JP6235877B2 - 金属調加飾部品 - Google Patents
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Description
ところが、金属からなる文字板は、金属板を一枚一枚、機械加工する必要があり、均一な品質を得ることが難しく、製造コストの点でも問題がある。また、金属であるために重量が重く、特に車両では軽量化に不利となる。
(1) 合成樹脂により成形される基板本体と、前記基板本体の表面に被着される金属薄膜と、を備えた金属調加飾部品であって、前記金属薄膜は、その表面形状から第1カットオフ値=250μmで得られたうねり曲線において、うねり波形の平均高さである振幅Wcと平均長さである波長Wsmの比率で捉えられ前記振幅Wcを1とした場合の前記波長Wsmの比率が1:600以上となる大きなうねりと、前記表面形状から第2カットオフ値=80μmで得られたうねり曲線において、うねり波形の平均高さである振幅Wcと平均長さである波長Wsmの比率で捉えられ前記振幅Wcを1とした場合の前記波長Wsmの比率が1:200以上となる小さなうねりと、を有することを特徴とする金属調加飾部品。
即ち、金属薄膜の表面における大きなうねりの振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:600以上となり、小さなうねりの振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:200以上となることにより、本物の金属を切削して製造したような見栄えの金属調加飾部品が、樹脂成形と金属薄膜コーティングによって容易に実現される。
本発明の一実施形態に係る金属調加飾部品としては、例えば金属調のスピードメータに用いられる加飾用金属調リング11を例に説明するが、本発明に係る金属調加飾部品は、その他の車両用計器の部品に用いられてもよい。この加飾用金属調リング11は、合成樹脂を成形金型によって一体成形して得られている。
加飾用金属調リング11は、合成樹脂により基板本体20を所定に形状に一体成形した後、表面にスパッタリングによって金属薄膜22が被着される。被着される金属薄膜22には、金属調に好適なアルミ、ステンレス、チタン等の他、種々の金属を用いることができる。これにより、面取り部17を含む基板本体20の表面は、鏡面に仕上げられる。勿論、基板本体20の表面に被着される金属薄膜22は、スパッタリングに限らず、蒸着、メッキ、塗装などにより被着することもできる。
大きなうねりは、金属薄膜22による鏡面の反射像に歪みを生じさせる相関関係を有する。そこで、本実施形態に係る大きなうねりは、金属薄膜22の表面形状から第1カットオフ値(例えば、250μm)で得られたうねり曲線において、うねり波形の平均高さである振幅Wcと平均長さである波長Wsmの比率で捉えられる。そして、この大きなうねりが、振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:600以上となるように面取り部17の表面が形成されている。
本実施形態に係る加飾用金属調リング11によれば、基板本体20における面取り部17の表面に被着された金属薄膜22の表面における反射像の歪みを捉えるためのパラメータとして、その表面形状から第1カットオフ値(例えば、250μm)及び第2カットオフ値(例えば、80μm)で得られたうねり曲線におけるねり波形の平均高さである振幅Wcと平均長さである波長Wsmとを測定し、振幅Wcと波長Wsmの比率を算出することで、反射像の歪みが改善された加飾用金属調リング11を容易に得ることができる。
即ち、金属薄膜22の表面における大きなうねりが、振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:600以上となり、小さなうねりが、振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:200以上となることにより、本物の金属を切削して製造したような見栄えの加飾用金属調リング11が、樹脂成形と金属薄膜コーティングによって容易に実現される。
即ち、図4に示すように、面取り部17の表面に発生するうねり波形をイメージし、振幅Wcと波長Wsmをうねりの波形を捉えるためのパラメータとした。振幅Wcとは、図5に示すうねり曲線の平均高さ(下記式1参照)である。波長Wsmとは、図6に示すうねり曲線の平均長さ(下記式2参照)である。これらは、それぞれレーザー顕微鏡を使用することにより測定が可能となる。そして、うねり曲線の平滑さを示す指標として、振幅Wcと波長Wsmを比で表すこととした。具体的には、振幅Wcを1とした時の波長Wsmの数値を比率で示す。
この時の振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が、第2カットオフ値=80μmで、Wc:Wsm=1:60、第1カットオフ値=250μmで、Wc:Wsm=1:128であった。
[1] 合成樹脂により成形される基板本体20と、前記基板本体20の表面に被着される金属薄膜22と、を備えた金属調加飾部品(加飾用金属調リング)11であって、前記金属薄膜22は、その表面形状から第1カットオフ値で得られたうねり曲線において、うねり波形の平均高さである振幅Wcと平均長さである波長Wsmの比率で捉えられ前記振幅Wcを1とした場合の前記波長Wsmの比率が1:600以上となる大きなうねりと、前記表面形状から第1カットオフ値よりも小さい第2カットオフ値で得られたうねり曲線において、うねり波形の平均高さである振幅Wcと平均長さである波長Wsmの比率で捉えられ前記振幅Wcを1とした場合の前記波長Wsmの比率が1:200以上となる小さなうねりと、を有することを特徴とする金属調加飾部品(加飾用金属調リング)11。
[2] 上記[1]の構成の金属調加飾部品(加飾用金属調リング)11であって、前記基板本体20がリング形状に形成され、前記金属薄膜22の表面が、前記基板本体20に形成される面取り部17の円周全域であることを特徴とする金属調加飾部品(加飾用金属調リング)11。
[3] 上記[1]または[2]の構成の金属調加飾部品(加飾用金属調リング)11であって、前記合成樹脂が、成型金型の成形面の形状を正確に転写することができる高い転写性を有することを特徴とする金属調加飾部品(加飾用金属調リング)11。
[サンプル種別]
サンプル1:従来切削工具で成形面を作成した成形金型を使用してポリカーボネート樹脂により基板本体20を一体成形し、アンダーコートを設けた表面にスパッタリングによってアルミの金属薄膜22を被着させた後、スモーククリア色のトップコートを施した。
サンプル2:スモーククリア色のトップコートに代えて、無色のトップコートを施した以外は、サンプル1と同様。
サンプル3:ダイヤモンドバイトで成形面を作成した成形金型を使用してアクリル樹脂により基板本体20を一体成形し、アンダーコートを設けた表面にスパッタリングによってアルミの金属薄膜22を被着させ、トップコートは廃止した。
サンプル4:シクロオレフィンポリマー樹脂により基板本体20を一体成形した以外は、サンプル3と同様。
サンプル5:アルミ合金から基板本体20と同形状の金属リングを削出した。
各サンプルの表面形状をレーザー顕微鏡で測定し、第2カットオフ値=80μmでフィルタリングした小さなうねりのうねり波形における振幅Wcと波長Wsmの比率を算出し、第1カットオフ値=250μmでフィルタリングした大きなうねりのうねり波形における振幅Wcと波長Wsmの比率を算出した。
また、金属薄膜22が被着された加飾用金属調リング11の面取り部17を目視観察して、光沢反射像Sの歪みの有無を評価した。目視観察の光源としては、四角形のLEDを使用した。光沢反射像Sは、面取り部17の平面に対し、垂直方向の視線にて観察した。これらの結果を下記表1に示す。
歪みが無いと認識される条件は、面取り部17の表面に現れる光沢反射像Sの輪郭Lが直線であること、または2次曲線の場合は光沢反射像Sの輪郭Lの半径Rが、面取り部17の幅Wの4倍以上(R≧4W)となることとし、この条件を満たす場合を「○」、この条件から外れる場合を「×」とした。
表1から判るように、第1カットオフ値=250μmでフィルタリングした大きなうねりは振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:約600以上、第2カットオフ値=80μmでフィルタリングした小さなうねりは振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:約200以上のサンプル3,4では、光沢反射像Sの歪みがないと判定された。なお、サンプル2のように、小さなうねりは振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:約200以上であっても、大きなうねりが振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:600以下の場合は、光沢反射像Sの歪みが生じた。また、サンプル3のように、熱変形の少ない切削工具であるダイヤモンドバイトで成形面を作成した成形金型を用いることで、面取り部17のうねりが低減されることが確認された。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
17…面取り部
20…基板本体
22…金属薄膜
Claims (3)
- 合成樹脂により成形される基板本体と、前記基板本体の表面に被着される金属薄膜と、を備えた金属調加飾部品であって、
前記金属薄膜は、
その表面形状から第1カットオフ値=250μmで得られたうねり曲線において、うねり波形の平均高さである振幅と平均長さである波長の比率で捉えられ前記振幅を1とした場合の前記波長の比率が1:600以上となる大きなうねりと、
前記表面形状から第2カットオフ値=80μmで得られたうねり曲線において、うねり波形の平均高さである振幅と平均長さである波長の比率で捉えられ前記振幅を1とした場合の前記波長の比率が1:200以上となる小さなうねりと、を有することを特徴とする金属調加飾部品。 - 請求項1に記載の金属調加飾部品であって、
前記基板本体がリング形状に形成され、前記金属薄膜の表面が、前記基板本体に形成される面取り部の円周全域であることを特徴とする金属調加飾部品。 - 請求項1または請求項2に記載の金属調加飾部品であって、
前記合成樹脂が、成型金型の成形面の形状を正確に転写することができる高い転写性を有することを特徴とする金属調加飾部品。
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