JP6238703B2 - 真直度校正方法及びその装置 - Google Patents
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測定機は、固定部に対し所定の軸方向に移動する移動部と、移動部に設けられ、ワーク上の位置情報を検出する検出手段とを備える。
そして、測定機は、ワークと検出手段との相対位置を所定の軸方向に沿って移動しながら、検出手段によりワーク上の位置情報を検出している。得られたワーク上の位置情報に基づいて、ワークの寸法や形状等を求めている。
例えば移動部がX軸上に沿って移動するとき、移動部の位置がX軸上よりY軸方向に変位してしまうY軸方向真直度や、移動部の位置がX軸上よりZ軸方向に変位してしまうZ軸方向真直度がある。このため、検出手段により得られた位置情報には、移動部のX軸移動のY軸方向真直度成分ないしZ軸方向真直度成分が含まれることがある。
したがって、移動部を備えた測定機では、測定機の劣化に起因する測定の不確かさをできるだけ小さくするため、測定機を定期的に検査し、精度を維持することが非常に重要である。
このため、移動部の移動によりワークの形状や寸法等の精密測定を行う分野では、移動部の移動の真直度に起因する測定誤差を、より適切に校正することのできる技術の開発が強く望まれていたが、従来は、これを解決することのできる適切な技術が存在しなかった。
前記目的を達成するために本発明にかかる真直度校正方法は、固定部に対し所定の移動軸方向に直線移動する移動部と、該移動部に設けられ、該固定部に対する該移動部の移動軸方向と直交する検出軸方向の位置情報を検出する検出手段と、を備えた測定機に用いられ、該移動部の移動の真直度に起因する測定誤差を補正する真直度校正方法において、
反転前測定工程と、反転工程と、反転後測定工程と、基準器情報取得工程と、測定機情報取得工程と、ワーク情報取得工程と、を備えることを特徴とする。
ここで、前記反転前測定工程は、真直度の基準となる基準器の真直面方向が前記移動軸方向と一致するように前記固定部に該基準器をセットした後に、該移動部を該移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により該基準器真直面を測定して得られた検出軸方向位置情報を、反転前位置情報として得る。
また、前記反転工程は、前記反転前測定工程後、前記基準器の真直面が前記移動軸を中心に180度反転した状態となるように、該基準器を前記固定部に再セットする。
前記反転後測定工程は、前記反転工程後、前記移動部を移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により前記基準器真直面を測定して得られた検出軸方向位置情報を、反転後位置情報として得る。
前記基準器情報取得工程は、前記反転前測定工程により得られた反転前位置情報及び前記反転後測定工程により得られた反転後位置情報に基づき、前記移動軸方向の各位置毎に、前記基準器真直面上の検出軸方向位置情報を得る。
前記測定機情報取得工程は、前記移動部を前記移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により前記基準器真直面を測定して得られた検出軸方向位置情報と、前記基準器情報取得工程により得られた前記基準器真直面上の検出軸方向位置情報とを比較し、該移動軸方向の各位置毎に該移動部の検出軸方向位置情報を得る。
前記ワーク情報取得工程は、前記固定部にワークをセットした後に、前記移動部を前記移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段によりワークを測定して得られた検出軸方向位置情報を、前記測定機情報取得工程により得られた前記移動部の検出軸方向位置情報に基づき補正し、該移動軸方向の各位置毎に、前記移動部の移動の真直度成分が除去されたワーク上の検出軸方向位置情報を得る。
なお、本発明においては、前記基準器情報取得工程が、前記移動軸方向の各位置毎に、前記反転前測定工程により得られた反転前位置情報と前記反転後測定工程により得られた反転後位置情報とを引き算して2で割り算することにより、前記移動軸方向の各位置毎に前記基準器真直面上の検出軸方向位置情報を得ることが好適である。
また、本発明においては、前記測定機情報取得工程が、前記移動軸方向の各位置毎に、前記反転前位置情報又は反転後位置情報と、前記基準器情報取得工程により得られた前記基準器真直面上の検出軸方向位置情報とを足し算して2で割り算することにより、前記移動軸方向の各位置毎に前記移動部の検出軸方向位置情報を得ることが好適である。
あるいは、本発明においては、前記測定機情報取得工程が、前記移動軸方向の各位置毎に、前記反転前位置情報又は反転後位置情報と、前記基準器情報取得工程により得られた前記基準器真直面上の検出軸方向位置情報とを足し算または引き算することにより、前記移動軸方向の各位置毎に前記移動部の検出軸方向位置情報を得ることが好適である。
また、前記目的を達成するために本発明にかかる真直度校正装置は、固定部に対し所定の移動軸方向に直線移動する移動部と、該移動部に設けられ、該固定部に対する該移動部の移動軸方向と直交する検出軸方向の位置情報を検出する検出手段と、を備えた測定機に用いられ、該移動部の移動の真直度に起因する測定誤差を補正する真直度校正装置において、
反転前位置情報取得手段と、反転後位置情報取得手段と、基準器情報取得手段と、測定機情報取得手段と、ワーク情報取得手段と、を備えることを特徴とする。
ここで、前記反転前位置情報取得手段は、真直度の基準となる真直面方向が前記移動軸方向と一致するように前記固定部にセットされた基準器に対し、前記移動部を該移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により該基準器真直面を測定して得られた検出軸方向位置情報を、反転前位置情報として得る。
また、前記反転後位置情報取得手段は、前記基準器の真直面が前記移動軸を中心に180度反転した状態となるように前記固定部に再セットされた該基準器に対し、前記移動部を移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により前記基準器真直面を測定して得られた検出軸方向位置情報を、反転後位置情報として得る。
前記基準器情報取得手段は、前記反転前位置情報取得手段により得られた反転前位置情報及び前記反転後位置情報取得手段により得られた反転後位置情報に基づき、前記移動軸方向の各位置毎に、前記基準器真直面上の検出軸方向位置情報を得る。
前記測定機情報取得手段は、前記移動部を前記移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により前記基準器真直面を測定して得られた検出軸方向位置情報と、前記基準器情報取得手段により得られた前記基準器真直面上の検出軸方向位置情報とを比較し、該移動軸方向の各位置毎に該移動部の検出軸方向位置情報を得る。
前記ワーク情報取得手段は、前記固定部にセットされたワークに対し前記移動部を前記移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に前記検出手段により該ワークを測定して得られた検出軸方向位置情報を、前記測定機情報取得手段により得られた前記移動部の検出軸方向位置情報に基づき補正し、該移動軸方向の各位置毎に、前記移動部の移動の真直度成分が除去されたワーク上の検出軸方向位置情報を得る。
なお、本発明においては、前記検出手段が倣いプローブを含み、倣いプローブがプローブ本体と、測定子と、変位検出器と、を含むことが好適である。
ここで、前記プローブ本体は、前記移動部に設けられたものとする。
また、前記測定子は、前記プローブ本体に対し変位自在に設けられ、被測定物と接触する。
前記変位検出器は、前記測定プローブ本体に対する前記測定子の検出軸方向位置情報を出力する。
そして、本発明においては、前記プローブ本体を静止させ被測定物上に前記測定子を静止させた状態で、前記変位検出器よりの検出軸方向位置情報を複数回サンプリングし、得られた複数個の検出軸方向位置情報の平均値に基づき、該被測定物上の検出軸方向位置情報を得ることが好適である。
図1には本発明の一実施形態にかかる真直度校正方法を適用した測定機の概略構成が示されている。
なお、本実施形態では、測定機として三次元座標測定機を想定し、そのZ軸スピンドルのX軸移動のY軸方向真直度に起因する測定誤差を補正する例について説明する。
同図に示す三次元座標測定機(測定機)10は、テーブル(固定部)12と、Z軸スピンドル(移動部)14と、検出手段16と、コンピュータ18と、本発明の真直度校正方法を行うための真直度校正装置20とを備える。
Z軸スピンドル14は、テーブル12に対しXYZ軸方向に移動自在に設けられている。
検出手段16は、Z軸スピンドル14の下部に設けられ、被測定物上のXYZ軸方向位置情報を検出する。
コンピュータ18は、検出手段16よりのXYZ軸方向位置情報に基づき、被測定物上のXYZ軸方向位置情報を求めている。コンピュータ18は、得られた被測定物上のXYZ軸方向位置情報から、被測定物の形状や寸法を求めている。
本実施形態において特徴的なことは、三次元座標測定機10が、本発明の真直度校正方法を行うための真直度校正装置20を備えたことである。
このために本実施形態においては、真直度校正装置20が、本発明の基準器情報取得工程を行うための基準器情報取得手段24と、本発明の測定機情報取得工程を行うための測定機情報取得手段26と、本発明のワーク情報取得工程を行うためのワーク情報取得手段28とを備える。
基準器情報取得手段24は、真直度基準器22の真直面22a上のY軸方向位置情報を得ている。
このために基準器情報取得手段24は、図2に示されるように、反転前位置情報記憶部30と、反転後位置情報記憶部32と、真直度演算部34と、真直度記憶部36とを備える。
ここで、反転前位置情報記憶部30は、反転前位置情報を記憶している。前記反転前位置情報は、真直面22a方向がX軸方向とが一致するようにテーブル12にセットされた基準器22に対し、Z軸スピンドル14をX軸方向に移動させ、X軸方向の各位置毎に、検出手段16により基準器22の真直面22aを測定して得られたY軸方向位置情報である。
測定機情報取得手段26は、X軸方向の各位置毎に、Z軸スピンドル14のY軸方向位置情報を得ている。
このために測定機情報取得手段26は、位置情報取得部38と、真直度演算部40と、真直度記憶部42とを備える。
ここで、位置情報取得部38は、前記反転前位置情報を記憶している。
また、真直度演算部40は、X軸方向の各位置毎に、位置情報取得部38に記憶している反転前位置情報と、真直度記憶部36に記憶している基準器真直面22a上のY軸方向位置情報とを、例えば、足し算して2で割り算することにより、X軸方向の各位置毎に、Zスピンドル14のY軸方向位置情報を得ている。これを、真直度記憶部42に記憶している。
ワーク情報取得手段28は、X軸方向の各位置毎に、ワークを測定して得られたY軸方向位置情報を、記憶部42に記憶しているY軸方向位置情報に基づき補正し、Z軸スピンドル14のX軸移動のY軸方向真直度成分が除去された、ワーク上のY軸方向位置情報を得ている。
このためにワーク情報取得手段28は、位置情報記憶部44と、補正部46と、記憶部48とを備える。
ここで、記憶部44は、基準器22に代えて、テーブル12にセットされたワークに対し、Z軸スピンドル14をX軸方向に移動させ、X軸方向の各位置毎に、検出手段16によりワークを測定して得られたY軸方向位置情報を記憶している。
また、演算部46は、X軸方向の各位置毎に、記憶部44に記憶しているワーク上のY軸方向位置情報を、記憶部42に記憶しているY軸方向位置情報に基づいて補正することにより、Z軸スピンドル14のX軸移動のY軸方向真直度成分が除去されたワーク上のY軸方向位置情報を得ている。これを記憶部48に記憶している。
コンピュータ18は、記憶部48に記憶しているワーク上のXYZ軸方向位置情報に基づき、ワークの形状や寸法を求める。
ここで、X軸スライダ50は、テーブル12に対しX軸方向に移動自在に設けられたものとする。
また、Y軸スライダ52は、Z軸スピンドル14が設けられ、テーブル12に対しY軸方向に移動自在に設けられたものとする。
駆動手段54は、X軸スライダ50、Y軸スライダ52、Z軸スピンドル14を駆動する。
また、駆動量検出器58は、駆動手段54による倣いプローブ16のXYZ軸方向駆動量を検出する。
そして、加算回路66は、変位量検出器64よりのXYZ軸方向位置情報と、駆動量検出器58よりのXYZ軸方向駆動量情報とに基づき、被測定物上のXYZ軸方向位置情報を得ている。これを、コンピュータ18に出力する。
本実施形態において特徴的なことは、Z軸スピンドル14のX軸運動のY軸方向真直度に起因する測定誤差を校正したことである。
すなわち、図3に示されるように、Z軸スピンドル14がX軸方向に移動すると、Z軸スピンドル14のX軸上からY軸方向への位置ずれに起因する測定誤差が生じる。
本実施形態においては、Z軸スピンドル14の移動の真直度に起因する測定誤差を補正するため、ワークを測定する直前に、本実施形態にかかる真直度校正方法を行っている。
すなわち、本実施形態においては、基準器情報取得手段24により、X軸方向の各位置毎に基準器真直面22aを測定して反転前位置情報を取得し、基準器を反転した後に同じ基準器真直面22aを測定して反転後位置情報を検出し、反転前位置情報と反転後位置情報との演算処理により、X軸に沿ってセットされた基準器真直面上のY軸方向位置情報(位置ずれ情報)を得ることができる。
この結果、本実施形態は、より高精度な真直度基準器を用いることなく、Z軸スピンドル14のX軸移動のY軸方向真直度を、より高精度に測定することができる。これを、本実施形態においては、例えばワークの測定直前に得ている。
この結果、本実施形態は、より高精度な真直度基準器を用いることなく、Z軸スピンドル14のX軸移動のY軸方向真直度に起因する測定誤差を適切に補正することができる。
本実施形態にかかる真直度校正方法は、図4に示されるように、基準器情報取得工程(S10)と、測定機情報取得工程(S12)と、ワーク情報取得工程(S14)とを備える。
ここで、基準器情報取得工程(S10)は、X軸方向の各位置毎に、真直度基準器22の真直面上のY軸方向位置情報(位置ずれ情報)を得ている。
このために本実施形態においては、基準器情報取得工程(S10)が、基準器セット工程(S16)、反転前測定工程(S18)と、反転工程(S20)と、反転後測定工程(S22)と、真直度演算工程(S24)とを備える。
基準器セット工程(S16)では、テーブル12に真直度基準器22を載置する。
このとき、真直度基準器22の真直面方向が三次元座標測定機のX軸に一致するように、テーブル上に真直度基準器22を位置決めしている。
反転前測定工程(S18)では、基準器セット工程(S16)後、Z軸スピンドル14をX軸方向に所定のピッチ毎に移動させ、X軸方向の各位置毎に、検出手段16により、基準器真直面を測定し、Y軸方向位置情報を得ている。これを反転前位置情報として、反転前位置情報記憶部30に記憶しておく。
反転工程(S20)では、前記反転前測定工程後、倣いプローブを真直度基準器より退避させ、真直度基準器22の真直面がX軸を中心に180度反転するように、真直度基準器22をテーブルに再セットする。
反転後測定工程(S22)では、反転工程(S20)後、反転前測定工程(S18)での測定と同様に、Z軸スピンドルをX軸方向に移動させ、X軸方向の各位置毎に、検出手段16により、真直度基準器22の真直面を測定し、Y軸方向位置情報を得ている。これを反転後位置情報として、反転後位置情報記憶部32に記憶しておく。
真直度演算工程(S24)では、X軸方向の各位置毎に、反転前測定工程(S18)で得られた反転前位置情報と反転後測定工程(S22)で得られた反転後位置情報とを引き算して2で割り算している。
この結果、真直度演算工程(S24)では、X軸方向の各位置毎に、基準器真直面上のY軸方向位置情報(位置ずれ情報)を得ることができる。
測定機情報取得工程(S12)では、X軸方向の各位置毎に、Z軸スピンドル14のY軸方向位置情報(位置ずれ情報)を得ている。
このために本実施形態においては、測定機情報取得工程(S12)が、位置情報取得工程(S26)と、真直度演算工程(S28)とを備える。
ワーク情報取得工程(S14)では、ワークを測定して得られたY軸方向位置情報より、Z軸スピンドル14のX軸移動のY軸方向真直度成分の除去された、ワーク上のY軸方向位置情報を得ている。
ワークセット工程(S30)では、基準器に代えて、ワークをテーブル上にセットする。
ワーク測定工程(S32)では、ワークセット工程(S30)後、Z軸スピンドル14をX軸方向に移動しながら、X軸方向の各位置毎に、倣いプローブ16によりワークを測定して、Y軸方向位置情報を得ている。
補正工程(S34)では、ワーク測定工程(S32)後、X軸の各位置毎に、ワーク測定工程(S32)により得られたY軸方向位置情報を、測定機情報取得工程により得られたZ軸スピンドル14のY軸方向位置情報に基づいて補正する。
この結果、補正工程(S34)では、Z軸スピンドル14のX軸移動のY軸方向真直度に起因する測定誤差の除去された、ワーク上のY軸方向位置情報を得ることができる。これを記憶部48に記憶しておく。
図5には本発明において特徴的な反転工程の一例の説明図が示されている。
同図(A)は、反転工程前の基準器22を示す。
反転工程前の基準器22は、基準器真直面の理想的な形状である直線22bがX軸上に一致するように、テーブル12上にセットされている。
反転工程後の基準器22は、同図(B)に示されるように、基準器真直面の理想的な形状である直線22bがX軸上を中心に180度反転した状態となるように、基準器22がテーブル12上に再セットされている。
このように本実施形態の反転工程では、反転工程の前後において、実際の真直面22a上のX軸方向の各位置情報(x1〜xn)は同じとしたまま、実際の真直面22a上のY軸方向の各位置情報は大きさが同じであるが、向き(符号)は逆となるように、基準器22をテーブル上12に位置決めすることができる。
図6には本発明において特徴的な演算工程の様子の一例が示されている。
図6(A)は、反転前測定工程により得られた反転前位置情報δA(x)を示す。
反転前位置情報δA(x)には、基準器真直面の理想的な形状成分E(X軸と完全に一致する理想的な直線形状成分)と、Z軸スピンドル14のX軸移動のY軸方向真直度成分δC(x)と、基準器真直面の実際の形状成分(基準器真直面のY軸方向真直度成分)δD(x)とが含まれている。
図6(A)に示される反転前位置情報δA(x)は、δA(x)=δC(x)−δD(x)で表すことができる。
反転後位置情報δB(x)には、基準器真直面の理想的な形状成分E(X軸と完全に一致する理想的な直線形状成分)と、Z軸スピンドル14のX軸移動のY軸方向真直度成分δC(x)と、基準器真直面の実際の形状成分(基準器真直面のY軸方向真直度成分)δD(x)とが含まれている。
ここで、反転前測定工程により得られたZ軸スピンドル14のX軸移動のY軸方向真直度成分δC(x)と、反転後測定工程により得られたZ軸スピンドルのX軸移動のY軸方向真直度成分δC(x)とは、大きさ及び符号が同じものである。
一方、反転前測定工程により得られた基準器真直面の実際の形状成分δD(x)と、反転後測定工程により得られた基準器真直面の実際の形状成分δD(x)とは、大きさは同じであるが、符号が逆となる。
図6(B)に示される反転後位置情報δB(x)は、δB(x)=δC(x)+δD(x)で表すことができる。
図6(C)は、反転前位置情報δA(x)と反転後位置情報δB(x)との引き算の様子の一例を示す。
すなわち、図6(C)に示されるように、X軸方向の各位置(x)毎に、反転前位置情報δA(x)と反転後位置情報δB(x)とを引き算することにより、Z軸スピンドル14のX軸移動のY軸方向真直度成分δC(x)がキャンセルされ、真直度基準器22のY軸方向真直度成分δD(x)のみを得ることができる。これを下記の数式で表すことができる。
すなわち、δA(x)−δB(x)=δC(x)−δD(x)−δC(x)−δD(x)=−2δD(x)。これを図6(D)に示す。
このため、図6(D)で得られた演算結果を、さらに2で割り算することにより、X軸方向の各位置毎に、基準器真直面上のY軸方向位置情報δD(x)を得ることができる。これを図6(E)に示す。
また、前記演算では、X軸方向の各位置毎に、反転前位置情報と反転後位置情報とを足し算して2で割り算することにより、X軸方向の各位置毎にZ軸スピンドル14のY軸方向位置情報を得ることができる。
すなわち、図7(A)に示されるように、X軸方向の各位置毎に、反転前位置情報δA(x)と反転後位置情報δB(x)とを足し算することにより、δA(x)+δB(x)=δC(x)−δD(x)+δC(x)+δD(x)=2δC(x)を得ることができる。これを図7(B)に示す。図7(B)で得られた演算結果を2で割り算することにより、図7(C)に示されるような、X軸方向の各位置毎にZ軸スピンドル14のY軸方向位置情報δC(x)を得ることができる。
このような、反転前基準器測定工程(S18)により得られた反転前位置情報δA(x)及び反転後測定工程(S22)により得られた反転後位置情報δB(x)を比較し、X軸方向の各位置毎にZ軸スピンドル14のY軸方向位置情報δC(x)を得るという演算は、測定機情報取得工程(S12)で実行される演算の例である。
以上の別の例のように、測定機情報取得工程(S12)では、Z軸スピンドル14をX軸方向に移動させ、X軸方向の各位置毎に、倣いプローブ16により基準器真直面22aを測定して得られたY軸方向位置情報δA(x),δA(x)と、基準器情報取得工程(S10)により得られた基準器真直面上のY軸方向位置情報δD(x)とを比較し、X軸方向の各位置毎にZ軸スピンドル14のY軸方向位置情報δC(x)を得るという演算が実行されるようにしてもよい。
<プローブ>
なお、本実施形態においては、真直度の影響を更に低減するため、真直度を高精度に測定することが非常に重要である。
すなわち、移動部は、軸上を動かすだけでも振動が発生するので、検出手段により得られた測定結果には、移動部の振動に起因するノイズ成分が含まれることがある。
したがって、本実施形態においては、前記振動に対しても、極めてロバストな位置測定を実現することが非常に重要である。
しかしながら、この場合、得られた位置情報には、移動部の振動に起因するノイズ成分が含まれることがある。
したがって、タッチセンサプローブを用いたのでは、振動等に対して極めてロバストな位置測定を実現することが困難なことがある。
図8には倣いプローブ16を用いて、真直度基準器22の真直面上のY軸方向位置情報を検出する例が示されている。
同図(A)に示されるように真直度基準器22の真直面22a上のX軸方向位置x1に対し、倣いプローブ16をY軸方向よりアプローチする(S40)。
そして、同図(B)に示されるように真直面22a上のX軸方向位置x1に倣いプローブ16を位置決めし、静止する(S42)。
同図(C)に示されるように、倣いプローブ16を、真直面22a上のX軸方向位置x1で、Y軸方向に若干、押込む(S44)。
同図(D)に示されるように、倣いプローブ16の出力(変位検出器よりの位置情報)が安定した時点で、真直面22a上のX軸方向位置x1でのY軸方向位置情報を、複数回サンプリングする(S46)。
同図(E)に示されるように、前記サンプリング(S46)により得られた複数個のY軸方向位置情報の平均値を求め、真直面22a上のX軸方向位置点x1でのY軸方向位置情報としている(S48)。
本実施形態においては、平均化(S48)により得られたY軸方向位置情報からは、Z軸スピンドル14のX軸移動に伴なう振動成分が除去されている。
この結果、本実施形態においては、Z軸スピンドル14の軸上の移動に伴なう振動の影響を極力回避しながら、被測定物上のY軸方向位置情報を高精度に検出することができる。
したがって、本実施形態においては、高精度に得られた真直度情報に基づき、ワークの測定結果を、より高精度に校正することができる。
これにより、本実施形態においては、Z軸スピンドル14のX軸移動のY軸方向真直度に起因する測定誤差を、大幅に低減することができる。
なお、前記実施形態では、Z軸スピンドル14のX軸移動の、Y軸方向真直度を校正した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、Z軸方向真直度の校正に適用することも好ましい。
また、前記実施形態を、Z軸スピンドル14のY軸移動の、X軸方向真直度やZ軸方向の真直度の校正に適用することも好ましい。
また、前記実施形態を、Z軸スピンドル14のZ軸移動の、X軸方向の真直度やY軸方向の真直度の校正に適用することも好ましい。
12 固定部(テーブル)
14 Z軸スピンドル(移動部)
16 倣いプローブ(検出手段)
20 真直度校正装置
24 基準器情報取得手段
26 測定機情報取得手段
28 ワーク情報取得手段
Claims (4)
- 固定部に対し所定の移動軸方向に直線移動する移動部と、該移動部に設けられ、該固定部に対する該移動部の移動軸方向と直交する検出軸方向の位置情報を検出する検出手段と、を備えた測定機に用いられ、該移動部の移動の真直度に起因する測定誤差を補正する真直度校正方法において、
真直度の基準となる基準器の真直面方向が前記移動軸方向と一致するように前記固定部に該基準器をセットした後に、該移動部を該移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により該基準器真直面を測定して得られた検出軸方向位置情報を反転前位置情報として得る反転前測定工程と、
前記反転前測定工程後、前記基準器の真直面が前記移動軸を中心に180度反転した状態となるように、該基準器を前記固定部に再セットする反転工程と、
前記反転工程後、前記移動部を移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により前記基準器真直面を測定して得られた検出軸方向位置情報を反転後位置情報として得る反転後測定工程と、
前記反転前測定工程により得られた反転前位置情報及び前記反転後測定工程により得られた反転後位置情報に基づき、前記移動軸方向の各位置毎に前記基準器真直面上の検出軸方向位置情報を得る基準器情報取得工程と、
前記移動部を前記移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により前記基準器真直面を測定して得られた検出軸方向位置情報と、前記基準器情報取得工程により得られた前記基準器真直面上の検出軸方向位置情報とを比較し、該移動軸方向の各位置毎に該移動部の検出軸方向位置情報を得る測定機情報取得工程と、
前記固定部にワークをセットした後に、前記移動部を前記移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により該ワークを測定して得られた検出軸方向位置情報を、前記測定機情報取得工程により得られた前記移動部の検出軸方向位置情報に基づき補正し、該移動軸方向の各位置毎に、前記移動部の移動の真直度成分が除去されたワーク上の検出軸方向位置情報を得るワーク情報取得工程と、
を備え、前記検出手段は、前記移動部に設けられたプローブ本体と、該プローブ本体に対し検出軸方向に変位自在に設けられ、被測定物と接触する測定子と、該測定プローブ本体に対する該測定子の検出軸方向位置情報を出力する変位検出器と、を備えた倣いプローブを含み、
前記プローブ本体を静止させ前記被測定物上に前記測定子を接触させた状態で、前記変位検出器よりの検出軸方向位置情報を複数回サンプリングし、得られた複数個の検出軸方向位置情報の平均値に基づき、該被測定物上の検出軸方向位置情報を得ることを特徴とする真直度校正方法。 - 固定部に対し所定の移動軸方向に直線移動する移動部と、該移動部に設けられ、該固定部に対する該移動部の移動軸方向と直交する検出軸方向の位置情報を検出する検出手段と、を備えた測定機に用いられ、該移動部の移動の真直度に起因する測定誤差を補正する真直度校正方法において、
真直度の基準となる基準器の真直面方向が前記移動軸方向と一致するように前記固定部に該基準器をセットした後に、該移動部を該移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により該基準器真直面を測定して得られた検出軸方向位置情報を反転前位置情報として得る反転前測定工程と、
前記反転前測定工程後、前記基準器の真直面が前記移動軸を中心に180度反転した状態となるように、該基準器を前記固定部に再セットする反転工程と、
前記反転工程後、前記移動部を移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により前記基準器真直面を測定して得られた検出軸方向位置情報を反転後位置情報として得る反転後測定工程と、
前記反転前測定工程により得られた反転前位置情報及び前記反転後測定工程により得られた反転後位置情報に基づき、前記移動軸方向の各位置毎に前記基準器真直面上の検出軸方向位置情報を得る基準器情報取得工程と、
前記移動軸方向の各位置毎に、前記反転前位置情報又は反転後位置情報と、前記基準器情報取得工程により得られた前記基準器真直面上の検出軸方向位置情報とを足し算して2で割り算することにより、該移動軸方向の各位置毎に該移動部の検出軸方向位置情報を得る測定機情報取得工程と、
前記固定部にワークをセットした後に、前記移動部を前記移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により該ワークを測定して得られた検出軸方向位置情報を、前記測定機情報取得工程により得られた前記移動部の検出軸方向位置情報に基づき補正し、該移動軸方向の各位置毎に、前記移動部の移動の真直度成分が除去されたワーク上の検出軸方向位置情報を得るワーク情報取得工程と、
を備えたことを特徴とする真直度校正方法。 - 固定部に対し所定の移動軸方向に直線移動する移動部と、該移動部に設けられ、該固定部に対する該移動部の移動軸方向と直交する検出軸方向の位置情報を検出する検出手段と、を備えた測定機に用いられ、該移動部の移動の真直度に起因する測定誤差を補正する真直度校正方法において、
真直度の基準となる基準器の真直面方向が前記移動軸方向と一致するように前記固定部に該基準器をセットした後に、該移動部を該移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により該基準器真直面を測定して得られた検出軸方向位置情報を反転前位置情報として得る反転前測定工程と、
前記反転前測定工程後、前記基準器の真直面が前記移動軸を中心に180度反転した状態となるように、該基準器を前記固定部に再セットする反転工程と、
前記反転工程後、前記移動部を移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により前記基準器真直面を測定して得られた検出軸方向位置情報を反転後位置情報として得る反転後測定工程と、
前記反転前測定工程により得られた反転前位置情報及び前記反転後測定工程により得られた反転後位置情報に基づき、前記移動軸方向の各位置毎に前記基準器真直面上の検出軸方向位置情報を得る基準器情報取得工程と、
前記移動軸方向の各位置毎に、前記反転前位置情報又は反転後位置情報に対して、前記基準器情報取得工程により得られた前記基準器真直面上の検出軸方向位置情報を足し算または引き算することにより、該移動軸方向の各位置毎に該移動部の検出軸方向位置情報を得る測定機情報取得工程と、
前記固定部にワークをセットした後に、前記移動部を前記移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により該ワークを測定して得られた検出軸方向位置情報を、前記測定機情報取得工程により得られた前記移動部の検出軸方向位置情報に基づき補正し、該移動軸方向の各位置毎に、前記移動部の移動の真直度成分が除去されたワーク上の検出軸方向位置情報を得るワーク情報取得工程と、
を備えたことを特徴とする真直度校正方法。 - 固定部に対し所定の移動軸方向に直線移動する移動部と、該移動部に設けられ、該固定部に対する該移動部の移動軸方向と直交する検出軸方向の位置情報を検出する検出手段と、を備えた測定機に用いられ、該移動部の移動の真直度に起因する測定誤差を補正する真直度校正装置において、
真直度の基準となる真直面方向が前記移動軸方向と一致するように前記固定部にセットされた該基準器に対し、前記移動部を該移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により該基準器真直面を測定して得られた検出軸方向位置情報を、反転前位置情報として得る反転前位置情報取得手段と、
前記基準器の真直面が前記移動軸を中心に180度反転した状態となるように前記固定部に再セットされた該基準器に対し、前記移動部を移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により前記基準器真直面を測定して得られた検出軸方向位置情報を、反転後位置情報として得る反転後位置情報取得手段と、
前記反転前位置情報取得手段により得られた反転前位置情報及び前記反転後位置情報取得手段により得られた反転後位置情報に基づき、前記移動軸方向の各位置毎に前記基準器真直面上の検出軸方向位置情報を得る基準器情報取得手段と、
前記移動部を前記移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により基準器真直面を測定して得られた検出軸方向位置情報と、前記基準器情報取得手段により得られた基準器真直面上の検出軸方向位置情報とを比較し、該移動軸方向の各位置毎に該移動部の検出軸方向位置情報を得る測定機情報取得手段と、
前記固定部にセットされたワークに対し、前記移動部を前記移動軸方向に移動させ、該移動軸方向の各位置毎に、前記検出手段により該ワークを測定して得られた検出軸方向位置情報を、前記測定機情報取得手段により得られた前記移動部の検出軸方向位置情報に基づき補正し、前記移動部の移動の真直度成分が除去されたワーク上の検出軸方向位置情報を得るワーク情報取得手段と、
を備え、前記検出手段は、前記移動部に設けられたプローブ本体と、該プローブ本体に対し検出軸方向に変位自在に設けられ、被測定物と接触する測定子と、該測定プローブ本体に対する該測定子の検出軸方向位置情報を出力する変位検出器と、を備えた倣いプローブを含み、
前記プローブ本体を静止させ前記被測定物上に前記測定子を接触させた状態で、前記変位検出器よりの検出軸方向位置情報を複数回サンプリングし、得られた複数個の検出軸方向位置情報の平均値に基づき、該被測定物上の検出軸方向位置情報を得ることを特徴とする真直度校正装置。
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