えば、外気の温度が低い場合は、扉の開き量を小さくし、外気の温度が高い場合は、扉の開き量を大きくする。こうすることにより、外気の温度が変動しても、脱水素反応器7における温度のばらつきを抑制できる。
また、水素供給装置1がその時点での季節(春夏秋冬)を取得するユニットを備え、扉の開き量を、季節に基づいて制御部51が決めてもよい。例えば、冬は扉の開き量を小さくし、夏は扉の開き量を大きくし、春又は秋は扉の開き量を中間の値にする。こうすることにより、季節に起因する、脱水素反応器7における温度のばらつきを抑制できる。
(4)水素供給装置1がその時点での季節(春夏秋冬)を取得するユニットを備え、水素生成抑制処理において、空冷ファン43の風量を制御部51が季節に基づいて決めてもよい。例えば、冬は空冷ファン43の風量を小さくし、夏は空冷ファン43の風量を大きくし、春又は秋は空冷ファン43の風量を中間の値にする。こうすることにより、季節に起因する、脱水素反応器7における温度のばらつきを抑制できる。
<第2の実施形態>
1.水素供給装置1の構成
本実施形態における水素供給装置1の構成は基本的には前記第1の実施形態と同様である。ただし、一部において相違する。以下では、その相違点を中心に説明する。本実施形態の水素供給装置1は、図4に示すように、トルエンタンク5内の液量を検出する液量センサ61を備えている。この液量センサ61は、センサ群45の一部である。
2.水素供給装置1が実行する処理
本実施形態の水素供給装置1は、基本的には前記第1の実施形態と同様の処理を実行する。ただし、水素圧制御処理は、図5に示すものである。
図5のステップ21では、液量センサ61を用いてトルエンタンク5の液量Lを取得する。
ステップ22では、前記ステップ21で取得した液量Lが所定の上限値を超えるか否かを判断する。上限値を超える場合はステップ23に進み、超えない場合はステップ24に進む。
ステップ23では、前記第1の実施形態と同様に、MCHの製造を開始する。なお、既にMCHの製造が開始されていた場合は、MCHの製造を継続する。
一方、ステップ24では、前記ステップ21で取得した液量Lが所定の下限値未満であるか否かを判断する。下限値未満である場合はステップ25に進み、前記第1の実施形態と同様に、MCHの製造を停止する。なお、既にMCHの製造が停止されていた場合は、その状態を継続する。また、液量Lが下限値以上である場合は本処理を終了する。このとき、MCHの製造の有無については、現状を維持する。
3.水素供給装置1が奏する効果
(1)本実施形態の水素供給装置1は、前記第1の実施形態と略同様の効果を奏する。
(2)本実施形態の水素供給装置1は、トルエンタンク5の液量Lが上限値を超えた場合、トルエンタンク5内のトルエンを使用してMCHを製造する。そのため、トルエンタンク5の液量Lが過度に大きくなる事態が生じにくい。
(3)本実施形態の水素供給装置1は、トルエンタンク5の液量Lが下限値未満の場合、MCHの製造を停止し、MCH製造ユニット15への水素の供給を止める。そのため、MCH製造ユニット15においてトルエンの量が不足し、水素が余ってしまうような事態が生じにくい。
<第3の実施形態>
1.水素供給装置1の構成
本実施形態における水素供給装置1の構成は基本的には前記第1の実施形態と同様である。ただし、一部において相違する。以下では、その相違点を中心に説明する。本実施形態の水素供給装置1は、図6に示すように、配管27の途中にタービン63を備えている。タービン63は、脱水素反応器7で生成し、配管27を流れる水素により回転駆動される。また、本実施形態の水素供給装置1は、タービン63の回転により発電する発電機65を備えている。発電機65で発電された電力は、蓄電池103に蓄えられる。
2.水素供給装置1が実行する処理
本実施形態の水素供給装置1は、基本的には前記第1の実施形態と同様の処理を実行する。さらに、本実施形態の水素供給装置1は、タービン63及び発電機65を用いて発電を行うことができる。
3.水素供給装置1が奏する効果
(1)本実施形態の水素供給装置1は、前記第1の実施形態と略同様の効果を奏する。
(2)本実施形態の水素供給装置1は、タービン63及び発電機65を用いる発電により、蓄電池103の充電残量を一層多くすることができる。
<その他の実施形態>
(1)前記第1〜第3の実施形態において、MCHタンク3に収容する液体は、MCH以外の有機ハイドライド(例えば、シクロヘキサン、デカリン、メチルデカリン等)であってもよい。この場合でも、脱水素反応器7において脱水素化を行うことができ、MCH製造ユニット15において、芳香族化合物から有機ハイドライドを製造することができる。
(2)前記第1〜第3の実施形態における構成の一部又は全部を適宜組み合わせてもよい。
(3)水素供給装置1は、車両以外の移動体(例えば、航空機、船舶等)に搭載されるものであってもよい。また、水素供給装置1は、工場、住宅、道路等に設置された燃料電池に水素を供給するものであってもよいし、携帯端末、家電製品、それらの充電器等に搭載された燃料電池に水素を供給するものであってもよい。
(4)自車両は、モータ105と他の動力源(例えば内燃機関)との両方により走行するハイブリッドタイプであってもよい。
1…水素供給装置、3…MCHタンク、5…トルエンタンク、7…脱水素反応器、9…気液分離器、11…吸着器、13…バッファータンク、15…MCH製造ユニット、17、19、21…ポンプ、23…バルブ、25、27、29、31、33、34、35、37、39…配管、41…ヒーター、43…空冷ファン、45…センサ群、47…入力部、51…制御部、53…水素圧センサ、55…重量センサ、57…残量センサ、59…外気温センサ、61…液量センサ、63…タービン、65…発電機、101…燃料電池、103…蓄電池、105…モータ、107…ナビゲーションシステム

Claims (3)

  1. 有機ハイドライドを脱水素化し、水素及び芳香族化合物を生成する脱水素化ユニットと、
    前記脱水素化ユニットから排出された、前記芳香族化合物を含む物質を収容する芳香族化合物タンクと、
    前記水素化ユニットから排出された水素を収容する水素タンクと、
    前記水素タンクに収容された水素の一部、及び前記芳香族化合物タンクに収容された前記芳香族化合物を原料として前記有機ハイドライドを製造する有機ハイドライド製造ユニットと、
    を備えることを特徴とする水素供給装置。
  2. 前記水素タンクに収容された水素の量を検出する水素量検出ユニットを備え、
    前記有機ハイドライド製造ユニットは、前記水素量検出ユニットで検出した水素の量が所定の上限値を超えることを条件として、前記有機ハイドライドを製造することを特徴とする請求項1に記載の水素供給装置。
  3. 前記脱水素化ユニットに供給する前記有機ハイドライドを収容する有機ハイドライドタンクと、
    前記有機ハイドライド製造ユニットで製造した前記有機ハイドライドを前記有機ハイドライドタンクに移送する移送ユニットと、
    を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の水素供給装置。
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