JP6239749B2 - 製管機 - Google Patents

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Description

本発明は、老朽化した既設管内に更生管を形成する製管機に関する。
従来から、例えば下水道管や上水道管等の既設管が老朽化した場合に、長尺の帯状部材を螺旋状に巻回することで重なった、帯状部材の幅方向の端部同士を接続することにより、更生管と呼ばれる管状体を既設管内に形成して、既設管の内周面を更生することが広く行われている。このような更生管の製管方法には種々のものがあり、その一例として、製管機を製管方向に移動させながら、先行して形成された管状体の前方に新たに供給される帯状部材を付加することで更生管を形成する製管方法が知られている。
例えば、特許文献1には、幅方向の両端部に互いに嵌り合う嵌合部が連続的に形成された帯状部材を用いて更生管を形成する場合に、帯状部材を送り出す力を利用して、先行して形成された管状体の端部を構成している帯状部材の嵌合部に、新たに供給される帯状部材の嵌合部を嵌合させる自走式製管機が開示されている。
特許第4866428号公報
ところで、帯状部材を用いた更生管は、例えば製造工場といった恵まれた環境下で製管されるのではなく、既設管内という狭い空間で、且つ、既設管ごとに異なる施工条件で製管されることから、更生管の製管時には様々な問題が発生する。また、帯状部材自体も用途に応じて形状等が異なることから、帯状部材の形状等によっては、更生管の製管時に問題が生じる場合もある。
施工条件に起因する問題の一例としては、流水量が多い供用中の既設管内で更生管を製管する場合に、製管機が流水の水圧によって管状体(施工途中の更生管)から抜け出してしまうことが挙げられる。また、これとは逆に、既設管に段差部や屈曲部が存在する場合には、製管機がこれらの段差部や屈曲部から力を受けて、管状体の中に入り込んでしまうことも挙げられる。
一方、帯状部材の形状に起因する問題の具体例としては、帯状部材が、幅方向の両端部に連続的に形成されたメインロックと呼ばれる嵌合部の他に、サブロックと呼ばれる係合部を有する場合に、サブロックが係合しない場合があること(図20(c)参照)が挙げられる。
ここで、製管機の管状体から抜け出しや管状体への入り込みについては、管状体から反力をとることで容易に解決可能とも思われるが、下水や上水を流すために更生管の内周面は滑らかに仕上げられるため、管状体から反力をとることは容易ではない。また、サブロックが係合していない場合、既設管と製管後の更生管との狭い隙間においてサブロックを後から係合させるのは困難であるし、そもそもメインロックが嵌合すると更生管自体は成立するため、サブロックが係合していない箇所を更生管の内側から特定することは困難である。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、施工条件や帯状部材の形状等に応じて、施工途中の更生管の外周部を利用する手段または施工途中の更生管の外周部に作用する手段を設けることにより、更生管を確実に形成することが可能な製管機を提供することを目的としている。
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、既設管内に更生管を形成する製管機を対象としている。更生管は、嵌合部が幅方向の両端部に連続的に形成された長尺の帯状部材を既設管内で供給しながら、先行して管状に形成された帯状部材からなる管状体の製管方向前端に位置する帯状部材の幅方向前側の嵌合部に、新たに供給される帯状部材の幅方向後側の嵌合部を嵌め合せることにより形成される。帯状部材としては、外側面に長尺の補強部材が装着されたもの、または、長尺の補強部材が内部に埋め込まれたものを用いる。この製管機は、管状体の製管方向前端部で回転しながら、帯状部材の付加に伴って製管方向前側へ移動する本体と、管状体の周方向における離れた位置で本体にそれぞれ支持され、既設管と管状体との間で製管方向後側にそれぞれ延びる第1および第2アームと、を備えている。第1アームは、管状体を構成する帯状部材に備えられた補強部材の製管方向前側または後側に、直接または当該帯状部材を介して当たる第1規制部を有している。第2アームは、管状体を構成する帯状部材に備えられた補強部材の、第1規制部が当たる側とは反対側に、直接または当該帯状部材を介して当たる第2規制部を有している。
このように、既設管と管状体との間で製管方向後側にそれぞれ延びる第1および第2アームを備えることにより、施工条件に応じて、施工途中の更生管の外周部を利用する手段を設けることが可能となる。例えば、既設管に段差部や屈曲部が存在する場合には、補強部材の製管方向前側に当たる第1規制部を第1アームに設けることで、製管機が既設管の段差部や屈曲部から力を受けても、製管機が管状体の中に入り込むのを抑えることができる。この場合、第2アームに設けられた第2規制部は、補強部材の製管方向後側(第1規制部が当たる側とは反対側)に当たる。よって、流水量が多い供用中の既設管内で更生管を製管する場合に、製管機に製管方向後側から水圧が作用しても、第2規制部が補強部材に引っ掛るので、製管機が管状体から製管方向前側に抜け出すのを抑えることができる。しかも、第1規制部と第2規制部とは、互いに離れた位置で且つ互いに反対方向から補強部材に当たるので、製管機が管状体の径方向周りに回転するのを抑えることができる。以上により、製管方向における管状体に対する製管機の位置が一定に保たれるので、先行して管状に形成された帯状部材の嵌合部と、新たに供給される帯状部材の嵌合部とを確実に嵌合させることができる。
また、本発明の解決手段は、以下のような製管機をも対象としている。この製管機は、本体に支持され、既設管と管状体との間で製管方向後側に延びるアームと、周方向におけるアームとは離れた位置で本体に回転自在に支持され、管状体の製管方向前端に当たる鍔部を有するローラと、を備えている。そして、アームは、管状体を構成する帯状部材に備えられた補強部材の製管方向後側に、直接または当該帯状部材を介して当たる規制部を有している。
このように、既設管と管状体との間で製管方向後側に延びる1つのアームと、管状体の製管方向前端に当たる鍔部を有するローラとを組み合わせることによっても、施工条件に応じて、施工途中の更生管の外周部を利用する手段を設けることができる。すなわち、管状体を構成する帯状部材に備えられた補強部材の製管方向後側に当たる規制部をアームに設ければ、製管機が管状体から製管方向前側に抜け出すのを抑えることができる。一方、製管機が既設管の段差部や屈曲部から力を受けた場合でも、鍔部が管状体の製管方向前端に当たるので、製管機が管状体の中に入り込むのを抑えることができる。また、アームとローラとは、互いに離れた位置で且つ互いに反対方向から管状体に当たるので、製管機が管状体の径方向周りに回転するのを抑えることができる。
さらに、本発明の解決手段は、以下のような製管機をも対象としている。この製管機では、更生管は、管状体の製管方向前端に位置する第1端部帯状部材の幅方向前側の嵌合部に、新たに供給される帯状部材の幅方向後側の嵌合部を嵌め合せることにより形成される。帯状部材は、外側面に突設された補強リブと、幅方向前側の端部から前側に延びる係合リブとを備え、且つ、外側面に長尺の補強部材が装着されたもの、または、長尺の補強部材が内部に埋め込まれたものを用いる。この製管機は、管状体の製管方向前端部で回転しながら、帯状部材の付加に伴って製管方向前側へ移動する本体と、本体に支持され、既設管と管状体との間で製管方向後側に延びる第1アームと、を備えている。第1アームは、第1端部帯状部材の製管方向後側に隣接する第2端部帯状部材の係合リブに当接して、係合リブを第1端部帯状部材の補強リブへ係合させるための第1ガイド部と、第1端部帯状部材に備えられた補強部材の製管方向前側に、直接または当該第1端部帯状部材を介して当たる第1規制部と、を有している。
このように、既設管と管状体との間で製管方向後側に延びる第1アームを備えることにより、帯状部材の形状に応じて、施工途中の更生管の外周部に作用する手段を設けることが可能となる。すなわち、第1アームは第1ガイド部を有していることから、第1アームの公転に伴って、第2端部帯状部材の係合リブを、第1端部帯状部材の全周に亘って補強リブに係合させることができる。また、第2端部帯状部材が第1ガイド部によって製管方向前側に押されても、第1アームが、第1端部帯状部材に備えられた補強部材の製管方向前側に当たる第1規制部を有していることから、第1端部帯状部材の製管方向前側への移動が抑えられる。したがって、第1端部帯状部材の製管方向前側の端部と、新たに供給される帯状部材の製管方向後側の端部との製管方向における距離が一定となるので、両者の嵌合部を確実に嵌合させることができる。
本発明では、既設管と管状体との間で製管方向後側に延びるアームを備えることから、施工条件や帯状部材の形状等に応じて、施工途中の更生管の外周部を利用する手段または施工途中の更生管の外周部に作用する手段を当該アームに設けることにより、更生管を確実に製管することが可能となる。
図1は本発明の実施形態1の基本概念を模式的に説明する図である。 図2は実施形態1の基本概念を模式的に説明する図である。 図3は実施形態1の基本概念を模式的に説明する図である。 図4は施工条件に起因する問題を模式的に説明する図である。 図5は帯状部材を例示する断面図である。 図6は帯状部材の嵌合部同士を嵌合する様子を説明する図である。 図7は製管機の正面図である。 図8は図7において位置規制用車輪を図示省略した図である。 図9はリンク体を示す斜視図である。 図10はフレームの一部を径方向外側から見た図である。 図11は駆動ユニットの要部を一部破断して示す図である。 図12は第1アームを示す図であり、図12(a)は正面図であり、図12(b)は側面図である。 図13は第2アームを示す図であり、図13(a)は径方向外側から見た図であり、図13(b)は側面図である。 図14は巻き癖形成装置の正面図である。 図15は製管時における装置の配置状態を説明する図である。 図16は本発明の実施形態2の基本概念を模式的に説明する図である。 図17は実施形態2の基本概念を模式的に説明する図である。 図18は実施形態2の基本概念を模式的に説明する図である。 図19は帯状部材を例示する断面図である。 図20は帯状部材の嵌合部同士を嵌合する様子を説明する図である。 図21は駆動ユニットの要部を一部破断して示す図である。 図22は第1アームを示す図であり、図22(a)は正面図であり、図22(b)は側面図である。 図23は第2アームを示す図であり、図23(a)は径方向外側から見た図であり、図23(b)は側面図である。 第1アームを模式的に示す斜視図である。 第2アームを模式的に示す斜視図である。 帯状部材と、第1アームおよび第2アームとの関係について説明する図である。 その他の実施形態に係る第2ガイド部を例示する模式図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本実施形態を理解し易くするために、製管機1(図7参照)等の装置構成の説明に先立ち、本実施形態の基本概念について説明する。図1〜図3は、本実施形態の基本概念を模式的に説明する図である。なお、図1では、図を見易くするために、製管機1のうち、帯状部材100を供給するためのピンチローラ61、第1アーム40および第2アーム50のみを示している。また、以下の説明では、既設管2内の流水の下流側である図1の左側を製管方向前側とし、既設管2内の流水の上流側である図1の右側を製管方向後側とする。
本実施形態の製管機1は、図2に示すような互いに対をなす嵌合部111,112が幅方向の両端部に連続的に形成された長尺の帯状部材100を螺旋状に巻回して、下水道管や上水道管や農業用水管やガス管といった既設管2内に新たに更生管3を形成するものである。より詳しくは、製管機1は、ピンチローラ61によって帯状部材100を既設管2内で図1の白抜き矢印の方向に供給しながら、先行して管状に形成された帯状部材100のうち、製管方向前端に位置する帯状部材100Bの幅方向前側(製管方向前側と一致)の嵌合部112に、新たに供給される帯状部材100Aの幅方向後側(製管方向後側と一致)の嵌合部111を内側から押し付けて、嵌合部111,112同士を嵌め合せるように構成されている。つまり、この製管機1は、先行して管状に形成された管状体4の前端部に、新たに供給される帯状部材100Aを付加しながら既設管2内に更生管3を形成するものである。
なお、「先行して管状に形成された帯状部材100」とは、少なくとも幅方向後側の嵌合部111が嵌合した帯状部材100を意味し、図1の符号4に相当する。以下、「先行して管状に形成された帯状部材100」を先行管状体4ともいう。
また、以下の説明において「端部帯状部材100B」とは、先行管状体4の製管方向前端に位置する帯状部材100を意味し、図1の帯状部材100の供給方向(白抜き矢印)における仮想線Aから一周して仮想線Bに至る部位に相当する。
さらに、「新たに供給される帯状部材100A」とは、図1の帯状部材100の供給方向におけるピンチローラ61から仮想線Aまでの部位に相当する。以下、「新たに供給される帯状部材100A」を新供給帯状部材100Aともいう。
なお、先行管状体4、端部帯状部材100Bおよび新供給帯状部材100Aは、長尺の帯状部材100の各部に対し、説明の便宜上付した名称であり、別個の部材を意味しているのではない。
また、「嵌合位置」とは、それまでは嵌合していなかった、新供給帯状部材100Aの幅方向後側の嵌合部111と、端部帯状部材100Bの幅方向前側の嵌合部112とが、嵌合し始める位置を意味し、図1の符号5に相当する。
図1に示すように、ピンチローラ61、第1アーム40および第2アーム50は、帯状部材100の供給方向にこの順で並ぶように配置されている。第1アーム40は嵌合位置5の近傍に配置されている。第1アーム40と第2アーム50とは、先行管状体4の周方向における離れた位置に設置されていて、既設管2と先行管状体4との間で製管方向後側にそれぞれ延びている。
これらのピンチローラ61、第1アーム40および第2アーム50は、後述する製管機1のフレーム20(図7参照)に支持されている。フレーム20は、先行管状体4の製管方向前端部で回転しながら、新供給帯状部材100Aの付加に伴って製管方向前側へ移動する。それ故、製管機1は、ピンチローラ61、第1アーム40および第2アーム50の相対的な位置関係を維持しつつ、図1の黒塗り矢印の方向に回転しながら製管方向前側に移動する。
なお、既設管2と先行管状体4との隙間よりも薄いプレート状の第1アーム40および第2アーム50を用いれば、先行管状体4の外周面と既設管2の内周面との間隔が狭くても、フレーム20の回転に伴って、第1アーム40および第2アーム50を先行管状体4と既設管2との間で公転させることができる。また、後述する補強部材120の剛性が低い場合には、第1アーム40および第2アーム50が薄いプレート状でなくても、また、既設管2と先行管状体4との隙間がほぼゼロでも、第1アーム40および第2アーム50を先行管状体4と既設管2との間で公転させることができる。
図4は施工条件に起因する問題を模式的に説明する図であり、図4(a)は製管機1が水圧を受ける場合を示し、図4(b)は製管機1が既設管2の段差部2aから力を受ける場合を示す。ここで、更生しようとする既設管2内に水が流れていても、上流側から下流側に向かって更生管3を形成することができることが製管機1のメリットの1つである。しかし、既設管2内を流れる水の流量が多い場合には、図4(a)に示すように、製管機1が水圧によって下流側に移動し、先行管状体4から抜け出す場合がある。また、これとは逆に、既設管2に段差部2aや屈曲部が存在する場合には、図4(b)に示すように、製管機1がこれらの段差部2aや屈曲部から力を受けて、先行管状体4の中に入り込んでしまう場合がある。このように、製管機1が先行管状体4から抜けたり、製管機1が先行管状体4の中に入り込んだりした場合には、製管方向における先行管状体4に対する製管機1の位置が変動する。先行管状体4に対する製管機1の位置が変動すると、端部帯状部材100Bの製管方向前側の端部と、新供給帯状部材100Aの製管方向後側の端部との製管方向における距離が一定せず、嵌合部111,112同士が嵌合し難くなる場合がある。
そこで、本実施形態の製管機1では、第1アーム40および第2アーム50を利用して、端部帯状部材100Bの製管方向前側の端部と、新供給帯状部材100Aの製管方向後側の端部との製管方向における距離を一定に保つようにしている。
図2(a)は第1アーム40を図1の矢印Cの方向から見た図であり、図2(b)は第2アーム50を図1の矢印Dの方向から見た図である。図2(a)に示すように、第1アーム40は、先行して管状に形成された端部帯状部材100Bの補強リブ114の内部に埋め込まれた補強部材120の製管方向前側に、当該補強部材120を覆う端部帯状部材100Bを介して当たる第1規制部43を有している。また、図2(b)に示すように、第2アーム50は、先行して管状に形成された端部帯状部材100Bの補強部材120の製管方向後側(第1規制部43が当たる側とは反対側)に、当該補強部材120を覆う端部帯状部材100Bを介して当たる第2規制部52を有している。
図3は先行して管状に形成された帯状部材100の内部に埋め込まれた補強部材120と、第1規制部43および第2規制部52との関係を模式的に説明する図である。上述の如く、ピンチローラ61、第1アーム40および第2アーム50は、相対的な位置関係を維持しながら、製管方向前側から見て時計回りに(図1の黒塗り矢印の方向に)回転する。そうして、第2規制部52は、第2アーム50が端部帯状部材100Bの外側を回っている間、常に補強部材120の製管方向後側に当たり続ける。それ故、図3の黒塗り矢印で示すように、製管機1に上流側から水圧が作用しても、第2規制部52が補強部材120に引っ掛るので、製管機1が先行管状体4から製管方向前側に抜け出すのを抑えることができる。また、第1規制部43は、第1アーム40が端部帯状部材100Bの外側を回っている間、常に補強部材120の製管方向前側に当たり続ける。それ故、図3の白抜き矢印で示すように、製管機1が段差部2a等から力を受けても、第1規制部43が補強部材120に引っ掛るので、製管機1が先行管状体4の中に入り込むのを抑えることができる。
加えて、第1アーム40と第2アーム50とは、先行管状体4の周方向における離れた位置に設けられているので、図3の円弧矢印で示すような回転に対して、第1規制部43と第2規制部52とが回転抵抗となるので、先行管状体4に対する製管機1の径方向周りの回転が抑えられる。
これらにより、製管方向における先行管状体4に対する製管機1の位置が一定に保たれる。それ故、第2アーム50が端部帯状部材100Bの外側を回っている間に供給される新供給帯状部材100Aの製管方向後側の端部と、端部帯状部材100Bの製管方向前側の端部との製管方向における距離は常に一定となる。よって、嵌合部111,112同士を確実に嵌合させることができる。
以上のように、第1規制部43を有する第1アーム40と、第2規制部52を有する第2アーム50と、を備える製管機1によって、先行管状体4に対する製管機1の抜け出しや入り込みを抑えて、嵌合部111,112同士を確実に嵌合させることが本実施形態の基本概念である。以下、このような基本概念を実施できる具体的な構成について説明する。
−帯状部材−
製管機1の構造を説明するのに先立ち、本実施形態の製管機1によって製管される帯状部材100について説明する。
帯状部材100は、硬質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂材により長尺状に成形される。帯状部材100は、図5に示すように、帯板状の基板116と、基板116の両端部にそれぞれ連続的に形成された互いに対をなす嵌合部111,112と、3条の補強リブ113,114,115とを有している。
嵌合部としての嵌合突条部111は、基板116の幅方向後側の端部における、一面(製管後の外側面)に帯状部材100の全長に亘って突設されている。嵌合突条部111の先端部111aは、断面略三角形状に膨らんでいるとともに、段差面111bが形成されている。嵌合突条部111と対をなす嵌合部としての嵌合溝部112は、基板116の幅方向前側の端部に帯状部材100の全長に亘って形成されている。嵌合溝部112は、他面側(製管後の内側)に開口する断面略三角形状の溝であり、入口が窄んでいる。嵌合溝部112には、嵌合突条部111の段差面111bに対応する段差面112aが形成されている。
補強リブ113,114,115は、帯状部材100の剛性を高めるためのものであり、基板116の一面に帯状部材100の全長に亘って突設されている。補強リブ113,114,115は、断面I字状に形成されている。これら補強リブ113,114,115の内部には、金属製の長尺の補強部材120が埋め込まれている。このように、補強部材120が埋め込まれることで、製管された帯状部材100は高剛性の自立管となる。
このように形成された帯状部材100は、製管過程で螺旋状に巻回され、図6(a)に示すように、端部帯状部材100Bと新供給帯状部材100Aとが互いに隣接する。そして、端部帯状部材100Bの嵌合溝部112に対し、新供給帯状部材100Aの嵌合突条部111が内面側(先行管状体4の内周側)から嵌め込まれる。嵌合突条部111は、先端部111aが一旦嵌合溝部112に嵌め込まれると、段差面111bと段差面112aとが噛み合うことから容易に抜けないようになっている。このように、嵌合突条部111と嵌合溝部112とが嵌合すると、図6(b)に示すように、新供給帯状部材100Aが新たな端部帯状部材100Bとなる。
なお、本実施形態の製管機1に適用される帯状部材100は、嵌合部111,112を有していて、補強部材を備えているのであれば、図5に示す帯状部材100以外のものでもよい。例えば、図19に示すような、補強部材70が装着された帯状部材10を用いてもよい。
−製管機の全体構造−
図7は本実施形態に係る製管機1の正面図であり、図8は図7において第1〜第3位置規制用車輪80A,80B,80Cを図示省略した図である。この製管機1は、円形断面の更生管3を形成するものであり、複数のリンクローラ21を回転自在に支持する環状のフレーム(本体)20と、フレーム20の内側から帯状部材100を供給する駆動ユニット60と、第1〜第3位置規制用車輪80A,80B,80Cと、フレーム20に支持される上記第1アーム40および第2アーム50と、を備えている。なお、以下の説明では、環状のフレーム20の内側を径方向内側といい、環状のフレーム20の外側を径方向外側という。また、環状のフレーム20の軸心が延びる方向(図7および図8の紙面に垂直な方向)を軸方向といい、第1〜第3位置規制用車輪80A,80B,80Cが取り付けられている側を軸方向前側といい、反対側を軸方向後側という。製管時には、当該軸方向が既設管2および先行管状体4の管軸方向と一致し、軸方向前側および軸方向後側が製管方向前側および後側とそれぞれ一致する。
<フレーム>
図8に示すように、製管機1の本体に相当するフレーム20は、相互に連結された複数のリンク体22と、第1連結用リンク体26と、第2連結用リンク体30と、支持フレーム34と、を連結することで略環状に形成されている。
図9はリンク体22を示す斜視図である。各リンク体22は、図9に示すように、一組のリンクフレーム23,24を、連結軸25で連結することで形成されている。リンクフレーム23は、軸方向に対向する一対のリンクプレート23aと、一対のリンクプレート23aを連結する連結プレート23bと、連結プレート23bと一対のリンクプレート23aとを連結する補強プレート23cと、を備えている。リンクプレート23aにおける連結プレート23bとは反対側の端部には、貫通孔(図示せず)が形成されている。同様に、リンクフレーム24も、一対のリンクプレート24aと、連結プレート24bと、補強プレート24cと、を備えている。リンクプレート24aにおける連結プレート24bとは反対側の端部には、貫通孔(図示せず)が形成されている。
リンクフレーム23,24は、4枚のリンクプレート23a,24aの貫通孔が重なるように、一対のリンクプレート24aの先端部を、一対のリンクプレート23aの先端部で挟み、重なった貫通孔に連結軸25を挿入することで、連結軸25を中心として回動自在に連結されている。リンクプレート23aの先端部には、切欠部23dが形成されている。一方、リンクプレート24aの貫通孔の周りには、切欠部23dに対応するように回動規制部24dが設けられている。これにより、各リンク体22の屈曲角度が、回動規制部24dが切欠部23dを区画する部位に当たるまでの範囲に規制される。連結軸25には、円筒状に形成された合成樹脂製又は金属製のリンクローラ21が軸受(図示せず)を介して回転自在に支持されている。
このように構成されたリンク体22は、相隣接するリンク体22の連結プレート23bと連結プレート24bとをボルトナット(図示せず)を介して接続することで、図7および図8に示すように、複数連結されている。各リンクローラ21は、各リンク体22に回転自在に支持されることで、更生管3を製管する際、先行管状体4の内側面に接触しながら回転する。
図10は、フレーム20における、リンク体22と、第1連結用リンク体26と、支持フレーム34と、第2連結用リンク体30とを径方向外側から見た図である。
第1連結用リンク体26は、図10に示すように、一組のリンクフレーム27,28を、第1鍔付きローラ29の軸で連結することで形成されている。リンクフレーム27は、リンクフレーム23,24よりも軸方向に長いが、リンクフレーム23,24とほぼ同様の構造を有している。すなわち、リンクフレーム27も、軸方向に対向する一対のリンクプレート27aと、連結プレート27bと、補強プレート27cと、を備えていて、リンクプレート27aにおける連結プレート27bとは反対側の端部には、貫通孔(図示せず)が形成されている。もっとも、リンクプレート23aには切欠部23dが形成されているのとは異なり、リンクプレート27aには貫通孔の周りに2条の円弧状の長穴27d(図8参照)が形成されている。
一方、リンクフレーム28は、軸方向に対向する一対の4分の1円状のリンクプレート28aと、一対のリンクプレート28aを連結する、軸方向に延びる複数の連結プレート28bと、を備えている。複数の連結プレート28bは、第1鍔付きローラ29の外周を取り囲むように配設されている。4分の1円状のリンクプレート28aの円の中心に相当する部位には、貫通孔(図示せず)が形成されている。また、貫通孔の周りには、長穴27dに対応するように2本の突起28c(図8参照)が形成されている。
リンクフレーム27,28は、4枚のリンクプレート27a,28aの貫通孔が重なるように、一対のリンクプレート28aを、一対のリンクプレート27aの先端部で挟み、重なった貫通孔に第1鍔付きローラ29の軸を挿入することで、第1鍔付きローラ29の軸を中心として回動自在に連結されている。第1連結用リンク体26の屈曲角度は、突起28cが長穴27dの端部に当たるまでの範囲に規制されている。
このように構成された第1連結用リンク体26は、隣接するリンク体22の連結プレート23bと連結プレート27bとをボルトナット(図示せず)を介して接続することで、複数連結されたリンク体22と連結される。第1鍔付きローラ29は、第1連結用リンク体26に回転自在に支持されており、更生管3を形成する際、鍔部29aが先行管状体4(端部帯状部材100B)の製管方向前端に接触しながら回転する。
第2連結用リンク体30は、図10に示すように、一組のリンクフレーム31,32を、第2鍔付きローラ33の軸で連結することで形成されている。リンクフレーム31は、リンクフレーム27よりも軸方向に短いが、リンクフレーム27とほぼ同様の構造を有している。すなわち、リンクフレーム31も、軸方向に対向する一対のリンクプレート31aと、連結プレート31bと、補強プレート31cと、を備えていて、リンクプレート31aにおける連結プレート31bとは反対側の端部に貫通孔(図示せず)が形成されている。また、リンクプレート31aには貫通孔の周りに2条の円弧状の長穴31d(図8参照)が形成されている。
一方、リンクフレーム32は、軸方向に対向するリンクプレート32aと、一対のリンクプレート32aを連結する連結プレート32bと、連結プレート32bと一対のリンクプレート32aとを連結する補強プレート32cと、を備えている。リンクプレート32aにおける連結プレート32bとは反対側の端部には、貫通孔(図示せず)が形成されている。また、貫通孔の周りには、長穴31dに対応するように2本の突起32d(図8参照)が形成されている。
リンクフレーム31,32は、4枚のリンクプレート31a,32aの貫通孔が重なるように、一対のリンクプレート32aを、一対のリンクプレート31aの先端部で挟み、重なった貫通孔に第2鍔付きローラ33の軸を挿入することで、第2鍔付きローラ33の軸を中心として回動自在に連結されている。第2連結用リンク体30の屈曲角度は、突起32dが長穴31dの端部に当たるまでの範囲に規制されている。
このように構成された第2連結用リンク体30は、隣接するリンク体22の連結プレート23bと連結プレート31bとをボルトナット(図示せず)を介して接続することで、複数連結されたリンク体22と連結される。第2鍔付きローラ33は、第2連結用リンク体30に回転自在に支持されており、更生管3を形成する際、鍔部33aが先行管状体4(端部帯状部材100B)の製管方向前端に接触しながら回転する。なお、鍔部33aは鍔部29aよりも帯状部材100の幅の分だけ軸方向に薄く形成されている。これは、鍔部29aは新供給帯状部材100Aが付加される前の先行管状体4の製管方向前端に接触するのに対し、鍔部33aは新供給帯状部材100Aが付加された直後の先行管状体4の製管方向前端に接触するためである。
支持フレーム34は、軸方向前側のリンクプレート27a,31aと略面一な支持プレート34aと、支持プレート34aと軸方向に対向するリンクプレート34dと、支持プレート34aの端部から軸方向に延びる連結プレート34bと、軸方向に延びる補強プレート34cと、連結プレート34bと直交する方向に延びる箱型フレーム35と、帯状部材100を案内するガイドローラ36と、を備えている。箱型フレーム35は、矩形断面の金属管材等により構成される。
連結プレート34bは、支持プレート34aの端部と箱型フレーム35の端部とを接続している。補強プレート34cは、支持プレート34aおよび連結プレート34bと直交するように支持プレート34aおよび連結プレート34bと接続され、且つ、箱型フレーム35の底面(内側面)とも接続されている。リンクプレート34dは、補強プレート34cおよび連結プレート34bと直交するように補強プレート34cおよび連結プレート34bと接続されている。ガイドローラ36は、対向する支持プレート34aとリンクプレート34dとによって回転自在に支持されている。
このように構成された支持フレーム34は、箱型フレーム35の端部が第1連結用リンク体26の連結プレート28bと溶接等によって接続されるとともに、連結プレート34bが第2連結用リンク体30の連結プレート32bとボルトナット(図示せず)を介して接続される。これにより、相互に連結された複数のリンク体22と、第1連結用リンク体26と、支持フレーム34と、第2連結用リンク体30とからなる環状のフレーム20が形成される。このように、第1連結用リンク体26と第2連結用リンク体30との間に箱型フレーム35を介在させることで、径方向外側から見て、第1連結用リンク体26、第2連結用リンク体30および支持フレーム34が略C字状をなす。これにより、フレーム20には、図10に示すように、当該フレーム20の径方向内側と径方向外側とを繋ぐ空間Rが形成される。それ故、駆動ユニット60によってフレーム20の径方向内側から供給された帯状部材100が、当該空間Rを通って、フレーム20の径方向外側へ出て、嵌合位置5において先行管状体4に付加されることが可能となる。
図8に示すように、支持フレーム34には、空間Rを通ってフレーム20の径方向外側へ出た帯状部材100が、必要以上に外側へ膨らまないように、帯状部材100を押さえる外面ガイド37が設けられている。この外面ガイド37は、支持プレート34aにボルト固定される支持アーム37bと、当該支持アーム37bの先端部に設けられ、ガイドローラ36と対向するように配置される矩形状のガイド板37aと、を有している。これにより、空間Rを通ってフレーム20の径方向外側へ出た帯状部材100は、ガイドローラ36が帯状部材100の内側面に接触するとともに、ガイド板37aが帯状部材100の外側面を押さえることで、嵌合位置5へと案内される。
<駆動ユニット>
図11は駆動ユニット60の要部を一部破断して示す図である。駆動ユニット60は、図11に示すように、帯状部材100を挟んで回転駆動する外面ローラ62と内面ローラ63との対からなるピンチローラ61を2組備えている。より詳しくは、駆動ユニット60は、2つの外面ローラ62を内部に保持した外面ユニット64と、2つの内面ローラ63を内部に保持した内面ユニット65とが組み合わされて構成されている。
外面ユニット64は、外面ローラ62と、ケーシング66とを備えている。ケーシング66には、外面ローラ62の回転軸62aが、ボールベアリング68を介して回転自在に支持されている。一方、内面ユニット65は、内面ローラ63と、ケーシング67とを備えている。ケーシング67には、内面ローラ63の回転軸63aが、ボールベアリング68を介して回転自在に支持されている。
外面ローラ62は、2つの大径部62fと、第1小径部62cと、第2小径部62dと、を有している。2つの大径部62fは、補強部材120が埋め込まれた帯状部材100の補強リブ114を挟むように形成されている。また、第1小径部62cは、大径部62fとの間に帯状部材100の補強リブ113を挟むように形成されている。第2小径部62dは、大径部62fとの間に帯状部材100の補強リブ115を挟むように形成されている。これにより、外面ローラ62は、帯状部材100の外側面(補強リブ113,114,115の突設された面)に接触しながら滑ることなく回転するようになっている。
一方、内面ローラ63は、合成樹脂製又は金属製の円筒体からなり、その軸方向の長さが帯状部材100の幅よりも長くなるように形成されている。内面ローラ63は、帯状部材100の内側面に接触しながら回転する。
また、駆動ユニット60には、外面ローラ62と内面ローラ63とを回転駆動させる駆動モータ(図示せず)が備えられている。駆動モータの出力軸は、ケーシング67に回転自在に支持されており、その先端部に歯車(図示せず)が固定されている。駆動モータの歯車は、2つの内面ローラ63の回転軸63aに固定された歯車63bにそれぞれ噛み合っている。また、2つの歯車63bは、2つの外面ローラ62の回転軸62aに固定された歯車62eに、それぞれ噛み合っている。駆動モータの駆動力は、駆動モータの歯車、歯車63bおよび歯車62eを介して適度に減速されて、外面ローラ62および内面ローラ63の回転軸62a,63aに伝達され、外面ローラ62と内面ローラ63とが互いに反対方向に回転駆動される。これにより、駆動ユニット60は、外面ローラ62と内面ローラ63との間に帯状部材100を挟み込んで送り出すことが可能となっている。
なお、駆動モータは、例えば図15に示される油圧ユニット90から油圧ホース91を介して供給される圧油によって駆動する。油圧ユニット90から延びる油圧ホース91は、回転継手69(図8参照)を介して駆動モータに接続されているので、製管機1の回転に拘わらず圧油を供給することが可能となっている。
このように構成された駆動ユニット60は、図8に示すように、外面ユニット64のケーシング66が、第1連結用リンク体26(リンクフレーム28における軸方向前側のリンクプレート28a)に、ボルトナット(図示せず)を介して固定されることで、フレーム20の径方向内側に取り付けられている。
なお、この駆動ユニット60は、外面ユニット64と内面ユニット65とを、開閉可能に連結するヒンジ軸(図示せず)を備えていて、閉合機構60aを閉めることで、外面ローラ62と内面ローラ63とが近接する一方、閉合機構60aを開くことで、外面ローラ62と内面ローラ63とが離間するようになっている。これにより、更生管3の製管途中であっても、外面ローラ62と内面ローラ63とを離間させることで、帯状部材100を駆動ユニット60から容易に取り外すことが可能となっている。
<位置規制用車輪>
図7に示すように、フレーム20の軸方向前側には、第1〜第3位置規制用車輪80A,80B,80Cが取り付けられている。各位置規制用車輪80A,80B,80Cは、高さ調整部83と、高さ調整部83に固定された軸受け部84と、軸受け部84に軸支された、既設管2の内周面に接して回転する車輪部85と、を有している。
高さ調整部83は、軸方向と直交する略矩形状の調整板87と、調整板87の径方向外側の端部から軸方向前側に延びる略矩形状の支持板86と、を有していて、断面L字状に形成されている。調整板87と支持板86とは、三角形状のリブ88で接続されている。調整板87には、所定の間隔を開けて、径方向に延びる3条の長穴87aが形成されている。
軸受け部84は、基端部がボルトナット(図示せず)を介して支持板86に接続されている一方、先端部で車輪部85を回転自在に支持している。
第1位置規制用車輪80Aは、支持プレート81における駆動ユニット60から遠い方の端部に取り付けられている。なお、支持プレート81は、支持フレーム34の支持プレート34aにボルトナット81aを介して固定されている。また、第2位置規制用車輪80Bは、支持プレート81における駆動ユニット60に近い方の端部に取り付けられている。さらに、第3位置規制用車輪80Cは、外面ユニット64のケーシング66に固定された支持プレート82に取り付けられている。
各位置規制用車輪80A,80B,80Cは、調整板87に形成された3条の長穴87aにそれぞれ挿入された3組のボルトナット89によって、調整板87を支持プレート81,82に取り付けることで、支持プレート81,82に支持されている。そうして、第1〜第3位置規制用車輪80A,80B,80Cは、3条の長穴87aに対する3組のボルトナット89の締め付け位置をそれぞれ調整することによって、フレーム20からの車輪部85の突出高さをそれぞれ設定できるようになっている。つまり、製管機1では、第1〜第3位置規制用車輪80A,80B,80Cにおける3条の長穴87aに対する3組のボルトナット89の締め付け位置を調整することによって、既設管2と先行管状体4との離間距離を調整することが可能となっている。
<第1および第2アーム>
第1アーム40および第2アーム50は、金属製であり、フラットな板状をなしていて、端部帯状部材100Bの外周面に近接し且つ当該外周面の接線方向と平行に(当該外周面に対向するように)設置されている。第1アーム40および第2アーム50は、図8に示すように、第1アーム40と第2アーム50とがフレーム20の周方向における離れた位置に配置されるように、それぞれフレーム20に支持されている。
第1アーム40は、図12に示すように、固定部材47、第1取付ブラケット44およびスライド部材49を介して、第2連結用リンク体30のリンクフレーム31に連結されたリンク体22に支持されている。
固定部材47は、図12(b)に示すように、重ねられたリンクプレート23a,24aをかしめた状態でリンク体22にボルト固定されている。固定部材47の径方向内側の端部には軸方向前側に延びる矩形板状の調整壁部47aが形成されている。この調整壁部47aには、内周面にねじ溝が形成された、径方向に延びる貫通孔(図示せず)が形成されている。
第1取付ブラケット44は、矩形状の固定壁部45と、固定壁部45の径方向外側の端部から軸方向前側に延びる支持壁部46とを有していて、断面略L字状に形成されている。これら固定壁部45と支持壁部46とはリブ48によって接続されている。
固定壁部45は、調整壁部47aの貫通孔に螺合された調整ボルト45cと接続されている。また、固定壁部45には、図12(a)に示すように、径方向に延びる長穴45aが形成されており、この長穴45aに挿通された2本のボルト45bが固定部材47に締結されている。これにより、固定壁部45は、リンク体22(フレーム20)に対して、径方向に相対移動することが可能になっている。つまり、長穴45aに挿通された2本のボルト45bを緩めて、固定壁部45を長穴45aに沿って移動させ、2本のボルト45bを締めた後、調整ボルト45cによって調整壁部47aとの間隔を調整することによって、第1取付ブラケット44の径方向の位置を調整することが可能となっている。
支持壁部46の軸方向前側の端部には径方向外側に延びる矩形状の調整壁部46aが形成されている。この調整壁部46aには、内周面にねじ溝が形成された、軸方向に延びる2つの貫通孔(図示せず)が形成されている。また、支持壁部46には、軸方向に延びる長穴46bが形成されており、この長穴46bに挿通された2本のボルト46cがスライド部材49に締結されている。
スライド部材49の軸方向後側の端部には径方向外側に延びる矩形状の支持壁部49aが形成されている。この支持壁部49aには、軸方向に延びる貫通孔(図示せず)が形成されている。また、スライド部材49は、調整壁部46aの貫通孔に螺合された2本の調整ボルト49bと接続されている。これにより、スライド部材49は、リンク体22(フレーム20)に対して、軸方向に相対移動することが可能になっている。つまり、長穴46bに挿通された2本のボルト46cを緩めて、スライド部材49を長穴46bに沿って移動させ、2本のボルト46cを締めた後、2本の調整ボルト49bによって調整壁部46aとの間隔を調整することによって、スライド部材49の軸方向の位置を調整することが可能となっている。
第1アーム40は、支持壁部49aの貫通孔に挿通されたボルト49cによってスライド部材49に固定されている。このように、固定部材47、第1取付ブラケット44およびスライド部材49を介してフレーム20に取り付けられることで、第1アーム40は、フレーム20に対して、径方向および軸方向に相対移動することが可能になっている。
この第1アーム40の外側面には、補強プレート40aが取り付けられている。また、第1アーム40の内側面には、第1規制部43が設けられている。
第1規制部43は、上述の如く、製管方向における先行管状体4に対する製管機1の位置を規制するものである。この第1規制部43は、第1アーム40の内側面から径方向内側に延びていて、端部帯状部材100Bの補強リブ114の内部に埋め込まれた補強部材120の製管方向前側に、当該補強部材120を覆う端部帯状部材100Bを介して当たるようになっている。このように、第1規制部43を設けることで、製管機1が段差部2a等から力を受けても、第1規制部43が補強部材120に引っ掛るので、製管機1が先行管状体4の中に入り込むのを抑えることができる。
一方、第2アーム50は、図13に示すように、第2取付ブラケット54を介して、駆動ユニット60に支持されている。第2取付ブラケット54は、矩形状の固定壁部55と、固定壁部55の軸方向後側の端部から径方向外側に延びる支持壁部56とを有していて、略L字状に形成されている。これら固定壁部55と支持壁部56とはリブ57によって接続されている。
固定壁部55は、外面ユニット64のケーシング66に形成された調整壁部66aの貫通孔(図示せず)に螺合された調整ボルト66bと締結されている。また、固定壁部55には、図13(a)に示すように、軸方向に延びる長穴55aが形成されており、この長穴55aに挿通された2本のボルト55bがケーシング66に締結されている。これにより、固定壁部55は、外面ユニット64を介してフレーム20に対し、軸方向に相対移動することが可能になっている。つまり、長穴55aに挿通された2本のボルト55bを緩めて、固定壁部55を長穴55aに沿って移動させ、2本のボルト55bを締めた後、調整ボルト66bによって調整壁部66aとの間隔を調整することによって、第2取付ブラケット54の軸方向の位置を調整することが可能となっている。
第2アーム50は、支持壁部56に形成された貫通孔(図示せず)に挿通されたボルト56aによって支持壁部56の先端部に固定されている。このように、第2取付ブラケット54および駆動ユニット60を介してフレーム20に取り付けられることで、第2アーム50は、フレーム20に対して、軸方向に相対移動することが可能になっている。
この第2アーム50の外側面には、補強プレート50aが取り付けられている。また、第2アーム50の内側面には、第2規制部52が設けられている。
第2規制部52は、上述の如く、製管方向における先行管状体4に対する製管機1の位置を規制するものである。この第2規制部52は、第2アーム50の内側面から径方向内側に延びていて、端部帯状部材100Bの補強リブ114の内部に埋め込まれた補強部材120の製管方向後側に、当該補強部材120を覆う端部帯状部材100Bを介して当たるようになっている。このように、第2規制部52を設けることで、製管機1に製管方向後側(上流側)から水圧が作用しても、第2規制部52が補強部材120に引っ掛るので、先行管状体4から製管機1が製管方向前側に抜けるのを抑えることができる。
ここで、第1アーム40および第2アーム50のいずれか一方のみに、第1規制部43および第2規制部52を設ける構成も考えられる。確かに、このような構成でも、製管機1が段差部2a等から力を受けても第1規制部43が補強部材120に引っ掛り、また、製管機1に製管方向後側(上流側)から水圧が作用しても、第2規制部52が補強部材120に引っ掛るので、製管方向における先行管状体4に対する製管機1の位置を規制することができる。しかしながら、このように先行管状体4の周方向における同じ位置で、第1規制部43および第2規制部52によって補強部材120を前後に挟む構成では、これら第1規制部43および第2規制部52を中心として、製管機1が径方向周りに回転する場合がある(図3の円弧矢印参照)。
この点、本実施形態では、フレーム20の周方向における離れた位置に第1アーム40と第2アーム50とを配置し、これら第1アーム40および第2アーム50に第1規制部43および第2規制部52をそれぞれ設けていることから、製管方向における先行管状体4に対する製管機1の位置を規制することができるのみならず、製管機1が径方向周りに回転することも抑えることができる。このように、先行管状体4に対する製管機1の変位が規制されるので、新供給帯状部材100Aの幅方向後側の嵌合突条部111と、端部帯状部材100Bの幅方向前側の嵌合溝部112との製管方向における距離を常に一定に保って、両者を確実に嵌合させることができる。
<巻き癖形成装置>
製管機1による製管作業をスムーズに行うために、図14に示すような巻き癖形成装置94によって、帯状部材100に予め巻き癖をつけておくことが好ましい。
巻き癖形成装置94は、螺旋状に成形された鋼板製の巻き癖ガイド95と、巻き癖ガイド95の上流側に配置された第1送りローラ96と、巻き癖ガイド95の下流側に配置された第2送りローラ97と、支持フレーム98と、を備えている。
支持フレーム98は、支持ローラ98aを介してリング状の回転フレーム99を回転自在に支持しており、駆動ローラ98bおよび駆動モータ98cを介して回転フレーム99を回転駆動させるものである。第1送りローラ96および第2送りローラ97は、取付ブラケット99aを介して回転フレーム99に取り付けられている。巻き癖ガイド95は、これらの第1送りローラ96および第2送りローラ97に亘って配設されている。
巻き癖ガイド95は、更生管3の外径と略同じ曲率半径を有する略半円状に成形された螺旋板であり、連続的に供給される、補強部材120が埋め込まれた帯状部材100を略半周に亘って螺旋板の内周面に沿わせることで、帯状部材100に当該巻き癖ガイド95の曲率半径に相当する曲率半径の巻き癖をつけて螺旋状に塑性変形させるものである。
第1送りローラ96は、油圧モータ(図示せず)によって第1内面ローラ96aおよび第1外面ローラ96bを互いに逆方向に回転させ、第1内面ローラ96aと第1外面ローラ96bとの間に帯状部材100を挟み込んで、巻き癖ガイド95に向かって押し込むものである。一方、第2送りローラ97は、油圧モータ(図示せず)によって第2内面ローラ97aおよび第2外面ローラ97bを互いに逆方向に回転させ、第2内面ローラ97aと第2外面ローラ97bとの間に帯状部材100を挟み込んで巻き癖ガイド95から引き取るものである。
そうして、この巻き癖形成装置94では、駆動モータ98cを駆動すると、駆動ローラ98bが回転し、回転フレーム99が駆動ローラ98bの回転方向とは逆方向に回転する。これにより、回転フレーム99に取り付けられた巻き癖ガイド95、第1送りローラ96および第2送りローラ97も同方向に回転する。この場合、回転フレーム99を帯状部材100の供給方向とは反対方向に、かつ、供給速度と同速度で回転させることにより、先行管状体4に対する螺旋状の帯状部材100の送り出しに相対的な過不足がなくなり、補強部材120が埋め込まれた帯状部材100にねじれが発生することを防止できる。
以上のように構成された製管機1は、例えば図15に示すように、既設管2に連通するマンホールM1に配置される。また、マンホールM1の近傍にドラム93および巻き癖形成装置94が配置される。そうして、マンホールM2の近傍に設置された発電機92から電力が供給されて油圧ユニット90が駆動すると、油圧ホース91を介して圧油が供給されて駆動モータが駆動する。駆動モータが駆動すると、ピンチローラ61によって供給された帯状部材100は、空間Rを通ってフレーム20の径方向外側へ出る。フレーム20の径方向外側へ出た帯状部材100は、ガイドローラ36とガイド板37aとの間を通って嵌合位置5へと案内される。嵌合位置5へ案内された新供給帯状部材100Aの幅方向後端部が、先行管状体4の製管方向前端部に、例えば内側から押し付けられて嵌合突条部111が嵌合溝部112に嵌め合されることで、先行管状体4の製管方向前端に帯状部材100が付加形成される。このとき、ピンチローラ61にて帯状部材100を送り込んだ際の反力によって、フレーム20は先行管状体4の内周面に沿って、送り込み方向とは逆方向に回転する。すると、第1鍔付きローラ29の鍔部29aおよび第2鍔付きローラ33の鍔部33aが、先行管状体4(端部帯状部材100B)の製管方向前端に接触しながら回転する。このように、フレーム20が回転しながら、鍔部29aおよび鍔部33aが、先行管状体4の製管方向前端に付加形成された端部帯状部材100Bと接触することで、製管機1が前進する。
−変形例−
上記実施形態1では、第1アーム40と第2アーム50とを配置し、これら第1アーム40および第2アーム50に第1規制部43および第2規制部52をそれぞれ設けるようにしたが、本変形例は、第1鍔付きローラ29の鍔部29aで第1規制部43を代用することにより、第1アーム40を省略するものである。
すなわち、本変形例では、第1鍔付きローラ29の鍔部29aが先行管状体4の製管方向前端に接触しながら回転することで、製管機1が先行管状体4に嵌り込むのを抑える。そうして、第2アーム50に第2規制部52を設けることによって、製管機1が先行管状体4から製管方向前側に抜け出すのを抑えることができる。また、第1鍔付きローラ29と第2アーム50とは、フレーム20の周方向における離れた位置に配置されているので、製管機1が径方向周りに回転することも抑えることができる。このように、本変形例によれば、第1アーム40を省略することで、製管機1の構造を簡素化しつつ、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、第1鍔付きローラ29に代えて、第2鍔付きローラ33の鍔部33aと、第2アーム50の第2規制部52とを組み合わせてもよい。さらに、第1アーム40に、補強部材120の製管方向後側に当たるような規制部を設けて、第1鍔付きローラ29または第2鍔付きローラ33と組み合わせることにより、第2アーム50を省略するようにしてもよい。
(実施形態2)
上記実施形態1では、既設管2内の流水の水圧や既設管2の段差部2aといった施工条件に起因する問題に対応するために第1アーム40および第2アーム50を利用したが、本実施形態は、主として係合リブ14と補強リブ13と係合させるために、第1アーム40および第2アーム50を利用するものである。具体的には、本実施形態は、図20(c)に示すように、嵌合溝部12と嵌合突条部11とは嵌合しているが、係合リブ14と補強リブ13とが係合しない場合に対処するためのものである。以下、実施形態1と共通する部分の説明を適宜省略しながら、本実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、帯状部材10の幅方向両端部にそれぞれ形成された互いに対をなす嵌合溝部12および嵌合突条部11をメインロックとも称し、メインロックの他に帯状部材10に設けられた互いに係合する補強リブ13および係合リブ14をサブロックとも称する。
本実施形態を理解し易くするために、製管機1等の装置構成の説明に先立ち、本実施形態の基本概念について説明する。図16〜図18は、本実施形態の基本概念を模式的に説明する図である。なお、図16では、図を見易くするために、製管機1のうち、帯状部材10を供給するためのピンチローラ61、第1アーム40および第2アーム50のみを示している。また、以下の説明では、既設管2内の流水の下流側である図16の左側を製管方向前側とし、既設管2内の流水の上流側である図16の右側を製管方向後側とする。
本実施形態では、図17に示すような互いに対をなす嵌合部11,12が幅方向の両端部に連続的に形成されるとともに、補強リブ13および係合リブ14が形成された長尺の帯状部材10を螺旋状に巻回して更生管3を形成する。製管機1は、ピンチローラ61によって帯状部材10を既設管2内で図16の白抜き矢印の方向に供給しながら、先行して管状に形成された帯状部材10のうち、製管方向前端に位置する帯状部材10Bの幅方向前側(製管方向前側と一致)の嵌合部12に、新たに供給される帯状部材10Aの幅方向後側(製管方向後側と一致)の嵌合部11を内側から押し付けて、嵌合部11,12同士を嵌め合せるとともに、係合リブ14と補強リブ13とを係合させるように構成されている。
なお、「先行して管状に形成された帯状部材10」とは、少なくとも幅方向後側の嵌合部11が嵌合した帯状部材10を意味し、図16の符号4に相当する。以下、「先行して管状に形成された帯状部材10」を先行管状体4ともいう。
また、以下の説明において「第1端部帯状部材10B」とは、先行管状体4の製管方向前端に位置する帯状部材10を意味し、図16の帯状部材10の供給方向(白抜き矢印)における仮想線Aから一周して仮想線Bに至る部位に相当する。
さらに、「第2端部帯状部材10C」とは、第1端部帯状部材10Bの製管方向後側に隣接する帯状部材10を意味し、図16の帯状部材10の供給方向における仮想線Bから一周して仮想線Cに至る部位に相当する。
また、「新たに供給される帯状部材10A」とは、図16の帯状部材10の供給方向におけるピンチローラ61から仮想線Aまでの部位に相当する。以下、「新たに供給される帯状部材10A」を新供給帯状部材10Aともいう。
なお、新供給帯状部材10A、第1端部帯状部材10Bおよび第2端部帯状部材10Cは、長尺の帯状部材10の各部に対し、説明の便宜上付した名称であり、別個の部材を意味しているのではない。
さらに、「嵌合位置」とは、それまでは嵌合していなかった、新供給帯状部材10Aの製管方向後側の嵌合部11と、第1端部帯状部材10Bの製管方向前側の嵌合部12とが、嵌合し始める位置を意味し、図16の符号5に相当する。
図16に示すように、ピンチローラ61、第1アーム40および第2アーム50は、帯状部材10の供給方向にこの順で並ぶように配置されている。製管機1は、ピンチローラ61、第1アーム40および第2アーム50の相対的な位置関係を維持しつつ、図16の黒塗り矢印の方向に回転しながら前側に移動する。このとき、フレーム20の回転に伴って、第1アーム40および第2アーム50が先行管状体4と既設管2との間で公転する。
製管機1の回転および前進に伴って、螺旋状に巻回された帯状部材10からなる先行管状体4の製管方向前端部に、新供給帯状部材10Aが付加されることから、嵌合位置5は螺旋状の軌跡を描く。そうして、嵌合位置5が螺旋状の軌跡を描きながら移動すると、図16の仮想線A、仮想線Bおよび仮想線Cもそれに伴って移動する。換言すると、嵌合位置5は、第1端部帯状部材10Bおよび第2端部帯状部材10Cとの相対的な位置関係を維持しつつ、螺旋状の軌跡を描きながら移動することから、先行管状体4における第1端部帯状部材10Bおよび第2端部帯状部材10Cを構成する部位もそれに伴って変化する。具体的には、嵌合位置5の手前(ピンチローラ61側)では「新供給帯状部材10A」であったものが、嵌合位置5において嵌合部11,12が嵌合すると「第1端部帯状部材10B」になり、それと並行して、「第1端部帯状部材10B」であったものの一部が、「第2端部帯状部材10C」になる。
図17(a)〜図17(d)における、中段はピンチローラ61を図16の矢印Dの方向から見た図であり、上段は第1アーム40を図16の矢印Eの方向から見た図であり、下段は第2アーム50を図16の矢印Fの方向から見た図である。なお、17(a)〜図17(d)では、図17(a)の状態より前にピンチローラ61を通過した帯状部材10を破線で示し、図17(a)の状態以降にピンチローラ61を通過した帯状部材10を実線で示している。
また、図18は、先行管状体4および時計回りに回転する製管機1を、製管方向前側から見た模式図であり、図18(a)〜図18(d)は、図17(a)〜図17(d)にそれぞれ対応している。なお、図18(a)〜図18(d)では、仮想のスタート位置Sより前の帯状部材10を破線で示し、スタート位置S以降に供給された帯状部材10を実線で示している。また、図18(d)では、実際は第1端部帯状部材10Bと重なって見える第2端部帯状部材10Cを、第1端部帯状部材10Bの外側に描いている。
以下、図17および図18を用いて、実線で示す帯状部材10と、第1アーム40および第2アーム50との関係について説明する。
図17(a)に示すようにピンチローラ61から供給される新供給帯状部材10Aは、図18(a)に示すように嵌合位置5(スタート位置S)で嵌合部11,12が嵌合する。嵌合位置5、ピンチローラ61、第1アーム40および第2アーム50は、相対的な位置関係を維持しながら、製管方向前側から見て時計回りに(黒塗り矢印の方向に)回転する。
次いで、図18(b)に示すように、新供給帯状部材10Aは、嵌合位置5で嵌合部11,12が嵌合すると第1端部帯状部材10Bになる。嵌合位置5の近傍に設けられた第1アーム40は、あたかも嵌合位置5を追いかけるようにして、図17(b)に示すように、第1端部帯状部材10Bの径方向外側を通過する。
そうして、図18(c)に示すように、製管方向前側から見て時計回りに回った嵌合位置5がスタート位置Sに近づくと、第2アーム50が第1端部帯状部材10Bの径方向外側を通過し始める。このとき、図17(c)に示すように、第2アーム50から第1端部帯状部材10Bに向かって延びる第2規制部52が、第1端部帯状部材10Bに装着されている補強部材70の膨出部71の製管方向後側に当たる。
この第2規制部52は、第2アーム50が第1端部帯状部材10Bの径方向外側を回っている間、常に膨出部71に当たり続ける。それ故、例えば製管機1に製管方向後側から水圧が作用しても、第2規制部52が補強部材70に引っ掛るので、製管機1が先行管状体4から製管方向前側に抜け出すのが抑えられる。また、第2規制部52が第1端部帯状部材10Bの補強部材70に当たることで、先行管状体4に対する製管機1の位置が規制される。それ故、第2アーム50が第1端部帯状部材10Bの径方向外側を回っている間に供給される新供給帯状部材10Aの製管方向後側の端部と、当該第1端部帯状部材10Bの製管方向前側の端部との製管方向における距離は常に一定となる。
次いで、図18(d)に示すように、製管方向前側から見て時計回りに回った嵌合位置5がスタート位置Sを越えると、新供給帯状部材10Aであったものが第1端部帯状部材10Bになるのと並行して、第1端部帯状部材10Bであったものの一部が第2端部帯状部材10Cになる。そうして、図18(d)においても、第2アーム50が第1端部帯状部材10Bの外側を回っているで、新供給帯状部材10Aの製管方向後側の端部と、第1端部帯状部材10Bの製管方向前側の端部との製管方向における距離は一定となる。それ故、嵌合位置5において嵌合部11,12が確実に嵌合する。
そうして、嵌合位置5においてメインロックが嵌合すると同時(またはその直後)に、図17(d)に示すように、第1アーム40が新たな第1端部帯状部材10Bの外側を通過する。このとき、第1アーム40から第1端部帯状部材10Bに向かって斜めに延びる第1ガイド部41が、第2端部帯状部材10Cの係合リブ14に当接し、当該係合リブ14を第1端部帯状部材10Bの補強リブ13に嵌める(押し付ける)。それ故、第1端部帯状部材10Bの補強リブ13および第2端部帯状部材10Cの係合リブ14を係合させることができる。
ここで、第2端部帯状部材10Cの係合リブ14を、第1端部帯状部材10Bの補強リブ13の方へ押し付けると、第2端部帯状部材10Cが製管方向前側(図17(d)の左側)に移動しようとする。嵌合位置5の近傍で第2端部帯状部材10Cが製管方向前側に移動しようとすると、嵌合位置5の手前では、直後に第2端部帯状部材10Cになる第1端部帯状部材10Bが製管方向前側に移動しようとする。すると、第1端部帯状部材10Bの製管方向前側の端部と、新供給帯状部材10Aの製管方向後側の端部との製管方向における距離が一定せず、メインロックが嵌合し難くなる。
もっとも、本実施形態では、図17(d)に示すように、第1アーム40から第1端部帯状部材10Bに向かって延びる第1規制部43が、第1端部帯状部材10Bに装着された補強部材70の膨出部71の製管方向前側に当たっているので、補強部材70および第1端部帯状部材10Bを介して、嵌合位置5近傍における第2端部帯状部材10Cの製管方向前側への移動が抑えられる。それ故、嵌合位置5の手前では、直後に第2端部帯状部材10Cとなる第1端部帯状部材10Bの移動が抑えられる。したがって、第1端部帯状部材10Bの製管方向前側の端部と、新供給帯状部材10Aの製管方向後側の端部との製管方向における距離が一定となるので、メインロックを円滑に嵌合させることができる。
以上のように、第1ガイド部41と第1規制部43とを有する第1アーム40と、第2規制部52を有する第2アーム50と、を備える製管機1によって、サブロックを係合させ且つメインロックを嵌合させることが本実施形態の基本概念である。なお、製管機1に上流側から水圧が作用しない場合や水圧が小さい場合には、第1ガイド部41と第1規制部43とを有する第1アーム40を備える製管機1によっても、メインロックを嵌合させ且つサブロックを係合させることが可能である。以下、このような基本概念を実施できる具体的な構成について説明する。
−帯状部材−
先ず、本実施形態の製管機1によって製管される帯状部材10について説明する。
帯状部材10は、硬質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂材により長尺状に成形される。帯状部材10は、図19(a)に示すように、帯板状の基板16と、基板16の幅方向両端部にそれぞれ形成された互いに対をなす嵌合部11,12と、補強リブ13,15と、係合リブ14とを有している。なお、符号17は、基板16に貼着されている、例えばゴム、エラストマー等の弾性材料で形成されたシールを示している。
嵌合部としての嵌合突条部11は、基板16の幅方向後側(製管方向後側と一致)の端部における、一面(製管時の外側面)に帯状部材10の全長に亘って突設されている。嵌合突条部11の先端部11aは、断面略円形に膨らんでいるとともに、段差面11bが形成されている。基板16の幅方向前側(製管方向前側と一致)の端部には、基板16の厚み分の段部16aが形成されている。嵌合突条部11と対をなす嵌合部としての嵌合溝部12は、段部16aを介して盛り上がった基板16の幅方向前側の端部に帯状部材10の全長に亘って形成されている。嵌合溝部12は、他面側(製管時の内側)に開口していて、入口が窄んでいる。嵌合溝部12には、嵌合突条部11の段差面11bに対応する段差面12aが形成されている。
補強リブ13は、帯状部材10の剛性を高めるためのものであり、基板16の一面における幅方向後側寄りに帯状部材10の全長に亘って突設されている。補強リブ13は、先端部にフランジ13aを有していて、断面T字状に形成されている。また、補強リブ15は、嵌合溝部12に対応して一面側に膨らんだ部位に帯状部材10の全長に亘って突設されていて、先端部にフランジ15aを有する断面T字状に形成されている。係合リブ14は、帯状部材10の全長に亘って形成されており、幅方向前側の端部から幅方向前側に向かうほど一面側(製管時の外側)に傾斜して延びている。
この帯状部材10には、補強リブ13と補強リブ15との間に、金属製の補強部材70が帯状部材10の全長に亘って装着されている。この補強部材70は、帯板状の鋼板を折り曲げたものであり、中央部に一面側(製管時の外側)に膨らむ断面C字状の膨出部71が形成されているとともに、両端部に傾斜部72が形成されている。補強部材70は、補強リブ13と補強リブ15との間に嵌め込まれ、左右の傾斜部72の先端がフランジ13a,15aにそれぞれ係止されている。このように、補強部材70を装着することで、製管された帯状部材10は高剛性の自立管となる。
このように形成された帯状部材10は、製管過程で螺旋状に巻回され、図20(a)に示すように、第1端部帯状部材10Bと新供給帯状部材10Aとが互いに隣接する。そして、第1端部帯状部材10Bの嵌合溝部12に対し、新供給帯状部材10Aの嵌合突条部11が内面側(先行管状体4の内周側)から嵌め込まれる。嵌合突条部11は、一旦嵌合溝部12に嵌め込まれると、段差面11bと段差面12aとが噛み合うことから容易に抜けないようになっている。また、第1端部帯状部材10Bの係合リブ14は、新供給帯状部材10Aの補強リブ13のフランジ13aに引っ掛って補強リブ13と係合するようになっている。これにより、図20(b)に示すように、新供給帯状部材10Aが新たな第1端部帯状部材10Bとなる。
なお、本実施形態の製管機1に適用される帯状部材10は、嵌合部11,12と、補強リブ13と、係合リブ14とを有していて、補強部材70が装着されているのであれば、図19(a)に示す帯状部材10以外のものでもよい。
例えば、図19(b)に示すような、3つの補強リブ13を有し、逆V字状の膨出部71が形成された断面W字状の補強部材70が装着された帯状部材10を用いてもよい。また、例えば、図19(c)に示すような、2つの補強リブ13を有し、逆U字状の膨出部71が形成された断面略W字状の補強部材70が装着された帯状部材10を用いてもよい。
なお、図19(a)〜図19(c)に例示する補強部材70は、いずれも膨出部71を有しているが、本実施形態の製管機1に適用される帯状部材10に装着される補強部材70は、膨出部71を有しているものに限定されない。また、補強部材70は、帯状部材10に装着するのではなく、帯状部材10に埋め込むようにしてもよい。
−製管機の全体構造−
フレーム20および第1〜第3位置規制用車輪80A,80B,80Cについては、上記実施形態と共通故、以下では駆動ユニット60並びに第1アーム40および第2アーム50について説明する。
<駆動ユニット>
図21に示す駆動ユニット60は、大径部62bの形状を除けば、図11に示した駆動ユニット60とほぼ共通なので、以下異なる点を中心に説明する。
外面ローラ62は、2つの大径部62bと、第1小径部62cと、第2小径部62dと、を有している。2つの大径部62bは、帯状部材10に装着された補強部材70の膨出部71を挟むように形成されている。また、第1小径部62cは、大径部62bとの間に帯状部材10の補強リブ13を挟むように形成されている。第2小径部62dは、大径部62bとの間に帯状部材10の補強リブ15を挟み、且つ、補強リブ15と係合リブ14との間に位置するように形成されている。これにより、外面ローラ62は、帯状部材10の外側面(補強リブ13の突設された面)に接触しながら滑ることなく回転するようになっている。一方、内面ローラ63は、合成樹脂製又は金属製の円筒体からなり、その軸方向の長さが帯状部材10の幅よりも長くなるように形成されている。内面ローラ63は、帯状部材10の内側面に接触しながら回転する。
<第1および第2アーム>
第1アーム40および第2アーム50は、金属製であり、フラットな板状をなしていて、図24および図25に示すように、第1端部帯状部材10Bの外周面に近接し且つ当該外周面の接線方向と平行に(当該外周面に対向するように)設置されている。
第1アーム40および第2アーム50は、図16に示すように、嵌合位置5、第1アーム40および第2アーム50が帯状部材10の供給方向にこの順で並び、且つ、第1アーム40が嵌合位置5の近傍に配置されるとともに、第1アーム40と第2アーム50とが周方向における離れた位置に配置されるように、それぞれフレーム20に支持されている。
第1アーム40は、図22に示すように、固定部材47、第1取付ブラケット44およびスライド部材49を介して、第2連結用リンク体30のリンクフレーム31に連結されたリンク体22に支持されている。なお、固定部材47、第1取付ブラケット44およびスライド部材49は、上記実施形態1と同じ構成なので説明を省略する。
第1アーム40は、既設管2と先行管状体4との隙間よりも薄く形成されていることから、第1端部帯状部材10Bの外周面と既設管2の内周面との間隔が狭くても、第1および第2位置規制用車輪80A,80Bによって既設管2と先行管状体4との離間距離を調整することで、図13に示すように、第1端部帯状部材10Bの外側で公転することが可能になっている。
この第1アーム40の外側面には、補強プレート40aが取り付けられている。また、第1アーム40の内側面には、第1ガイド部41、第3規制部42および第1規制部43が、軸方向後側から前側に向かってこの順で並ぶように設けられている。
第1ガイド部41は、上述の如く、第2端部帯状部材10Cの係合リブ14を、第1端部帯状部材10Bの補強リブ13に嵌めるためのものである。この第1ガイド部41は、軸方向から見て円弧状に形成されていて、円弧状の先端部が第2端部帯状部材10Cの係合リブ14に製管方向後側から当接するように、第1アーム40の先端部から、径方向内側に向かうほど軸方向前側に傾斜して延びている。係合リブ14が製管方向前側に向かうほど径方向外側に傾斜しているのに対し、第1ガイド部41は製管方向前側に向かうほど径方向内側に傾斜して延びていることから、換言すると、両者は交差するように延びていることから、第1ガイド部41を係合リブ14に確実に当接させることができる。また、第1ガイド部41は製管方向前側に向かうほど径方向内側に傾斜して延びていることから、第2端部帯状部材10Cの係合リブ14を第1端部帯状部材10Bの補強リブ13に向けて倒すことができるので、サブロックが係合し易くなる。
そうして、第1アーム40は嵌合位置5の近傍に配置されているので、新供給帯状部材10Aの嵌合突条部11が、嵌合位置5において第1端部帯状部材10Bの嵌合溝部12と嵌合した直後に、第1ガイド部41が係合リブ14に当接して、係合リブ14を補強リブ13に嵌める。これにより、メインロックが嵌合した直後にサブロックを確実に係合させることができる。
第3規制部42は、第1ガイド部41で係合リブ14を補強リブ13へ嵌める場合に、補強リブ13が製管方向前側に倒れるのを抑えるものである。この第3規制部42は、第1アーム40の内側面から径方向内側に延びていて、補強リブ13の製管方向前側に当たるようになっている。このように、第3規制部42を設けることで、第1ガイド部41の先端部が係合リブ14に当たった際に、係合リブ14を介して補強リブ13が押されても、補強リブ13が製管方向前側に倒れる(逃げる)のを抑えて、サブロックを確実に係合させることができる。
第1規制部43は、上記実施形態1で説明した機能に加えて、本実施形態では、第1ガイド部41で係合リブ14を補強リブ13へ嵌める際に、第2端部帯状部材10Cの移動を抑える機能も有する。この第1規制部43は、第1アーム40の内側面から径方向内側に延びていて、第1端部帯状部材10Bに装着された補強部材70の膨出部71の製管方向前側に当たるようになっている。このように、第1規制部43を設けることで、補強部材70および第1端部帯状部材10Bを介して第2端部帯状部材10Cの製管方向前側への移動が抑えられ、それに伴って、嵌合位置5の手前での第1端部帯状部材10Bの製管方向前側への移動が抑えられる。したがって、第1端部帯状部材10Bの製管方向前側の端部と、新供給帯状部材10Aの製管方向後側の端部との製管方向における距離が一定となるので、メインロックを円滑に嵌合させることができる。
一方、第2アーム50は、図23に示すように、第2取付ブラケット54を介して、駆動ユニット60に支持されている。なお、第2取付ブラケット54は、上記実施形態1と同じ構成なので説明を省略する。
第2アーム50は、既設管2と先行管状体4との隙間よりも薄く形成されていることから、先行管状体4の外周面と既設管2の内周面との間隔が狭くても、第2および第3位置規制用車輪80B,80Cによって既設管2と先行管状体4との離間距離を調整することで、図14に示すように、第1端部帯状部材10Bの外側で公転することが可能になっている。
この第2アーム50の外側面には、補強プレート50aが取り付けられている。また、第2アーム50の内側面には、第2ガイド部51、第2規制部52および第4規制部53が、軸方向後側から前側に向かってこの順で並ぶように設けられている。
第2ガイド部51は、第1ガイド部41と同様に、第2端部帯状部材10Cの係合リブ14を、第1端部帯状部材10Bの補強リブ13に嵌めるためのものである。この第2ガイド部51は、第1ガイド部41と同様に、先端部が第2端部帯状部材10Cの係合リブ14に製管方向後側から当接するように、第2アーム50の先端部から、径方向内側に向かうほど軸方向前側に傾斜して延びている。もっとも、この第2ガイド部51は、第1ガイド部41によるサブロックの係合が不完全である場合に、係合リブ14を補強リブ13に嵌めるためのものなので、第1ガイド部41とは異なる形状に形成されている。具体的には、第2ガイド部51は、第2端部帯状部材10Cの係合リブ14および第1端部帯状部材10Bの補強リブ13と当たる部分が、サブロックが係合した状態における係合リブ14および補強リブ13の外形に沿うような形状に形成されている。より詳しくは、第2ガイド部51の先端部には、係合リブ14の傾斜面と平行な当接面51aが形成されているとともに、補強リブ13のフランジ13aが嵌るような窪み51bが形成されている。これにより、万が一第1ガイド部41によるサブロックの係合が不完全である場合でも、第2ガイド部51によってサブロックを確実に係合させることができる。
第2規制部52は、上述の如く、先行管状体4に対する製管機1の製管方向の位置を規制するものである。この第2規制部52は、第2アーム50の内側面から径方向内側に延びていて、第1端部帯状部材10Bに装着された補強部材70の膨出部71の製管方向後側に当たるようになっている。このように、第2規制部52を設けることで、製管機1に製管方向後側から水圧が作用しても、第2規制部52が補強部材70に引っ掛るので、先行管状体4から製管機1が前側に抜けるのが抑えられる。また、第2規制部52が第1端部帯状部材10Bの補強部材70に当たることで、先行管状体4に対する製管機1の位置が規制されるので、新供給帯状部材10Aの製管方向後側の端部と、第1端部帯状部材10Bの製管方向前側の端部との距離を一定に保って、メインロックを確実に嵌合させることができる。
第4規制部53は、第2アーム50の内側面から径方向内側に延びていて、第1端部帯状部材10Bの補強リブ15と、第1端部帯状部材10Bに装着された補強部材70の膨出部71との間に位置するようになっている。なお、本実施形態では、第1規制部43が第1端部帯状部材10Bに装着された補強部材70の膨出部71の製管方向前側に当たることと、第1および第2鍔付きローラ29,33の鍔部29a,33aが先行管状体4の製管方向前端に接触しながら回転することで、製管機1が先行管状体4に嵌り込む(製管方向後側に移動する)のを抑えている。このため、第4規制部53は、万が一第1規制部43、第1および第2鍔付きローラ29,33が機能しなくなった場合に、第1端部帯状部材10Bに装着された補強部材70の膨出部71の製管方向前側に当接して、製管機1が先行管状体4に嵌り込むのを抑える役目を果たす。
図26(a)〜図26(d)は、上記図17(a)〜図17(d)に対応する図であり、図26(a)の状態より前にピンチローラ61を通過した帯状部材10を破線で示し、図26(a)の状態以降にピンチローラ61を通過した帯状部材10を実線で示している。以下、図26を用いて、図17と異なる点を中心に、実線で示す帯状部材10と、第1アーム40および第2アーム50との関係について説明する。
図26(a)に示すようにピンチローラ61から新供給帯状部材10Aが供給されると、当該新供給帯状部材10Aは、嵌合位置5で嵌合突条部11が嵌合溝部12に嵌合することで、新たな第1端部帯状部材10Bになる。その直後、図26(b)に示すように、嵌合位置5の近傍に設けられた第1アーム40が、第1端部帯状部材10Bの径方向外側を通過する。
その後、図26(c)に示すように第2アーム50が第1端部帯状部材10Bの径方向外側を通過し始める。このとき、第2規制部52が、第1端部帯状部材10Bに装着されている補強部材70の膨出部71の製管方向後側に当たる。この第2規制部52は、第2アーム50が第1端部帯状部材10Bの径方向外側を回っている間、常に補強部材70に当たり続ける。それ故、製管方向における先行管状体4に対する製管機1の位置が規制されて、新供給帯状部材10Aの製管方向後側の端部と、当該第1端部帯状部材10Bの製管方向前側の端部との製管方向における距離は一定となる。よって、メインロックを確実に係合させることができる。
また、第1および第2鍔付きローラ29,33の鍔部29a,33aが第1端部帯状部材10Bの製管方向前端に当たっているので、第1端部帯状部材10Bは、鍔部29a,33aと第2規制部52とによって軸方向に挟まれた状態となる。よって、水圧等によって製管機1が先行管状体4から製管方向前側に抜け出したり、製管機1が先行管状体4に嵌り込んだりするのが抑えられる。さらに、第1および第2鍔付きローラ29,33と第2アーム50とは、フレーム20の周方向における離れた位置に配置されているので、製管機1が径方向周りに回転することも抑えることができる。
次いで、図26(d)に示すように、第1アーム40が新たな第1端部帯状部材10Bの径方向外側を通過する。このとき、第1ガイド部41が第2端部帯状部材10Cの係合リブ14に当接するとともに、第3規制部42が補強リブ13の製管方向前側に当たる。これにより、補強リブ13の製管方向前側への倒れが抑えられた状態で、係合リブ14が補強リブ13に嵌められる。それ故、サブロックを係合させることができる。
また、第1規制部43が、第1端部帯状部材10Bに装着された補強部材70の膨出部71の製管方向前側に接触しているので、直後に第2端部帯状部材10Cとなる第1端部帯状部材10Bの移動が抑えられる。したがって、第1端部帯状部材10Bの製管方向前側の端部と、新供給帯状部材10Aの製管方向後側の端部との製管方向における距離が一定に保たれるので、メインロックを円滑に嵌合させることができる。
さらに、図26(d)に示す状態の後、第2アーム50が第1端部帯状部材10Bの径方向外側を通過すると、第2ガイド部51が、第1ガイド部41によるサブロックの係合が不完全である場合に、係合リブ14を補強リブ13に嵌める。
以上の動作が繰り返されることで、メインロックを嵌合させるとともにサブロックを係合させつつ、先行管状体4の製管方向前端に、新供給帯状部材10Aを付加しながら既設管2内に更生管3を形成することができる。
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
上記各実施形態では、第1アーム40および第2アーム50として、フラットなプレートを用いたが、これに限らず、例えば、先行管状体4の外周面に沿うように湾曲したプレートを用いてもよい。また、第1規制部43等を支持できるのであれば、プレートに限らず、例えば、円柱状や角柱状のアームとしてもよい。さらに、補強部材120等の剛性が低い場合には、第1アーム40および第2アーム50の厚さが既設管2と先行管状体4との隙間よりも厚くてもよいし、既設管2と先行管状体4との隙間がほぼゼロでもよい。
また、上記各実施形態では、ピンチローラ61、第1アーム40および第2アーム50が、帯状部材10,100の供給方向にこの順で並ぶように配置したが、これに限らず、第1アーム40と第2アーム50との順番が逆になるように配置してもよい。
さらに、上記各実施形態では、本体として略環状のフレーム20を用いたが、これに限らず、例えば十字状の架台でリンクローラ21を回転自在に支持する構造を採用してもよいし、リンクローラ21を有しない本体を採用してもよい。
また、上記各実施形態では、巻き癖形成装置94を併用したが、必ずしも巻き癖形成装置94を併用する必要はない。
さらに、上記実施形態1では、第1規制部43を補強部材120の製管方向前側に当てるとともに第2規制部52を補強部材120の製管方向後側に当てるようにしたが、これとは逆に、第1規制部43を補強部材120の製管方向後側に当てるとともに第2規制部52を補強部材120の製管方向前側に当てるようにしてもよい。
また、上記実施形態1では、第1規制部43および第2規制部52を、端部帯状部材100Bの補強部材120に当てるようにしたが、これに限らず、先行管状体4を構成する帯状部材100であれば、どの帯状部材100の補強部材120に第1規制部43および第2規制部52を当ててもよい。
さらに、上記実施形態2では、第1アーム40を嵌合位置5の近傍に配置し、メインロックが嵌合すると同時(またはその直後)に、第1ガイド部41によって係合リブ14を補強リブ13に嵌めるようにしたが、第2端部帯状部材10Cの係合リブ14を第1端部帯状部材10Bの補強リブ13に嵌められるのであれば、これに限らず、第1アーム40は、略環状のフレーム20における、どの位置に配置してもよい。
また、上記実施形態2では、第4規制部53を補助的に設置したが、これに限らず、例えば、第4規制部53を、第1端部帯状部材10Bに装着された補強部材70の膨出部71の製管方向前側に当てて、第2規制部52と共に膨出部71を製管方向に挟むことで、先行管状体4に対する製管機1の位置を規制するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態2では、膨出部71に第1規制部43や第2規制部52を当てるようにしたが、これに限らず、例えば、第1端部帯状部材10Bの補強リブ13,15や補強部材70の傾斜部72に、第1規制部43や第2規制部52等を当てるようにしてもよい。
また、上記実施形態2では、第2ガイド部51を、サブロックが係合した状態における第2端部帯状部材10Cの係合リブ14および第1端部帯状部材10Bの補強リブ13の外形に沿うような形状に形成したが、これに限らず、第1ガイド部41と同じ形状に形成してもよいし、他の形状に形成してもよい。例えば、図22(b)に示す第1ガイド部41の先端部が丸みを帯びていたのに対し、係合リブ14により深く当接させるべく、図27(a)に示すように、係合リブ14に当たる部分に角部が(横断面直角に)形成された第2ガイド部58を採用してもよい。
さらに、例えば、図27(b)に示すように、第2アーム50の軸方向後側の端部に、ベアリング59aを介して円盤状の第2ガイド部59を回転自在に取り付けるようにしてもよい。このようにすれば、第2アーム50に対して相対回転する第2ガイド部59が、回転しながら係合リブ14に当接して、係合リブ14を補強リブ13に嵌めるので、外面ローラを用いた場合と同様に、サブロックを確実に係合させることができる。なお、図27(b)に示すように、第2ガイド部59はその中心部が第2アーム50の径方向内側寄りに取り付けられているとともに傾いているので、第2アーム50よりも径方向外側に突出しないようになっている。したがって、先行管状体4の外周面と既設管2の内周面との間隔が狭くても、第2アーム50を先行管状体4と既設管2との間で公転させることができる。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。この出願は、日本特許出願の特願2014−116214号に基づく優先権を請求する。これに言及することにより、その全ての内容は本出願に組み込まれるものである。
本発明によると、施工条件や帯状部材の形状等に応じて、施工途中の更生管の外周部を利用する手段または施工途中の更生管の外周部に作用する手段をアームに設けることにより、更生管を確実に製管することができるので、帯状部材を用いた更生管を製管する製管機に適用して極めて有益である。
1 製管機
2 既設管
3 更生管
4 先行管状体
5 嵌合位置
10 帯状部材
10A 新供給帯状部材
10B 第1端部帯状部材
10C 第2端部帯状部材
11 嵌合突条部(嵌合部)
12 嵌合溝部(嵌合部)
13 補強リブ
14 係合リブ
20 フレーム(本体)
29 第1鍔付きローラ
29a 鍔部
33 第2鍔付きローラ
33a 鍔部
40 第1アーム
41 第1ガイド部
42 第3規制部
43 第1規制部
50 第2アーム
51 第2ガイド部
52 第2規制部
53 第4規制部
58 第2ガイド部
59 第2ガイド部
70 補強部材
100 帯状部材
100A 新供給帯状部材
100B 端部帯状部材
111 嵌合突条部(嵌合部)
112 嵌合溝部(嵌合部)
120 補強部材

Claims (10)

  1. 既設管内に更生管を形成する製管機であって、
    上記更生管は、嵌合部が幅方向の両端部に連続的に形成された長尺の帯状部材を既設管内で供給しながら、先行して管状に形成された帯状部材からなる管状体の製管方向前端に位置する帯状部材の幅方向前側の嵌合部に、新たに供給される帯状部材の幅方向後側の嵌合部を嵌め合せることにより形成され、
    上記帯状部材は、外側面に長尺の補強部材が装着されたもの、または、長尺の補強部材が内部に埋め込まれたものであり、
    上記管状体の製管方向前端部で回転しながら、帯状部材の付加に伴って製管方向前側へ移動する本体と、
    上記管状体の周方向における離れた位置で上記本体にそれぞれ支持され、上記既設管と上記管状体との間で製管方向後側にそれぞれ延びる第1および第2アームと、を備え、
    上記第1アームは、上記管状体を構成する帯状部材に備えられた上記補強部材の製管方向前側または後側に、直接または当該帯状部材を介して当たる第1規制部を有し、
    上記第2アームは、上記管状体を構成する帯状部材に備えられた上記補強部材の、上記第1規制部が当たる側とは反対側に、直接または当該帯状部材を介して当たる第2規制部を有していることを特徴とする製管機。
  2. 既設管内に更生管を形成する製管機であって、
    上記更生管は、嵌合部が幅方向の両端部に連続的に形成された長尺の帯状部材を既設管内で供給しながら、先行して管状に形成された帯状部材からなる管状体の製管方向前端に位置する帯状部材の幅方向前側の嵌合部に、新たに供給される帯状部材の幅方向後側の嵌合部を嵌め合せることにより形成され、
    上記帯状部材は、外側面に長尺の補強部材が装着されたもの、または、長尺の補強部材が内部に埋め込まれたものであり、
    上記管状体の製管方向前端部で回転しながら、帯状部材の付加に伴って製管方向前側へ移動する本体と、
    上記本体に支持され、上記既設管と上記管状体との間で製管方向後側に延びるアームと、
    上記管状体の周方向における上記アームとは離れた位置で上記本体に回転自在に支持され、上記管状体の製管方向前端に当たる鍔部を有するローラと、を備え、
    上記アームは、上記管状体を構成する帯状部材に備えられた上記補強部材の製管方向後側に、直接または当該帯状部材を介して当たる規制部を有していることを特徴とする製管機。
  3. 既設管内に更生管を形成する製管機であって、
    上記更生管は、嵌合部が幅方向の両端部に連続的に形成された長尺の帯状部材を既設管内で供給しながら、先行して管状に形成された帯状部材からなる管状体の製管方向前端に位置する第1端部帯状部材の幅方向前側の嵌合部に、新たに供給される帯状部材の幅方向後側の嵌合部を嵌め合せることにより形成され、
    上記帯状部材は、外側面に突設された補強リブと、幅方向前側の端部から前側に延びる係合リブと、を備え、且つ、外側面に長尺の補強部材が装着されたもの、または、長尺の補強部材が内部に埋め込まれたものであり、
    上記管状体の製管方向前端部で回転しながら、帯状部材の付加に伴って製管方向前側へ移動する本体と、
    上記本体に支持され、上記既設管と上記管状体との間で製管方向後側に延びる第1アームと、を備え、
    上記第1アームは、上記第1端部帯状部材の製管方向後側に隣接する第2端部帯状部材の係合リブに当接して、当該係合リブを当該第1端部帯状部材の補強リブへ係合させるための第1ガイド部と、上記第1端部帯状部材に備えられた上記補強部材の製管方向前側に、直接または当該第1端部帯状部材を介して当たる第1規制部と、を有していることを特徴とする製管機。
  4. 上記請求項3に記載の製管機において、
    上記係合リブは、上記帯状部材の幅方向前側の端部から前側に向かうほど外側に傾斜して延びており、
    上記第1ガイド部は、先端部が上記第2端部帯状部材の係合リブに製管方向後側から当たるように、上記第1アームの製管方向後側の端部から、製管方向前側に向かうほど内側に傾斜して延びていることを特徴とする製管機。
  5. 上記請求項3または4に記載の製管機において、
    上記第1アームは、上記第1端部帯状部材の上記補強リブの製管方向前側に当たる第3規制部をさらに有していることを特徴とする製管機。
  6. 上記請求項3〜5のいずれか1つに記載の製管機において、
    上記管状体の周方向における上記第1アームから離れた位置で上記本体に支持され、且つ、上記既設管と上記管状体との間で製管方向後側に延びる第2アームをさらに備え、
    上記第2アームは、上記第1端部帯状部材に備えられた上記補強部材の製管方向後側に、直接または当該第1端部帯状部材を介して当たる第2規制部を有していることを特徴とする製管機。
  7. 上記請求項6に記載の製管機において、
    上記第2アームは、上記第1端部帯状部材に備えられた補強部材を、上記第2規制部と共に製管方向に挟むように、当該補強部材の製管方向前側に直接または当該第1端部帯状部材を介して当たる第4規制部をさらに有していることを特徴とする製管機。
  8. 上記請求項6に記載の製管機において、
    上記本体に回転自在に支持され、上記管状体の製管方向前端に当たる鍔部を有するローラをさらに備えていることを特徴とする製管機。
  9. 上記請求項6〜8のいずれか1つに記載の製管機において、
    上記第2アームは、上記第2端部帯状部材の係合リブに当接して、当該係合リブを上記第1端部帯状部材の補強リブへ係合させるための第2ガイド部をさらに有していることを特徴とする製管機。
  10. 上記請求項9に記載の製管機において、
    上記第2ガイド部は、先端部が上記第2端部帯状部材の係合リブに製管方向後側から当たるように、上記第2アームの製管方向後側の端部から、製管方向前側に向かうほど内側に傾斜して延びているとともに、上記第1ガイド部とは異なる形状に形成されていることを特徴とする製管機。
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